マンションの売却では、さまざまな税金や費用が発生します。
たとえば、印紙税や登録免許税、譲渡所得税、不動産会社に支払う仲介手数料などがあります。
では、マンションの売却にかかる税金や費用は、いつ支払うものなのでしょうか?
今回は、マンションの売却でかかる主な税金や費用を支払うタイミングをまとめて解説します。
マンション売却でかかる税金を支払うタイミングまとめ
はじめに、マンション売却でかかる主な税金と費用について、支払うべきタイミングをまとめます。
No. | 税金・費用の種類 | 支払うタイミング | 支払う人 |
---|---|---|---|
1 | 印紙税 | 売買契約を締結するとき | 売主 |
2 | 登録免許税(名義変更) | 名義変更登記を申請するとき | 買主 |
3 | 登録免許税(抵当権抹消) | 抵当権抹消登記を申請するとき | 売主 |
4 | 譲渡所得税 | マンションを売却した翌年2月16日から3月15日まで | 売主 |
5 | 仲介手数料 | 売買契約を締結するとき (契約締結時とマンション引き渡し時で半額ずつとすることも多い) | 売主 |
このうち、2の「登録免許税(名義変更)」は、買主が負担することが一般的です。
一方、「登録免許税(抵当権抹消)」「譲渡所得税」は、売主が負担することが一般的となります。
また、売主・買主双方の負担が一般的であるのが「印紙税」と「仲介手数料」です。 それぞれの税金や費用の概要は、次からそれぞれ解説します。
マンションの売却でかかる税金1:印紙税
マンションの売買契約を書面で取り交わす場合は、印紙税の課税対象となります。
ここでは、印紙税の概要や支払いのタイミングについて解説します。
印紙税とは
印紙税とは、契約書や領収証などの文書に課される税金です。
マンションなど不動産の売買契約書も印紙税の課税対象であり、契約書を書面で作成する場合は印紙税を納付しなければなりません。
一方、マンションの売買契約書を電子で締結する場合は、印紙税の課税対象外です。
印紙税は、課税対象である契約書などに収入印紙を貼付することで納付します。
収入印紙は郵便局や市区町村役場、法務局などで購入することができます。
コンビニエンスストアでも収入印紙の取り扱いがある場合もあるものの、領収証でよく使用される200円の印紙のみしか在庫がないことが少なくありません。
貼付後は、売主と買主の双方が消印(収入印紙と契約書用紙にまたがるように押印)をします。
なお、印紙税を貼付しなくても契約の効力は影響せず、契約書が無効になるわけではありません。
しかし、本来貼付すべきであった印紙税の額の2倍に相当する過怠税の対象となります。
印紙税の額
印紙税の額は、課税対象である契約書に記載される契約金額によって異なります。
印紙税額はそれぞれ次のとおりであり、2024年3月31日までに作成される契約書では軽減税率が適用されています。
契約金額 | 印紙税額 (2024年年3月31日までの軽減税率) |
---|---|
50万円以下 | 200円 |
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
5億円以下 | 60,000円 |
10億円以下 | 160,000円 |
50円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
たとえば、マンションを4,000万円で売買する場合、その売買契約書に貼付すべき印紙税は2万円(2024年3月31日までに契約を締結する場合は1万円)です。
誰が支払う?
印紙税の納税義務者は、その課税文書の作成者(一般的は、その文書に署名や押印をする人)です。
そして、課税文書の作成者が複数いる場合は、これらの者は連帯して印紙税を納める義務があります。
つまり、マンションの売買契約書は売主と買主が連帯して印紙税の納税義務を負うということです。
実務上はマンションの売買契約書を2通作成し、売主と買主が各1通保管することが多く、それぞれの保管する契約書に貼付する分の印紙税を負担することが一般的です。
いつ支払う?
印紙税は、その課税対象である文書の作成時に納税義務が生じます。
マンションの売買契約書などの「作成時」とは、その文書の「証明のとき」です。
一般的に、マンションの売買契約書の売主と買主がともにその契約書に署名や押印をした時点がこれに該当します。
実務上は、売買契約書への署名押印時に印紙を貼付し、消印までを済ませることが多いでしょう。
マンションの売却でかかる税金2:登録免許税(名義変更)
マンションの売買契約でかかる税金の2つ目は、登録免許税です。
ここでは、登録免許税について解説します。
登録免許税とは
登録免許税とは、不動産の登記などに対してかかる税金です。
マンションの名義変更や抵当権(担保)の設定、抵当権の抹消、所有者の住所変更など、登記をするたびに登録免許税が発生します。
名義変更にかかる登録免許税の額
マンションを売買すると、売主から買主に対してマンションの名義を変更します。
この名義変更の登記は、次の登録免許税がかかります。
- 土地部分の登録免許税=土地部分の価額×1,000分の20(2026年3月31日までの間に登記を受ける場合1000分の15)
- 建物部分の登録免許税=建物部分の価格×1,000分の20(ただし、軽減税率が適用される場合がある)
また、マンションの名義変更は司法書士に依頼することが一般的ですが、司法書士への報酬が別途かかります。
登録免許税の額についても、司法書士が計算をして教えてくれることが多いです。
誰が支払う?
名義変更登記にかかる登録免許税は、法律上売主と買主が連帯して納付する義務を負っています。
しかし、一般的には買主側が負担することが多いでしょう。
また、名義変更登記にかかる司法書士報酬も、買主側が負担することが一般的です。
いつ支払う?
登録免許税は、登記申請をする前に納付しなければなりません。
登録免許税は次のいずれかの方法で納めますが、納付しないと登記が進行しないためです。
- あらかじめ金融機関から納付してその領収証書を登記申請書に貼付する
- 登記申請書に収入印紙を貼付する(登録免許税が3万円以下の場合のみ)
- オンラインから納付する(登記申請をオンラインでした場合のみ)
実際は買主が直接法務局に納めるのではなく、司法書士が代わりに納めることとなるため、司法書士報酬と登録免許税の合計額が司法書士から請求されることが多いでしょう。
参照元:登録免許税はどのような方法で納付しなければならないのですか?(法務局)
マンションの売却でかかる税金3:登録免許税(抵当権抹消)
登録免許税は、マンションの名義変更登記のみならず、抵当権を抹消する登記にも課税されます。
ここでは、抵当権抹消にかかる登録免許税について解説します。
マンションの売却で抵当権を抹消すべき理由
マンションを売却する際は、遅くともそのマンションの引き渡し時までに抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権とは、ローンが契約どおりに返済できなくなった際、金融機関がそのマンションを競売(けいばい)にかけ、その対価からローン残債の回収を受ける権利のことです。
マンションに売主側の抵当権が付いたままだと、その後売主がローンを滞納した際に、買主がせっかく買ったマンションが競売にかけられてしまうかもしれません。
そのようなマンションを買う人はほとんどいないため、遅くとも引き渡し時点までに抵当権を抹消する必要が生じます。
抵当権とローンは紐づいており、ローンが完済できていないにもかかわらず抵当権を消して欲しいと金融機関に申し入れても、応じてもらえる可能性は低いでしょう。
そのため、マンションを売却する際は、マンションの売却対価を充ててもローン残債が完済できない「オーバーローン」とならないかどうかあらかじめ確認することが必要です。
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おうちクラベルとは、1度の入力で複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる不動産一括査定です。
複数社による査定額を比較することで、そのマンションの売却適正額を把握でき、オーバーローンとなりそうかどうかあらかじめ確認することが可能となるでしょう。
抵当権抹消にかかる登録免許税の額
抵当権の抹消にかかる登録免許税額は次のとおりです。
- 登録免許税(抵当権抹消)=抵当権を抹消する不動産の数×1,000円
また、抵当権の抹消登記を司法書士へ依頼する場合は、別途1万円から2万円程度の報酬がかかります。
誰が支払う?
抵当権抹消にかかる登録免許税は、売主が負担します。
いつ支払う?
抵当権の抹消にかかる登録免許税は、名義変更登記にかかる登録免許税と同じく登記申請をする前に支払います。
こちらも司法書士に依頼をする場合は、司法書士報酬と併せて司法書士から請求されることが多いでしょう。
マンションの売却でかかる税金4:譲渡所得税
マンションの売却でかかる税金の4つ目は、譲渡所得税です。
ここでは、譲渡所得税の概要や支払いのタイミングについて解説します。
譲渡所得税とは
譲渡所得税とは、マンションを売って得た利益にかかる税金です。
譲渡所得税はどこかから納付書が送られてくるのではなく、自分で、または税理士に依頼して計算し、申告と納税をしなければなりません。
そのため、マンションの売却価格を予想できた段階で、管轄の税務署や税理士に譲渡所得税について相談しておくことをおすすめします。
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計算方法
マンションを売る際の譲渡所得税は、次の式で算定します。
- 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
- 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率
それぞれの計算要素の概要は、それぞれ次のとおりです。
- 収入金額:マンションの売却で買主から得た対価
- 取得費:マンションの取得にかかった購入代金(建物部分は所有期間分の減価償却費相当額の控除が必要)、仲介手数料、不動産取得税など。不明な場合は、収入金額×5%で計算する
- 譲渡費用:マンションを売却するのに直接かかった仲介手数料や印紙税など
- 特別控除:「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」など
ここでは概要のみの説明にとどめるため、マンションを売却する際は税理士や税務署にあらかじめ相談のうえ、税額の試算をしてもらうことをおすすめします。
また、譲渡所得税とこれに対応する住民税の税率はマンションの所有期間に応じて異なっており、それぞれ次のとおりです。
2037年までは復興特別所得税が加算されています。
売却した年の1月1日時点での所有期間 | 税率 | |||
所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 | |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
居住用マンションを売却する場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用が受けられる可能性が高く、適用を受けることで結果的に譲渡所得税がゼロとなることも少なくありません。
しかし、特例の適用には要件があり、特例の適用を受けるには確定申告が必要です。
そのため、あらかじめ税理士などに相談のうえ要件の確認をしておくことをおすすめします。
また、マンションを売って損失が出た場合でも、これを他の所得と通算できる制度もあります。
この点も、あらかじめ専門家へ相談のうえ確認しておくとよいでしょう。
誰が支払う?
マンションの譲渡益にかかる譲渡所得税は、マンションを売って対価を受け取った人が支払います。
いつ支払う?
譲渡所得税は、マンションを売った日が属する年の翌年2月16日から3月15日までの間に申告し、この期間内に納税します。
マンションを売って利益が出る場合は、忘れずに期限内に申告と納税を行いましょう。
マンションの売却でかかる費用:仲介手数料
マンションの売却を不動産会社に依頼する場合は、仲介手数料が必要です。
仲介手数料は税金ではないものの、金額が大きくなる可能性のある費用であるため解説します。
仲介手数料とは
不動産会社にマンション売却の仲介を依頼する場合、不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。
仲介手数料とは、不動産会社に支払うマンション売却の成功報酬にあたるものです。
マンションの売却を不動産会社に依頼しても売買が成立しない場合、仲介手数料は発生しません。
なお、中には売り手側の仲介手数料を無料にしたり極端に安くしたりする不動産会社もあります。
しかし、仲介手数料の安さのみで不動産会社を選ぶことはおすすめできません。
なぜなら、売り手側の仲介手数料が安いと、不動産会社がマンションの売却活動に力を入れてくれない可能性や十分なフォローが受けられない可能性があるためです。
また、両手仲介(1社の不動産会社が売り手と買い手の双方から仲介の依頼を受けること)が前提となっていることが少なくありません。
両手仲介自体に問題があるわけではないものの、両手仲介に無理矢理持ち込むために購入希望者から依頼を受けた別の不動産会社からの問い合わせに「そのマンションはもう売れた」など嘘とついて断るなどすると、依頼者である売り手が不利益となります。
そのため、不動産会社は仲介手数料の安さのみで選ぶのではなく、そのマンションの売却に強い信頼できる不動産会社を選ぶことをおすすめします。
マンションの売却を依頼する不動産会社をお探しの際は、「おうちクラベル」の不動産一括査定がおすすめです。
複数社による査定額や対応などを比較することで、そのマンションの売却に強い信頼できる不動産会社を見つけやすくなるでしょう。
仲介手数料の上限額
仲介手数料は不動産会社が自由に設定できるものではなく、法令で上限が定められています。
実際は、この上限額をそのまま仲介手数料の額として設定している不動産会社が多いです。
仲介手数料の上限額は、マンションの売却価格に応じてそれぞれ次のとおりです。
マンションの売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下の部分 | 売却価格(税抜)の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 売却価格(税抜)の4%+消費税 |
400万円を超える部分 | 売却価格(税抜)の3%+消費税 |
マンションの売却価格が400万円超である場合、次の算式にまとめて算定することも可能です。
- 仲介手数料の上限額=売却価格(税抜)×3%+6万円+消費税
たとえばマンションを3,000万円(税抜)で売却する場合における仲介手数料の上限額は、次のように計算できます。
- 仲介手数料の上限額=(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105万6,000円
誰が支払う?
仲介手数料は、不動産会社へマンション売買の仲介の依頼をした人がそれぞれ支払います。
たとえば、売主が不動産会社Aにマンションの売却を依頼して売買契約が成立した場合、不動産会社Aに仲介手数料を支払うのは売主です。
そして、買主が別の不動産会社Bにマンションの購入を依頼して売買契約が成立した場合、不動産会社Bに仲介手数料を支払うのは買主です。
ただし、実際は不動産会社Aが売主と買主の双方から依頼を受ける場合も少なくありません。
この場合は、売主と買主がそれぞれ不動産会社Aに仲介手数料を支払います。
いつ支払う?
原則として、仲介手数料はその不動産会社の仲介によってマンションの売買契約が成立した時点で支払うものです。
しかし、実際は売買契約成立時に半額を支払い、決済日(マンションの名義変更書類の押印をしたり、買主から売主に売買代金が支払われたりする日)に残りの支払いを支払うことも少なくありません。
仲介手数料を支払うタイミングは不動産会社によって異なるため、売却を依頼している不動産会社にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
まとめ
マンションの売却では、印紙税や譲渡所得税、登録免許税などの税金がかかります。
それぞれいつ支払うべきかは異なるため、金額や支払いのタイミングをあらかじめ確認しておいてください。
マンションの売却で後悔をしないためには、税金や費用について理解しておくほか、そのマンションの売却に強い不動産会社に売却を依頼することがポイントです。
しかし、どの不動産会社に依頼したらよいかわからない場合も少なくないでしょう。
その場合は、「おうちクラベル」のご利用がおすすめです。
おうちクラベルとは、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する不動産一括査定です。
おうちクラベルでは、1度の入力で複数の不動産会社へ査定の依頼ができるため、自分で複数の不動産会社を回る必要はありません。
査定額や説明、担当者の対応などを比較することで、そのマンションの売却に強い信頼できる不動産会社を見つけやすくなるでしょう。