大切な土地を手放すのであれば、できるだけ高く売りたいことかと思います。では土地をできるだけ高く売るためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
今回は土地をできるだけ高く売る14の方法を紹介するとともに、土地の売却に係る費用などもまとめて解説します。この記事を参考に、ぜひ後悔しない土地の売却を目指しましょう。
- 1 1.土地をできるだけ高く売る14の方法
- 1.1 1-1.土地の相場を把握しておく
- 1.2 1-2.複数の不動産会社から査定を取る
- 1.3 1-3.その地域に強い不動産会社に依頼する
- 1.4 1-4.古家付きでの売却を検討する
- 1.5 1-5.境界を明確にする
- 1.6 1-6.土壌汚染や地盤調査をする
- 1.7 1-7.隣地所有者への売却を検討する
- 1.8 1-8.樹木を剪定するなどきちんと管理する
- 1.9 1-9.売却を急がない
- 1.10 1-10.広い土地は分筆する
- 1.11 1-11.隣地とともに売却する
- 1.12 1-12.需要の高まっているタイミングで売る
- 1.13 1-13.ハウスメーカーやディベロッパーへの売却を検討する
- 1.14 1-14.値引きを前提とした価格設定をする
- 2 2.価値の低い土地をできるだけ高く売る方法
- 3 3.土地を売る際にかかる主な費用
- 4 4.土地を売る際にかかる税金と計算方法
- 5 5.相続した土地を売る際の注意点
- 6 6.まとめ
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1.土地をできるだけ高く売る14の方法
土地をできるだけ高く売るためには、どのような方法を取れば良いのでしょうか?はじめに、土地を高く売るために検討したい14の方法をまとめて紹介します。
- 土地の相場を把握しておく
- 複数の不動産会社から査定を取る
- その地域に強い不動産会社に依頼する
- 古家付きでの売却を検討する
- 境界を明確にする
- 土壌汚染や地盤調査をする
- 隣地所有者への売却を検討する
- 樹木を剪定するなどきちんと管理する
- 売却を急がない
- 広い土地は分筆する
- 隣地とともに売却する
- 需要の高まっているタイミングで売る
- ハウスメーカーやディベロッパーへの売却を検討する
- 値引きを前提とした価格設定をする
1-1.土地の相場を把握しておく
土地を高く売るためには、まずその土地の適正額を把握しておくことが不可欠です。土地を売却するかどうか迷っている場合には、まずはそのエリアにおける土地の相場を調べておくと良いでしょう。
自分で大まかに土地の相場を調べたい場合には、国土交通省が運営する「不動産取引価格情報検索」が参考になります。このウェブサイトでは、詳細なエリアを絞り土地の取引実例を見ることが可能です。
実際に取引された価額とともに、土地の所在地(町名まで)や最寄駅名、その駅からの距離、坪単価、土地の形状(「長方形」「不整形」など)、取引時期などを確認することができます。
売りたいと考えている土地の情報と比較検討することで、その土地の売却可能額を想定しやすくなるでしょう。
1-2.複数の不動産会社から査定を取る
土地の売却を決めたら、売却価格をより正確に想定するために、不動産会社へ査定を依頼すると良いでしょう。まずは土地の情報のみで行う「机上査定」を依頼して、その後実際に現地を見たうえで行う「訪問査定」を受けることが一般的です。
そして、はじめに行う机上査定は、複数の不動産会社へ依頼することをおすすめします。なぜなら、複数社の査定額を比較することで、その土地の適正額を把握しやすくなるためです。
しかし、自分で複数の不動産会社を回って査定を依頼していては多大な手間と時間を要してしまうことでしょう。そこでぜひ「おうちクラベル」のご利用をご検討ください。
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1-3.その地域に強い不動産会社に依頼する
不動産会社にはそれぞれ、得意なエリアや物件種別(更地、中古戸建て、マンションなど)があります。そして、そのエリアに強い不動産会社へ依頼したほうが、土地を高く売却してもらえる可能性が高くなるでしょう。
しかし、その土地が所在するエリアの売買に強い不動産会社をどのように見つければ良いのかわからないという方も少なくないかと思います。そのような際には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
複数社の査定額や査定額への説明、対応方法などを比較することで、その土地の売却に自信のある不動産会社を見つけやすくなるでしょう。
1-4.古家付きでの売却を検討する
土地の上に古家(中古住宅など)が建っている場合には、先走って解体してしまうのではなく、古家付きでの売却も視野に入れて検討すると良いでしょう。古家の状態や地域などによっては古民家への需要があり、古家付きで購入してくれる買い手が見つかる可能性もあるためです。
売り手にとっては、古家付きで売るメリットは少なくありません。まず、古家を解体すれば解体費用がかかってしまう一方で、そのままで売却できれば解体費用の支出が不要となります。
また、住宅である建物が建っている土地は固定資産税の課税標準額が6分の1(200㎡超の部分は3分の1)へ軽減される一方で、古家を壊してしまうとこの軽減が受けられなくなってしまいます。
さらに、建築基準法で定められた接道義務を満たしていない土地である場合には、現在建っている古家を壊してしまえば原則として再度建物を建てることはできず、売却価格が大きく低下してしまいかねません。
一方、更地である方が土地の用途が広がるため、買い手が見つかりやすくなる可能性は高くなります。
いずれにしても、自己判断で古家を取り壊してしまう前に、土地の売却を依頼した不動産会社の担当者とよく相談をしたうえで検討することをおすすめします。
1-5.境界を明確にする
土地の境界が不明瞭な場合には、売却の前に土地家屋調査士に相談して境界を明確にしておきましょう。土地の境界が不明瞭なままでは購入後に買主がトラブルに巻き込まれるリスクがあり、価格を大きく引き下げなければ、買い手がつかない可能性があるためです。
また、仮に買い手が見つかったとしても、売却にあたって買主や隣地所有者との間でトラブルとなる可能性も否定できません。併せて、すでに塀や樹木が越境しているなど境界にまつわるトラブルが生じている場合には、売却の前に越境状態を解消するなどしてトラブルを解決しておきましょう。
1-6.土壌汚染や地盤調査をする
土地の地盤に問題があったり土壌汚染があったりすれば、買主が建てられる建物が制限されてしまうかもしれません。そのため、買い手はこれらのリスクの低い土地を買いたいと考えることでしょう。
そこで、あらかじめ土壌汚染や地盤の調査をしてその結果を購入希望者へ開示できれば、土地の価値を高めることが可能となります。
なお、特に調査をしないまま売却をして後から土壌汚染があることなどが発覚した場合には、買主から損害賠償請求などがなされる可能性も生じるため注意が必要です。
土壌汚染や地盤調査の依頼先に心当たりがない場合には、仲介を依頼している不動産会社へ相談することで紹介してもらえる場合が多いでしょう。
また、これまでの土地の利用状況や土地の所在する地域などによっては、土壌汚染の調査が義務付けられている場合もあります。その土地について調査義務があるかどうかなどについても、不動産会社へ相談することで教えてもらうことができるでしょう。
1-7.隣地所有者への売却を検討する
土地の売買価値は相対的に決まります。そして、隣地の所有者など特にその土地を購入するメリットがある相手へ売却することで、より高値で売れる可能性が高くなるでしょう。
なぜなら、隣地所有者にとっては隣の土地を買い足すことで土地の使い勝手が向上し、資産価値が高まる可能性があるためです。中でも、隣地が旗竿地(はたざおち)や奥に細長い土地、不整形地などであれば、隣地を買い足すことで資産価値が向上しやすく、多少高くても購入してもらえる可能性があるでしょう。
1-8.樹木を剪定するなどきちんと管理する
土地を売却する際には、樹木の剪定や草刈りなど管理を徹底しておきましょう。きれいに管理された土地であれば購入希望者が利用状況を想像しやすく、より高く売りやすくなるためです。
一方、管理ができておらず近隣住民に迷惑がかかっているような状態であれば、購入をためらわれる可能性もあります。
1-9.売却を急がない
土地をより高く売るためには、時間に余裕をもって売却することが鉄則です。なぜなら、売却を急いでいると足元を見られ、買い叩かれてしまう可能性があるためです。
一方、売却を急がないのであれば、希望の価格での購入希望者が現れるまで時間をかけてじっくり待つことが可能となります。十分な時間があれば、無理な値引き要求に応じる必要はありません。
1-10.広い土地は分筆する
売却しようとする土地が近隣の住宅用地などと比較して広いのであれば、分筆して売却することも選択肢の1つとなります。分筆とは、1筆の土地を複数筆の土地に分けることです。
分筆をして使い勝手の良い広さにすることで購入希望者の幅が広がり、買い手がつきやすくなるでしょう。
ただし、宅地を複数に区分けして分譲するためには宅建業の免許が必要であり、免許のない個人が行うことはできません。そのため、分筆する場合には次の2つが選択肢となるでしょう。
- 不動産会社やディベロッパーなどに一括して売却する(その後、不動産会社やディベロッパーが分筆し、宅地を分譲する)
- 分筆したうちの1筆だけを売る
なお、その地域がマンション建築などの可能なエリアであり、マンションディベロッパーなどに売却できる可能性があるのであれば、分筆せずそのままで売却することも1つとなります。
いずれの方法が適しているのかはその土地の広さや地域などによって異なるため、その地域に強い不動産会社へ相談すると良いでしょう。そのエリアに強い不動産会社をお探しの際には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
1-11.隣地とともに売却する
土地の形状などによっては、隣地と共に売却することで、坪単価を引き上げられる可能性があります。
たとえば、接道距離が短く通路の奥にまとまった広さのある土地(いわゆる「旗竿地」)は、一般的な長方形の土地よりも価値が低くなりがちです。これを、その旗竿地と公道に挟まれた部分の土地と一緒に売ることができれば、きれいな形の土地となりより高値で売りやすいでしょう。
また、「うなぎの寝床」とも呼ばれる奥に細長い土地を隣同士で一緒に売ることで、より高く売れる可能性が高くなります。
1-12.需要の高まっているタイミングで売る
土地の価格は固定ではなく、需要と供給によって変動します。つまり、その地域で土地の需要が高まっているタイミングで売れば、より高値で売りやすいということです。
土地の需要が高まる事情としては、次の場合などが挙げられます。
- 新たに鉄道駅ができた
- 新たに高速道路の出入口ができた
- 大型商業施設がオープンした
ただし、売却のタイミングを自分で判断することは容易ではありません。そのため、そのエリアの情報に詳しい不動産会社へ相談すると良いでしょう。
そのエリアに強い不動産会社を知りたい場合には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。複数社の査定額を比較することで、そのエリアに強い不動産会社を見つけやすくなります。
1-13.ハウスメーカーやディベロッパーへの売却を検討する
土地は一般個人に売るのみならず、ハウスメーカーやディベロッパーなどに売却することも選択肢の1つとなります。
特に近隣よりも広い土地などそのままで売却しづらいであれば、土地の価値を知っているハウスメーカーやディベロッパーなどに買い取ってもらうことで、適正額で売却できる可能性が高くなるでしょう。
1-14.値引きを前提とした価格設定をする
土地を売却する際には、まず「売り出し価格」を決めることとなります。売り出し価格とは、売り手側にとっての希望販売価格のことであり、不動産会社による査定額をベースに決めることが一般的です。
ただし、購入希望者から値下げを要求されることも少なくありません。そのため、あらかじめこれを見越して相場よりも多少(1割程度)高く価格を設定しておくことをおすすめします。
また、仮に複数社の購入希望者が現れた場合には、売り手側がつけた多少高い価格のままで売れる可能性もあるでしょう。
2.価値の低い土地をできるだけ高く売る方法
土地の中には、一般的に価値が低いとされる土地も存在します。たとえば、次のような土地です。
- 農地や田畑
- 不整形地・狭小地・無道路地
- 立地の良くない土地
では、これらの土地をできるだけ高く売るためにはどうすれば良いのでしょうか?それぞれ次のとおりです。
2-1.農地や田畑
農地や田畑は農地法の制限があるため、そのままでは買い手が限られてしまいます。また、用途が限られるため宅地などと比較して価値も低く、高値で売ることは困難です。
そのため、農地や田畑を売る場合には、農地を宅地に変えること(「農地転用」といいます)を検討すると良いでしょう。宅地などへの転用が認められる見通しが立てば、より高値で売りやすくなります。
ただし、農地転用は、申請したからといって必ずしも認められるものではありません。また、市町村が将来的に農業上の利用を確保すべき土地として指定した「農業振興地域」に指定されている場合には農地転用は認められないため、先に農業振興地域から除外してもらうための申請が必要です。
これらの手続きは行政書士が専門としているため、土地の売却を依頼している不動産会社に相談し、農地転用に詳しい行政書士を紹介してもらうと良いでしょう。
2-2.不整形地・狭小地・無道路地
不整形地や狭小地、公道に面していない無道路地などは、そのまま売却した場合には価値が低くなってしまいがちです。このような土地であれば、まず隣地所有者に購入を打診するか、これとは反対に隣地を買い取ったうえで隣地と共に売却することなどを検討すると良いでしょう。
また、ハウスメーカーなどに土地を買い取ってもらうことも1つです。ハウスメーカーなどであれば、将来的に隣地の取得ができる可能性を見越すなど、長期的な視点で土地を買い取ってくれる可能性があるためです。
2-3.立地の良くない土地
立地の良くない土地は、一般的に価値が低くなる傾向にあります。ただし、多少駅から距離があっても閑静な住宅地などとして需要がある可能性があるなど、一概にいえるものではありません。
そのため、まずは「おうちクラベル」から、複数の不動産会社へ査定を依頼することをおすすめします。複数の不動産会社から査定を受けることで、売却の見込み額などが把握しやすくなるほか、そのエリアに強い不動産会社を選択しやすくなるでしょう。
3.土地を売る際にかかる主な費用
土地を売却する際にはどの費用がどの程度かかるのでしょうか?主な費用は次のとおりです。
- 仲介手数料
- 古家の解体費用
- 登記費用
- 測量費用
- 抵当権抹消費用
- 住宅ローンの繰上返済手数料
3-1.仲介手数料
不動産会社に土地の仲介を依頼した場合には、仲介手数料がかかります。仲介手数料の上限額は売却価格に応じてそれぞれ次のとおりです。
土地の売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
200万円以下の部分 | 売却価格の5%+消費税 |
200万円を超400万円以下の部分 | 売却価格の4%+消費税 |
400万円超の部分 | 売却価格の3%+消費税 |
なお、土地の売却価格が400万円超であれば、「売却価格×3%+6万円」でも仲介手数料の算出が可能です。これは上限金額ですが、ほとんどの不動産会社がこの金額で仲介手数料を設定します。
3-2.古家の解体費用
売却しようとする土地上に古家がある場合には、この古家を取り壊してから売却することが少なくありません。そして、古家の解体には費用が掛かります。
解体費用は依頼先の工事会社によって異なりますが、木造であれば1坪あたり3万円から5万円程度であり、全体で100万円から200万円程度となることが多いでしょう。
ただし、道路状況から工事車両の進入が難しい場合や隣家と密接している場合など、状況によってはさらに費用が掛かることもあります。そのため、より正確な費用を知るためには、あらかじめ工事会社から見積もりを取っておくと良いでしょう。
3-3.登記費用
土地の売買をしたら、売主から買主へと土地の名義を変えることとなります。この名義変更の登記には次の費用が掛かります。
- 司法書士報酬:5万円から10万円程度
- 登録免許税:土地の固定資産税評価額×2%(令和5年3月31日までは1.5%)
ただし、これらの費用は買主側が負担することが慣例とされており、売主側が負担することはほとんどありません。
3-4.測量費用
土地の売却にあたって測量が必要となる場合には、測量費用がかかります。土地が100坪以下の場合、測量費用はおおむね35万円から80万円程度です。
測量費用は土地の形状や、隣地所有者が私有地であるか官有地であるかなどによって異なります。こちらもあらかじめ見積もりを取っておくと良いでしょう。
3-5.抵当権抹消費用
抵当権とは、仮に約束どおりにローンが返済できなくなった場合に、金融機関などが不動産を売却し、その対価からローンの返済を受ける担保です。
土地に抵当権が付いている場合には、遅くとも引き渡しと同時期までに抵当権を抹消しなければなりません。なぜなら、抵当権が付いたままでは売主側の都合でいつ土地が売られてしまうかわからず、土地の購入者にとって非常に不安定な状態となるためです。
そのような土地を買いたいと考える人は、ほとんどいないでしょう。そして、この抵当権の抹消には次の費用が掛かります。
- 司法書士報酬:1万円から2万円程度
- 登録免許税:抵当権を抹消する不動産の数×1,000円
これは売主側の都合で生じている費用であるため、売主が負担することが一般的です。
3-6.住宅ローンの繰上返済手数料
先ほど解説したように、土地を売却する際には原則として抵当権を抹消しなければなりません。しかし、抵当権の抹消は当然ながら土地の所有者が勝手にできるものではなく、債権者である金融機関の協力が必要です。
そして、まだローンが残っているのであれば、金融機関は抵当権の抹消に応じてくれません。つまり、抵当権を抹消する前提としてローン残債をすべて返済する必要があるということです。
これには、ローン残債の返済を合わせて繰上げ返済手数料が発生する可能性があります。繰上げ返済手数料の額は金融機関によって異なりますが、無料から3万円程度です。
4.土地を売る際にかかる税金と計算方法
土地を売る際には、税金にも注意しなければなりません。土地の売却で発生する可能性のある主な税金は次のとおりです。
4-1.印紙税
印紙税とは、契約書などの書面に貼付することで納める税金です。土地の売買契約書は印紙税法上の課税文書にあたります。そのため、契約書に記した売買代金の額に応じて次の印紙税を納めなければなりません。
売買代金 | 印紙税額 |
50万円以下 | 200円 |
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
5億円以下 | 60,000円 |
10億円以下 | 16万円 |
50億円以下 | 32万円 |
50億円超 | 48万円 |
土地の売買契約書は、売主と買主がそれぞれ1通ずつ保管することが多いでしょう。印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成される書類それぞれにかかります。そのため、契約書を2通作成する場合は2通分の印紙税がかかるということです。
印紙税は売主と買主がそれぞれ、自分が保管する分について負担することが一般的です。
4-2.譲渡所得税
土地を高く売ることができ「儲け」が生じた場合には、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税の計算方法は次のとおりです。
- 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
- 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率
それぞれの要素の概要は次のとおりです。
4-2-1.収入金額
収入金額とは、土地や建物を売ったことによって買主から受け取る金銭の額などです。
4-2-2.取得費
取得費とは、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料、設備費、改良費などです。土地の取得に際して支払った測量費や、購入時に納めた登録免許税、登記費用、不動産取得税、印紙税なども計上できます。
なお、先祖代々の土地である場合など自分で買った土地でない場合には、取得費が不明な場合もあるでしょう。この場合には、「収入金額×5%」で取得費を計算します。
4-2-3.譲渡費用
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです。たとえば、仲介手数料や印紙税のうち売主が負担したもの、土地を売るためにその上の建物を取り壊した費用などがこれに該当します。
4-2-4.特別控除
譲渡所得税には、さまざまな特別控除が設けられています。これにより、結果的に譲渡所得税がゼロとなるケースも少なくありません。代表的な特別控除は次のとおりです。
- マイホームを譲渡した場合の3,000万円特別控除
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除
- 収用等により土地建物を譲渡した場合の5,000万円特別控除
なお、それぞれの特別控除には、適用を受けるための要件が厳しく定められています。
また、特別控除を適用するためには、たとえ結果的に譲渡所得税がゼロになる場合であっても、原則として期限内に確定申告をしなければなりません。そのため、土地を譲渡するにあたっては、あらかじめ税理士へ相談しておくことをおすすめします。
4-2-5.税率
譲渡所得税の税率は、売却した土地や建物の保有期間によって2段階に分かれます。譲渡した年の1月1日時点での保有期間が5年超であれば「長期」となり15%、5年以下であれば「短期」となり30%です。
ただし、令和19年(2037年)までは復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%がこれらに加算されます。また別途住民税も納めなければなりません。これらを表にまとめると次のとおりとなります。
長期・短期の別 | 税率(復興特別所得税を含む) |
長期 | 20.315%(所得税15.315%、住民税5%) |
短期 | 39.63%(所得税30.63%、住民税9%) |
5.相続した土地を売る際の注意点
高く売却したいと考えている土地が自分で購入したものではなく、相続で取得したものである場合もあるでしょう。その場合には次の点にも注意が必要です。
- 先に相続登記を済ませる必要がある
- 小規模宅地等の特例に注意する
- 譲渡所得税の計算で取得費の特例が受けられる可能性がある
5-1.先に相続登記を済ませる必要がある
土地は故人名義のままでは売ることができません。そのため相続した土地を売る場合には、先に相続登記を済ませる必要があります。
相続登記とは、亡くなった人(「被相続人」といいます)名義の土地を相続人など存命の人の名義へと変える手続きです。相続登記をするには多くの書類を集め、登記申請書の作成などをしなければなりません。
これを自分で行おうとすれば、多大な手間や時間を要してしまうことでしょう。また、手続きに手間取って相続登記の完了までに時間がかかれば、土地の売却も遅れてしまいます。
そのため、相続登記は司法書士などの専門家へ手続きを依頼することも検討すると良いでしょう。
5-2.小規模宅地等の特例に注意する
小規模宅地等の特例とは、相続税の計算上、土地を最大8割減で評価することができる特例です。相続税の軽減効果が大きいため、相続税がかかる際にはぜひ活用したい特例の1つです。
しかし、小規模宅地等の特例には、土地の用途や取得者によって、さまざまな要件が設けられています。中には、「その宅地等を相続税の申告期限まで有していること」などが要件となっている場合もあります。万が一これを申告期限前に売ってしまうと、特例の適用が受けられなくなってしまうため注意が必要です。
また、相続税の申告期限後に売った場合であっても、その売却価格と相続税申告上の評価額に大きな乖離があると追徴が求められるかもしれません。そのため、相続税の申告がある場合において、相続した土地を相続後すぐに売却する場合には、税理士とよく相談しておく必要があるでしょう。
5-3.譲渡所得税の計算で取得費の特例が受けられる可能性がある
土地を高く売って「儲け」が出た場合に譲渡所得税の対象となることは、先ほど解説したとおりです。
そして、相続税がかかった相続で取得した土地を売却した場合には、譲渡所得税の計算にあたって「取得費加算の特例」が受けられるかもしれません。これは譲渡所得税の計算上、その土地にかかった分の相続税を取得費に加算することができる特例です。
この特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限後3年を経過する日まで(相続発生の翌日から3年10ヶ月以内)に土地を譲渡しなければなりません。特例の適用を受けたい場合には、税理士に相談しておくと良いでしょう。
6.まとめ
土地をできるだけ高く売る方法などについて解説しました。大切な土地を売却する際には、後悔してしまうことのないよう、できるだけ良い条件での売却を目指しましょう。
そのためにはまず、その土地の売却に強い信頼できる不動産会社と出会うことが重要です。しかし、自分で複数の不動産会社を回って査定を依頼しようとすれば、多大な手間を要してしまいます。
そのような際には、ぜひ「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。おうちクラベルでは、60秒入力で複数の不動産会社へ査定を依頼することが可能です。
複数社の査定額や対応内容などを比較することで、その土地の売却に強い信頼できる不動産会社を見つけやすくなります。信頼できる不動産会社と共に戦略を練り、より良い条件での土地の売却を目指しましょう。