家の解体費用はいくら?更地にするメリットとデメリット

空き家となった住宅を解体したいと考えていても、どのくらい費用がかかるのか、不利益になることはないのかなど、解体工事に対する不安があり、どのようにすべきか迷っている方は多いのではないでしょうか?
老朽化した建物は、自然崩壊などで近隣の住人に迷惑をかけてしまう可能性もあるため、いつまでも放置することはできれば避けたいところです。そこでこの記事では、家のおおよその解体費用や内訳、また解体することのメリット・デメリットについて解説します。

1.家の解体費用の目安

家の解体費用は、木造、鉄骨など「建物の構造」のほかに、「解体する地域」「建物の坪数」など、敷地条件などにも影響されます。それぞれの種類ごとに費用の目安をみていきましょう。

1-1.構造ごと解体費用の目安

戸建て住宅の場合、主に「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3種類の構造体があります。

構造体 解体費用の目安(坪)
木造 4~6万円/坪
鉄骨造 鉄骨造
鉄筋コンクリート造 8~9万円/坪

上記表を元に40坪の戸建ての解体費用を計算すると、木造は160~240万円、鉄骨造は280~320万円、鉄筋コンクリート造は320~360万円となります。

なぜ構造体によって解体費用に違いがでるのでしょうか、その理由は構造体によって使う重機が異なることや、廃材処分費用などに差があるためです。

木造の場合は、一般的な重機を使って解体することができるため、重機の数や解体日数も少なく済みます。また、廃材処分では木くずなどは多いですが、容量のあるコンクリートなどは少ないのも特徴です。

対照的に鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合は、特殊な重機を使用するケースもあり、重機の数が多くなったり解体日数も長くなりがちです。
また木造に比べてコンクリートや金属くずなど、廃棄物の量が多いことも、費用相場が高くなる要因になっています。

1-2.地域ごと解体費用の目安

地域によっても解体費用の相場が異なります。全国の主な地域の木造解体費用の目安は次の通りです。

地域 解体費用(坪) 地域 解体費用(坪)
北海道 2~3万円/坪 愛知 2~3万円/坪
宮城 3~4万円/坪 大阪 3~4万円/坪
栃木 3~4万円/坪 和歌山 2~3万円/坪
埼玉 3~4万円/坪 岡山 3~4万円/坪
東京 3~4万円/坪 徳島 3~4万円/坪
神奈川 <3~4万円/坪/td> 鹿児島 <2~3万円/坪/td>
長野 3~4万円/坪 沖縄 <2~3万円/坪/td>

建物の構造体や規模、立地条件などによっても解体費用の相場は異なりますが、上記のように地域ごとでも費用相場が変わります。
地域で相場が変わるのは、作業にかかわる人件費や重機のレンタル料などが影響しています。都市部では人件費が高い傾向があり、重機の置き場の家賃も高く、経費が割り増しになります。

廃材処分についても、都市部では処分場が遠く離れた場所にあるなどスピーディに進めることが困難となるため、完了までに日数がかかり、結果的に費用が高くなってしまいます。

1-3.坪数ごと解体費用の目安

建物の規模が大きければ、解体する範囲が増えるため解体費用は高くなります。
解体費用は、「解体費用の坪単価×坪数」で計算されるため、坪数が大きいほうが費用はかかる傾向があります。

例えば、平屋と2階建ての戸建てで同じ坪数、構造体の場合、一般的には平屋のほうが解体費用は高くなりがちです。平屋は屋根と基礎部分が2階建てよりも面積が大きくなるからです。屋根や基礎は強度がある部分で解体にも時間がかかりやすく、コンクリート片など容量のある廃材も増えるため、費用に反映されてしまうのです。

1-4.敷地条件による解体費用の目安

解体する敷地条件によっても、解体費用が異なることがあります。道路面の間口が狭い敷地や隣家と接近していて重機が入りにくい場所など、効率的に作業が進められない敷地は、作業日数も長くなりやすく、また、重機が入れない場合は、人の手で作業しなければならなくなり、人件費や運搬経費もかかります。

道路が狭く運搬車が敷地まで入っていけない場合などは、小型トラックに仮積みしてから大型トラックに積みかえるなど、工程の手間もかかってしまい費用にも影響します。

2.解体費用の内訳

住宅を解体するには、建物本体の解体のほか、付帯工事費用、塀などの撤去費用、廃材処分費や整地などの費用もかかります。それぞれの費用内訳についてご紹介します。

2-1.建物本体の解体費用

解体費用の大部分を占めるのは、建物本体を重機などで壊す費用です。次のような費用も建物本体の解体費用に含まれます。

  • 足場や防音・防塵シート、仮設トイレ、仮囲いなどの設置費用
  • 重機や車両のための敷き鉄板、工事用ゴミ箱の設置費用
  • 重機、車両費
  • 重機のオペレーターや作業員の人件費

足場や防音シートなどを設置する仮設工事は近隣に迷惑がかからないようにするため必須項目です。重機で解体作業はできますが、箇所によっては人手で進めなければならなかったり、解体後のゴミを袋に入れたりする作業員も必要です。

2-2.付帯工事費用

付帯工事は、建物本体以外の解体にかかる費用です。例えば戸建ての場合、同じ敷地内にガレージや物置など付属建物が建っているケースがあります。更地にする場合は、付属建物も一緒に解体します。こうした付帯工事費用は、建物本体の費用とは別にされることが一般的です。

  • ガレージ
  • 駐輪場
  • 物置など

2-3.塀・庭などの撤去費用

境界ブロック塀や庭の樹木、門扉などの解体費用がかかることもあります。境界ブロック塀が境界線上につくられている場合は、隣家と共有していることもあるため、解体の際には注意が必要です。

また樹木などは、建物解体時に重機の作業に支障がでることがあるため、あらかじめ撤去することが一般的です。樹木も大きなものになると費用がかさみます。5m程度の樹木で5万円、10m程度で10万円超えが目安となるでしょう。

  • ブロック塀、木塀
  • 門扉
  • 庭の樹木など

2-4.整地の費用

解体後の敷地をきれいに整えるために整地費用がかかります。解体した廃材の大部分は現場から運ばれて処理されますが、そのままでは地面が荒れている状態になっています。
近隣の景観としてもよい印象を与えないこともあり、新しく土を加えるなどして平らな状態にします。どの程度まで整地を行うかは特に決まりがなく、事前に整地の程度を確認しておくとよいでしょう。

  • ガラの撤去
  • 表土整地など

3.家の解体工事の流れ

家の解体工事は、次のような流れで進行します。

  1. 現地の事前調査(敷地・家屋とも)
  2. 解体費用の見積り提示
  3. 解体工事契約
  4. 工事前の近隣挨拶
  5. 既存物撤去工事(電気・ガス等の配管、樹木など)
  6. 仮設工事
  7. 建物本体解体工事
  8. 廃材処分
  9. 整地
  10. 解体工事完了

解体工事をするには、まず敷地を含めた家屋調査を行います。建物の構造体を確認したり、どれくらい廃材が発生するか想定したり、見積りを提示するために大切な工程です。見積り額が確定したら契約締結をします。現地調査から契約までは2週間程度が目安となるでしょう。

着工前に近隣挨拶を済ませます。解体は振動や粉じんなどが発生しやすいため、トラブルを避けるためにも近隣挨拶は必ず行いましょう。近隣挨拶が済んだら、足場や防音シートなど仮設工事からはじめ、建築本体の解体工事へと進行します。

廃材処分まで済んだら、現地を整地して工事は完了です。着工からおよそ1カ月が解体工事期間の目安です。

4.家の解体費用を抑える方法

解体工事の費用を抑えるには、次のような方法があります。少しの工夫でできることですから、ぜひ検討してみてください。

4-1.事前に自分で処分する

建物のなかに置いてある家具・家電など、生活用品を自分で処分することで解体時の廃材を減らし、結果的に費用を抑えることができます。実家を相続した場合など、家屋の整理をしない場合、かなりの家財がゴミとなります。事前にリサイクルショップに出したり、個人が利用できる処理場に持ち込んだりすることで、廃材処分費を節約できます。

4-2.複数の解体見積りをとる

複数の解体業者に見積りを依頼すると、比較検討しながら決められるため、そのなから安い業者に依頼することができます。あらかじめ合い見積りであることを伝えていれば、業者間でも競争意識が働き、費用を抑える効果もあるでしょう。

ただし、価格相場を大幅に超えて見積り提示してくる業者の場合は、きちんとした施工内容で対応してもらえるか、内容についてもしっかりと確認することをおすすめします。

4-3.解体の補助金活用

自治体によっては、老朽化住宅の解体に対して補助金や助成金が支給される場合もあります。例えば、東京都墨田区では、空き家で老朽化した危険な建物の除去を促進するために、「老朽危険家屋除去費等助成金制度」で最大200万円の助成金が支給されます。解体費用は100万円以上かかるのが一般的ですから、一定要件に該当するなら補助金・助成金はぜひ検討しましょう。

5.家を解体するメリット

解体費用の内訳や、費用の抑え方のポイントなどを解説してきましたが、それでも家を解体するべきか迷う方もいるでしょう。ここでは、家を解体するメリットについて考えてみます。

5-1.メリット①売却しやすくなる

不動産として売却を目的としている場合、更地にすることで土地を探している方に売りやすいというメリットがあります。旧家が建っているままでも土地として売ることはできますが、買い手側からすると、土地の魅力を正確に判断することが難しい点や、旧家を解体するのが面倒と判断する可能性があります。

老朽化が進んでいる建物である場合、土地を含めた印象が悪くなる可能性もあります。更地にすることで土地の価値を正当に評価してもらいやすくなります。

5-2.メリット②崩落などの危険を防止できる

老朽化した建物が崩壊するリスクを避けられます。解体したい建物が遠方にある場合、建物の状況を確認することは困難です。台風や大雨、雪害など自然災害のときに近隣に迷惑をかけていないか、不安になることもあるでしょう。費用はかかりますが、建物を解体しておけば管理の手間はなくなり、崩落などのリスクもなくなります。

6.家を解体するデメリット

では、解体することのデメリットはあるのでしょうか?

6-1.デメリット①解体費用がかかる

当然のことながら、解体するには費用がかかります。一般的な戸建て住宅であれば100万円を超える費用が想定されます。売却目的としても、更地にしたからといってすぐに土地が売れるとは限りません。

6-2.デメリット②土地の固定資産税が高くなる

一定規模の住宅の場合、建物を解体すると土地の固定資産税が高くなります。これは意外と知られていないことも多く、解体した後に固定資産税額が増額して驚く方も少なくありません。もともと住宅が建ってる場合は、土地の固定資産税の優遇措置に該当してることが多く、納税額が低く抑えられているのです。

解体費用と固定資産税の負担があることをしっかりと理解して、解体工事を進めるようにしましょう。

7.まとめ:構造や地域、坪数や立地条件によって相場目安が変動

家の解体費用は、構造や地域、坪数や立地条件によって相場が異なることや、解体工事の流れ、解体することのメリット・デメリットなどについて解説しました。

解体費用は100万円を超えるような高額なもので、固定資産税の増額などもあります。しかし、不動産として売却を検討しているなら、更地にして買い手が土地の評価をしやすくしたほうが売れやすいともいえます。自治体などの補助金制度も活用しながら、早期売却につながる方法を検討してみてはいかがでしょうか。

Q.家の解体費用にはいくらかかかりますか?気になります!
A.家の解体費用は、建物の「構造」「広さ」「地域」によって決まります。一般的に解体費用は、木造は4~6万円/坪、鉄骨造は7~8万円/坪、鉄筋コンクリート造8~9万円/坪が相場になっています。建物本体以外にも、付帯工事、塀・庭などの撤去、廃材処分、整地に費用が発生します。

Q.家の解体にはどんなメリットがありますか?教えてください!
A.老朽化が進んでいる建物が倒壊するのを未然に防ぐことができます。また、家の解体を行った場合、買い手が購入後に解体費用を負担する必要がなくなるため、買い手を見つけやすくなるというメリットもあります。

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