マンションを売ることは、多くの人にとって一生に何度もあるものではありません。そのため、マンションを売るまでの流れやかかる費用など、よくわからない場合も多いのではないでしょうか?
その一方で、マンションの売却で損をする事態も避けたいことかと思います。そこで今回は、マンションを売る際の注意点やかかる費用、売却までのステップなどについて詳しく解説します。マンションを売る際の参考としてみてください。
マンションを売る際によくある失敗
はじめに、マンションを売る際のよくある失敗を6つ紹介します。失敗例を知ることで、注意すべき点が見えやすくなるでしょう。
- 売り出し価格が高くなかなか売れなかった
- 安く売ってしまったことに後から気がついた
- 見込んだ価格では売れず住宅ローンの残債を完済できなかった
- 良かれと思ってリフォームしたが売却価格の増加に結びつかなかった
- 売るタイミングを誤って税金が高くなった
- 不具合を隠して売却して買主とトラブルになった
売り出し価格が高くなかなか売れなかった
マンションを売る際には、売主側で「売り出し価格」を設定します。
売り出し価格とは、売主側の希望販売価格です。これは、不動産会社が独自に算定した査定額に、売主の希望などを加味して設定することが多いでしょう。
マンションの価格は、需要と供給のバランスによって決まります。そのため、たとえ相場より高くても、そのマンションのその部屋を欲しいと希望する人さえいれば売買が成立する可能性があります。
とはいえ、需要に比べてよほどマンション供給の少ない地域などでない限り、相場以上の金額で売れるケースはさほど多くはありません。そのため、あまりに高い値付けをしてしまうとなかなか売れず、結局は価格を下げざるを得なくなる可能性が高いでしょう。
安く売ってしまったことに後から気がついた
売り出し価格を安く設定すれば、買主は見つかりやすいでしょう。しかし、売買契約が成立してから相場より安く売ってしまったことに気づくと、後悔することにもなりかねません。
そのような後悔を避けるため、マンションを売る際には複数の不動産会社から査定を受けることをおすすめします。複数社から査定を受けることで、そのマンションの適正額が把握しやすくなるためです。
複数の不動産会社へ査定を依頼したい場合には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。おうちクラベルを活用すれば、1社1社自分で不動産会社を回ることなく複数の不動産会社へ査定を依頼することが可能となります。
見込んだ価格では売れず住宅ローンの残債を完済できなかった
売却するマンションに住宅ローンが残っている場合もあるでしょう。この場合には、売却で得た対価でローンの残債を返済することが一般的です。
しかし、売却額が想定よりも低いと売却対価を充当しても住宅ローンの残債が返済できないかもしれません。この場合には、他の預貯金を切り崩したり親族からお金を借りたりしてローンを返済する方法や、住み替え先の住宅購入資金と合わせて新たなローンを組む「買い替えローン」などの方法が必要となります。
このような事態を避けるため、あらかじめ信頼できる不動産会社へ相談し売却想定額の査定をしてもらうとよいでしょう。不動産一括査定には、「おうちクラベル」のご利用がおすすめです。
良かれと思ってリフォームしたが売却価格の増加に結びつかなかった
マンションをより高値で売りたいと考え、リフォームやリノベーションをする場合もあるようです。
しかし、リフォームやリノベーションは、必ずしも売却価格の増加に結びつくわけではありません。リフォームやリノベーションが買主の好みに合わないことがあったり、費用をかけた分売り出し価格が周辺相場よりも高くなれば敬遠されてしまう可能性もあったりするためです。
そのため、マンションを売るにあたっては大規模なリフォームやリノベーションまでは行わず、最低限の修繕や清掃などに留めた方がよいでしょう。マンションを売るにあたってリフォームするかどうか悩んだら自己判断をするのではなく、信頼できる不動産会社の担当者へ相談することをおすすめします。
売るタイミングを誤って税金が高くなった
後ほど解説しますが、マンションを売って儲けが生じた場合には譲渡所得税の対象となります。
この譲渡所得税の計算方法は売却したマンションの所有期間がその年1月1日時点で5年超か5年以下かで異なっており、5年以下であれば税率が高くなる仕組みです。そのため、たとえば「売却をあと1年待っていれば譲渡所得税が安くなった」という事態が生じる可能性があります。
ほかにも譲渡所得税にはさまざまな特例があり、売却のタイミングによっては税額に大きな差が生じる可能性があります。
マンションの売却では大きなお金が動く分、税金にも注意しなければなりません。そのため、あらかじめ管轄の税務署か税理士へ相談して譲渡所得税について理解しておくことをおすすめします。
不具合を隠して売却して買主とトラブルになった
中古のマンションには、水回りや設備などに不具合がある場合もあるでしょう。不具合がある場合にはその旨を買主にきちんと申告したうえで、売買契約書に明記しておくことが必要です。
不具合を隠して売却した場合には、売買契約の成立後に買主から補修や代金の減額、損害賠償などを請求されてトラブルとなる可能性があります。
マンションを売るまでの基本的な流れ
マンションを売る際にはどのような流れを踏めばよいのでしょうか?マンションを売るまでの基本的な流れは次のとおりです。
- 相場を確認する
- 不動産会社に査定を依頼する
- 税金やかかる費用を確認する
- 不動産会社を選定する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 不動産の売り出し価格を決めて売りに出す
- 内見や問い合わせに対応する
- 売買契約を締結する
- マンションを引き渡す
- 確定申告を行う
相場を確認する
マンションを売るかどうか迷ったら、まずは大まかに相場を確認するとよいでしょう。マンションの相場を知りたい場合には、国土交通省が運営する「不動産取引価格情報検索」や、不動産流通機構(レインズ)が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション」が参考になります。
これらのウェブサイトには中古マンションの実際の売買実例が掲載されており、町名までの詳細な地域に絞って実例を検索することも可能です。
売買成立価格のほかマンションの間取り、築年数、面積、駅からの距離なども掲載されているため、売ろうとしているマンションの情報と比較することで売却価格が想定しやすくなるでしょう。
不動産会社に査定を依頼する
マンションを売る方向に決まったら、不動産会社に査定を依頼しましょう。査定とは、そのマンションの売却想定価格を不動産会社に算定してもらうことです。
マンションの査定は1社のみに依頼するのではなく、複数社に依頼することをおすすめします。なぜなら、査定はそれぞれの不動産会社が独自の算定ルールやノウハウを加味して行うものであり、不動産会社によって査定額が異なることは珍しくないためです。
複数社の査定を比較することでそのマンションの適正額が把握しやすくなるほか、そのマンションの売却に強みを持つ不動産会社を見つけやすくなるでしょう。複数社に査定を依頼したい場合には、「おうちクラベル」の不動産一括査定のご利用がおすすめです。
税金やかかる費用を確認する
査定を受けたら、その額をもとにマンションの売却で税金やかかる費用の想定をしておきましょう。税額などを想定せずに資金計画を立ててしまうと、住み替え先の購入資金が不足するなど予定に狂いが生じてしまう可能性があるためです。
また、譲渡所得税の額は特例適用の有無などによって大きく異なる場合があるため、あらかじめ特例の要件などを確認しておくことをおすすめします。
不動産会社を選定する
税金や費用などの確認と並行して、マンションの売却を依頼する不動産会社を選定します。
不動産会社は、マンションを売る際のパートナーとなる存在です。そのため選定にあたっては査定額の高さのみならず、査定額の説明や担当者の対応などを総合的に判断して信頼できる会社を決めることをおすすめします。
なぜなら、査定額はあくまでもその不動産会社が「このくらいの価格なら売れるだろう」と想定した額でしかなく、実際にその価格で売れるとの保証ではないためです。
不動産会社と媒介契約を締結する
不動産会社を選定したら、その不動産会社との間で媒介契約を締結します。媒介契約を締結することで、不動産会社がマンションの販売に向けた活動を開始することが可能となります。
媒介契約には次の3種類が存在します。それぞれ一長一短ありますので、状況に応じて希望に沿った契約を締結しましょう。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
他の不動産会社への依頼 | 不可 | 不可 | 可 |
自己発見取引(自分で買主を見つけて売買) | 不可 | 可 | 可 |
指定流通機構(レインズ)への登録 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | 義務なし |
報告頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 指定なし |
不動産の売り出し価格を決めて売りに出す
不動産会社と媒介契約を締結したら、マンションの売り出し価格を決定します。
売り出し価格は査定額をベースとして、売主の希望を加味して決めることが多いでしょう。先ほどもお伝えしたように、マンションの売却で失敗しないためにはこの売り出し価格の決定が重要です。
売り出し価格が決まったら、マンションを売りに出します。買主の募集方法は、見込み顧客に直接連絡を取ったりインターネットに掲載したりするなど、不動産会社によって異なります。
どのような方法で買主を募るのか知りたい場合には、依頼先の不動産会社に確認しておくとよいでしょう。
内見や問い合わせに対応する
マンションを売りに出すと、そのマンションに興味がある人から不動産会社に対して問い合わせが入ります。問い合わせなどには不動産会社が対応するため、原則として売主が直接対応する必要はありません。
ただし、不動産会社が購入希望者へ回答するために不動産会社から物件に関する質問などの連絡が入る場合があるため、質問があったらすみやかに対応しましょう。
また、マンションの購入希望者は購入を決める前に内見を希望することが一般的です。マンションに居住中でない場合には不動産会社に内見の対応を任せることもできますが、可能であれば内見時に立ち会って直接質問に回答するなどすることで、売買契約の成立につながる可能性もあります。
売買契約を締結する
買主がマンションの購入を決め条件などの交渉もまとまったら、売買契約を締結します。売買契約書は、不動産会社が用意してくれることが一般的です。売買契約書は2通作成し、売主と買主で1通ずつ保管します。
売買契約の締結に際しては、買主から売主に対して手付金の交付がされることが通例です。手付金の額に明確な決まりはないものの、売買価格の5%から10%程度であることが多いでしょう。
マンションを引き渡す
あらかじめ定めた日時において、マンションの引き渡しを行います。
マンションの買主はローンを組むことが多く、この場合にはローン契約先の金融機関内部のスペースに集まって手続きをすることが一般的です。この手続きを「決済」といい、この場では次のことなどが同時に行われます。
- 買主の住宅ローンの実行
- 買主から売主への売買代金(手付金を除いた全額)の支払い
- マンションの名義変更に必要な書類への署名押印
その後決済に立ち会った司法書士が法務局へ出向き、マンションの名義変更登記を申請します。これでマンションが正式に買主名義となります。
確定申告を行う
マンションを売ったら、確定申告が必要となる場合があります。確定申告が必要となる場合は、売却の翌年2月16日から3月15日までの間に忘れずに申告を行ってください。
譲渡所得税には、譲渡所得を引き下げるための控除や損失を他の所得と通算したり翌年以降に繰越したりする特例が存在します。それぞれの特例には要件がありますので、申告にあたっては管轄の税務署か税理士に相談することをおすすめします。
マンションをより高く売るポイント
マンションをより高く売るにはどうすればよいのでしょうか?主なポイントは次のとおりです。
- 売却を急がない
- 内見に向けて清掃や整理整頓を行う
- 信頼できる不動産会社へ仲介を依頼する
- 築古のマンションならインスペクションを検討する
- 売り出し時期を慎重に検討する
- 同じマンションや近隣のマンションの売却と競争しない
売却を急がない
マンションをよりよい条件で売るには、売却を急がないようにしましょう。売却を急ぐと、購入希望者からの無理な値下げ交渉に応じざるを得ない可能性があるためです。
内見に向けて清掃や整理整頓を行う
内見を受け入れる際に、まだマンションに居住している場合もあるでしょう。その場合には、内見時までに大規模なハウスクリーニングをすることは難しいかもしれません。
その場合であっても、整理整頓や通常の清掃は行っておくことをおすすめします。乱雑で汚れた状態であるのと清掃や整理整頓がされた状態とでは、同じマンションであっても売買の成立価格に大きな差が生じる可能性があるためです。
信頼できる不動産会社へ仲介を依頼する
マンションをより高く売却するためには、信頼できる不動産会社へ依頼することがカギとなります。そのマンションの売却に強みを持つ不動産会社を選定するためには、複数の不動産会社を不動産会社へ査定を依頼するとよいでしょう。
査定の依頼にあたっては「おうちクラベル」のご利用がおすすめです。
築古のマンションならインスペクションを検討する
築古のマンションは設備の劣化や耐震強度などに不安があり、買主が購入を躊躇する可能性があります。そのような場合に備え、ホームインスペクションを活用することも1つでしょう。
ホームインスペクションとは、住宅に精通した専門家に第三者的な立場から住宅の劣化状況や不具合事象の有無などを診断してもらう仕組みです。診断を受けることでそのマンションの客観的な状態を把握できるため、購入希望者が安心して購入しやすくなります。
売り出し時期を慎重に検討する
マンションの価格は、需要が高まる時期に上昇する傾向にあります。そのため、2月や3月などの引っ越しシーズンに売り出すことで、より高く売れる可能性があります。
ただし、地域や想定される購入層などによっては必ずしもこの時期の売り出しが得策であるとも限りません。その地域の状況に詳しい不動産会社に相談して時期を検討するとよいでしょう。
同じマンションや近隣のマンションの売却と競争しない
同じ時期に同じマンションや似た間取りの近隣マンションが売りに出ている場合もあります。この場合には、価格や条件が比較されることもあるでしょう。
しかし、他の物件と競争して値下げをしてしまうと、希望の条件で売れないことにもなりかねません。競合の物件が売りに出ている場合には、あえて売却を待ち時期をずらして売り出すことも1つの手です。
【総まとめ】マンションを売るときにかかる税金・費用
マンションを売る際には、さまざまな費用や税金がかかります。マンションの売却でかかる主な費用と税金は次のとおりです。
仲介手数料
マンションを売る際には、不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。不動産会社へ仲介を依頼した場合には、不動産会社の報酬として仲介手数料が発生します。
仲介手数料の上限額は法律で定められており、それぞれ次のとおりです。
売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下の部分 | 売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 売却価格の4%+消費税 |
400万円を超える部分 | 売却価格の3%+消費税 |
なお、マンションであれば売買価格は400万円超となるケースが大半です。その場合には、次の算式に当てはめることで仲介手数料の上限額を算定できます。
- 仲介手数料の上限額=売却価格×3%+6万円
ここで紹介をした額はあくまでも「上限額」であるものの、実際にはこの上限額をそのまま手数料額としている不動産会社が多いでしょう。
清掃費用
マンションの売却にあたっては、専門の会社にハウスクリーニングを依頼することが多いでしょう。ハウスクリーニングの費用は依頼先の清掃会社によって異なるものの、1Kで1万5,000円から4万円程度、3LDKでおおむね5万円から8万円程度です。
なお、引越しのスケジュールによっては居住中にハウスクリーニングを依頼する場合もありますが、居住中の方がやや費用が高くなる傾向にあります。
しっかりとハウスクリーニングをすることでマンションの見栄えがよくなり、よりよい条件で売りやすくなるため費用をかけてでも行うことをおすすめします。
引越し費用
マンションの売却に直接かかる費用ではないものの、マンションを売って引越しする場合には、引越し費用も考慮しておく必要があります。
引越し費用は時期や距離などによって大きく異なるため、複数社から見積もりをとるとよいでしょう。一般的には2月から4月の引っ越しシーズンの土日がもっとも高く、それ以外の平日が比較的安価となります。
繁忙期ではない時期に15km圏内で家族4人が引っ越した場合の引越し費用は、おおむね8万円から10万円程度です。
抵当権の抹消費用
住宅ローンを借りる際には、ローンを組んで購入したマンションに抵当権(担保)が付されることが一般的です。なぜなら、抵当権を付けておけば万が一住宅ローンの返済が難しくなった場合に、金融機関がそのマンションを競売にかけることでその対価からローン残債の弁済を受けることができるためです。
しかし、この抵当権がついたままでは、原則としてマンションを売却することはできません。買主の立場で考えると、売主側のローン不払いでいつ競売にかけられるかわからない不動産は恐ろしくて購入することができないためです。
そのため、遅くとも買主にマンションの名義を変えるときまでに抵当権を抹消する必要があります。実際には決済の場で受け取った売買代金をもとに住宅ローンの残債を返済し、名義変更手続きと同時に抵当権抹消手続きを行うことが多いでしょう。
一般的に、マンションの名義変更にかかる登記費用は買主側が負担します。一方、この抵当権の抹消にかかる費用は売主側で負担することが一般的です。
抵当権の抹消にかかる費用は次のとおりです。
- 司法書士報酬:事務所によって異なるがおおむね1万円から2万円程度
- 登録免許税:不動産の数×1,000円
住宅ローンの繰上げ返済費用
抵当権を抹消するには、原則として住宅ローンの残債を返済しなければなりません。住宅ローンを本来決められた時期より前に返済することを「繰上げ返済」といいます。
繰上げ返済の手数料は無料のこともありますが、金融機関によっては1万円から3万円程度の手数料が必要です。
印紙税
印紙税とは、契約書や領収書などの文書に課される税金です。マンションの売買契約書は印紙税の課税文書であり、契約書に記載をした売買代金の額に応じて印紙税を負担しなければなりません。
契約金額 | 印紙税額 (2024年年3月31日までの軽減税率) |
---|---|
50万円以下 | 200円 |
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
5億円以下 | 60,000円 |
10億円以下 | 160,000円 |
50円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
なお、マンションの売買契約書は売主と買主がそれぞれ1通ずつ保管することが一般的です。そのため、印紙税も売主と買主がそれぞれ自分の保管する契約書に貼付する分を負担することが多いでしょう。
譲渡所得税
マンションを売って儲けが出た場合には、譲渡所得税の対象となります。譲渡所得税はどこかから自動的に納付書が送られてくるものではなく、マンションを売却した翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行って納税しなければなりません。
申告や納税をしなければ、ペナルティとして無申告加算税などの対象となる可能性があるほか、申告すれば使えたはずの特例が受けられず税額が増えるおそれがあります。そのため、マンションを売却する際にはあらかじめ税理士などの専門家へ相談し、譲渡所得税について理解しておく必要があるでしょう。
譲渡所得税については、次で詳しく解説します。
マンションを売る際にかかる譲渡所得税の計算方法
マンションを売って儲けが出た場合には、譲渡所得税の対象となります。譲渡所得税は次の式で算定されます。
- 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
- 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率
では、それぞれの項目について解説しましょう。
収入金額
収入金額とは、マンションを売ったことによって買主から受け取る金銭の額です。マンションの売却対価であると考えておくとよいでしょう。
取得費
取得費とは、売ったマンションを取得する際にかかった費用です。取得費には次の金額などが含まれます。
- マンションの購入代金
- マンション購入時に支払った仲介手数料
- マンションの取得時に納めた登録免許税、司法書士報酬、不動産取得税、印紙税など
ただし、マンションの取得費は購入代金そのままではなく、購入代金から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額となります。不明な場合には、税理士や税務署へ相談することをおすすめします。
なお、相続で取得したマンションなどの場合には取得費が不明な場合もあるでしょう。その場合には「収入金額×5%」で取得費を算定します。
譲渡費用
譲渡費用とは、マンションを売るために直接かかった費用です。譲渡費用には次の金額などが含まれます。
- マンションを売るために支払った仲介手数料
- 印紙税で売主が負担したもの
- 売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金
- 賃貸マンションを売るにあたって借主に支払った立退料
特別控除額
譲渡所得税には、さまざまな特別控除が設けられています。
マンションを売る際に使える可能性のある主な特別控除は次のとおりです。特例の適用を受けた結果、譲渡所得税がゼロとなるケースも少なくありません。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
- 被相続人(亡くなった人)の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円特別控除
特例の適用にはさまざまな要件がありますので、あらかじめ税理士に相談しておくことをおすすめします。
また、特別控除のほとんどは確定申告をしなければ適用を受けることができません。そのため、特別控除を適用した結果税額がゼロとなる場合であっても、必ず確定申告を行ってください。
税率
譲渡所得税と住民税の税率は、売却をしたマンションの所有期間が5年超であるか5年以下かで異なります。それぞれの税率は次のとおりです。
保有期間 | 税率(復興特別所得税を含む) |
---|---|
5年超(長期譲渡所得) | 20.315%(所得税15.315%、住民税5%) |
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63%(所得税30.63%、住民税9%) |
※2037年までは復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加算されています。
なお、保有期間は売買契約の成立日などではなく、譲渡した年の1月1日現在で判断します。たとえば2023年8月1日にマンションを売却した場合には、2023年1月1日時点で保有期間が5年超か否かの判断がされることには注意してください。
マンションを売る際に後悔しないための注意点
マンションを売る際には、次の点に注意してください。
- 査定は必ず複数社へ依頼する
- 信頼できる不動産会社を選定する
- 売却にあたって必要以上の修繕やリノベーションはしない
- かかる費用をトータルでよく理解しておく
- 譲れない条件をあらかじめ明確にする
査定は必ず複数社へ依頼する
繰り返し記載しているとおり、マンションを売る際の査定は1社のみに依頼するのではなく、複数の不動産会社へ依頼しましょう。
複数社に査定を依頼することでマンションの適正額が把握しやすくなるほか、対応などを比較することで信頼できる不動産会社を選定しやすくなるためです。
複数の不動産会社に査定を依頼する際には、「おうちクラベル」をご利用ください。
信頼できる不動産会社を選定する
マンションの売却をよりよい条件で実現するためには、売却のパートナーとなる不動産会社の選定がカギとなります。そのため、査定額のみならず対応などをよく比較して、信頼できる不動産会社を選定しましょう。
不具合は正直に申告する
マンションの設備などの不具合があれば、購入希望者に正直に申告し契約書にも明記しましょう。不具合を隠すと売却後に契約不適合責任を問われ、補修請求や代金減額請求、損害賠償請求などがされてトラブルに発展する可能性があります。
売却にあたって必要以上の修繕やリノベーションはしない
マンションを売却するにあたって、必要以上のリフォームやリノベーションをする必要はありません。リフォームやリノベーションが買主の希望に沿わなければ、売買契約の成立にとってマイナスとなる可能性もあるためです。
そのため、大規模なリフォームやリノベーションは避け、最低限の修繕に留めるとよいでしょう。
かかる費用をトータルでよく理解しておく
マンションの売却にはさまざまな費用がかかります。この費用の想定が甘ければ、資金計画に大きな狂いが生じてしまうかもしれません。
そのため、あらかじめかかる費用をトータルで想定しておく必要があるでしょう。
譲れない条件をあらかじめ明確にする
マンションの売却で後悔しないためには、あらかじめ譲れない条件を明確にしておきましょう。条件を明確にしておくことで、「このくらいならよいか」と安易に条件に妥協してしまう事態を避けることが可能となります。
まとめ
マンションを売る際には、できるだけ失敗したくないことでしょう。マンションの売却で失敗しないためには、かかる費用をトータルで理解しておくほか信頼できる不動産会社に売却を依頼することが重要です。
信頼できる不動産会社と出会うためには、複数の不動産会社へ査定を依頼するとよいでしょう。複数社に査定を依頼することでそのマンションの売却に強みを持つ不動産会社を見つけやすくなるほか、対応などを比較することも可能となります。
しかし、自分で1社ずつ不動産会社を回って査定を依頼することには、多大な手間と時間が必要です。そこでおすすめなのが「おうちクラベル」のご利用です。
おうちクラベルでは一度の60秒入力で、複数の優良な不動産会社へまとめて査定を依頼することが可能です。マンションの売却をご検討の際には、ぜひおうちクラベルの不動産一括査定をご利用ください。