マンションを貸すことで、継続的な賃料収入が得られます。マンションを貸して得られる「不労所得」に憧れる人もいるかもしれません。
では、マンションを貸すメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?今回は、マンションを貸すメリットとデメリットを紹介するとともに、マンションを貸すまでの流れや税金などについてくわしく解説します。
マンションは貸すか売るかどっちが良い?
自分や家族が住まなくなったマンションの1室を所有している場合、これを貸すのと売るのとではどちらがよいのでしょうか?
マンションを貸すことと売ることにはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあります。そして、どちらを選択すべきであるのかはマンションの立地や条件、所有者の考え方などによって異なるため一概に判断できるものではありません。
そのため、それぞれのメリットやデメリットを十分に理解したうえで慎重に検討することをおすすめします。
マンションを貸すメリット
マンションを貸す主なメリットは次のとおりです。
- 継続的な収入が得られる
- マンションの維持に係る費用を経費にできる
- 賃料収入から住宅ローンの返済ができる
継続的な収入が得られる
1つ目のメリットは、マンションを貸すことで継続的な収入が得られる点です。
よい条件でマンションを貸すことができれば、いわゆる「不労所得」が手に入るでしょう。
マンションの維持に係る費用を経費にできる
2つ目のメリットは、マンションの修繕積立金や管理費、固定資産税、ローン利息などの費用を税務上の経費に計上することができる点です。
仮に将来そのマンションに自分や家族が再度居住する予定があるのであれば、空き家となっている期間中も維持費は発生し続けます。
それならば賃貸をして収入を得たりかかる費用を経費に計上したりしたほうが、効率的と言えるでしょう。
なお、仮に賃貸収入よりもこれに要した費用が上回った場合(赤字になった場合)には、その損失を給与所得など他の所得と通算して節税をすることも可能です。
ただし、マンションの土地部分の取得にかかるローン利子は損益通算の対象にはなりません。
また、そもそもマンション経営が赤字となることは喜ばしいことではないため、損益通算を目的にマンションを貸すことは本末転倒でしょう。
賃料収入から住宅ローンの返済ができる
マンションを賃貸して安定的に賃料収入が得られれば、それを元手にそのマンションのローンを返済することが可能です。そのため、住み替え先など他の物件の購入ローン返済と重なっても家計が苦しくなりづらいでしょう。
ただし、元々自分が居住することを前提として住宅ローンを借りた場合、そのまま賃貸することはできません。無断で賃貸に転用した場合には金融機関から住宅ローンの一括返済を迫られるなど、トラブルに発展する可能性があります。
そのため、住宅ローン返済中のマンションを賃貸したい場合にはあらかじめ金融機関へ相談し投資用ローンなどに切り替える対応が必要です。なお一般的に投資用ローンは住宅ローンよりも金利が高く設定されています。
マンションを貸すデメリット
マンションを貸すことにはデメリットも存在します。マンションを貸す主なデメリットと注意点は次のとおりです。
- 売却と異なりまとまった資金は手に入らない
- 初期費用がかかることが多い
- 継続的に維持費の負担が必要である
- 必ずしも入居者が見つかるとは限らない
売却と異なりまとまった資金は手に入らない
マンションを貸した場合には、まとまった資金を一度に得ることはできません。そのため、たとえば住み替え先となる物件を購入するにあたって頭金が必要である場合などには、マンションの売却も検討した方がよいでしょう。
マンションの売却を検討している際には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。おうちクラベルでは複数の不動産会社へまとめて査定を依頼できるため、マンションの売却適正額が把握しやすくなります。
初期費用がかかることが多い
マンションを貸す際には、まとまった資金が得られないどころかむしろ初期費用がかかることが少なくありません。マンションを貸す際にかかる主な費用には、ハウスクリーニング費用や設備の修繕費用、入居者を募るための仲介手数料などがあります。
なお、マンションを貸す場合にかかる費用については後ほど改めて解説します。
継続的に維持費の負担が必要である
マンションを貸しても、マンションの修繕積立金や管理費、固定資産税などは引き続き負担しなければなりません。またトイレなどの設備が故障したら、修理などの費用や対応が必要です。
一方マンションを売却すれば、その後はこれらの費用負担や賃貸管理の手間から解放されます。
必ずしも入居者が見つかるとは限らない
マンションの賃貸人を募集しても、必ずしも希望の条件で入居者が見つかるとは限りません。
特に駅から徒歩10分以上の距離がある場合や築古である場合などには、入居者が見つからない可能性があるでしょう。また、入居者を得るために賃料を引き下げざるを得ない可能性もあります。
なお、貸し出した当初は比較的よい条件で賃貸できたとしても、その後マンションの老朽化が進んだ際に賃料収入が大きく減ったりマンションの修繕積立金が増額されたりして採算が合わなくなる可能性も念頭に置いておかなければなりません。
マンションを貸すまでの流れ
マンションを貸すまでの基本的な流れは次のとおりです。
- マンションを貸すか売却するかを比較検討する
- ローン返済中の場合には金融機関に相談する
- 不動産仲介会社を選ぶ
- 管理会社を検討する
- 賃貸借契約の種類を検討する
- 入居者を募集する
- 入居者を審査する
- 賃貸借契約を締結する
マンションを貸すか売却するかを比較検討する
マンションを貸すメリットやデメリットをよく理解したうえで、マンションを貸すのか売りに出すのかを比較検討しましょう。マンションを売るか貸すかに迷ったら、不動産一括査定を受けてみることも1つの方法です。
「おうちクラベル」を活用すれば自分で1社ずつ回ることなく複数の不動産会社から査定を受けることができます。こちらを活用することも1つの手でしょう。
ローン返済中の場合には金融機関に相談する
先ほど解説したように、住宅ローン返済中のマンションはそのまま賃貸に転用することができません。そのためマンションを貸したい場合には、あらかじめローン契約を締結している金融機関に相談することが必要です。
不動産仲介会社を選ぶ
次に入居者の募集を依頼する不動産仲介会社を探します。不動産会社にはそれぞれ得意分野があるため、賃貸物件の仲介や賃貸物件の管理委託などを行っている不動産会社を選ぶとよいでしょう。
管理会社を検討する
仲介会社の選定と併せてマンションの管理を委託する会社を選定します。賃貸の仲介を行う不動産会社が賃貸物件の管理を行っていることも多いため、同じ不動産会社に依頼することも1つの手です。
賃貸借契約の種類を検討する
次にマンションを貸す際の賃貸借契約の種類を検討します。マンションの賃貸借契約には次の2つが存在するため、十分に比較して選択しましょう。
- 普通賃貸借契約
- 定期賃貸借契約
普通賃貸借契約
普通賃貸借契約とは、通常の賃貸借契約です。マンションを貸す場合、この普通賃貸借契約が締結されていることが多いでしょう。
「普通の賃貸借契約」であるため、こちらの方が入居者を見つける点では有利です。一方で、マンションを貸した後は正当な事由がない限り貸主側から契約を解除したり更新を拒絶したりすることができません。
そのため、貸主側の都合でマンションを返して欲しい事態が生じても、返してもらうハードルが非常に高くなります。
定期賃貸借契約
定期賃貸借契約とは、更新のない賃貸借契約です。契約期間の満了時に再契約はできるものの「更新」ではないため、大家側の都合で再契約をしなくても問題ありません。
そのため、たとえば転勤で将来戻ってくる予定があるなど、一定の時期だけマンションを貸したい場合にはこの定期賃貸借が有力な選択肢となるでしょう。
ただし、定期賃貸借契約では入居者側に再契約できないリスクがある分、普通賃貸借契約よりも家賃を低くしないと入居者が見つからない可能性があります。
入居者を募集する
賃貸借契約の種類が決まったら、入居者の募集を行います。入居者の募集や問い合わせへの対応は不動産会社が行ってくれます。
内見時のカギの受け渡し方法などについては、あらかじめ不動産会社と相談しておくとよいでしょう。
入居者を審査する
マンションを貸す際には、入居審査を行うことが一般的です。入居審査では勤務先の情報などから家賃の支払い能力や保証人の確認などを行います。
入居審査の基準を緩めると入居者が集まりやすい一方で、家賃滞納や住民間トラブルが発生する可能性が高くなります。一方、入居審査を厳しくすると滞納などのトラブルを防ぎやすい一方で、基準をクリアする入居者がなかなか見つからないかもしれません。
賃貸借契約を締結する
入居希望者が入居審査をクリアしたら、賃貸借契約を締結します。その後あらかじめ取り決めた日においてマンションのカギを引き渡し、賃貸が開始されます。
マンションを貸すのにかかる費用・税金・手数料
マンションを貸す際には、原則として次の費用などがかかります。
- クリーニング費用
- 設備の修繕費用
- 仲介手数料
- 固定資産税
- 管理費・修繕積立金
クリーニング費用
マンションを貸す際には、ハウスクリーニングを行うことが一般的です。
ハウスクリーニングの費用は依頼先の清掃会社によって異なりますが、1Rで1万5,000円から3万円程度、1LDKで2万5,000円から5万円程度となることが多いでしょう。ただし水回りの状態などによっては追加で費用がかかる場合もあります。
設備の修繕費用
マンション内の設備に不具合がある場合は、貸し出す前に修繕することが一般的です。修繕費用は修繕の内容によって大きく異なるため、複数社から見積もりを取って選定すると良いでしょう。
仲介手数料
マンション賃貸の仲介を不動産会社に依頼した場合には仲介手数料が発生します。賃貸の仲介手数料の上限額は次のとおりです。
- 賃貸の仲介手数の上限額=月額家賃の1か月分+消費税
ただし、これは不動産会社が貸主と借主の両方から受け取れる仲介手数料の上限です。そのため、貸主の負担は最大でもこの半額程度となることが多いほか、借主が全額を負担するケースもあります。
固定資産税
マンションを貸した場合であっても、固定資産税の支払いは継続しなければなりません。これまでと同様に固定資産税の支払いが必要です。
管理費・修繕積立金
マンションを貸した場合であっても、マンションの管理費や修繕積立金は引き続き支払う必要があります。マンションの賃料は管理費や修繕積立金の負担も考慮して検討する必要があるでしょう。
マンションを貸す際のポイント・注意点
マンションを貸す際のポイントと主な注意点は次のとおりです。
- 今の家賃が将来にわたって保証されるわけではない
- 大家の都合で返してもらうのは困難である
- 入居者がいる状態で売却すれば売却額は相場よりも低くなる
- 売却に適した時期を逃す可能性がある
今の家賃が将来にわたって保証されるわけではない
マンションを良い条件で貸し出せても、その家賃が将来に渡って保証されるわけではありません。一度居住した入居者が永続的にそのマンションに住むとは限らず退去する可能性があるためです。
退去後は新たな入居者を募ることになりますが、その時点では賃貸経営を始めた時点よりもマンションの築年数が経過しているため、当初の家賃よりも低い家賃を設定しなければ入居者が見つからない可能性もあるでしょう。
大家の都合で返してもらうのは困難である
一度賃貸借契約を締結したら、いくら所有者であっても大家側の都合で返してもらうことは困難です。契約期間の途中で退去させることができないことはもちろん、普通賃貸借契約であれば更新が前提とされており、正当事由がない限り大家側から更新を拒絶することもできません。
入居者がいる状態で売却すれば売却額は相場よりも低くなる
マンションを売却することを理由として、入居者に退去を強制することはできません。そのため、マンションを貸してからマンションを売却する場合には入居者がいる状態のままで売却することとなるでしょう。
しかし、この場合には買い手がそのマンションを自分で使うことができないため、空室の場合と比較して売却額が大きく下がります。また、そもそも自分が住めないマンションを購入する層は投資を目的としていることが一般的であり、購入にあたっては利回りなどがシビアに確認されることでしょう。
そのため、利回りがあまりよくない場合には買い手が見つからず、売却できない可能性も否定できません。
売却に適した時期を逃す可能性がある
一般的に、マンションは老朽化が進めば進むほど売りづらくなります。特に法定耐用年数である47年を経過したマンションでは買い手がローンを組みづらく、売却が難しくなるでしょう。
そのため「とりあえず賃貸をして、そのうち売ろう」などと考えていると、マンションが売れる時期を逃すこととなりかねません。いずれ売ろうと考えているのであればマンションをいったん貸すのではなく、売りやすい時期に売ってしまうことも1つの手です。
マンションを貸そうか売ろうか迷っている際には、「おうちクラベル」の不動産一括査定を利用して、査定額を知っておくとよいでしょう。現在の査定額を知ることで売る時期を検討しやすくなるためです。
マンションを貸して得た収入は不動産所得の対象
マンションを貸して得た収入は不動産所得の対象となります。不動産所得の申告方法と計算方法について解説します。
マンションを貸したら原則として毎年の確定申告が必要
マンションを貸して得られる賃料は不動産所得の対象となります。給与所得者の場合には支給される給与から毎月源泉徴収がされるため、確定申告が不要であることが一般的です。
しかし、不動産収入は原則として源泉徴収されないため、毎年自分で確定申告をしなければなりません。
なお、給与所得者の場合には不動産所得(総収入金額-必要経費)が年20万円以下である場合など、例外的に確定申告が不要なケースは存在します。確定申告が必要かどうか迷ったら、あらかじめ管轄の税務署や税理士に相談しておくとよいでしょう。
不動産所得の計算方法
不動産所得は原則として次の式で算定されます。
- 不動産所得=総収入金額-必要経費
総収入金額とは、マンションを貸して得た賃料などです。一方、賃貸マンションにかかる次のものなどが必要経費に該当します。
- 固定資産税
- 損害保険料
- 減価償却費
- 修繕費
- 賃貸管理を管理会社に委託している場合に支払う管理費
マンションを貸すよりも売る方が向いている主なケース
マンションを貸すよりも売る方が向いているのはどのようなケースでしょうか?売ることをおすすめする主なケースは次のとおりです。
- マンションの老朽化が進んでいる場合
- マンション管理の手間から解放されたい場合
- 金融機関が賃貸へのローン切替を認めない場合
なお、マンションを貸そうか売ろうかを検討するにあたっては、まずそのマンションがいくらで売れるのかを知っておく必要があるでしょう。マンションの売却を検討している際には「おうちクラベル」の不動産一括査定の活用がおすすめです。
おうちクラベルでは複数の不動産会社にまとめて査定が依頼でき、マンションの売却相場を把握することが可能です。また、査定額は担当者の対応などを比較することで、実際にマンションを売却する際に依頼する不動産会社を選定しやすくなるでしょう。
マンションの老朽化が進んでいる場合
マンションの老朽化が進んでいる場合には、マンションを貸すよりも売ることを検討した方がよいでしょう。なぜなら、老朽化したマンションでは満足のいく価格で貸し出せる可能性は低いうえ、入居者が見つからない可能性もあるためです。
また毎月支払う修繕積立金も高くなる傾向にあり、よほど立地がよいなど強みのある物件でなければ賃貸経営を成り立たせることは困難でしょう。さらに、老朽化が進んだマンションではいずれ取り壊しや建て替えの話が浮上する可能性も否定できません。
そのため、売却ができるのであれば早めに売却することが有力な選択肢となります。
マンション管理の手間から解放されたい場合
マンションを貸すと賃貸管理の手間が発生します。
たとえばトイレなどの設備が故障したら修繕などの対応をする必要が生じるほか、家賃を滞納された場合には督促などをしなければなりません。入居者が退去した後は次の入居者を募集したり、次の貸し出しに備えてクリーニングや点検をしたりすることも必要です。
これらの対応を管理会社に任せることもできますが、管理会社に任せれば費用がかかりその分だけ毎月の賃料収入が減ることとなります。これらの手間から解放されたい場合や賃貸経営をすることに心理的な負担を感じる場合には、マンションを売却した方がすっきりするでしょう。
金融機関が賃貸へのローン切替を認めない場合
先ほども解説したように、居住用として住宅ローンを組んだマンションを貸し出す際にはあらかじめ金融機関へ相談し投資用ローンへ切り替えなければなりません。無断で賃貸に出すと、住宅ローンの一括返済を迫られるなどトラブルの原因となる可能性があります。
しかし、一般的に投資用ローンは住宅ローンよりも審査が厳しいため、切り替えの審査が通らない可能性もあるでしょう。投資用ローンへの切り替えができずローンの一括返済も難しい場合には、賃貸ではなく売却を検討することとなります。
まとめ
マンションをよい条件で貸すことができれば継続的な家賃収入が手に入ります。その一方で、必ずしも入居者が見つかるとは限らないことや住宅ローンを金利の高い投資用ローンに切り替える必要が生じるなど、デメリットや注意点も少なくありません。
そのため、マンションに住まなくなった場合にはマンションを売るか貸すかを比較して慎重に検討する必要があるでしょう。
マンションがいくらで売れるのかが知りたい場合には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
おうちクラベルでは一度の60秒入力で、複数の優良な不動産会社にまとめて査定を依頼できます。査定額を比較することでマンションの売却想定額が把握しやすくなるほか、売却を依頼する不動産会社の選定もしやすくなるでしょう。