家の査定ポイントを理解しないまま、人に丸投げするのは良い方法とはいえません。この記事では不動産会社と査定について話し合えるようになる知識をご紹介します。自宅の査定を検討している方はご参考にしてください。
家の査定で重要なポイント5選
家の査定で重要なポイントは以下の5点です。
- 築年数・構造
- 内装・外装・間取り
- 生活環境の利便性
- 住宅周辺のトラブル
- 土地
このように、家の査定には家自体だけではなく周辺環境も重要です。
たとえば、いくら新築できれいな家だとしても、生活環境の利便性が悪く、住宅周辺にトラブルがあるような物件では査定価格が低くなってしまうことも考えられます。
ここでは、家の査定で重要なポイント5点について、詳しく解説をしていきましょう。
ポイント①:築年数・構造
築年数は家そのものの価値と直結しており、不動産の価値はまず、ここで決まるといっても過言ではありません。したがって、年数が経過するほど建物の資産価値は減少していくのが一般的です。
見た目は問題がなくても、見えないところが劣化していると考えられるため、資産価値は上がりにくいといえるでしょう。
また、建物の構造も重要なポイントです。構造によって法定耐用年数が変わるため、資産価値に影響を与えます。
法定耐用年数とは、資産が通常の効用を持続できる年数を指しており、資産価値がゼロになる年数のことです。その年数は昭和40年に「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により定められています。したがって、法定耐用年数を過ぎている建物は、資産価値は限りなくゼロに近いといえるでしょう。
総務省が公表している建物の耐用年数は以下の通りです。
【建物の耐用年数】
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
鉄骨コンクリート造・鉄骨造 | 34年 |
無筋コンクリート造 | 38年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
出典)総務省「別表B3 建物の耐用年数表」
一般の住宅は、「在来工法」や「2×4工法」などの工法で建てられた木造住宅が多く、法定耐用年数は22年です。近年では、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造の非木造建築物も増えており、法定耐用年数は47年と約2倍長くなります。
ポイント②:内装・外装・間取り
内装、間取りは生活に直接結びつくところです。
「内装や外装がきれいであるか」「使いやすい間取りであるか」なども査定に影響します。それぞれのポイントについてまとめた表は以下の通りです。
【内装のチェックポイント】
場所 | チェックポイント |
---|---|
壁・フローリング | 汚れや劣化があるか |
天井 | 雨漏りをしていないか |
キッチン・浴室・トイレ | 設備が古くないか |
家全体 | シロアリが発生していないか |
【外装のチェックポイント】
場所 | チェックポイント |
---|---|
屋根 | 瓦が劣化、剥がれそうになっていないか |
外壁 | 外壁塗装が剥がれていないか |
建物全体 | 建物が傾いていないか・構造材が腐食していないか |
【間取りのチェックポイント】
場所 | チェックポイント |
---|---|
生活動線 | 家事や生活がしやすい動線か |
収納 | 収納スペースが充実しているか |
建物全体 | 開放感があるか・各部屋が有効活用されているか |
「壁やフローリングに汚れや劣化がある」「雨漏りで天井が濡れている」「シロアリが発生している」など、良くない点もきちんと伝えるようにしましょう。
もちろん、リフォームをして設備を新しくしたことなど良い点も、積極的にアピールするようにします。
外装も重要です。外壁が汚いと見栄えが悪くなり、建物が傾いているせいで立て付けが悪い家は売却ができないこともあります。
間取りも快適に生活するには欠かせないポイントです。「洗濯機からベランダまで距離がある」「収納が充実していない」「プライバシーが守れない」など、生活するのに不便な間取りは査定に響くことも考えられます。
しかし、近年では中古物件を購入して、大規模な間取り変更を行うリノベーションをする人もいるため、それほど深刻に考えなくても良いでしょう。
ポイント③:生活環境の利便性
実際に生活していくうえで影響のあるところは家の中と外です。
したがって、「生活環境の利便性」も査定に大きな影響を与えるポイントといえます。
おもな3つのポイントである「日当たり」「眺望」「利便性」について、重要なポイントを表にまとめました。ぜひ、ご確認ください。
【生活環境のチェックポイント】
日当たり | ・道路に面している方角はどの方向か ・リビングに自然の明るい光が入るか ・近くにビルなど高い建物がないか |
---|---|
眺望 | ・窓からの景色は良いか ・周辺にマイナスイメージを与える建物が建てられていないか |
利便性 | ・交通アクセスが良いか ・スーパー、学校など生活に必要な施設が近くにあるか ・公園や病院などの施設が近くにあるか |
上記のポイントはいずれも立地条件に関連する事柄のため、リフォームをすれば解決するというものではありません。実際に住むときには、日当たりが良いかどうかはかなり大きなポイントといえます。日当たりが良くないと、「洗濯物が乾かない」「カビが発生しやすい」「自然光がない」など、ストレスを感じながら生活するようになってしまうからです。
窓からの眺望や周辺環境も大きな影響を与えます。たとえばビルの裏路地などが見えると、景色を楽しめなくなってしまうでしょう。
利便性も重要です。子育て世代にとっては駅やスーパー、学校、病院、公園など生活に必要な施設が近くにあることが求められます。自宅の周辺環境や立地条件などについて、査定に有利なことがあればどんどん伝えていきましょう。
ポイント④:住宅周辺のトラブル
自宅に何ら問題がない場合でも、外的要因で自宅の資産価値が下がることもあります。
以下のような要素がある場合は、査定にマイナス影響を与えることも考えられます。
- 周辺で異臭や地盤沈下がある
- 大通りや線路が近くて騒音がある
- 廃棄物処理場などの嫌悪施設やゴミ屋敷がある
- 近隣に問題を起こす住民が住んでいる
たとえば自宅の周辺にある工場から煙や粉じんが放出される場合は、家や車、洗濯物などが汚れる可能性があります。大通りや線路が近いと夜間にも騒音が気になるでしょう。
廃棄物処理場やゴミ屋敷などイメージが悪い建物があると、景観が良くないため査定に響く可能性があります。近隣に問題を起こしそうな住民が住んでいる場合も同様です。
要するに、不動産を自分が選ぶときに気にするところは、査定に影響があると考えるようにしてください。
ポイント⑤:土地の広さ・形状と境界
通常、家を売るときには、土地と建物は査定額を分けて算出されることになります。
たとえば築30年の損傷が激しい木造家屋の場合、土地の値段のみ値がつくこともあるため、土地も重要な要素であるといえます。
したがって、土地の広さ・形状と境界は査定に影響を与えるポイントです。
面積と形状
土地は広さと形状が大事です。
40坪(132.23平米)ほどの面積があれば3~4LDKなど一般的な広さの住宅が建てられるため、取引されやすいといえます。一方、20坪(66.11平米)以下の面積の場合は一般的な住宅よりも狭いため、狭小住宅として建築することが多いでしょう。
都心など地価が高いエリアでは取引されることもありますが、地方では売却が困難になるケースもあり得ます。
また、四角形など利用しやすい形は高く評価してもらえますが、三角形や不整形地は低く評価されてしまいます。極端に細長い土地も同様です。一般的な住宅が建てやすいかどうかが重要となります。
面している道
建築基準法により建物が建てられる土地は「4m以上の幅のある道路に敷地の接点が2m以上なければならない」という接道義務が定められています。したがって、土地に面している道幅が4m以上ないと査定に影響が出てしまうでしょう。
私道に面している場合も、工事の際トラブルになることもあるため厳しいといえます。
また、土地の境界が確定していないとそもそも売ることができません。昔ながらの住宅は隣家との境界が曖昧な可能性もあるため、事前に確認をしておきましょう。
家の査定時の注意点
実際に査定する会社を選んだり、査定の対応をするのはお客様個人です。
少しでも自宅を高く売るためには、以下の2つのポイントに注意をする必要があります。
- 注意点①:劣化や不都合なことを隠さない
- 注意点②:査定は複数の会社に依頼するようにする
ここでは、不動産会社に査定を依頼する際に、意識すべきポイントについてご紹介していきましょう。
注意点①:劣化や不都合なことを隠さない
家の査定時に絶対にしてはいけないこととして、「劣化や不具合を隠すこと」があげられます。
たとえば、以下のようなトラブルです。
トラブル例 | 内容 |
---|---|
雨漏り・シロアリ被害 | ・天井から雨漏り ・床下や柱の内部にシロアリが発生 |
周辺トラブル | ・近隣住民の騒音 ・隣人が問題行動を起こす |
これらの要素は外壁や内装のように、目ですぐに確認できるものではありません。そのため、査定する不動産会社が不具合に気がつかないこともあり得ます。騒音なども査定時に発生していない場合は、気づかれることがないでしょう。
しかし、高く売りたいからといって査定時に悪い部分を隠して売却してしまうと、民法で定められている「契約不適合責任」を負わされてしまう可能性もあります。後で判明した場合、買主から損害賠償を請求されてしまう恐れがあるため、査定の時点できちんと伝えておきましょう。
注意点②:査定は複数の会社に依頼するようにする
査定はそこで現金が発生するわけではなく、あくまで見積もりのようなものです。
そのため、1社に高い査定額を出してもらって喜んでしまうと、いざ売りに出したときになかなか売れなくなってしまうこともあり得ます。したがって、最終的には売却まで見据えた価格の決定が必要です。
それには複数の不動産会社に自宅の見積もりを出してもらい、住宅の相場を知ることが欠かせません。なぜ、自宅の査定価格がその金額になったのか、根拠を聞いたうえで不動産会社を選んだほうが良いでしょう。自宅の価値を客観的に知ることによって、適正な価格で売却ができるようになります。
査定の時はいいところも悪いところも隠さないこと!
自宅を不動産会社に査定してもらう際には、自分自身でも不動産に関する知識を持ったうえで、査定業者に価格の理由を聞くことが重要です。
査定のときには、自宅のいいところも悪いところも隠さないようにして、ありのままの事実を伝えるようにしましょう。悪いところも隠さないことで、不動産業者との信頼性が生まれてきます。
複数社に依頼することによって、おのずと自宅の正確な資産価値がだいたい把握できるようになります。査定が高くても安くても、自分で納得できるようにしていくことを心がけましょう。
Q.家を査定してもらうときのポイントを教えてください!
A.不動産業者のお話をうのみにせず、ご自身で売却するおうちの強み、弱みを理解したうえで、査定をしてもらうことが重要です。強み、弱みの詳細については、もう一度本文をお読みください。
Q.高く査定してもらう方法はありますか?
A.値段の部分は、建物の築年数、構造、土地の状態や周辺環境など、ご自身で変えられない部分が多く存在しますので、高い査定がいいというよりは、今のおうちの値段を正しく査定してもらえているかが大事です。家の価値を高めるというよりは、一括査定業者を利用し、不動産会社選びを間違えないようにして、もらえるお金を多くするよう意識しましょう。