3000万で買った家の売却を検討したとき「築年数によってどのくらい価値が下がるのかな」「家の売却価格はどのように算出されるのか」などの疑問が浮かぶでしょう。
購入した家の建物は、築年数が経つごとに価値が下がっていきますが、土地は市況によって影響されます。また、さまざまな要素から売却価格が決まるのです。
本記事では、3000万で買った家の売却を検討している方向けに、売却価格を知る方法、売る時の注意点と高く売るポイントに加えて、築年数別の売却額をシュミレーションにてご紹介します。ぜひこの記事を読んで3000万で購入した家を売却するときの参考にしてください。
1.土地と建物の価格は分けて考える
3000万で買った家がいくらで売れるかを判断する際、土地と建物はそれぞれ異なる方法によって査定額が算出されます。
土地の場合は「取引事例比較法」、建物の場合は「原価法」が使用されます。ここでは、それぞれの算出方法についてご紹介します。
1-1.取引事例比較法
3000万で買った家の土地の査定方法は、実際の過去の成約価格から判断する「取引事例比較法」によって算出されます。取引事例比較法は、おもに土地や中古マンションに使用される方法です。
取引事例比較法による査定方法は、まずは売却したい土地の周辺にある物件の成約価格を調べます。このとき最新の成約価格のデータと、売却したい土地や面積、形状などが似ている物件を選ぶのが一般的です。そこから基礎となる平均坪単価を算出します。この平均坪単価をベースにして、土地の方角や前面道路、高低差などの要因を含めて査定額を算出します。
土地は周辺環境や経済情勢などで価格が上がったり下がったりすることがあります。つまり土地の査定価格は、相場価格から算出されるのです。
1-2.原価法
3000万で買った家の建物の査定方法は、新築と仮定した価格から、築年数に応じて劣化した部分を差し引いて算出する「原価法」が使用されます。おもに一戸建ての建物部分や中古マンションの査定に利用される方法です。
まず、3000万で買った家を、仮にもう一度再建築する場合に必要とする費用を調査します。これを「再調達原価」といいます。
次に建物が築年数とともに劣化した分を再調達原価から差し引きします。差し引きしたものを「原価修正」といいます。原価法とは「再調達原価」から「減価修正」を差し引いて算出される方法です。
2.家の価格を左右するさまざまな要素
3000万で買った家はいくらで売れるのかを考える場合、土地と建物は分けられ、「取引事例比較法」と「原価法」のそれぞれの方法で算出されますが、ほかにも複数の要素で価格が上下します。家の価格を左右する要素である築年数や入居者の有無、地価価格について取り上げてご説明します。
2-1.築年数と価格低下率
家は、新築してから築年数が経つごとに価値が下がっていきます。そもそも新築物件とは、法律によって下記のように定められています。
「この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。」
引用:e-Govポータル「住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条第2項」
家の築年数は、価格に一番影響を与える要素です。建物や設備は経年劣化するのが自然なことであり、築年数が経つごとに価格は下がってしまいます。それではどのようなペースで価格が下がっていくのでしょうか。国土交通省が公表している中古住宅の築年数と価格低下率は以下のグラフのとおりです。
参照:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」」
上記グラフから、一戸建ての木造住宅は築10年で50%まで下がっているのが分かります。なお、上記グラフは建物のみの価格推移です。土地の価格は、基本的に年数が経っても上下しません。したがって、家の価値は建物の築年数でほぼ決まることが分かります。
2-2.入居有無と価格の関係
新築住宅の定義は、「1年以内の建築物であること」かつ「誰も住んでいないこと」です。したがって、1年以内に建てられた新築物件でも人が一時的に住んだ場合、中古物件として扱われてしまいます。入居者が入った時点で、建物の価値は下がっていくのです。
法律以外にも、日本では新築物件を好む心理的な「新築信仰」が根付いていることから、人が住むと建物の価値が下がっていくものと考えられています。また、中古物件だと10年保証が付かなかったり住宅ローン控除額が減ったりする部分も、価値が下がる原因です。
新築である1年が過ぎた後は、建物の築年数に応じて価値が下がっていきます。一般的に多い木造住宅の場合、築20年を過ぎると建物としての売買における価値がほぼなくなるといわれています。
2-3.地価価格との関係
前述のように、建物の価値は築年数に応じて下がっていきますが、土地の価値は経済的な理由や土地開発によって左右されます。時代年数とともに土地の価値が下がるとはかぎりません。土地の価値が上がる場合もあるでしょう。
例えば、物件の周辺で大型商業施設や企業、大学などが建設されて土地開発が進み、人気地域に成長すると、地価の上昇が見込まれます。地価の上昇に伴い、土地の価格の上昇も期待できるでしょう。
一方で、物件周辺にあった大手企業や大学の撤退によって人口の減少が起きた場合、地域に対する需要が少なくなるため、土地の価格は下がると予想できます。なお、土地付注文住宅における土地取得費と建物費はそれぞれ以下の表のとおりです。
地域 | 土地取得費(万円) | 建設費(万円) |
首都圏 | 2,220 | 2,911 |
近畿圏 | 1,693 | 2,965 |
東海圏 | 1,274 | 3,104 |
その他の地域 | 912 | 3,068 |
参照:住宅金融支援機構「2021年度集計表 土地付注文住宅」
また、上記の表から土地取得費と建物費の比率は以下のグラフのとおりです。
参照:住宅金融支援機構「2021年度集計表 土地付注文住宅」
グラフから土地と建物の価格比率は、おおよそ3:7や4:6が一般的なのが分かります。
3.3000万で買った家の売却価格シュミレーション
3000万で買った家が築年数に応じてどのように価格が下がっていくのか、5年ごとの築年数別における価格をそれぞれ算出し、30年後までの価格推移をシュミレーションしていきます。
土地の価格は、建物に比べて大幅な下落がないのが特徴です。そのため、土地の値段は変動しないと仮定します。また、土地と建物の価格比率は3:7(土地900万円:建物2,100万円)と仮定しましょう。
なお、以下にご紹介する価格は一例です。築年数のほかにも地域や建物の状態などさまざまな要素から家の価格は決められるため、必ずしも以下でご紹介する価格で売れるとはかぎりません。参考としてご一読ください。
3-1.5年後:約2,475万円
3000万で買った家の5年後は、いくらで売れるかシュミレーションしてみましょう。土地の価格は下落しないと仮定しているため、5年後の土地の価格は900万円です。
次に建物の価格を計算しましょう。前述した国土交通省が公表しているグラフを参考にすると、5年後の建物価格は約75%まで下がることが分かります。仮定した建物価格の2,100万円を用いて以下のように計算します。
「建物価格=2,100万円×0.75=1,575万円」
上記で算出した建物価格に土地価格を以下の計算式で足したものが、5年後の売却価格の目安です。
「5年後の価格=1,575万円+900万円=2,475万円」
2475万円だと、3000万円で買った家から17.5%の下落率です。
3-2.10年後:約1,950万円
3000万で買った家の10年後は、いくらで売れるかシュミレーションしてみましょう。土地の価格は下落しないと仮定しているため、10年後の土地の価格も900万円のままです。
次に建物の価格を計算しましょう。前述した国土交通省が公表しているグラフを参考にすると、10年後の建物価格は約50%まで下がることが分かります。仮定した建物価格の2,100万円を用いて以下のように計算します。
「建物価格=2,100万円×0.5=1,050万円」
上記で算出した建物価格に土地価格を以下の計算式で足したものが10年後の売却価格の目安です。
「10年後の価格=1,050万円+900万円=1,950万円」
1950万円は、3000万円で買った家から約35%の下落率です。
3-3.15年後:約1,425万円
3000万で買った家の15年後は、いくらで売れるかシュミレーションしてみましょう。土地の価格は下落しないと仮定しているため、15年後の土地の価格も900万円のままです。
次に建物の価格を計算しましょう。前述した国土交通省が公表しているグラフを参考にすると、15年後の建物価格は約25%まで下がることが分かります。仮定した建物価格である2,100万円を用いて以下のように計算します。
「建物価格=2,100万円×0.25=525万円」
上記で算出した建物価格に土地価格を以下の計算式で足したものが、15年後の売却価格の目安です。
「15年後の価格=525万円+900万円=1,425万円」
1425万円は、3000万円で買った家から52.5%の下落率です。
3-4.20年後:約1,215万円
3000万で買った家の20年後は、いくらで売れるのかシュミレーションしてみましょう。土地の価格は下落しないと仮定しているため、20年後の土地の価格も900万円です。
次に建物の価格を計算しましょう。前述した国土交通省が公表しているグラフを参考にすると、20年後の建物価格は約15%まで下がることが分かります。仮定した建物価格の2,100万円を用いて以下のように計算します。
「建物価格=2,100万円×0.15=315万円」
上記で算出した建物価格に土地価格を以下の計算式で足したものが、20年後の売却価格の目安です。
「20年後の価格=315万円+900万円=1,215万円」
1215万円だと、3000万円で買った家から59.5%の下落率です。
3-5.25年後:約1,110万円
3000万で買った家の25年後は、いくらで売れるのかシュミレーションしてみましょう。土地の価格は下落しないと仮定しているため、25年後の土地の価格も900万円です。
次に建物の価格を計算しましょう。前述した国土交通省が公表しているグラフを参考にすると、25年後の建物価格は約10%まで下がることが分かります。仮定した建物価格の2,100万円を用いて以下のように計算します。
「建物価格=2,100万円×0.1=210万円」
上記で算出した建物価格に土地価格を以下の計算式で足したものが、25年後の売却価格の目安です。
「25年後の価格=210万円+900万円=1,110万円」
1,110万円だと、3000万円で買った家から63%の下落率です。
3-6.30年後:約1068万円
3000万で買った家の30年後は、いくらで売れるかシュミレーションしてみましょう。土地の価格は下落しないと仮定しているため、30年後の土地の価格も900万円です。
次に建物の価格を計算しましょう。前述した国土交通省が公表しているグラフを参考にすると、30年後の建物価格は約8%まで下がることが分かります。仮定した建物価格の2,100万円を用いて以下のように計算します。
「建物価格=2,100万円×0.08=168万円」
上記で算出した建物価格に土地価格を以下の計算式で足したものが、30年後の売却価格の目安です。
「30年後の価格=168万円+900万円=1,068万円」
1,068万円だと、3000万円で買った家から64%の下落率です。
4.3000万で買った家がいくらで売れるか知る3つの方法
これまで3000万で買った家がいくらで売れるのかを考えるとき、土地と建物を分けることやさまざまな要因からの影響、築年数別のシュミレーションを見てきました。
続いて、3000万で買った家が具体的にいくらで売れているのかご紹介します。家がいくらで売れるのかを調べるには「不動産会社の査定をおこなう」「不動産ポータルサイトで近隣物件価格を調べる」「レインズで近隣物件の取引事例を確認する」の3つの方法があります。
3000万で買った家がいくらで売れるか知る3つの方法についてそれぞれご紹介します。
4-1.不動産会社の査定をおこなう
不動産会社へ査定を依頼する方法だと、確実にいくらで売れるのかを知ることが可能です。
不動産会社は不動産に関する専門家です。築年数による物件の状態の判断ができたり市況を把握したりしています。さまざまな要因から適切な価格を導き出してくれるでしょう。
なお、不動産会社によって実績や得意・不得意分野が異なります。したがって複数の不動産会社に査定依頼をし、査定額を比べるのがおすすめです。
「おうちクラベル」では、複数の不動産会社への一括査定依頼が可能です。また、同時にその場でAIによる査定結果の確認ができるのが「おうちクラベル」の特徴です。物件の情報とご自分の連絡先を一度入力するだけで、手軽に複数の不動産会社への一括査定ができます。
4-1-1.机上査定と訪問査定
査定には、「机上査定」と「訪問査定」の2つの方法があります。
机上査定とは、電話やメールの問い合わせのみで、おおよその査定額を算出する方法です。不動産会社の担当者が現地に訪れることはなく、物件情報や周辺地域のデータなどから査定額を導き出します。査定期間はとてもスピーディーで、最短当日から3日以内で査定結果が出ることが多いです。まだ売却するとは決めていないものの、おおよその売却価格が知りたい方向けの査定方法です。
一方、訪問査定とは実際に物件を訪れてより正確な査定額を算出する方法です。現地でより詳しく不動産を確認するため、実際の売却価格に近い価格を知ることができます。訪問日から査定結果がでるまでは1週間ほどですが、訪問日の日程調整に時間がかかるケースも少なくないため、机上査定よりややスピードは劣るでしょう。
4-2.不動産ポータルサイトで近隣物件価格を調べる
不動産ポータルサイトを利用して、3000万で買った家の近隣で売り出し中の物件価格を調べる方法です。最新のおおよその相場価格を知ることができます。
調べ方は、3000万で買った家から近い地域にある物件を探し、売出価格を確認する流れです。地域によって土地の値段が変わってしまうため、同じ地域にある物件を調べましょう。
また、築年数や面積、間取りが3000万で買った家と似ている物件を複数調べるのがポイントです。物件の築年数や大きさなどによっても価格が変動するため、似ている物件を探さなくてはなりません。複数の物件を見つけることで、より正確な相場価格を知ることができます。
なお、不動産ポータルサイトに掲載されている物件は現在売り出し中のため、成約価格ではないことにも注意してください。
4-3.レインズで近隣物件の取引事例を確認する
誰でも閲覧できる「レインズインフォメーションマーケット」や「国土交通省の不動産取引価格情報検索」にて近隣物件の実際の取引事例を確認する方法です。
レインズインフォメーションマーケットでは、戸建てとマンションの実際に取引された事例が掲載されています。地域や築年数、面積などが検索できるため、3000万で買った家がある地域付近で、似ている物件を調べましょう。成約時期も選べるため、なるべく最新の情報を集めるのがおすすめです。
国土交通省の不動産取引価格情報検索は、戸建てとマンションのほかにも土地や農地、林地の取引価格が調べられるのが特徴です。土地と建物の取引事例もあるため、3000万で買った家がある地域付近で、似ている物件を調べましょう。土地の面積や形状も調べられます。
5.家を売るときの注意点
3000万で買った家を売るときには、いくつか気を付けておきたい注意点があります。事前に確認しておくと、よりスムーズに家の売却が進められるでしょう。
本章では、家を売るときに注意したい査定方法や取引の種類に加えて、築浅物件を売却する場合や住宅ローンの残りについてご説明します。ご自分の売りたい家の状態や目的によって売却方法や不動産会社を選んでみてください。
5-1.複数の不動産会社で査定する
不動産の査定依頼は、適切な相場を割り出すために複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。
不動産会社によって査定価格は異なるため、複数の不動産会社が提示した査定額を比べたほうが、より適切な価格が見えてきます。少なくとも3社以上の不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。
また、複数の不動産会社に査定依頼をすることで、自分にあった不動産会社を比較検討できます。不動産会社の担当者の知識量や対応の違いを見ながら、どこの不動産会社と相性がいいのか、安心して任せられるのかを見極めることが重要です。
5-2.不動産会社の種類を確認する
不動産売買の取引には、「仲介」と「買取」の2つの方法があります。それぞれの概要と特徴を十分に理解した上で、取引方法を決めるのも大切です。
仲介は、不動産会社に売却を依頼し、買主を探してもらう方法です。買主との売買契約時には不動産会社が仲介に入り、売買契約を締結します。成約に至ると仲介手数料が必要ですが、市場価格での売却ができるのが特徴で、場合によっては高値での売却も期待できるでしょう。
買取は、不動産会社に売却したい家を直接買い取ってもらう方法です。不動産会社は買い取った家をリフォームなどして再度買主を探すため、市場価格より2〜4割ほど下がってしまいます。しかし、買主を探す手間がないため、売却までに数ヶ月の時間を要する仲介に比べて現金化までが早いのが特徴です。
以下の記事では、不動産仲介会社の選び方を詳しくご説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
不動産売買に諸費用・税金はどれくらいかかる?仲介会社の選び方も解説
5-3.築浅物件の売却は怪しまれる可能性がある
新築や築浅物件を売却しようとすると、買主は売却理由が気になる方が多く、事故物件ではないかと怪しんだりする可能性があります。
万が一、建物に欠陥があったり、騒音などの周辺環境が悪かったりしたことが売却理由の場合、正直に伝えることが大切です。売買契約締結後に家に欠陥などが見つかると、売主は損害賠償を負わされたり契約を解約されたりする恐れがあるため、隠さず正直に伝えるようにしてください。
転勤における引越しが理由の場合も、そのまま伝えて差し支えありません。しかし離婚や住宅ローンの返済に滞ったなどのネガティブな理由がある場合は、伝え方に工夫が必要です。売却理由の伝え方については後ほどご説明します。
5-4.住宅ローンが残っていると売却が難しい
3000万で買った家を売るときは、住宅ローンの残りを確認する必要があります。住宅ローンが残っている家は抵当権が外せないため、原則売却ができないためです。
家の売却価格で住宅ローンの残りが完済できることをアンダーローンといいます。アンダーローンの場合は問題なく売却が可能です。
一方で、家の売却価格で住宅ローンが完済できないことを、オーバーローンといいます。オーバーローンの場合、貯蓄などから足りない部分を充てて完済する必要があります。貯蓄などでも足りない場合は、金融機関に相談しましょう。金融機関の合意が得られると任意売却という売却方法が利用できますが、ブラックリストに載ってしまうなどのデメリットがあるため、注意が必要です。
6.3000万の家をなるべく高く売るための8つのポイント
3000万で買った家をなるべく高く売りたいと思う方が多いでしょう。できるかぎり高く売るためにはいくつかのポイントをおさえて売ることが大切です。
ここでは、高く売るためのポイントとして、不動産会社を比較することや売却のタイミング、家の維持管理のほかにも、市場動向や家を購入するときの選び方など、8つのポイントをそれぞれご紹介します。ポイントをおさえて高値での売却を成功させましょう。
6-1.複数の不動産会社を比較する
複数の不動産会社を比較し、売りたい家がある地域や物件を得意とする不動産会社を選ぶことが、高値での売却につながります。担当者と相性がよく、信頼して任せられる不動産会社を選ぶことも大切なポイントです。
複数の不動産会社を比較する際、同時に査定額も比較しながら選ぶとよいです。不動産会社によって専門におこなっている業務が異なるため、査定額にも差がでます。しかし、中には媒介契約の締結を狙って、査定額を故意に高く見積もってくる不動産会社も存在するため注意が必要です。
不適切な査定価格で売却を進めないためにも、複数社に査定依頼して相場価格を把握したうえで不動産会社を選ぶようにしてください。また、担当者の説明が分かりやすい、レスポンスが早いなど対応力があり、安心して任せられる不動産会社を見極めましょう。
6-2.築浅のうちに売る
できるかぎり築浅のうちに売るのも高く売るためのポイントです。築年数に応じて建物の価値は下がり続け、木造住宅の場合だと築20年を過ぎると建物の価値はほとんどなくなってしまうからです。
また、近年は長引くコロナ禍やウクライナ情勢によって新築物件の建材コスト増に比例して、新築物件の価格も高騰しています。新築物件の高騰化に従い、中古物件に人気が集まっている傾向です。充分に住める築浅物件はとくに人気のため、早めに売るのが得策といえるでしょう。
なお、築1〜2年目だと売却理由などを怪しまれる可能性もあるので、築10年前後を狙うのがおすすめです。なお、売却前には住宅ローンの残りが返済できるかの確認も忘れずにおこないましょう。
6-3.リフォームや維持管理をおこなう
築年数に応じてリフォームや維持管理をおこない、3000万で買った家の価値をできるかぎり保っておくのも、高く売るためのポイントです。
大掛かりなリフォームをおこなっても、売却価格にリフォーム代を足すことはできません。そのため、経年劣化に応じたメンテナンスやリフォームなどによって、適切な維持管理をしましょう。一般的な大きさである30坪の家のおもなメンテナンスの時期と相場費用は以下の表のとおりです。
メンテナンス内容 | メンテナンス時期の目安 | 費用の相場 |
外壁・屋根塗装 | 10〜15年 | 80〜125万円 |
シロアリ駆除 | 5年 | 19〜29万円 |
水回り全体 | 10〜15年 | 150〜250万円 |
クロス張り替え(例:キッチン) | 7〜10年 | 4〜7万円 |
なお、リフォームをおこなった履歴を残しておくのも査定額が高くなるポイントです。簡単なメモでも構いませんのでリフォーム箇所と実施日時を記録しておきましょう。
6-4.売却理由の伝え方を工夫する
3000万で買った家を売却する際、買主への売却理由の伝え方を工夫しましょう。
転勤や家族が増えたことによる引越しが理由の場合は、そのまま伝えても問題ありません。しかし離婚や家族の死亡、住宅ローンが滞ったなどのネガティブな理由の場合、伝え方を工夫して家の印象を下げないことが高く売るためのポイントです。
離婚や家族の死亡が理由の場合は「家族構成が変わった」、住宅ローンが滞ったことが理由の場合は「経済状態が変わった」などと簡潔に事実をまとめ、印象を下げない伝え方に言い換えてみてください。あらかじめ不動産会社に売却理由の伝え方を相談し、打ち合わせしておくのがおすすめです。
6-5.土地価格や中古住宅市場の動向を調べる
3000万で買った家の土地価格や地域付近の中古住宅市場の動向を調べて、高く売れるタイミングを見計らいましょう。
築年数が経つごとに建物の価値は下がりますが、近年の中古住宅の価格は、土地の価格が上がっていることを背景に上昇傾向です。国土交通省が公表している不動産価格指数においても、2021年から戸建て住宅の価格指数は上昇傾向であることが分かります。
近年の不動産価格指数の上昇は超低金利時代が大きな要因です。金利が低いため、買主が不動産の購入がしやすい環境にあると考えられます。このように、土地価格や中古住宅市場の動向を、経済情勢などから調べることが高く売るためのポイントです。
6-6.金利や住宅ローン制度の動向を知る
買主の購入意欲が左右される、金利や住宅ローン制度の動向を知ることも大切です。近年は、超低金利時代が続いていましたが、2022年に日銀による緩和修正のため、固定金利がわずかに上昇しました。金利が上がると、住宅ローンを借りる際の負担が増えてしまい、家の需要が減り、売却価格が下がることが予想されます。
また、2022年の税制改正のタイミングで住宅ローン控除の制度が変更がされ、控除率が1%から0.7%に引き下げられました。住宅ローン控除の制度が厳しくなると家の需要は減り、不動産価格は下がると考えられます。このように金利や住宅ローンの制度の動向は、家の売却価格にも影響を与えます。双方の動向を知り、家の売却価格が高くなるタイミングを見極めていくのが重要でです。
6-7.土地価格が高い地域を選ぶ
そもそも家を購入する際、土地価格が高い地域を選ぶことが将来的に高く売れるポイントです。建物は築年数が経つにつれて価値が下がりますが、土地の価格は年数が経っても下がりません。したがって土地価格が高い地域で家を購入するのも1つの手です。
例えば、埼玉県と東京都の築年数別における中古住宅価格推移は以下の表のとおりです。
地域 | 築0〜5年 | 築6〜10年 | 築11〜15年 | 築16年〜20年 | 築21年〜25年 | |
東京都 | 価格 | 5,093万円 | 5,119万円 | 4,991万円 | 4,632万円 | 4,428万円 |
下落率 | 0% | 0.5% | ▲2.0% | ▲9.0% | ▲13.1% | |
埼玉県 | 価格 | 3,591万円 | 3,344万円 | 2,852万円 | 2.922万円 | 2,722万円 |
下落率 | 0% | ▲6.9% | ▲20.6% | ▲18.6% | ▲24.1% |
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2020年・年度 表16戸建て住宅(中古)」
上記の表から、東京都は埼玉県に比べて土地の価値が高いため、中古住宅の築年数が経つごとの下落率が小さいことが分かります。東京都の「築0〜5年」から「築6〜10年」においては価格が上昇しています。なお、東京都で3000万円で家を購入することは非常に困難です。
6-8.重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造を選ぶ
家を購入する際、建物の構造に重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造を選ぶ方法も高く売るためのポイントです。木造住宅は、築20年を過ぎるとほとんど価値がなくなります。これは、木造住宅の法定耐用年数が22年と定められていることが影響しています。
一方で、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年と定められており、木造住宅に比べて建物の価値は下がりにくいのが特徴です。そのため、築年数が経っても売却価格の下落率は木造住宅よりも緩やかです。
なお、重量鉄骨造やコンクリート造の戸建ては数少ないのが現状ですが、購入した家を将来的に高く売るためにも選択肢の一つとして考えて見るのがおすすめです。
まとめ.3000万で買った家の査定をするなら「おうちクラベル」
今回は、3000万円で買った家はいくらで売れるのかを、家の価格の決まり方や売却方法、高く売れるポイントに加えて、売却シュミレーション付でご紹介しました。
家の価格は建物の築年数によって左右されます。そのほかにも地域や建物の状態などさまざまな要素から、いくらで売れるのかが決まります。
3000万円で買った家の、より正確な査定額を知りたい場合、「おうちクラベル」で一括査定依頼をするのがおすすめです。複数の不動産会社による査定額が比べられるうえに、AIによる査定額がその場で提示されます。また、実績が豊富で優良な不動産会社に査定依頼ができるのも安心できるポイントです。
3000万円で買った家はいくらで売れるのかを知りたい方は、ぜひ「おうちクラベル」の不動産一括査定を試してみてください。まだ売却を検討中の方でも利用することが可能です。