マンションを売りたいとき、一般的な「仲介」だけでなく「買取」という方法もあります。特に「できるかぎり早く売りたい」「仲介では売りにくいマンションを売りたい」といった場合には買取のほうが向いているかもしれません。
この記事では買取と仲介の違いや、買取のメリット・デメリット、そして買取相場の調べ方について解説します。所有しているマンションの売却を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
1.買取とは?
不動産の買取とは、不動産会社が買主となってその物件を購入することを指します。
所有する不動産を売りたいと思ったとき、通常は不動産会社に依頼して、その不動産会社が買主となる人を見つけてきて、売主との間に入って「仲介」する、というのが一般的な流れです。
しかし「買取」の場合は、まず不動産会社が直接買い取り、その後にリフォームを加えるなどして価値を高め、新たな買主を探して売却するという流れになります。
売る側からすると、買取は不動産会社への引き渡しがすんだ時点で完了するため、スピーディーに取引できるという特徴があります。
同じ不動産を売却するのでも、仲介にするか買取にするかで、売れる金額やスピードなどさまざまなことが変わってきます。違いを理解し、自分に合ったほうを選ぶことが大切です。
1-1.買取と仲介の違い
買取と仲介の違いを整理すると、以下のとおりです。
買取 | 仲介 | |
買主 | 不動産会社 | 不動産会社が見つけてくる |
取引スピード | 比較的早め | 比較的遅め |
仲介手数料 | かからない | かかる |
内見などの対応 | なし | あり |
広告掲載 | なし | あり |
契約不適合責任 | なし | あり |
売却価格 | 比較的低め | 比較的高め |
買取は、不動産会社が直接買うため、買主を探す時間や手間がかかりません。売却までのスピードが仲介に比べて早い傾向があり、仲介手数料もかからないのが特徴です。
詳しくは後述しますが、買取の場合は不動産会社とのやりとりだけなので、間取りや価格が載った広告を出して周囲に知られることもありませんし、購入希望者の内見のための対応も不要です。また、取引相手がプロなので、売る側は建物に欠陥が見つかった場合でも、責任を負わずにすむことが多いです。
ただし、仲介よりも売却価格が低めになりやすい点に要注意です。
1-2.買取相場は市場価格の80%程度が目安
前述のとおり、買取の相場は通常の仲介で売却する場合に比べて低くなりがちです。目安としては「市場価格の80%程度」と考えておきましょう。
なぜ買取だと売却価格が低くなってしまうのかというと、以下のような理由があります。
- 不動産会社が仲介手数料が入ってこない物件で利益を出すためには「安く買って高く売る」必要がある
- 不動産会社は購入後、リフォーム代、維持管理費、販売促進費などを負担する
- 買主が見つからない場合や欠陥が見つかった場合のリスクを不動産会社が負っている
不動産会社からすると仲介より買取のほうがリスクが高いので、仲介より安い相場でないと利益を出しにくいのです。
売る側からすると、買取は「多少安くてもいいから早く売りたい」「できるだけ手間をかけずにすませたい」という場合に向いている売却方法と言えます。
2.不動産会社に買取を依頼するメリットとは?
ここからは、仲介ではなく買取で不動産を売却するメリットについて、より詳しく見ていきましょう。主なメリットには以下の5つがあります。
2-1.早期に現金化できる
買取の大きな特徴といえるのが、その「スピード」です。仲介だと、売りに出してから3ヶ月~6ヶ月程度で売却が決まるのが一般的です。しかし買取は、はじめから不動産会社が買うと決まっています。
早ければ数日~1週間程度で売却代金を手にできるでしょう。早期に現金化できるのは大きなメリットです。事情があって早く手放したい人や、急いでまとまったお金が必要な人にも役立ちます。
2-2.仲介手数料がかからない
買取は、仲介を行わないので「仲介手数料」がかかりません。不動産を売却するときは通常、抵当権抹消費用、住宅ローンの返済手数料、印紙税などの税金などさまざまな費用がかかります。中でも仲介手数料は特に金額が大きく、負担になりやすいです。
仲介手数料は法律で「売買価格の3%+6万円+消費税」が上限と決められています。例えば3,000万円で物件を売却して上限の仲介手数料がかかった場合は、それだけで100万円超の出費になります。
買取だと仲介の相場より安い価格で売却が決まる傾向がありますが、仲介手数料が不要なのでコストは抑えられます。
2-3.契約不適合責任を負う必要がない
買取の場合は「契約不適合責任(瑕疵担保責任)」が免責となることが多いです。
契約不適合責任とは、売却後に物件に雨漏りやシロアリ被害などの不具合が発覚したときに、売主が負う責任のことです。以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年の民法改正により適応される範囲が拡大され「契約不適合責任」になりました。
売主が契約不適合責任を負う契約の場合、不具合や欠陥が見つかると、該当箇所を売主負担で修繕するよう求められたり、場合によっては損害賠償を請求されたり契約を解除されたりする可能性もあります。
一般的な仲介では、買主を保護するため、売主が契約不適合責任を負います。しかし、買取の場合、買主は不動産会社、つまり不動産のプロです。買主がプロの場合は保護の対象にならないので、売主側は契約不適合責任を免れます。
2-4.資金計画が立てやすい
不動産を売却するときはまず、その物件にいくらくらいの価値があるのか知るために「査定」を行います。仲介の場合は、査定で出た金額で売り出してもなかなか購入希望者が見つからず、途中で価格を下げるということもあります。
しかし買取の場合は、査定どおりの価格ですぐに買い取ってもらえる場合が多いです。いついくら入金されるかが分かりやすく、資金計画が立てやすい点がメリットです。 ローン返済などの期限が迫っている、といった状況でも対応しやすいでしょう。
2-5.営業活動の手間が省ける
買取は基本的に不動産会社とのやりとりだけですみ、仲介のように広く購入希望者をつのる必要がありません。
そのため、実際に物件の中身を見にくる人(内見希望者)向けに、部屋をきれいに整える手間がかかりません。魅力的に見せるための清掃やリフォームなども、すべて不動産会社が買い取ったあとに行うので、売る側は何もしなくてOKです。
見学会などで不特定多数の人が家の中を見にくることもないですし、周囲にまくチラシやインターネット上に自宅の詳細が掲載されることもないので安心です。
内見や広告など営業活動(販売活動)なしで売れることは、同じマンションの住人や近所に売却を知られたくない人、多忙な人にとって特に大きなメリットとなるでしょう。
3.不動産会社に買取を依頼するデメリットとは?
一方、買取にはメリットだけでなく、デメリットもあります。仲介と比べて不利な点についてもあらかじめ把握しておきましょう。主なデメリットは以下の3つです。
3-1.仲介の場合よりも買取価格が安くなる
買取の最大のデメリットは、仲介より売却価格が安くなる点です。目安としては、買取の価格は仲介の場合(市場価格や相場)の80%程度といわれています。理由は先述のとおり、買取の場合、通常は売主が負うリスクを不動産会社が負っているからです。
場合によっては「3,000万円が相場の物件なのに買取だと2,000万円だった」というケースも充分ありえます。
3-2.どんな物件でも買い取ってもらえるわけではない
どんな物件でも買い取ってもらえるわけではないので、要注意です。物件の状況などによっては、買取を断られる場合もあります。
買取の場合、不動産会社はより高い価格で買ってくれる新たな買主を探して売却しないと、利益を出すことができません。
そのため再販が難しい物件、例えば再建築不可の物件、取り壊しやリフォームなどに費用がかかりすぎる物件、過疎地で需要が少なすぎる物件などは利益を出しにくいと判断され、敬遠される傾向があります。
買取するかどうかの判断基準は、不動産会社によって異なります。まずは物件の情報を伝えて相談してみる、もし断られてしまったら他社をあたるなどして対応しましょう。
3-3.買取に対応している不動産会社が限られている
買取を行っている不動産会社の数は、仲介を行っている不動産会社に比べて少ない傾向があります。
仲介なら、査定額に満足できない場合や担当者と相性が合わない場合は簡単に他社にあたることができますし、多数の不動産会社を比較して納得いく答えを探すこともしやすいでしょう。買取だと、どうしても選択肢が少なくなってしまいます。
買取を希望する場合は、買取を依頼しようと検討している不動産会社が買取に対応しているのか、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
4.買取を依頼する上で知っておきたい注意点とは?
ここからは、前述のデメリットとは別に、買取を検討する人が知っておきたい注意点について解説します。
4-1.不動産の売却時に住宅ローンを完済する必要がある
住宅ローンの返済がまだ残っている物件でも、買取は可能です。ただし、売却の際に住宅ローンを完済する必要があります。
買取価格が住宅ローンの残債よりも高い場合は、家を売って手に入れたお金を返済にあてれば問題なく完済できるでしょう。問題は、買取価格が住宅ローンの残債より低くなってしまう場合です。
お金が足りず、残りの返済分や完済時の手数料(抵当権抹消費用や銀行に支払う手数料など)を負担できない場合は、たとえ不動産会社に「買取可能」と言われた物件であっても売却できません。
買取価格とローン残債の差額を手持ちの資金で埋め合わせる、それが難しければ「住み替えローン」などでお金を借りるといった対応が必要になります。
4-2.不動産会社選びが成否を分ける
買取を成功させる秘訣は、買取の実績が豊富な不動産会社と出会って物件を任せることです。
先述のとおり、買取を行っている不動産会社は少ない傾向があります。しかし、それぞれに得意な地域や物件タイプなどがあるので、自分の物件を高く査定してくれる会社を探してみるのがおすすめです。
地域の老舗企業や有名な大手企業など、いくつかの会社に相談してみましょう。「おうちクラベル」のような不動産一括査定サイトを利用すれば、1回の入力だけで複数社からの連絡を受けられて便利です。
単に査定額の高さだけでなく、査定額の根拠の説明、相談時の対応、買取実績なども勘案して、親身になってくれる信頼できる会社を選びたいところです。
4-3.不動産会社によって価格以外の条件が異なる
買取の場合、どうしても査定額ばかりに目が行きがちですが、実はそれ以外のサービスの有無も会社によってさまざまです。
物件の引き渡しまでの猶予期間や、残置物(室内に残していく私物)の処理などのサービスがあるかどうかなども確認して、不動産会社を選ぶのが理想です。
「買取保証(最初は仲介、売れなかった場合は買取)」や「リースバック(売却後も引越し不要で住み続けられる)」といった取引スタイルが選べたり、売却代金が振り込まれるまでの一時的な資金不足をまかなうための「つなぎ融資」を受けられたりするところもあります。
価格以外の条件面も、最初から1社に絞ってアプローチするのではなく複数社で比較するとよいでしょう。
5.買取を検討すべきマンションの特徴とは?
買取を検討すべきマンションとは、ひとことでいうと「仲介では成約が難しい」物件です。
では、仲介で売れにくく買取のほうが向いているマンションとはどんなものか、その特徴について解説します。
5-1.築年数が古い物件
まず挙げられるのが、築年数が古い物件です。
特に築40年以上の「旧耐震基準」で建てられたマンションは、銀行の定めた基準に合致せず住宅ローンが組めなかったり、住宅ローン控除の対象にならない場合があります。そうなると個人の購入希望者が現れにくく、仲介での成約が難しくなります。
買取のように不動産会社が買主となる場合は、住宅ローンなど関係ないのでこのハードルが気にならずにすみます。また、老朽化で修繕が必要な物件でも、買取なら売る側ではなく不動産会社が費用を負担して直してくれる場合があるので、負担を少なくできます。
5-2.立地条件が悪い物件
立地は、不動産の価値を大きく左右する重要なポイントです。駅から遠い、徒歩圏内に生活に必要な施設が少ないなど、立地が悪いと購入希望者が現れる可能性も低くなり、購入者が見つかるまで時間がかかるケースも多くなります。
また、所定の道路に接しておらず「再建築不可」となっている物件も、買い手が付きにくいため要注意です。
ずっと売れずに残っていると「何か理由があるのでは」と思われて余計に売れにくくなり、価格を下げざるを得ないことも考えられます。早めに手放したい場合は特に買取がおすすめです。
5-3.リフォームが必要な物件
大規模なリフォームをしないと人が住めない状態の物件も、買取のほうが向いています。特に長い期間空室だった物件などは、劣化が早く進んで大規模リフォームが必要になりやすい傾向にあります。
数日で終わるようなかんたんなリフォームならまだしも、壁や床、水回りなどほぼ全て入れ替えないといけないような規模のリフォームには多大な費用と時間がかかります。そうなると売主の負担が大きくなってしまうので、買取にして手放して、あとは不動産会社に任せたほうがよいかもしれません。
5-4.個人の趣味嗜好が強く反映されている物件
個人の趣味嗜好が強く反映されている間取りや内装の物件も売れにくい傾向にあります。
特に、こだわったポイントが多くの人が憧れる一般的なものではなく、個性が強く人によって好き嫌いがわかれるようなものの場合は、同じ趣味嗜好を持つ購入希望者がなかなか現れず売れ残る可能性が高くなります。
あまりにも個性的だと、同じマンションの同程度の部屋と比べて価格が低くなります。そのような場合は買取もあわせて検討してみましょう。
5-5.事故物件
事故物件とはいわゆる「ワケあり物件」のことで、例えば室内で自殺や殺人事件が発生した物件などが含まれます。たとえ物件自体は不具合がなく住める状態であっても、「怖い」「なんとなく嫌」など心理的に拒否感を覚える人も少なくありません。
事故物件も仲介では売れにくいので、買取のほうがよいかもしれません。早く手放したい、清掃やリフォームにかかわりたくないといった希望も、買取なら叶えやすいでしょう。
不動産会社の中には、事故物件の買取を専門としているところもあります。そのような会社に相談してみるのも1つの方法です。
6.買取を検討したほうがいいケースとは?
物件自体は仲介でも十分売れるものの、売主の事情などで買取を検討したほうがいいケースもあります。具体的にどのようなケースが挙げられるのか解説します。
6-1.現金化を急いでいる場合
すぐにまとまったお金が必要な場合や時間的な余裕がない場合は、買取が向いています。
仲介だと売却まで3ヶ月~6ヶ月程度かかるのが一般的で、それ以上経っても買主が現れないこともあります。
購入希望者を募ったり、内見に来てもらったり、購入を判断するまで待ったり、何かと工程が多くどうしても時間がかかってしまうため、気長に待てる状況でないと難しいでしょう。
一方、買取なら買い取ってくれる不動産会社が見つかればすぐに売却できます。不動産のプロなので判断も早く、住宅ローン審査の結果を見守る必要もありません。だいたい数日~1週間、遅くとも1ヶ月程度で売却できるのが一般的です。
現金化を急いでいるなら、買取を検討してみましょう。
6-2.売却のスケジュールが決まっている場合
いつまでに取引を完了したいかが明確な場合も、買取を検討してみましょう。仲介だと買主の都合もあるため、売却の手続きを完了できる時期がなかなか定まりません。
しかし買取の場合は、不動産会社に「○月○日までに取引を完了したい」と伝えれば、それに合わせて動いてくれることが多いです。
例えば子供の進学に合わせて住み替えを予定しているケースなどは、買取のほうが対応しやすいでしょう。そのほか「支払期限が迫っている」「もうすぐ海外転勤するので時間がない」といった場合も同様です。
離婚や相続で、マンションの売却代金を複数人で分けるときや納税の必要があるときなども、売却のスケジュールを組みやすくスピーディーに手続きをすませられる買取のほうが向いているでしょう。
7.買取の流れ
買取は仲介よりも工程が少なく、手間を省いてスピーディーに取引できるのが特徴です。では、実際に買取を依頼した場合はどのような流れで進んでいくのか、順を追って見ていきましょう。
7-1.ステップ①買取の準備をする
まずは買取に向けた準備を始めましょう。ステップ①を飛ばしてステップ②から進めることもできますが、この手間を惜しまないほうがより高い価格でスムーズに取引しやすくなります。
最初の準備として、マンションの相場を自分で調べてみましょう。詳しい調べ方は後述します。自分でも少し知識を付けた状態で臨むことで、不動産会社に言われるがまま受け入れるのではなく「安すぎるかも」「他社をあたってみよう」といった判断ができるようになります。
また、スピードを重視するならこの段階で必要書類を準備しておくのもおすすめです。マンションの売買では、例えば以下のような書類の提出を求められます。
- 登記済権利証、登記識別情報
- 購入時の売買契約書
- 固定資産税納付通知書
- マンションの管理規約
- 本人確認書類(運転免許証など)、印鑑証明書、住民票 など
物件の情報が記載された書類は、ステップ②の査定でも必要になります。すぐに確認して提出できるよう、ひとまとめにしておきましょう。
7-2.ステップ②不動産会社に査定を依頼する
自分の物件をいくらで買い取ってくれるか、不動産会社に連絡して査定してもらいましょう。
ポイントは、1社だけではなく必ず複数社に同時に依頼することです。先述のとおり、不動産会社によって査定額も買取に付随するサービスも違います。いくつか比較して検討するようにしましょう。
また、査定には2種類あります。物件の所在地や面積などから自動的に算出される簡易査定(机上査定)と、担当者が実際に物件を見にくる訪問査定です。
簡易査定は手間がかからずスピーディーですが精度が低く、訪問査定は対応の手間はある物の精度が高いです。まずはかんたんにできる簡易査定を依頼して、そこからいくつかの会社に絞って訪問査定を依頼するなど、両者を併用しながら進めるとよいでしょう。
7-3.ステップ③買取を依頼する不動産会社を選ぶ
査定を依頼したいくつかの会社の中から、実際に買取を依頼する1社を選びましょう。
査定時に、買取をする場合の価格など各種条件について提示してくれるのが一般的です。単に査定額の高低だけではなく、付随サービスや取引完了までにかかる期間、担当者の対応なども含めて判断するとよいでしょう。
担当者は、その査定額となった根拠を納得いく形で説明してくれて、価格などの条件交渉にも親身に応じてくれる人を選びたいところです。
また、不動産会社の買取実績や口コミなどを調べてみるのもおすすめです。大事なマンションを託すことになるので、信頼できる会社や担当者を選びましょう。
7-4.ステップ④売買契約を締結する
最終的な契約条件を確認し、不動産会社と売買契約を締結します。先述の必要書類は、この段階で提出することになります。契約書は不動産会社が作成します。
契約書ができあがったら読み合わせがあります。売却価格はもちろん、そのほかの項目もしっかりと確認しておきましょう。物件の引き渡し日や代金の入金日、室内に置いてある荷物の撤去などの細かい条件も要チェックです。
売買契約を結んだ後は、変更や解除が難しくなります。担当者の説明をよく聞き、分からなければ遠慮なく質問して、疑問や不安はすべて契約前に解消しておくことが大切です。難しく感じるかもしれませんが、後々トラブルになることを避けるために疑問を残さないよう徹底しましょう。
7-5.ステップ⑤決済し物件を引き渡す
売却代金が振り込まれ、いよいよ物件を引き渡す段階です。
引き渡しまでに、公共料金の清算や引越しなどをすませておく必要があります。決済・引き渡しの当日は代金の受け取り、鍵の受け渡し、固定資産税などの清算などを行います。
住宅ローンの残債がある場合は、このときに一括返済が必要です。司法書士が抵当権抹消の手続きを進めるため、求められる書類を用意して提出します。
意外と作業量が多くバタバタしてしまいがちなので、できることから少しずつ進めておくのが理想的です。すべての作業が終われば、売買完了となります。
7-6.ステップ⑥確定申告をする
売買が完了したあとも気が抜けません。忘れずに対応したいのが「確定申告」です。
売却によって利益が出た場合や、税額を抑えるための特別控除を利用する場合は、確定申告が必須です。損失が出た場合も、確定申告したほうが税金が安くなることがあります。
利益が出た場合は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に手続きが必要なので気を付けましょう。確定申告が必要なのに期間内にしなかった場合は、追加の税金を支払うなどのペナルティを受けることがあります。
確定申告のやり方や計算方法が分からないときは、税務署に問い合わせれば教えてもらえます。自分で計算して申告するのが難しければ、税理士に依頼してやってもらうこともできます。
8.買取相場の調べ方
できるだけ高く買い取ってもらうには、自分で相場を調べてあらかじめ把握したうえで、不動産会社との交渉に生かすのがおすすめです。
ここでは不動産のプロでなくてもかんたんにできる、相場の調べ方について解説します。通常取引される相場が分かれば、その80%程度が買取相場と考えられます。
8-1.国土交通省の土地総合システム
まずは、国土交通省が提供している「土地総合情報システム」を使う方法です。国が運営しているサイトなので安心して利用でき、会員登録なども不要です。
土地総合システムには、全国各地の地価を調べられる「地価公示都道府県地価調査」もありますが、マンションを売却するときに役立つのは「不動産取引価格情報検索」です。
過去5年間で取引された不動産の情報を、住所や駅名、地図などから検索できます。条件を絞って検索すると、所在地、取引価格、面積、間取り、構造、駅からの距離、改装の有無などが一覧で表示されます。
所有するマンションに近い物件が、過去にいくらで売れたか調べるのに便利です。調べた結果をダウンロードして保存することもできます。
8-2.レインズマーケットインフォメーション
「レインズマーケットインフォメーション(REINS Market Information)」も、全国各地の成約価格(不動産が実際に売れた価格)を調べられるサイトです。全国指定流通機構連絡協議会が運営しています。
「レインズ」は通常は不動産会社しか見られない不動産情報サイトですが、こちらの「レインズマーケットインフォメーション」は一般の人でも自由にチェックできます。
地域や築年数など細かい条件で絞って検索したり、1平方メートルあたりの単価をグラフ化したりできるので、人によっては上述の「土地総合システム」より使いやすいと感じるかもしれません。
8-3.不動産一括査定サイト
不動産一括査定サイトを利用して調べる方法もあります。
「おうちクラベル」のような不動産一括査定サイトでは、かんたんな入力だけですぐに複数社に自分の不動産の査定を依頼できます。中には、AIが自動的に査定を行うため、わずか数分で結果が出るようなところも。
上述の2つの方法と違い、過去のデータや近隣のデータではなく、いちばん知りたい「自分の不動産はいくら?」という疑問にダイレクトに答えてくれるでしょう。
いくつかの査定結果を見比べれば相場が分かります。さらに、もし気に入った不動産会社があればそのまま売却の話を進めることもでき、効率的といえます。
9.できるかぎり高く売る秘訣とは?
「どうせ売るなら、できるかぎり高く売りたい!」と考える人も多いでしょう。
最後に、少しでも高く売るためにぜひ押さえておきたいポイントについて紹介します。以下の2点を実践してみましょう。
9-1.買取保証やリースバックを検討しよう
単に「買取」だけでなく、その一種である「買取保証」や「リースバック」といった方法もあわせて検討してみるのがおすすめです。
買取保証とは、最初は仲介として売り出し、売れなかった場合は買取をするという契約です。いずれにせよ売却はできますし、もし高値で売れる仲介で決まればラッキーです。通常の相場より10%ほど価格を下げて売り出せば、仲介でも早期で売れる可能性が高まります。
「早く売りたいけど取引完了まで数ヶ月程度なら待てる」という状況なら、買取保証は有力な選択肢になるでしょう。
リースバックは「事情があってお金が必要だけれど、売却後も自宅に住み続けたい」という人に向いている方法です。不動産会社が買い取ったあと「不動産会社が貸主、自分が借主」となる賃貸借契約書を結ぶため、賃貸として自宅に住み続けたまま売却代金を受け取ることができます。
このように、ひとくちに買取といってもさまざまです。価格やスピードなど自分の希望を整理して、最も合う方法を選びましょう。
9-2.複数社に不動産査定を依頼しよう
買取は、どの不動産会社に任せるかによって成否が大きく変わってきます。よい不動産会社に出会うには、複数社に査定を依頼するのが近道です。
最初から1社に絞ってやりとりするより手間がかかるものの、比較してはじめて分かることもあります。不動産会社によって得意な地域も査定額も計算方法も根拠も異なるため、なるべく3社以上に同時に査定を依頼して比較するようにしましょう。
10.まずは不動産一括査定サイトを利用して買取相場を調べてみよう
買取は、手間をかけずに早く不動産を売却したいときに有効な方法です。マンションを高く買い取ってもらうには、相場を把握したうえで信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。
相場チェックにも不動産会社選びにも役立つのが「不動産一括査定サイト」です。不動産の売却を考えたら、まずは不動産一括査定サイトを利用して複数社に査定を依頼し、その中でよさそうな不動産会社に個別で相談するという流れで進めるのがおすすめです。
不動産一括査定サイトにもいくつかの種類がありますが、ソニーグループのSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」なら、わずか60秒入力で結果が分かり、AIによる高精度な査定も可能です。
まだ売却するか迷っている段階でも利用できますので、試してみてはいかがでしょうか。