築古のマンションの場合、比較的安価に手に入ることも少なくありません。しかし、築古のマンションを購入したことで後悔してしまう場合もあるようです。
では、築古のマンションを買って後悔したらどのように対応すればよいのでしょうか?今回は、築40年のマンションを買って後悔した場合の対応策などについて詳しく解説します。
築40年のマンションはまだ住める?
「マンションの寿命は47年」などと耳にしたことがあるかもしれません。では、築40年が経過したマンションはまだ住むことができるのでしょうか。初めにマンションの寿命についての考え方を紹介します。
築40年なら住むには問題ないことが多い
築40年程度のマンションの場合、住むには問題のないことが多いでしょう。外壁や設備などに古さが目に付く頃ではあるものの、居住に大きな支障が生じるほどではありません。
マンションの寿命はメンテナンス状況次第
そもそもマンションの寿命は年数で一律に決められるものではなく、メンテナンス次第で変動します。きちんとメンテナンスされていれば、築100年であっても住み続けられる場合もあるでしょう。
同様に築40年であってもメンテナンスがしっかりされていればこれからも長く住み続けられる可能性がある一方で、修繕や管理に不足があれば早めに寿命を迎える可能性もあります。
法定耐用年数は寿命とマンションのイコールではない
「マンションの寿命は47年」というのは、法定耐用年数の考え方によるものです。耐用年数とは「通常の維持補修を加える場合にその減価償却資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげることができる年数(東京都主税局)」であり、資産価値を算定したり減価償却費を計算したりする際などに使用されます。
マンションは「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物」であり「住宅用のもの」であるため、この法定耐用年数は47年です。
しかし、法定耐用年数とマンションの寿命はイコールではなく、法定耐用年数が過ぎたからといってマンションに住めなくなるわけではありません。法定耐用年数はあくまでも計算上の年数であり、この期間を過ぎたらいきなり資産が使えなくなるようなものではないことを知っておくとよいでしょう。
築40年のマンションを買って後悔する例
築40年のマンションを買って後悔するケースにはどのようなものがあるのでしょうか?「お金」「住み心地」「将来の不安」の視点からそれぞれ解説します。
お金の後悔
お金にまつわる後悔には次のものが挙げられます。
- 住宅ローンが通りにくかった
- 月々の修繕積立金が高かった
- リノベーションに思った以上に費用がかかった
住宅ローンが通りにくかった
住宅ローンを借りる際には、貸し倒れリスクに備えて購入したマンションに担保(抵当権)が付けられることが一般的です。万が一住宅ローンの返済ができなくなった際には、銀行がそのマンションを競売にかけてローン残債を回収するためです。
しかし、築40年が経過したマンションの担保価値は非常に低く見積もられがちであるため、住宅ローンが通りにくかったり通常より多くの頭金が必要となったりする場合があります。これにより、資金計画に狂いが生じてしまう場合もあるでしょう。
月々の修繕積立金が高かった
マンションの場合購入代金のほかに、月々の管理費や修繕積立金の支払いが必要となることが一般的です。築古のマンションの場合設備の故障や不具合が増えるため、修繕積立金が高く設定されることも少なくありません。この修繕積立金の負担が重く、購入を後悔することもあります。
リノベーションに思った以上に費用がかかった
築古のマンションは比較的安価に買えることも多いため、安く購入してリフォームやリノベーションをする計画を立てることも多いでしょう。しかし、理想を実現するためのリフォームやリノベーションに思いのほか費用がかかり、妥協をしたことで後悔をする場合もあります。
住み心地の後悔
住み心地に関する後悔には、次のものが挙げられます。
- 間取りが古く使いづらかった
- マンションの住民に馴染めなかった
- 騒音が気になった
- 水回りが老朽化していた
間取りが古く使いづらかった
築40年を経過したマンションの場合、間取りが古いことも少なくありません。購入時には「安く買えるのだから、その程度は我慢する」と考えていても、いざ住んでみると使い勝手の悪さなどから後悔をする場合もあるでしょう。
間取りなどはリノベーションで変更する道もあるものの、それには相当の費用がかかります。
マンションの住民に馴染めなかった
築40年以上が経過したマンションでは、住民の高齢化が進んでいることも少なくありません。長年同じマンションで暮らしてきた住民同士で、コミュニティができあがっていることも多いでしょう。
このような状況でマンションの他の住民と馴染めず、購入を後悔することもあります。
騒音が気になった
マンションを購入する際には内見をすることが多いものの、すべての時間について音やにおいなどを確認することは困難です。そのため、購入してから思いのほか音が響くことや騒音などに気が付くこともあるでしょう。
特に築40年以上が経過したマンションの中には防音性能が低いものもあるため、これが原因で購入を後悔する場合もあります。
水回りが老朽化していた
築古のマンションでは、水回りの設備が古かったり劣化したりしていることが少なくありません。そのため、使い勝手が悪かったり頻繁に不具合が生じたりして、マンションの購入を後悔する場合もあるでしょう。
将来の不安からの後悔
将来の不安に関する後悔には、次のものが挙げられます。
- 耐震面に不安がある
- 建て替えの費用負担に不安がある
- いわゆるゴーストマンションになる不安がある
耐震面に不安がある
耐震基準は、1981年6月の建築確認から新基準が適用されています。そのためマンションの建築確認が1981年5月以前の場合、旧耐震基準が適用されていることでしょう。
旧耐震基準で建てられているからといって、すぐに安全性に問題が生じるわけではありません。しかし、南海トラフ地震などの巨大地震は近い将来発生する可能性があるとされており、この点で不安を感じることもあるでしょう。
建て替えの費用負担に不安がある
マンションの寿命が近くなると、建て替えが管理組合の話題にのぼることとなるでしょう。建て替えとは、そのマンションの各部屋の所有者(「区分所有者」といいます)がお金を出し合って老朽化したマンションを建て替えることです。
建て替えによってマンションの部屋数を大きく増やすことができ、そこに新たな購入者が見込めれば費用負担が少なくて済む場合もあるものの、多くのケースで一戸あたり数千万円単位の費用が発生します。建て替えには区分所有者と議決権のそれぞれ5分の4以上の賛成決議が必要でありハードルが高いものの、難しい決断を迫られることとなるでしょう。
いわゆるゴーストマンションになる不安がある
1つ上で解説をしたようにマンションを建て替える決議のハードルは高く、現在の制度のもとで建て替えが決議される可能性は高くありません。その反面、ゴーストマンションとなるリスクがあります。
ゴーストマンションは法令などで定義された言葉ではないものの、一般的には住民の高齢化や死亡などにより管理不全に陥ったマンションを指します。ゴーストマンションは資産価値がほとんどないばかりか、管理や修繕もままならず安全面でも不安が生じます。このような不安から、築40年のマンションの購入を後悔する場合もあるでしょう。
築40年のマンションを買って後悔した場合の対処法
築40年のマンションを買って後悔した場合、どのように対処すればよいのでしょうか?主な対処方法は次のとおりです。
- 我慢して住み続ける
- 賃貸をして引っ越す
- 売却をして引っ越す
我慢して住み続ける
1つ目は、そのマンションに我慢して住み続けることです。間取りや水回りなどが後悔の理由の場合、リフォームやリノベーションで対応できる場合もあるでしょう。
賃貸をして引っ越す
2つ目は、そのマンションを賃貸して引っ越すことです。マンションの借り手が見つかれば、いわゆる不労所得を得られる点がメリットでしょう。
ただし、築40年のマンションの場合賃料は低く抑えられることが多いうえ、エリアによってはそもそも借り手が見つからないリスクもあります。また、水回りなどに不具合が生じれば修繕などの対応をしなければならないほか、修繕積立金や固定資産税などは支払い続けなければなりません。
売却をして引っ越す
3つ目は、そのマンションを売却して引っ越すことです。
売却ができればまとまった収入を手にすることができるため、これを住み替え先の購入費用などに充てることが可能となります。また、マンションを手放すことになるため、賃貸物件としての管理や修繕積立金などの支払いからも解放されます。
築40年のマンションの売却で後悔しないポイント
築40年のマンションを売却する際、後悔しないためのポイントは次のとおりです。
- 複数の不動産会社へ査定を依頼する
- できるだけ早めに売却する
- 売り急がない
- 不具合は正直に申告する
複数の不動産会社へ査定を依頼する
マンションを売却する際には、まず不動産会社が売却見込み額を算定する「査定」を受けることが一般的です。
この査定は1社のみに依頼するのではなく、複数の不動産会社へ依頼するとよいでしょう。なぜなら、1社のみに査定を依頼した場合には、その査定額が適正であるかどうか判断が難しいためです。
複数社の査定額を比較することで適正な査定額を知ることができるうえ、そのマンションの売却に自信のある不動産会社を見つけやすくなるでしょう。
しかし、自分で複数の不動産会社を回って査定の依頼をしていては多大な手間が生じます。
複数の不動産会社へ査定を依頼したい場合には、ぜひ「おうちクラベル」をご利用ください。おうちクラベルでは、一度の入力で優良な不動産会社へまとめて査定を依頼できます。
できるだけ早めに売却する
築40年以上が経過したマンションを売却する場合、できるだけ早く売却した方がよいでしょう。なぜなら、さらに築年数を重ねると売却が困難となる可能性が高いほか、売却額が低くなる可能性があるためです。
売り急がない
マンションの売却をする際には売り急がないことがポイントです。なぜなら、売却を急いでいると思われると足下を見られて安く買い叩かれてしまう可能性があるためです。
不具合は正直に申告する
築40年以上のマンションの場合、設備に不具合が生じている場合も少なくないでしょう。不具合がある場合には、売却にあたってこれを正直に申告し契約書に明記することが重要です。
不具合を隠したまま売却してしまうと、後から代金の減額や修繕、損害賠償などが請求される可能性があります。
築40年のマンションを売却する手順
築40年のマンションを売却する基本の手順は次のとおりです。
- 相場を調べる
- 不動産会社へ査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- マンションを売りに出す
- 問い合わせや内見に対応する
- マンションの売買契約を締結する
- マンションを引き渡す
相場を調べる
マンションの売却を検討する際には、まず大まかに自分で相場を調べるとよいでしょう。売却額の相場が知りたい場合には、次のウェブサイトが参考になります。
- 国土交通省が運営する「不動産取引価格情報検索」
- 不動産流通機構(レインズ)が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション」
いずれもマンションの売買が成立した価格を、詳細な地域や最寄駅からの距離、間取り、築年数などの情報とともに見ることができます。近隣地域における似た条件での売買事例を調べることで、おおまかな相場を知ることができるでしょう。
不動産会社へ査定を依頼する
大まかな相場を調べるなどして売却する方向である程度気持ちが固まったら、不動産会社に査定を依頼します。査定とは、不動産会社にそのマンションの売却想定額を算定してもらうことです。
上で解説をしたように、査定は複数の不動産会社に依頼するとよいでしょう。複数社へ査定を依頼する際には「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
不動産会社と媒介契約を締結する
マンションの仲介を依頼する不動産会社を選定したら、その不動産会社との間で媒介契約を締結します。媒介契約には次の3種類があるため、状況や希望に応じて選択してください。
- 専属専任媒介契約:他の不動産会社に重ねて仲介を依頼したり自分で買い手を見つけたりすることができない媒介契約。不動産会社には5営業日以内のレインズへの登録や1週間に1回以上の報告義務がある。
- 専任媒介契約:自分で買い手を見つけることはできるが、他の不動産会社に重ねて仲介を依頼できない媒介契約。不動産会社には7営業日以内のレインズへの登録や2週間に1回以上の報告義務がある。
- 一般媒介契約:重ねて複数の不動産会社に仲介を依頼できる媒介契約。不動産会社にはレインズへの登録義務がなく、報告頻度の制限もない。
マンションを売りに出す
不動産会社と媒介契約を締結したら、いよいよマンションを売りに出します。
売り出しにあたっては、売り手側の希望売却価格である売り出し価格を決めます。売り出し価格は査定額をベースとし、売主の希望を加味して決定することが多いでしょう。
売り出し価格が低すぎると損をする可能性がある一方で、売り出し価格が高すぎるとなかなか買い手が見つかりません。そのため、築40年のマンション売却で後悔しないためには、売り出し価格の決定が非常に重要なステップといえます。
問い合わせや内見に対応する
マンションの購入希望者は、仲介を依頼している不動産会社へ問い合わせを行います。問い合わせへの対応や物件の説明は原則として不動産会社が行うものの、不動産会社が把握していない情報に関する問い合わせがあった場合などには、不動産会社から売主に対して質問がなされるため適宜対応しましょう。
また、購入希望者は購入を決定する前にマンションの内見を希望することが一般的です。居住中の場合もあるかと思いますが、整理整頓や清掃などを行って内見を受け入れましょう。
また、すでにそのマンションに居住していない場合であっても、可能な限り売主も立ち会うことをおすすめします。なぜなら、購入希望者からの質問などに丁寧に対応することで、売買の成立につながる可能性が高くなるためです。
マンションの売買契約を締結する
購入希望者がマンションの購入を決め売買の条件もまとまったら、売買契約を締結します。売買契約書は不動産会社側で用意してくれるため、自分で一から作成する必要はありません。
売買契約の締結時に、購入希望者から手付金を預かることもあります。
マンションを引き渡す
あらかじめ決めた日時にマンションの引き渡しを行います。買主がローンを組む場合には、ローン契約先の銀行の応接室などで手続き(「決済」といいます)を行うことが多いでしょう。
決済の場では、次の手続きなどが同時に行われます。
- 銀行からの住宅ローン融資の実行
- 売主への代金(手付金を除いた全額)の支払い
- マンションの名義変更に必要な書類への押印
- マンションの鍵の受け渡し
決済の後には、決済を担当した司法書士がそのまま法務局へ出向いて名義変更の登記を申請し、これでマンションの名義が買主へと変わります。
まとめ
築40年以上が経過したマンションを購入し、後悔してしまうこともあるでしょう。よくある後悔としては、間取りや水回りが古く思いのほか住みづらかったことや、修繕積立金などの費用負担が重いことなどが挙げられます。
マンションの購入で後悔をした場合には、売却をして住み替えることが選択肢の1つとなるでしょう。
マンションを売却する際には適正な売却額を把握するため、複数の不動産会社から査定を受けることが基本です。しかし、自分で複数社を回って査定を依頼するのでは、多大な手間が生じてしまいかねません。
そこでおすすめなのが「おうちクラベル」のご利用です。おうちクラベルでは、一度の60秒入力で複数の優良な不動産会社へまとめて査定を依頼することが可能です。
査定額を比較することで適正額が把握しやすくなるほか、査定額の説明や対応などを比較することでより信頼できる不動産会社を選定しやすくなるでしょう。購入して後悔したマンションの売却をご検討の際には、ぜひおうちクラベルの不動産一括査定をご利用ください。