マンションを売りに出しても購入検討者が現れない状況は、誰でも不安になるものです。売れない理由を分析しなければ、売却は成功しません。マンションが売れずに悩んでいる方に、売れない理由と対策をご説明します。
マンションが売れない8つの理由
マンションが売れないのはなぜでしょうか?そこには次のような8つの理由があります。
- 理由①売却価格が相場より高い
- 理由②築年数が古い
- 理由③売れにくい時期に売却している
- 理由④同じマンション内に売り出し中の物件がある
- 理由⑤部屋や共用部分が汚い
- 理由⑥内覧時の対応に不満を持たれている
- 理由⑦管理費や固定資産税が高い
- 理由⑧不動産仲介業者や担当者に問題がある
まずは自分の物件がどの理由にあてはまるのか、分析することが大切です。売れない理由が明確になれば、次の対策を講じるヒントにもつながります。
理由①売却価格が相場より高い
売却価格が相場よりも高いと、ほかの物件と比較して割高感が出てしまい、選ばれにくくなる可能性があります。「少しでも高く売りたい」というのが売主の心理ですが、反対に買主は「少しでも安く買いたい」と思うものです。同じような条件で安い物件があれば、そちらのほうが魅力的に映ることが多いでしょう。
買主はマンションを購入する際に予算を組んでいることがほとんどです。価格が高すぎる場合は、それだけで検討の対象外になってしまうこともあります。価格設定だけが原因で、内覧や成約の機会を逃しているのは、もったいないことです。
内覧希望者がなかなか現れない場合は、売却価格が原因になっている可能性があります。仲介会社に相談して、改めて売却価格の見直しを検討するのもひとつの手段です。
理由②築年数が古い
日本では未だに新築志向が強いため、築年数が古くて老朽化しているマンションは売れにくい可能性があります。立地条件に恵まれているなど一部の物件は売れる可能性がありますが、そうでない場合はなかなか難しいものです。近隣で売り出し中の新築・築浅の物件があれば、そちらを選ぶ人も多いでしょう。
また建築確認日付が1981年5月31日までのマンションは旧耐震基準が適用されているため、必ずしも十分な耐震性能を備えているとは言い切れません。地震リスクを懸念して、敬遠されてしまう可能性も考えられます。
理由➂売れにくい時期に売却している
売り出す時期に問題がある可能性もあります。マンションは、売れやすい時期と売れにくい時期が分かれます。時期によっては、売却価格が大きく変動することも考えられるでしょう。
3月は新生活に向けた引っ越しが増えるため比較的売れやすいですが、それ以外の時期は思うように売れない可能性があります。とくに、8月は暑く外出がおっくうになる時期なため、マンションが売れにくい時期だと知られています。売れない状態が長く続くと、売れ残りのイメージがついて物件の印象が悪くなり、その後も売れないという悪循環です。急がないのであれば、売れやすい時期に合わせることも検討してみましょう。
理由④同じマンション内に売り出し中の物件がある
同じマンション内で売り出し中の物件があると、売れにくくなる可能性があります。競合物件のなかでも、同じマンション内の物件はとくに比較対象になりやすいです。リフォームをしているなど何か差別化要素がない限りは、単純に価格競争になってしまうことがあるでしょう。
そのような状況で売るためには、価格や売り出し時期を見直す必要があります。早く売りたいのであれば、価格を下げて価格競争に勝たなければなりません。できるだけ高く売りたいということであれば、競合物件が売れた後に時期をずらして売却するのも良いでしょう。
理由⑤部屋や共用部分が汚い
内覧の際、部屋の中が散らかっていたり汚れていたりという状態では、いくら条件が良い物件でも購入意欲が下がってしまうことがあります。「ここに住みたい」と思ってもらえるように、内覧の前に部屋の中を掃除しておくことが大切です。
さらに多くの購入検討者は、部屋の中だけでなくマンションの共用部分の清潔さもチェックしています。ゴミ置き場や階段など共用部分の清掃状況をみて、管理が行き届いているマンションかどうか判断する人も少なくありません。
理由⑥内覧時の対応に不満を持たれている
内覧では部屋と共用部分の印象に加えて、売主による案内や質問対応なども物件の印象を左右します。購入検討者にとってマンションは高額な買い物であるため、信頼できる売主から購入したいと思うはずです。
内覧の申し込みがあるのにもかかわらず購入に至らない場合は、内覧時の対応に不満を持たれている可能性を疑いましょう。
理由⑦管理費や固定資産税が高い
マンションを所有している期間は、管理費や固定資産税などランニングコストの支払いが必要です。将来にわたって支払い続けなければならないため、ランニングコストが高い物件を敬遠する方もいます。
公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2020年度)」によると、月額管理費は経年化するにつれて低下傾向、月額修繕積立金は築10~20年が最も高くそれ以降は低下傾向であることが分かっています。またプールやジムなどの共用施設、コンシェルジュサービスなど、共用部分が充実しているマンションは管理費も高くなりやすいです。
理由⑧不動産仲介業者や担当者に問題がある
不動産仲介業者や担当者が原因で、売れなくなっている可能性もあります。同じ不動産仲介業者でも、新築マンション販売に強い会社や一戸建て販売に強い会社など、得意分野は多種多様です。中古マンションの販売実績が乏しい会社を選んでしまうと、良い物件でもなかなか売れないことがあります。
さらに売れ行きに大きな影響を与えるのが、担当者の経験と技量です。査定価格の根拠が曖昧だったり周辺環境に疎かったりする担当者は、経験や技量が不足している可能性があります。これでは、物件の魅力を十分に伝えることができません。
マンションが売れない理由のパターンを掴む
首都圏の中古マンションの売却にかかる平均期間は、4か月程度となっています。次の2パターンのような状況が4か月以上続くようであれば、売却戦略を見直すことも検討しましょう。
- 内覧の予約が入らない
- 内覧後に成約まで至らない
どちらのパターンも、売れないという結果は同じです。しかし売れない原因や、売るために必要な戦略の内容が異なります。それぞれのパターンの特徴をみていきましょう。
ケース①内覧の予約が入らない
内覧の予約が入らない場合は、「物件情報が購入検討者に届いていない」もしくは、「物件情報をみただけで候補から外れている」可能性があります。売るためには、物件情報の出し方や価格設定など、物件の第一印象となる部分を根本的に改善すべきです。
物件情報が購入検討者に届いていないのであれば、不動産仲介業者による宣伝がうまく機能していません。まずは、不動産仲介業者に現状どのような方法で物件を宣伝しているか確認します。必要に応じて、今後の戦略を練り直したほうが良いでしょう。
物件情報をみただけで検討候補から外れているのであれば、価格設定が相場と乖離していないか確認が必要です。先述のとおり、価格が高すぎると周辺物件との価格競争に負けてしまい、いつまでも売れ残ってしまいます。
ケース②内覧後に成約まで至らない
内覧には来てもらえるものの、成約まで至らないパターンもあります。主な原因は「ほかの物件と比較した結果、見劣りしてしまっている」ということです。成約につなげるための魅力発信が、あと一押し足りていません。内覧に訪れた購入検討者に対して、いかに物件をアピールするかが売却成功の鍵になります。
購入検討者はより良い条件のマンションを求めて、複数物件を内覧・比較したうえで購入を決断するケースがほとんどです。内覧時に汚れた共用部分や部屋をみてしまうと、物件のイメージは大きく低下します。またほかの物件と比べたときに差別化要素がない物件は、魅力的には映りません。
内覧時の対応も、ほかの物件と比較されるポイントです。内覧予約が入った時点から物件の評価は始まっていると考えて、丁寧な対応を心がけましょう。
売れないマンションを売却するための対策
売れないマンションを売却するためには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。売れない理由から考えると、効果的な対策は次の7つです。
- 対策①適切な価格に見直す
- 対策②物件のアピールポイントを分かりやすく伝える
- 対策③売却のタイミングをずらす
- 対策④不動産仲介業者や媒介契約を変更する
- 対策⑤部屋のリフォームやクリーニングを行う
- 対策⑥内覧時の対応方法を見直す
- 対策⑦物件の宣伝方法を見直す
ひとつずつ内容をみていきましょう。
対策①適切な価格に見直す
購入するマンションを選ぶとき、価格が決め手となるケースは多いでしょう。ほとんどの買主は、現在の収入から無理なく返済できるローン金額を計算して、マンションの購入予算を組みます。ローン返済以外にも子どもの教育費や老後の資金が必要になるため、検討候補として残るためには適切な価格設定が不可欠です。
まずは近隣で売り出し中の類似物件の価格を調べ、相場価格がどのくらいか把握しましょう。類似物件を探すときは、築年数や面積、立地などが似ている物件を複数件選ぶのがコツです。相場価格と比較して高すぎる場合は、適切な価格に見直す必要があります。
また、売却スケジュールによっても、適切な価格は異なります。早く売りたい場合は相場価格よりやや低め、時間に余裕がある場合は相場価格よりやや高めに設定するのが望ましいでしょう。
対策②物件のアピールポイントを分かりやすく伝える
価格に見合うアピールポイントを伝えられれば、相場より少し高くても購入につながる可能性があります。たとえばリフォーム履歴や生活利便施設などの周辺情報、暮らしやすさなどは、購入検討者にとって興味深い内容です。実際に住んでいたからこそ伝えられるポイントを、最大限アピールしましょう。買主が知りたいと思う情報を、分かりやすく伝えることが大切です。
広告などに掲載する室内写真は、数が多いほどイメージがわきやすいです。天候や時間帯を考慮し、できるだけ明るく美しい写真を使用しましょう。さらに周辺環境など詳しい情報まで載せておくと、問い合わせが増える可能性があります。また、内覧の前には質問を想定し、細かな質問にも的確に答えられる準備をしておきましょう。
対策➂売却のタイミングをずらす
売り出したものの長期間反響がない場合は、思い切って一時的に売却を止めるのも手です。売りやすい時期になるまでタイミングを見計らって、再開すると良いでしょう。
新生活が始まる前の1~3月は、マンション購入を考える人が増えるため売却が成功しやすい時期です。需要自体が増えるため、なかなか売れなかった物件も成約するチャンスが高まります。3月引き渡しに間に合わせるためには、前年の11〜12月頃から売却活動を開始することが必要です。
対策④不動産仲介業者や媒介契約を変更する
マンション売却は、不動産仲介業者の対応能力にも大きく左右されます。もし不動産仲介業者の対応に問題がある場合は、依頼する仲介業者を変更するのが確実な対処法です。
複数社に販売活動を依頼する方法もあります。その場合は、媒介契約の変更が必要なケースもあるため注意しましょう。締結済みの媒介契約が「専属専任媒介契約」もしくは「専任媒介契約」の場合、仲介業務を依頼できるのは1社のみです。複数社に並行して依頼したい場合は「一般媒介契約」に変更が必要になります。
対策⑤部屋のリフォームやクリーニングを行う
内覧時の印象を良くするための方法として、ハウスクリーニングやリフォームなどの選択肢があります。ハウスクリーニングとは、専門業者が専用の洗剤や器具で清掃を行うことです。普段の掃除では落とせない汚れも綺麗にしてくれるため、仕上がりがまったく違います。汚れを理由に値引き交渉されることも少なくなるでしょう。
リフォームも物件のイメージアップに役立つ可能性があります。ただし、リフォームは多額の費用がかかるため注意が必要です。最近では「自分でリフォームしたい」という買主もいるため、売却前のリフォームは必須ではありません。
対策⑥内覧時の対応方法を見直す
内覧予約は入るものの購入に至らない場合は、内覧時の対応方法を見直すことも必要です。基本的なことですが購入検討者に対して、的確に回答することや笑顔で気持ちよく接することができていたでしょうか。
都合の良いアピールポイントだけ強調してマイナスポイントの説明が不足しているなど不誠実な対応も、良い結果に結び付きません。購入検討者の気持ちに寄り添って、誠実な対応をすることが大切です。
対策⑦物件の宣伝方法を見直す
物件に対する問い合わせが少ない場合は、宣伝の戦略を見直すことが必要です。宣伝手法は、チラシや住宅情報誌、看板、インターネット広告などさまざまな方法があります。
効果的な宣伝手法を選択したり広告を作成したりという業務は不動産仲介業者が行いますが、任せっぱなしは禁物です。広告が掲載されたら実際に内容を確認し、定期的に販売状況の報告を求めましょう。
マンションの売却は戦略的な販売活動が大切
思い通りにマンションが売れないと、焦ってしまいがちです。しかし理由を分析して適切な対策をとれば、売れない状況を打開することができるでしょう。
販売活動を行っても問い合わせがなければ、価格や宣伝戦略などを見直すことも必要です。内覧から成約に結び付かないときは、部屋と共用部の清潔さや購入検討者への対応に細心の注意を払いましょう。
売れない状況に陥っても不動産仲介業者の担当者と協力して、軌道修正していくことが大切です。おうちクラベルは複数社に一括で査定依頼ができるサービスです。中古マンションの売却に強く、信頼のおける担当者をみつけることができるでしょう。
Q.マンションを売りに出したら、売却するまでにどのくらいの期間がかかるのですか?
A. 一般的なマンションの売却にかかる期間は4か月といわれ、もちろんもっと短い期間で売れる場合もあれば、もっと長い期間で売れる場合もあります。しかし、マンションは4か月以内に売却できなければ、売主さまの希望条件で売るのが困難になる可能性があるかもしれません。
Q.マンションが売れない場合は、必ず価格を安くしないといけないのですか?
A.必ず価格を安くしないといけないわけではありません。物件のアピールポイントがもっと伝わるように工夫したり、不動産仲介業者を変更したりなど、さまざまな対策をとることができます。ただし、価格を下げると買主がすぐにみつかるケースも多いのは事実です。