実勢価格の調べ方5選|公示地価や路線価との違いや計算方法も解説

不動産の売却や購入するときに参考になるのが、土地の実勢価格です。 土地の価格には、公示価格や路線価などがあるが、それぞれ何が違うのか。
この記事では、実勢価格の調べ方を知りたい方に向けて解説していきます。 ぜひ、参考にしてください。

実勢価格とは実際に売買された取引価格のこと

実勢価格とは、実際に買い手と売り手の間で取引された価格をいい、過去の取引の平均値から算出されます。

不動産会社のサイトや広告に提示してある「販売価格=実勢価格」ではないので注意が必要です。なぜなら、販売価格から交渉があれば、価格が変更されるケースが多いからです。

たとえば、3,100万円で売り出されていた土地が、実際に売買されるときは3,000万円だったとすれば、3,000万円が実勢価格となります。

このように実勢価格は、市場の状況によって値段が変化するものです。

土地の特徴や売主・買主の都合によって、実勢価格は高くも低くもなります。

実勢価格と公示地価・路線価・基準地価は何が違う?

土地の価格には、実勢価格のほかにも「公示価格」「路線価」「基準地価」などの価格があります。
この3つの価格はいずれも公的機関が公表している土地の価格で、その点が実勢価格とは明確に異なります。
それぞれの価格にはどのような意味があり、何が違うのかについて解説していきます。

  公示地価 基準地価 路線価
公表団体 国土交通省 各都道府県 国税庁
基準日 毎年1月1日時点 毎年7月1日時点 毎年1月1日時点
公開日 毎年3月 毎年9月 毎年7月
評価方法 1ヶ所につき2名以上の不動産鑑定士が鑑定評価し、それぞれの結果を国土交通省の土地鑑定委員会が審査して決定 1ヶ所につき1名以上の不動産鑑定士が鑑定 地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士などによる鑑定評価価額および精通者意見価格などから算出
評価箇所 全国約2万6,000ヶ所の標準地 全国2万ヶ所の基準地 全国約41万地点

公示地価

公示地価は、国土交通省が1月1日時点の全国約2万6,000ヶ所の標準地を選定して評価を行ったものです。

公共事業用地の取得価格の算定や固定資産税・不動産取得税などの税金の徴収をするときに、必要となります。

公平性や妥当性を守るためにしっかりとした根拠に基づいて土地の価格を決めなければなりません。
そのため、国が毎年費用をかけて土地価格の調査を行っているのです。

基準地価

基準地価は、各都道府県が7月1日時点の全国約2万ヶ所以上の基準値を対象に評価を行ったものです。
公示地価とよく似ていますが、公示地価が都市計画区域内を対象にしているのに対し、基準地価は都市計画区域外のエリアも対象としています。

一般取引はもちろん、地方公共団体や民間企業の土地取引の基準として活用されています。

路線価

路線価は、相続税路線価と固定資産税路線価の2種類あります。路線価は、一般的には相続税路線価を指します。

路線価によって、相続税の対象となる不動産が評価され税額が決まります。

主に、相続税や贈与税の計算をするときに使われるものです。

路線価も毎年変わるので、令和4年に発生した相続には、令和4年の路線価を用いて算出します。

実勢価格の調べ方5つとそれぞれの計算方法も解説

この章では、実勢価格の計算方法や調べ方を詳しく解説していきます。

  • 国土交通省の土地情報システムを利用する
  • REINS Market Information(レインズ・マーケット・インフォメーション)を利用する
  • 路線価から計算する
  • 固定資産税評価額をもとに計算する
  • 公示地価・基準地価をもとに計算する

実勢価格を知っておくと、売却する際のおおよその相場がわかるので取引の参考にできます。

調べ方①国土交通省の土地総合情報システムを利用する

土地総合情報システムは、国土交通省が公表している不動産の実勢価格を検索できるサイトです。
不動産の取引価格以外にも、公示地価や基準地価も閲覧でき、誰でも利用可能です。

不動産取引価格情報の検索では、以下の取引価格が調べられます。

  • 土地
  • 土地と建物
  • 中古マンション
  • 農地
  • 林地

土地総合情報システムのトップページから「不動産取引価格情報検索」をクリックし、調べたい都道府県や市区町村などを選択すると不動産取引価格情報が表示されます。

検索できる情報の内容は、所在地や取引総額、坪単価、面積などです。

場所によっては、取引事例が1件しかないエリアも存在します。

事例が少ないエリアだとその情報を見ても相場がはっきりとはわかりませんので、その点は注意が必要でしょう。

調べ方②REINS Market Information(レインズ・マーケット・インフォメーション)を利用する

レインズは不動産会社のみ閲覧可能で、一般の方は閲覧ができません。

その代わりに一般の方でも利用できるサイトが、レインズ・マーケット・インフォメーションです。
レインズに登録されたマンションや戸建ての直近1年の成約価格が調べられます。

建物を含めた実勢価格を調べるなら、レインズマーケットインフォメーションが便利なサイトとなっています。

しかし、直近1年に100件未満の取引しかないエリアは、結果が表示されないので注意しましょう。

調べ方③路線価から計算する

実勢価格の目安を調べたいときには、路線価からも求められます。
路線価の調べ方は、次の通りです。

国税庁ホームページ「路線価図・評価倍率表」で表示される日本地図から、調べたい都道府県をクリックしましょう。

「路線価図」を選択し、調べたい市区町村と地名を選択していきます。

調べたい土地が掲載されている路線価図が表示されます。

道路に記されている数字が、その土地の路線価です。数字は、1平米あたりの価格が1,000円単位で表記されています。たとえば、200と書かれていれば、路線価は1平米あたり20万円となります。

路線価から実勢価格の目安を調べるには、以下の計算式で求められます。

実勢価格の目安 = 路線価 × 面積 ÷ 0.8 × 1.1

たとえば、路線価が「1平米あたり30万円」で土地の面積が100平米の場合
土地の実勢価格の目安は、30万円×100平米÷0.8×1.1 =41,250,000円となります。

実際に土地の査定をするときには、土地の形や道路方位、角地などの個別的要因も含めて計算されます。

おおよその実勢価格の目安を知りたい場合には、路線価から計算するのは計算式に当てはめれば簡単に算出できるので覚えておくとよいでしょう。

参考:国税庁「路線価図・評価倍率表」

調べ方④固定資産税評価額をもとに計算する

固定資産税評価額は、土地や家屋などをどのように評価するかを定めた固定資産評価基準をもとに各自治体が独自に設定しています。

もし仮に、自宅を売却したい場合は、毎年送られてくる納税通知書から固定資産税評価額の判断が可能です。

納税通知書が手元にない場合は、固定資産税課税台帳を閲覧申請するか、固定資産評価証明書を入手するか、の2つの方法で調べられます。

固定資産税評価額、以下の計算式です。
実勢価格の目安 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1

たとえば、固定資産税評価額が2,800万円だったとすると、
土地の実勢価格の目安は、2,800万円÷07×1.1 =44,000,000円となります

固定資産税評価額が記載されている納税通知書は、不動産の売買には欠かせないものであり、再発行はできませんので、丁寧に保管しておく必要があります。

調べ方⑤公示地価・基準地価をもとに計算する

公示地価・基準地価は、国土交通省の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」で調べられます。

公示地価・基準地価から実勢価格を算出する方法は、以下の計算式で求められます。

実勢価格の目安=公示地価・基準地価×面積×1.1

たとえば、周辺エリアの公示価格が1平米あたり20万円、土地面積100平米の場合
この土地の実勢価格の目安は、20万円×100平米×1.1=22,000,000円となります。

路線価と同様に、パソコンから見られるため、その場でおおよその実勢価格の目安を知りたい場合にはすぐに自分で調べられます。

以上、ここでは、実勢価格の調べ方を5つ紹介してきました。

不動産の価値は、近隣相場や不動産市場の情勢、土地の形、日当たりなど、さまざまな要因によって大きく価格が変化します。

ここで紹介してきた調べ方は、あくまで参考値として理解しておきましょう。

実勢価格を調べるときの注意点

実勢価格は、実際の取引価格ではあるものの実勢価格で売却価格を設定すれば物件や土地が売れるわけではないので注意が必要です。

そこで、実勢価格を調べるときの注意点は、以下の2つです。

  • 過去の取引額のため、地価が変わる可能性がある
  • その他条件によって価格に差がでる

それぞれ、解説していきます。

注意点①過去の取引額のため地価が変わる可能性がある

実勢価格はあくまでも過去の取引額であり、その金額は日々変動しています。

また、地価は土地の需要が高まると高騰するため、過去の取引だけで判断するべきではありません。

国や自治体が公表する、公示地価や基準地価、路線価は調査してから発表までにある程度の期間があります。

一方で、実勢価格は過去の取引価格をもとにしているため、すぐに価格が更新されていきます。

実勢価格を調べるときには、価格の変動があるのを覚えておきましょう。

注意点②その他条件によって価格に差が出る

実勢価格は同じエリアの不動産でも、土地の形や方角、日当たりなどで価格に差が出るものです。

また同じマンション内で、同じ間取りであっても不動産会社によって売却価格は異なり、平均値をそのまま売却価格として参照するのは注意が必要です。

売却したい不動産のより正確な価格を知るためには、不動産一括査定サイトのおうちクラベルを利用するのがよいでしょう。

不動産一括査定サイトを使うと、1度の入力でまとめて複数の不動産会社に査定を依頼できるので、効率的に売却査定価格がわかります。

おうちクラベルで査定依頼できる会社は、実績豊富な優良企業ばかりです。不動産一括査定サイトのおうちクラベルで、不動産の適正価値を知りましょう。

まとめ

この記事では、実勢価格の概要や調べ方、注意点などについて解説してきました。

不動産の価格には実勢価格以外にも、公示地価、基準地価、路線価などがあります。

実勢価格をはじめ、不動産を売買するときに参考にはなりますが、不動産にはさまざまな個別的要因があり、必ずしも調べた通りの適正価値になるとは限りません。

適正な不動産の価値を調べるためには、自分で調べるだけではなく、不動産会社に査定を依頼して、適正価値を把握しましょう。

Q.実勢価格はいつ更新されますか?
A.実勢価格は取引価格をもとに設定されるもののため、リアルタイムで更新されます。一方、路線価や公示地価などは公表されるまでにタイムラグがあります。

Q.公示価格と実勢地価に大きな違いが出るのはなぜですか?
A.公示価格は基準値の正常な価格であるのに対し、実際に取引された価格である実勢価格は、土地の需要や個々の事情により価格が決まるため、乖離が生まれる場合があります。

まずはお気軽にご相談ください!