マンションの売却価格は、そのまま手取り額になるわけではありません。
なぜなら、マンションを売却するとさまざまな費用が発生するためです。
マンション売却による手取り額はどのように算定すればよいでしょうか?
また、手取り額を増やすにはどのような対策を講じるとよいでしょうか?
今回は、マンションの売却による手取り額について詳しく解説します。
マンション売却による手取り額の計算方法
マンション売却による手取り額は、次の式で算定します。
- マンション売却による手取り額=マンションの売却対価-マンションの売却でかかる諸費用
売却対価と諸費用の計算については、次以降詳しく解説します。
マンション売却対価の調べ方
マンションの売却対価とは、マンションを売却することで買主から受け取る対価です。
マンションの最終的な売却対価は、実際に売買契約が成立するまでわかりませんが、マンションの査定を受けることであらかじめ想定することができます。
査定とは、不動産会社にそのマンションがどの程度の価格で売れそうか試算してもらう手続きです。
マンションを売り出す際は、原則としてこの査定額をベースとして売出価格(売主の希望売却価格)を定めることとなります。
マンションの査定には、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」をご活用ください。
おうちクラベルとは、査定依頼フォームに1度入力するだけで複数の不動産会社に査定の依頼をすることができる不動産一括査定です。
複数社による査定額を比較することで、そのマンションの売却対価をより正確に想定しやすくなります。
マンションの売却でかかる諸費用と計算方法
マンションの売却では、さまざまな費用がかかります。
マンションの売却による手取り額を算定するには、諸費用についても理解しておかなければなりません。
ここでは、マンションの売却でかかる主な費用について解説します。
- 仲介手数料
- 抵当権抹消費用
- 住宅ローンの繰り上げ返済手数料
- 印紙税
- ハウスクリーニング費用
- 引越し費用
- 譲渡所得税と住民税
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産会社に支払う仲介の成功報酬です。
不動産会社にマンションの売却を依頼して売買契約が成立すると、仲介手数料の支払いが発生します。
仲介手数料の額には法令で上限が定められており、マンションの売買価格が400万円超である場合は、次の算式で計算できます。
- 仲介手数料の上限額=売却価額×3%+6万円+消費税
これはあくまでも「上限額」であるものの、ほとんどの不動産会社がこの上限額をそのまま仲介手数料の額として定めています。
仲介手数料は高額となることもあるものの、マンションの売却を成功させるには、そのマンションの売却に強い信頼できる不動産会社へ売却の依頼をすることがカギとなります。
そのため、仲介手数料は売却成功のための必要経費と捉えることをおすすめします。
マンションの売却を依頼する信頼できる不動産会社をお探しの際は、不動産一括査定である「おうちクラベル」をご活用ください。
複数社による査定額や担当者の対応などを比較することで、よりよい条件でそのマンションを売ってくれる不動産会社を見つけやすくなります。
抵当権抹消費用
抵当権の抹消費用とは、担保である「抵当権」を消すのにかかる費用です。
抵当権とは、ローンの返済が滞った際に債権者である金融機関がそのマンションを競売(けいばい)にかけ、ローン残債を回収するための担保です。
抵当権がついたままのマンションは売ることができず、遅くともマンションを買主に引き渡す時までには抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権の抹消にかかる費用は、次のとおりです。
- 登録免許税(抵当権抹消):抵当権を抹消する不動産の数×1,000円
- 司法書士報酬:1万円~2万円程度
住宅ローンの繰り上げ返済手数料
住宅ローンの繰り上げ返済手数料とは、本来返済すべき時期よりも早くローンを返済する場合に、金融機関から請求されることがある手数料です。
抵当権を抹消するには、原則としてその抵当権で担保されているローンを完済しなければなりません。
この返済にあたって、1万円から3万円程度の繰り上げ返済手数料がかかることがあります。
繰り上げ返済手数料が発生するかどうかや具体的な金額は金融機関によって異なるため、具体的な金額はローンを組んでいる金融機関に確認してください。
印紙税
印紙税とは、契約書や領収証などの文書に課される税金です。
マンションの売買契約書も印紙税の課税対象であり、契約書には税額分の収入印紙を貼付しなければなりません。
マンションの売買契約書にかかる印紙額は、それぞれ次のとおりです。
ただし、2024年3月31日までに作成する不動産の売買契約書には、右欄の軽減税率が適用されます。
契約金額 (マンションの売買価格) | 本則税率 | 軽減税率 (2024年3月31日まで) |
---|---|---|
50万円以下 | 400円 | 200円 |
100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
印紙税は契約単位ではなく契約書の原本ごとに課されるものです。
そのため、マンションの売買契約書を2通作成する場合は、2通にそれぞれ税額分の収入印紙を貼付しなければなりません。
これらは、売主と買主が、それぞれ自身の保管する契約書にかかる分を負担することが一般的です。
参照元:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置(国税庁)
ハウスクリーニング費用
ハウスクリーニング費用とは、マンションを買主に引き渡すにあたって行う室内の清掃費用です。
マンションを売却する際は、ハウスクリーニングを入れることが一般的です。
ただし、築古のマンションであり買主が購入後にリノベーションを検討している場合などは、ハウスクリーニングが不要とされることもあります。
マンションのハウスクリーニング費用は、2LDKで3万円から6万円程度、3LDKで4万円から8万円程度が目安となります。
ただし、料金設定は依頼先の清掃会社によって異なるほか、マンションの広さや室内の汚損具合などによって異なるため、正確な費用が知りたい場合は見積もりを取るとよいでしょう。
なお、清掃会社はマンションの売却を依頼する不動産会社から紹介を受けられることも少なくありません。
引越し費用
マンションの売却に伴って引越しする場合には、引越し費用がかかります。
引越し費用の目安は、3月や4月の繁忙期以外の時期に、15km圏内で家族4人が引っ越す場合、おおむね8万円から10万円程度です。
ただし、引越し費用は引っ越す時期や移動距離などによって大きく異なるため、複数社から見積もりをとるとよいでしょう。
譲渡所得税と住民税
譲渡所得税と住民税(以下、「譲渡所得税等」といいます)は、マンションの売却益に対してかかる税金です。
これらは国などが計算してくれるのではなく、自分で計算して売却の翌年2月16日から3月15日までに確定申告と納税をしなければなりません。
譲渡所得税等は、次の式で算定します。
- 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
- 譲渡所得税=課税譲渡所得金額×税率
- 住民税=課税譲渡所得金額×税率
計算要素の概要は、それぞれ次のとおりです。
計算要素 | 概要 |
---|---|
収入金額 | マンションの売却で買主から得る対価 |
取得費 | マンションの取得に要した購入代金、建築代金、仲介手数料、登記費用など。 建物部分は所有期間中の減価償却費相当額の控除が必要。 取得費が不明な場合は「収入金額×5%」で計算する |
譲渡費用 | マンションを売却するために直接かかった仲介手数料、印紙税など |
特別控除 | 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」など、所定の要件を満たすことで受けられる特別な控除 |
譲渡所得税の税率 | 売却するマンションの所有期間がその年1月1日時点で5年超か5年以下かによって15%(長期譲渡所得)または30%(短期譲渡所得)。 別途2.1%の復興特別所得税が必要 |
住民税の税率 | 売却するマンションの所有期間がその年1月1日時点で5年超か5年以下かによって5%(長期譲渡所得)または9%(短期譲渡所得) |
参照元:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)(国税庁)
譲渡所得税等は、不動産の売却価格や特例適用の要否などによって高額となる可能性がある一方で、特例の適用によって税額がゼロとなることも少なくありません。
譲渡所得税等を自分で正しく算定することは容易ではないため、マンションの査定額がわかった時点で税理士などの専門家や管轄税務署へ相談し、試算をしてもらうことをおすすめします。
不動産の査定には、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」をご活用ください。
複数社による査定額を比較することで、その不動産の売却適正額が把握しやすくなり、譲渡所得税等をより正確に試算しやすくなります。
マンションの売却で手取り額を増やすポイント1:高く売却する
マンションの売却で手取り額を増やすための1つ目のポイントは、マンションをできるだけ高値で売却することです。
ここでは、マンションを高く売る方法を5つ解説します。
- マンションの売却を得意とする不動産会社に売却を依頼する
- 時間に余裕を持って売却する
- 安易に値下げに応じない
- 売出価格を高めに設定する
- 他の部屋と異なるタイミングで売りに出す
マンションの売却を得意とする不動産会社に売却を依頼する
1つ目は、マンションの売却を得意とする不動産会社に売却を依頼することです。
不動産会社には、それぞれ得意なエリアや物件種別(マンション、土地、投資用物件など)があります。
数多ある不動産会社の中から、マンションの売却に強い不動産会社へ依頼することで、そのマンションを高値で売れる可能性が高くなります。
なぜなら、マンションの売却に強い不動産会社は、マンションを高値で売却するノウハウを持っている可能性が高いためです。
しかし、どの不動産会社がマンションの売却に強いのか判断することは容易ではありません。
そこでおすすめなのが「おうちクラベル」の活用です。
おうちクラベルを活用し、複数の不動産会社による査定額や売却へ向けたアドバイスなどを比較することで、そのマンションを高値で売ってくれる不動産会社を見つけやすくなります。
時間に余裕を持って売却する
2つ目は、時間に余裕を持って売りに出すことです。
マンションをより高く売るには、売却を急がないことが鉄則です。
売却を急ぐと買主から足元を見られ、安く買い叩かれるリスクが高くなるためです。
売却を急がない場合は、交渉が決裂しても構わないとの意識となりやすいため、たとえ買主から無理な値下げ交渉をされたとしても値下げを断りやすくなります。
安易に値下げに応じない
3つ目は、安易な値下げに応じないことです。
マンションの売買価格は日ごろ取り扱う金額とは桁が違うことが多く、感覚が麻痺してしまいがちです。
たとえば、マンションを「2,930万円」で売り出す場合、買主から「端数」である30万円の値下げに応じるよう求められるかもしれません。
しかし、冷静に考えると、30万円は決して簡単に失ってよいほど小さな金額ではないはずです。
たとえ値下げをするとしても、その場の感情のみで安易に応じてしまうことは避けてください。
買主としても「ダメで元々」との気持ちからとりあえず値下げを求めている場合もあり、端数程度の値下げを断ったからといって交渉が決裂するとは限りません。
売出価格を高めに設定する
4つ目は、マンションの売出価格を高めに設定することです。
売出価格は査定額をベースとして決めることが多いものの、必ずしも査定額どおりでなければならないわけではありません。
なぜなら、たとえ相場より高くても、そのマンションをその価格で買いたいという人が1人でもいれば売買は成立するためです。
とはいえ、売出価格があまりに高すぎると、マンションが売れ残ってしまう事態となりかねません。
そのため、売出価格はそのエリアにおける不動産事情に詳しい不動産会社の担当者によく相談をしたうえで設定するようにしてください。
そのエリアの不動産事情に詳しい信頼できる不動産会社をお探しの際は、不動産一括査定である「おうちクラベル」をご活用ください。
他の部屋と異なるタイミングで売りに出す
5つ目は、同じマンションの他の部屋と異なるタイミングで売りに出すことです。
同じマンションで複数の部屋が売りに出ていると、買主は両者を比較してよりよい条件の方を購入することとなります。
そのため、買主に選んでもらうために値下げせざるを得なくなる可能性があります。
また、せっかく内見を受け入れても他の部屋の方が成約してしまい、無駄な労力が増えるリスクも否定できません。
同じマンションで別の部屋が売りに出ている場合は、その部屋が成約するまで売り出しを待つことも検討するとよいでしょう。
マンションの売却で手取り額を増やすポイント2:諸経費を減らす
マンションの売却で手取り額を増やすための2つ目のポイントは、諸経費をできるだけ減らすことです。
では、諸経費を減らすにはどうすればよいでしょうか?
最後に、マンション売却の諸経費を減らす方法を3つ解説します。
- 仲介手数料の値引き交渉をする
- 譲渡所得税の特例を漏れなく適用する
- 取得費がわかる資料を保存しておく
仲介手数料の値引き交渉をする
1つ目は、仲介手数料の値引き交渉をすることです。
仲介手数料の上限額は、マンションの売却価格が高ければ高いほど高額となる傾向にあります。
そのため、売却したいマンションが高価である場合は仲介手数料を多少値下げしてでも売却の依頼を受けたいと考える不動産会社が多く、交渉することで値下げに応じてもらえるかもしれません。
しかし、さほど高額でないマンションであるにもかかわらず無理な値下げを要求してしまうと、不動産会社の中で対応の優先順位が下がって十分なフォローが受けられなくなる可能性があるほか、売却の依頼自体を断られる可能性もあります。
無理な値下げ要求や執拗な値下げ要求は避け、値下げの可否は不動産会社の選定時に参考とする程度に留めるとよいでしょう。
マンションの売却で手取り額を増やすには、仲介手数料の値下げにこだわるより、マンションをより高く売ってくれる不動産会社を見つけることの方が賢明です。
信頼できる優良な不動産会社をお探しの際は、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」をご利用ください。
譲渡所得税の特例を漏れなく適用する
2つ目は、譲渡所得税等で使える特例の適用を漏らさないことです。
譲渡所得税等は高額となる可能性がある一方で、特例の適用を受けることで税額が大きく減ったりゼロとなったりすることも少なくありません。
たとえば、売却するマンションがマイホームであった場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用を受けられる可能性が高く、この特例の適用を受けることで最大3,000万円もの特別控除が可能となります。
譲渡所得税等は特に特例適用のインパクトが大きいため、税理士などに相談のうえ、活用できる特例の適用を漏らさないようご注意ください。
取得費がわかる資料を保存しておく
3つ目は、売却するマンションについて取得費がわかる資料を保存しておくことです。
なぜなら、譲渡所得税等を計算する際、取得費を証明できる資料が残っていないと、「売却額×5%」しか取得費に計上することができないからです。
実際の取得費がこれより少ないことは稀であり、取得費がわからないと譲渡所得税等の計算で大きな損をしてしまいます。
まとめ
マンションの売却対価がそのまま手取り金額となるわけではありません。
マンションの売却には、さまざまな費用や税金がかかるためです。
マンション売却による手取り額を把握するため、かかる費用の概要を理解し、査定額がわかった時点でシミュレーションしておくようにしてください。
査定には、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」をご活用ください。
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複数社の査定額を比較することで、そのマンションの売却による収入金額をより正確に予想しやすくなり、これを元にかかる費用についても試算がしやすくなります。