土地の売却に消費税はかからない!その他の税金・費用を解説

土地の売却では、譲渡所得税や印紙税などさまざまな税金がかかります。

では、土地の売却は消費税の課税対象となるのでしょうか?

また、土地の売却でかかるその他の費用に消費税はかかるのでしょうか?

今回は、土地の売却にまつわる消費税やその他の税金、費用などについて詳しく解説します。

消費税とは

消費税とは

消費税とは、商品や製品の販売などの取引に対して課される税金です。

消費税率は原則として10%であるものの、食料品など一部の商品は8%の軽減税率が適用されています。

また、「消費税率10%」といわれるもののこれは正確な表現ではなく、実際は消費税率7.8%と地方消費税率2.2%の合計が10%です。

ただし、この記事では解説をわかりやすくするため、以後は簡易的に消費税率を10%として解説を進めます。

消費税は本来消費者が負担するものですが、各消費者が消費税を個々に計算して税務署に申告や納税をすることは現実的ではありません。

そこで、事業者が商品などを売る際に本体価格に消費税分を上乗せして消費者に請求し、受け取った消費税を事業者が納税する形がとられています。

たとえば、事業者が本体価格20万円のパソコンを売る際は、これに10%を加算した22万円を消費者から受け取ります。

このうち2万円は事業者の儲けではなく、消費税の納税原資となるものです。

この事業者がこのパソコンのみを売っており、1年間に100台売ったとすると、この年における消費税の預かりは200万円分となります。

ただし、事業者はこの200万円をそのまま納めるわけではありません。

なぜなら、事業者も事業を営む中で商品の仕入れや電気代の支払いなど多くの出費をしており、この出費する費用と併せて消費税を支払っているためです。

事業者がその1年間に支払った消費税が150万円である場合は、事業者が確定申告をして納めるべき消費税は50万円(=200万円-150万円)となります。

実際は簡易的な計算ができる「簡易課税」があるほか、インボイス制度に伴う負担軽減措置などもありこれほど単純なものではないものの、ここでは簡単にイメージしておけば問題ありません。

土地の売却で消費税はかかる?

土地の売却で消費税はかかる?

土地を売却する場合、その売却対価に消費税はかかるでしょうか?

消費税がかかるとすると、20万円のパソコンを売る際に22万円を消費者から受け取るように、土地の売出価格の設定においても消費税分を考慮しなければなりません。

結論をお伝えすると、土地の売却に消費税はかかりません。

個人が土地を売る場合であっても、事業者がビジネスとして土地を売る場合であっても同様です。

土地は「消費」するものではなく消費税の性質に馴染まないため、消費税の非課税取引とされています。

参照元:No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など(国税庁)

不動産の売却で消費税がかかるケース

不動産の売却で消費税がかかるケース

土地の売却では例外なく消費税がかからない一方で、土地以外の不動産(つまり、建物)の売却は消費税がかかる場合があります。

不動産の売却に消費税がかかるのは、次の3つの条件を満たす場合です。

  1. 建物の売却であること
  2. 事業用資産や投資用資産の売却であること
  3. 消費税の課税事業者が売却すること

建物の売却であること

先ほど解説したように、不動産のうち「土地」の売却には消費税はかかりません。

一方で、建物の売却には消費税がかかる可能性があります。

事業用資産や投資用資産の売却であること

建物の売却であっても、自宅や別荘など自分や家族が使うための建物の売却には消費税はかかりません。

一方、事業用資産や投資用資産である建物の売却は、原則として消費税の課税対象となります。

事業用資産や投資用資産である建物の売却の具体例は、次のとおりです。

  • 不動産会社が自社が所有者である中古住宅(商品である建物)を売る
  • 賃貸収入を得るために所有しているマンションの1室やアパート1棟を売る
  • 会社が自社ビルを売る

参照元:No.3240 事業用建物等を譲渡した場合の消費税(国税庁)

消費税の課税事業者が売却すること

消費税には免税制度が設けられており、基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下である場合は、原則として消費税の納付が免除されます。

このように消費税の納税が免除されている事業者を「免税事業者」といい、免税されていない事業者を「課税事業者」といいます。

売却する建物が事業用資産や投資用資産であったとしても、売主が消費税の免税事業者である場合は消費税の納税は必要なく、結果的に消費税はかかりません。

一方、売主が課税事業者である場合は消費税の課税対象となります。

土地の売却対価に消費税がかかる場合は、これを加味して売出価格を決める必要があります。

売出価格は、査定額をベースとして不動産会社の担当者に相談したうえで決めることが一般的です。

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土地の売却で消費税がかからない費用

土地の売却で消費税がかからない費用

土地の売却をする際は、さまざまな費用がかかります。

では、土地を売る際にかかる費用に消費税はかかるでしょうか?

ここでは、土地の売却でかかる費用のうち消費税がかからないものを紹介します。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税

印紙税

印紙税とは、契約書や領収証などの文書に対して課される税金です。

土地の売買契約書も印紙税の課税対象文書であり、契約書には収入印紙を貼付する必要があります。

印紙税自体が税金であるため、これに消費税はかかりません。

収入印紙とは国が発行する切手ほどのサイズの証紙であり、郵便局や市区町村役場、法務局などで購入できます。

コンビニエンスストアでも取り扱いがあることが多いものの、領収書への貼付でよく使用される券面200円のものしか取り扱いがないことも少なくないため注意が必要です。

印紙税の額は、土地の売却金額に応じてそれぞれ次のとおりです。

2024年3月31日までに作成する契約書には軽減税率が適用されています。

契約金額 印紙税額
(2024年年3月31日までの軽減税率)
50万円以下 200円
100万円以下 500円
500万円以下 1,000円
1,000万円以下 5,000円
5,000万円以下 10,000円
1億円以下 30,000円
5億円以下 60,000円
10億円以下 160,000円
50円以下 320,000円
50億円超 480,000円

なお、印紙税は契約単位ではなく、契約書の通数だけかかります。

土地の売買契約書は2通作成して売主と買主がそれぞれ原本を保管することが多く、この場合は2通分の印紙税が必要です。

印紙税は、売主と買主がそれぞれ保管する契約書に貼付する分を負担することが一般的です。

参照元:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

登録免許税

登録免許税とは、不動産の登記などに対してかかる税金です。

この登録免許税もこれ自体が税金であるため、登録免許税に対して消費税がかかることはありません。

売買に伴う土地の名義変更にかかる登録免許税額は、次のとおりです。

  • 登録免許税(売買)=不動産の価額×20/1,000

ただし、この売主から買主への名義変更登記にかかる登録免許税は、買主が負担することが一般的です。

一方、抵当権の抹消登記にかかる登録免許税は、売主が負担します。

抵当権とは、ローンの返済が滞った際などに債権者である金融機関が土地を競売(けいばい)にかけ、そこからローン残債を回収するために土地などの不動産に付ける担保です。

土地に抵当権が付いている場合は、土地を引き渡すまでに抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権の抹消登記にかかる登録免許税額は、次の式で算定します。

  • 登録免許税(抵当権抹消)=抵当権を抹消する不動産の数×1,000円

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産の売却益などに対してかかる税金です。

土地を売って利益が出た場合は、その利益に対して譲渡所得税がかかります。

譲渡所得税もこれ自体が税金であるため、消費税はかかりません。

譲渡所得税は国などから納付書が送付されるのではなく、自分で計算をして申告する必要があります。

譲渡所得税の計算式は次のとおりです。

  • 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
  • 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率

計算要素の概要は、それぞれ次のとおりです。

  • 収入金額:その土地の売却で買主から得る対価
  • 取得費:その土地の取得に要した購入代金、仲介手数料など。不明な場合は収入金額×5%で計算する
  • 譲渡費用:その土地を売却するために直接かかった仲介手数料、印紙税、土地を売るために支払った建物の解体費用など
  • 特別控除:要件を満たすことで適用できる、実際の支出を伴わない控除。「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」や「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」など
  • 税率:売却した土地の所有期間に応じて15%(長期)または30%(短期)。なお、別途住民税と復興特別所得税がかかる

譲渡所得税は計算要素が多く複雑です。

また、税金が安くなるための特例も数多く設けられている一方で、それぞれの特例には細かな要件が付されています。

そのため、譲渡所得税は無理に自分で計算するのではなく、土地の査定額がわかった時点で税理士などの専門家へ相談して試算してもらうとよいでしょう。

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土地の売却で消費税がかかる費用

土地の売却で消費税がかかる費用

土地の売却でかかる費用には、消費税がかかるものもあります。

消費税がかかる費用について、それぞれ概要を解説します。

  • 不動産会社の仲介手数料
  • 司法書士報酬
  • 繰り上げ返済手数料
  • 測量費用
  • 古家の解体費用

不動産会社の仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社の仲介によって土地の売買契約が成立した際に不動産会社に支払うこととなるとなる報酬です。

仲介手数料には、原則として消費税がかかります。

仲介手数料はそれぞれの不動産会社が自由に決められるものではなく、売買価格に応じて次の上限額が定められています。

売却価格 仲介手数料の上限額
200万円以下の部分 売却価格の5%+消費税
200万円を超え400万円以下の部分 売却価格の4%+消費税
400万円を超える部分 売却価格の3%+消費税

土地の売買価格が400万円超である場合は、次の算式1つにまとめて計算することもできます(計算結果は同じです)。

  • 仲介手数料の上限額=土地の売買価額×3%+6万円+消費税

仲介手数料は高額となることも少なくありません。

しかし、不動産会社は単に買主を見つけてくれるのみならず、土地をよりよい条件で売るためのアドバイスをくれたり買主との条件交渉をまとめてくれたりする、土地売却のパートナーとなる存在です。

そのため、その土地の売却ノウハウを持つ信頼できる不動産会社に売却を依頼することが、土地売買の成功のカギであるといっても過言ではありません。

土地の売却を依頼する信頼できる不動産会社をお探しの際は、「おうちクラベル」をご活用ください。

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司法書士報酬

司法書士は、登記手続きなどを専門とする国家資格者です。

司法書士の報酬は、原則として消費税の課税対象となります。

売主が司法書士報酬を負担すべき主な場面は、土地の抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合です。

抵当権抹消登記手続きにかかる司法書士報酬は、おおむね1万円から2万円程度です。

繰り上げ返済手数料

繰り上げ返済手数料とは、ローンの残っている土地を売却するにあたって本来の返済時期よりも早くローンを返済する際に金融機関へ支払う手数料です。

繰り上げ返済手数料は、消費税の課税対象となります。

繰り上げ返済手数料の額は金融機関によって異なるものの、おおむね1万円から3万円程度です。

中には、繰り上げ返済手数料がかからない金融機関もあります。

測量費用

売却する土地の境界があいまいである場合は、原則として売却の前に測量を行い、境界を確定しなければなりません。

土地の測量には、隣地の種類に応じて次の費用がかかります。

この測量費用にも、原則として消費税がかかります。

隣地の種類 測量費用の目安
民有地 35万円~45万円
官有地(国有地) 60万円~80万円

ただし、実際にかかる費用は土地の形状や広さなどによって異なるため、あらかじめ見積もりをとっておくとよいでしょう。

なお、境界確定のための土地の測量は土地家屋調査士が行いますが、土地家屋調査士は不動産会社から紹介を受けられることが一般的です。

古家の解体費用

土地上に古家があり、売却へ向けて解体する場合は解体費用がかかります。

解体費用も、消費税の課税対象です。

建物の解体にかかる費用は依頼先の解体会社によって異なりますが、目安となる金額はおおむね次のとおりです。

建物の構造 解体費用の目安
木造 3万~5万円/坪
鉄骨造 4万~6万円/坪
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 6万~8万円/坪

ただし、建物が隣家と密接している場合や道が狭くて重機が入れない場合など、解体の難易度が高い場合はこれ以上に費用がかかる可能性があります。

あらかじめ数社から見積もりをとっておくとよいでしょう。

まとめ

土地の売却には、消費税はかかりません。

土地は消費するものではなく、消費税の課税対象として馴染まないためです。

一方、建物の売却には消費税がかかることがあります。

とはいえ、一般個人が自宅や別荘を売却する際に消費税はかかりません。

土地の売却には消費税はかからないものの、他にさまざまな費用や税金がかかります。

最終的に手元に残る金額を把握するため、土地の査定額がわかった時点であらかじめかかる費用についても試算しておくようにしてください。

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この記事の監修者

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