マンション売却時の必要書類と入手方法は?売却後の確定申告まで解説

マンション売却を考えているけど「必要な書類はどうすれば入手できるの?」「種類が多過ぎてどれが必要なのか分からない」と悩んでいませんか。マンション売却をスムーズかつ希望どおりに進めるには、必要な書類を揃えることが重要です。

本記事では、マンション売却時に必要な書類について「必須であるもの」と「あるといいもの」に分けて解説します。マンション売却がはじめての方に向けて、売却の流れや確定申告が不要なケースなどもあわせて解説します。

参考にしていただければ、マンション売却時に必要な書類、売却後にやるべき確定申告のこと、マンション売却に関する一連の流れを具体的にイメージできるでしょう。

「マンション売却を進めたいけど何をどうすればいいか分からない」という方は、ぜひ参考にしてください。

目次

1.マンション売却の流れ

まずは次の項目にそってマンション売却の流れを解説します。

  1. 査定申し込み
  2. 不動産会社と媒介契約
  3. 販売活動
  4. 売買契約
  5. 引き渡し
  6. 確定申告

1-1.査定申し込み

マンション売却は必要な書類の準備などと並行して、複数の不動産仲介会社に査定依頼を申し込んでいきます。

ここで重要なのが複数の不動産仲介会社に査定依頼することです。査定価格は不動産仲介会社により差が出ることがあり、1社のみにしてしまうと相場価格を把握できない可能性があります。

マンション売却において相場価格を知ることは非常に重要です。相場価格を知らずに価格設定をすると「高すぎて買主が見つからない」「安すぎて売主が損をする」といった事態が起こるかもしれません。

また、不動産仲介会社の売主への対応方法はさまざまです。信頼できる不動産仲介会社を見つけるためにも、複数の不動産仲介会社に査定依頼をして、売りたいマンションの相場価格を知り、今後の資金計画を立てやすくしましょう。

複数社へ個別で申し込むのは手間がかかるため、不動産一括査定サイトの利用をおすすめします。査定依頼後にAIの査定価格が見られる「おうちクラベル」をぜひご利用ください。

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1-2.不動産会社と媒介契約

価格相場を知り仲介する不動産仲介会社が決まったら、1社または2~3社に媒介契約を結びます。

媒介契約には種類があり次のような違いがあります。

 

一般媒介契約

専任媒介契約

専属専任媒介契約

売主義務

自己発見取引

可能

可能

不可

ほかの仲介会社への重複依頼

可能

不可

不可

仲介会社義務

業務処理報告義務

義務なし

2週間に1回

1週間に1回

レインズへの登録義務

なし

あり

あり

出典:一般媒介契約について|公益社団法人 全日本不動産協会

【一般媒介契約】

複数の不動産仲介会社と契約でき、自分で買主も見つけられるため自由度の高い販売活動が可能です。

【専任媒介契約】

複数の不動産仲介会社と契約できませんが、一般媒介契約よりも積極的に営業活動を行ってくれます。自分で買主を見つけられるため、一定の自由度もあります。

【専属専任媒介契約】

複数の不動産仲介会社と契約できず、自分で買主を見つけることもできません。そのかわり、1週間に1回の業務報告の義務があったり、レインズ(不動産流通標準情報システム)の登録義務があったりと、一般媒介や専任媒介よりも積極的な営業活動が期待できます。

「自分でも買主を探したいのか」「希望時期に適正価格で売却したいか」を踏まえ、それぞれの特徴を理解して、今後の資金計画に合った媒介契約を選びましょう。

1-3.販売活動

媒介契約が締結したら販売活動を行っていきます。販売活動は大きく分けると次の2つがあります。

  • 不動産仲介会社が行う広告活動
  • 売主が行う内見の準備と対応

広告活動とは営業担当者が販売サイトやチラシなどに、販売物件を掲載して売主を探すことです。希望どおりの条件での売却を実現するためにも営業担当者とよく話し合い、売り出し価格と今後の戦略を決めましょう。

売り出し価格を決定したら、販売サイトや広告に載せるための物件写真を撮影します。物件写真やセールスポイントも決定したら、実際に広告活動の始まりです。

内見の希望があったら、好印象を持ってもらえるよう準備と対応をしましょう。内見の準備とは室内の掃除と片付けのことであり、特に「キッチン・トイレ・風呂場・洗面台」などの水回りは清潔を保ちたいポイントです。

内見時の室内の印象は、買主の購入の決断に大きな影響を与えます。適正価格で売却するためにも室内をきれいにしておくことをおすすめします。

販売するマンション内の片付けがどの程度必要であるかは、不動産仲介会社に確認しておくといいでしょう。

1-4.売買契約

買主が決定したら売買契約を締結します。売買契約時の手続きは次のとおりです。

  • 売買契約書を締結する
  • 売主は仲介手数料を支払う
  • 買主は手付金を支払う

不動産仲介会社が作成してくれた売買契約書を売主と買主とで確認し、双方に相違なければ署名・捺印を行います。

万が一、締結後に売買契約書に記載のない瑕疵が発覚すると、売主に保証の義務が発生するため注意してください。瑕疵とは雨漏りやひび割れ、シロアリ被害など物件欠陥のことです。

また、売買契約時に売主は、仲介手数料の50%を不動産仲介会社に支払うのが一般的です。買主は手付金として5%〜20%を売主に支払い、残金は引き渡しの際に支払います。

契約を結び引き渡しの日が決定したら、マンションの管理組合にも売却する旨を伝えましょう。

ローンが残っているマンションは、引き渡し当日に一括返済する必要があります。一括返済には、事前の手続きが必要であるため融資先の金融機関に申告をしましょう。

1-5.引き渡し

引き渡しの際に行うことは次のとおりです。

  • 引き渡しの準備
  • 残金の清算
  • 登記申請

マンションの売買契約を締結して引き渡し日も決定したら、売主は引き渡しのため準備を始めます。通常、売買契約から引き渡しまでの期間は、買主の住宅ローンや所有権移転などの手続きがあるため1ヶ月程度です。この期間に不動産仲介会社の営業担当者に、準備しておくべき書類などを再度確認しておきましょう。

引き渡し日は売主と買主のほかに、不動産仲介会社、金融機関、司法書士、銀行など、それぞれの担当者が同席します。売主は仲介手数料やローン残金の支払いを済ませ、買主は売却価格の残金の支払いを済ませて、鍵の受け渡しを行います。

また、マンション売却後は登記申請が必要です。申請のため手続きを依頼する司法書士は、不動産仲介会社が手配してくれます。

引き渡し日に書類の不備が見つかると手続きが進められず、最悪の場合は延期となる可能性もあります。書類に不備や不足がないか必ず確認しましょう。

1-6.確定申告

マンションなど土地や建物を売却した際は、売却翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告を行う必要があります。(確定申告の期間に変更がないか、必ず確認してください)

マンションの売買は譲渡所得の分離課税となるため、給与所得とは別で申告しなければなりません。会社勤めの方でも確定申告が必要であることに注意してください。

確定申告を行わないと追加課税が発生したり、控除や特例を使えないデメリットが生じたりします。忘れないように必ず期限までに確定申告を行いましょう。

出典:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

2.マンション売却時の必要書類チェックリスト

ここでは、マンション売却時に必要な書類を「必須」と「推奨」に分け、チェックリストにして紹介します。そのほか、不動産会社から指示があった場合は、その書類を準備しましょう。

【必須】

 

印鑑登録証明書

 

登記済証(権利証)または登記識別情報

 

住宅ローンの残高証明書または返済予定表

 

固定資産税・都市計画税納税通知書

 

重要事項に関わる調査報告書

 

口座情報が分かるもの

【推奨】

 

インスペクションの報告書

 

建設住宅性能評価書

 

購入時のパンフレット

 

マンションの管理規約・利用細則・理事会議事録等

 

設備の取扱説明書・保証書

 

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等

3.マンション売却の必要書類【必須】

マンション売却時の手続きが延期となったり中断されたりしないためにも、必須となる書類を揃えておくことは重要です。

ここでは、必須となる書類が「どのような書類で」「何のために必要なのか」「どこで入手可能なのか」を解説します。

3-1.印鑑登録証明書

印鑑登録証明書とは、実印が間違いなく役所に登録されていることを証明するための書類で、売買契約時と所有権移転の手続きの際に必要です。

管轄の市町村で発行してもらえますが、印鑑登録証が必要なので忘れずに持参してください。手数料の300円も用意しておきましょう。

また、マイナンバーカードか住民基本台帳カードがあれば、コンビニエンストアなどに設置されている、証明書類の自動交付機能が付いたマルチコピー機でも入手可能です。有効期限は3ヶ月であるため、売買契約の締結日が確定してから発行しましょう。

3-2.登記済証(権利証)または登記識別情報

登記済証(権利証)とは、その不動産を真の所有者として証明する公的な書類です。

登記識別情報とは、書類のままではオンライン申請の導入ができないため、登記済証(権利証)に代わる本人確認の手段として導入された新たな制度です。なお、登記済証(権利証)は現在でも登記申請に利用できます。

登記済証(権利証)または登記識別情報は、売主が売却するマンションの真の所有者であることを証明するために、売買契約時や所有権移転の登記手続きの際に必要です。

登記済証(権利証)は不動産の登記が完了すると、登記所から登記名義人に交付されます。登記識別情報は、登記所の窓口またはオンライン申請によって発行できます。

いずれも理由を問わず再発行できないことになっているため、紛失した場合は、そのかわりとして司法書士に証明書を作成してもらいましょう。

3-3.住宅ローンの残高証明書または返済予定表

残高証明書とは年末時点の住宅ローン残高を証明する書類、返済予定表は住宅ローンの毎月の返済額などが記載された書類です。

住宅ローン残債の金額は、売却価格を設定する際の重要な情報となるため、不動産仲介会社から確認を受けます。その際に、住宅ローン残債を証明できる残高証明書または返済予定表が必要となります。

また、住宅ローンの支払いが残っている場合は一括返済するのが基本です。一括返済ができない場合は、証明書などを参考に返済までの期間を検討する必要があります。

通常、残高証明書は毎年10月頃に発行され、返済予定表は売主がマンションを購入して引き渡しを受けた日から1週間程度で郵送されます。(金融機関により異なる)

残高証明書または返済予定表を紛失した場合は、契約している金融機関から再発行してもらいましょう。

3-4.固定資産税・都市計画税納税通知書

国内の不動産を所有している方は、その不動産に応じた固定資産税と都市計画税が課税されます。その納付額や納付場所などが記載されているのが、固定資産税・都市計画税納税通知書です。

マンションなどの不動産の売却は、引き渡しの時期に応じて売主と買主とで税金の納付を按分します。その際に固定資産税・都市計画税納税通知書が必要です。

固定資産税・都市計画税納税通知書は毎年5月初旬頃に市町村から送付されます。万が一納税通知書を紛失した際は再発行できませんが、そのかわりとして物件ごとの評価額や税額の明細が記載された「名寄帳」を発行できます。

3-5.重要事項に関わる調査報告書

重要事項に関わる調査報告書とは、マンションの管理費や大規模な修繕の実施状況、修繕積立金の運用状況、耐震診断の有無などがまとめられた書類です。

重要事項に関わる調査報告書は、買主に対して提示する重要事項説明書にその内容を記載するために使用します。ただしこの書類は、不動産会社がマンションの管理会社に直接手配してくれるため、基本的に売主が用意することはないでしょう。

3-6.口座情報が分かるもの

引き渡しの際に手付金を差し引いた売却残額を指定口座に振り込んでもらうために、口座情報が分かるものが必要です。預金通帳もしくは金融機関名や支店名、口座種別、口座番号が分かる控えを用意しておきましょう。

4.マンション売却時の必要書類【あるといいもの】

マンション売却時にあるといいとされる書類を揃えておくと、売却活動が有利に進んだり節税できたりするメリットがあります。

ここでも、それぞれ「どのような書類で」「何のために必要なのか」「どこで入手可能なのか」を解説します。

4-1.インスペクションの報告書

インスペクションの報告書とは、国土交通省の定める講習を修了した者が行った建物調査結果の書類のことです。構造上の主要な部分(基礎・壁・柱など)にひび割れ、雨漏りなどの劣化・不具合が生じていないかの証明になります。報告書の結果が「問題なし」であれば、マンションの価値が高まります。

また、売却後に瑕疵が発見された際に、補修費の一部を保証してくれる瑕疵担保保険の加入要件の1つを満たすこともできます。

インスペクションの依頼は、不動産仲介会社と媒介契約締結後に不動産仲介会社があっせんしてくれますが、日本建築士会連合会ホームページから調査技術者を検索することも可能です。報告書を紛失した際は、調査実施者に書類の再発行を依頼しましょう。

出典:中古住宅の売買を検討されているお客様へ|公益社団法人 日本建築士連合会

4-2.設計住宅性能評価書

設計住宅性能評価書とは、設計時の図面から住宅の評価結果をまとめた書類のことです。国に登録された第三者評価機関が、完成してからでは確認できない「耐震性・耐久性・耐火性」などの10項目にわたる評価を行います。

設計住宅性能評価書は、施工中や竣工中に数回にわたる現場検査と検査結果の内容がまとめられた「建設住宅性能評価書」と2つでワンセットです。

この2つの住宅性能評価書は、その物件の性能を客観的に評価した書類であるため、買主に対して「この物件は断熱性が高い、耐震性が高い」などを正当な数値をもとにアピールできます。

2つの住宅性能評価書は、全国の住宅センターや検査機構などに審査してもらうことで発行してもらえます。紛失した場合は審査を受けた機関に再発行を依頼しましょう。

4-3.購入時のパンフレット

購入時のパンフレットには、その部屋の間取りや壁芯面積、物件の魅力などが記載されています。不動産仲介会社に渡しておけば、パンフレットを参考に広告を作成でき、販売活動を進める際のアピール材料として活用してもらえます。

紛失している場合は、マンションを購入した際の不動産仲介会社に事情を説明して、コピーをもらえないか確認してみましょう。

4-4.マンションの管理規約・使用細則・理事会議事録等

マンションにはそれぞれの管理規約や使用細則、理事会議事録などがあります。

  • 管理規約:マンションを維持・管理するための基本的なルール
  • 使用細則:管理規約とは別に作成される規則(駐車場やゴミ処理のルールなど)
  • 理事会議事録:管理規約や使用細則などの制定・変更・廃止、大規模修繕計画案などがまとめられた書類

これらは、買主が購入を検討しているマンションで、希望どおりの生活を送れるかどうかの参考になります。不動産仲介会社と媒介契約を結んだら提示しておくといいでしょう。紛失している場合は、マンション管理会社に問い合わせれば手配してくれます。

4-5.設備の取扱説明書・保証書

設備の取扱説明書は、キッチンや浴室、洗面台などのマンション内に備え付けられている設備の説明書のことです。備え付けの設備だけでなく家具や家電もそのまま引き渡すのであれば、それらの取扱説明書を揃えておくと買主に喜ばれます。

また、新築から何十年も経っているマンションであれば、取り替えやメンテナンス時期になっている場合があります。設備の保証内容やメンテナンス期間などが記載されている保証書があれば、買主は安心できるでしょう。

4-6.耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等

耐震診断報告書とは、耐震性を総合的に評価した内容を記載した書類のことです。建築士などの専門家が建物の壁の強さやバランス、接合部の状況などを調査した結果になります。

アスベスト使用調査報告書は、石綿調査診断士がアスベストの使用の有無を調査した結果を記載した書類です。アスベスト使用調査を実施している場合は、書面で説明しなければならないため報告書が必要になります。

調査をしていなければ不要ですが、重要事項説明書に「アスベスト使用調査は実施していない」と記載しなければなりません。どちらも買主にとって気になる事項であるため、可能であれば調査を実施して報告書を提示したほうがいいでしょう。

耐震診断報告書は、診断を行った者または地方公共団体が作成します。まずは診断の依頼をするために、管轄の地方公共団体の住宅・建築担当窓口から問い合わせをしましょう。紛失した際も住宅・建築担当窓口に相談してください。

アスベスト使用調査は、全国にあるアスベスト調査業者に依頼して報告書を作成してもらいます。

5.マンション売却後の確定申告時の必要書類

マンション売却後の確定申告で必要となる書類は次のとおりです。

  • 確定申告書B様式
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得計算証明書
  • 除票住民票
  • マンション購入時の売買契約書の写し
  • マンション取得費用が分かる領収書等の写し
  • マンション売却時の売買契約書の写し
  • マンション譲渡費用が分かる領収書等の写し
  • 登記事項証明書
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票(給与所得者のみ)

それぞれ「どのような書類か」「どこで取得できるか」を解説します。

5-1.確定申告書B様式

確定申告書B様式は、一般的に個人事業主が確定申告する際に使用する書類です。この書類は、事業所得や不動産所得など所得の種類を問わず確定申告の際に必要になります。確定申告書B様式は税務署の窓口や、国税庁のホームページからダウンロードできます。

確定申告を行う時期は「所得が発生した翌年の2月16日〜3月15日」の間です。それまでに書類を取得すればいいのですが、慣れていないと記入に時間がかかってしまうので、早めに入手して記入方法を確認しましょう。

5-2.確定申告書第三表(分離課税用)

確定申告書第三表(分離課税用)とは、土地や建物の譲渡所得など、申告分離課税の対象である場合に提出が必要となる書類のことです。マンション売却は、建物の譲渡所得に該当するためこの書類が必要になります。

確定申告書第三表(分離課税用)は、税務署の窓口や国税庁のホームページからダウンロードできます。こちらも早めに取得しておき記入方法などを確認しましょう。

5-3.譲渡所得計算証明書

譲渡所得計算証明書とは譲渡所得の内訳書のことです。マンションの購入金額や譲渡する際に支払った仲介手数料、収入印紙代、譲渡費用などあらゆる代金の計算のために用います。

譲渡所得計算証明書は不動産売却後に税務署から売主へ郵送されます。もしくは税務署の窓口や国税庁のホームページからもダウンロード可能です。取得後は早めに記入方法を確認しましょう。

5-4.除票住民票

除票住民票とは、ほかの市町村へ引っ越す際に発行される抹消された住民票のことです。住民票を抹消した理由やその理由が生じた年月日が記載してあります。管轄の役所で本人確認書類の提示と手数料300円で発行してもらえます。

5-5.マンション購入時の売買契約書の写し

マンションを購入した際に発行される売買契約書のコピーのことで、正確な取得費用を計算するために必要です。紛失している場合は、購入した不動産仲介会社に連絡をしてコピーできないか確認しましょう。

5-6.マンション取得費用が分かる領収書等の写し

マンションの取得費用や仲介手数料、不動産取得税、登記費用、測量費用、印紙税など、あらゆる費用を確認するために必要です。

紛失している場合は、購入した不動産仲介会社に連絡をしてコピーできないか確認しましょう。

5-7.マンション売却時の売買契約書の写し

マンションを買主に売却した際に受け取る売買契約書のコピーのことです。譲渡費用(売却価格)を確認するために必要です。

原本はマンションの売却時に取得できますが、紛失している場合は不動産仲介会社に連絡してコピーできないか確認しましょう。

5-8.マンション譲渡費用が分かる領収書等の写し

マンションを譲渡する際にかかった費用が記載されている領収書のコピーのことです。仲介手数料や印紙税、登録免許税、解体費用など譲渡のためにかかった費用を確認するために必要です。

原本はマンションの売却時に取得できます。紛失している場合は不動産仲介会社に連絡しましょう。

5-9.記事項証明書

登記事項証明書とは、不動産の所有者や所在地、担保、構造などあらゆる事項が記載された書類のことです。譲渡所得計算証明書の中で不動産情報を記載する際に使用します。

登記事項証明書は法務局のホームページからオンライン請求ができ、受け取りは郵送か法務局の窓口になります。

5-10.本人確認書類

確定申告はマイナンバーや次のような本人確認書類が必要です。

  • マイナンバーカード
  • 運転免許証・パスポートなどの写真付き身分証明書
  • 住民票の写し(番号付き)
  • 通知カード

5-11.源泉徴収票(給与所得者のみ)

会社などに勤めている給与所得者の場合は源泉徴収票が必要です。源泉徴収票は勤め先の年末調整が終わったあとに発行されます。

年末調整前に退職した場合は、退職後1ヶ月ほどで発行されます。紛失した場合は勤め先の総務部に連絡して再発行してもらいましょう。

6.確定申告が不要なケース

マンションの売却価格によっては譲渡所得がマイナスになり、確定申告が不要になる場合があります。まずは、次の計算方法を用いて譲渡所得の計算をしましょう。

「譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」

  • 収入金額:マンションを売却したことによって得た金額
  • 取得費:マンションの購入金額と付随費用(購入時の仲介手数料や登録免許税、印紙税、司法書士への報酬、固定資産税精算金、土地の改良費用など)
  • 譲渡費用:譲渡時の仲介手数料や印紙税、測量費用、取り壊し費用、立退料など
  • 特別控除額:マイホームを譲渡した場合など一定の要件を満たすと適用される控除額

出典:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

7.譲渡所得がマイナスでも確定申告が必要なケース

マンションを売却して譲渡所得がマイナスであっても「3,000万円の特別控除を利用した」「ほかの所得と損益通算をした」という場合は確定申告が必要です。節税のためにそれぞれの詳細を確認しましょう。

7-1.3,000万円特別控除を利用した

3,000万円の特別控除を利用した際は、マンション売却の譲渡所得がマイナスになっても確定申告が必要です。

この特別控除は居住用財産を売却したときに利用でき、所有期間に関係なく最高3,000万円までの控除を受けられます。

この特別控除を受けるための要件の一例は次のとおりです。

  • 自分が居住している居宅を売却するか、居宅とともにその敷地や借地権を売却する
  • 売却した年の前年および前々年に、この特例または譲渡損失における損益通算・繰越控除の特例を受けていない
  • 売却した年およびその前年、前々年に居住用財産の買い替えや交換の特例を受けていない
  • 売主と買主が親子や夫婦などの関係ではない

出典:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

7-2.ほかの所得と損益通算する

マンション売却による譲渡損失をほかの所得と損益通算した場合は、確定申告が必要です。

損益通算とは、譲渡所得や不動産所得などで発生した損失をほかの所得で相殺することです。相殺することにより、課税対象所得が抑えられるため節税できます。

ただし、マンションなどの居住用財産の譲渡損失を損益通算するには、一定の要件を満たす必要があります。要件の一例は次のとおりです。

  • ローン残高よりも低い価格でマンションを売却して譲渡損失が生じたとき
  • 新たに新居宅を購入した場合で旧居宅に譲渡損失が生じたとき

詳しい要件を確認して損益通算による節税を行いましょう。

出典:No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

出典:No.3370マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

8.マンション売却後の確定申告を忘れてしまったら?

ここでは、マンション売却後に確定申告を忘れてしまった場合の対応方法や、確定申告しないことによるペナルティについて解説します。不要な税金を支払わないためにも、それぞれ確認しましょう。

8-1.気が付いた時点で即申告

所得が発生した翌年の2月16日〜3月15日までの間に、確定申告をするのを忘れていたら気が付いた時点で即申告しましょう。

期限を過ぎてから確定申告をした場合は期限後申告として扱われ、確定申告で納める税金のほかに無申告課税が課されます。日数が経過するごとに課税が増える可能性があるため、すぐに確定申告することをおすすめします。

現在では、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」からオンラインで確定申告ができます。国税庁に行く時間がない方はオンライン申告を行いましょう。

8-2.科せられるペナルティ

確定申告の期限が過ぎたら100%ペナルティが科せられるわけではありません。次の章を参考にして、科せられるペナルティの種類や科せられない要件などを確認しましょう。

8-2-1. 無申告加算税

期限後申告により無申告課税になった場合は、納付すべき税額に対して「50万円までは15%、50万円を超えた金額は20%の割合」を乗じて計算した金額が科せられます。

しかし、税務署の調査前に自主的に期限後申告を行った場合は、5%の割合を乗じた金額ですみますので、納付期限が過ぎている場合はすぐに申告しましょう。

また、期限後申告でも次の要件を全て満たす場合は無申告加算税を課されません。

  • 確定申告の期限を過ぎてから1ヶ月以内に自主的に行うこと
  • 期限内に申告をする意思があると認められる一定の場合に当てはまること

一定の場合とは「期限後申告にかかる納付すべき税額を全て期限までに納付している」「過去5年までの間に無申告課税や重加算税を課されたことがなく、無申告課税の不適用も受けていないこと」です。

出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

8-2-2. 延滞税

延滞税とは、定められた納付期限までに税金を納めなかった場合に発生するペナルティです。

延滞税が課せられる要件は次のとおりです。

  • 期限後申告した場合で納付しなければならない税額があるとき
  • 申告で確定した税額を納付期限までに完納しないとき
  • 申告に誤りがあった際に納付しなければならない税額があるとき

確定申告を忘れてしまい期限後申告となった場合は、申告書を提出した日が納付期限になります。つまり、期限後申告をした場合は、申告をした日から納付の日までの間で延滞税が自動的に課せられます。

出典:No.9205 延滞税について|国税庁

9.マンション売却の必要書類は余裕をもって準備を

マンション売却のために必要な書類は、すぐに用意できるものや期間を要するものなどさまざまです。記入が必要な書類に関しては、書き慣れないために時間がかかる可能性もあります。自分で把握するのも大切ですが、不動産会社の営業担当者に「いつまでにどの書類が必要であるか」を確認することもおすすめします。

マンション売却をスムーズかつ希望どおりに進めるためにも、必要な書類は余裕をもって準備しておきましょう。

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