一般的に中古のマンションの場合、新築のマンションと比較して安く購入することができます。また古いマンションは立地がよいことも多く、この点にメリットを感じる場合もあるでしょう。そのため、中古マンションを買ってリノベーションをする場合も多く存在します。
しかし、中古マンションのリノベーションで後悔するケースは少なくありません。そこで今回は、中古マンションのリノベーションでよくある後悔を紹介するとともに、後悔した場合の対処法について解説します。
中古マンションのリノベーションでよくある後悔:お金
中古マンションのリノベーションでよくある後悔を大きく分けると、「お金にまつわる後悔」と「マンション自体にまつわる後悔」、「タイミングについての後悔」の3つに分けられます。初めに、お金にまつわる後悔を3つ紹介します。
- 思ったよりも費用がかさんでしまった
- 修繕積立金や固定資産税などの負担が想像以上に重かった
- リノベーション費用のローンが組めなかった
思ったよりも費用がかさんでしまった
リノベーションで理想を追求しようとすると、工事の内容によっては高額な費用がかかることも少なくありません。想定よりも費用がかさみ、はじめから新築マンションを購入すればよかったなどと後悔をする場合があります。
修繕積立金や固定資産税などの負担が想像以上に重かった
マンションの購入後には、毎月修繕積立金や管理費などの費用がかかります。また、固定資産税も毎年納めなければなりません。
特に築古のマンションの場合、購入費用は安く済むことが多い一方で、修繕積立金が高額であることも多いでしょう。なぜなら築古のマンションは設備に不具合が生じやすく、マンション全体の維持管理に費用がかかりやすいためです。
この修繕積立金などの負担が想定よりも重いことから、購入を後悔する場合があります。
リノベーション費用のローンが組めなかった
マンションを購入する際は住宅ローンを組むことが多いでしょう。一方で、リノベーション費用については必ずしもローンが組めるとは限りません。
たとえば、いったん住宅ローンを組んで落ち着いてから別途リノベーションのローンを組もうと考えていると、想定通りにローンが組めなかったり想定よりも金利が高かったりして、計画の変更を余儀なくされる可能性があります。
金融機関によってはマンションの購入対価とリノベーション費用を1本のローンで契約できる「リノベーション一体型ローン」を取り扱っている場合もあります。マンション購入後にリノベーションを想定している場合には、あらかじめ金融機関へ相談しておくとよいでしょう。
中古マンションのリノベーションでよくある後悔:マンション自体
リノベーションをするために購入したマンション自体に関する主な後悔は次のとおりです。
- 構造上思った通りにリノベーションができなかった
- 配管や耐震基準などリノベーションでは解決できない問題があった
- マンション内に人間関係のトラブルが発生した
- 騒音が気になった
- 日当たりや暑さ・寒さなどで住みづらかった
- 管理規約に制限があり希望した活用ができなかった
構造上思った通りにリノベーションができなかった
「古い2LDKのマンションの壁を取り払って広い1LDKにしよう」などと考えていても、必ずしも自由にリノベーションできるとは限りません。なぜなら、マンションの構造上取り外しができない壁が存在する可能性があるためです。
また、マンションのドアや窓は原則として自由に取り替えることはできません。このように構造上思った通りのリノベーションが実現できず、購入を後悔するケースもあります。
配管や耐震基準などリノベーションでは解決できない問題があった
古いマンションは、建物全体の配管が劣化している可能性があります。そのため、適切にメンテナンスがされていなければ不具合が頻発する場合もあるでしょう。
また、1981年5月以前に建築確認を受けたマンションでは旧耐震基準が適用されていますが、これも一戸のリノベーションで解決できる問題ではありません。このようにマンションの構造自体に不満や不安があり、購入を後悔するケースもあります。
マンション内に人間関係のトラブルが発生した
マンション内で人間関係のトラブルが生じ、購入を後悔することもあります。
人間関係のトラブルはどのようなマンションでも起き得ることであり、中古マンションに限ったことではありません。しかし、築古のマンションでは古くからの住民でコミュニティができあがっている場合もあり、新たな入居者が馴染みにくい可能性もあります。
騒音が気になった
マンションを購入する際には内見を行うことが一般的ですが、すべての時間帯で滞在することは現実的ではありません。そのため、購入後実際に住んでみてから騒音に気が付き、購入したことを後悔する場合もあるでしょう。
特に築古のマンションでは新築マンションと比較して防音性能が低いことも多く、音が気になる場合もあるようです。
日当たりや暑さ・寒さなどで住みづらかった
実際に住んでみたところ日当たりや暑さ、寒さなどに不満が生じ、購入を後悔する場合もあります。たとえば南向きの大きな窓が気に入って購入したものの、実際に住んでみてから夏の暑さや冷房効率の悪さに後悔する場合などがあるでしょう。
管理規約に制限があり希望した活用ができなかった
マンションには管理規約が存在し、たとえ購入した場合であっても完全に自由な利用ができるわけではありません。
たとえば管理規約によってペットの飼育が禁じられている場合や、民泊などの事業を営むことが禁止されている場合などがあります。また、マンションによっては騒音防止などの観点から、フローリングへのリノベーションを禁じている場合もあるようです。
管理規約の制限から思ったような利用やリノベーションを実現できず、購入を後悔する場合もあるでしょう。
中古マンションのリノベーションでよくある後悔:タイミング
マンション購入のタイミングにまつわる主な後悔は次のとおりです。
- マンションの高値掴みをしてしまった
- リノベーション後に家族構成が変わった
- 転勤などで引っ越さざるを得なくなった
マンションの高値掴みをしてしまった
中古のマンションを購入したものの、その後同じマンションの別の部屋や同等の条件の他のマンションがより安く売りに出ていることに気づき後悔する場合もあります。
リノベーション後に家族構成が変わった
リノベーション後に家族構成が変わったことで、中古マンションの購入やリノベーションを後悔する場合があります。
たとえば独身のままでいる前提で中古マンションを購入したものの、その後結婚が決まりマンションが手狭になった場合や、夫婦2人で暮らす前提であったものの、その後子どもが生まれ子育てしにくい間取りにしたことを後悔する場合などが考えられます。
転勤などで引っ越さざるを得なくなった
中古マンションを購入してリノベーションをしたものの、転勤や親の介護などの事情で他の地域に引っ越さざるを得なくなり、購入やリノベーションを後悔する場合もあります。
中古マンションのリノベーションで後悔した際の対処法
中古マンションの購入やリノベーションで後悔した場合にはどのように対処すればよいのでしょうか?主な対処法は次のとおりです。
- そのまま我慢して住み続ける
- 再度リノベーションをする
- 賃貸に出して住み替える
- 売却して住み替える
そのまま我慢して住み続ける
1つ目は、そのまま我慢をして住み続けることです。
たとえばマンションの高値掴みをしたことで後悔している場合には、慌てて売却してもさらに損失を広げることとなりかねません。この場合には、そのまま住み続けることが得策となるでしょう。
再度リノベーションをする
2つ目は、再度リノベーションをすることです。たとえば家族構成が変わってリノベーション後の間取りが使いづらいのであれば、再度リノベーションをして間取りを変更することで改善できる可能性があります。
ただし、リノベーションをするには費用がかかるため、そこまでの費用をかけてでも再度リノベーションをすべきかどうか慎重に検討する必要があるでしょう。
賃貸に出して住み替える
3つ目は、マンションを賃貸に出して別の物件に住み替えることです。定期的な収入を得られる点が賃貸に出す最大のメリットでしょう。
ただし、築古のマンションや交通の便の悪いマンションの場合は借り手が見つからない可能性があるほか、期待通りの賃料が得られない可能性もあります。また、賃貸後も固定資産税や修繕積立金などの費用は支払い続けなければなりません。
さらに、トイレなど室内の設備に不具合が生じた際には修繕などの対応が必要となることも念頭に置いておくことが必要です。
売却して住み替える
4つ目は、マンションを売却して別の物件に住み替えることです。
売却によってまとまった収入が得られれば、住み替え先を確保する元手とすることができるでしょう。また、売却すればその後は修繕積立金などを支払う必要性がなくなるほか、賃貸物件を管理する手間からも解放されます。
マンションの売却をご検討の際には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
リノベーションした中古マンションを売却する流れ
リノベーションで後悔をした中古マンションを売却するには、どのような流れを踏めばよいのでしょうか?基本的な流れは次のとおりです。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 売却を依頼する不動産会社を選定する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 中古マンションを売りに出す
- 内見や問い合わせに対応する
- 売買契約を締結する
- 中古マンションを引き渡す
不動産会社に査定を依頼する
はじめに、不動産会社へ査定を依頼しましょう。
査定は1社のみに依頼するのではなく、「おうちクラベル」を活用して複数社に依頼することをおすすめします。なぜなら、複数社による査定額を比較することでそのマンションの適正額を把握しやすくなるためです。
特にリノベーション済みのマンションの場合、過去のマンション売却事例と単純に比較できるものではありません。そのため、不動産会社によって査定額に大きな差が出ることも少なくないでしょう。
売却を依頼する不動産会社を選定する
査定の結果を踏まえて、中古マンションの売却を依頼する不動産会社を選定します。
不動産会社は査定額の高さのみで選ぶのではなく、査定額への説明や対応の誠実さなどを総合的に判断して選ぶとよいでしょう。なぜなら、査定額はあくまでもその不動産会社による売却想定額でしかなく、必ずしもその額で売れるとの保証ではないためです。
査定額の高さのみで不動産会社を選んだものの、結局大きく値下げして売却することとなれば本末転倒でしょう。
不動産会社と媒介契約を締結する
不動産会社を選定したら、その不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には次の3種類がありますので、希望や状況に合った媒介契約を選択するとよいでしょう。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
他の不動産会社との媒介契約の締結 | 不可 | 不可 | 可 |
自己発見取引 (自分で買主を見つけて売却すること) | 不可 | 可 | 可 |
指定流通機構(レインズ)への登録義務 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | 義務なし |
報告頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 指定なし |
築古のマンションや最寄り駅から遠いマンションなど一般的に売りにくいとされるマンションの場合、「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を選択することが多いでしょう。なぜなら、これらの契約では他の不動産会社に重ねて売却の依頼ができないため、不動産会社が売却に尽力しやすくなるためです。
中古マンションを売りに出す
媒介契約を締結したら、マンションを売り出します。
売り出す際には、不動産会社からのアドバイスを踏まえ、適切な売り出し価格を設定しましょう。売り出し価格が高すぎるとなかなか売れない可能性がある一方で、売り出し価格が低すぎると損をして後悔する可能性があるためです。
内見や問い合わせに対応する
中古マンションを売りに出すと、購入希望者から不動産会社に問い合わせが入ります。不動産会社が販売活動をするにあたって、売主は物件に関する質問を受ける場合がありますので、質問には速やかに対応しましょう。
また、中古マンションの購入希望者は、内見を希望することが少なくありません。特にリノベーション済のマンションの場合、内装などをじっくり確認したいと希望することも多いでしょう。
この時点ではまだマンションに居住している場合もあるかと思いますが、マンションの売買を成立させるためには内見に積極的に対応することをおすすめします。
売買契約を締結する
買主がマンションの購入を決めたら、売買契約を締結します。契約の締結に際しては、買主から売主に対して手付金が交付されることが一般的です。手付金は売却代金の5%から10%程度の額とされることが多いでしょう。
これ以後相手方が契約の履行に着手するまでの間に契約を解除したい場合には、売主側からは手付金の倍返し、買主側からは手付金の放棄で対応することが原則です。
中古マンションを引き渡す
あらかじめ取り決めた日において、中古マンションを引き渡します。売却するマンションに住んでいた場合には遅くともこの日までに退去を行い、ハウスクリーニングを済ませておきましょう。
中古マンションの引き渡し日には、次のことが同時に行われることが一般的です。
- 買主の住宅ローンの実行
- 買主から売主へ売却代金(手付金を除いた全額)の支払い
- マンションの名義を売主から買主に書き換えるために必要な書類への押印
この後司法書士が法務局で名義変更の登記を申請し、マンションの名義が正式に売主から買主へと書き換わります。
リノベーションした中古マンションを売却するポイント・注意点
リノベーションをした中古マンションを売却する際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか?売却で後悔しないための主なポイントは次のとおりです。
- かかる費用を理解しておく
- かかった費用が回収できない可能性があることを知っておく
- 時間に余裕をもって売却する
- 複数社へ査定を依頼する
かかる費用を理解しておく
マンションの売却にはさまざまな費用が掛かります。この費用を理解していないと、思ったよりも手元に資金が残らず後悔してしまうかもしれません。中古マンションの売却でかかる主な費用は次のとおりです。
- 仲介手数料
- 抵当権抹消の登記費用
- 印紙税
- 譲渡所得税
仲介手数料
中古マンションの売却を不動産会社に依頼した場合には仲介手数料がかかります。仲介手数料の金額はマンションの売却価格によって異なりますが、売買価格が400万円超となる場合には次の式で算定できます。
- 仲介手数料の上限額=売却価格×3%+6万円+消費税
なおこれはあくまでも上限額であるものの、この上限額をそのまま報酬額に設定している不動産会社がほとんどです。
抵当権抹消の登記費用
中古マンションを購入する際には住宅ローンを組むことが多いでしょう。そして住宅ローンを組んだ場合には、購入したマンションに担保(抵当権)が付されることが一般的です。
抵当権を付けることで、万が一ローン返済が滞った場合でも、銀行がそのマンションを競売にかけてローン残額の返済を受けることができるためです。
中古マンションを売却する際には、この抵当権を抹消しなければなりません。抵当権の抹消にかかる費用は次のとおりです。
- 司法書士報酬:1万円から2万円程度
- 登録免許税:不動産の数×1,000円
印紙税
印紙税とは、契約書や領収書などの文書に科される税金です。マンションの売買契約書はこの印紙税の課税対象であり、印紙税額は次のとおりです。なお、2024年3月31日までは軽減税率が適用されています。
契約金額 | 印紙税額 (2024年年3月31日までの軽減税率) |
---|---|
50万円以下 | 200円 |
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
5億円以下 | 60,000円 |
10億円以下 | 160,000円 |
50円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
譲渡所得税
中古マンションの売却で儲けが出た場合には、譲渡所得税の課税対象となります。譲渡所得税は固定資産税などのように納付書が送られてくるものではなく、自分で計算して申告しなければなりません。
譲渡所得税の申告期限は売却の翌年2月16日から3月15日までです。期限内に忘れずに申告を行ってください。
なお、譲渡所得税には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」などさまざまな特例が存在し、マイホームであった中古マンションを売った場合には税額がゼロとなることも少なくありません。特例の適用を受けるためには、確定申告をすることが必要です。
かかった費用が回収できない可能性があることを知っておく
リノベーションをした中古マンションを売却しても、かかった費用の回収ができるとは限りません。
特にリノベーション後の部屋の個性が強く、購入希望者にとってメリットになりにくい場合などには、かけた費用に対して売却対価が低くなる可能性があります。場合によっては、売却代金で住宅ローンやリノベーションローンの返済ができない「オーバーローン」となる可能性もあるでしょう。
オーバーローンとなっても手元資金や親族からの借り入れで返済できれば、売却には問題ありません。一方、手元資金などを捻出してもローンの返済ができない場合には、住み替え先として購入した物件に担保を付け替えるなどの対応が必要となります。
売却に際してローンが返済できない見込みである場合には、あらかじめ金融機関へ相談しておくことが必要です。
時間に余裕をもって売却する
中古マンションの売却で後悔しないためには、時間に余裕をもって売却手続きを進めましょう。売却を急いでしまうと、買い手から値下げを要求された場合に妥協せざるを得ない可能性が高くなるためです。
複数社へ査定を依頼する
リノベーションで後悔をした中古マンションを売却する際には、複数の不動産会社へ査定を依頼しましょう。複数社に査定を依頼することで売却の適性額が把握しやすくなるほか、よりよい条件でマンションを売却してくれる不動産会社を見つけやすくなるためです。
しかし、自分で複数の不動産会社を回って査定を依頼しようとすると、膨大な手間がかかります。そこでおすすめなのが、不動産一括査定サイトである「おうちクラベル」のご利用です。
おうちクラベルでは、一度の60秒入力で複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できます。中古マンションの売却をご検討の際には、ぜひおうちクラベルをご活用ください。
まとめ
中古マンションを購入してリノベーションしたものの、後悔してしまう場合もあるでしょう。後悔の内容は、思ったようにリノベーションができなかったことや修繕積立金の負担が想定よりも重かったことなどケースバイケースです。
中古マンションのリノベーションで後悔したら、そのマンションを賃貸に出したり売却したりして住み替えることが有力な選択肢となります。中古マンションを売却する際には、まず「おうちクラベル」の不動産一括査定を活用しましょう。
「おうちクラベル」とは、一度の60秒入力で複数の優良な不動産会社にまとめて査定を依頼できる不動産一括査定サイトです。複数社による査定額を比較することでそのマンションの売買適正額を把握しやすくなるほか、査定額や対応などを比較することでそのマンションの売却に強みを持つ不動産会社を選定しやすくなるでしょう。
リノベーションで後悔をした中古マンションの売却をご検討の際には、ぜひおうちクラベルの不動産一括査定をご利用ください。