不動産評価額はどうやって決まる?5つの評価詳細と計算方法を解説

マイホームをいずれ売却しようと考えている方は、所有している不動産の価格がどのように決まっているのか知りたいと考えることもあるのではないでしょうか。
この疑問を解決するためには、不動産の評価詳細と計算方法について知る必要があります。そこでこの記事では「不動産評価額の決め方」や「5つの評価額」について、事例も交えつつ紹介しています。
読み進めていけば「不動産にまつわる評価額」や「評価額=売却額ではない」理由が、理解できるでしょう。
それでは早速「不動産の評価額の決め方は?」から順に解説していきます。

不動産の評価額の決め方は?

不動産を売却する際に、不動産価格を調べたり税金の額を調べたりするために「不動産評価額」を調べる必要があります。不動産評価額の算出方法にも種類があり、算出する目的によって違うのです。

これら5つの評価額は「一物五価(いちぶつごか)」といわれています。一物五価は、1つのもの(建物)に対し、5つの価格(土地評価方法)があるといった意味です。
一物五価の詳しい内容は、次章で詳しく解説しているため、ここではあまり詳しくは触れません。ただ、不動産の評価基準は「一物五価」で目的によって、価格が変わることを覚えておいてください。

それぞれの評価額は別々のもので、全く違うものと感じる方もいるかもしれませんが、実はある程度の関連性があるのです。

不動産評価額の算出方法を詳しく知りたい方は、ぜひ読み進めてください。

不動産評価額における5つの評価額

不動産評価額は「一物五価」といわれる、5つの価格によって成り立っている点は、前述で理解できたのではないでしょうか?ここでは、不動産評価額における5つの評価額について、種類や用途などについて解説していきます。

一物五価の概要を以下にまとめました。

評価額の種類 用途 概要
固定資産評価額 固定資産税の基準となる 市町村が発表
  • 基準年度:3年ごと
  • 基準日:毎年1月1日
  • 発表月:4~6月
実勢価格
(時価)
売買価格
    実際の不動産売買価格
公示地価
(地価公示)
土地売買の目安となる 国土交通省が発表
  • 基準日:毎年1月1日
  • 発表月:3月下旬
基準地価
(基準地標準価格)
土地売買の目安となる 都道府県が発表
  • 基準日:毎年7月1日
  • 発表月:9月下旬

公示地価を補う役割を持つ

路線価 相続税、贈与税の目安となる 国税庁が発表
  • 基準日:毎年1月1日
  • 発表月:7月上旬

用途をみてもわかるように、評価額の種類によって、算出する目的が違うのです。さらに各価格にはある程度関連性があり、水準があります。

たとえば、相続税路線価は「公示地価と基準地価による価格のおおよそ80%の水準となる」などでしょうか。

それぞれの価格詳細や水準、調べ方については以下で解説していきます。

固定資産税評価額は納税額算出の基準

固定資産税と聞くと、マイホームを持っている方はどういった税金なのか思いつく方も多いのではないでしょうか?固定資産税はご存じの通り、毎年納付する必要があり、毎年1月1日時点で所有している不動産に対し課税されます。

固定資産税の計算方法は(固定資産税評価額×1.4)です。

ここで紹介する「固定資産税評価額」とは、固定資産税を決定するための基準となる評価額を指します。

簡単に説明すると、固定資産税評価額は固定資産税を決定する基準となる評価額です。

詳しく解説すると、固定資産税評価額は、家屋・土地などをどう評価するのか定められた「固定資産評価基準」に基づき、各市区町村が個別に決定しています。この固定資産税評価額を基に、各不動産を自治体担当者が確認し、固定資産税を決めているのです。

さらに固定資産評価額は、そのほかの税金算出にも使われ、以下で紹介する税金に用いられます。

  • 都市計画税:土地区画整理事業に用いられる税金
  • 不動産取得税:不動産を取得した初回に課税
  • 登録免許税:不動産の登記や登録時に課税

3つの税金を算出する際に必要となる「固定資産税評価額」はどうやって調べればよいのでしょうか?次項で調べ方について解説していきます。

固定資産税評価額調べ方

前述で紹介した税金の算出や、固定資産税を確認したい場合、固定資産税評価額がわからなければ自分で計算できません。ここでは、固定資産税評価額の調べ方を2つ紹介します。

  • 固定資産税台帳を確認
  • 課税証明書を確認

まず「固定資産税台帳」で確認する方法から順に紹介します。

固定資産台帳には、不動産の所有者(土地・家屋)や所在、価格など記載されています。台帳で確認できる事項の一つに「土地・家屋の固定資産税評価額」があるのです。

固定資産台帳は以下の方が閲覧できます。

  • 固定資産税納税義務者
  • 同居家族
  • 代理人(納税義務者からの委任
  • 借地人や借家人
  • 訴訟に関係する方

上記で挙げた方々はいつでも市区町村の管理担当部署で閲覧でき、証明書交付も可能となっています。

つぎに「課税証明書」調べる方法です。固定資産評価額は課税地積又は 課税床面積価格の家屋や土地の部分で確認できます。もし、課税証明書が手元にない場合は、コンビニのコピー機でマイナンバーを使い取得できます。

固定資産評価額を調べたい方は、上記で解説した2つの方法で確認してください。

実勢価格とは実際の取引価格のこと

実勢価格とは、不動産売買で実際に取引された価格のことを指し、売主、買主で決める価格となっています。

まず実勢価格は、ほかの評価額と違い、基準となる価格が存在しないため、取引を進めなければ価格はわかりません。売主側が売却を急げば売却額は低くなりますし、買主が買い急げば購入価格は高くなります。売主、買主の事情によって実勢価格は大きく変動してしまうものなのです。

しかし、実勢価格に幅があるとはいえ、おおよその目安はわかります。これは、実勢価格が公示地価の1.1~1.2倍となるケースが多いことを利用し、目安とするものです。

実勢価格の目安は(土地公示地価×面積×1.1(もしくは1.2))によって計算できます。この計算式を使って、公示地価が1平方メートルあたり60,000円の場所で、150平米の敷地があるとして計算すると以下の結果となります。

1.1倍で計算した場合:60,000円×150平米×1.1=990万円
1.2倍で計算した場合:60,000円×150平米×1.2=1,080万円

以上のような結果となり、公示地価を使って実勢価格の目安が計算できます。ただし、公示地価は年1回しか発表されないため、市場に急激な変化があった場合は実勢価格と差が出てしまうのです。

そこで、公示地価から実勢価格を算出するのではなく、過去の取引価格を検索できる、国土交通省の「土地総合情報システム」を使ってみましょう。

土地総合情報システムを使った、実勢価格の調べ方を次項で紹介していきます。

実勢価格調べ方

実勢価格の調べ方でおすすめしているのは「土地総合情報システム」を使って調べる方法です。実際にあった不動産取引価格が調べられるシステムとなっており、簡単に検索できます。

実勢価格は以下の順番で調べましょう。

  1. 国土交通省「土地総合情報システム」をクリック
  2. 不動産取引価格情報検索をクリック
  3. 左上の「取引時期を四半期ごとに選択」
  4. 種類の選択(宅地/土地/土地と建物/中古マンションなど)
  5. 地域を選ぶ
  6. 上記条件でよければ検索をクリック

上記の条件にあてはまる過去の取引価格が検索できます。自宅近くで過去に取引されていれば、実勢価格の目安、つまり相場がある程度把握できるでしょう。

とはいえ、最新の取引情報が登録されていなければ、実勢価格がわかりませんよね?そこで、自宅の売却を検討しており、どれくらいで売れるのか知りたい方は、不動産一括査定を利用すると便利です。

不動産一括査定では、ヤフーとソニーグループのSREホールディングスが共同で運営している「おうちクラベル」がおすすめです。マンション推定価格シミュレーターを利用し、マンションの人気度や推定売却額を把握できます。

さらに、一括査定ではお住まいの地域で利用できる不動産会社が表示され、そのなかから自分で不動産会社をピックアップできます。そうすることで、不要な不動産会社からの連絡がなくなり、最低限の会社との連絡で済みます。

自宅の売却金額や近隣の取引価格を知りたい方は、一度おうちクラベルを利用してみませんか?

公示地価は土地価格の目安

公示地価とは、国が公表している都市計画区域内の土地価格のこと(1平方メートルあたり)で、毎年3月に公表されています。また、公示地価は全国26,000地点を調査しており、「住宅地」「工業地」「商業地」などに分類し発表されています。

公示地価と地価公示は似ているため同じ意味として捉えがちですが、厳密にいえば違うのです。地価を公表することを「地価公示」、地価公示で公表された価格を「公示地価」と呼びます。

公示地価はその年の1月1日時点で、全国の標準地の土地価格を公表し、以下の役割があります。

  • 相続税・固定資産税の評価目安
  • 土地取引の目安
  • 担保評価(金融機関による)
  • 土地の評価の基準や指標(不動産鑑定の基準)

公示地価は、不動産に関する評価や目安などに利用されており、非常に重要な価格です。税や土地取引に関する目安となるため、2人以上の不動産鑑定士がそれぞれに鑑定を行い決定しています。評価する際は、直近の取引事例や収益の見通しを分析していますが、決して鑑定評価結果の平均値で決定しているわけではありません。

この際標準地の選定も重要になり、4つの点に留意し選定しています。

  • 代表性:市区町村の区域内で、適切に分布しその区域全体の地価水準を代表していること。
  • 中庸性:土地の利用状況や環境、面積や形状が偏ることなく常に変わらないこと。
  • 安定性:安定した土地利用に配慮されている。また、土地の利用状況が移行している場所は変化に配慮されていること。
  • 確定性:ほかの土地と区分されており、範囲が特定できること。

公示地価は、土地の価格の目安となるものであり、さまざまな要素を客観的に評価し決定される「土地の鑑定価格」です。

公示地価調べ方

公示地価の調べ方は、実勢価格と同様に国土交通省の「土地総合情報システム」を利用し、検索できます。

土地総合情報システムを使った、公示地価の調べ方は以下の手順で行います。

  1. 土地総合情報システムにアクセス
  2. 検索したい都道府県をクリック
  3. 検索したい市区町村をクリック
  4. 地価公示・都道府県地価調査のみ、または両方を選択
  5. 調査年、用途区分、地価を入力し検索をクリック
  6. 4~6で選択した条件に合う地価情報が表示される

検索情報では、基準地番号や調査基準日だけでなく、住所や1平米あたりの価格、利用区分などの詳細情報を確認できるようになっています。不動産売却で公示地価を知りたい方は、土地総合情報システムを使って検索してください。

基準地標準価格は都市以外も含む土地の適正価格

基準地価は、国土利用計画法に基づいて都道府県が行っている、全国の基準地の土地価格を公示する指標です。毎年7月に評価が行われ、9月頃に発表されています。土地の取引から、地方公共団体や民間企業が行う土地取引の目安として基準地標準価格を活用されます。

基準地標準価格は「基準地価」や「都道府県調査地価」とも呼ばれているため、覚えておいてください。前述した公示地価と評価方法や内容が似ていますが、調査を所管するのが「国土交通省」なのか「都道府県」なのかといった点が違います。

また、公示地価と基準地標準価格では、調査の際に必要とされる不動産鑑定士の人数が違い、公示価格が不動産鑑定士2名以上に対し、基準地標準価格は1名以上です。

さらに公示地価と違う点としては、公示地価の調査対象は都市計画区域内となっており、約26,000地点を調査しています。一方の基準地標準価格は、都市計画区域外も含まれており、約22,000地点を調査することとなっているのです。

ではなぜ公示地価があるのにもかかわらず、基準地標準価格を調査する必要があるのでしょうか?それは公示地価が年1回の公表となっているため、変動する地価に対し正確ではない可能性が出てくるからです。

また、基準地標準価格は都市計画区域外も対象としているため、林地なども対象となっています。基準地標準価格は、公示地価を補完する役目を果たしているといえるのです。

基準値標準価格調べ方

基準地標準価格の調べ方ですが、公示地価と同様「土地総合情報システム」を利用し調べられます。調べ方は、公示地価の調べ方を参照してください。

基準地標準価格は、土地総合情報システム以外でも調べられます。都道府県ごとに基準地標準価格を調査しているため、各都道府県ホームページで確認できます。

東京都を例に確認してみましょう。

  1. 「東京都 基準地標準価格」と検索
  2. 東京都基準地価格をクリック

東京以外にも各都道府県、同様の検索方法で確認してみましょう。基準地標準価格の動向や変化の背景、前年度との比較などが確認できるようになっています。さらに前年度対比の価格一覧もあるため、詳しく調べたい方は、各都道府県のホームページで調べることをおすすめします。

路線価は相続税評価額に使用

路線価は、宅地の価格がほぼ同じであり、道路に面する宅地1平米あたりの価格を1,000円単位で表した価格のことです。路線価は国税庁が所管しており、毎年1月1日を評価時点とし、7~8月頃に公表されています。

主に不動産を相続したり、贈与されたりした場合の「相続税」や「贈与税」を評価する際に用いられ、計算する場合には、何本の道路に面しているかが重要になります。

計算方法は以下の2つを用います。

1つの道路に面している場合路線価×奥行価格補正率※1×地積
道路に対する面し方 計算方法
2つの道路に面している場合 正面と側方に道路がある
  1. 正面路線価×奥行価格補正率
  2. 側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率※2
  3. (1+2)×地積

正面と裏面に道路がある

  1. 正面路線価×奥行価格補正率
  2. 裏面路線価×奥行価格補正率
  3. (1+2)×地積

※1. 奥行価格補正率『国税庁:奥行価格補正率表

※2. 側方路線影響加算率もしくは二方路線影響加算率表を用いること

1つの道路に面している場合では、計算方法は簡単です。しかし、2つの道路に面している場合は、角地の場合と角地でない場合とで計算方法が違います。また角地以外の土地である場合は、側方路線影響加算率を考慮する必要があります。

上記で紹介した補正率以外にも、「不整形地補正率表」や「間口狭小補正率表」があるため、路線価の計算は複雑だといえるでしょう。

路線価調べ方

路線価の調べ方は、国税庁のホームページにある「財産評価基準書:路線価図・評価倍率表」を用いて調べます。

路線価は以下の手順で調べましょう。

  1. 国税庁「路線価図・評価倍率表」をクリック
  2. 調べたい都道府県をクリック
  3. 路線価図・評価倍率表を選択
  4. 調べたい市区町村をクリック
  5. 路線価図ページ番号をクリック

上記手順で、路線価図を確認できます。路線価図は、1平米あたりの価格を1,000円単位で表示しています。金額は下記の例を参考にしてください。

例)2150→215,000円

さらに、路線価図には奥行価格補正率などがあるため、詳しい見方については「国税庁:路線価図の説明」を確認してください。

路線価の設定されていない道路に面している宅地を所有しており、相続税や贈与税を申告する必要がある方は、特定路線価の設定を申し出ましょう。

詳しい実勢価格を知りたいなら不動産に依頼をしよう!

不動産売却などを考えていて、実勢価格から売却額を算出したい場合、ある程度なら自分でできるでしょう。しかし、実勢価格の最新情報は「土地総合情報システム」には反映していないため、直近3か月程度の情報はわかりません。

そのため、数か月以内に売却したい方は、不動産会社に依頼し、査定や売却価格の相談をしましょう。実際に不動産売却が完了するまでにかかる期間は、3か月~6か月程度かかるとされています。スピーディーに売却したい方は、不動産一括査定を依頼しましょう。

不動産一括査定は、さまざまな業者が展開していますが、なかでも「おうちクラベル」がおすすめです。通常一括査定を利用した場合、複数の業者から査定利用の電話がかかってきます。しかし、おうちクラベルで一括査定を申し込むと、不要な業者からの電話がかかってくることはありません。なぜなら、自宅から利用可能な業者が表示され、自身で査定を依頼したいところが決められるからです。

早く不動産売却をしたい方は「おうちクラベル」を利用してみませんか?

Q:相続税や贈与税の計算を自分で算出してみたのですが、正確な計算はどこでしてもらえばよいですか?
A:相続税や贈与税は、不動産の場合評価額だけでなく、さまざまな書類が必要となります。不動産評価額や申請にともなう申告は税理士に依頼しましょう。

Q:不動産取引価格情報で7~9月の情報が更新されるのはいつですか?
A:土地情報総合システムの公表は四半期ごととなっています。したがって7~9月、つまり第3四半期のデータは翌年1月に公表されます。詳しくは国土交通省の不動産取引価格情報検索システムWebの見方を参照してください。

まずはお気軽にご相談ください!