古家付き土地は売却できる?メリットやデメリット・売却にかかる費用・税金・売却するときの注意点も詳しく解説します

相続などで古家付きの土地を引き継ぎ、売却を希望する場合もあるでしょう。では、古家付きの土地をそのまま売却することはできるのでしょうか?また、税金などの費用はどの程度かかるのでしょうか?

本記事では、古家付き土地の売却について詳しく解説します。古家がある状態で土地を売却するメリットやデメリットのほか、売却に却にかかる費用・税金、売却するときの注意点も紹介するので、参考にしてみてください。

目次

1.古家付き土地は売却できる?

結論からいうと、古家付きの土地は売却が可能です。しかし、新築時と比べると、建物としての価値はとても低いものとなります。

また、新築時と比べ価値が低いために需要が少なく、築浅の家を売却するときとは異なる部分もあります。

1-1.古家には資産価値がない

古家付き土地は売却できます。しかし、築浅の家を売るときとは異なり、その理由のひとつが、古家には資産価値が少ないためです。

1-1-1.古家とは

古家とは、文字通り古い家を示します。一般的には築年数が20年以上経過した家のことであり、これらの家がそのままの状態になっている土地を古家付き土地といいます。

また、20年経過していない新しい家であっても劣化がひどくて人が住むのが困難な状態の家も古家とみなされることが多いです。

1-1-2.古家の魅力

古家の魅力とは古家付き土地として土地を主体に売ることで、物件を探している方だけではなく土地を探している方にも宣伝などを行い、買いたい気にさせるという点です。

しかし、先述したように古家は築年数が20年以上のものであり、このような家は不動産業界においては価値がゼロとみなされることも少なくありません。

厳密には価値がないわけではありませんが、木造住宅における法律上の耐用年数が22年と定められているため、このような考え方がされるケースが多いです。

1-1-3.古家付き土地を求める方は更地を購入したい方が中心

古家付き土地を求める方は基本的に更地を購入したい方が中心となります。

そのため、古家付き土地を購入した場合、購入者が取り壊し費用などを負担する必要があります。

取り壊し費用も決して安くはないため、この費用負担を踏まえて考えるとその費用分を新築物件に当てた方が良いと考える方は多いです。

そのため、古家付き土地の売却は可能ながらも難しい状況があります。

1-2.中古住宅との違い

古家付き土地を売るうえで、中古住宅との違いを知ることも重要です。中古住宅で売れるのであれば、その条件で売り出した方が良い場合もあるためです。

1-2-1.過去に人が住んだことのあるかどうか

古家とは、先述したように築年数が20年以上経過したものや、20年以下でも人が住めない状態にまで劣化しているものでした。

一方で、中古住宅とは建物がまだ家の機能があり、これから先も人が住めます。一般的には、過去に人が住んだことのある家が中古住宅にあたります。

しかし、人が住んだことがない家であっても、建築後未入居のまま1年経過したものについても中古住宅の分類です。

このように、古家付き土地と中古住宅とでは家の状態が異なりますが、他にも異なる点があります。

1-2-2.売却時の瑕疵担保責任の有無

それが、売却時の瑕疵担保責任の有無です。瑕疵担保責任とは、売却後にシロアリ被害や雨漏りなどが見つかった場合に売主に修理などの責任が生じる決まりです。

中古住宅売却の場合では売主にこの瑕疵担保責任があり、古家付き土地売却の場合では売主にこの責任はありません。

なお2020年4月の民法改正により瑕疵担保責任が廃止され、代わりに契約不適合責任が新設されています。

そのため古家付き土地の売却において、購入者視点では購入後に問題発覚したときに対応してもらえないという不安を持つ方が多いです。

この要素も古家付き土地の売却の難しさに大きく関わります。とはいえ、中古住宅ではなく古家付き土地として売るメリットもあります。それは、内覧なしで売れる点です。

古家付き土地において、売買のメインは土地です。古家についてはあまりその建物自体が重要視されないため、内覧を行わずに売却しても問題はありません。

内覧の時間を確保できない場合や、まだ引っ越ししておらず現在の生活スペースを見てほしくないなどの理由がある方には、古家付き土地として売る方法が合いやすいでしょう。

2.古家付き土地を売却するメリット

古家付き土地の売却は可能とご紹介しました。しかし、一方で売却が難しい印象もあり、更地にして売った方が良いのではないかと考えた方も多いでしょう。

実は、古家付き土地として売り出した方がメリットがあります。そこで、ここでは古家付き土地を売却するメリットをご紹介します。

2-1.土地が広く見える

古家付き土地を売却するメリットとして、まず挙げられるのが土地が広く見える点です。実は更地にすることで、土地面積が狭く見える現象が起こります。

古家がそのままの状態になっていると、土地が広く見えるため広い土地を探している方に魅力的に移る可能性があるでしょう。

また、広く見えることと同時に実際に家を建てたときのイメージや購入後のイメージを持ちやすいことも魅力です。

更地の場合、広さ・日あたりの状況・2階からの眺め・使い方に合う庭面積など各種条件がイメージしにくいです。

これらの状況は、購入者側としては住み始める前に知りたい情報でしょう。古家付きの土地の場合、古家を参考にこれらの条件を確認できます。

購入時にイメージしやすいため、最終的に古家を壊して新居を建てる予定の方にとっても魅力ある物件と感じてもらいやすいでしょう。

2-2.取り壊し費用がかからない

メリットとしては、取り壊し費用がかからないことも挙げられます。古家付きの土地を売るメリットの中でも、非常に大きなポイントです。

家を売るときに更地にするのであれば取り壊し費用が発生します。さらに、取り壊し費用も決して安価ではありません。

一般的な取り壊し費用としては、木造住宅の場合1坪当たり4~5万円(税込み)程度が目安となります。

また、もちろん2階建てや3階建てのような大きな家となると、取り壊し費用はより高額となるでしょう。

例えば、2階建てで延べ床面積や30坪程度の木造住宅の場合、取り壊し費用は約120万円~150万円(税込み)かかると予想されます。非常に高額な費用負担となるでしょう。

しかし、古家付きの土地であればこれらの費用は発生しません。費用の負担を軽くして売却できる点は、大きなメリットです。

2-3.固定資産税が安い

費用負担に関するメリットとしては、固定資産税も大きく関係します。実は古家付き土地の売却であれば固定資産税が安く抑えられます。

土地の固定資産税は、建物が建っていると住宅用地の特例によって課税標準額が低くなり、税金が小さくなる仕組みです。

200平米までの敷地面積では6分の1、200平米までの敷地面積については3分の1にできます。

つまり、更地の場合の固定資産税と比べると最大で6分の1にまで減らせる可能性があります。

固定資産税は空き家の状態でも発生しますが、同時に住宅用地の特例も適用される仕組みです。

そのため、更地で売り出してもなかなか売れない場合、負担の大きい固定資産税が課税されてしまいます。

しかし、古くても建物が残っていれば少しでも固定資産税などの負担を軽くでき、売却期間が多少長引いても腰を落ち着かせて売却活動を進められます。

2-4.特別控除を使える期間が長い

特別控除を使える期間が長い点も大きなメリットです。家を売却する際には、3,000万円の特別控除があります。

これは、古くてもマイホームであれば適用される仕組みです。そして、特別控除は譲渡所得に大きく関係します。

2-4-1.譲渡所得とは

通常、譲渡所得は譲渡価格・取得費・譲渡費用によって算出されます。譲渡価格とは、売却額のことです。

取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を差し引いた金額です。

譲渡費用とは、不動産会社への仲介手数料・測量費・その他売却において必要となった費用となります。

譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いたものが、譲渡所得として扱われます。譲渡所得が発生した場合には、所得税・住民税・復興特別所得税が課税される仕組みです。

しかし、3,000万円の特別控除が適用された場合は、これらの税金を抑えられる可能性があります。

特別控除が受けられる場合、譲渡価額から取得費・譲渡費用・3,000万円の合計を引いたものが譲渡所得となるためです。

譲渡所得がマイナスであれば、譲渡所得はないものとして扱われ、先述した税金は発生しません。

2-4-2.特別控除を適用できる期間

この特別控除は適用できる期間に限りがあり、その期間は更地の場合と古家付き土地で大きく異なります。

まず、3,000万円の特別控除を利用するには売却する不動産が居住用財産としての要件を満たしていなければなりません。

さらに、その要件の中では、古家がそのままの状態になっている場合と更地の場合とで特別控除を受けられる期間が異なります。

古くとも家がある場合、空き家にしてから3年後の12月31日までに売れば3,000万円の特別控除を利用可能です。

しかし、解体して更地にしてしまうと3,000万円の特別控除の利用可能な期間が最長でも1年間しかありません。

こうした取り決めがあるため、もし更地にして売却する場合は焦って売らなければならなくなります。

その結果、売却価格を大幅に下げなければならない可能性も出てくるかもしれません。

このように、特別控除を使える期間が長いことは、大きなメリットとなります。

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3.古家付き土地を売却するデメリット

古家付き土地を売却するメリットをご紹介しました。複数のメリットがあるため、積極的に古家を残して売却しようと考えた方も多いかもしれません。

しかし、古家を残すことはメリットばかりではありません。しっかりとデメリットも抑えておかなければ、思っていた売却額と違ったと感じる可能性もあります。

そこで、ここでは古家付き土地を売却するデメリットをご紹介します。

3-1.売れにくい

まずひとつ目のデメリットが、売れにくい点です。売れにくい理由にはさまざまなものが挙げられます。主な理由は次の通りです。

  • 瑕疵担保責任の有無による影響が出る可能性
  • 解体費用などを購入者側が負担する可能性
  • 古家が悪い印象を持たれる可能性
  • 用途が限られる可能性

3-1-1.瑕疵担保責任の有無による影響が出る可能性

瑕疵担保責任の有無による影響も売れにくい点です。

瑕疵担保責任とは、先述したように売却後にシロアリ被害などが見つかった場合、売主が責任を持って対処する義務といえます。

この責任の有無は、購入者にとって大きなポイントです。万が一購入後にシロアリ被害などが発覚した場合、瑕疵担保責任がなければ自己負担となるためです。

中古物件であれば瑕疵担保責任はありますが、古家付き土地の場合はこの責任はありません。

なお2020年4月の民法改正により瑕疵担保責任が廃止され、代わりに契約不適合責任が新設されています。

そのため、見た目が良さそうな古家であっても、なかなか売れないという状況を招く可能性があります。

3-1-2.取り壊し費用を購入者が負担する可能性

取り壊し費用を購入者が負担する可能性があることも売れにくさに繋がる大きなポイントです。

購入者によっては古家をそのまま使えない場合があり、使えないのであれば解体しなければなりません。

しかし、取り壊し費用は住宅ローンの対象にはならないため、購入者側の自己資金で捻出する必要があります。

この負担は非常に大きく、この負担分を新築や中古物件に当てたいと考える方は多いです。そのため、古家付き土地として売却すると売れにくくなってしまう可能性があります。

3-1-3.古家は悪い印象を持たれる可能性

古家は悪い印象を持たれる可能性があることも売れにくさにつながるポイントです。古家は劣化しているケースも多く、劣化が激しく見た目が悪い状態であれば悪い印象を持たれる場合があります。

古家付き土地は内覧なしで売却できますが、売主が物件の状態を正確に説明して売れる可能性を高めるためにも、内覧をしてもらうことが大切です。

3-1-4.用途が限られる

そして、用途が限られることも売れにくさに繋がるポイントです。古家がそのままの状態になっていることで、これからの生活のイメージをしやすい点はあります。

しかし、一方で古家がそのままの状態になっているために利用用途が限られてしまい、一部の購入者の需要に当てはまらない可能性もあります。

このようないくつかの理由により売れにくい可能性があることは、しっかりと把握しておきましょう。

3-2.売却価格が低い

売却価格が低い点も、大きなデメリットのひとつです。場合によっては、更地で売るよりも安くなる可能性があります。

その理由が、解体費用の関係です。古家付きとして売り出すと、購入者側は解体に必要な費用や手間を見込んで購入するケースが多いです。

そのため、この取り壊し費用分の価格が下がってしまいます。もちろん、売主にとっては費用の負担や取り壊し依頼にかかる手間を必要としないためこの点はメリットです。

しかし、そのメリット分を価格に反映されることとなります。場合によっては、更地よりも売却価格が安くなってしまう可能性もあるでしょう。

希望価格よりも大幅に下がってしまう可能性があるならば、取り壊しについては売主側で実施した方が良いかもしれません。

売却価格について詳しく知るには、不動産会社の査定が参考になります。もし不動産会社選びでお困りの際には、不動産一括査定サイトのおうちクラベルをご利用ください。

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4.古家付き土地を売却にかかる費用・税金

古家付き土地として売るメリットとデメリットについてご紹介しました。しかし、費用の面では抑えておくべきポイントはまだあります。

売却にかかる費用と税金についてです。売却にかかる一般的な費用として、取り壊し費用以外に次のようなものが挙げられます。

  • 不動産仲介手数料
  • 取り壊しに必要な諸費用
  • 測量費用
  • 登記や抵当権抹消などに必要な費用

4-1.不動産仲介手数料

不動産仲介手数料とは、不動産会社に仲介に入ってもらい売買を行った際に必要な費用です。

売買代金ごとに限度額が設定されています。

4-2.取り壊しに必要な諸費用

次に取り壊しに必要な諸費用です。先述した取り壊しにおいて、周辺環境によって追加費用が発生する可能性があります。

例えば、住宅地である場合には防音防塵の強化やガードマンの配置が必要となるため、その費用が発生します。

4-3.測量費

また、売買にあたって測量図がない場合には、改めて土地面積を測るために測量費が必要です。

測量会社によってばらつきがありますが、一般的には50万円以上かかる可能性が高いです。

4-4.登記や抵当権抹消などに必要な費用

登記や抵当権抹消などに必要な費用には、主に3種類あります。まず、土地の所有権の変更に伴う登録免許税です。

そして、売却予定の古家に住宅ローンが残っている場合には、抵当権抹消登記のための費用が必要です。

さらに、これらの手続きを司法書士に依頼した場合、司法書士への依頼料が発生します。しかし、売却にはこれらの費用だけではなく、次のような税金もかかります。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 固定資産税

先述したように、売却による利益の有無によっては譲渡所得税が必要です。次に印紙税も挙げられます。

印紙税とは、契約書に貼り付ける印紙代です。金額は、国税庁によって定められています。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で所有している不動産にかかる税金です。1年の途中で売却した場合には、日割りで計算されて払い戻しされます。

これらの税金の負担も決して軽くはないため、正確な把握が大切です。

費用や税金を正確に把握して計算するには、不動産会社に協力してもらった方がスムーズでしょう。

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5.古家付き土地を更地にしたほうが良いケースもある

古家付き土地として売るときの費用や税金についてご紹介しました。メリットなども合わせて考えると、古家を取り壊すことなく売却した方が良いか悩む方も多いでしょう。

古家付き土地として売る場合と同様に、更地にして売った方が良いケースもあります。どちらのメリットも把握しておかなければ、きちんと比較はできないでしょう。

ここでは、更地にした方が良いケースについてご紹介します。

5-1.早く売りたいとき

更地にした方が良いケースとしては、まず早く売りたいときです。古家を残した場合、定期的な管理のために手間や費用が必要です。

それらの負担が面倒で早く売りたいと考えている場合は、取り壊しを行い更地にした方が良いでしょう。

取り壊し費用を購入者に負担してもらう場合、取り壊し費用が大きな課題に感じられて購入検討者が減る可能性があります。

購入検討者が減ると、それだけ売却期間の長期化を招くため、すぐに売りたいという希望は叶えられなくなってしまいます。

ご自分の希望の売却時期を踏まえて、更地にすべきかを考えましょう。

早く売りたいときには、不動産会社との連携も非常に重要です。もし、不動産会社選びでお悩みの際には、不動産一括査定サイトのおうちクラベルをご利用ください。

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5-2.高く売りたいとき

高く売りたいときも更地にした方が良いかもしれません。特に家が著しく老朽化している場合、安全性や耐震性に大きな不安が残ります。

このような古家は残していても悪い印象を与えますが、リフォームしても費用が非常に高額となる可能性が高いです。

そのため、総合的な費用を考えると更地にしてしまう方が高く売れる可能性があります。
特に、耐震性は購入者の非常に大きな懸念事項となることが多いです。

古家の中には、旧基準の耐震強度で作られているものもあり、新耐震基準を満たしていないことで不安が残ります。

また、新耐震基準を満たしていないことで、住宅ローンの減税を受けられない問題も浮上します。

改修工事を受ければ新耐震基準を満たせる可能性があるものの、工事費を踏まえて考えると更地にして売った方が高額で売れるかもしれません。

高く売りたいと考えている場合には、これらの費用負担を総合的に考えて売った方が賢明といえるでしょう。

古家付き土地として売るか、更地にして売るかを決めるのは簡単ではありません。不動産会社と相談しながら、決めましょう。

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6.古家付き土地を売却するときの注意点

古家付き土地として売る場合と、更地にして売る場合のそれぞれのメリットなどをご紹介しました。

それぞれメリットがあり、費用の負担や希望の売却価格次第で、どちらの売り方を選択するべきかが変わるでしょう。

そして、その判断をするときには、いくつかの注意点を押さえておくことも大切です。ここでは、古家付き土地を売却するときの注意点をご紹介します。

6-1.境界を確定する

まず注意すべきポイントが、境界を確定することです。土地を売却するとき、売主には境界明示義務があり、必ず境界線を示さなければなりません。

確定測量図があれば実測した数値が記載されているため、全ての境界が確認できます。境界明示義務も果たせるでしょう。

しかし、相続して引き継いだ古家などの場合、境界が確定していないことがあります。確定測量図などもなく確認ができない場合には明示もできません。

そのため、売却活動を始める前に、まずは測量を行って境界を確定させる必要があります。

境界を明示できる状態にしたうえで、古家付き土地として売れるようにしましょう。

6-2.不用品・ゴミは処分しておく

不用品やゴミは処分しておくことも重要な注意点です。これは取り壊しにも大きく関係するためです。

6-2-1.一般廃棄物は買いたい会社が持ち運べない可能性がある

売主の中には、取り壊しを前提にしているため、ゴミや家具などは残していても問題ないと考える方もいます。

しかし、不用品やごみは解体工事で排出されるゴミとは扱いが異なるため残してはいけません。

家の中にあるゴミや不用品は、家庭の中から出てくるゴミなので一般廃棄物として扱われます。

一方で、取り壊しで排出されたごみは産業廃棄物扱いとなります。産業廃棄物については、解体会社による運搬が可能です。

しかし一般廃棄物は運搬許可を取っていない解体会社も多く、持ち運べない可能性があります。

解体会社も持ち運べないゴミがある状況の中では、取り壊し作業を進められません。

その結果、これらの状況を想定した購入検討者が減ってしまい、売却期間の長期化につながる可能性もあります。

6-2-2.ゴミの処理費用が余分に発生する可能性がある

さらに、ゴミの処理は費用面にも大きく影響します。ゴミが残っている場合、先述した解体会社による運搬ができない理由からゴミ処理費用が余分に発生する可能性が高いです。

仮に解体費用とごみ処理費用の両方を購入者に負担してもらうこととなれば、購入者に値下げの交渉余地を与えてしまう可能性があり、希望の売却額を下げる可能性があります。

このように、費用面で大きく関わるため不用品やごみは必ず処分するようにしましょう。

6-3.免責事項をピックアップする

免責事項をピックアップすることも注意すべきポイントです。先述した瑕疵担保責任は2020年4月1日の民法改正によって、契約不適合責任へと名称と内容が変更となりました。

先述のようなシロアリなどの土地や建物に関する不具合を隠したまま売ってしまうと、購入者から損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。

しかし、不具合をあらかじめ承知して購入してもらうことは可能です。そのためにも、免責事項のピックアップが大切です。

瑕疵担保責任のときには、瑕疵担保責任を一切負わない全部免責の文言が使えました。しかし、契約不適合責任に改正されてこの文言は使えなくなっています。

つまり、免責事項をひとつずつピックアップしての提示が必要です。特に古家付き土地として売り出す場合には、すぐに気づけない不具合が古家に潜んでいる場合があります。

そのため、入念にチェックして免責事項を細かくピックアップしましょう。念入りのピックアップが売却後のトラブルをさける有効な方法といえます。

免責事項のピックアップをご自分で行うのは、非常に難しいことです。不動産会社と連携して行うことをおすすめします。

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6-4.古家の解体費用は誰が負担する?まずは費用を算出

古家の解体費用は誰が負担するかを考えて、売主と購入者できちんと合意しておくことが非常に大切です。

まず考える時には、具体的な費用を算出しておきましょう。

特に、代々相続してきた古家などの場合には、取得費と先述した特別控除の適用を考えて負担の可否を検討する必要があります。

考えるべき内容は以下です。

  • 譲渡取得
  • 取得費
  • 概算取得費
  • 固定資産税

6-4-1.譲渡取得

譲渡所得は譲渡価額から取得費・譲渡費用・3,000万円の特別控除の合計を引いたものです。

6-4-2.取得費

取得費とは、土地については購入額のこと、建物については購入額から減価償却費を控除した金額です。

しかし、相続などで手に入れた不動産については、当時の土地や建物の購入額が分からず取得費が見当つかないことも珍しくありません。

とはいえ、このままでは計算できないため、取得費が不明な場合は概算取得費が用いられます。

6-4-3.概算取得費

概算取得費とは、譲渡価額の5%と定義されていることです。

つまり、売却価額が1,000万円の場合は、概算取得費は50万円です。

そして、この概算取得費で譲渡所得を計算すると、譲渡所得は非常に大きく計算され税金が高くなる可能性が高いです。

しかし税金をしっかりと把握して、3,000万円特別控除を受けられるようにすれば、税金を抑えられて損失も少なくできる可能性があります。

3,000万円特別控除を受けることで譲渡所得をゼロにできれば、譲渡所得税をゼロにするのも不可能ではありません。

仮に解体費用が150万円程度必要になったとしても、税金で数百万円発生するよりも費用負担を抑えられるでしょう。

6-4-4.固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日の所有物で判断されます。

1月1日を経過した時点で解体を行うことで、その年については住宅用地の特例が適用されます。つまり、固定資産税を抑えたまま売却が可能です。

6-5.解体費用を複数の視点で考える

このように、解体費用だけで費用負担を考えるのではなく、税金についての負担についても視野を広げて解体を誰がするかを検討しましょう。

仮に売主で解体を行うことで、売主の税金が抑えられて売却額も高額であれば、解体するメリットの方が大きい可能性が高いです。

購入後に古家の不具合が生じた場合の責任などのリスクを考えると、更地にして売る方が良いかもしれません。

一方で、税金の計算をしたうえで解体費用も踏まえると負担が大きいとなる場合は古家付き土地として売った方が良いでしょう。

解体費用を誰が負担するかは、全ての費用負担の計算をしたうえでよく考えましょう。

解体費用などの負担の計算は、不動産会社を頼ると具体的に算出してくれます。

もしお悩みの際には、おうちクラベルの不動産一括査定サイトにご相談ください。

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7.古家付き土地をスムーズに売却したいときは

古家付きの土地は条件によっては難しい場合もあるため、スムーズに売却したいときは、複数の不動産会社へ依頼しましょう。

複数の不動産会社に依頼することで、古家付きの土地を得意とする不動産会社を見つけられるからです。

また、不動産会社に依頼することで物件探しをしている方だけでなく、土地を探している方にも訴求できます。

そのため、売却の可能性を上げることができるでしょう。

7-1.古家付きの土地のために生じるデメリット

古家付きの土地のために生じるデメリットもあります。

契約不適合責任や、購入者の解体費用の負担がある場合などは、特に売却まで長期になるケースもあるでしょう。

さらに、古家の状態があまりにも悪ければ、悪い印象につながる可能性もあるため売却時期の長期化を招くかもしれません。

とはいえ、売却に関わる解体費用などはもちろん、税金などの売主の費用負担も無視できない問題です。

できるだけ税金の負担を軽くするためには、売却できたときに生じる具体的な金額を算出して、古家付き土地として売るか更地にして売るかも含めて検討しましょう。

7-2.個人では限界も。おすすめの方法は?

税金の計算や売却にあたっての免責事項のピックアップなど、ご自分で行うには限界があります。

専門知識がなければ計算ができないこともあるため、不動産会社へ依頼するのがおススメです。

不動産会社選びを行うときには、不動産一括査定サイトのおうちクラベルをご利用ください。複数の不動産会社を比べて、相談先を決めていただけます。

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8.不動産一括査定サイトを活用して売却を成功させよう

古家付き土地を売却するときに、家を付けたままで売れるか気になっている方は多いでしょう。

特に相続などで古い家や土地を受け継いだ場合、活用方法も分からず売却を検討する方も少なくありません。

しかし、売却の際には古家付きの土地として売るか、更地にして売るかの選択肢があります。

更地にして売る場合は解体費用などがかかってくるため、売主が負担するか購入者で負担するかの選択肢があります。

どちらの方法を選ぶかは、売却に関わる費用・税金・責任などの考慮が必要です。

可能な限り具体的な数字で計算して、どの方法が負担が軽く、スムーズに売却できるかを考えながら選択してください。

具体的な税金や売却に関する相談は、不動産会社へ依頼すると解決しながら売却を進められます。

不動産会社選びでお悩みのときには、おうちクラベルの不動産一括査定サイトをご利用ください。家の状況に合った、適切なアドバイスをもらえる不動産会社を選んでいただけます。

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