土地の値段は一物四価、あるいは一物五価ともいわれるほど複数の種類があります。それぞれ金額や算出根拠が異なるため、目的に応じた値段を確認することが大切です。記事では、土地の値段の種類とそれぞれを調べる方法について紹介します。
1.土地の値段は複数の種類がある
土地の値段には複数の種類があります。具体的には「公示価格」「基準地価」「固定資産税路線価」「相続税路線価」「実勢価格」の5つがあるため、それぞれの特徴と利用の仕方について解説します。
1-1 .公示価格
公示価格(公示地価)とは、国土交通省が毎年1月1日時点における標準地の価格を3月に公表するものです。
算定方法としては、1つの地点に対して2名以上の不動産鑑定士が鑑定し、国土交通省の土地鑑定委員会がその結果を審査・調整することで決定されています。
公示地価は、適正な地価を形成することを目的として作成されており、下記のような用途で利用されます。
- 一般の土地取引価格の指標
- 不動産鑑定の基準
- 公共用地の取得価格の判断基準
- 相続税・固定資産税の評価の目安
公示地価は、原則として毎年同じ地点の価格が公表されるため、経年比較をすることで地価変動を把握しやすいという特徴もあります。
1-2 .基準地価
基準地価とは、都道府県が毎年7月1日時点における基準地の価格を毎年9月に公表するものです。
算定方法としては、1地点につき1人以上の不動産鑑定士の鑑定をもとに価格が決定されます。
公示地価が都市計画区域内を主な調査対象地点とする一方で、基準地価は都市計画区域外も対象地点としています。このため、基準地価は公示地価の補完指標ともいわれます。
特に地価変動が注目される重要地点では、基準地価と公示地価の両方の調査対象となっていることがあります。同じ地点で毎年1月1日の公示地価と7月1日の基準地価と半年ごとに地価が確認できるため、地価変動が把握しやすくなります。
基準地価も公示地価と同じく、適正な地価を形成することを目的として作成されており、土地の取引価格の目安として利用されます。
1-3 .固定資産税路線価
固定資産税路線価は、土地の「固定資産税評価額」を計算する基礎となる土地の単価です。東京23区の場合は都、ほかは市区町村によって算定され公表されます。
土地を所有している場合は、固定資産税や都市計画税を納める義務があります。この固定資産税や都市計画税の納税額は、土地の固定資産税評価額にそれぞれの税率を乗じて決まります。そして固定資産税評価額は、固定資産税路線価に土地の面積や補正率などを乗じて決まります.
固定資産税路線価は毎年1月1日を基準日としていますが、公表は固定資産税の評価見直しに合わせて3年に一度となっています。なお、固定資産税路線価の数値は、公示地価の70%を目安に定められています。
1-4 .相続税路線価
相続税路線価は、相続税や贈与税の納税額を算定する際の基準となる土地の価格です。国税庁が毎年1月1日時点を基準日とした価格を決定し7月に公表しています。数値は公示地価の80%を目安に定められているといわれています。
相続税路線価は、相続税や贈与税の納税額を決めるもととなる土地の評価額を算出するために利用されます。
主要道路に面している土地は、相続税路線価を元に土地の評価額が算定されます。なお、相続税路線価がない地域もあり、その場合は、倍率方式を用いて計算されます。倍率方式とは、国税庁が地域ごとに指定する倍率を、固定資産税評価額に乗じて計算する方法です。
1-5 .実勢価格
実勢価格とは、実際に土地の売買取引が成立したときの価格です。価格は売主と買主によって決められます。例えば、公示地価などで評価すると2000万円となる土地でも、実際に1800万円で売買されれば、1800万円が実勢価格です。
実際に売買された価格のため、土地の売買をしたい人が時価を知りたい場合に目安として利用することができます。
実勢価格として確認できる公表データとしては、国土交通省が実際に不動産売買をした人にアンケートを取って集計した「不動産取引のアンケート調査」のデータがあります。
「不動産取引アンケート調査」の集計データは国土交通省「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」で確認できます。
2.土地の値段や相場を自分で調べる方法
土地の値段の種類が把握できたところで、次に気になるのは、それぞれの土地の値段の確認方法ではないでしょうか。そこで、次に土地の値段を自分で調べる方法について紹介します。
2-1 .公示価格・基準地価の調べ方
公示価格は国土交通省の「地価公示」の公表ホームページで、基準地価は公表主体である各自治体の基準地価の公表ホームページで確認することができます。
ただし、公示価格・基準地価をまとめて調べるには、国土交通省の「標準値・基準値検索システム」が便利です。
国土交通省の「標準値・基準値検索システム」では、地図上で確認したい地点の都道府県名を選択すると、次に市区町村名の選択ができます。そこからさらに調査年や土地の用途での指定検索ができるため、確認したい調査年や土地の用途で検索して結果を表示させます。
検索結果では公示地価と基準地価の両方の検索結果が表示されます。
また、公示地価については、一般財団法人 資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」でも確認できます。同ホームページの地図上に、地価公示地点または地価調査地点が表示されます。確認したい地点をクリックすると公示価格を確認することができます。
2-2 .固定資産税路線価(評価額)の調べ方
固定資産税路線価(評価額)の調べ方を紹介します。
すでに解説したとおり、固定資産税路線価は、土地の固定資産税評価額を求めるために用いる土地単価のことです。
固定資産税路線価(評価額)を調べる方法には下記の4つがあります。
- 1)固定資産税課税明細書:固定資産税の納税通知書に同封されている
- 2)固定資産税評価証明書:土地がある地域を管轄する市区町村役場で発行してもらえる
- 3)固定資産課税台帳:土地がある地域を管轄する市区町村役場で閲覧できる
- 4)全国地価マップ:資産評価システム研究センターの情報サイトで確認できる
土地の固定資産税を納税していれば、1)~3)の書類で固定資産税評価額を確認することができます。ただし確認できるのは原則、所有者本人です。4)は誰でも確認でき、固定資産税路線価を確認することができます。
固定資産税路線価(評価額)は3年に一度の更新である点に注意しましょう。また、公示地価の7割を目安に算定されているため、相場より安く感じられることもあります。
2-3 .相続税路線価(評価額)の調べ方
相続税路線価(評価額)の調べ方を紹介します。
相続税路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」のページで確認することができます。
「路線価図・評価倍率表」のトップページにある地図から確認したい都道府県を選択します。都道府県を選択すると各都道府県の財産評価基準書の目次が表示されるため「路線価図」をクリックするとさらに細かい住所が選択できます。
住所選択後、該当地域の地図が表示されれば、地図の道路の上に、相続税路線価のマークが表示されます。路線価を表すマークは土地の区分ごとに異なるマークとなっており、例えば住宅地に関するマークは下記のようなものです。
引用:国税庁「【参考6】路線価図の説明」
上の普通商業・併用住宅地区の「900C」の読み方は、900千円/m²になります。数値右のCは借地権の割合を示し、Cの場合は70%であることを表します。そのため、この場合の路線価の読み方は、1/m²当たり90万円で借地権割合が70%となります。
相続税路線価のない地域については、倍率方式で路線価を算出します。倍率方式とは、その地域の評価倍率に固定資産税評価額を乗じて算出する方法です。評価倍率はトップページで都道府県を選択した後に「評価倍率表」というメニューを選択することで確認できます。
2-4 .実勢価格の調べ方
次に実勢価格の調べ方を紹介します。実勢価格の調べ方には、国土交通省「不動産取引価格情報提供制度」を利用する方法と不動産流通機構「レインズ」を利用する方法とがあるためそれぞれについて解説します。
2-4-1 .国土交通省「不動産取引価格情報提供制度」を利用する
実勢価格は国土交通省の「不動産取引価格情報提供制度」を利用して確認することができます。
具体的には、国土交通省の「土地総合情報システム」のホームページの「不動産取引価格情報検索」で過去の実際の売買取引価格を見ることが可能です。
閲覧できるデータは、国土交通省が行った「不動産取引当事者へのアンケート調査」の回答を蓄積した約457万件(2022年3月31日時点)の取引価格情報です。
使い方は、「不動産取引価格情報検索」のトップページから、閲覧したい土地価格についての「時期」「土地の種類」「地域(住所・路線・駅名)」などの条件を指定し検索します。検索結果として条件にあった地域の取引価格が表示されます。
あるいは、「不動産取引価格情報検索」のトップページに表示されている地図から、確認したい地域を選択して、取引価格を表示させることもできます。
国土交通省の「土地総合情報システム」では2017年以降のデータが確認できます。
2-4-2 .不動産流通機構「レインズ」を利用する
実勢価格は、不動産流通機構「レインズ」を利用することでも確認できます。
レインズとは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が管理している不動産情報ネットワークです。原則として、不動産会社だけが閲覧できるシステムですが、一部情報が「レインズ・マーケット・インフォメーション」というサイトで一般公開されています。
このため、「レインズ・マーケット・インフォメーション」というサイトを使って実勢価格を確認することができます。
閲覧できるのは直近1年間の成約案件の価格のみです。サイト上で、最寄り駅や土地の用途などの条件で検索ができ、成約価格を確認することができます。
国土交通省のデータのように過去数年の情報は確認できませんが、情報は毎月更新されるため、最新の大まかな目安を知りたい場合に活用できます。
3.土地の値段と変動率は土地売買のタイミングを知る目安となる
土地の売却を考えている場合には、土地の値段の変動率を確認することがおすすめです。国土交通省から公示地価の変動率や基準地価の変動率が公表されています。地価の変動率が上昇傾向にあると土地は高く売れやすく、下落傾向にあると安くしないと売れないと判断できます。地価変動率は土地を高く売るタイミングを計る目安として使えます。
3-1 .変動率は国土交通省のHPで確認できる
土地の値段の変動率は、国土交通省がホームページで公表している「地価公示」や「都道府県地価調査」で確認できます。
「地価公示」では公示価格ベースの変動率、「都道府県地価調査」では基準価格ベースの変動率を確認することが可能です。
両資料とも、都道府県別の地価変動率について「住宅地」「商業地」「工業地」など用途別に見ることもできます。
地価変動率は前年の地価に対する増減率です。例えば、東京都の2022年住宅地の公示地価変動率は0.6%と、昨年に比べて地価が0.6%上昇していることが分かります。
「地価公示」の「都道府県地価調査」の両資料とも、全地域の変動率について過去データも掲載しているため、経年比較に使うことも可能です。
3-2 .2022年の公示価格は全国的に上昇傾向
2022年の公示価格は全国的に上昇傾向にありました。下記は2022年の公示価格の変動率のまとめです。
【2022年地価変動率】
全用途平均 | 住宅地 | 商業地 | ||||
2021年 | 2022年 | 2021年 | 2022年 | 2021年 | 2022年 | |
全国 | ▲0.5 | 0.6 | ▲0.4 | 0.5 | ▲0.8 | 0.4 |
東京圏 | ▲0.5 | 0.8 | ▲0.5 | 0.6 | ▲1.0 | 0.7 |
大阪圏 | ▲0.7 | 0.2 | ▲0.5 | 0.1 | ▲1.8 | 0.0 |
名古屋圏 | ▲1.1 | 1.2 | ▲1.0 | 1.0 | ▲1.7 | 1.7 |
地方圏 | ▲0.3 | 0.5 | ▲0.3 | 0.5 | ▲0.5 | 0.2 |
出典:国土交通省「令和4年地価公示の概要」
前年の2021年は全用途・住宅地・商業地全てにおいて地価は下落傾向にありましたが、2022年にはプラスに転じています。2022年では土地の用途を問わず、地価は全国的に上昇傾向にあります。
3-3 .2022年 公示価格の高かった地点ランキングTOP5
2022年の公示価格について、特に高い地点についてランキングで紹介します。全用途平均・住宅地・商業地の全国ランキングの上位5地点をまとめると下記のとおりです。
【2022年公示価格の高い地点TOP5】
全用途平均 | |||||
都道府県 | 住所 | 2021年 公示価格 | 2022年 公示価格 | 変動率 | |
1位 | 東京都 | 中央区銀座4-5-6(山野楽器銀座本店) | 536万円 | 530万円 | ▲1.1% |
2位 | 東京都 | 中央区銀座5-4-3( 対鶴館ビル) | 461万円 | 455万円 | ▲1.3% |
3位 | 東京都 | 中央区銀座2-6-7(明治屋銀座ビル) | 399万円 | 391万円 | ▲2.0% |
4位 | 東京都 | 中央区銀座7-9-19(ZARA) | 393万円 | 382万円 | ▲2.8% |
5位 | 東京都 | 千代田区丸の内2-4-1(丸の内ビルディング) | 372万円 | 367万円 | ▲1.3% |
住宅地 | |||||
都道府県 | 住所 | 2021年 公示価格 | 2022年 公示価格 | 変動率 | |
1位 | 東京都 | 港区赤坂坂1-14-11 | 484万円 | 500万円 | 3.3% |
2位 | 東京都 | 千代田区六番町6-1外 | 405万円 | 415万円 | 2.5% |
3位 | 東京都 | 港区白金3-16-10 | 381万円 | 388万円 | 1.8% |
4位 | 東京都 | 港区南麻布-9-34 | 357万円 | 365万円 | 2.2% |
5位 | 東京都 | 港区南麻布1-5-11 | 317万円 | 325万円 | 2.5% |
商業地 | |||||
都道府県 | 住所 | 2021年 公示価格 | 2022年 公示価格 | 変動率 | |
1位 | 東京都 | 中央区銀座4-5-6(山野楽器銀座本店) | 536万円 | 530万円 | ▲1.1% |
2位 | 東京都 | 中央区銀座5-4-3( 対鶴館ビル) | 461万円 | 455万円 | ▲1.3% |
3位 | 東京都 | 中央区銀座2-6-7(明治屋銀座ビル) | 399万円 | 391万円 | ▲2.0% |
4位 | 東京都 | 中央区銀座7-9-19(ZARA) | 393万円 | 382万円 | ▲2.8% |
5位 | 東京都 | 千代田区丸の内2-4-1(丸の内ビルディング) | 372万円 | 367万円 | ▲1.3% |
出典:国土交通省「令和4年地価公示」公示価格高順位表(全国)
全用途平均・住宅地・商業地において、上位10地点は全て東京です。東京の地価が特に高いことが分かります。
3-4 .2022年 地価変動の大きかった地点ランキングTOP5
次に2022年に特に地価変動の大きかった地点について上位5位を紹介します。全用途平均・住宅地・商業地別の全国ランキングの上位5位は下記のとおりです。
【2022年地価変動の大きい地点TOP5】
全用途平均 | |||||
都道府県 | 住所 | 2021年 公示価格 | 2022年 公示価格 | 変動率 | |
1位 | 沖縄県 | 糸満市西崎町5-8-7外 | 61,300円 | 78,700円 | 28.4% |
2位 | 沖縄県 | 豊見城市字豊崎3-62 | 102,000円 | 129,000円 | 26.5% |
3位 | 北海道 | 北広島市共栄町1-10-3 | 36,500円 | 46,000円 | 26.0% |
4位 | 北海道 | 北広島市美沢3-4-8 | 38,000 円 | 47,000円 | 23.7% |
5位 | 北海道 | 北広島市東共栄2-20-5 | 24,500円 | 29,800円 | 21.6% |
住宅地 | |||||
都道府県 | 住所 | 2021年 公示価格 | 2022年 公示価格 | 変動率 | |
1位 | 北海道 | 北広島市共栄町1-10-3 | 36,500円 | 46,000円 | 26.0% |
2位 | 北海道 | 北広島市美沢3-4-8 | 38,000 円 | 47,000円 | 23.7% |
3位 | 北海道 | 北広島市東共栄2-20-5 | 24,500円 | 29,800円 | 21.6% |
4位 | 北海道 | 石狩市花畔3条1-86 | 15,500 円 | 18,800円 | 21.3% |
5位 | 北海道 | 北広島市西の里東3-8-8 | 27,100円 | 32,500円 | 19.9% |
商業地 | |||||
都道府県 | 住所 | 2021年 公示価格 | 2022年 公示価格 | 変動率 | |
1位 | 北海道 | 北広島市栄町1-1-3(北海道銀行北広島支店) | 56,000円 | 67,000円 | 19.6% |
2位 | 北海道 | 北広島市中央2-1-2(べべるい) | 37,200円 | 44,000円 | 18.3% |
3位 | 福岡県 | 福岡市博多区祇園町4-60 (博多祇園プラザビル) | 1,780,000 円 | 2,100,000円 | 18.0% |
4位 | 北海道 | 恵庭市緑町2-3-7(エイブル) | 34,000円 | 39,500円 | 16.2% |
5位 | 福岡県 | 福岡市博多区博多駅南3-13-30(タイガー魔法瓶(株)福岡支店) | 489,000円 | 568,000円 | 16.2% |
出典:国土交通省「令和4年地価公示」変動率上位順位表(全国)
上位には、東京・大阪・名古屋といった3大都市圏ではなく、地方都市がランクインしています。2022年は特に地方での地価が回復している傾向です。
4.土地の値段に影響のある要因9つ
土地の値段はさまざまな要因が合わさって決まります。そこで、土地の値段に影響のある9つの要因について具体的に解説します。土地の値段を考える際に役立つためぜひ参考にしてください。
4-1 .面積・形状
土地の値段は、面積や形状によって変わります。
面積は、広いと単価が相場より高くなる場合と低くなる場合とがあります。例えば、マンション建設が可能な地域の土地は、広いほうが高くなる傾向です。一方、戸建てしか建てられない地域では、広大すぎる土地はニーズが低く割安になることがあります。
また、形状についても、四角形で平らな土地で人気がある場合は土地の価格が高くなる傾向です。一方で、台形やL字型などの不整形地や傾斜のある傾斜地などの特殊な土地は、価格が安くなる傾向があります。
4-2 .環境や立地などの特性
環境や立地などの特性も土地の値段に影響します。環境や立地は土地の値段にプラスに働く場合とマイナスに働く場合とがあります。
例えば、下記の場合は価格は相場より高くなる傾向です。
- 駅から近い
- 近くにスーパーやショッピングセンターがある
- 区役所や病院など公共設備が近くにある
反対に、下記の場合は価格が相場より低くなることがあります。
- 墓地や送電線、下水処理場に近い
- 騒音や悪臭がある
4-3 .公法上の規制
公法上の規制も土地の値段に影響します。
公法上の規制とは、都市計画法などの法令による規制のことです。土地はこれらの法令により建てていい建物の種類、建物建築の可否といった用途や制限が定められています。
例えば都市計画法によって原則として建物を建てられない市街化調整区域の場合、仮に都市部に近いとしても土地の価格は低くなる傾向です。
このように法令による土地の利用方法の規制が土地の値段に影響します。
4-4 .接面道路の状況
接面道路の状況も土地の値段に影響します。
土地は道路にどのように面しているかで主に下記の3種類に分けられます。
- 1つの道路に接面する土地:中間画地
- 2つの道路に挟まれた土地:二方路地
- 2つの道路が交差する角にある土地:角地
一般的に角地や二方路地のほうが中間画地よりも日当たりや風通しがよく人気があるため、土地の価格は高くなる傾向です。このように接面道路の状況によって土地の値段は変わってきます。
4-5 .地下埋設物の有無
地下埋設物の有無によっても土地の値段は変わります。
地下埋設物とは、地面の下に埋まっているコンクリート片や浄化槽、産業廃棄物などのことをいいます。場合によっては、埋蔵文化財や土壌汚染が見つかることもあります。
こうした地下埋設物がある場合は、掘り起こしの作業が必要になったり、土地の利用制限を受けたりするため、土地の価格が相場より下がることがよくあります。
4-6 .流通量
土地の値段は土地の流通量も影響します。一般的なものの値段と同じで、需要に対して供給が少ないと価格は高くなる傾向です。
例えば、人の出入りが激しい都市圏などでは土地のニーズが高いため、流通量が限定的な場合は価格は高くなる傾向です。一方、人の出入りの少ない地域などでは、土地を売りたい人が多くいても買い手がなかなかつかないため、価格が安くなることがあります。
4-7 .売主・買主の事情
売主や買主の事情も土地の値段に大きく影響します。
例えば売主が土地の売却を急ぐ場合などは、早く買い手を見つけるために相場よりも安い値段で売却することがあります。
また、買主が特定の土地についてどうしても手に入れたいために相場より高い値段を提示して高く買う場合も少なくありません。
このように売主・買主の事情で値段が大きく変わることがあります。
4-8 .景気動向
景気動向も土地の値段に影響する要因の1つです。
景気がよく消費者の購買意欲も上がり経済活動が活発になっている状況下では、土地の需要も高まり土地が売りやすくなるため、値段も上がりやすくなります。
景気が過熱して金利が上がると消費者も企業も資金調達がしにくくなり、土地の需要も低迷していきます。そのまま不景気に陥ると土地の需要が減って売りにくくなり、土地の価格は下落する傾向です。
景気も土地の値段に大きく関係します。
4-9 .再開発
再開発の予定がある場合などは、土地の値段に影響します。
再開発の予定がある地域は、再開発のために土地の取得が進められます。そのため、土地を高く売ることができ、値段が上がります。
また、周辺地域でも、土地の値段が上がることがよくあります。これは、再開発地域に商業施設などが増えることで利便性が上がるため、周辺地域の人気が高まるからです。土地を得たい人が増えるため、土地の価格も上がりやすくなります。
5.プロに依頼して土地の値段を調べる方法もある
ここまでに土地の値段の種類や調べ方について紹介しました。自分でおおよその値段を知ることはできるものの、正確な土地の値段を知りたい場合には、専門家に査定を依頼することがおすすめです。以下では査定の依頼方法について紹介します。
5-1 .不動産鑑定(有料)を依頼する方法
不動産鑑定とは、国家資格を持つ不動産鑑定士が法令に定められた不動産鑑定評価基準に従って不動産の価値を評価する方法です。
不動産鑑定で評価された不動産の価値は、税務や裁判の資料としても使用できる「法的効力を持つ価格」です。
そのため
- 土地の相続や贈与を予定している場合
- 相続でのトラブルを抱えている場合
- 法人との間で不動産取引をする場合
など、法的根拠のある土地の価格が必要な場合に依頼することが多いといえます。
不動産鑑定における土地の価格の評価は下記の3方式を併用することで算定されます。
- 原価法:算出時点で再調達した場合の価格を求める方法
- 取引事例比較法:多数の類似取引事例と評価対象とを比べて価格を求める方法
- 収益還元法:評価対象が将来生みだす期待利益を考慮して価格を求める方法
これらの3方式を使い分けることで、適切に評価を行います。
なお不動産鑑定の場合、鑑定料は有料です。
5-2 .不動産査定(無料)を依頼する方法
不動産会社に不動産査定を依頼することで土地の値段を確認する方法もあります。
不動産会社に土地などの不動産査定を依頼する場合は原則として無料です。不動産会社にとって査定依頼は将来の見込み客の確保につながるため、依頼主に査定料金を請求しません。
査定結果は、不動産会社によってバラツキがある場合があります。
これは不動産会社によって得意不得意があり査定基準が異なるためです。
多くの不動産会社は、業界団体である「不動産流通推進センター」が作成したマニュアルを使用していますが、独自基準を盛り込んでいることもあり結果に差が出ることがあります。また、大手不動産会社などのように独自のマニュアルに従って査定する会社もあります。
マニュアルなど査定基準が異なるため、査定額は不動産会社ごとに異なります。
5-3 .インターネットから不動産一括査定を依頼する
インターネット上の不動産一括査定のサイトを利用して、土地の値段を確認することもできます。
不動産一括査定サイトとは、所定のフォームに不動産の情報と連絡先を一度送信するだけで、複数の不動産会社に不動産査定を依頼できるサービスのことです。一度の申し込みで数社の不動産会社から査定結果をもらうことができます。
利用料金は基本的に無料です。
インターネットが使えるパソコンやスマートフォンがあればいつでもどこからでも依頼ができます。一度に数社から十社程度まで一括依頼が可能です。
また、弊社サービス「おうちクラベル」の場合は、不動産一括査定申し込み後に、AIによる査定結果がその場でご確認いただけます。
AIが、査定システムに入力された「条件」から、独自の価格推定アルゴリズムに基づき、価格をよりスピーディに値段を算出します。AI査定により、いち早く相場に基づいた価格を確認することができます。
6.売買目的で土地の値段の目安を知りたいなら不動産一括査定サイト
土地の値段を確認する方法をお伝えしてきましたが、売買目的で土地の値段の目安を知りたいなら不動産一括査定サイトがおすすめです。おすすめする主な理由を下記で紹介するので参考にしてください。
6-1 .複数の査定額を比較して適正価格を知ることができる
不動産一括査定サイトでは、複数の査定額を比較することで適正価格を知ることができます。
不動産の査定額は、不動産会社によって査定基準が異なることがあるため、バラツキがあります。しかしバラツキがあるといっても、例えば中央値や平均値、共通する価格帯などを参考に、相場を把握することができます。
相場から大きく離れている査定額の場合は、成約できない可能性が高いため除外して考えたほうがいいでしょう。このように、複数社の査定を見比べることで精度の高い適正価格を把握することができます。
土地を高く売るためには、まずは適正価格を掴むことが大切です。適正価格を把握するためにも複数社から査定を取って、見比べることがおすすめです。
6-2 .目的に合った不動産会社を見つけやすい
不動産一括サイトを利用することにより、目的に合った不動産会社を見つけやすくなります。
不動産会社は、それぞれ土地の販売に強かったり特定地域のマンション販売に強かったりと得意分野が異なります。
複数社から査定を受け取った際に査定額だけでなく会社の特徴や担当者の対応、広告宣伝力などを比較することで、自分に合った不動産会社を見つけることができます。
例えば、複数社の中に、土地のある地域に古くから事務所を構えていて土地の販売実績も豊富にあるといった会社が含まれていれば、実際に売買を依頼しやすいといえるでしょう。
不動産一括査定を依頼することで、今まで知らなかった目的に合った不動産会社も見つけやすくなります。
6-3 .時間効率がいい
不動産一括査定サイトは、利用すると時間効率がいいといった点でもおすすめです。
自分で不動産会社を調べて査定を依頼する場合、不動産会社をインターネットで1社1社調べて見積もりを取り寄せるとなると、多くの手間と時間がかかります。
その点、不動産一括査定サイトであれば、所定のフォームに必要情報を一度入力するなどの手間だけで、優良な不動産会社を選定でき、一括で査定を取り寄せることができます。
遠方の不動産会社に足を運ばなくても査定を依頼できるうえ、自分が知らなかった優良な不動産会社と出会えるきっかけともなり得ます。
時間をかけずにいい不動産会社を見つけやすいため、スムーズに売却活動を進めることができます。
7.土地の一括査定をするときの注意点
不動産一括査定がおすすめであることを解説しましたが、土地の一括査定をするときには注意点もあります。以下で詳しく解説するため、不動産一括査定を依頼する際はぜひ参考にしてください。
7-1 .複数の不動産会社とのやり取りが発生する
不動産一括査定を利用する場合は、複数の不動産会社から査定を受け取るため、それらの会社とのやり取りが発生します。
査定を受け取った後も営業の電話やメールが届くことが少なくありません。こうしたやり取りが面倒に思えるかもしれませんが、各社を比較するチャンスととらえて活用するようにしましょう
査定額や査定根拠だけでなく、質問に対する回答は的確かどうか、レスポンスはいいか、どのような営業スタイルかなど比較するようにしましょう。いい不動産会社を選ぶためにも、やり取りを活かすことがおすすめです。
7-2 .相場から離れた査定額を提示されることもある
不動産一括査定で取り寄せた査定の中には、相場からかけ離れた査定額を提示されることもあります。
相場からかけ離れていると、実際にはなかなか買い手がつかず、結局はその価格では成約できずに値下げをする羽目になることもあるため注意しましょう。
査定額は、不動産会社がこの値段なら売却できると算定した「予想額」で、実際にその値段で売却できることを保証するものではありません。査定時期と売却時期のズレなどによっても変動があります。
依頼者から媒介契約を得るために、あえて高い査定額を出す不動産会社もあります。相場から離れた査定額を出す会社には理由を確認して、根拠がある数値かどうか確認するようにしましょう。
7-3 .不動産一括査定を依頼できるのは提携している不動産会社のみ
不動産一括査定サイトでは、通常、不動産一括査定を依頼できるのはそのサイトと提携している不動産会社のみです。
仮に気になる不動産会社があっても、利用する一括査定サイトとその会社が提携していない場合には、利用することができません。
あらかじめ気になる不動産会社がある場合は、その会社には別途査定を依頼するようにしましょう。あるいは、不動産一括査定サイトによっては提携会社がホームページで確認できる場合があるため、その会社が提携会社に含まれる不動産一括査定サイトを利用するようにしましょう。
不動産一括査定サイトを利用することでまだ知らないいい不動産会社と出会うこともあるため、気になる会社への問い合わせに留まらず、不動産一括査定サイトを併用することがおすすめです。
8.不動産一括査定サイトを選ぶポイント
不動産一括査定サイトの利用をおすすめしてきましたが、不動産一括査定サイトを選ぶ際にはポイントがあります。以下で、不動産一括査定サイトを選ぶポイントについて詳しく解説するので参考にしてください。
8-1 .サイトの運営会社は信頼できるか
不動産一括サイトを選ぶ際には、サイトの運営会社が信頼できる会社かどうかを確認するようにしましょう。
不動産一括査定サイトはそれぞれ運営会社が異なります。運営会社の情報をチェックし、信頼できる会社かどうか確認しましょう。例えば上場企業かどうか、実績が豊富にあるかどうかなどの情報が1つの判断基準となります。
運営会社が信頼できる会社であれば、登録している不動産会社の質が担保されやすいといえます。実際のところ、利用者から苦情の多い不動産会社との提携を取りやめるといった対応をしているサイトも少なくありません。
信頼できる会社が運営していると、悪質な営業を受けるリスクなどを回避して安心して利用することができます。
8-2 .査定依頼時に入力する項目は十分か
査定を依頼するときに入力する項目が十分かどうかも、不動産一括査定サイトを選ぶポイントです。
申し込む際の入力項目は少ないほうが楽に思えるものの、項目が十分でない場合は査定に際して不動産会社から追加質問を受けることがよくあります。また、入力項目が十分でなかったために、査定の精度が低くなり査定結果に大きなバラツキが生じるリスクもあります。
入力項目が十分でないと適切な査定をスムーズに受けられないため、必要項目をしっかりと入力できるサイトが望ましいといえます。具体的には、基本的な物件情報に加えて「売却希望時期」「査定物件との関係」「その他要望」などの項目も登録できるサイトがいいでしょう。
不動産一括サイトを選ぶ際には、入力の手間が省けるサイトよりも、必要項目をしっかりと伝えられるサイトを選ぶようにしましょう。
8-3 .提携不動産会社が多いサイトを選ぶ
不動産一括サイトを選ぶ際には、提携不動産会社が多いサイトを選ぶことがおすすめです。
提携している不動産会社が少ないと、自分に合った不動産会社が見つかる可能性が低くなってしまいます。限られた数の不動産会社しかないため、自分が売却したい不動産を得意とする不動産会社と出会う機会そのものが少なくなります。
自分に合った不動産会社に出会える確率を高めるためにも、できるだけ提携する不動産会社の数が多いサイトを選択することがおすすめです。提携する不動産会社の数は、不動産一括査定のサイト上で確認することができます。
また、提携する不動産会社の数だけでなく、一度に査定を依頼できる最大査定数も重要な選定ポイントです。最大査定数が多いサイトを選ぶほうが一度に多くの会社から査定を得ることができるため、最大査定数の多いサイトを選びましょう。
8-4 .有益な情報を発信しているサイトを選ぶ
不動産一括査定サイトでは有益な情報を発信しているサイトを選ぶことがおすすめです。
不動産一括査定サイトの中には、サイト内で不動産に関する情報発信を行っているサイトも多くあります。
例えば、土地の売却の流れや注意点など専門的な解説を継続的に行っているサイトなどは、ノウハウも豊富に蓄積されているため、信頼度が高いといえます。土地の売却に向けた情報収集にも役立つため、有益な情報発信を行っているサイトを利用するのが、土地をスムーズに売るためにもおすすめです。
不動産一括査定サイトのブログやコラム欄などをチェックし、どのような情報発信をしているか確認して選ぶようにしましょう。
9.土地の査定は「おうちクラベル」がおすすめ
土地の値段についての種類や調べ方、土地の値段に影響する要因などを紹介しました。
土地の値段には、「公示価格」「基準価格」「固定資産税路線価」「相続税路線価」「実勢価格」といった5つがあります。それぞれ利用目的が異なるため、利用する際は特性をふまえて参考にすることが大切です。
なお、より適正な土地の値段を知りたい場合は、プロに依頼して確認することがおすすめです。
プロに依頼するとき特に無料の不動産一括査定が、時間効率がよく、目的に合った不動産会社を見つけやすいためおすすめです。複数の不動産会社の査定を比較することで適正価格も把握しやすくなります。
不動産一括査定のサイト選びに迷ったら、「おうちクラベル」がおすすめです。
おうちクラベルは、東証プライム上場企業、ソニーグループのSREホールディングスが運営しています。提携不動産会社数には実績豊富な優良企業が多く参画しているため安心してご利用いただけます。