マンションは10年住んで売ると良い?売却のコツと流れを解説

不動産は一生ものであり、一度購入したらずっと住み続けるケースも少なくありません。

一方で、購入したマンションにずっと住むのではなく、10年間のみ住んで売るという選択肢もあります。これは非常に理にかなった方法であり、うまく行えば賃貸物件に住むよりもトータルコストを低く抑えられる可能性があるでしょう。

そこで今回は、マンションに10年住んで売ることのメリットやデメリットのほか、10年住んだマンションを高く売る方法などについて解説します。

マンションは10年住んでいるのがよいとされる理由

マンションは10年住んでいるのがよいとされる理由

マンションに10年住んで売ることは、計画どおりに進めばメリットが大きく理にかなった方法であるといえるでしょう。その主な理由は次のとおりです。

  • 築10年前後のマンションの需要が高いから
  • ライフステージの変化と重なりやすいから
  • 老朽化リスクを避けられるから
  • 場合によっては賃貸に住むよりトータルコストが低くなるから

築10年前後のマンションの需要が高いから

築10年から築15年程度のマンションは需要が高く、売却しやすい傾向にあります。

公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」によると、中古マンションの対新規登録成約率(成約件数/新規登録件数)は次のとおりです。

中古マンションの対新規登録成約率(成約件数/新規登録件数)

画像引用元:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)[1] (公益財団法人東日本不動産流通機構)

築6年から10年の成約率が突出して高く、その後は緩やかに減少傾向となっています。そのため、新築や築浅の段階でマンションを購入した場合、10年住んでもよい条件で売却できる可能性が高いでしょう。

ライフステージの変化と重なりやすいから

10年は、ライフステージが大きく変わる1つの目安にもなります。

たとえば、結婚してから子どもがある程度大きくなるまでの期間は、駅に近いコンパクトな物件が向いているかもしれません。

その後、子どもが大きくなると自分の部屋が必要になり、部屋数を増やす必要が生じます。この段階では、郊外に建つ広めの物件がニーズと合致しやすいでしょう。子育てがしやすい環境であることや、学校への近さなどが重視される傾向にあります。

そして子どもが巣立つと、コンパクトな物件に住み替えるニーズが生じます。使っていない部屋が多いと掃除やメンテナンスにも手間がかかるためです。この段階では老後も踏まえ、病院やスーパーマーケットに近いことなどを重視する人も多いでしょう。

このように、住みやすい間取りはどの時期でも一律ではなく、ライフステージに応じて変化するものです。10年ごとにマンションを売って住み替えることを前提とすることで、ライフステージの変化に柔軟に対応しやすくなります。

老朽化リスクを避けられるから

マンションはいずれ老朽化します。老朽化したマンションではメンテナンスにコストがかかりやすいため、月々の修繕積立金が高くなる傾向にあります。

また、さらに老朽化が進むといずれは建て替えなどの問題が浮上します。建て替えの問題が浮上すれば、建て替えに賛同して数百万円から数千万円の費用を負担するか、建て替えに反対して立ち退くかなどの難しい判断が避けられません。

一方で、築浅のマンションを購入して10年ごとに住み替える場合、このような老朽化リスクを避けることが可能となります。

場合によっては賃貸に住むよりトータルコストが低くなるから

10年住んだマンションを売却して住み替えていくと、賃貸マンションに住んだ場合よりもトータルコストが低くなる可能性があります。

たとえば、月々の賃料が15万円のマンションで10年暮らすと、トータル1,800万円(=15万円×12ヶ月×10年)の費用が掛かります。この場合、そのマンションが自分のものになるわけではありません。

一方、5,000万円のマンションを購入して10年後に4,000万円で売却できるとすると、10年間に要したコストは単純計算で1,000万円のみとなります。月々2万円の管理費や修繕積立金を要したとしても、トータルコストは1,240万円です。

実際にはローンの返済利息や設備故障時などの費用負担なども発生するうえ、将来いくらで売れるかなど正確に想定することは困難です。それでも賃貸住宅に住む場合とマンションに10年住んでから売る場合のコストを比較する視点を持っておくと、1つの判断材料となるでしょう。

10年住んだマンションを高く売るポイント

10年住んだマンションを高く売るポイント

10年住んだマンションを高く売るには、どのようなポイントを踏まえればよいのでしょうか?主なポイントは次のとおりです。

  • そのマンションの売却に強い不動産会社へ依頼する売却を急がない
  • 2月から3月の間に売りに出す
  • 内見時には整理整頓と清掃をしておく
  • 値下がりしにくいマンションを購入する

そのマンションの売却に強い不動産会社へ依頼する

最も重要なポイントは、そのマンションの売却に強い不動産会社へ売却を依頼することです。

不動産会社にはそれぞれ得意分野が存在することが少なくありません。たとえば、一定のエリアに強みを持っていたり、中古マンションの売却に強みを持っていたりする場合などがあります。そのマンションの売却に強い不動産会社へ依頼することで、よりよい条件でマンションの売却できる可能性が高くなるでしょう。

しかし、どの不動産会社がそのマンションの売却に強いかわからない場合もあるかと思います。その場合には、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。

おうちクラベルでは、一度の入力で複数の優良な不動産会社へ査定の依頼が可能です。複数社による査定額や説明などを比較することで、そのマンションの売却に強みを持つ不動産会社を見つけやすくなります。

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売却を急がない

マンションをよりよい条件で売りたい場合、売却を急ぐことはおすすめできません。売却を急ぐと期限までに売りたいと焦るあまり、値下げを要求する購入希望者への売却を決めてしまう可能性があるためです。

売却を急がなければ、売主が希望する価格で購入してくれる買い手が現れるのをじっくりと待つことができます。

2月から3月の間に売りに出す

マンションは一般的に、2月から3月がもっとも売りやすいとされています。なぜなら、4月からの転職や就職、異動などで引っ越しの必要が生じ、これに向けてマンションを探す人が増える時期であるためです。

そのため、マンションを売るのを急いでいない場合には、この時期に売り出すことを検討するとよいでしょう。

ただし、地域によって異なるニーズがある場合もあるため、あらかじめそのエリアの不動産取引に詳しい不動産会社に相談したうえで売り出し時期を決めることをおすすめします。そのエリアの不動産取引に詳しい不動産会社をお探しの際には、ぜひ「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。

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内見時には整理整頓と清掃をしておく

マンションの購入希望者は、購入を決める前に内見を希望することが一般的です。内見時にまだそのマンションに住んでいる場合であっても、内見を受け入れる際には清掃と整理整頓をしておくとよいでしょう。

実際にマンションを購入して引き渡しがされる前にはハウスクリーニングが入ることが分かっていても、部屋の中が汚れていたり乱雑だったりすると購入意欲が湧きにくいためです。

値下がりしにくいマンションを購入する

これからマンションを購入する場合には、値下がりしにくいものを選択して購入するとよいでしょう。一般的に、値下がりしにくいマンションとは好立地であるものや築浅であるものや長期修繕計画があり管理組合がしっかりと機能しているものなどです。

マンションに10年住んで売る場合の注意点

マンションに10年住んで売る場合の注意点

次に、マンションに10年間住んでから売る場合に注意したいポイントを解説します。

  • 査定は複数の不動産会社へ依頼する
  • オーバーローンになっていないか確認する
  • 最低でも5年は住んでから売却する
  • 火災保険の解約返戻金を受け取るのを忘れない

査定は複数の不動産会社へ依頼する

10年住んだマンションの売却で損をしないようにするには、1社のみではなく複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。なぜなら、査定は不動産会社がそれぞれ独自のノウハウで行うものであり、不動産会社によって査定結果が大きく異なることも珍しくないためです。

1社の不動産会社のみに査定を依頼してしまうと、その査定額が適正であるかどうか判断することができません。複数の不動産会社に査定を依頼すれば、そのマンションの適正な査定額を把握しやすくなります。

また、査定額や査定額への説明、対応などを比較できるため、そのマンションの売却を依頼する不動産会社を選定しやすくなるでしょう。

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オーバーローンになっていないか確認する

中古マンションを売却するにあたっては、売却対価で住宅ローンが完済できるか確認しておかなければなりません。なぜなら、マンションを売却する際には、そのマンションについている抵当権を抹消しておく必要があるためです。

抵当権とは、契約どおりにローンが返済できなくなった際に、金融機関がその不動産を売却してその対価からローン残債の返済を受ける形式の担保です。マンションの購入時に住宅ローンを組んでいる場合には、そのマンションに抵当権がついていることが一般的でしょう。

抵当権はローンと連動しており、住宅ローンを完済しなければ抵当権を消してもらうことはできません。つまり、マンションを売るには抵当権を消さなければならず、そしてこの抵当権を消すには原則として住宅ローンを完済すべきということです。

とはいえ、マンションの売却対価でローン残債がすべて返済できるのであれば問題ありません。この状態を「アンダーローン」といいます。

一方で、マンションの売却対価を充ててもローンの完済ができない「オーバーローン」である場合、売却が実現できない可能性があります。

ただし、自己資金や親族からの借り入れなどでローンが完済できる場合は問題ないでしょう。しかし、これでもローンの完済できない場合には、他の不動産に抵当権を付け替えるなどの対応を講じなければなりません。

抵当権を付け替えるのに適した不動産がない場合には、銀行が抵当権の抹消に応じてくれず、事実上そのマンションを売却できない事態となる可能性があります。

このように、アンダーローンであるかオーバーローンであるかによって、マンション売却の可否に大きな影響が生じます。そのため、マンションを売却する際にはローン残債を確認し、査定額と比較したうえでオーバーローンではないか確認しておく必要があるでしょう。

最低でも5年は住んでから売却する

マンションにしばらく住んでから売却する場合には、最低でも5年間は住んでから売却することをおすすめします。なぜなら、マンションを売って譲渡益が出た場合には譲渡所得税の課税対象となりますが、この譲渡所得税の税率は売却したマンションの所有期間に応じて2段階となっているためです。

所有期間は売却した年の1月1日時点において判断され、所有期間が5年以下の場合は高い税率が適用されます。また、これに対応する住民税の税率も二段階となっておりそれぞれ次のとおりです。

売却した年の1月1日時点での所有期間 税率
所得税 復興特別所得税 住民税 合計
5年超 15% 0.315% 5% 20.315%
5年以下 30% 0.63% 9% 39.63%

火災保険の解約返戻金を受け取るのを忘れない

マンションを購入した際には、火災保険に加入することが多いでしょう。この火災保険は1年ごとの契約とすることもできますが、最長5年分の契約も可能です。

マンションに住んで10年を少し過ぎてから売った場合には、5年間分の火災保険の更新をしたばかりであることもあるでしょう。

たとえば、5年間の火災保険料を一括で支払ったものの、その後1年間で引っ越しをして火災保険を解約した場合には、残り4年分の火災保険料程度に相当する解約返戻金を受け取ることが可能です。

しかし、連絡を忘れてしまえば解約返戻金を受け取りそびれる可能性があります。マンションから退去した際には、忘れずに損害保険会社へも連絡を入れておきましょう。

10年住んでからマンションを売る流れ

10年住んでからマンションを売る流れ

10年間住んだマンションを売る場合には、どのような流れで行えばよいのでしょうか?売却までの基本の流れは次のとおりです。

  • 売却を検討する
  • 住み替え先を検討する
  • ローン残債を確認する
  • ローン残債がある場合には金融機関に相談する
  • 不動産会社を選定する
  • 不動産会社と媒介契約を締結する
  • マンションを売りに出す
  • 内見に対応する
  • 売買契約を締結する
  • 金融機関に連絡する
  • マンションの決済をする

売却を検討する

はじめに、周辺相場などを確認のうえマンションの売却を検討します。

周辺相場を知りたい場合には、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」や不動産流通機構の「レインズ・マーケット・インフォメーション」が参考となるでしょう。いずれも無料で利用することができ、実際のマンション売買事例を検索することが可能です。

住み替え先を検討する

併せて、住み替え先を検討します。住み替え先となるマンションも10年程度住んでから売却することを検討している場合、価値の下がりづらい築浅のマンションなどを検討するとよいでしょう。

住み替え先は先に購入することもできますが、この場合にはローン返済が二重で必要となるほか、予定どおりに売却できなければ計画に狂いが生じてしまうかもしれません。また、売却までに決めなければならないと焦って購入先を探すあまり、妥協して物件を購入してしまうと後悔する可能性もあるでしょう。

そのため、マンションの売却後しばらくは賃貸物件で生活し、ゆっくりと住み替え先を探すことも1つの手でしょう。

ローン残債を確認する

住み替え先の検討と併せて、ローン残債を確認しておきましょう。ローン残債は金融機関から送付されるローン返済計画表などでも確認できるほか、金融機関からローン残高証明書を取り寄せることなどでも確認できます。

不動産会社へ査定を依頼する

マンションの売却を決めたら、不動産会社に査定を依頼しましょう。複数の不動産会社に査定を依頼することが売却を成功させる秘訣です。

複数の不動産会社へ査定を依頼する際には、ぜひ「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。おうちクラベルでは、一度の60秒入力で複数の不動産会社にまとめて査定の依頼ができます。

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ローン残債がある場合には金融機関に相談する

住宅ローンの残債がある場合には、査定額を踏まえてあらかじめ金融機関に相談しておくとスムーズです。特にオーバーローンとなる場合には、返済方法や抵当権抹消の可否などについてよく相談しておきましょう。

不動産会社を選定する

査定結果を踏まえ、マンションの売却を依頼する不動産会社を選定します。

不動産会社は査定額の高さのみで選ぶのではなく、査定額への説明や担当者の対応などを総合的に判断して決めるとよいでしょう。なぜなら、査定額はあくまでもその不動産会社が算出した「売却想定額」であり、必ずしもその価格で売却できるとの保証ではないためです。

不動産会社と媒介契約を締結する

不動産会社を選定したら、不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約には、1社専属で依頼する「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」のほか複数の不動産会社と締結できる「一般媒介契約」があります。状況や希望に合った契約を選択してください。

マンションを売りに出す

媒介契約を締結したら、マンションを売りに出します。売り出す際には、売主側の希望売却価格である売り出し価格を設定します。

内見に対応する

マンションの購入希望者が内見を希望した際には、内見に対応しましょう。

マンションに居住中であっても、内見には積極的に応じることをおすすめします。内見せずにマンションの購入を決める人はさほど多くないためです。

売買契約を締結する

買い手がマンションの購入を決めて諸条件についても交渉がまとまったら、売買契約を締結します。この段階で、買主から売却価格の5%から10%程度の手付金が交付されることが多いでしょう。

金融機関に連絡する

売買契約がまとまり売却金額が決まったら、ローン契約先の金融機関に連絡をします。そのうえで、ローン返済についての段取りを確認しておきましょう。

マンションの決済をする

あらかじめ取り決めた日にマンションの決済を行います。この日には、次のことが同時に行われることが多いでしょう。

  • 買主の住宅ローンの実行
  • 買主から売主への売買代金全額の支払い
  • 売主から買主へマンションの名義を変えるための書類への押印

売主側の住宅ローンが残っている場合には、次のことなども同時に行います。

  • 売主の住宅ローンの完済
  • 金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類の受領

その後、決済に立ち会った司法書士が売主側の抵当権抹消とマンションの名義を売主から買主に変更する登記を申請します。これでマンションの名義が正式に買主へと変わります。

まとめ

マンションを10年住んでから売ることにはメリットが少なくありません。10年住んだマンションがよい条件で売却できれば、賃貸物件で生活することと比較してもトータルコストが低くなる場合もあるでしょう。

10年住んだマンションをよりよい条件で売却するには、そのマンションの売却に強い不動産会社へ依頼することがポイントです。そのマンションの売却に強みを持つ不動産会社をお探しの際には、ぜひ「おうちクラベル」をご利用ください。

おうちクラベルとは、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する不動産一括査定です。複数社による査定額や対応などを比較することで、そのマンションの売却に自信のある不動産会社を見つけやすくなるでしょう。

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