マンション買取を利用する際にメリット・デメリットを知ったうえで買取を選択するようにしましょう。また、買取は仲介に比べ手続きが簡素化されており、早く売りたい方にはおすすめのマンション売却方法です。
マンション買取とは?
マンションを売却する方法には、「買取」と「仲介」の2種類があります。買取とは売りたい物件を不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
一方、仲介では不動産会社が売主と買主の間に入り、売却のサポートを行う方法です。両者の大きな違いは買い手であり、買取では専門家である不動産会社が買主になるのに対し、仲介では多くの場合が個人となります。
そのため、契約上のトラブルなどを避けるために、不動産会社が間に入って売買契約のサポートを行う仕組みとなっています。なお、買取で不動産会社が買い取ったマンションは、必要な補修、改修を行って再び売りに出されます。
マンション買取のメリット
マンション買取には、仲介にはないさまざまな長所があります。ここでは、買取の具体的な特徴について、以下の4つのメリットから詳しく解説します。
- 短期間で売却できる
- 契約不適合責任が発生しない
- 購入希望者への内覧対応がない
- リフォームをする必要がない
買取のもっとも大きなメリットは、仲介と比べて売却までの時間を大幅に短縮できる点にあります。不動産会社との直接的なやりとりのみで手続きを完了させられるため、スムーズに現金化できるのが強みです。
しかし、買取にはそれ以外にも売主の負担を軽減させるさまざまなメリットがあります。詳しくみていきましょう。
メリット①短期間で売却できる
前述の通り、マンション買取の最大のメリットは、「短期間での売却が可能」な点にあります。仲介では個人の買主を探す必要があるため、購入希望者を募集するための広告・宣伝に大幅な時間がかかってしまいます。
売却までに必要な期間は物件の条件によっても異なりますが、一般的に短くても半年近く、長ければ1年以上かかってしまうケースも少なくありません。それに対して、不動産会社に直接売却する買取では、早ければ1ヶ月以内に現金化することもできます。
そのため、たとえば「急な転勤で引っ越しをする必要がある場合」や「住宅ローン返済が苦しくなる前に手放さなければならない場合」など、スケジュールにゆとりが持てないときには買取が適した方法といえます。
メリット②契約不適合責任が発生しない
買取の重要なメリットの1つに、「契約不適合責任が免除される」というポイントがあげられます。契約不適合責任とは、簡単にいえば引き渡しから一定期間内において、契約書に記載のない設備の不具合などが発覚した場合に、売主が補修や損害賠償などの責任をとるという制度です。
不動産の取引においては、たとえば物件の引き渡し後に、契約書に記載がない雨漏りが発覚したケースなどが当てはまります。この場合、買主は売主に対して、補修費用の請求や雨漏りによって壊れてしまった電化製品の損害賠償請求などを行うことができるのです。
このように、契約不適合責任は買主を守るための重要な決まりである一方、売主にとっては特に注意が必要なルールでもあります。しかし、マンション買取では買主が専門家である不動産会社となるため、特約によって契約不適合責任を免責してもらうことができます。
そのため、引き渡し後のトラブルを心配せずに売却ができるのも買取の大きなメリットとなります。
メリット③購入希望者への内覧対応がない
仲介で売却を行う場合は、購入希望者による内覧が行われ、そのうえで気に入ってもらえたときに初めて売買契約が成立します。そして、一回の内覧でスムーズに契約へ至ることは稀であり、実を結ぶまでには10件程度の内覧対応を行うのが一般的です。
きちんと売却に結びつけるためには、内覧希望があるたびに部屋の片付けや掃除を行う必要があり、資料なども用意しながら内覧者を丁寧に迎えなければなりません。また、内覧希望は土日や祝日に入ることが多いため、そのたびにスケジュールを調整しなければならないのも難点です。
一方、不動産会社に直接売却できる買取では、仲介のように何度も内覧対応を行う必要はありません。担当者に室内をチェックしてもらう必要はありますが、専門的な視点で効率よくみてもらえるため、スムーズに手続きを進められるのです。
メリット④リフォームをする必要がない
これまでも解説したように、買取で買い取られた物件は、不動産会社がリフォームを行って再び市場に出されます。そのため、売主自身が売却前にコストをかけてリフォームをする必要はありません。
そもそも、一定以上の築年数が経過した中古マンションにおいては、「購入費用を抑えられる分だけ自分好みのリフォーム・リノベーションを行える」といったニーズもあります。そのため、売却前にリフォームをしても、その分の費用を丸ごと売却価格に上乗せできるとは限りません。
不動産会社と直接的に交渉する買取では、こうした手続き上の注意点も詳しく相談できるため、余計な出費のリスクを予防できるのもメリットです。
マンション買取のデメリット
買取にはさまざまなメリットがある一方で、どうしても避けられないデメリットもいくつかあります。そのため、メリットとデメリットの両面に目を向けたうえで、仲介と比べてどちらの方法が適しているかを検討することが大切です。
買取のデメリットは、大きく分けて以下の2点です。
- 買取額が安くなりがち
- 買取不可の可能性もある
ここでは、それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
デメリット①買取額が安くなりがち
買取のもっとも大きなデメリットは、売却額が相場より安くなってしまう点にあり、仲介に比べて「7~8割程度」の金額にまで下がってしまうのが一般的です。買取された物件は再販に向けてのリフォーム費用がかかるため、売却額からあらかじめその分のコストを差し引かれることとなります。
また、買取を行ったマンションを必ずしもすぐに売却できるとは限らないため、不動産会社としてはある程度のリスクを考慮した値付けを行う必要もあります。そのため、結果として買取価格が大幅に下がってしまうのです。
ただし、仲介を選択するからといって、必ずしも買取より高い値段ですぐに売却できるとは限りません。納得のいく価格で売るためには、適切な売却戦略を立てたうえである程度の時間をかける必要があります。「早く売りたいのか高く売りたいのか」を明確にしたうえで、売却方法を検討することが大切です。
デメリット②買取不可の可能性もある
買取を検討するときには、必ずしも契約が成立するとは限らない点に注意する必要があります。立地や築年数などの条件において、そもそもほとんどニーズが見込めないようなケースであれば、再販が難しいと判断されて買取を行ってもらえない可能性もあるのです。
また、物件自体にそれほど大きな問題はなくても、対象の不動産会社が取り扱うエリアから外れている場合には、買取を断られてしまうことがあります。そのため、不動産会社を選ぶときには、売りたい物件の種類や所在エリアなどの条件に合う依頼先をみつけることが重要です。
マンション買取が向いている条件とは?
買取にはスムーズに売却が完了するという特徴があるため、基本的には早く物件を手放し、現金化したいという方に適しています。しかし、売主自身の事情だけでなく、物件の条件によっても買取を選択したほうが良いケースもあるのです。
以下のようなケースに当てはまるマンションの売却を考えている場合には、仲介だけでなく買取も視野に入れて検討してみましょう。
- 築年数が経過しているマンション
- 部屋の状態が悪いマンション
- 人気がない間取りのマンション
- 立地が悪いマンション
ここでは、なぜ上記の特徴を持つマンションに買取が向いているのか、具体的な理由を解説します。
築年数が経過しているマンション
マンション売却においては、築年数によって難易度が大きく左右されます。中古マンションの購入者は、築年数で条件を設定して物件探しをすることも多いため、一定以上の年数が経過しているとそもそも候補にあがらない可能性も十分にあり得ます。
特に、1981年5月以前の「旧耐震基準」で建築されたマンションは、現行の耐震基準よりも耐震性が低い物件が多いため、仲介で買い手をみつけるのが難しいことが多いです。また、2022年現在でいえば、旧耐震基準のマンションは築40年以上経過しているため、配管や設備の老朽化もかなり進んでいると考えられます。
契約不適合責任などのリスクも踏まえて、専門家である不動産会社に買い取ってもらうほうが良いでしょう。
部屋の状態が悪いマンション
「クロスやフローリングの傷みが激しい」「目立った欠陥がある」といった場合も、仲介より買取が適しているといえます。仲介では契約前に購入希望者による内覧が行われるため、たとえ築浅などの好条件の物件であっても、みた目の状態が悪いと敬遠されてしまう可能性があるのです。
買取であれば、表面などの劣化を解消することを前提にして状態をみてもらえるため、現状のままでも取引できる可能性が高くなります。
人気がない間取りのマンション
物件の築年数や状態とともに、間取りのタイプも売却の難易度を左右するポイントとなります。たとえば、全部屋和室の物件はどうしてもみた目に古さを感じさせてしまうため、そのままでは買い手をみつけるのが難しいケースがあります。
また、古い物件には各部屋が細かく区切られている間取りも多いのですが、現在では世帯の居住人数が減少していることから、部屋数の多さよりもリビングの広さが重視される傾向にあります。このように、人気の間取りタイプも変化しているため、現在のニーズに該当しなければ仲介による売却が困難な場合も多いです。
買取であれば、不動産会社がきちんと手を加えたうえで市場に出されるため、立地などに恵まれてさえいれば、間取り面で不利な物件でも十分に買い手がみつかります。
立地が悪いマンション
中古マンション市場では、さまざまな条件のなかでも特に立地が重要視されます。建物の価値は年数の経過にしたがって低下していくのに対し、土地の価値は減少しないため、立地条件を優先する方が多いのです。
立地が悪いマンションは、仲介で買い手をみつけようとしても難航してしまうことが多いため、はじめから買取を検討するのも1つの方法です。
マンション買取の流れ
マンション買取は、必要な準備をスムーズに済ませれば、1週間~1ヶ月程度で手続きを完了させることもできます。ここでは、買取のおおまかな流れを解説します。
- 事前準備
- 査定依頼
- 交渉と打ち合わせ
- 売買契約の締結
- 決済と引き渡し
事前準備では、おおまかな売却価格の相場を調べておき、どのくらいで売れそうか見当をつける必要があります。また、住宅ローンが残っている物件を売る際には、引き渡しまでに売却代金を使って完済しなければならないため、ローンの残高もチェックしておきましょう。
おおまかな相場を調べたら、不動産会社に査定依頼を行って、具体的な売却価格の目安を把握します。そして、提示された価格に納得できる会社がみつかれば、具体的な交渉と打ち合わせへ入りましょう。
買取額・家財の処分方法、引き渡し日などの交渉がまとまったら、売買契約書を交わして売買契約の締結を行います。その後、引き渡し日が訪れたら代金の決済と引き渡しが行われ、登記の手続きを済ませると買取手続きは完了です。
マンション買取で高く売るコツ
これまでみてきた通り、買取は基本的に早く売るための方法であり、高く売ることを考えるなら仲介でじっくりと売却戦略を立てることが大切です。しかし、買取であってもきちんと事前に準備をしておけば、必要以上に価格が下がってしまうのを防ぐことができます。
納得のいく価格で買い取ってもらうためには、以下の2点を意識して準備を進めましょう。
- 複数の会社に査定を依頼する
- マンションの売却相場を把握しておく
ここでは、それぞれの具体的な注意点を解説します。
複数の会社に査定を依頼する
マンション買取を行うためには、不動産会社に査定を依頼して、具体的な価格を提示してもらうこととなります。このときに重要なのは、必ず「複数の会社に査定を依頼する」ということです。
不動産には定価という概念がなく、査定を行う会社によって価格に大きな差が生まれることもあります。たとえば、査定依頼したマンションと同じようなタイプの案件を得意としている会社であれば、再販するときにもある程度強気の価格設定が行えるため、高く買い取ってくれる可能性があります。
反対に、査定を依頼した物件の取り扱いに慣れていない会社では、どうしてもリスクを考慮した控えめの価格になってしまうのです。そのため、はじめから依頼先を1つに絞り込むのではなく、幅広いタイプの会社に査定依頼を行い、提示額や対応を比較することが大切です。
しかし、不動産の査定依頼ではさまざまな情報を正確に伝える必要があるため、1社ずつ手続きを行おうとするとどうしても手間や時間がかかってしまいます。そこで、まとめて複数の会社に査定依頼が行える「一括査定サービス」を利用すると便利です。
マンションの売却相場を把握しておく
購入希望者を広く募集する仲介とは異なり、買取では基本的に不動産会社とのやりとりのみで価格が決まります。そのため、万が一不動産会社から低い価格を提示されたとしても、売主がその事実に気づける機会はありません。
提示される査定額が妥当であるか見極めるためには、あらかじめ自分でも売りたいマンションの売却相場を調べておくことが大切です。たとえば、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営している「レインズ・マーケットインフォメーション」では、過去に取引されたマンション売却の事例や成約価格がデータベース化されています。
売りたいマンションの条件に類似した取引事例をいくつかピックアップすれば、そこからおおまかな売却額の見当をつけることができます。また、国土交通省の「土地総合情報システム」でも、同じように過去の取引事例を調べることができます。
インターネットを使えば、どちらもコストをかけずにチェックできるため、査定依頼を行う前に確認してみてください。
マンション買取は複数の会社から査定してもらい高額買取を目指そう
マンションを売却する方法には買取と仲介の2種類があります。買取は不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法であり、手続きがシンプルであるのに加えて、早期に現金化できるのが大きなメリットです。
そのため、急な転勤などでスケジュールにゆとりがないケースに適した売却方法といえます。また、築年数や立地条件などで売却に不利な条件を持つ物件も、買取であれば時間をかけずに売却できる可能性があります。
一方、仲介と比べて売却額は安くなってしまうため、少しでも高く買い取ってもらうためにも、複数の会社に査定依頼を行うことが大切です。一括査定サイトを上手に活用して、高く買い取ってくれる不動産会社を効率よくみつけましょう。
Q.マンション買取で複数の会社に査定依頼すると良いと聞くのですが、どのくらいの会社に査定を申し込むべきですか?
A.マンションを少しでも高く売却したいのであれば、複数の会社に査定してもらうのは必須だといえます。大手だけに絞るのではなく、地域の中小不動産会社なども含めて、幅広く査定を依頼しましょう。そうすることで、大手と中小の価格差などが確認できます。
Q.マンション買取を利用する際、売却のタイミングがあれば教えてください!
A.売却する時期としては10月くらいから売却する準備を始めてください。購入者は引っ越しシーズンを避けるために、2~3月より少し前に検討を始めます。また、手続きなどもあるため余裕を持った売却計画を立てておきましょう!