マンション売却と相場の関係とは|流れや売却時にかかる費用も紹介

所有しているマンションの売却を考えるときには、「いくらで売却できるのか」は気になる点でしょう。不動産会社の査定を受ける前に、相場を把握しておくことが大切です。この記事では、相場を調べるための方法や売却にかかるコスト、少しでも高く売るためのポイントなどを解説します。納得のいくマンション売却にお役立てください。

マンション売却をするなら相場の把握から始めよう

マンションを売却するときは、一般的には不動産会社に売却の相談をすることになりますが、自分でも相場を把握しておくことが重要です。不動産会社から提示された査定額が妥当なものであるか判断する際にも当然役立ちます。

マンションを売却してから後悔をしないためにも、正しく相場を把握しておきましょう。ここでは、相場を把握するときのポイントとなる部分について解説します。

エリア別の相場を把握する

マンションの価格は人口が多いエリアのほうが高くなる傾向にあり、ほかの地域と比べて都市部のほうが価格は高くなります。人口が多ければ、それだけ買い手の候補となる人も多いことから、条件に合った形で買主をみつけやすくなるでしょう。

しかし、単に人口が多いという理由だけで、マンションの価格は決まるわけではありません。交通アクセスの良さや買い物の利便性、生活圏内に金融機関や病院などの施設があるかといった点も価格に影響してきます。

すでに一定の開発が行われているエリアは相場が高い傾向がありますが、これから再開発が行われるエリアも将来的に暮らしやすくなることが期待されるため、価格が上昇する可能性があります。

地域が今後どのように発展していくかも含めて、エリア別に相場をとらえていくことが必要です。

築年数別の相場を把握する

マンションは建物そのものが資産的な価値の大半を占めるため、築年数は大きな影響を与えます。一般的に、築浅の物件は人気が高いため価格が下がりにくく、築年数が多くなっていくほど劣化が進むことから価格は下がる傾向にあります。

築5年程度であれば新築とそれほど大きな価格差は生じませんが、築6年を経過した頃から価格は徐々に下がり始め、築20年を超えてくると築浅物件の半分以下の価格になることもめずらしくありません。築年数が多くなれば、住宅設備の劣化や建物自体の修繕が必要になるため、購入希望者からすればそれらのコスト負担が気になるといった理由があげられます。

また、築25年を超えてくると経年劣化に加えて、住宅ローン控除の対象外となってしまうため、税務上の理由から買い手がなかなかみつからないといったこともあるでしょう。

個別の物件にはほかの要素も考慮されますが、大枠の相場として、築年数が及ぼす影響が大きいことを念頭に置いておきましょう。

マンション売却の流れを解説

マンションの売却をスムーズに進めるには、売却に至るまでの手順をきちんと押さえておく必要があります。売却活動は、準備するべき物事や書類も多く、契約もあるため大変なものです。トラブルなく活動を進めていくには、売主自身も1つひとつの手順を踏まえながら取り組んでいくことが大切です。

全体的な流れについてまとめると、次のようになります。

  1. step1:売却準備
  2. step2:不動産会社の選定
  3. step3:媒介契約
  4. step4:売却活動
  5. step5:売買契約・引き渡し

一般的にマンションを売却するまでにかかる時間は、4~6ヶ月程度といわれています。それぞれのstep順に詳しくみていきましょう。

step1:売却準備・相場の把握

マンションの売却を検討するにあたって事前に次のような準備をしておくとスムーズに進められます。

  • 売却するマンションの相場を確認
  • 売却までのスケジュールを確認
  • 売却にかかる費用と今ある住宅ローン残債の把握
  • 売却対象物の確認
  • マンションの購入時の資料を用意

特に重要なのは売却するマンションの相場を確認することです。いきなり不動産会社に相談をするよりも、まずは自分で相場を調べておくことで、不動産会社に査定を行ってもらったとき、査定額が妥当であるかどうかの判断基準をもつことができます。

自分で相場を調べる具体的な方法は、後の章「マンション相場の調べ方を解説」にて紹介します。WEBサイト上で調べることができるので、大まかな相場を把握するためにも時間をかけて調べてみましょう。

また、相場を知っておくことで売却価格の予想額を立てられるため、資金計画をより具体的にすることができます。売却にも費用が必要であり、また住宅ローン残債がある際にはタイミング良く完済することも必要です。そうしたお金の流れをイメージするうえでも事前に相場を調べておきましょう。

そのほかの準備としては売却までのスケジュール確認と売却対象物の確認、マンション購入時の資料の用意があります。

なるべく早く売却したい事情がある際には、売却方法も考えなければいけないため、スケジュールの確認も済ませておきましょう。
自分で設置したエアコンや家具などをマンションと一緒に売却するのかどうか、売却の対象になるものの確認も必要です。

また、不動産会社に査定を依頼する前に、マンションを購入したときの資料などを用意しておくとスムーズに進められることから、手元に準備しておきましょう。

step2:不動産会社の選定・査定依頼

相場について把握できたら、不動産会社に査定依頼を行います。査定結果が送られてきたら、内容を精査しましょう。

査定結果は単に査定額だけが記載されているわけではなく、査定額の根拠や類似する取引事例、売り出し価格の目安などさまざまな情報が書かれています。不動産会社を選定するうえでの大事な情報源になるので、査定額以外の内容もよく読んでおきましょう。

査定を行うときに重要なポイントは初めから1社だけに絞り込んでしまわずに、複数の不動産会社に査定依頼を行って比較検討をすることです。多くの会社を比べることで、適正な査定額を把握できますし、どこの会社がマンションの売買を得意としているかの傾向もわかるでしょう。

ただ、1社ずつ個別に問い合わせるのは時間や手間がかかってしまいます。不動産の一括査定サイトを使えば、WEB上で物件情報を入力することで、一度に複数の会社に査定依頼を行うことができます。

複数社からの査定結果をよく見比べて、納得できる提案を行ってくれる会社をみつけてみましょう。また、自分のマンションの実情を考慮した査定を行ってもらうために、訪問査定がおすすめです。

訪問査定では、不動産会社の担当者が現地を訪れて調査をして、物件情報だけではわからない建物の詳細な状況や周辺環境などを考慮して査定額を算出してくれます。どのような点を改善すれば高く売れるかのアドバイスも受けられることから、気になることは遠慮をせずに質問してみましょう。

訪問査定の結果は1週間程度で送られてきますが、訪問査定のスケジュールを調整するなど時間がかかる面もあるため、1ヶ月程度の余裕をもって依頼をしておくと安心です。

step3:媒介契約

仲介業務を依頼する会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約は一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれ特徴が異なるため、適切な契約を選ぶことが大切です。

一般媒介契約は複数の不動産会社と契約を結ぶことができ、自分で買主をみつけて契約する自己発見取引も行えます。解約はいつでもできるため、気軽に結べる契約形態だといえるでしょう。

次に、専任媒介契約ですが、こちらは一般媒介契約とは異なり1社のみしか契約ができません。しかし、REINS(レインズ)の登録や売主への報告義務が不動産会社には課されるため、熱心に売却活動を進めてもらえることが期待できます。

また、専属専任媒介契約も同様に1社のみの契約形態であり、REINSの登録や売主への報告義務があります。専任媒介契約よりも頻繁に報告を行ってくれるため、安心して売却活動を任せられるでしょう。

3種類の媒介契約のメリット・デメリットについてはのちほど解説します。

step4:売却活動

媒介契約を結んだ段階で、マンションの売却活動そのものは不動産会社に任せることになります。Webに物件情報を掲載したり、物件に対する問い合わせに対応したりする業務をすべて任せることできます。

しかし、より円滑に売却活動を進めていくには、集客方法や価格交渉などについて担当者とよく話し合っておくことが大切です。しっかりとコミュニケーションをとることによって、希望に添った形で売却活動を進めてもらえるでしょう。

また、購入希望者が現れたときには売主自身が内覧対応を行う必要も出てきます。どのように対応すればスムーズに進められるかをあらかじめ担当者に尋ねておくと、落ち着いて購入希望者と接することができるはずです。

step5:売買契約・引き渡し

内覧対応を行い、相手が購入の意思を示してきたら、価格交渉や条件面のすり合わせなどを行います。値下げ交渉が行われる可能性は高いため、どの程度の金額までなら許容できるのかを事前に考えて、売り出し価格を設定しておくと良いでしょう。

引き渡しの条件は、住み替えをする場合には特に、タイミングを考慮したうえで慎重に判断をしていく必要があります。また、物件に何らかの不具合があるときは包み隠さずに説明して、売買契約書に盛り込んでおきましょう。

売買契約書の作成そのものは不動産会社が行ってくれますが、内容については細かくチェックをしておく必要があります。不明な部分は曖昧にせず、きちんと話し合うことで後からトラブルが起こることを防げるはずです。

売買契約を結ぶにあたって、物件に関する資料や印鑑などが必要になるため、どのような書類が必要になるのかを担当者に確認しておきましょう。売却価格の10%程度の金額を手付金として契約時に、残りの代金は物件の引き渡しと同時に受け取るのが一般的です。

売買契約書で定めた引き渡し日に残代金の決済を行い、物件を引き渡します。売主・買主・司法書士・不動産会社の担当者が集まって手続きを進めていきますが、指示に沿って進めていけば問題ありません。残代金を受け取って、買主に所有権が移転されれば取引は終了となります。

翌年2月中旬から3月中旬にかけて確定申告を行う必要があることを忘れないようにしましょう。マンションの売却によって利益が出たときだけでなく、損失が生じたときにも確定申告を行うことで税負担が軽減する場合があります。

売却時にかかった費用などを示す領収書などをきちんと保管しておき、期日までに確定申告を行うことが大切です。

マンション売却相場の調べ方を解説

希望に添った形でマンションを売却するには、売主自身が相場を正しく把握しておくことが重要です。マンションの相場を調べる具体的な方法としては、以下のものがあげられます。

  • 不動産取引価格情報検索
  • 価格天気図
  • レインズ・マーケット・インフォメーション
  • 不動産の一括査定サービス

不動産売却の価格相場の調べ方と把握すべき理由!これでもう損はしない

各方法について、それぞれの特徴を紹介します。

不動産取引価格情報検索

「不動産取引価格情報検索」は、国土交通省が運営している土地総合情報システムというサイトからアクセスできます。四半期ごとにまとめて公表される実際の取引事例をもとにデータを検索できることから、取引を行う際の参考になるはずです。

調べ方としては、土地総合情報システムのサイトにアクセスし、不動産取引価格情報検索を選択します。調べたい時期や物件の種別、地域を選ぶことで該当するエリアの取引事例が一覧で表示されます。

個人情報保護の観点から詳しい住所地まではわかりませんが、近隣のエリアの相場を知ることができるため、売り出し価格を決めるときなどに参考にできるでしょう。誰でも無料で利用できるサイトですので、マンションの売却を決めたらさっそく利用してみると良いでしょう。

価格天気図

「価格天気図」は、東京カンテイが情報提供を行っているサイトであり、マンションの売却価格をわかりやすく把握できるのが特徴です。天気マークで価格変動を表示するユニークなサイトであり、全国のマンション相場と売却のタイミングを直感的に理解できるため、不動産にあまり詳しくない方でも手軽に利用できます。

価格天気図は毎月30日前後に公表されますが、過去のデータもさかのぼって閲覧できることから、価格の変化がどのように起こっているかを時系列で把握できます。沿線情報などの市況レポートも充実しているため、不動産に関する知識を身につけたい方にもおすすめです。

レインズ・マーケット・インフォメーション

「レインズ・マーケット・インフォメーション」は、国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営を行っているサイトです。直近1年間で行われた取引データを閲覧することができ、特にマンションと戸建てに関する情報が充実しているのが特徴です。

調べたい都道府県、市区町村を入力するとエリア情報を示したグラフが表示されます。縦軸に1平米あたりの単価、横軸が築年数となっており、分布図をみることでエリアの傾向を視覚的に判断できます。

追加検索条件の箇所では、地域詳細・単価・専有面積・間取り・築年数・成約時期・用途地域などの条件を絞り込んで検索できるので便利です。個人情報保護の観点から詳しい住所地まではわかりませんが、大まかに近隣の情報を得られるサイトです。さまざまな角度から情報を調べてみることで、相場を正しく理解することに役立てられるでしょう。

不動産の一括査定サービス

マンションの価格を調べる方法としては、これまで紹介してきたもののほかに、不動産の一括査定サービスを利用する方法もあります。一括査定サービスを利用すれば、1社1社の不動産会社に個別で問い合わせを行う必要がなくなるため、物件の査定にかかる時間や手間を上手に省くことができます。

Webを通じて物件情報などを入力すれば、一度に複数の会社に対して査定依頼を行えることから、査定結果を比較しやすいのが特徴です。

一括査定サービスの1つである「おうちクラベル」なら、複数社へ一括査定依頼した後に、必要な情報を入力するとその場で高精度なAIによる査定価格が確認できる「AI査定」という機能もついています。

後から送られてくる不動産会社の査定結果ともあわせて照らし合わせることで、より客観的な査定額を把握できるでしょう。不動産の査定依頼で大切なのは、複数の会社に査定してもらうことです。

会社によって得意とするジャンルや実績が異なるため、同じ物件であっても査定額が違ってくるからです。また、他社の提案内容やサービスの質などを比較することにもつながるため、自分に合った会社をみつけやすくなるでしょう。

マンションを少しでも高く売却するためには

マンションを少しでも高く売却するには、ポイントをしっかりと押さえておくことが大切です。特に重要な点としては次のものがあげられます。

  • 不動産会社を見極める
  • 適した媒介契約を選ぶ
  • リフォームは売却前に行うか
  • 売り出し価格を見極める
  • 焦らず余裕をもつ
  • 内覧時の印象を良くする

不動産売却で失敗しないためのコツを大公開!押さえておきたい5つのコツ

上記にあげたポイントについて、さらに詳しくみていきましょう。

不動産会社を見極める

マンションの売却活動を成功させるには、不動産会社選びが何よりも重要です。

マンションの仲介による売却を得意としているか、自分のマンションのあるエリアでの売却活動が得意であるかという点は確認したいポイントです。同じ物件であっても、取引実績が豊富な会社であれば独自のデータやネットワークを使って買主を探してくれるため、より希望に添った形で売却活動を進めていけるでしょう。

マンションの売却が完了するまでの期間を、しっかりとつき合っていける会社を選ぶことが大切だといえます。よく検討しないまま会社を選んでしまうと売却までに時間がかかったり、相場よりも低い価格で売却することになったりして後悔する恐れがあります。

査定の際に内容について質問をしてみて、査定の根拠を明確に提示し、売却方針に納得でき、親身になって応じてくれる会社や担当者かどうか吟味しましょう。売主の立場に立ってしっかりと対応してくれるかを見極めることになり、納得できる提案をしてくれる担当者であれば安心して売却活動を任せられるでしょう。

適した媒介契約を選ぶ

仲介業務を任せる会社を選んだら、媒介契約を結ぶ必要があります。一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の特徴を押さえたうえで、自分に合った契約形態を選んでみましょう。

各契約形態のメリット・デメリットを解説します。

一般媒介契約のメリット・デメリット

一般媒介契約のメリットは、複数の会社と同時に契約を結べるため、人気のあるエリアや築浅物件などのマンションであればそれぞれの会社に購入希望者が現れることがあり、より良い条件での売却を選択できることがあります。自分でも買主をみつけて契約を行うことができることから、予想よりも高い価格で売却できる可能性もあります。

ほかにも、1社に絞らなくて良いため不動産会社選びを失敗するリスクが少ないこともメリットにあげられます。REINSの登録が義務ではないことから、周囲に知られずに売却することもできます。

デメリットとしてあげられるのは、複数の会社と契約をすることで、やりとりが煩雑になりがちな点です。また、複数の会社に売却活動を任せることで担当者によってはあまり熱心に対応してもらえない可能性もあることを注意しておきましょう。

専任媒介契約のメリット・デメリット

専任媒介契約のメリットは、積極的に売却活動を進めてもらえる点だといえます。1社のみしか契約はできませんが、自分でみつけた買主とも契約はできるため、それほど契約に縛りがあるわけではありません。

また、契約を結んだ段階でREINSには7日以内に登録し、14日ごとに1回以上は売主に進捗を報告する義務が不動産会社には課せられます。自分から動かなくても売却活動の状況を連絡してくれることから、売主にとって負担が軽減されるでしょう。

デメリットとしては、契約の有効期間が最長で3ヶ月となっており、その間に解約できない点や、選定した不動産会社によっては売却活動がスムーズに進まない可能性があることがあげられるでしょう。

専属専任媒介契約のメリット・デメリット

専属専任媒介契約は、専任媒介契約と同様に1社のみの契約となります。売主自身が買主をみつけた場合も、不動産会社を通じて契約を結ぶ必要があるため、仲介手数料は支払わなければなりません。

メリットとしては成功報酬を確実に得られるため、不動産会社が積極的に売却活動を行ってくれることが期待できます。少々売りにくい、難点のある物件のケースでおすすめできる方法です。

REINSには5日以内に登録し、売主への報告義務は7日に1回以上のペースで行うことが不動産会社には課せられるため、あまり手間をかけることができないときにも、不動産会社からの連絡で売却活動の状況把握ができます。

専属専任媒介契約のデメリットも専任媒介契約同様、契約期間中は解約できない点、売却活動の成果が不動産会社選びに依存してしまう点があげられます。

売り出し価格を見極める

スムーズに売却活動を進めていくには、売り出し価格の設定を慎重に行うことが大切です。相場にもとづいた価格設定でなければ、なかなか買主が現れずに売却活動が長引いてしまう恐れがあります。

一方で、相場よりも低い金額であればすぐに買主がみつかる可能性はありますが、手元に残るお金がその分減ってしまうことに注意が必要です。売買契約を結ぶ際は値下げ交渉が行われることも多いため、値下げとして許容できるラインも含めて検討しておきましょう。

リフォームなどを行っていてアピールポイントがあれば、相場よりも高めの金額で売り出すこともできます。不動産会社の担当者とよく話し合いながら決めてみてください。

売却する時期を確認する

マンションに対するニーズは、1年のなかでも変化があります。特に需要が高まるタイミングとしては進学や就職、転勤などで新生活に向けた準備を始める方が多い2~3月頃だといえます。

売却時期を決める1つの目安となるため、できればこの時期に売り出していけるように、担当者とうまく調整してみましょう。

焦らず余裕をもつ

どんなに魅力的な物件であっても、市場環境の影響などによってなかなか売れない時期はあるものです。売れないからと焦ってしまい、安易な値下げや妥協に陥りやすいこともありますが、売却目的を忘れずに落ち着いて行動しましょう。

思うように売れずに不安なときは、担当者と話し合って対策を考えてみましょう。

内覧時の印象を良くする

内覧時の印象が良ければ、そのまま売却に結びつきやすくなるため、売主にとって内覧対応は大事なポイントだといえます。部屋の清掃や片付けをしっかりと行い、清潔感を与えられるように念入りに準備を整えておきましょう。

ただ、日中は仕事や家事などで忙しく、なかなか手が回らない場面もあるものです。そうしたときは、ハウスクリーニングを専門とする会社に依頼をするなどして、内覧日に間に合うように準備しておくことが大切です。

マンション売却にかかる費用

マンションを売却する際は、さまざまな費用がかかります。一般的に、費用は売却価格の4~6%程度かかるといわれており、1つひとつの費用項目をよく理解しておくことが大切です。

費用のなかには売却前に支払わなければならないものもあり、支払時に困らないようにどれくらいの金額が必要であるかも把握しておきましょう。マンションを売却するときにかかる費用には、以下のものがあげられます。

  • 印紙税
  • 仲介手数料
  • 住宅ローン完済費用
  • 登録免許税
  • 所得税、住民税
  • 新居へ引越す際の費用
  • 各種証明書類発行にかかる手数料
  • 固定資産税および都市計画税
  • そのほか(ハウスクリーニング、リフォーム)

各費用のポイントについて、詳しく解説します。

印紙税

印紙税は売買契約書を作成する際に、貼付する収入印紙のことを指します。一律で決められているものではなく、契約金額によって異なるため気をつけておきましょう。

2022(令和4)年3月31日までは軽減税率が適用されることから、契約金額別に印紙税をまとめると以下のようになります。

契約金額

通常の税額

軽減後税額

1万円以上10万円以下

200円

200円

10万円超50万円以下

400円

200円

50万円超100万円以下

1,000円

500円

100万円超500万円以下

2,000円

1,000円

500万円超1,000万円以下

10,000円

5,000円

1,000万円超5,000万円以下

20,000円

10,000円

5,000万円超1億円以下

60,000円

30,000円

1億円超5億円以下

100,000円

60,000円

仲介手数料

買主がみつかり、売買契約が成立すれば、仲介業務を行った不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要があります。具体的な金額は宅地建物取扱業法(宅建業法)で上限が決められており、400万円を超える契約金額では、上限額が速算式「取引価格×3%+6万円+消費税」から求められます。

たとえば、2,000万円でマンションを売却したとすると、仲介手数料の上限額は「2,000万円×3%+6万円+6.6万円=72.6万円」という計算です。仲介手数料は売却時にかかる費用のなかでも大きな割合を占めるものです。どれくらいの金額がかかるかを担当者にも確認をしておきましょう。

また、仲介手数料を支払うタイミングとしては、売買契約時50%・引き渡し時50%で支払うパターン、引き渡し時に全額支払うパターンなどがあります。支払のタイミングも、あわせて確認しておくことが大事です。

住宅ローン完済費用

住宅ローンが残っていると抵当権が抹消できず、最終的に物件の引き渡しができなくなることから、注意が必要です。マンションを売却するときは住宅ローンを完済することが前提になるため、どれくらいのローン残債があり、売却代金でまかなえるかをチェックしておきましょう。

住宅ローンの一括返済は繰り上げ返済となるため、金融機関ごとに定められた事務手数料を支払う必要があります。金融機関によって金額は違ってきますが、3~4万円程度がかかります。

また、抵当権を抹消するときには不動産1個あたり1,000円の登録免許税が必要です。司法書士に手続きを依頼する際には別途報酬分として1~2万円程度が必要になるため、あわせて用意しておきましょう。

所得税や住民税

マンションを売却して利益が出たときには、所得税や住民税などの「譲渡所得税」を納める必要があります。譲渡所得税は物件の所有期間によって税率が異なり、所有期間が5年以内であれば「短期譲渡所得」、5年を超えていれば「長期譲渡所得」として取り扱われます。

それぞれの税率についてまとめると、以下のとおりです。

譲渡所得の区分

税率

短期譲渡所得(所有期間5年以下)

39.63%

(所得税30.63%※+住民税9%)

長期譲渡所得(所有期間5年超)

20.315%

(所得税15.315%※+住民税5%)

上記のように大きく税率が違ってくることから、売却のタイミングを検討するうえで所有期間についてもチェックしておきましょう。なお、マイホームを売却したときには要件を満たすことで、税金の特例を受けられる場合があります。

譲渡所得から控除できる金額が多ければ、それだけ税負担を軽減できるため、活用してみましょう。税金の特例は自動的に適用されるものではなく、確定申告を行うことで利用できる点も押さえておくことが大切です。

新居へ引越す際の費用

マンションを売却するときには、新たな住まいに移ることになるため、引越しのための費用がかかります。引越しを行う時期や荷物の量、移動距離などによって料金は違ってくることから、複数の会社から見積もりをとって検討してみましょう。

各種証明書類発行にかかる手数料

売却時には多くの書類が必要になりますが、なかには自治体の窓口を通じて発行してもらう書類もあります。印鑑証明書や固定資産税評価証明書、住民票といった書類は1通あたり300円程度の手数料が必要です。

枚数が多くなれば、それなりに金額もかさんでくることから、どのタイミングで何通必要かを担当者によく確認しておきましょう。

ハウスクリーニングやリフォーム費用

ハウスクリーニングは専門会社が行うサービスであり、室内をきれいに清掃してくれますが費用がかかります。そのため、物件を引き渡す際に行うべきかどうか迷うこともあるでしょう。

ハウスクリーニングを行うことは必ずしも義務ではなく、買主に対して行わないことを伝えていれば問題ありません。しかし、長年住んでいたマンションを手放すときは、目にみえない部分に汚れが溜まっていることも多いため、必要に応じて検討してみてください。

リフォームについては水回り設備や床のへこみの修復など最低限に留め、それ以上の部分については不動産会社の担当者に相談してみましょう。中古マンションは買主側がリフォームを自分で行うことを前提としているケースも多いため、物件の状況を見定めながら考えていくことが大切です。

マンション売却は相場の把握から始まる

マンションの売却を検討するときは、売主自身も大まかな相場を把握しておくことが大事です。どの程度の価格で売却できるのかの目安をもっておかなければ、不動産会社から提示された査定額が妥当なものであるかの判断が難しくなってしまうでしょう。

Webを通じて相場を調べる方法は複数あります。マンションの売却を決めたら早い段階で相場をチェックしてみましょう。そして、不動産一括査定サイト「おうちクラベル」を利用すれば、物件情報などを入力するだけで、一度に複数の不動産会社から査定結果を受け取れます。

自分で調べた相場と査定額を照らし合わせることで、損することを未然に防げるはずです。安心して売却活動を進めてくれる不動産会社をみつけてみましょう。

Q.今住んでいる部屋を売却しようと考えているのですが、同じマンションの別室が売りに出されています。確認した相場よりもすでに売りに出されている部屋のほうが安いのですが、自分の部屋の売却額は相場通りでも売れるでしょうか?
A.同じマンション内では、どうしても価格を比較されてしまうため、高い金額での売却は難しいでしょう。売却価格を安く設定している方が購入者をみつけやすいため、同じ条件で金額を高く設定してしまっては買い手がみつかりにくくなってしまいます。希望金額があるのであれば、売却時期をずらすことをおすすめします。

Q.売却活動を一度開始した後、売却活動中でも中断できるのでしょうか?
A.売却活動中でも中止できます。その際、仲介手数料はかかりませんのでご安心ください。
しかし、不動産会社が特別な宣伝や売却活動を行っていた際には、その費用を請求される場合があるため、宣伝方法などは事前に相談しておきましょう。

まずはお気軽にご相談ください!