マンションは売るつもりで買うべき?売却の流れ・メリット・注意点

マンションは一般的に一戸建て住宅と比較して資産価値が下がりにくく、中古物件であっても販売しやすいとされています。そのため、将来売るつもりでマンションを買うケースもあるでしょう。

では、将来売るつもりでマンションを買うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?また、売るつもりで買ったマンションを実際に売却する際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

今回は、売るつもりでマンションを買うメリットと売却する流れなどについて詳しく解説します。

目次

マンションを売るつもりで買う4つのメリット

マンションを売るつもりで買う4つのメリット

将来売ることを前提としてマンションを買うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットは次の4点です。

  • ライフステージの変化に対応しやすい
  • 結果的に賃貸よりもコストがかからずに済む可能性がある
  • 収入の変化に対応しやすい
  • マンションの老朽化に対応する必要がなくなる

ライフステージの変化に対応しやすい

将来売るつもりでマンションを買って希望どおりの売却が実現すれば、ライフステージの変化に対応しやすくなります。

たとえば、夫婦2人の間は駅に近いコンパクトなマンションを購入し、子どもが生まれたら少し郊外の広いマンションに買い替えることなどが挙げられます。その後子どもが巣立ったら、趣味に活動を前提とした住まいや老後に暮らしやすいマンションにさらに住み替えることも1つの手でしょう。

結果的に賃貸よりもコストがかからずに済む可能性がある

マンションを将来売るつもりで買ってよい条件で売却ができれば、賃貸住宅で暮らすよりも結果的にコストがかからない可能性があります。

賃貸住宅に住むためには毎月賃料を支払う必要がありますが、長年賃料を支払い続けても自分の資産になるわけではありません。

たとえば、家賃が20万円の賃貸マンションで10年間生活すると、更新料などを除いても計2,400万円の費用がかかります。

一方、5,000万円のマンションを購入して月々の管理費や修繕積立金が2万円かかったとしても、10年後に4,000万円程度で売却できれば賃貸住宅で暮らすよりもトータルのコストは安く済むのです。それどころか、市場の状況などによっては購入額よりも高く売れるケースもあるほどです。

マンションの購入を消費ではなく「投資」であると捉えれば、金銭的なメリットを享受できる可能性が高まるでしょう。

収入の変化に対応しやすい

一昔前は、「同じ会社で定年まで勤め上げ、勤続年数が長くなるごとに収入が上がる」というライフスタイルが基本とされていました。しかし、最近ではさまざまなライフスタイルが考えられるほか、不測の事態で収入が増減する可能性も低くありません。

将来売ることを想定せず、一生涯暮らすつもりでマンションを購入した場合には、収入が大きく変化した際に慌ててしまうことでしょう。変化後の収入に見合った住宅に住み替えようにもマンションが思ったような価格で売れなければ、銀行に住宅ローンのリスケジュール(契約当初の返済スケジュールの変更)を依頼するなどの対応しかできない可能性があるためです。

一方、将来売ることを見越してマンションを購入していた場合には、柔軟な対応がしやすくなります。収入が減ってもいずれ売るつもりであったマンションを売却してリーズナブルな物件に住み替えるという選択がとりやすいためです。

マンションの老朽化に対応する必要がなくなる

マンションは永久に存在するものではなく、いずれは老朽化や寿命を迎えます。

老朽化したマンションは修繕積立金が高くなったり設備の故障が相次いだりするなど、問題が少なくありません。また老朽化してからマンションを売ろうにも、買い手が見つからない可能性や希望するほどの価格では売れない可能性があるでしょう。さらに、いずれは建て替えなどの問題が生じます。

一方、たとえばマンションを売るつもりで買って5年や10年ごとに築浅のマンションに住み替えるなどの手段をとれば、マンションの老朽化問題に対応する必要性から解放されます。

マンションを売るつもりで買う場合の注意点

マンションを売るつもりで買う場合の注意点

マンションを売るつもりで買う場合には、次の点に注意しましょう。

  • 理想通りに売却できるとは限らない
  • 5年以内に売却すると譲渡所得税が高くなる
  • その地域のマンションの値動きに注意する
  • 売却時にはローンを完済する必要がある

理想通りに売却できるとは限らない

賃貸よりも安くマンションに住むことができるうえ、老朽化問題にも対応しなくて住むとなれば、マンションを売るつもりで買うことがバラ色の選択肢に見えるかもしれません。しかし、必ずしも計画通りに進むとは限らない点には注意が必要です。

たとえば、5,000万円で買ったマンションを10年後に4,000万円で売って住み替えようと考えていても、その時点の経済情勢やマンションの需給状況などによっては希望した額での売却が実現できない可能性があります。

また10年後に通勤や通学圏内でよい条件のマンションが売り出されているとは限りません。地域によってはマンション用地の空きがなく、築浅マンションへの買い替えが難しい場合もあるでしょう。

さらに、水回り設備が故障するなど予想外のトラブルに見舞われれば、追加での出費が生じる可能性もあります。

計画はあくまでも計画として捉え、理想どおりにはいかない可能性があることを念頭に置いておく必要があります。

5年以内に売却すると譲渡所得税が高くなる

譲渡所得税とは、マンションなどを売った儲けに対してかかる税金です。この譲渡所得税やこれにかかる住民税の税率は、売却をした資産の所有期間によって二段階に分かれており、それぞれ次のとおりとされています。

売却したマンションの所有期間 税率※
5年超(長期譲渡所得) 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
5年以下(短期譲渡所得) 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

※復興特別所得税2.1%を含む

なお、5年超であるか5年以下であるかは売却日時点で判断されるのではなく、売却日が属する年の1月1日時点で判定します。

このように、マンションを取得してから5年以内にマンションを売ると譲渡所得税率が約2倍に跳ね上がることには注意が必要です。マンションを売却する際には、あらかじめ管轄の税務署や税理士に譲渡所得税について相談しておくとよいでしょう。

その地域のマンションの値動きに注意する

マンションを将来売るつもりで買った場合には、売却のタイミングを誤って損をする事態は避けたいことでしょう。そのため、その地域のマンションの値動きに常に注意を払っておかなければなりません。

新築マンションの建築や商業施設の誕生、他のマンションの売却事例などに注意を払い、売り時を逃さないよう見定めることが必要です。

売却時にはローンを完済する必要がある

マンションの購入時には、住宅ローンを借りマンションを担保に入れることが多いでしょう。

住宅ローンの担保としては抵当権がよく活用されており、抵当権は登記されています。抵当権とは、万が一住宅ローンが契約どおりに返済できなくなった場合に金融機関がそのマンションを競売などで売却し、その対価からローン残債の弁済を受けるタイプの担保です。

この抵当権は、マンションの売却までに抹消しておかなければなりません。なぜなら、抵当権がついたままであるということは、売主が住宅ローンを滞納した場合にそのマンションが強制的に売られてしまう可能性があるためです。そのようなマンションなど、購入する人はほとんどいないでしょう。

そして住宅ローンの残債がある場合、金融機関に単に抵当権を抹消してくれと依頼をしても応じてもらえる可能性は高くありません。金融機関にとっては、ローンの返済が残っているにもかかわらず抵当権の抹消に応じることはリスクでしかないためです。

そのためマンションを売却するにあたっては、住宅ローンの残債をすべて返済しなければなりません。一般的にはマンションの売却で得た資金を弁済に充て、ローンを完済することが多いでしょう。

しかし、ローンの状況やマンションの売却価格などによっては、売却代金を充ててもローンが返済しきれない場合があります。これを「オーバーローン」といいます。

オーバーローンとなる場合であっても、自己資金や親族からの借り入れなどで住宅ローンが完済できれば抵当権の抹消もできるため問題ありません。一方、自己資金などを充当してもローンの完済が難しい場合には、抵当権の抹消ができずマンションが売却できない可能性があります。

この場合であっても、住み替え先として購入した不動産に担保を付ける余裕がある場合や他に担保として提供できる不動産がある場合には、抵当権の付け替えに応じてもらえる可能性があります。そのため、売却時点でローンの完済が難しい可能性がある場合には、買い手を募る前に金融機関に相談しておく必要があるでしょう。

高く売りやすいマンションの特徴

高く売りやすいマンションの特徴

将来売るつもりでマンションを買う場合は、高く売りやすいマンションの特徴を知っておく必要があります。一般的に高く売りやすいとされるマンションは次のとおりです。

  • 立地条件がよい
  • 築浅である
  • 適切に管理やメンテナンスがされている
  • 間取りの汎用性が高い
  • ブランドマンションである

立地条件がよい

立地条件がよいマンションは、高く売れる可能性があります。特に駅から徒歩5分以内であるマンションは需要が下がりにくく、高く売れる傾向にあるでしょう。

一方、最寄り駅からの徒歩距離10分以上となると資産価値が下がりやすいといわれています。また、人気のあるエリアであれば、多少駅からの距離があってもニーズが高くよい条件で売却できる傾向にあります。

築浅である

公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」によると、中古マンションの売却価格は築年数の経過とともに減少する傾向にあります。そのため、築浅のマンションを購入して5年から10年程度で売却をすることで高く売却できる可能性があるでしょう。

適切に管理やメンテナンスがされている

マンションの管理やメンテナンスが適切になされていれば高く売りやすくなります。

一方、エントランスが汚れていたり、共用部分の電灯が切れたままとなっていたりするなど、管理や修繕が行き届いていない場合には価値が低下する可能性があるでしょう。管理や修繕が行き届いていないマンションは、適切な修繕計画が実行されず老朽化が早まる可能性があるほか、将来修繕積立金などの大幅な値上げがされる可能性があるためです。

間取りの汎用性が高い

その地域でニーズの高い間取りであれば需要が見込みやすく、売りやすい可能性が高いでしょう。

一方で、単身世帯や夫婦のみの世帯が多い地域であるにもかかわらずファミリー向けの間取りであるなど、その地域の主要なニーズに合っていなければ買い手が見つかりづらく、思うように売れない可能性があります。

ブランドマンションである

大手のデベロッパーが手掛けたものなどいわゆる「ブランドマンション」の場合はニーズが高く、売りやすい傾向にあります。ブランドや大手が手掛けているとの安心感から、そのマンションを名指しして購入を希望する層が存在するためです。

マンションを売却する基本の流れ

マンションを売却する基本の流れ

将来売るつもりで買ったマンションを実際に売却する際にはどのような流れで行えばよいのでしょうか?マンションを売却する基本的な流れは次のとおりです。

  • 自分でおおまかに相場を調べる
  • 住み替え先を検討する
  • 不動産会社に査定を依頼する
  • 依頼先の不動産会社を選定する
  • 不動産会社と媒介契約を締結する
  • マンションを売りに出す
  • 売買契約を締結する
  • マンションを引き渡す

自分でおおまかに相場を調べる

マンションの売却を検討する際には、まずはおおまかに周辺相場を調べるとよいでしょう。相場を知ることで売却するかどうかの検討が進みやすくなるためです。

売却相場を知りたい際には次のウェブサイトが参考になります。

いずれも実際の売買実例が掲載されており、売買が成立した価格も見ることが可能です。周辺における中古マンションの売買実例と比較することで、自分が所有するマンションの売却額が想定しやすくなるでしょう。

住み替え先を検討する

居住中のマンションを売却する際には、売却の検討と併せて住み替え先の検討もしなければなりません。次のマンションも将来売るつもりで買うのであれば、後悔しないよう慎重に見極めることが必要です。

なお、買い替え先のマンションの検討に時間がかかると、マンションの売り時を逃してしまうかもしれません。反対に、売却を急ぐあまり買い替え先のマンションの選定を妥協する事態も避けたいことでしょう。

そのため、いったん賃貸物件などに住み替えてその後時間をかけて住み替え先を検討することも1つです。

不動産会社に査定を依頼する

マンションを売却する方向に決まったら、不動産会社に査定を依頼しましょう。

査定の依頼は1社のみにするのではなく、複数の不動産会社へ行うことが鉄則です。なぜなら1社のみから査定を受けた場合にはその査定額が適正であるかどうか判断することが難しいためです。

複数社へ査定を依頼することでマンションの売却適正額が把握しやすくなるほか、査定額や対応などを比較することでよりよい条件で売却してくれる不動産会社を選定しやすくなるでしょう。

複数の不動産会社へ査定を依頼する際には、「おうちクラベル」のご利用がおすすめです。おうちクラベルでは、一度の入力で複数の不動産会社にまとめて査定を依頼することが可能です。

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依頼先の不動産会社を選定する

次に、マンションの売却を依頼する不動産会社を選定します。不動産会社は査定額の高さのみで決めるのではなく、査定額への説明や対応の誠実さなどをトータルで検討して決めるとよいでしょう。

不動産会社と媒介契約を締結する

売却を依頼する不動産会社を決めたら、その不動産会社との間で媒介契約を締結します。媒介契約には次の3種類があります。状況や希望に合った契約を締結するとよいでしょう。

  • 専属専任媒介契約:他の不動産会社と重ねて契約できない媒介契約。自分で買い手を見つけることも制限される。不動産会社には、5営業日以内のレインズへの登録と1週間に1回以上の報告義務がある。
  • 専任媒介契約:他の不動産会社と重ねて契約できないが自分で買い手を見つけることはできる媒介契約。不動産会社には、7営業日以内のレインズへの登録と2週間に1回以上の報告義務がある。
  • 一般媒介契約:複数の不動産会社と重ねて締結できる媒介契約。不動産会社にはレインズへの登録義務がなく、報告頻度の制限もない。

マンションを売りに出す

媒介契約を締結したら、マンションを売りに出します。

売り出す際には、売り手側の希望販売価格である売り出し価格を慎重に検討しましょう。売り出し価格が高すぎるとマンションが売れにくい一方で、低すぎると損をしてしまう可能性があるためです。

購入希望者から問い合わせや内見の希望があれば、その都度対応します。

売買契約を締結する

購入希望者がマンションの購入を決め条件面での交渉がまとまったら売買契約を成立します。この時点で買主から売主に対して売却代金の5%から10%程度の手付金が交付されることが多いでしょう。

マンションを引き渡す

あらかじめ取り決めた日程でマンションを引き渡します。引き渡し日には次のことが同時に行われることが一般的です。

  1. 買主の住宅ローンの実行
  2. 買主から売主への売買代金の支払い
  3. マンションの名義を売主から買主に換えるために必要な書類への押印

その後司法書士が法務局で名義変更の登記を申請することで、マンションの名義が正式の買主へと変わります。

マンションの売却で掛かる主な費用

マンションの売却で掛かる主な費用

マンションの売却には、さまざまな費用がかかります。マンションを売る際にかかる主な費用は次のとおりです。

  • 仲介手数料
  • クリーニング費用
  • 印紙税
  • 住宅ローンの繰上げ返済手数料
  • 抵当権の抹消費用
  • 譲渡所得税

仲介手数料

マンションの売却を自分で行うことは現実的ではなく、不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。

不動産会社に仲介を依頼する場合には仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限額は法律で定められており、マンションの売却価格に応じてそれぞれ次のとおりです。

マンションの売却価格 仲介手数料の上限額
200万円以下の部分 売却価格の5%+消費税
200万円を超え400万円以下の部分 売却価格の4%+消費税
400万円を超える部分 売却価格の3%+消費税

マンションの売却価格を次の算式にあてはめると、簡単に仲介手数料の上限額が計算できます。

  • 仲介手数料の上限額=売却価格×3%+6万円+消費税

なお、これはあくまでも上限額であり、これ以下の価格であれば不動産会社が自由に仲介手数料を設定できます。ただし、実際にはこの上限額をそのまま仲介手数料として定めている不動産会社がほとんどです。

クリーニング費用

マンションを売却する際にはハウスクリーニングを行うことが多いでしょう。

ハウスクリーニングの費用は、依頼先の清掃会社によってさまざまです。相場としては、1LDKの場合で2万5,000円から5万円程度、3LDKで5万円から8万円程度です。

ただし部屋の広さや水回りの状況などによって異なるため、あらかじめ見積もりを取得するとよいでしょう。

印紙税

印紙税とは、契約書や領収証などの文書に課される税金です。お金でどこかに納めるのではなく、郵便局や法務局などで収入印紙を購入し、これを課税対象の文書に貼付することで納付します。

マンションの売買契約書など土地建物の売買に関する契約書にかかる印紙税は令和6年3月31日までの期間で軽減されており、軽減後の税額はそれぞれ次のとおりです。

契約金額 印紙税額
(2024年年3月31日までの軽減税率)
50万円以下 200円
100万円以下 500円
500万円以下 1,000円
1,000万円以下 5,000円
5,000万円以下 10,000円
1億円以下 30,000円
5億円以下 60,000円
10億円以下 160,000円
50円以下 320,000円
50億円超 480,000円

マンションの売買契約書は、売主と買主が1通ずつ保管することが通例です。印紙税は売主と買主がそれぞれ自分の保管する契約書について負担することが多いでしょう。

住宅ローンの繰上げ返済手数料

マンションの売却にあたって住宅ローンを繰上げ返済する際には、これに手数料がかかる場合があります。

繰上げ返済手数料は金融機関によって異なりますが、おおむね1万円から3万円程度です。無料である場合も少なくありません。

抵当権の抹消費用

マンションの売却に際して抵当権を抹消すべきことは、先ほど解説したとおりです。抵当権の抹消にかかる費用はおおむね次のとおりです。

  • 登録免許税:不動産の数×1,000円
  • 司法書士報酬:依頼先の司法書士によって異なるが、おおむね1万円から2万円程度

マンションの名義変更登記の費用は買主が負担することが多い一方で、この抵当権抹消費用は売主が負担することが一般的です。

譲渡所得税

マンションの売却で譲渡益が出た場合には譲渡所得税の課税対象となります。譲渡所得税については次で詳しく解説します。

マンションの売却でかかる譲渡所得税の計算方法

マンションの売却でかかる譲渡所得税の計算方法

マンションの売却で儲けが出たら、確定申告をして譲渡所得税を納めなければなりません。譲渡所得税の計算式は次のとおりです。

  1. 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
  2. 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率

それぞれの計算要素は次のとおりです。

収入金額

収入金額とは、マンションを売ったことによって買主から受け取る金銭の額です。低額譲渡などの場合に例外はあるものの、市場でマンションを売った場合にはマンションの売却対価と考えておけば問題ありません。

取得費

取得費とは、売却したマンションの取得に要した費用です。取得費には原則として次の金額などが含まれます。

  • マンションの購入代金
  • マンションの購入手数料
  • マンションを購入等で取得したときに納めた登録免許税、登記費用、不動産取得税、印紙税など
  • 既に締結したマンションの購入契約を解除して、他のマンション(今回売却するマンション)を取得することとした場合に支出した違約金

なお、マンションの建物部分の購入代金は購入対価そのままではなく、購入時に支払った金額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です。

譲渡費用

譲渡費用とは、マンションを売るために直接かかった費用のことです。たとえば、次の金額などが譲渡費用に該当します。

  • マンションを売るために支払った仲介手数料
  • 印紙税で売主が負担したもの
  • 既に売買契約を締結しているマンションをさらに有利な条件で売るために支払った違約金

特別控除額

特別控除とは、一定の要件を満たすことで適用を受けられる控除のことです。譲渡所得税にはさまざまな特別控除が設けられており、この適用を受けることで結果的に税額がゼロとなるケースも少なくありません。

中でも、売るつもりで買ったマンションに居住していた場合には「居住用財産(マイホーム)を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が使える可能性があります。この控除の適用を受けるための主な要件は、次のとおりです。

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
  • 以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売った年やその前年、前々年にこの特例やマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例など一定の特例の適用を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地等について、他の特例の適用を受けていないこと
  • 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
  • 確定申告をすること

また、この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋や仮住まい用の家屋、別荘など「マイホーム」とはいえない家屋については適用の対象外です。

特別控除の適用が受けられるかどうかによって、税額に大きな差が生じることも少なくありません。特別控除の適用を見込んでいたにもかかわらず、売却した後に控除が受けられないことが発覚すれば資金計画に大きな狂いが生じる可能性もあるでしょう。

そのため、マンションを売却する前に管轄の税務署や税理士へ相談しておくことをおすすめします。

譲渡所得税の税率

先ほど解説したように、譲渡所得税の税率とこれに対応する住民税の税率は売却したマンションの所有期間によって2段階となっています。

所有期間 税率(2.1%の復興特別所得税を含む)
5年超(長期譲渡所得) 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
5年以下(短期譲渡所得) 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

5年超であるか5年以下であるかは、売却日時点ではなく売却日が属する年の1月1日時点で判定するため、誤らないよう注意が必要です。

たとえば、2023年10月1日にマンションを売却しこの時点では取得から5年超が経過していたとしても、2023年1月1日時点では5年を経過していなければ、短期譲渡所得に該当して高い税率が適用されるということです。

マンションを売って損失が生じた場合の特例

マンションを売って損失が生じた場合の特例

居住していたマンション(マイホーム)を売って損失が生じた場合には、確定申告をする義務はありません。ただし、確定申告をして特例の適用を受けることで税制上のメリットが受けられる場合があります。

マイホームであるマンションの売却で損失が生じた際に使える主な特例は次のとおりです。

  • マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算等
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算等

それぞれ要件がありますので、適用を検討している際にはあらかじめ税理士や管轄の税務署へ相談して詳細な要件を確認しておくことをおすすめします。なお、いずれも2023年12月31日までにマイホームを売った場合にのみ適用を受けられる時限的な特例です。

マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算等

「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは、マイホーム(旧居宅)を売却して新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に旧居宅の譲渡による損失が生じたときは、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できる特例です。

損益通算を行ってもまだ控除しきれなかった譲渡損失が残る場合には、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除することもできます。

参照元:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁)

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算等

「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは、住宅ローンが残っているマイホームを住宅ローン残高未満の価額で売却して譲渡損失が生じた場合に、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できる特例です。

損益通算を行ってもまだ控除しきれなかった譲渡損失が残る場合には、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除することもできます。こちらは新たにマイホームを購入することは要件とされていません。

参照元:No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁)

売るつもりで買ったマンションを高く売るポイント

売るつもりで買ったマンションを高く売るポイント

売るつもりで買ったマンションを高く売却するためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか?主なポイントは次のとおりです。

売却に備えてきれいに使用する

1つ目は、売却に備えてきれいに使用することです。

たとえばタバコの臭いやペットのにおいなどの生活臭が染みついていれば、売却代金が低くなる可能性があります。

また、床が傷んでいたり壁紙に染みが付いていたりすれば、マイナスの要素になるでしょう。

キズや染みなどは売却前に修繕をする手もありますが、修繕をすればそれなりの費用が掛かります。

  • 売却に備えてきれいに使用する
  • 売る時期を慎重に見極める
  • ホームインスペクションを実施する
  • 複数の不動産会社に査定を依頼する

売る時期を慎重に見極める

マンションをよりよい条件で売るには、売却の時期を慎重に見極めることがポイントです。

まず、毎年1月から3月には新居を探す人が多いため、この時期に売りに出すことで他の時期の売り出しよりも高く売れる可能性があります。

また、市場の状況によっても中古マンションの価格は変動します。たとえばコロナ禍では資材が高騰したことなどで新築マンションの価格が上昇しました。この影響で新築マンションの購入を諦めた層が中古市場に流れ込み、中古マンションの価格が上昇したことは記憶に新しいのではないでしょうか?

このように、中古マンションの相場は時期や市況によって変動します。そのため、売るつもりで購入したマンションを高く売却するためには、これらの流れを見極めることが重要です。

ホームインスペクションを実施する

ホームインスペクションとは、住宅に精通した専門家が第三者的な立場からマンションの劣化状況や不具合の有無、改修すべき箇所などを診断する制度です。

中古マンションのホームインスペクションには5万円から10万円程度の費用がかかるものの、診断を受けることで買い手が安心して購入しやすくなります。そのため、よりよい条件で売買が成立する可能性が高くなるでしょう。

複数の不動産会社に査定を依頼する

中古マンションを売却する際には1社の不動産会社のみに依頼するのではなく、まず複数の不動産会社から査定を受けることが基本です。複数の不動産会社から査定を受けることで売却の適性額が把握しやすくなるほか、よりよい条件でそのマンションを売ってくれる不動産会社を選定しやすくなるためです。

複数の不動産会社に査定を依頼した場合には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。おうちクラベルでは60秒入力で、複数の優良な不動産会社にまとめて査定を依頼できます。

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まとめ

マンションを将来売るつもりで買うことにはメリットが少なくありません。初めから売るつもりの場合はライフステージや収入の変化に応じて臨機応変に住み替えができるほか、市況によっては賃貸よりも安価に住むことができるためです。

将来売るつもりである場合には、将来の売りやすさの観点から購入するマンションを選択するとよいでしょう。

そして、売るつもりで買ったマンションを実際に売却する際には高く売れそうな時期を慎重に見極めたうえで、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。複数社に査定を依頼することで、よりよい条件でそのマンションを売却してくれる不動産会社を見つけやすくなるためです。

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