【2024】家を売却する際の確定申告の流れは?計算方法を解説

家を売却して譲渡益が出た場合は、確定申告が必要です。

また、たとえ家の売却で譲渡損が出た場合であっても、その譲渡損を他の所得と通算するなどの特例を活用したい場合は確定申告をしなければなりません。

では、家の売却で確定申告の対象となる譲渡所得税は、どのように計算するとよいでしょうか?

また、家の売却にともなう確定申告では、どのような書類が必要となるでしょうか?

今回は、家を売却した場合の確定申告について詳しく解説します。

家の売却で確定申告が必要となるケース

家の売却で確定申告が必要となるケース

確定申告とは、その年1月1日から12月31日までの所得(利益)を計算し、翌年2月16日から3月15日までの間に税務署に申告する手続きです。

自分で事業を営んでいる場合は確定申告への馴染みがある一方で、会社員など給与所得で生計を立てている場合、確定申告をした経験がほとんどないかもしれません。

しかし、家を売却した場合は、一定のケースで確定申告が必要となります。

家の売却後に確定申告が必要となるケースは、次のとおりです。

  • 利益が出た場合
  • 損失が出たものの損益通算などの特例を使いたい場合

利益が出た場合

家を売却して利益が出る場合、確定申告をしなければなりません。

家の売却で利益が出る場合とは、次の計算結果がプラスとなる場合です。

  • 収入金額-(取得費+譲渡費用)

それぞれの計算要素の概要については、後ほど解説します。

なお、家を売却して譲渡益が出る見込みであるかどうかは、家の査定を受けることで確認できます。

査定とは、家を売却する前に、その家の売却予想額を不動産会社に算定してもらうことです。

家を売却する際は、信頼できる不動産会社から査定を受け、査定結果が出た時点で確定申告について税理士などの専門家へ相談するようにしてください。

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おうちクラベルとは、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する不動産一括査定です。

家の査定額は不動産会社によって異なることが多いため、複数の不動産会社に依頼することが鉄則です。

しかし、自分で複数の不動産会社を回って査定の依頼をすることには、膨大な手間と時間を要します。

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損失が出たものの損益通算などの特例を使いたい場合

家の売却で損失が生じた場合、確定申告は義務ではありません。

ただし、一定の要件を満たして確定申告をすることで、家の売却で生じた損失を給与所得など他の所得と通算(合わせて計算)できる特例などの適用を受けることができます。

そのため、たとえ譲渡損が出た場合であっても、特例の適用を受けたい場合は確定申告をする必要があります。

家の売却で確定申告の対象となる「譲渡所得税」の計算方法

家の売却で確定申告の対象となる「譲渡所得税」の計算方法

家の売却で確定申告の対象となる税金は「譲渡所得税」です。

譲渡所得税は次の式で算定します。

  • 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
  • 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率

参照元:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)(国税庁)

ここでは、各計算要素の概要について解説します。

収入金額

収入金額とは、その家を売却したことで買主から受け取った対価です。

一般的には、買主から受け取った金銭がこれに該当します。

家の査定を受けこの収入金額を想定できると、譲渡所得税の試算がしやすくなります。

家を売却する際は、「おうちクラベル」を活用して査定を受け、査定結果が出た時点で譲渡所得税の試算をしておくとよいでしょう。

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取得費

取得費とは、売却した家の取得に要した費用です。

取得費には、原則として次の費用を算入できます。

  1. 家の購入代金、建築代金、購入手数料、設備費、改良費
  2. 家を取得(購入、贈与、相続など)したときに納めた登録免許税、登記費用、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税
  3. 借主がいる家を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料
  4. 家の敷地である土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用
  5. 家の敷地である土地の取得に際して支払った土地の測量費
  6. 所有権などを確保するために要した訴訟費用(ただし、相続争いの解決費用は対象外)
  7. 建物付の土地を購入してその後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用
  8. 土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
  9. 既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

なお、建物部分の取得費は購入代金や建築代金などそのままではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります。

また、取得費が不明である場合は「収入金額×5%」で取得費を算定します。

譲渡費用

譲渡費用とは、家の譲渡に直接要した費用です。

譲渡費用には、次のものなどが該当します。

  1. 家を売るために支払った仲介手数料
  2. 印紙税で売主が負担したもの
  3. 既に売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金

一方で、家の修繕費や固定資産税、売却代金の取立てのための費用などは譲渡費用になりません。

家の売却のために直接要した費用とまではいえないためです。

特別控除

特別控除とは、所定の要件を満たすことで適用を受けることができる実際の支出を伴わない控除です。

家の売却で使える代表的な特別控除として、「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」が挙げられます。

税率

譲渡所得税とこれに付随する住民税の税率は、売却年の1月1日時点における家の所有期間に応じて次の二段階になっています。

家の所有期間が短い(1月1日時点で5年以下の場合)は税率が約2倍となるため、短期で売却する際は注意が必要です。

売却した年の1月1日時点での所有期間 税率
所得税 復興特別所得税 住民税 合計
長期譲渡所得(5年超) 15% 0.315% 5% 20.315%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 0.63% 9% 39.63%

なお、売却した家が相続や贈与によって引き継いだものである場合は、亡くなった人(「被相続人」といいます)や贈与者の所有期間を引き継ぐことが可能です。

確定申告をすることで使える可能性がある主な特例

確定申告をすることで使える可能性がある主な特例

譲渡所得税には、さまざまな特例が設けられています。

確定申告をすることで使える主な特例は次のとおりです。

  • マイホームを売ったときの3,000万円特別控除
  • 被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除
  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

なお、特例にはそれぞれ要件があるため、実際に家を売却する際はあらかじめ税理士などの専門家へ相談のうえ特例の適用要件を満たすかどうか確認しておくようにしてください。

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除とは、マイホームを売却した場合に、最大3,000万円の特別控除が受けられる特例です。

マイホームの売却で3,000万円を超える利益が出ることは稀であり、この特例の適用を受けることで税額がゼロになることも少なくありません。

参照元:No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)

税額へ与える影響が大きいため、家を売却する際は査定額が出た時点であらかじめ税理士などへ相談し、適用の可否を確認しておくようにしてください。

家の査定には、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」をご活用ください。

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被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除

被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除とは、被相続人の死亡によって空き家となった被相続人の元自宅(被相続人居住用財産)を売却した場合に、最大3,000万円の特別控除が受けられる特例です。

家が1981年5月31日以前に建築されたものであることや区分所有がされた建物(マンションなど)でないことなどの要件が課されています。

相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。

参照元:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)

こちらも税額への影響が多いため、査定額が出た時点であらかじめ税理士などへ相談し、適用を受けられるかどうか確認しておくようにしてください。

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マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、マイホームの売却で譲渡損が出た場合に、要件を満たして確定申告をすることで使える特例です。

この特例を受けることで、マイホームの売却で生じた譲渡損を、給与所得や事業所得など他の所得と通算(損益通算)することができ、給与所得や事業所得などにかかる所得税が安くなります。

この特例の適用を受けるには、マイホームの売却で譲渡損が生じたことや、そのマイホームを売って他のマイホームを取得したことなどの要件を満たす必要があります。

参照元:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁)

家の売却で確定申告をしないとどうなる?

家の売却で確定申告をしないとどうなる?

家の売却で確定申告が必要であるにもかかわらず確定申告をしないと、どうなるのでしょうか?

確定申告をしないことで生じる主なリスクは次のとおりです。

  • 無申告加算税などの対象となる
  • 延滞税の対象となる
  • 特例の適用が受けられない

確定申告をうっかり忘れてしまわないよう、家を売ることが決まり査定額がわかったら、確定申告が必要かどうかあらかじめ確認しておくようにしてください。

家の査定には、ぜひ不動産一括査定である「おうちクラベル」をご利用ください。

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無申告加算税などの対象となる

家を売却して売却益が出たにもかかわらず期限内に確定申告をしない場合、本来支払うべきであった所得税に加えて「無申告加算税」が課されます。

無申告加算税とは、期限内に確定申告をしなかったことに対するペナルティとしての意味合いをもつ税金です。

無申告加算税の税率は、納付すべきであった税額に対し、原則としてそれぞれ次のとおりです。

  • 50万円までの部分:15%
  • 50万円を超える部分:20%

一定の場合には無申告加算税が減免される可能性があるため、万が一期限を過ぎたことに気づいた場合は、1日でも早く申告と納税を行ってください。

なお、期限内に申告をしなかったことが仮装隠蔽によるものであると判断される場合、無申告加算税ではなく「重加算税」の対象となります。

重加算税の税率は、本来納付すべきであった金額の40%が原則であり、無申告加算税よりも重く設定されています。

また、過去5年内に無申告を繰り返した場合などは、重加算税がさらに10%加算されます。

参照元:No.2024 確定申告を忘れたとき(国税庁)

延滞税の対象となる

延滞税とは、利息に相当する税金です。

本来の支払い期限から遅れて納税する場合は、延滞税の対象となります。

2023年1月1日から2023年12月31日までの期間に適用される延滞税の割合は、延滞期間に応じてそれぞれ次のとおりです。

  • 納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.4%
  • 納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年8.7%

利息としての意味合いであるとはいえ、金融機関からの通常の借入利息よりも非常に高い割合に設定されています。

参照元:No.9205 延滞税について(国税庁)

特例の適用が受けられない

譲渡所得税の特例のほとんどは、確定申告をすることが適用要件の1つとされています。

そのため、確定申告をしないと、税額が安くなる特例の適用を受けることができません。

なお、先ほど紹介した「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」などは、適用受けることで税額がゼロとなる可能性があります。

しかし、特例の結果として税額がゼロとなる場合であっても、確定申告をしないことには特例の適用が受けられないため、確定申告をする必要があります。

家を売却した際の確認申告に必要な主な書類

家を売却した際の確認申告に必要な主な書類

家を売却した際の確定申告で必要となる主な書類は、次のとおりです。

  • 確定申告書一表・二表
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 本人確認書類のコピー
  • 家を売却した際の売買契約書のコピー
  • 家を購入した際の売買契約書のコピー
  • 家の取得費を証明するための領収書のコピー
  • 譲渡費用を証明するための領収書のコピー
  • 源泉徴収票

なお、ここで紹介しているのは、一般的なケースで必要となる代表的な書類です。

また、特例の適用を受けるためには別の書類が必要となるなど、これら以外の書類が必要となることもあります。

そのため、実際に確定申告をする際は必要書類についても、あらかじめ管轄の税務署や税理士などへ確認しておくようにしてください。

確定申告書一表・二表

確定申告書の第一表と第二表は、確定申告のメインとなる様式です。

この様式で、その年分の所得額や所得税額を計算します。

確定申告書の様式は国税庁のホームページからダウンロードしたり、最寄りの税務署へ出向いたりすることで受け取ることができます。

これは、この後紹介する「確定申告書第三表(分離課税用)」や「譲渡所得の内訳書」も同様です。

確定申告書第三表(分離課税用)

確定申告書には、第一表から第四表までがあります。

家の売却益に関する確定申告では、これらのうち第三表(分離課税用)を使用します。

譲渡所得の内訳書

家の売却益に関する確定申告では、「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」が必要です。

この様式に収入金額や取得費、譲渡費用など譲渡所得税の計算過程を記し、譲渡所得金額を算定します。

本人確認書類のコピー

確定申告では、本人確認書類のコピーを添付しなければなりません。

原則として、添付すべき書類はマイナンバー(裏・表)のコピーです。

一方、マイナンバーカードがない場合は、次の2種類のコピーを添付します。

  1. 運転免許証やパスポートなど身元が確認できる書類
  2. マイナンバーの通知カード、マイナンバーが掲載された住民票の写しなど個人番号が確認できる書類

家を売却した際の売買契約書のコピー

確定申告では、その家の売買契約書のコピーが必要です。

売買契約書には売買対価が記載されており、これが譲渡所得税の計算で必要となる収入金額を示す資料となります。

家を購入した際の売買契約書のコピー

確定申告では、売却した家を購入した際の売買契約書のコピーが必要です。

これが、家の取得費を確認するための資料となるためです。

なお、家を購入した際の資料を紛失しているなど取得費を証明できない場合は、先ほど解説をしたように「収入金額×5%」で取得費を計算します。

家の取得費を証明するための領収書のコピー

先ほど解説をしたように、家の購入代金以外にも取得費に算入できる費用があります。

取得費に算入したい費用がある場合は、その支出を証明できる領収証などのコピーが必要です。

譲渡費用を証明するための領収書のコピー

譲渡所得税を計算する際、譲渡費用を収入金額から差し引くことができます。

家の譲渡費用に算入したい費用がある場合は、その支出を証明できる領収証などのコピーが必要です。

源泉徴収票

給与所得などがある場合、確定申告書を正しく作成するためには、勤務先などから交付された源泉徴収票が必要です。

そのため、源泉徴収票を手元に用意した状態で確定申告書の作成を行うことをおすすめします。

なお、給与所得の源泉徴収票は、2020年分の確定申告から添付は不要となっています。

まとめ

家を売却して利益が出る場合は、この譲渡益に対して譲渡所得税がかかり、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告をしなければなりません。

また、家の売却で譲渡損が出た場合の確定申告は義務ではないものの、確定申告をすることで譲渡損を損益通算できる特例の適用が受けられる可能性があります。

家の売却でかかる譲渡所得税では特別控除などの適用を受けられることも多く、結果的に税額がゼロとなることも少なくありません。

ただし、特別控除の適用には要件があるため、家の査定額がわかった時点で特例が適用できるかどうか確認しておくようにしてください。

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