築50年以上が経過したマンションの場合、リーズナブルな価格で購入できることも少なくありません。しかし、築古のマンションの購入後に後悔するケースも存在します。
築古のマンションの購入後に後悔したら、どのように対処すればよいのでしょうか?今回は、築50年のマンションを購入して後悔する主な例を紹介するとともに、後悔した場合の対処法などについて詳しく解説します。
築50年のマンションで後悔する主なポイント
築50年のマンションを購入した場合、後悔するポイントはどのような点にあるのでしょうか。はじめに、後悔する主な例を9つ紹介します。
- 住宅ローンが組みにくい
- 修繕積立金の負担が重い
- 断熱性能が低い
- 配管設備が老朽化し不具合が頻発する
- 耐震性能に不安がある
- 売却しづらい
- 古くからの住民になじめない
- 生活音が響く
- 建て替えに不安がある
住宅ローンが組みにくい
築50年のマンションの場合、希望どおりに住宅ローンが組めず多額の頭金が必要となることが少なくありません。なぜなら、マンションの資産価値は法定耐用年数である47年を過ぎるとほとんどなくなるとされており、銀行から担保としての価値が低いと判断されるためです。
銀行が住宅ローンを貸し出す際には、ローンが契約どおりに返済されなくなる事態に備え、購入したマンションへ抵当権(担保)が付けられます。抵当権があれば、ローンも返済が滞っても銀行がその抵当権を実行してマンションを競売にかけ、売却対価からローン残債の弁済を受けられるためです。
一方、資産価値が低ければ、たとえ競売にかけてもローンの残債を賄うだけの対価が得られないかもしれません。そのため、資産価値がほとんどなくなった築50年のマンションは担保としての価値が低いと判断され、通常よりもローンが組みにくくなる可能性があります。これにより資金計画に狂いが生じ、後悔することもあるでしょう。
修繕積立金の負担が重い
築50年のマンションの場合、リーズナブルに購入できることが多いでしょう。その一方で、月々に支払う修繕積立金が高いことが少なくありません。なぜなら、築古のマンションの場合設備に不具合が生じることも多く、新築時よりもメンテナンスにコストがかかるためです。
この負担が想像以上に重いことで、築古のマンションの購入を後悔するケースもあります。
断熱性能が低い
マンションの建築技術は、年々進化しています。しかし、築50年が経過したマンションの場合当時の技術で建てられており、断熱性能が低いことが少なくありません。
実際に住んでみてから断熱性能の低さに気づき、購入を後悔することもあります。
配管設備が老朽化し不具合が頻発する
築50年が経過したマンションでは、配管や水回りの設備に不具合が生じていることが少なくありません。不具合が頻発することで想定以上に修理の手間やコストがかかり、購入を後悔することもあるでしょう。
耐震性能に不安がある
新耐震基準は1981年6月1日以降に建築確認を受けたマンションから適用されており、これより前に建てられた築古のマンションに適用されているのは旧耐震基準です。
旧耐震基準で建てられているからといって、ただちに危険が生じるわけではありません。しかし、近い将来に発生すると予想されている南海トラフ地震などの巨大地震のことを考えると不安に感じ、購入を後悔することもあるでしょう。
売却しづらい
上で解説したように、築古のマンションでは住宅ローンが組みづらい傾向にあります。そのため、そのマンションを売却しようにも買い手がローンを組みづらく、売却の話がまとまりにくくなる可能性があります。このことから、築50年のマンション購入を後悔することもあるでしょう。
古くからの住民になじめない
築50年のマンションの場合、住民の高齢化も進んでいることが少なくありません。すでに住民間で昔からのコミュニティができあがっていると、馴染みにくいと感じることもあるでしょう。これが原因で、築古のマンション購入を後悔することもあります。
生活音が響く
一概にいえるものではありませんが、築50年のマンションの場合、防音性能が今よりも低いことが考えられます。また、購入前に内見したとしても、すべての時間帯に滞在することは現実的ではないでしょう。
そのため、実際に住んでみてから生活音が響くことに気づき、購入を後悔するケースもあります。
建て替えに不安がある
マンションの寿命は法定耐用年数とイコールではなく、適切にメンテナンスをすることで築100年であっても住める可能性はあるでしょう。
しかし、どのようなマンションであっても、いずれは寿命を迎えます。寿命を迎えたマンションは住民の費用負担によって建て替えられるか、取り壊して土地を売却する道をたどります。
建て替えるとなると、一戸あたり数千万円もの負担が生じる可能性も否定できません。マンションの建て替えには区分所有者数の5分の4以上の賛成と議決権の5分の4以上の賛成による決議が必要であり非常にハードルが高いものの、いずれは決断すべきときが訪れます。
築50年のマンションの場合さほど遠くない将来に建て替えについての決断を迫られることになる可能性が高く、この問題に直面したことで購入を後悔する場合もあるでしょう。
築50年以上のマンションの購入で後悔した場合の対処法
築50年のマンションを購入して後悔した場合には、どのように対処すればよいのでしょうか?主な選択肢は次のとおりです。
- リノベーションやリフォームをして住み続ける
- マンションを賃貸して住み替える
- マンションを売却して住み替える
リノベーションやリフォームをして住み続ける
1つ目の選択肢は、リフォームやリノベーションをしてそのマンションに住み続けることです。防音の問題などの場合、リフォームやリノベーションで改善できることも多いでしょう。
マンションを賃貸して住み替える
2つ目の選択肢は、マンションを賃貸して住み替えることです。マンションを賃貸に出すことで、継続的な収入を得ることが可能となります。
ただし、築50年のマンションの場合借り手が見つからない可能性があるほか、借り手が見つかっても満足のいく賃料が得られないことも多いでしょう。また、賃貸しても修繕積立金や固定資産税などは支払い続ける必要があるほか、トイレなどの設備に不具合が生じた場合には修繕しなければなりません。
マンションを売却して住み替える
3つ目の選択肢は、マンションを売却して住み替えることです。
売却ができるとまとまった資金が得られるため、住み替え先を得る資金に充てることができるでしょう。また、マンションを手放すことになるため、以後は修繕積立金などの支払いから解放されるほか賃貸管理の負担からも解放されます。
ただし、築古のマンションの場合、売却に難航する可能性も否定できません。そのため、築50年のマンションを売却する際には複数の不動産会社へ査定の依頼をして、売却に前向きな不動産会社を見つけるとよいでしょう。
築50年以上のマンションを売却する流れ
築50年以上のマンションを売却する際の基本的な流れは次のとおりです。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 依頼先の不動産会社を選定する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- マンションを売りに出す
- 内見に対応する
- 売買契約を締結する
- マンションを引き渡す
不動産会社に査定を依頼する
マンションの売却を決めたら、まずは不動産会社へ査定を依頼します。
査定は1社のみに依頼するのではなく、複数社に依頼するとよいでしょう。なぜなら、複数の不動産会社から査定を受けることでそのマンションの適正額を把握しやすくなるほか、査定額や対応などを比較することで依頼先の不動産会社を選定しやすくなるためです。
依頼先の不動産会社を選定する
複数社から査定を受けたら、売却を依頼する不動産会社を選定しましょう。
査定額の高さのみで選ぶのではなく、査定額への説明や対応などを総合的に検討し、信頼できる不動産会社を選ぶことをおすすめします。なぜなら、査定額は売却の想定額でしかなく、実際にその価格で売れるとの保証ではないためです。
査定額の高さのみで不動産会社を選んだとしても、その価格では購入希望者が見つからず結果的に大きく値を下げることとなる可能性があります。
不動産会社と媒介契約を締結する
売却を依頼する不動産会社を選んだら、その不動産会社と媒介契約を締結しましょう。媒介契約には次の3つが存在するため、状況やニーズに合った契約を選択します。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
それぞれの特徴は次のとおりです。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
他の不動産会社との媒介契約の締結 | 不可 | 不可 | 可 |
自分で買主を見つけての売買契約締結 | 不可 | 可 | 可 |
指定流通機構(レインズ)への登録 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | 義務なし |
報告頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 指定なし |
築50年のマンションの場合、一般的には売却に難航する可能性があるため、不動産会社に責任をもって売り手を探してもらいやすい「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を選択することが多いでしょう。
マンションを売りに出す
媒介契約を締結したら、マンションを売りに出します。
マンションを売りに出す際には売主側の希望売却価格である売り出し価格を決めることになりますが、この売り出し価格が高すぎると買い手がなかなか見つからない可能性があります。一方で、売り出し価格が低すぎると本来売れたはずの価格よりも安く売却してしまい、後悔する可能性があるでしょう。
売り出し価格の決定は、マンションの売却において非常に重要です。依頼先の不動産会社とよく相談したうえで慎重に検討することをおすすめします。
内見に対応する
マンションの購入希望者は、購入前に内見を希望することが一般的です。たとえそのマンションに居住中であっても内見には積極的に対応しましょう。
居住中の場合マンション内に私物があることは問題ありませんが、売買契約を成立させるため清掃や整理整頓は行っておくことをおすすめします。
売買契約を締結する
買い手が購入を決め売買の条件もまとまったら売買契約を締結します。
契約の締結にあたっては、買主から売主に対して手付金を交付することが多いでしょう。手付金の額に明確な決まりはないものの、売買代金の5%から10%程度とすることが一般的です。
マンションを引き渡す
あらかじめ取り決めた日程で、マンションを引き渡します。
マンションの引き渡しは、売買代金全額の受領と同時に行うことが一般的です。併せて、マンションの名義変更に必要となる書類を司法書士に引き渡し、司法書士が法務局で申請をすることでマンションの名義が正式に買主へと変わります。
築50年以上のマンションの売却方法
築50年以上のマンションを売却するには、仲介と買取の2つの方法が存在します。それぞれの概要は次のとおりです。
- 仲介による売却
- 不動産買取の利用
仲介による売却
仲介とは、不動産会社に依頼をしてマンションの買主を見つけてもらう方法です。通常のマンション売買では、こちらの手法がとられることが多いでしょう。
不動産買取の利用
不動産買取とは、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう方法です。築古のマンションなど市場で売りにくい不動産の場合、買取も有力な選択肢となるでしょう。不動産買取のメリットとデメリットは次で解説します。
不動産買取のメリット
不動産買取の主なメリットは次のとおりです。
- 売買成立までがスピーディーである
- 市場で売りづらい不動産での売却する余地がある
- 仲介手数料が発生しない
- 周囲に売却を知られにくい
- 契約不適合責任が免除される
売買成立までがスピーディーである
不動産買取では不動産会社が直接不動産を買い取るため、市場で買い手を見つける必要がありません。そのため、売買の成立がスピーディーとなる傾向にあります。
市場で売りづらい不動産での売却する余地がある
築50年以上のマンションを市場で売りに出しても、買い手が見つからないかもしれません。一方、不動産買取の場合はこのような市場で売りにくい不動産であっても買い取ってもらえる可能性があります。
仲介手数料が発生しない
不動産会社に仲介を依頼した場合には仲介手数料が発生します。一方、買取の場合不動産会社に仲介を依頼するわけではないため仲介手数料が発生しません。
周囲に売却を知られにくい
仲介の場合にはそのマンションの買い手を探すため、不動産会社が広告を出したりウェブサイトに掲載したりすることが多いでしょう。これによって、マンションを売りに出していることが周囲に知られる可能性があります。
一方、不動産買取の場合買い手を探す広告などを出す必要がなく、周囲に売却を知られにくいといえます。
契約不適合責任が免除される
契約不適合責任とは、マンションの売買契約成立後に契約内容にはなかった不具合が見つかった場合に売主に対して生じる責任のことです。
たとえば、給湯器が壊れていることを買い手に対して説明せず契約書にも記載しなかった場合には、買主から後日給湯器の補修や代金の減額、損害賠償請求などがされる可能性があります。
不動産買取の場合には買い手である不動産会社は不動産のプロであるため、契約不適合責任が免除されることが一般的です。
不動産買取のデメリット
不動産買取にはデメリットも存在します。主なデメリットは次のとおりです。
- 売却価格が低くなる傾向にある
- 対象となる不動産が限られる
売却価格が低くなる傾向にある
不動産買取の場合には、市場での売却と比較して売買価格が低くなる傾向にあります。売買価格は案件によって異なるものの、市場での売却価格のおおむね7割から8割程度となることが多いでしょう。
対象となる不動産が限られる
不動産買取はどの不動産会社でも行っているわけではないうえ、どのようなマンションであっても買い取ってもらえるわけではありません。不動産会社側にマンションを買い取る義務があるわけではないためです。
築50年以上のマンション売却で失敗しないためのポイント
築50年以上のマンションを売却するにあたって、後悔や失敗をしないためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか?主なポイントは次のとおりです。
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 不動産買取も視野に入れる
- 必要以上のリフォームやリノベーションは行わない
- 建て替えの話が浮上する前に売却する
- 売却を急がない
- 不具合があれば正直に申告する
複数の不動産会社に査定を依頼する
築古のマンションを売却しようとする際には、まず複数の不動産会社へ査定を依頼するとよいでしょう。複数社に査定を依頼することでそのマンションの適正額が把握できるうえ、査定額や対応などを比較することでそのマンションの売却に自信のある不動産会社を見つけやすくなるためです。
しかし、自分で複数の不動産会社を回って査定の依頼をしていては、多大な手間と時間を要します。
複数社へ見積もりを依頼したい際には、不動産一括査定サイトである「おうちクラベル」の利用がおすすめです。おうちクラベルでは一度の入力で、複数の優良な不動産会社へまとめて査定を依頼することができます。
不動産買取も視野に入れる
築50年以上のマンションは、市場での買い手が見つかりにくい可能性もあります。その際には、不動産買取も視野に入れるとよいでしょう。
売却を急がない場合にはまず通常どおり市場での売却を試みて、買い手が見つからない場合に不動産買取へと切り替えることも1つの手です。
必要以上のリフォームやリノベーションは行わない
マンションを売却することが決まったら、自己判断で必要以上のリフォームやリノベーションを行うことは避けた方がよいでしょう。リフォームやリノベーションをした方が買い手が見つかるのではないかと考えて費用をかけても、そのリフォームやリノベーションが買い手の意向に沿わない可能性もあるためです。
むしろ、大規模なリフォームやリノベーションをした結果その費用が売り出し価格に上乗せされれば、リーズナブルであるという築古マンションの利点が薄れて買い手が見つかりにくくなるかもしれません。
リフォームやリノベーションをする場合、売却を依頼している不動産会社の担当者と相談をしたうえで行うことをおすすめします。
建て替えの話が浮上する前に売却する
マンションの老朽化が進むと、建て替えの話が浮上する可能性があります。しかし、建て替えの話が浮上してからでは、買い手が見つかる可能性はさらに低くなるでしょう。
築50年以上の築のマンションを売却する場合は、建て替えの話があがる前に進める必要があるでしょう。
売却を急がない
築50年以上のマンションに限ったことではありませんが、不動産を売却する際には時間に余裕を持って売却することをおすすめします。なぜなら、売却を急いでいることが買主側に伝わると、足元を見られて買い叩かれるリスクがあるためです。
不具合があれば正直に申告する
築50年以上のマンションの場合、設備に不具合があることが多いでしょう。
売却にあたってはこの不具合を正直に申告し、売買契約書にも明記することが必要です。なぜなら、売却をしてから契約書に記載のない不具合が発覚した場合には、補修や代金減額、損害賠償などの請求がなされトラブルに発展する可能性があるためです。
まとめ
築50年のマンションは老朽化が進んでおり、購入を後悔することもあるでしょう。その場合にはリノベーションなどをして住み続けるほか、売却をして住み替えることも選択肢の1つとなります。
しかし、築50年のマンションはローンが通りづらく買い手を見つけにくい傾向にあります。そのため売買契約の成立には、そのマンションの売却に強みを持つ不動産会社への依頼がカギとなるでしょう。
そのマンションの売却に強い不動産会社を見つけるには、複数の不動産会社に査定を依頼することがポイントです。複数社の査定額や査定額への説明、対応などを比較することで、そのマンションの売却に自信にある不動産会社を見つけやすくなります。
しかし、複数の不動産会社を自分で回って査定の依頼をしていては、多大な手間を要します。そこでおすすめなのが「おうちクラベル」のご利用です。
おうちクラベルでは、60秒入力で複数の不動会社にまとめて査定を依頼できます。築50年のマンションの売却をご検討の際には、おうちクラベルの不動産一括査定をご利用ください。