土地を売却しようと考えている方の中には、個人での売却を検討している方もいるでしょう。
土地の個人間売買は仲介手数料がかからないというメリットがある一方、全ての手続きをご自身で行わなければならないというデメリットがあります。
また、思わぬトラブルに発展するリスクもあることも理解しておくことが重要です。
そこで今回は、土地を個人間売買する際のメリット・デメリット・起こりがちなトラブル・注意点を詳しく解説します。
1.土地は個人間売買できるが難しい
土地を個人間売買することは可能です。 しかし、不動産会社など専門家のサポートを得ずに手続き・取引を進めるのは決して簡単なことではありません。
例えば、土地を売買する際には、ご自身で販売活動を行う必要があります。
知人や親族の中に購入希望者がいるならば良いですが、一から買主を探すのは骨が折れる作業といえるでしょう。
1-1.売買契約書の作成
個人間売買の場合、通常であれば不動産会社が作成する「売買契約書」を全てご自身で作成しなければなりません。
売買契約書に記載する内容は多く、 1つでも欠けてしまったり不備があったりすれば、トラブルに発展してしまう可能性があります。
例え取引相手が知人や親族であってもその可能性は十分あり、第三者となれば、さらに大きなトラブルを招いてしまうかもしれません。
1-2.土地の個人間売買はリスクだらけ?
先述の通り、土地の個人間売買にはリスクが伴います。そのため、安全でスムーズな取引を求めるのであれば、個人間売買よりも不動産会社の仲介がおすすめです。
不動産会社を交えない売買取引を行うとなると、全ての責任をご自身で負うことになります。
万が一トラブルが発生した際には、大きな損失に見舞われるリスクがあることも覚えておきましょう。
注意点を考慮した上で土地の売買を個人で行いたいと思う方は、ご自身が所有する土地にどれくらいの価値があるのかを事前に調べておくことが大切です。
おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは、複数の不動産会社へ土地の査定依頼が可能です。売却価格の目安を把握するために、是非ご活用ください。
2.土地を個人間売買するときの流れ
土地を個人間売買するためには、まず「土地売買の流れ」をしっかりと把握しておくことが重要です。
特に、土地の個人間売買では全てをご自身で判断し、計画的に進める必要があります。事前に流れを把握しておけば、先を見通して効率よく作業が進められるでしょう。
ここでは、土地を個人間売買するときの流れについて解説します。主な流れは、以下の通りです。
- 売りたい土地の相場を確認
- 売却価格の決定
- 売り出し・価格交渉
- 契約・引き渡し
- 確定申告
2-1.売りたい土地の相場を確認
土地を売却するときは、「売りたい土地の相場」を知ることから始めましょう。
例えば、相場よりも低い価格を設定すれば売却しやすくなるものの、売却して得られる金額が少なくなってしまいます。
2-1-1.逆に相場より高いとどうなる?
相場よりも高い価格を設定すれば、いつまでたっても買主が現れない状況も考えられるでしょう。
どちらにしても、相場からかけ離れた金額を設定すれば、売主にとって不利益となってしまうことは理解しておくべきです。
2-1-2.土地相場を把握するには?
では、土地の売却相場はどのように把握すればよいのでしょうか。主に以下のようなデータから確認できます。
- 不動産会社の取引データ
- 公的機関が公開している地価データ
- 固定資産税納税通知書の明細に記載された固定資産税評価額
- 不動産一括査定サイトの査定額
不動産会社の取引データ
不動産会社の取引データで、類似物件がどのくらいの価格で売却されているか・どのくらいの価格で売り出されているかをチェックすることで相場を確認できます。
公的機関が公開している地価データ
また、公的機関が公開している地価をもとに算出することもできます。この場合、以下の式で相場を求めることが可能です。
売却相場=地価公示価格(1㎡あたり)×土地の面積×1.1
例えば、公示地価が20万円/㎡の土地面積を100㎡とします。その場合、売却相場は2,200万円です。
詳しい土地面積が分かるようであれば、すぐに算出できます。しかし、詳しい面積が不明な土地の場合は、事前に測量を行う必要があるでしょう。
固定資産税納税通知書の明細に記載された固定資産税評価額
さらに、毎年発行される固定資産税納税通知書の明細に記載された固定資産税の評価額で相場を把握することも可能です。この場合にも少しだけ計算が必要です。
売却相場=固定資産税評価額÷0.7×1.1
例えば、固定資産税評価額が1,400万円の土地であれば、売却相場は2,200万円となります。
不動産一括査定サイトの査定額
その他、不動産一括査定サイトを利用して複数の不動産会社の査定額を知ることで、おおよその相場を把握することも可能です。
おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは、スマートフォンやパソコンを使って一度に複数の不動産会社へ査定依頼ができます。
不動産会社へ電話したり店舗に足を運んだりする必要がないため、手間や時間を省けるでしょう。
また、土地を売却するためには書類の準備なども必要です。必要書類の種類や土地の価格相場を知りたい方は、不動産一括査定サイトを是非ご活用ください。
2-2.売却価格の決定
相場を確認した後は、売却価格の設定をしていきましょう。
特に、土地を売却して何かの資金とする予定の方は慎重に売却計画を立てる必要があります。
土地が相場よりも高値で売れることは滅多にありませんが、相場よりも低い場合・相場と同等の場合についてはシミュレーションしておくと安心です。
ここまで、より適正な価格を設定することが重要だと解説しましたが、売却価格の設定のポイントについては、以下の点を心がけてみてください。
売却価格の設定ポイント:相場よりも少し高めの価格に設定する
売り出し時の価格に関しては、少しだけ高めに価格を設定するのもポイントです。
2-2-1.なぜ、価格を高めに設定するのか?
知り合いや親族に売却する場合は事前に相談して価格を決定することが多いですが、第三者へ売却するとなると値下げ交渉を持ちかけられることがあります。
そのような場合、自分が考えていた売却価格よりも価格が下がってしまう可能性が高いです。そのため、あらかじめ高めの設定をして売り出すことが重要です。
しかし、ここでは価格を高く設定しすぎないことにも注意すると良いでしょう。
もし仮に、売り出し時の価格を高く設定しすぎてしまうと、購入希望者がなかなか現れないという問題が発生します。
そうなると、売却すること自体が難しくなってしまうかもしれません。
買主を見つけるためにも、値下げ交渉を想定した適切な価格の設定にすることが大切です。しかし、適正な売却価格は市場動向などによっても変化します。
2-2-2.不動産の専門家へ相談しよう
価格設定をご自身で判断するのが難しい場合には、不動産の専門家へ相談することも検討してみてはいかがでしょうか。
また、不動産一括査定サイトでは一度に複数の不動産会社に査定を依頼できます。より多くの査定額を確認できるため、販売価格の検討に役立つでしょう。
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2-3.売り出し・価格交渉
売り出し価格が決定したら、実際に土地を売り出しましょう。
2-3-1.売り出し
このとき、知り合いや親族に購入希望者がいる場合は問題ありませんが、第三者に売却する際は購入者を見つけるまでに長期間を要することもあるため注意が必要です。
通常、土地を売却する際には不動産会社に売却活動を依頼する「仲介」や不動産会社に直接買い取りを依頼する「買取」という方法を選択することが一般的です。
売却活動を不動産会社に依頼しない場合には、売主自ら売却活動を行う必要があります。
仕事などで積極的に広告を掲載したり知人に当たったりすることが難しい方の場合、なかなか売却に繋がらず苦労することもあるでしょう。
仲介・買取・個人間売買のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 仲介のメリット
- 仲介のデメリット
- 買取のメリット
- 買取のデメリット
- 個人間売買のメリット
- 個人間売買のデメリット
土地を個人間売買するメリット・デメリットは後で詳しく解説しますが、個人で土地を売り出すには何かと負担が多いことも知っておくべきでしょう。
仲介のメリット
- 相場に近い価格で売却できる可能性が高い
- 有効な売却活動を行ってもらえる
- 不動産会社が書類作成や手続きを請け負ってくれる
- 最新の情報が手に入る
- より適正な価格設定ができる
仲介のデメリット
- 仲介手数料がかかる
買取のメリット
- 早期に売却できる
- 仲介手数料を節約できる
買取のデメリット
- 相場よりも売却価格が2~4割低くなる
個人間売買のメリット
- 仲介手数料を節約できる
- 販売活動・価格交渉を自由に進められる
個人間売買のデメリット
- トラブル対処も自己責任
- 適切な価格設定が難しい
- 膨大な書類を自分で準備する必要がある
2-3-2.価格交渉
価格に関していえば、気に入った土地をなるべく安く手に入れたいと考える方が多く、値下げ交渉を持ちかけられることが一般的です。
このとき、値下げ交渉を受け入れないでいると、買主が遠ざかってしまう可能性もあるため注意しましょう。
一方、買主の値下げ交渉を受け入れすぎてしまうと、売主が損をしてしまう可能性も出てきます。
そのため、売り出し価格設定を高めに価格に設定するだけでなく、どのくらいまでなら値下げをしても損をしないのか売却価格の最低ラインを決めておくことも重要です。
また、値下げ交渉を見越して売り出し価格を設定するには、売却したい土地の相場を確認しておく必要があります。
相場の確認には、不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめです。おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは60秒入力で依頼が完了します。忙しい方も是非ご活用ください。
2-4.契約・引き渡し
買主と売主の間で価格の交渉などが成立したら、次は契約書の作成・契約に移ります。ここが個人間売買で最も難しい部分といっても過言でありません。
2-4-1.契約
個人間売買するとなれば、基本的に契約書も自分の手で作らなければいけません。この契約書に不備があったとしても、契約成立後に訂正することは難しいでしょう。
特に注意しておきたいのは、言葉のみで契約を結ばないことです。
言葉だけではどうしても証拠の確認が取れなくなってしまうため、後からトラブルが起きても確認のしようがありません。
そのため、契約を結ぶ際は買主と話し合った内容を全て契約書に記載しておくことが重要です。
書類に記入することで、契約内容が一目で分かるため、トラブルを防止できます。
しかし、必要な契約書を全てご自身で作成することは非常に手間と時間がかかります。また、その契約書に不備がないかをご自身で判断するのは難しいかもしれません。
そのような場合には、契約書類作成を不動産会社や司法書士に依頼するのがおすすめです。
専門家に売買契約書類の作成を依頼するには、5万円程度の費用がかかります。多少の出費はありますが、安心・安全な取引を進められるでしょう。
2-4-2.引き渡し
契約が滞りなく進めば、契約書に記載の日に決済の確認・引き渡しを行います。このとき、所有権移転登記手続きを忘れずに行う必要があります。
登記手続きを司法書士に依頼する場合の相場は、5万円程度です。所有権移転登記手続きについても個人で行うことは可能です。しかし、以下のような書類を準備し、法務局へ登記申請をする必要があります。
- 登記識別情報または登記済証
- 固定資産評価証明書
- 印鑑証明書
所有権移転登記手続きは、引き渡し後1カ月以内に行わなければなりません。個人で行う場合には、必要書類の準備やスケジュールをしっかり把握しておくことが重要です。
2-5.確定申告
土地を売却して利益を得た場合には、確定申告が必要になります。
まず土地を売却して得た利益とは、売却価格そのものを指すわけではありません。売却金額から土地の取得費用や譲渡にかかった費用などを差し引いた額になります。
譲渡所得=売却価格-(取得費用+譲渡費用)
例えば、土地の売却価格3,000万円・取得費2,500万円・譲渡費用100万円と仮定してみましょう。この場合、譲渡所得は400万円となるため、確定申告が必要です。
2-5-1.3,000万円特別控除
3,000万円特別控除とは、譲渡所得の3,000万円まで控除が受けられる制度のことです。
基本的にはマイホームを売却した際に適用となる制度ですが、条件によっては土地のみに適用できる場合があります。条件は、以下の通りです。
- 特例が定める所有期間の要件を満たしている
- 更地にしてから1年以内に売買契約が完了している
- 居住しなくなった日から3年後の年の12月31日までに譲渡されている
特例の適用には様々な条件があるため、適用されるかどうか確認する必要があります。しかし、この特例を利用するためには確定申告が必須です。
特例による減税措置を希望する場合には、確定申告を忘れずに行いましょう。
2-5-2.個人から法人へ売買した場合
また、例外として個人から法人へ売却したとすると、みなし譲渡所得が発生する場合があります。
みなし譲渡所得とは、時価の2分の1に満たない価格で売却したときに、時価の価格で売却したものとみなされる譲渡所得です。
例えば、時価5,000万円の土地を1,000万円で売却したとしましょう。
個人から個人への売却であれば、譲渡所得は売却金額1,000万円で算出します。一方、個人から法人であれば、5,000万円の売却金額で譲渡所得が発生することになります。
そのため、低い価格で売却したとしても確定申告が必要になる可能性が高いです。
みなし譲渡所得は、あくまでも個人から法人に売却する場合のみに適用となります。個人ではなく法人に売却を考えているのであれば、覚えておくと役立つでしょう。
3.土地の個人間売買のメリット
土地の個人間売買は、煩雑な手続きや必要な書類の準備をご自身で行わなければいけません。
しかし、手間と時間がかかる一方でメリットもあります。
土地を個人間売買するときは、専門家を交えて手続きを行うほうが安全です。しかし、メリット・デメリットをしっかり確認した上で挑戦してみるのは方法の1つといえるでしょう。
ここでは、土地の個人間売買のメリットを解説します。
メリットは以下の2つです。
- 手数料を節約できる
- 売却活動・価格交渉を自由に進められる
3-1.手数料を節約できる
土地を売却する際、広告掲載などを不動産会社へ依頼する「仲介」という方法を選択する方は多いです。
仲介で買主を見つけた場合、不動産会社へ成功報酬として「仲介手数料」を支払う必要があります。
不動産売却の場合、扱う金額が大きくなるため、仲介手数料も決して安くはありません。
しかし、個人間売買であれば仲介手数料を支払う必要がないため、出費を抑えられるでしょう。
3-1-1.仲介手数料の上限額
仲介手数料の上限額は以下のように定められており、上限額を請求されることが一般的です。
- 売却価格200万円以下→売却金額×5%(+消費税)
- 売却価格200万円超え、400万円以下→仲介手数料の上限額は売却金額×4%+2万円(+消費税)
- 売却価格400万円超え→仲介手数料の上限額は売却金額×3%+6万円(+消費税)
例えば、土地の売却金額が500万円の場合、仲介手数料の上限額は21万円(+税)となります。
そのため、少しでも自分の手元に売却したお金を残したいという方は、不動産会社を利用しないで仲介手数料を抑えるという方法は有効かもしれません。
3-1-2.譲渡費用・手数料
しかし、先にも述べましたが、土地を売却する際には譲渡費用がかかることも忘れてはいけません。
例えば、売買契約や登記手続きを司法書士へ依頼する場合には、その手数料を支払う必要もあるでしょう。
膨大な手間と時間をかけたにもかかわらず、仲介での譲渡利益と変わらないようで努力が水の泡となってしまいます。
また、全ての手続きを個人で行う場合、当たり前ですが全て自己責任になります。仲介手数料を支払う必要がなくても、トラブルにより損失が発生する可能性があることも覚えておく必要があるでしょう。
仲介手数料の目安や譲渡費用の目安を踏まえ、最適な売却方法を検討してみてはいかがでしょうか。
3-2.売却活動・価格交渉を自由に進められる
個人間売買は、自分のペースで手続きを進められるというメリットがあります。
不動産会社に依頼すると期間を設けられてしまい、ご自身が納得できない取引になってしまう可能性も考えられます。
例えば、土地売却において、以下のような思いを抱く方も少なくありません。
- なるべく売却価格は下げたくない
- 本当に買主がこの土地を欲しているのか見極めてから売却したい
3-2-1.なるべく売却価格は下げたくない
売主には、土地への愛着や特別な思いがあるのは当たり前のことです。しかし、不動産会社に依頼した場合では、これらの意見が反映されない可能性も考えられます。
そのため、ある程度手間や時間がかかったとしてもなるべく売却価格は下げたくないという方には、個人間売買が向いているかもしれません。
個人で行う取引であれば、ご自身の思いをより反映させた取引ができるのではないでしょうか。
3-2-2.本当に買主がこの土地を欲しているのか見極めてから売却したい
売主だけでなく買主の意見を直接聞いて反映させられるため、その点に関しても自由度が高いといえます。
買主・売主の双方が納得していればスムーズに契約を結べるため、不動産会社に依頼するよりも取引の満足度が高くなる可能性が期待できるでしょう。
どちらにしても、個人間売買でスムーズな取引をするには売却価格の相場確認が重要です。
おおよその相場を把握すれば、価格設定の参考になります。より適切な販売価格を設定しやすくなるでしょう。
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60秒入力で一度に複数の不動産会社に査定依頼ができるため、効率良く情報収集ができるでしょう。
おおよその売却相場を把握しておきたい方は、是非ご利用ください。
4.土地の個人間売買のデメリット
個人間売買は不動産会社を交えた取引とは異なり、自由度が高く手数料を節約できるというメリットがあります。
しかしその一方で、様々なデメリットがあることも覚えておく必要があるでしょう。
ここでは、土地を個人間売買する際のデメリットを詳しく解説します。
メリット・デメリットを確認し、「何を最優先とするのか」をじっくりと検討してみてください。
デメリットは以下の3つです。
- トラブル対処も自己責任
- 適切な売却価格の決定が難しい
- 膨大な書類を自分で準備する必要がある
4-1.トラブル対処も自己責任
土地の個人間売買では一度に大きなお金が動きます。そのため、トラブルが一切起きないとはいい切れません。
仲介での売却とは異なるため、もしトラブルが発生した場合は全てご自身で対処する必要があります。
このような場合、トラブルを解決するために頭を悩ませる可能性もあるでしょう。
4-1-1.損失を招く恐れに注意
また、個人間売買は仲介手数料を支払う必要が無いというメリットがある一方、トラブルの内容によっては多くの損失を招く恐れがあります。
例えば、以下のようなトラブルが挙げられます。
- 売買契約成立後に瑕疵が見つかり賠償請求をされる
- 契約解除に関する取り決めが契約書に記載されておらず、契約解除に関する費用を請求できなかった
- 売買契約成立後に契約内容について異議を申し立てられる
個人で売買契約を行った場合、記載漏れや買主とのコミュニケーション不足により、何らかのトラブルに発展する恐れもあるかもしれません。
「言った」「言わない」で契約が進まず、最悪の場合には裁判にまで発展することもあるでしょう。
個人で取引を行うことには、それなりのリスクがあることも知っておく必要があります。個人間売買する際リスクを把握し、ご自身で対処できるか今一度考えてみてはいかがでしょうか。
4-2.適切な売却価格の決定が難しい
価格設定が自由にできることは個人間売買のメリットですが、適切な価格設定ができているかどうかをご自身で判断するのは難しいでしょう。
そのため、適切な売却価格の決定が難しいことは個人間売買におけるデメリットの1つといえます。
適切な売却相場の確認方法については、先に解説しました。
しかし、それはあくまでもおおよその価格であり、市場動向や顧客のニーズなどによっても適切な販売価格は変化します。
4-2-1.そのエリアに詳しい人の方が適切な価格設定を行いやすい
例えば、そのエリアの土地を探している顧客を把握している不動産会社の担当者に査定を依頼すれば、思い切った額を提示してくれるかもしれません。
しかし、市場動向や顧客のニーズを把握していない一般の方であれば「相場では売れる見込みが無い」と判断し、低めの価格を設定してしまうこともあるでしょう。
やはり適切な売却価格を設定したいのであれば、専門家に価格を確認してもらうのがおすすめです。
設定した価格によっては、「あまりにも安く売却してしまった」「なかなか買い手が見つからない」といった問題が発生することも考えられます。
また、周辺環境の動向によっても相場が変化することがあります。
例えば、周辺に大きな商標施設が建設予定となれば、地価が上がる可能性も考えられるでしょう。一方、周辺で大きな災害が起きれば、地価が下がる可能性もあります。
これらの動向はご自身で判断するのが難しいため、不動産会社に価格設定を依頼する方法も検討してみてはいかがでしょうか。
4-3.膨大な書類を自分で準備する必要がある
通常、不動産会社に依頼して土地を売却する場合であれば、不動産会社が必要書類のチェックシートを準備することが一般的です。
そのため、確実に必要書類を準備できるでしょう。しかし、土地を個人間売買する場合、ご自身で必要書類を把握し、準備する必要があります。
必要な書類は自治体の窓口に足を運んで取得するものもあり、手間や時間がかかってしまうのはデメリットといえるでしょう。
土地の売却に必要な書類は、以下の通りです。
- 身分証明書
- 登記済権利証または登記識別情報通知書
- 固定資産評価証明書
- 住民票
- 売買契約書
- 印鑑証明書
- 確定測量図
- 登記簿謄本
必要種類の詳しい内容については後でご説明いたします。書類を自分で準備するのは不安だと感じる人は、不動産会社・司法書士に依頼する方法も検討してみてください。
5.土地の個人間売買で起こりがちなトラブルは?
個人間売買するとなれば、予想外のトラブルに見舞われる可能性もあります。しかし事前に起きやすいトラブルを確認しておくことで、未然に防げることもあるでしょう。
ここでは、以下の3つの段階ごとに起きやすいトラブルをご紹介します。
- 販売活動中
- 交渉中
- 売買契約成立後
5-1.販売活動中
1つ目は、販売活動中のトラブルです。
知り合いや親族など、親しい間柄の人が買主であれば、余程のことがない限りトラブルの可能性が低いでしょう。
しかし、買主をインターネットを通じて探すとなると、トラブルが発生しやすくなってしまいます。
例えば、買主が土地の購入を考えているのではなく、詐欺を目的として取引をしようと考えていることもあります。
また、公式サイトだけでなくSNSを使って買主を探そうと考えている方もいるかもしれません。
そのような場合、相手の素性が分からず悪質な相手と契約してしまう可能性が高くなります。
そのため、インターネットを通じてで買主を探す場合はなるべく不動産ポータルサイトから探した方が安全といえるでしょう。
5-2.交渉中
2つ目は、交渉中に起きやすいトラブルについてみていきましょう。交渉中に最も起きやすいトラブルは「買主との考えの不一致」です。
例えば、売主が1,000万円で売りたいと考えていても、買主が900万円で購入したいと価格面で譲らなければ考えていれば、いつまでたっても話がまとまりません。
価格を含めてお互い合意できなければこのような場合、手続きを先に進められず、交渉は長引いてしまうでしょう。また、長い交渉の末に交渉決裂となってしまう可能性もあります。
このとき、タイミング良く他の購入希望者が現れれば良いですが、次の購入希望者が現れるとも限りません。
買主の意見を尊重して値下げをするのは問題ありませんが、あまりにも値下げしすぎて売却価格が大幅に引き下がってしまうことが無いように注意しましょう。
1件あたりの交渉期限やどこまでなら価格を引き下げても良いのかをあらかじめ決めておくと、こうしたトラブルを防止できます。
5-3.売買契約成立後
3つ目は、売主と買主がお互いに合意して契約を結んだものの、後からクレームがなるパターンです。
いくらお互いが納得して契約したとしても、契約書に書いていない内容や一度取り決めたはずの売却価格についてクレームが入ることもあります。
契約書については、契約を結ぶ前に「この点が不安だな」と感じる部分は買主と共有しておくと、後からクレームが入る可能性が低くなるでしょう。
契約書に記載しなかった内容については後々トラブルに繋がることがあります。
例えささいな会話の中で交わした約束だとしても、全て漏れ落ちなく契約書に記載しておくことが重要です。
また売却価格に関しては、不動産会社の査定額を把握しておくとトラブルに発展する可能性が低くなります。査定額は価格設定の参考にもなる情報です。
5-3-1.不動産一括査定サイトを利用しよう
不動産一括サイトであれば、直接不動産会社に問い合わせをしたり足を運んだりしなくても、インターネットを通じて査定依頼ができます。
また、不動産一括査定サイトでは1つの不動産会社だけでなく、一度に複数の不動産会社に査定の依頼が可能です。
複数の不動産会社に査定を依頼し、より適正な売却価格を設定することで、売却価格に関するクレームも防げるでしょう。
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6.土地の個人間売買で準備すべき書類
先にも述べましたが、土地の個人間売買では必要な書類が多く、それらを全てご自身で準備しなくてはなりません。
特に売買契約書については作成する必要があります。また、書類によっては取得まで時間がかかることもあるでしょう。
余裕を持って準備を進めるようにしてください。ここでは、それぞれの書類について詳しく確認していきましょう。
- 身分証明書・登記済権利証または登記識別情報通知書
- 固定資産評価証明書・住民票・印鑑証明書
- 売買契約書
- 確定測量図
- 登記簿謄本
6-1.身分証明書・登記済権利証または登記識別情報通知書
身分証明書・登記済権利証または登記識別情報通知書は、土地の所有者本人であることを証明するための書類ですので必ず手元に準備しておきましょう。
6-2.固定資産評価証明書・住民票・印鑑証明書
所有権移転登記の際にも、固定資産評価証明書・住民票・印鑑証明書と合わせて必要となる書類です。
固定資産評価証明書とは、固定資産の所有者名や評価額が記載された書類のことで、自治体の窓口で取得できます。
また、売買契約の際には売買契約書・印鑑証明書が必要です。
6-3.売買契約書
売買契約書はインターネットでもダウンロード可能ですが、必要な項目が全て記載されているか確認するようにしましょう。
6-4.確定測量図
確定測量図は境界に関して当事者間で了承を得ていれば必須ではありませんが、買主が確定測量図を求める場合には提出する必要があります。
確定測量がされていない場合には、事前に確定測量を行わなければならないので注意してください。
確定測量を行う場合、土地家屋調査士・隣地所有者の立会いが必要となり、確定測量図が発行されるまでに1〜3カ月程度かかります。
6-5.登記簿謄本
登記簿謄本は確定申告の際に提出します。確定申告の際には、土地売却時の売買契約書の写し・土地取得時の売買契約書の写し・譲渡費用の領収書なども合わせて提出しなくてはいけません。
これらの書類を全て準備するためには、予想以上に時間がかかってしまうこともあります。
いざ売却するとなっても、これらの書類が不足していたり、不備があると手続きを進められないため、余裕を持ったスケジュールを立てておくと安心です。
7.土地を個人間売買するときの注意点
不動産会社を介さない個人で土地を売買する場合、トラブルが発生する可能性が高くなることを説明しました。
では、どのような点に注意すればリスクを回避できるのでしょうか。ここでは、土地を個人で売買するときの注意点をご紹介します。
- 相場にあった適正な売却価格を決める必要がある
- 契約不適合責任を問われる可能性がある
- 書類の不備があるとトラブルにつながる
7-1.相場にあった適正な売却価格を決める必要がある
繰り返しになりますが、土地を個人間売買する際には、相場に合った適正な売却価格を決める必要があります。
もし仮に高すぎたり低すぎたりする価格設定をしていると、売主が売却後に後悔したり、なかなか買主が現れないという問題も発生します。
そうならないためにも、売却したい土地の相場がどれくらいなのかを事前に確認しておくことが必要です。
おおよその相場は、複数の不動産会社の査定額から確認できます。しかし、ここで注意しておきたいのが、1社の査定結果に左右されないことです。
依頼した不動産会社によって査定結果は異なるため、出来るだけ多くの不動産会社に査定を依頼した方がいいでしょう。
比較対象が多ければ多いほど、精度の高い平均価格を算出できます。
7-1-1.不動産一括査定サイトを利用しよう
しかし、多くの不動産会社に電話をしたり、店舗に足を運んだりするのは手間や時間がかかります。忙しい方にとっては難しいかもしれません。
そこでご活用いただきたいのが、不動産一括査定サイトです。不動産一括査定サイトでは、売却したい土地の情報を入力するだけで、複数の不動産会社に査定を依頼できます。
直接電話をかけたり足を運んだりする必要がなく、24時間いつでもどこでも査定依頼が可能です。
さらに、おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは、査定申し込みが完了後すぐにAIによる査定額を確認できます。今すぐに査定額を確認したい方は是非お役立てください。
7-2.契約不適合責任を問われる可能性がある
契約不適合責任とは、「契約内容に適合しない」ことにより売主に責任が問われることを指します。
分かりやすくいうと、「契約内容と異なる土地を売却した」と判断されてしまうことです。
例えば、以下のようなケースが挙げられます。
- 土壌汚染が無い土地として売却したが、売却後に土壌汚染が発覚した
- 土壌に埋設物が無い土地として売却したが、売却後に埋設物が見つかった
これらの内容が契約書に記載されていれば問題はありませんが、契約書に記載されていなかったり内容が違っていたりした場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。
7-2-2.契約不適合責任に問われないためにも
契約書の内容は双方がしっかりと確認しておくことが重要です。
また、契約書に記載する内容は、少しでも不利益を被る可能性のあることは事柄をすべて記載するようにしておくとトラブルの発生を防げます。
土地の買主は見つかったものの、契約後に大きな損失を招くことがないように、慎重に契約書の内容を検討しましょう。
7-3.書類の不備があるとトラブルにつながる
土地を個人間売買する場合、書類の作成は専門家が行うのではなく、ご自身で行うことになります。そのため、書類の不備が出る可能性も考えられるでしょう。
書類に不備があった場合、先に説明したように「契約不適合責任」に問われることもあるため注意が必要です。
また、以下の内容についても記載漏れがないかチェックする必要があります。
- 決済・引き渡し・所有権移転登記の日付
- 手付金解除に関する取り決め
- 契約違反による解除の取り決め
7-3-1.決済・引き渡し・所有権移転登記の日付
決済・引き渡し・所有権移転登記の日時についてです。この内容が記載されていなかった場合、「いつまでたっても決済がされない」という事態にもなり兼ねません。
買主からの決済がされていないとしても契約書に日付が記載されていなければ、買主を契約違反とすることは難しいでしょう。
7-3-2.手付金解除に関する取り決め
手付金の解除期限に関する取り決めが記載されていなかった場合、引き渡し直前で契約解除を求められることもあるかもしれません。
7-3-3.契約違反による解除の取り決め
契約違反に関する取り決めが記載されていない場合、買主が契約違反をしても違約金の請求ができなくなってしまうでしょう。
そのため、売買契約書に関しては、不動産会社・司法書士などの専門家に作成を依頼すると安心です。もしも売買契約書の作成を個人で行う場合には、慎重に行うことが大切です。
8.土地の個人間売買に悩んでいるなら専門家に相談しよう
土地の個人間売買は可能ですが、全てをご自身で行うのではなく、部分的に専門家の力を借りることも有効な方法です。
例えば、買主をご自身で見つけ、売買契約書の作成を不動産会社へ依頼するのも良いでしょう。
また、価格の設定や交渉についても、専門家に相談したほうがトラブルを回避できる可能性が高いです。
売買契約全てを個人で進めるのは大変な作業ですが、専門家の意見も交えて手続きを進めることで負担を減らすことが可能です。
販売活動や書類の準備には、何かと手間や時間がかかります。上手に専門家の力を借りてみてはいかがでしょうか。
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売却価格の設定や売買契約書の作成に関する疑問は、ぜひ不動産の専門家へご相談ください。