資産には「法定耐用年数」が設定されており、マンションも例外ではありません。法定耐用年数とマンションの寿命は必ずしもイコールではありませんが、法定耐用年数に関する知識はマンション選びの参考となります。
そこでこの記事では、マンションの耐用年数と寿命との違いやマンションの耐用年数や寿命を知る方法などについて解説します。築年数が経過したマンションの売却などを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.マンションの耐用年数とは
マンションの購入を考えていて情報収集をするうちに、「マンションの耐用年数」という言葉を見聞きしたという方もいるかもしれませんね。
この耐用年数というのはどういう意味なのか、マンションの寿命とは違うのかといった点を知りたい方もいるのではないでしょうか。
実は耐用年数には以下のような考え方があります。
- 法定耐用年数
- 経済的耐用年数
- 物理的耐用年数
1-1.法定耐用年数
法定耐用年数とは、税法によって定められた固定資産を使用できる期間のことを指します。マンションの場合は、税法上そのマンションを使えると定められた年数のことです。
法定耐用年数は建物の構造・建材・用途などによって年数が異なります。
例えば、住宅用に使用するもの・事務所として使用するもの・病院として使用するものでは、同じ鉄筋コンクリート造でも耐用年数が異なるのです。
住宅用の鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションの場合、住宅用として使用される建物の法定耐用年数は47年とされています。
1-1-1.法定耐用年数を超えても居住できる
法定耐用年数は、減価償却期間算定の基準となる年数です。
あくまでも税法上のものであるため、法定耐用年数を超えたら物件が即使用できなくなるというわけではありませんので安心してください。
つまり、築47年を超えたマンションでも状態に問題がなければ普通に住み続けられます。
法定耐用年数は財務省によって決められた数値であるため、マンションのメンテナンスが行き届いているかどうか、使用状況がよいか悪いかなどといった要素には左右されません。
1-2.経済的耐用年数
建物の経済的な価値がどのくらいあるのかを表すのが経済的耐用年数です。不動産市場での建物の価値が認められる年数と考えると分かりやすいかもしれません。
構造・建材・用途だけではなく機能的な減価も考慮されているため、同じ時期に建った同じ造りのマンションでも、経済的耐用年数が違うというケースもあります。
メンテナンスの頻度・使用状況・立地・設備が古いかどうかなどによって経済的耐用年数が変化することもあります。
経済的耐用年数を超えると、物件の維持や修繕などにかかる費用の方が上回ってしまうケースが多いでしょう。
1-3.物理的耐用年数
物理的にマンションがどのくらいもつかを表したものが物理的耐用年数です。建物が経年劣化して使用できなくなるまでの年数と考えると分かりやすいでしょう。
鉄筋コンクリートのマンションの場合、法定耐用年数や経済的耐用年数に比べて物理的耐用年数の方が長いのが一般的です。
物理的耐用年数は建物が限界を迎えて使用できなくなる年数であるため、実質的にマンションの寿命と同じだと考えられるでしょう。
メンテナンスの状況や立地などにもよりますが、鉄筋コンクリートや鉄筋鉄骨コンクリートのマンションの場合、建物自体は100年もつように設計されています。
物理的耐用年数も、経済的耐用年数のようにメンテナンスの状態・設備、立地・建物の使用状況などによって変わってくるといえるでしょう。
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2.マンションの寿命と耐用年数の違い
法定耐用年数とは税法上の耐用年数であり、一般的には法定耐用年数を超えたからといって建物が寿命を迎えるというわけではありません。
また、経済的耐用年数を超えたとしても、建物が寿命を迎えないケースも多いです。
マンションの寿命と耐用年数の違いについてみていきましょう。
2-1.法定耐用年数と寿命はイコールではない
鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートのマンションの法定耐用年数は47年と定められていますが、通常は47年で建物が寿命を迎えるわけではありません。
鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートのマンションなら、一般的には60年以上は住み続けられるといわれています。
つまり、法定耐用年数と寿命はイコールではないケースがほとんどなのです。
自分が住んでいるマンションが法定耐用年数を超えているとしても、通常はそのまま住み続けられるため安心してください。
2-2.寿命が100年以上のケースもある
マンションの寿命は、メンテナンスの状況や住民の使用状況などによっても変わります。そのため、実は100年以上住み続けられるケースも珍しくありません。
鉄筋コンクリート造のマンションは120年程度もつともいわれており、外壁などのしっかりとしたメンテナンスが行われていれば150年以上もつケースも。
マンションの寿命が決まる要素は築年数だけでははく、メンテナンスや使用状況によってだいぶ変わってくる可能性があることを理解しておく必要があります。
これから中古マンションの購入を検討しているという方は、注意しておきたいポイントといえるでしょう。
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3.寿命を迎えたマンションはどうなる?
自分の住んでいるマンションが寿命を迎えたとき、一体どうなってしまうのか不安だという方もいるでしょう。
中古のマンションを購入したいけれど、自分が高齢になったときにマンションが寿命を迎えて引っ越さなくてはならないと考えると不安で購入に踏み切れないという方もいるかもしれません。
寿命を迎えたマンションはどうなるのか、解説していきます。
住民の負担で建て替えられる・戸数を増やして建て替えられる・売却される・修繕してそのまま住み続ける
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3-1.住民の負担で建て替えられる
マンションが寿命を迎えた場合、住民が費用を負担して建て替えが行われるケースもあります。
ただし、建て替えるかどうかはそのマンションに住んでいる住民の話し合いによって決められるため、なかなか難しいのが現実でしょう。
3-1-1.マンションの建て替えには住民の賛成が必要
マンションの建て替えには、住民の5分の4の賛成が必要とされています。
政府は2021年12月、これを4分の3の賛成で建て替えが行えるように緩和する検討に入りましたが、それでも4分の3の住民の賛成を得るのは簡単だとはいえないでしょう。
通常、建て替えにかかる費用はこれまで積み立ててきた修繕費用からもまかなわれますが、実際に建て替えが行われるとなると1世帯当たり数千万円の費用がかかるのが一般的です。
3-1-2.マンションの建て替えは負担が大きい
さらに、実際に建て替えが行われるとなると、一旦賃貸マンションなどを借りてマンションの完成までそこで暮らさなくてはならないのも大変な点でしょう。
そのための引っ越し費用や家賃の負担などを含めると、住民の負担は相当に大きいといえます。
多額の出費が必要になり負担したくてもできないケースも出てくるため、建て替えに賛成できない世帯も多いのが現実でしょう。
また、マイホームから賃貸暮らしになると、慣れない近所づきあいなどで神経をすり減らすことも多くなります。
一時的なこととはいえ、騒音などで気を使うシーンも多く精神的にも負担がかかるものです。
3-1-3.新しいマンションを購入する
ご自分が住んでいるマンションがそろそろ寿命を迎えて建て替えが必要になりそうだと感じているなら、自らマンションを売却して新しいマンションを購入するという選択肢も。
実際に建て替えが決まってからバタバタと新しいマンションを購入するのは大変ですから、早いうちから動いておくことをおすすめします。
焦って物件をさがしていると、良くない条件の物件を高額で掴まされてしまう危険もあります。
ですから、実際に建て替えになる前に早めに売却をして、別の物件を購入するのがよいでしょう。
3-1-4.自宅周辺の相場をあらかじめ確認
相場よりも安い価格で売却してしまうことのないように、自宅周辺のマンション相場をあらかじめ確認してから売却するのがおすすめです。
不動産一括査定サイトを利用すれば、自宅マンションを適正な価格で売却しやすくなります。
まだマンションの建て替えが決まったわけではないという方も、不動産一括査定サイトを利用して価格を調べておいてもよいかもしれません。
自宅マンションの価値を知っておくことで、気持ち的にも安心して毎日を送ることができるでしょう。
3-2.戸数を増やして建て替えられる
マンションの建て替えが行われると住民の金銭的な負担が大きくなるため、もともとあった戸数よりも戸数を増やして建て替えが行われることがあります。
3-2-1.住民の費用の負担が軽減される
メリットは、増やした分の戸数を販売して利益を得ることで、その分を建て替えの費用に充てる事ができる点です。
これにより、住民1世帯が負担する費用を軽減することができます。
うまくいけば、住民が費用を負担することなく建て替えができる可能性もあるでしょう。
一旦どこかに部屋を借りるなどして引っ越しをしなくてはならない点は、一般的な建て替えと同じです。
しかし費用の負担は少なくなるため、住民にとっては一般的な建て替えよりもメリットが大きいといえます。
現在では、このように戸数を増やして建て替えを行い、住民の負担を減らす方法を取っているマンションも増えてきました。
建て替えになる前に自宅マンションの売却を検討しているなら、おうちクラベルの不動産一括査定サイトをぜひご活用ください。
3-3.売却される
寿命を迎えたマンションは、マンションデベロッパーなどに売却される可能性もあります。
建物ごと売却され、その利益を配分して各住民が受け取るケースや、解体が行われて土地が売却され、その利益が住民に配分されるケースが一般的です。
ただし、どちらの方法も配分される金額は期待通りにならないことが多いでしょう。
住民1世帯ずつに配分される金額は、新たにマンションを購入する費用には足りないケースが多いでしょう。
そのうえ引っ越しの費用もかかるため、住民からの反対が多くなるのは当然のことだといえそうです。
3-3-1.マンションが売却になる場合
建て替えではなく売却になる場合は、原則として住民全員の同意が必要となるため、実際に行われるのは稀なケースだといえるでしょう。
自分の住んでいるマンションが売却や解体される可能性は低いといえますが、築年数の古いマンションに住んでいるという場合は念のため注意が必要です。
3-3-2.自らマンションを売却する
不安であれば、万が一に備えて自らマンションを売却するという方法もあります。
住み慣れたマイホームを売却するのは辛いものですが、寿命を迎えるほどの築年数の物件であれば耐震基準を満たしていない可能性も考えられます。
大地震や台風にひやひやしながら生活していくのも辛いものです。
古くなった自宅マンションを思い切って売却し、新耐震基準を満たしている耐久性の高いマンションに引っ越し、安心感を得るという選択もおすすめです。
まずは不動産一括査定サイトで不動産一括査定を行ってみて、自分が所有しているマンションの価格を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
3-4.修繕してそのまま住み続ける
建て替えや売却といった方法は、金銭面・体力面・精神面などで住民の負担が大きくなりがちです。
当然反対する人も多いため、結局は修繕を行いつつそのまま住み続けるというケースが多いでしょう。
3-4-1.古いマンションでもそのまま住み続ける人が多い
寿命を迎えるような古いマンションに住んでいる世帯には高齢者が多く、新たな住居の取得や引っ越しをするといったことに困難を伴います。
高齢になってから住み慣れたマイホームを出て、慣れない新生活を始めるのは辛いもの。
新しいマンション購入の費用が足りなければ、賃貸住宅に引っ越すしかないケースもあるでしょう。
老後は住み慣れたマイホームで過ごしたいから、寿命を迎えそうなマンションでもそのまま住み続けたいと考えるのは自然なことだといえます。
3-4-2.マンションに住み続けることは危険が伴うことがある
ただ、寿命を迎えたと考えられるマンションにそのまま住み続けると、大きな地震や台風などの自然災害が起こったときに危険も伴います。
可能であれば、新耐震構造のマンションに引っ越したほうが安全だといえるでしょう。
時間がない中で引っ越しを考え、マンションの売却や購入を行うと、相場より安く買い取られたり高く売られたりしても「時間がないし仕方がないか」と思ってしまいがちです。
それでは損をしてしまいますから、住みたい物件探し・自宅マンションの査定・周辺相場のチェックなどは、余裕にあるうちに行っておくのがおすすめです。
お住まいのマンションの寿命が近いのではないかと不安を感じる方は、早いうちから不動産一括査定サイトで自宅マンションの不動産一括査定を行っておきましょう。
4.マンションの減価償却の計算方法
減価償却とは、月日が経過することによって減少した価値の分を経費として計上することです。
減価償却は法定耐用年数を使用して行われます。
中古マンションの場合は注意が必要で、法定耐用年数がそのまま適用されるわけではありません。以下のように計算できます。
- 法定耐用年数の一部を経過している場合には(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%が耐用年数
- 法定耐用年数を全て経過した場合には、法定耐用年数×20%が耐用年数
また、マンション(非業務用)の減価償却費の計算方法は以下のようになります。
- 建物取得費×0.9×償却率×経過年数
償却率は国税庁が定めているもので、法定耐用年数に応じて決まっています。
国税庁の公式ホームページから償却率の一覧表を見ることができるので、該当する償却率を確認してみてください。
ちなみに減価償却の対象となるのは建物部分のみで、土地などは対象となりません。
4-1.マンションが耐用年数を過ぎたらどうなる?
マンションが耐用年数を過ぎたからといって、すぐに老朽化して住めなくなるわけではありません。定期的にリフォームを行うなどしっかりとメンテナンスをしていれば、耐用年数を経過したマンションであっても住み続けることは十分可能です。
5.マンションの耐用年数や寿命を知るための方法
マンションの耐用年数や寿命を知りたい場合には、どうすれば良いのでしょうか?主な方法は、次のとおりです。
5-1.マンションの建築年を調べる
マンションの耐用年数や寿命を知りたい場合には、まずそのマンションの建築年を調べると良いでしょう。マンションの建築年は、マンションの全部事項証明書(登記簿謄本)を法務局から取り寄せるか、固定資産税の納付書に同封されている「固定資産税課税明細書」などを見ることで確認できます。
そして、その建築年にそれぞれ次の耐用年数を足し、耐用年数が経過する時期を確認しておきましょう。全部事項証明書(登記簿謄本)や固定資産税課税明細書にはマンションの構造も記載されているため、これも耐用年数を把握する参考になります。
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
---|---|---|
木造・合成樹脂造のもの | 店舗用・住宅用のもの | 22年 |
木骨モルタル造のもの | 店舗用・住宅用のもの | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの | 住宅用のもの | 47年 |
れんが造・石造・ブロック造のもの | 店舗用・住宅用・飲食店用のもの | 38年 |
金属造のもの | 店舗用・住宅用のもの | 骨格材の肉厚によって 4mm超:34年 3mm超4mm以下:27年 3mm以下:19年 |
これを現在までの経過年数と比較することで、「あと何年で耐用年数が経過するのか」を知ることができます。
5-2.マンションの修繕履歴やメンテナンス状況を調べる
マンションの耐用年数と寿命とはイコールではありません。たとえ築年数が経過していても、適切に修繕やメンテナンスがされていれば、寿命は耐用年数よりも長くなります。
そのため、マンションの修繕履歴やメンテナンス状況を調べておくと良いでしょう。また、売却を検討している際の査定においてこれらの資料を提示することで、寿命や資産価値について不動産会社の担当者からより具体的なアドバイスを受けやすくなります。
6.まとめ
耐用年数は、マンションの寿命とイコールではありません。適切にメンテナンスがされていれば、耐用年数が経過したマンションであっても住むことは十分に可能です。
しかし、耐用年数が過ぎたマンションをそのまま所有していれば、いずれ建て替えなどの負担が生じます。建て替えの負担などを避けたい場合には、マンションを早めに売却をして住み替えることを検討すると良いでしょう。
耐用年数が迫っているような築古マンションをより良い条件で売却するには、そのマンションの売却に強い不動産会社への依頼がカギとなります。
そのため、まずは「おうちクラベル」の不動産一括査定を活用し、複数社から査定を得ると良いでしょう。査定額や担当者の対応などを比較することで、そのマンションの売却に強い信頼できる不動産会社を見つけやすくなります。