転勤や転職、ライフスタイルの変化などさまざまな事情から、住んでいる家を売却する場合があるでしょう。
しかし中古住宅の売却は、人生で何度も経験するものではありません。そのため、売却の流れや売り方がわからず不安に感じる人も少なくないかと思います。
そこでこの記事では、中古住宅の売却の流れや全体像を詳しく解説します。売却にかかる期間や諸費用などについても紹介するので、ぜひ売却の参考にしてみてください。
1.中古住宅の定義とは
中古住宅とは、建築後一定期間が経過した住宅で、新築住宅ではない住宅を指します。
では、新築住宅の定義とは何でしょうか?以下の2点です。
- 過去に誰も入居していないこと
- 建築後1年未満の物件であること
この2点を同時に満たしている住宅が新築住宅です。つまり上記2点に該当しない住宅を中古住宅といいます。
1-1.過去に誰も入居していないこと
たとえ完成直後であっても、一度でも入居すれば中古住宅として扱われます。未入居が条件です。
1-2.建築後1年未満の物件であること
仮に誰も入居していなくても、建築後1年以上経過すると新築には該当しません。ですが、中古住宅にも該当せず、この場合未入居物件もしくは新古物件と呼ばれます。
上記の2点より、過去に一度でも入居があれば、中古住宅となります。
中古住宅は新築住宅に比べると、耐久性が低下していることや新しい機能が不足していることなどが弱点として挙げられるでしょう。
しかし中古住宅の価格は新築住宅に比べて安く、立地条件や周辺環境などの点からも非常に魅力的な物件もあります。
2.中古住宅売却の流れ
中古住宅の売却の流れは売却方法によって異なり、2つの方法があります。1つは不動産会社へ仲介を依頼する方法、もう1つは不動産会社への買取を依頼する方法です。当記事では不動産会社へ仲介を依頼した場合の流れを解説しておりますので、あらかじめご了承ください。
中古住宅の売却は一般的に以下の順番です。
- 事前準備
- 査定依頼
- 媒介契約
- 売り出し
- 売買契約・引き渡し
- 確定申告
次章で詳しく掘り下げて解説します。既に手続きに入っている方は、関連する項目をご覧ください。
2-1.事前準備
中古住宅を売却する際に、売主として行っておきたい事前準備には、以下の6つがあります。
- 不動産評価
- 登記事項証明書の取得・公正証書の取得
- 清掃・整理
- 写真撮影
- 不動産会社の選定
- 新居の準備資金の調達
2-1-1.不動産評価
近隣の住宅取引事例を確認し、市場価格の相場を把握しましょう。
2-1-2.登記事項証明書の取得・公正証書の取得
売却する住宅の登記簿謄本を法務局で取得します。
2-1-3.清掃・整理
売却する住宅の清掃・整理を行いましょう。
2-1-4.写真撮影
売却する家の写真撮影を行います。不動産会社によっては、写真撮影を行ってくれるので、お任せしましょう。
2-1-5.不動産会社の選定
不動産会社を選定し、売却を依頼しましょう。不動産会社の選定基準は、事前に行った簡易的な査定が気に入った・口コミの評判が良いなど、様々です。
2-1-6.新居の準備資金の調達
住み替えを予定しているのであれば、次の住まいを購入もしくは賃貸で準備します。売却する住宅の代金で、新しい住宅を購入する場合は、必要な資金を調達しなければなりません。
以上のような事前準備を行い、中古住宅の売却に備えましょう。また身分証明書・実印・印鑑証明・住民票なども必要になるため事前に準備しておくといいでしょう。
2-2.査定依頼
不動産会社が見つかったら査定を依頼しましょう。
査定依頼は、可能であれば複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。不動産会社によって査定額は異なるため、1社にのみ査定を依頼すると納得のいく査定額が提示されないことがあります。
査定方法は取引事例比較法・原価法・収益還元法を用いて算出されることが一般的です。
この章では、査定依頼の流れや査定方法について詳しく解説します。
2-2-1.査定依頼は複数社に
不動産会社に査定依頼を行います。可能であれば2〜3社の不動産会社に依頼しましょう。
査定価格は会社ごとに差が出やすいです。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼して査定価格を比較すると良いでしょう。
不動産会社に査定依頼を行い、担当者が実際に物件を訪問し査定を行う訪問査定の日程を決めるまでに約1週間かかります。
複数の不動産会社に査定を依頼すると日程調整にやや手間がかかりますが、中古住宅の売却ではどこの不動産会社に査定を依頼するかは非常に重要です。
納得のいく査定となるよう、可能な限り複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
2-2-2.査定方法
一般的な査定方法は、次の3つです。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
ここではそれぞれの査定方法について詳しく解説します。
取引事例比較法
過去の取引事例から比較して査定する方法です。土地の査定に使用されることが一般的です。
原価法
売却したい住宅を、今から建築すると仮定して、現在の建築相場から新築価格を試算します。
試算した価格から、現在の築年数を加味した原価修正を行い、査定額を導く方法です。建物の査定に使用されることが一般的です。
収益還元法
売却したい住宅が将来、生み出す収益を試算して、その試算額から年間の純利益と年間の利回りを算出します。純利益÷利回りで査定額を導きます。土地と建物をセットで査定する方法です。
(例)年間の純利益180万円
年間の利回り 6%
→180÷0.06=3,000万円
査定額は3,000万円
取引事例比較法と原価法によって土地、建物の査定が行われるため、それぞれの査定額を合算して査定を行うことが一般的です。中古住宅の査定は主に取引事例比較法と原価法によって行われます。取引事例比較法は、不動産会社ごとに事例が異なる・得意分野があるなどで、差異が生じます。ですから、査定は2〜3社に依頼しましょう。
収益還元法では不動産が将来生み出すであろう収益を試算します。収益を生み出す不動産はホテルや店舗であるため、中古住宅の査定方法で使用されることは少ないです。
2-3.媒介契約
査定に満足したら不動産会社と媒介契約を締結しましょう。以下で説明していきます。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
- まとめ
2-3-1.一般媒介契約
一般媒介契約とは、売主が複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。複数の不動産会社に仲介を依頼できるという点が専任媒介契約・専属専任媒介契約と大きく異なります。
メリット
同時に複数の不動産会社と交渉できるため、購入希望者が早く見つかる可能性が高くなります。売主目線で完全に有利な契約方式で、明らかに需要の高い物件には有利です。
デメリット
不動産会社が他社と競争してまで売りたいと思うほど良い条件の物件で無ければ積極的に売却活動をしてくれない可能性があります。物件が人気エリアにある、相場よりも値段が安いとなると、不動産会社が競争し早期に売却できるかもしれません。しかし、条件の悪い物件ではお金と時間を掛けるのが無駄と思われてしまい、積極的に売却活動をしてくれないこともあります。一般媒介契約を締結する場合には、売却希望物件が好条件かどうか確認すると良いでしょう。
また、一般媒介契約では不動産会社の販売状況報告の義務がありません。そのため、売手は販売物件がどういう状況なのか自分から確認しなければ分からないという点もデメリットといえます。
2-3-2.専任媒介契約
売主が1社の不動産会社のみと契約を締結する方式です。その1社にのみ仲介を依頼できます。
ですが、売主が独自に探し当てた購入希望者については不動産会社の仲介なしで販売できます。
メリット
1社とだけ媒介契約を結ぶため、不動産会社の集客や提案に積極性が加わりやすいです。結果的に一般媒介契約よりも有利になる場合があります。
また、売主が親族に売買した場合、その不動産会社に仲介を依頼しなくても契約違反にはなりません。
デメリット
専属専任媒介契約と比べて、販売状況報告の頻度が少ない点です。専任媒介契約では、14日に1回以上の販売状況報告が義務付けられています。専属専任媒介契約では販売状況報告の頻度は7日に1回以上です。不動産会社から頻繁に販売状況の報告を受け取りたい人にはデメリットでしょう。
2-3-3.専属専任媒介契約
売主は、どのような状況においても契約を締結した不動産会社に仲介を依頼する必要がある契約方式です。専任媒介契約と異なり、売主が自分で買主を見つけた場合でも不動産会社を仲介しなければなりません。
メリット
不動産会社は、売主からの仲介手数料が確保できるため、積極的に営業・提案を行います。また、売却がスムーズになる提案にも積極性が増すため、結果的に早く売却できる可能性があります。
また7日に1回以上の販売状況の報告義務があるため定期的に販売状況を確認できることもメリットといえます。
デメリット
依頼した不動産会社との相性が悪かった場合、いつまでも売却できない可能性があります。このような場合でも契約期間中である3か月間は契約した不動産会社のみが売却希望物件の販売権利を持ち合わせています。これがいわゆる囲い込みです。囲い込みとは、不動産会社か売主と買主の両方から仲介手数料をもらうために、他社に物件の情報を公開しないことをいいます。ですので、依頼する不動産との相性は非常に重要です。専属専任媒介契約の場合、どのような状況においても契約を締結した不動産会社に仲介を依頼しなければならないため慎重に契約を締結しましょう。
2-3-4.まとめ
専任媒介契約も専属専任媒介契約も、一定期間ごとに不動産会社は売手に販売状況報告書を提出する義務があります。
報告書の提出がない・いつまでも売却できない・内見の予約が入らないなど、その不動産会社が得意とする物件ではない可能性があります。
専任媒介契約も専属専任媒介契約も解除が可能です。不動産会社を不信に感じた場合、すぐに他の不動産会社へ依頼しましょう。
解除の通知はメール・手紙など必ず文章で行ってください。
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2-4.売り出し
中古住宅売却の売り出しについて解説します。売り出しの流れとしては、以下のようなステップがあります。
- 住宅の準備
- 価格の決定
- 広告宣伝
- 内見
- 契約書・書類の準備
2-4-1.住宅の準備
売却を検討されている方は、売却前に家の整理整頓・清掃・必要な修繕を行いましょう。
2-4-2.価格の決定
不動産会社に依頼した査定を基に、販売価格を決定します。
2-4-3.広告宣伝
不動産会社が中古住宅の広告を出し、購入希望者を募ります。
主な方法は、不動産会社の店頭に掲載・インターネット・REINS(レインズ)があります。
REINSとは国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する不動産会社だけがアクセスできる不動産情報サイトです。
一般の人は閲覧できませんが、売却希望の不動産がREINSに登録されると登録証明書が発行されます。証明書に記載されたIDとパスワードを使用すると売主も掲載状況が確認できます。必ず受け取りましょう。
2-4-4.内見
広告宣伝を受けて、内見の問合せが入ります。スケジュールの調整は媒介契約を締結した不動産会社が行うのですが、内見時には極力立ち会うことをおすすめします。
購入希望者の質問に対して答えましょう。
2-4-5.契約書・書類の準備
契約に向けて、契約書や必要な書類を準備します。書類の準備は媒介契約を締結した不動産会社が行います。
以上が中古住宅売り出しの一般的な流れです。
売り出し物件の価格は、住宅の築年数やメンテナンス状況などによって変化するため、住宅を綺麗に保ちましょう。
また売却する方の状況によっても価格が異なり、早く売りたい場合は価格が低く、売却までに時間がある場合は価格が高く設定される傾向にあります。売却時のポイントなどを確認しておきましょう。
2-5.売買契約・引き渡し
売買契約とは、売却希望者と購入希望者が不動産取引について合意し、不動産の取引を実行するための契約書を締結することです。以下は中古住宅の売買契約と引き渡しの流れです。
- 契約書の作成
- 契約の締結
- 引き渡し手続き
- 不動産登記の手続き
2-5-1.契約書の作成
契約書には、住宅の詳細情報・売買価格・支払い条件などが記載されており、不動産会社が準備します。必ず2通記入して、売却希望者と購入希望者がそれぞれ保管します。
契約書には印紙の貼り付けと、貼り付けた印紙に割印が必要です。印紙の貼り付けと割印を忘れると過怠税を追加で徴収されるため、注意しましょう。
2-5-2.契約の締結
売却希望者と購入希望者が契約書にサインします。サインによって契約は成立し、取引が完了です。同時に購入希望者は手付金を納めますが、一般的には売買価格の5%程度です。
後日、引き渡しを行い、残金はその時に清算します。
2-5-3.引き渡し手続き
契約成立後に、購入希望者は残金を清算し、いよいよ住宅の引き渡しです。
購入希望者が金融機関で住宅ローンの融資を受けた場合、金融機関の窓口で引き渡し手続きを行います。また、司法書士も立ち会い、この後の不動産登記の手続きをサポートします。
2-5-4.不動産登記の手続き
引き渡しが完了したら、当該住宅に対する所有権移転登記の手続きを司法書士に依頼しましょう。司法書士は購入希望者側の不動産会社が手配します。
この手続きを行う場所も、引き渡し手続きを行っている金融機関の窓口です。
契約書に記載する項目や手続きは地域によって異なる場合があるため、契約書の記載事項や手続き方法について前もって確認することが大切です。
2-6.確定申告
中古住宅を売却する際の確定申告について解説します。
不動産を売却して得た所得は税務署に申告する義務があります。中古物件の売却後は必ず、確定申告をしましょう。住宅の売却において、確定申告で申告する内容は以下の4点です。
- 売却所得の計算
- 確定申告書の提出
- 税金の支払い
- 譲渡所得税の特別控除
2-6-1.売却所得の計算
売却所得は次の計算式で算出します。
- 売却所得=不動産の売却価格-(売却した不動産の取得にかかった費用+不動産の売却にかかった費用)-特別控除額
売却した不動産の取得にかかった費用とは、不動産の購入価格や仲介手数料を指します。不動産の売却にかかった費用とは、仲介手数料や測量費用などです。
特別控除額については後ほど説明します。
2-6-2.確定申告書の提出
売却所得の計算をした上で売却益がある場合は、翌年の3月15日までに確定申告書を提出しなければなりません。確定申告書には、売却所得や取得した資産などの詳細が記載されます。
2-6-3.税金の支払い
確定申告を行うと、納税額が確定します。納める税金は、譲渡所得税・住民税などです。
2-6-4.譲渡所得税の特別控除
売却した不動産が住宅の場合、特別控除が適用されることがあり納税する税金が軽減される場合があります。
本来であれば土地や建物を売却した場合、多額の税金がかかりますが、住宅を売却した場合は条件を満たすことで3,000万円の特別控除を受けられます。
「3,000万円の特別控除」は不動産の売却所得の金額から3,000万円を控除できる特例です。
しかし特例を受けるには以下の4つの条件があります。
- 居住用財産であること(居住するために建てられている家)
- 配偶者・父母・子など直系血族でないこと
- 居住しなくなった日から3年経過後の12月31日までに譲渡していること
- 前年・前々年にこの特例を受けていないこと(特例は3年に1回しか受けられない)
以上の条件を満たせば「3,000万円の特別控除」を受けられます。
この特別控除制度を利用すれば、所得税や住民税の売却所得が軽減されたり、非課税になったりするケースが多いです。
3.中古住宅の売却にかかる期間
中古住宅を売却するのにかかる期間は、事例によって異なるため、一概にはいえません。中古住宅の売却に必要な期間は、数週間から数ヶ月です。ただし築浅・人気エリアなどの理由で、売却期間がかなり短縮されることがあります。
3-1.一括査定のおすすめは?
おうちクラベルは、不動産一括査定サイトです。売却を検討している住宅にどれくらいの市場価値があるか調べたい時に複数の不動産会社に一括で査定依頼が可能です。
信頼できる不動産会社を探せて、一括で査定依頼ができるためスムーズに売却まで進められます。
4.中古住宅の売却にかかる費用
中古住宅の売却にかかる様々な費用は以下の通りです。
- 仲介手数料
- 印紙税・譲渡所得税
- その他
以上に挙げたのは代表的な費用の一例です。地域や実際の不動産取引によって異なります。
売却時に必要な費用を確認するために、不動産会社などの専門家に相談することをお勧めします。
4-1.仲介手数料
仲介手数料は、媒介契約を結んだ不動産会社へ支払います。売却する住宅の価格に応じて、一定の割合でかかるため、どうしても高額になりがちです。
ですが、集客から引き渡しまでフルでサポートしてくれる不動産会社に感謝の意を込めて支払う大切な費用です。きちんと理解して、気持ちよく支払いましょう。
仲介手数料は上限が定められており、売却する住宅の価格ごとに区分されます。下記で仲介手数料の上限について詳しく解説します。
4-1-1.売却する住宅の価格別の仲介手数料上限について
先ほどの通り仲介手数料には上限が定められています。
よくあるパターン別に分けた下記の3つを詳しく解説していきます。
- 200万円以下
- 200万円超・400万円以下
- 400万円超
200万円以下
仲介手数料の上限は、売却価格の5%となります。
例えば、売却価格100万円の場合の仲介手数料の上限は5万円です。
200万円超・400万円以下
仲介手数料の上限は、売却価格の4%+2万円となります。
例えば、売却価格300万円の場合の仲介手数料の上限は17万円です。
400万円超
仲介手数料の上限は、売却価格の3%+6万円となります。
例えば、売却価格1000万円の場合の仲介手数料の上限は36万円です。
不動産会社が集客を行うと、様々なコストが発生します。これらの手数料には売却希望者側も一定の理解を示さなければなりません。
4-1-2.複数の会社に査定をすると手数料も比較できる?
おうちクラベルは、不動産一括査定サイトです。売却を検討している住宅にどれくらいの市場価値があるか調べたい時に複数の会社に依頼をすることなく複数の不動産会社に、一括で査定依頼が可能です。
信頼できる不動産会社を探せて、一括で査定依頼ができるためスムーズに売却まで進められます。
4-2.印紙税・譲渡所得税
印紙税・譲渡所得税についても中古住宅を売却する際にかかってきます。
4-2-1.印紙税とは
印紙税とは課税文書に対しての税金です。不動産取引では不動産の売買契約書・建物の建築請負契約書・土地の賃貸借契約書・金銭消費貸借契約書が課税文書に該当するため印紙税が必要です。
税額は契約書に記載された金額によって決まります。詳しくは下記をご覧ください。
- 1万円未満:非課税
- 10万円以下:200円
- 10万円〜50万円:400円
- 50万円〜100万円以下:1千円
- 100万円〜500万円以下:2千円
- 500万円〜1千万円以下:1万円
- 5千万円〜1億円以下:2万円
- 1億円〜5億円以下:10万円
- 5億円〜10億円以下:20万円
- 10億円〜50億円以下:40万円
- 50億円以上:60万円
- 契約金額の記載のないもの:200円
国税庁 No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで より引用
4-2-2.譲渡所得税とは
譲渡所得税とは不動産を売却し、収入を得た際にかかる税金です。
先ずは下記の式に当てはめて、譲渡所得が発生するかどうかを確認します。
- 譲渡所得=(売却価格-売却時の諸費用)-(購入時の価格+購入時の諸費用-減価償却費用)
上記の計算をおこなった結果、プラスになれば譲渡所得を得たと判断されて、課税対象となります。一方で、上記の計算後にマイナスとなると、控除を受けることができるのです。
また、譲渡所得の場合は売却した住宅の所有期間によって税率が変わり、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分類されます。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いについては以下の通りです。
- 短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得に分類され、所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%=39.63%の課税があります。
- 長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年を超えていた場合は長期譲渡所得に分類され、所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%の課税です。
例えば、住宅を購入したが転勤で直ぐに手放したとします。不動産市場がたまたま上昇トレンドで購入時より高く売れてしまった場合、手元に現金が残り譲渡所得を得たと判断されます。
さらに、所有期間が5年以下だとすると、手元に残った現金の40%近い額の納税を行わなければなりません。
所有している住宅の売却を検討する際には、1月1日時点での所有期間を把握しておきましょう。
事前に税制度について知識を得ておくことが大切です。
4-3.その他
中古住宅の売却には仲介手数料・印紙税・譲渡所得税のほかにも、さまざまな種類の費用がかかります。
- 公証人手数料
- 測量費
- 修繕費
- 転居費用
4-3-1.公証人手数料
中古住宅の売買を行う際に二重売買などのトラブルを避けるため、作成する公正証書の作成にかかる費用です。公正証書を作成した場合にのみ、かかります。
4-3-2.測量費
中古住宅の土地や建物を調査するために必要な費用です。
4-3-3.修繕費
中古住宅を売却する前に修繕を行う費用です。必ずしもかかる費用ではありません。
4-3-4.転居費用
中古住宅を売却した後に、新しい住居に移るために必要な費用です。
売却にあたっては、さまざまな費用がかかるため事前に把握しておきましょう。
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5.中古住宅の売却時の注意点
中古住宅を売却する際には、以下のような注意が必要です。
- ローンの残りを確認する
- リフォームは査定まで待つ
- 「契約不適合責任 」に留意する
他にも様々な注意点があります。不動産会社へ都度、確認しましょう。
5-1.ローンの残りを確認する
中古住宅を売却する際は必ずローンの残高を確認しておきましょう。売却後にいくらくらいお金が残るのか把握しておくことが大切です。
住宅ローンが残っている状況でも住宅を売ることは可能ですが、売却価格でローンの返済ができない場合はオーバーローンとなり、差額を一括で支払わなければなりません。
また自己資金で返済できない場合は売却した住宅に抵当権がついたままになります。住宅売却の際には住宅ローン残高と売却値の差し引き額を確認しましょう。
自分で判断することが難しい場合は銀行・ファイナンシャルプランナー・不動産会社などに相談するのも1つの手です。
5-2.リフォームは査定まで待つ
中古住宅を売却する際にリフォームが必要と考える方もいると思います。しかし、リフォームをする前に住宅の査定を受けることが望ましいです。
住宅の査定を受けることで本当にリフォームが必要か確認できます。査定では以下の4つのポイントを確認できます。
- 査定による建物の現状把握
- リフォームの費用対効果
- リフォームによる価格上昇効果
- リフォームにかかる時間・労力
5-2-1.査定による建物の現状把握
中古住宅を売却する前に住宅の専門家による査定を受け、建物の現状を把握し、リフォームが必要な箇所を明確にします。
5-2-2.リフォームの費用対効果
査定によってリフォームが必要な箇所を明確にすることで、費用対効果の検討が可能です。
5-2-3.リフォームによる価格上昇効果
査定によりリフォームの必要性を確認した上で、住宅の価値が上昇する可能性もあります。
5-2-4.リフォームにかかる時間・労力
リフォームには時間と手間がかかるため、査定することでピンポイントのリフォームで済む場合があります。
中古住宅を売却する際、リフォームをするかどうかは大切なポイントです。リフォームをする前に査定を受けることをお勧めします。
住宅の査定を受けることで建物の現状・リフォームの費用対効果・価格上昇・時間・手間などを確認できます。
5-3.「契約不適合責任 」に留意する
中古住宅を売却する際には、契約不適合責任に注意することが大切です。
契約不適合責任とは、売却にあたってあらかじめ定めた種類や品質について契約内容と違った引き渡しをした場合において、売主側で負担する責任のことをいいます。
中古住宅の場合は構造・設備・機能などにおいて、契約書との相違や不備があった場合において売却希望者が責任を負います。
売却希望者は売却する住宅における全ての状態を開示して、正確な情報を買主に提供しなければいけません。
虚偽の情報を提供した場合は民事責任を負うことにもなりかねません。
万が一、引き渡し後一定の期間内に契約書と違う不備などが発見された場合は、売却希望者ができるだけ早期に欠陥を修正するなどの対応が必要になります。
6.中古住宅を高く売却する方法
中古住宅を高く売却するには、さまざまな方法があります。
- 掃除・修繕
- インスペクション
- 不動産一括査定で査定額の高い不動産会社を選ぶ
少しでも高く売却するためにこれらの方法を参考にしてください。
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6-1.掃除・修繕
中古住宅を高く売るためには掃除・修繕を行い、住宅を綺麗な状態に保つことが大切です。特に空き家の売却を検討している内覧会においては、家の外観が第一の選択基準となります。
売れ残っている住宅の場合、ハウスクリーニングなどで掃除をすることで売却につながるケースもあるほどです。反対に汚れが目立つ家では印象が悪くなり、購入申し込みがあっても値引き交渉になるケースもみられます。
6-1-1.購入希望者の購入意欲を高めよう
掃除をすることで購入希望者もより良い印象を持ってもらえ、購入を後押しするポイントにもなります。
掃除する箇所に関しては窓・ドア・床や住宅周辺などを綺麗にすることや、不要な物を捨てて見た目を綺麗に整えましょう。
住宅は使用年数によって傷んでくる部分もあります。そのため傷んだ部分を確認した上で補修することが重要です。内装は壁紙や床材を新しくしたり、換気扇や照明を交換したりして快適な空間を作りましょう。
6-1-1.住宅の外構部分も注意
住宅の外構部分も見逃してはいけないポイントです。花や植物を植えて、建物をより魅力的に見せると購入希望者により良い印象を与えます。
掃除に関しては個人でもできる範囲は広いですが、修繕になるとプロなどに依頼しないと難しい部分もあるため、予算と相談して検討してください。
6-2.インスペクション
中古住宅を高く売るためには、インスペクションも重要なポイントになります。インスペクションとは国の定めた既存住宅状況調査基準にしたがって、建物の構造・設備・機能などについて専門家が行う検査のことです。
専門家とは既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士を指します。
6-2-1.メリット
メリットとしてインスペクションの結果を購入希望者に開示することで安心感を高められます。安心して購入できる物件のため、早く売れる可能性が高くなるでしょう。
また、先述した「契約不適合責任」により売主側も売却時に不安ですが、インスペクションを実施することで安心して売却できます。
6-2-2.デメリット
インスペクションには費用も期間もかかるといったデメリットもあります。万が一、住宅の不具合や欠陥箇所が見つかり、修繕をしない場合はインスペクション合格にはなりません。インスペクションに合格した状態で売却したい場合は、インスペクション費用以外に修繕費用もかかってきます。
もちろん修繕を行うことで、住宅の品質を向上させ、より高値で売却ができる可能性はあります。
インスペクションは専門家が行う検査のため、個人では行えません。インスペクションは義務ではないため受けるべきかは、不動産会社に相談することをお勧めします。
6-3.不動産一括査定で査定額の高い不動産会社を選ぶ
中古住宅を高く売る方法の一つに、不動産一括査定で査定額の高い不動産会社を選ぶというものがあります。
不動産一括査定とは、複数の不動産会社に同じ住宅の査定を依頼することです。不動産一括査定を申し込むことで、市場の相場が分かり査定額の高い不動産会社を選べます。
不動産会社を選ぶ際には、以下の点を考慮することが大切です。
- 信頼性
- 査定方法
- 仲介手数料
- 売却実績
- 中古住宅の売却に特化した会社
6-3-1.信頼性
売却を考えている住宅は大切な資産なので、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要になります。
6-3-2.査定方法
査定方法によって査定額も異なるため、現地調査をして査定を実施してくれる不動産会社の方が安心です。
6-3-3.仲介手数料
売却した時にかかる仲介手数料も比較しましょう。
6-3-4.売却実績
売却実績が豊富な不動産会社を選ぶことで、高い査定額を期待できる可能性が高くなります。
6-3-5.中古住宅の売却に特化した会社
中古住宅の売却に特化した不動産会社は、市場動向や価格変動に長けているため高額査定が期待できます。
現在ではインターネットなどで簡単に検索できるため、検索した上で納得できる不動産会社に依頼しましょう。
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信頼できる不動産会社を探せて、一括で査定依頼ができるためスムーズに売却まで進められます。
7.査定でみられるポイント
中古住宅の査定でみられるポイントは以下の通りです。
- 築年数
- 内装
- 水回り
- 周辺環境
築年数・周辺環境などは、売却希望者ではどうにもなりません。しかし、内装・水回りについては、できることがあります。ぜひ、参考にしてください。
7-1.築年数
建物の構造については築年数が大切です。住宅の種類により法定耐用年数が定められています。木造住宅は22年、鉄筋コンクリートでは47年と定められており、耐用年数を超えていると住宅の価値は著しく低下してしまうため注意が必要です。
築年数が30年を超えている場合は土地のみで評価されてしまうことが一般的です。また耐用年数内であっても、耐震性や耐久性に問題がないかもポイントになります。
7-2.内装
住宅の内装も査定で見られます。壁紙や床材の劣化・雨漏り・シロアリの被害跡の有無は査定価格が低下する大きな要因になります。
7-3.水回り
キッチン・お風呂・洗面台など水回り設備のグレードや使用状況についても念入りにチェックされます。水回りはどうしても劣化しやすい部分になるため、日頃からお手入れして綺麗に保っておくことが大切です。
7-4.周辺環境
周辺環境も査定の重要な要素になります。駅・バス停からの距離、学校やスーパー、病院などの医療機関からの距離が近く生活しやすい環境ほど査定価格としては高くなります。
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8.相場価格と売却価格を見比べることが大切
中古住宅の売却では、市場価格と売却価格を比較することが非常に大切です。市場価格
は同じ地域、同じ種類の住宅における直近の取引事例比較から得られる比準価格平均価格のことです。
売却価格は売主が設定する価格になります。市場価格と売却価格を比較することで、売却価格が妥当かどうか判断する材料になるでしょう。
売却価格が相場価格より高ければ売れ残りやすくなり、売却価格が相場価格より安ければ早く売れやすくなるでしょう。
また市場価格と売却価格を比較することで、売却時にどのようにすればより高く売れるか、早く売れるにはどのような工夫が必要か参考にできます。
市場価格や売却価格を正確に把握するため不動産会社へ相談することをお勧めします。