相続の関係で共有の不動産があるけど使わなかったり、自由に使えなかったりといった理由で共有持分を売却したいと考えている人もいるのではないでしょうか。
共有持分の売却は可能ですが、売却する範囲によって自己判断で売却できることもあれば、共有者全員の意見がまとまらないと売却できない場合もあるため注意が必要です。
この記事では共有持分の売却で起こりやすい問題・売却方法を紹介しています。
また売却時はある程度の費用がかかるため、売却に必要なおおよその費用の把握の参考にしてみてください。
1.共有持分は売却できる?

他の誰かと共有している不動産でも売却はできます。
しかし売却はあくまで自身の持分だけになり、共有不動産の全体は売却できません。
たとえばA子・B子・C子で不動産を共有している場合、A子が売却を考えているとします。
この場合はA子自身の持分であれば売却できますが、A子・B子・C子で共有している不動産全体の売却は不可です。
あくまで売却できる共有持分は、自身の持分だけとなっているため注意しましょう。
仮にA子・B子・C子のそれぞれに共有持分を手放す意思があった場合は、共有不動産全体の売却が可能です。
説得によって全員売却に対しての意見がまとまったときも同様で、A子・B子・C子がそれぞれ納得していれば共有不動産を売却できます。
なかなか意見がまとまらない場合や、話し合いをせずに不動産全体の売却を考える場合は、勝手に売却できません。
共有持分の売却はあくまで自分の持分のみという点がポイントです。
また自身の持分を売るときには、他の共有者に売却を伝える決まりはありません。
しかし伝えないことによって問題に発展する可能性もあるため、報告の有無はしっかりと検討しましょう。
おうちクラベルでは不動産の査定を行っています。共有持分の売却をお考えの際は売値の目安にしてみてください。
2.共有持分とは

共有持分とは、複数人で1つの不動産などの所有物を分けた権利のことをいいます。
たとえば遺産相続によって家族内で所有権を分ける場合であったり、夫婦で家を購入した場合や、2世帯の家庭などでお互いに購入費用を分け合ったりした場合も共有持分です。
共有持分は複数人で共有していることから、自身で購入した不動産のように自由に使えません。
権利上、使用範囲が限られているため、第三者への貸し出し・不動産一体の売却は他の共有者の許可が必要です。
例外として不動産の修繕に関しては、他の共有者への報告は必要ないものとされています。
また自身の持分のみの売却は自己判断で売却可能です。共有持分について詳細を以下項目でご説明します。
- 不動産を共有するケース
- 独断で売却も可能
- 第三者への売却は難しい
2-1.不動産を共有するケース

持分を共有するケースは相続が発生し複数の相続人で不動産を共有したときや、夫婦で不動産を購入して共有したときが挙げられます。
たとえばD子・E子・F子の親の不動産を共有すると決めた場合は、誰か1人の所有物にできません。D子・E子・F子の3人で共有する必要があります。
2-1-1.夫婦で購入した場合
また夫婦で不動産を購入した場合も共有持分です。妻にも夫にも所有権が与えられるため、共有持分となるケースがあります。
共有持分は共有者同士で権利を分け合うため、1つの不動産に対して使用する面積が限られているように思われがちですが、そうではありません。
共有持分はあくまで不動産の権利を分けることであって、使用できる範囲は限られていません。
土地を分割するわけではないため、共有者はいつでも不動産内に出入りでき、使用できます。
たとえば300平米の不動産であれば、親族のD子・E子・F子で分けるとしても100平米ずつ分けることにはなりません。
全体の権利を共有しているため、勝手に家を売却したり、勝手に家を貸し出したりする権利はありません。他の共有者と相談してから売却したり貸し出したりする必要があります。
2-2.独断で売却も可能

共有不動産の自身の持分だけを売りたいという場合は自己判断で売却できます。
しかし上記でも説明した通り、あくまで自身の持分だけを売却できるため不動産の全てを売却できるわけではありません。
いち早く共有持分を解消したいという人や共有持分は必要ないと考えている人であれば自己判断で手放せます。
しかし自己判断で自身の持分だけを売却すると、勝手に売却したことで他の共有者との問題が発生する恐れがあります。
2-3.第三者への売却は難しい

共有不動産の自身の持分だけを第三者に売却することはできます。しかし使い勝手の良さや、問題の発生を考えると第三者の購入はあまり期待できません。
たとえば共有持分を持つA子・B子・C子がいるとしましょう。
そこでA子が第三者のD子に売却したことで、A子の不動産持分はD子へと移ります。
A子は共有持分を手放せますが、代わりにD子が共有持分を獲得し、A子・B子・D子の3人で不動産を共有しなくてはいけなくなります。
A子と不動産を共有していたB子・C子からしても知らない人が不動産の所有権を得て、共有不動産に関して何かを決める場合はわずわらしさを感じてしまうでしょう。
またD子が不動産の所有権を得たことで、B子・C子から見た第三者のD子が共有不動産へ自由に出入りできるようになります。
「家を見に行ったら知らない人がいた」という状態にもなりかねないため、第三者への売却は好ましいとはいえないでしょう。結果的に自由さや問題の発生を考えると第三者への売却は難しいと考えるのが無難でしょう。
3.共有持分の売却で起こる可能性があるトラブル

共有者同士の意見が合わないのに売却を試みる場合は、問題に発展することもあります。
状況によっては裁判所を介することになってしまうため、共有持分がある方は把握しておきたいところです。
また売却するときは相場からかけ離れた売値をつけられるトラブルが発生する場合もあります。以下のパターンが考えられます。
- 人間関係が悪化する
- 共有物分割請求を起こされる
- 家賃を請求される
3-1.人間関係が悪化する

「いつの間にか所有権が別の人に移っていた」や「この不動産は決して売却したくない」というようなことから共有持分の売却で問題に発展する場合もあります。
一部の共有者が自身の持分のみを売却したときに、「所有権が別の人に移っていた」という事態が発生しやすいからです。
また自身が所有権を持つ持分であれば他の共有者に売却の意思を伝えなくてもいいため、他の共有者からすると知らぬ間に所有権が別人になっているという問題も発生するでしょう。
不動産全体の売却時に「共有不動産を絶対に売却したくない」という共有者が1人でもいる場合も、問題に発展しやすいです。
3-1-1.売却には権利を持っている全員の承諾が必要
不動産の全体を売却するときは、不動産に対して共有の権利を持っている人全員の承諾が必要になります。
たとえばA子が不動産の全てを売却したいと考えていても、その他のB子・C子に売却の意思がなければ売却できません。
これがA子・B子に売却の意思があっても、C子に売却の意思がない場合でも同じです。
他の共有者に売却の話を持ちかけて、自分の共有持分だけを買い取ってもらう方法もありますが、共有持分を売却する場合は、やはり一筋縄ではいかないと考えておくほうがいいでしょう。
3-2.共有物分割請求を起こされる

共有物分割請求とは、複数人で共有している不動産に対して共有を止めるための請求で、共有持分がある場合はトラブルを回避するために使われる手段の1つです。
共有持分は共有者とのトラブルのもとになりかねない上に、相続者が次第に増えていくにつれて、さらに火種は増えていきます。
相続者が増えることで共有持分の管理が複雑になってしまい、もしも不動産の全てを売却しようと考えた場合、話をまとめることが難しくなるでしょう。
そうならないためにも早めに共有持分を解消してしまって、問題の火種にならないように共有物分割請求の手段をとる場合もあります。
また共有物分割請求をした場合、すんなりと話がまとまらないこともあるでしょう。そういった場合は裁判を通した処置をとられる場合もあります。
共有物分割請求の分割方法は「現物分割」・「代金分割(換価分割)」・「全面的価格賠償(代償分割)」の3つです。
3-2-1.現物分割
「現物分割」は所有権を持つ人たちで共有している不動産をそれぞれ分けます。共有者それぞれで分けた場合は、共有の不動産ではなく単独の不動産となります。
例えば1,200平米の不動産をA子・B子・C子の3人で共有持分にしたとしましょう。
共有持分の範囲内では、その不動産に対する権利の幅が狭くなるだけであって、出入りは自由にできます。1,200平米全体の移動が可能です。
しかし現物分割で不動産をそれぞれ分けるとなると、1,200平米をA子・B子・C子の3人で分けるため1人あたり400平米の不動産面積を与えられます。
単独所有となるため不動産に対する権利は自身に与えられるため、新たに家を建てたり家を貸し出したりも可能です。
共有持分の範囲内ではできなかった自由な行動ができるといえるでしょう。
公平な取引は難しい
しかし共有持分の不動産面積は例のようにきっぱりと分けられないこともあります。
相続の場合不動産以外の相続財産もあると、きちんと分けられないことが多いです。
そのため公平な取引とはいえないようなこともあり、全体的に見るとD子は400万円相当の土地、E子は400万円相当の建物、F子は350万円の現金とD子・E子は得をしているものの、F子は損をしているようにも見えます。
現物分割は共有を解消してそれぞれに単独の所有権を与えられるメリットはあるものの、場合によっては難しい方法です。
また共有不動産自体が小さくて、それぞれが単独の所有権を得たとしても使用用途が限られてくる場合もあります。
このような場合は今後の利用方法が限られているため、現実的に現物分割が難しいといえるでしょう。
3-2-2.代金分割(換価分割)
「代金分割(換価分割)」は共有していた不動産などを全て売り払って、売却して得たお金をそれぞれ分け合う方法です。
共有していた不動産を競売にかけることで第三者に不動産を売却できます。しかし競売の落札価格は相場より安い傾向があり、あまり高く売却はできないと考えていた方がいいでしょう。
また不動産を全て売却することになるため、売却の意思がない人がいる場合は説得する必要があります。
代金分割は共有者全員で平等に分けられるため円満な解決方法である点がメリットです。しかし1人でも不動産を売りたくないと考える人がいる場合は、スムーズに話し合いが進まない点が代金分割のデメリットになります。
3-2-3.全面的価格賠償(代償分割)
「全面的価格賠償(代償分割)」は共有持分を有する1人が不動産を引き取った場合、他の共有者に代償金として相応の金額を支払う方法です。
たとえば不動産を共有しているA子・B子・C子のうち、A子が3,000万円相当の不動産を単独で所有するとなると、B子・C子にはA子からそれぞれ1,000万円ずつ支払われます。
全面的価格賠償も共有者全員で平等に分割できる方法ですが、所有権を得た人は他の共有者にお金を支払う必要があるため、全面的価格賠償を利用できないケースもあるでしょう。
どの方法にも良さがありますが、場合によっては対応できないこともあるため、状況に合わせた方法を選ぶ必要があります。
3-3.家賃を請求される

共有者全員が共有不動産に居住しているとは限りません。中にはある特定の人が共有の不動産を独占している場合もあります。
特定の人が独占しているため、自身の共有持分に応じた使用ができない場合は、他の共有者は独占者に対して家賃の請求が可能です。
そのためA子・B子らが共有の不動産に住んでいないときに、C子が不動産を独占している場合はA子・B子はC子に対して家賃の請求ができます。
共有の不動産に居住の有無によって不平等が生じるためです。
3-3-1.契約内容をチェックすることが大切
中には取引の関係で家賃が発生しない場合もありますが、契約内容によっては家賃を請求される可能性があります。
共有不動産を独占している方は覚えておきましょう。
しかし逆に自身が独占者に対して請求できる立場だとしても、同じく契約内容によっては家賃の請求が認められない場合もあります。
自身に請求される可能性があるかどうか、あるいは請求できるかどうかを確認しておくと役立つでしょう。
共有持分の売却は様々なトラブルが発生するため、スムーズに売却するにはプロへの依頼がおすすめです。
東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営するおうちクラベルでは、実績豊富な不動産会社に一括で査定を依頼することができます。
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4.共有持分の売却方法

共有持分の売却方法は限られていません。
そのため自身の持分を売却するときは売却方法を自らで選べ、共有持分の不動産を売却するときは共有者全員の意見をまとめることで売却方法を選べます。
しかし土地や不動産によっては対応できない売却方法もあるため注意が必要です。
売却方法としては以下のパターンが考えられます。
- 他の共有者に売却する
- 共有者全員で売却する
- 土地を分筆する
- 不動産買取業者に依頼する
4-1.他の共有者に売却する
共有持分を売りたいと考えているのであれば、他の共有者に売却することも1つの手です。
自らの共有持分を手放せ、相手は共有持分の範囲を広げられるためお互いに良い取引になるでしょう。
また共有者同士での取引を行うと不動産会社を介さないで取引ができるメリットがあります。不動産会社を介さないため仲介手数料を支払う必要がなく、余計な負担がかかりません。
4-1-1.他の共有者に売却する際の注意点
しかし仲介手数料を必要としないメリットがある一方で、他の共有者に売却する場合は注意点があります。
それは売却費用を設けなかったり、価格設定を低くしたりした場合です。
場合によっては贈与扱いとなり贈与税が課せられる可能性があることを覚えておきましょう。
また不動産売却の価格設定も難しいところです。
妥当な売却価格になるように査定会社に依頼して、およそどのくらいが相場なのかを確認してから売却するとトラブルを回避できるでしょう。
4-2.共有者全員で売却する
全員を納得させて不動産の全体を売却するまでの道のりは長いですが、共有者全員で売却できれば円満に取引ができるといえるでしょう。
しかし誰か1人でも売却したくないと考えている人がいる場合は、全員での売却は難しいです。
しかしこのまま共有持分を持ち続けていると、時間が経つごとにトラブルが発生する可能性があります。
そのため共有者全員で売却しておくと、今後のトラブルを回避できるといえるでしょう。
4-3.土地を分筆する
分筆とは共有者の中で土地を平等に分けることをいい、共有持分をそれぞれで分けるときに使う方法です。
土地を分筆することで共有の不動産から単独の不動産に切り替わるため、共有していたときよりも使い勝手が良く、今後トラブルが発生する可能性が低くなるでしょう。
4-3-1.土地の利用が難しくなる可能性がある
しかし共有者がいなくなることで使い勝手が良くなる一方で、一部の不動産のみが与えられるため、土地形状や接道状況によっては土地の利用が難しくなる問題も発生します。
あまりにも狭すぎたらもちろん使い勝手は悪くなり、売却する場合は本来の価格相場よりも低く設定されてしまうこともあるでしょう。
また共有不動産の範囲が定かではない場合は、土地の分筆は行えません。
土地の分筆を考えている場合は、共有不動産の面積があらかじめどのくらいであるかを確認しましょう。場合によっては土地の測量が必要になります。
4-3-2.不動産を平等に分けることは難しい
さらに、分筆とは土地を平等に分ける手続きですが、現実的に考えると不動産を平等に分けることは難しいです。
たとえば隣接する道路の関係や、分割する地形などが影響すると考えられます。
土地の状態や周辺環境によって価値が変わるため、必ずしも平等な取引になるとはいえない点が問題です。
税金問題も関係し、分筆によって土地の税金が高くなってしまう可能性もあるため、分筆を検討している人は慎重に考えましょう。
4-4.不動産買取業者に依頼する

共有持分を売却するとなると、なかなか買い手が見つからないケースが多いでしょう。
不動産に対しての一部のみの権利を売却するため、第三者からすると自由に使えないことが問題になります。
そのためなかなか第三者からは買い手が現れませんが、そういった共有持分の買い取りを行っている会社が「不動産買取業者」です。
4-4-1.不動産買取業者に売却するメリット
不動産買取業者は仲介を依頼せずに利用でき、すぐに売却できるメリットがあります。
仲介会社を挟むと買い手が現れるまで売却ができませんが、不動産買取業者であればすぐに買い取ってくれるため、時間がかかりません。
4-4-2.不動産買取業者に売却するデメリット
一方で、仲介を依頼して第三者に購入してもらうよりも、売却価格が低くなってしまうデメリットもあります。
たとえば、仲介を依頼した場合だと3,000万円で売却できていた不動産だとしても、不動産買取業者では2,400万円だったという場合もあるでしょう。
不動産買取業者を利用した場合のおおよその価格は、仲介を依頼した場合の7〜8割程度といわれています。すぐに売却したいのか、より高値で売却したいのかをしっかりと考えた上で不動産買取業者の利用を考えましょう。
4-4-3.仲介手数料は発生しない
また仲介を依頼した場合は仲介手数料が発生します。しかし不動産買取業者であれば仲介手数料が必要ないため、売却時の費用を抑えることにも繋がります。
不動産買取業者に依頼する前に、おおよその相場を把握していると損をする可能性が低くなるでしょう。
おうちクラベルでも不動産の査定を行っているため、相場把握にご利用ください。
5.共有持分の売却時に必要な費用

共有持分の売却は0円では行えません。名義人などの変更・権利を抹消する手続き・税金が課せられるため、ある程度の費用がかかります。
必要な費用を把握しておらず、売却するときに肩を落とさないようにあらかじめ必要な費用を把握しておきましょう。主な費用としては以下が挙げられます。
- 登記費用
- 税金
- 仲介手数料
5-1.登記費用
共有不動産を売却した場合、名義人の変更・抵当権抹消・登記変更の手続きをするのに登記費用がかかります。たとえば不動産を売却した場合は売却した不動産の名義人の変更が必要です。
抵当権が設定されている不動産を売却する場合は、抵当権を抹消する手続きも必要になります。
抵当権抹消にも手続きに費用がかかるため、共有持分の不動産には抵当権が設定されているのかどうかも確認しておくといいでしょう。
また登記簿上の住所・氏名などの個人情報が変更になった人は登記簿上の情報を更新しなければいけないため、登記変更の費用も必要です。
5-2.税金
共有持分を売却した場合には税金を支払わなければいけない場合もあるでしょう。税金が発生するかしないかに関しては、譲渡所得の有無で変わります。
税金が発生するのは、買値と費用を足した額を売値から引いた値がプラスになった場合です。しかし、マイナスになった場合は譲渡所得がなく税金は発生しません。
このように譲渡所得があると住民税・所得税を納めなくてはいけなくなるため、売却益を得た場合は忘れずに納めましょう。
5-2-1.所有期間で税率が変わる
他にも、共有持分の所有期間によって住民税率と所得税率が変わります。
所有期間によっては税率を抑えられる可能性もあるため、共有持分の所有期間はどのくらいかどうかを確認してみましょう。
共有持分としていた所有期間の基準は5年(売却した年の1月1日時点)とされており、共有持分の所有期間が5年よりも長かった場合は「長期譲渡所得」、共有持分の所有期間が5年以下の場合だと「短期譲渡所得」です。
共有持分の所有期間が短いと税率が高くなり、所有期間が長いと税率は低くなります。
長期譲渡所得であれば所得税率が15%と比較的低いです。
しかし、短期譲渡所得になると30%に跳ね上がってしまいます。
住民税率を比べると長期譲渡所得の場合では5%ですが、短期譲渡所得の場合は9%とどちらにしろ短期譲渡所得の方が税率も高いです。
共有持分の売却を考えているのであれば、5年(売却した年の1月1日時点)よりも長く所有しているとより負担の少ない税率になるでしょう。
5-2-2.所有期間がわからない場合
仮に共有持分の不動産がいつから建っているのか分からない場合であれば、売却した金額の5%を取得費として計算に使います。
そのため必ずしもいつから建っているのかを明確にしなければいけないわけではありません。
分からない場合は分からないで対応可能です。
万が一、他の共有者に不動産を譲った場合は、土地を受け取った人に贈与税がかかります。
他の人に譲ってしまうと大きな税金を支払わなければいけない場合もあることを覚えておきましょう。
5-3.仲介手数料
共有持分の不動産全体を売却する場合の多くは、不動産会社に依頼して売却をします。
その場合に発生するのが仲介手数料です。
仲介手数料は法律上の上限が決まっていますが、不動産会社によって手数料が異なる場合もあります。
法律上の上限に設定している会社もあれば、比較的安価に設定している会社もあるでしょう。
仲介手数料はなるべく抑えておきたい出費のため、仲介を依頼するのであれば手数料がどのくらい発生しそうかも参考にしてみてください。
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5-3-1.仲介手数料の計算方法
仲介手数料は200万円以下、200万円超え〜400万円以下、400万円超えの3段階に分類されています。
たとえば仲介を依頼して200万円の不動産を売却したとしましょう。
この場合は最大で200万円×5%になるため10万円に税を含んだ金額が仲介手数料です。
また、仲介を依頼して400万円の不動産を売却したとすると、最大で200万×5%と200万円×4%を足して税を含ませた金額が仲介手数料になります。
売却相場を見極めてから仲介を依頼すると、おおよその仲介手数料の把握ができるでしょう。
このときにポイントなのが、共有持分の不動産全体を売却したときにだけ仲介手数料が生じることです。
自身の共有持分を売却した場合の仲介手数料は発生しないことを覚えておきましょう。
6.共有持分売却時の注意点

共有持分は売却できますが、注意点もあります。通常の不動産売却とは異なり、共有持分の売却の際は共有者の把握・持分割合の把握が必要です。
共有者・持分が分からない人は先に確認しておくといいでしょう。
注意点としては以下が挙げられます。
- 買取価格は相場より低い
- 共有者を確認する
- 持分を確認する
- 専門家に依頼する
6-1.買取価格は相場より低い
共有持分の売却は不動産全体の権利を売るわけではないため、第三者からすると購入するメリットが少ないのが一般的です。
そのため購入者がなかなか現れないことが多いでしょう。
共有持分の売却は不動産に対しての自由な権利がない他、他の共有者とのトラブルを考えると売却価格を低く設定しないとなかなか買い手が現れません。
共有持分の売却をするのであれば、プロに依頼するのが最も効果的です。
SREホールディングスが運営するおうちクラベルは、複数の実績ある不動産会社に一括で査定を依頼することができます。
自分で探さなくても優良な不動産会社を見つけることができますので、ぜひお役立てください。
6-1-1.不動産買取業者に売却する場合
また不動産買取業者は比較的安値で買い取った後に、価格を上乗せして他の人に売却しようと考えています。
不動産買取業者を利用した場合はおおよその相場を把握して売却する人もいるかと思いますが、買取価格は相場よりも低くなってしまう場合が多いです。
相場はあくまで目安で、買取を行う場合は相場よりも低くなりやすいことを覚えておきましょう。
不動産買取業者を使用する場合は、早く売却できる可能性が高いものの、買取価格が低くなりやすいことがポイントです。
6-2.共有者を確認する
不動産を共有している場合は、共有者全員が合意の上でないと売却できません。
そのため共有持分の売却を考えている場合は、事前に共有者は誰なのかを確認しておく必要があります。
たとえば、D子・E子・F子が相続をした場合だと共有者は3人になるため、D子・E子・F子がそれぞれ売却してもいいという意思が必要です。
また相続して間もないときはD子・E子・F子であっても、時間経過に伴い相続者が次第に増えていくことによって、当初の3人以外にも共有者が発生する場合もあります。
この場合は後に増えた共有者にも売却の確認をとらなければいけません。
そのため売却したい場合は、他に共有者がどのくらいいるのか確認するようにしましょう。
6-3.持分を確認する
共有持分を売却する場合は共有者の確認も必要ですが、持分割合の確認も必要です。
万が一共有持分の割合が分からない場合は、登記事項証明書を取得して持分を確認しましょう。
自分の持分は登記事項証明書の土地・権利部(甲区)に記載されています。
共有者名や持分の割合が記載されているため、共有者が分からない場合も確認可能です。
6-4.専門家に依頼する
共有持分の売却を考えているのであれば、専門家に依頼すると安心して手続きを進められるでしょう。
共有持分の売却に関しての知識があれば手続きを進められますが、多くの人は共有持分の売却に馴染みがありません。
問題に発展させないためにも専門家への依頼をおすすめします。
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実績豊富な不動産会社に依頼できるため、あなたに合った不動産会社を見つけることができます。
共有持分の売却は簡単ではありませんので、ぜひプロに相談してみてください。
7.共有持分の売却を考えているなら

共有持分の売却を考えているのであれば、どのくらいの範囲を売却しようとしているのかを明確にしましょう。
自身の持分の範囲内で共有持分を売却する場合は他の共有者に相談することなく、自己判断で売却を行えます。
7-1.共有者全員と話をまとめる必要がある
しかし共有不動産の全体を売却したいとなると、共有者全員と相談して話をまとめなければいけません。
不動産を共有しているため、所有権を持つ全員に相談する必要があります。
共有している不動産を売却する場合は自己判断で売却を行えない点に注意しましょう。
また不動産買取業者や共有者の間での売却はもちろん、分筆によって個人の不動産にすることも可能です。
分筆であれば権利の共有から解放されて、一部の不動産の所有権を自分にすることもできます。
しかし分筆してから売却する場合は、土地や不動産の関係で平等に分割できない点が分筆の注意点です。誰かが損をしたり得をしたりする可能性もあります。
必ずしも分筆できるとはいえず、土地や不動産によっては分筆できない場合があることを覚えておきましょう。
7-2.不動産買取業者に売却する
一方不動産買取業者は早く売却でき、共有者の間での売却は第三者を加えない売却が可能です。
しかし、不動産買取業者は仲介を依頼した場合よりも安値になりやすく、共有者の間での売却はお金に余裕があって条件がマッチした場合でしか売却できません。
共有持分の売却を考えているのであれば、何を目的として売却したいのかや、どのような方法で売却するのか、不動産のどの範囲を売却したいのかを考えておくことも必要です。
またどのくらいの相場で売却できるか把握すると、良い取引ができるでしょう。
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8.共有持分の売却は専門家に相談しよう

共有持分の売却は専門家に相談する方が無難です。ある程度の知識がないとスムーズに売却が行えないため、一度専門家に相談してみましょう。
共有者が増えてしまった場合や持分が分からないとなると、複雑になってしまうため専門家に相談しながら行うと安心して作業を進められます。
また共有持分を売却するにあたってトラブルが発生する可能性があるでしょう。
そういった問題を回避するためにも専門家に相談しておくことが重要です。
売却する場合は実際にどのくらいの価格で売却されているのかを知っておくとさらに役立つでしょう。
おうちクラベルでは不動産の査定を行っているサイトです。
不動産を売却する前におおよその目安を把握する手段として、ご利用ください。