この記事では、子育てが終わり小さな間取りへと住み替えを検討されている方に向けて、2つの住み替えパターンのメリット・デメリットや、諸経費などについて解説しています。読み進めることで、不動産買い替えの基礎的な知識を学べます。
買い替えのベストタイミングは購入後10年が目安
買い替えでは売却と購入を同時に行いますが、売却で生じる税金(譲渡所得税)は年数によって税率が異なることを知っておきましょう。基本的には、購入から5年が短期譲渡所得と長期譲渡所得によって税率が大きく異なるポイントとなります。
そのため、現在お住まいの住居を所有して5年超での売却が望ましいといえるでしょう。さらに、10年を超えると普段の所得に節税効果のある「10年超所有軽減税率の特例」が適用されます。3,000万円特別控除も併用できるため、所有してから10年超で買い替えをすると、税制上はお得に買い替えができます。
特例を使用するためには、下記条件をクリアする必要があります。
- 自宅(居住用財産)を売っている
- 親子や配偶者といった特殊関係者への売却ではない
- 売却した年から数えて、前年および前々年にこの特例の適用を受けていない
- 売却した不動産の所有期間が売却した年の1月1日現在において10年を超えている
上記で挙げている条件をクリアしている方は、10年未満で買い替えを行うよりも税制上多くの優遇が受けられるでしょう。
下記内容では、家を買い替える際の注意点など詳しく解説しているため、ぜひ読み進めてください。
不動産買い替えには2つのパターンがある
不動産を買い替えるには2つのパターンがあります。売却を先に進める「売却先行」と、新居の購入を先に進める「購入先行」です。
当然それぞれの買い替え方法でメリット・デメリットが存在するため、デメリットを許容できるのであれば2つのパターンのどちらで進めても問題ないでしょう。
2つの買い替え方法で挙げられるメリット・デメリットは以下の表で紹介しています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
売却先行 | ・売却益を新居の購入費用に使える ・住宅ローンの一括返済資金に使える | ・タイミングによっては、仮住まいが必要 ・買主がみつからなければ、新居の購入に進めない可能性あり |
購入先行 | ・新居を探す時間にゆとりがある ・仮住まいを探しておく必要がない | ・売却金額によっては、住宅ローン一括返済の検討が必要 ・売却の状況によっては「二重ローン」の検討が必要 |
多くの方は、住宅を購入するために住宅ローンを組んでいるでしょう。しかし、買い替えを行う際にローンの残債がある場合は、返済計画をしっかりと把握しておく必要があります。なぜなら、残債の支払いを、売却益で賄おうと考える方が多いからです。
売却には多くの諸経費がかかり、想定以上の支出を伴います。売却益があまり出ない見込みの方は、買い替えのタイミングを再検討してみましょう。
下記内容ではマンション住み替えに関する費用などを詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
買い替えにかかる諸経費はどれくらい?
では、買い替え時にかかる諸経費はどれくらいなのでしょうか?次項以降では売却時にかかる諸経費と、購入時にかかる諸経費の概算を紹介していきます。
新居への引越し費用や、修繕が必要な破損がある場合には修繕費などが挙げられ、想定よりも多くの費用が発生してしまうでしょう。
もし、売却額が予想よりも低く、手出しができそうにない場合は、住み替えローンの検討も行ってください。
下記内容では住み替えローンについて詳しく解説しているため、ぜひ読み進めてみてください。
『住み替えローンとは?メリット・デメリット「利用の流れ」も解説』
それでは「売却時にかかる諸経費」から順にみていきましょう。
売却時にかかる諸経費
売却時にかかる諸経費はどのくらいなのでしょうか?概算でいえば、成約価格の5~7%程度とされています。売却額が1,500万円であれば、75~105万円が目安となるでしょう。
以下では売却時にかかる諸経費の内訳を表にまとめています。
項目 | 費用目安 |
---|---|
仲介手数料 | 売却額×3~5%+2~6万円+消費税 |
抵当権抹消費用 | 約2万円 |
住宅ローン一括返済手数料 | 1~3万円※金融機関ごとに設定 |
印紙税 | 1~6万円 |
上記の費用に加えて、譲渡所得税や住民税など税金の支払いがあります。売却額によって仲介手数料も高額になるため、ある程度自己資金を用意しておいたほうが、余裕を持った売却を行えるでしょう。
購入時にかかる諸経費
一方で購入時にかかる諸経費は、売却にかかる諸経費よりも高額になります。概算ではいえば、購入価格の10%前後が一般的です。購入価格が3,000万であれば、300万円程度が諸経費として必要となります。
以下の表では購入時にかかる諸経費の内訳を表にまとめています。
項目 | 費用目安 |
---|---|
仲介手数料 | 売買価格×3~5%+2~6万円+消費税 |
印紙税 | 1~6万円 |
登記費用 | 5~10万円 ※司法書士などに依頼した場合の相場 |
不動産取得税 | 不動産の価格(課税標準)×税率3% |
各種保険費用 | 約10万円~ ※購入した物件の平米数によって変動 |
住宅ローン借り入れ費用 | 約3万円~ ※借り入れする金融機関によって異なる |
住宅ローンを組む際には、別途保証料が必要となるため注意が必要です。
このように売却時に比べ、購入時は諸経費が多くかかります。住宅ローンに諸経費を含んで借り入れる予定の方は、まず住宅ローンが通るのかを確認するようにしましょう。
不動産買い替え時の流れをパターン別で紹介
不動産買い替え時の流れを把握しておけば「どのタイミングで何をするのか」など、その都度最適な行動ができるようになるでしょう。次項では、売却先行と購入先行別に、どのような流れで成約まで至るのか、具体的に紹介していきます。
不動産の買い替えの流れのなかで、購入交渉がうまく進まなかったときの想定をしておく必要があります。売却先行時に購入がうまくいかなかった場合に備えて、現居の買主との間で結ばれる契約に「買い替え特約」を入れるケースもあります。
買い替え特約とは「購入を希望する物件が希望日までに、想定している金額で購入できなかった場合、現居の売却に関する契約を白紙にできる」ものです。
買い替え特約は買主が承諾しなければ成立はしませんが、購入がうまくいくのか不安な方は、前もって買主と交渉してください。
では売却先行から順にみていきましょう。
売却先行時の流れ
売却先行時の流れとして、売却する物件と、購入する物件の動きについて紹介していきます。具体的な流れは下記の表にまとめています。
売却の流れ | 購入の流れ | ポイント |
---|---|---|
現住居の査定 | 資金計画の策定 | 売却する住宅の査定結果から、新居の資金計画を決める |
売却活動の開始 媒介契約の締結 | 物件の見学 | 売却活動の開始とともに、新居の見学を開始する |
契約条件の調整 | - | 売却に関する契約を先に行う |
売買契約 | 契約条件の調整 | 売買契約を行えば、引き渡し日も確定してくるため、新居の契約条件面の調整を進める |
- | 売買契約 | 新居の売買契約を行い、引き渡し日を売却する物件の入れ替えができるような日取りにする |
- | ローン手続き | ローンに関する手続きを進めていく |
引き渡し | 引き渡し | 引き渡し時に、売却物件では残金を受け取り、新居では諸経費などを支払います |
売却先行では上記の流れが理想ですが、なかなか表のような流れで進捗させるのは難しいでしょう。早く売却を確定させたいのであれば、売却額を相場よりも少し低く設定すると、買主がみつかる可能性は上がります。
とはいえ、自己資金がない場合はできるだけ高く売る必要があるため、売却が長期間になる可能性を考慮しておきましょう。
購入先行時の流れ
購入先行時の流れとして、購入する物件と、売却する物件の動きについて紹介していきます。具体的な流れは下記の表にまとめています。
購入の流れ | 売却の流れ | ポイント |
---|---|---|
資金計画の策定 | 現住居の査定 | 売却する住宅の査定結果から、新居の資金計画を決める |
物件の見学・絞り込み | - | 希望に合う新居を探す |
- | 売却活動の開始 ※媒介契約の締結 | 売り出し価格の見直しも行う |
契約条件の調整 | - | 売却予定日を考慮しながら、新居の契約条件面の調整を進める |
- | 売買契約 | 新居の売買契約を行い、引き渡し日を売却する物件の入れ替えができるような日取りにする |
売買契約 | - | 新居の売買契約を行う |
ローン手続き | 契約条件の調整 | ローンに関する手続きを進めていく 引き渡し日、売買代金の受け取り方法について詰めていく |
- | 売買契約の締結 | 購入物件への引越し時期も踏まえ、契約を締結する |
引き渡し | 引き渡し | 引き渡し時に、売却物件では残金を受け取り、新居では諸経費などを支払います |
購入先行では、新居の契約を優先するため、新居選びをゆっくりと行えます。一方で、売却する物件に買い手が現れなければ、二重ローンとなる可能性がある点を考慮しておきましょう。
不動産を高く売却するコツ
売却時にはできるだけ高く売りたいと考えるのは、共通認識ではないでしょうか?ここでは、不動産をできるだけ高く売るためのコツを3つ紹介していきます。
- 複数の不動産会社から見積もりを取る
- 付帯設備の定期的なメンテナンスを行う
- 相場をもとに売り出し価格を決める
上記3つは不動産を高く売却するうえで知っておくべきコツです。なかでも「付帯設備の定期的なメンテナンス」は、瑕疵担保責任(契約不適合責任)において大切なポイントです。後々のトラブルを防ぐだけでなく、修繕費用を高額にしないためにも、普段から行っておきましょう。
またメンテナンス記録をみせることで、メンテナンスをしっかりと行っていた証拠にもなるため、高く買い取ってもらえる可能性が高くなります。
さらに高く売却するコツとして、複数の不動産会社から見積もりを出してもらうのは当然ながら、相場をもとに売り出し価格を決定しましょう。査定額により相場に近い価格をつけ、かつ理由をしっかりと説明できる不動産会社に売買を依頼してください。
売り出し価格を適正につけられれば、結果的に値引きなどをすることなく、高く売却できるからです。
不動産の買い替えを成功させるには売却がカギになる!
不動産の買い替えでは、思い描いたように進まないケースがほとんどです。また、売却がうまくいかなければ、値引きなどを行う必要があり、手出しがどんどん増えていくといった状況に追い込まれます。
そうならないためにも、不動産の買い替えでは売却を思い描いたように進められるかがカギとなります。売却を成功させるためにも、不動産会社選びは重要になるでしょう。
数ある不動産会社のなかから、最適な不動産会社を選定するのは非常に難しいです。そこで「おうちクラベルで一括査定をしてみませんか?運営はヤフーとソニーグループのSREホールディングスが行っています。
おうちクラベルでは複数社への一括査定依頼後に相場価格の把握ができる「AI査定」を導入しています。その結果をもとに、各不動産会社から出てくる見積もりを比較し、どの不動産会社に売買を依頼するかの判断ができるようになるでしょう。
売却を成功させ、新しい住宅での快適な生活を手に入れましょう。
Q:住み替え時にローンを一括返済できそうにありません。そういった場合どうしたらよいのでしょうか?
A:一括返済ができない場合、住み替えローンを利用されるとよいでしょう。しかし、一般的な住宅ローンよりも金利が高い(低くても2%程度)ため注意が必要です。
Q:買い替えでは仲介手数料を2回支払うことになるとのことですが、1回にする方法はありませんか?
A:基本的に、売却・購入時に不動産会社を仲介して売買を行う場合仲介手数料は必須となります。不動産会社が所有している不動産(不動産会社が買取をした不動産)を購入する場合、購入時の仲介手数料は必要ありません。