不動産を売却する際には、相場を知らないと安く売り渡してしまう可能性があるため、売却する不動産の価値を調べておくことが重要です。
この記事ではご自身の不動産の相場を知りたい方に向けて、相場の調べ方や注意点について解説します。ぜひ参考にして不動産の売却に役立ててください。
不動産相場の調べ方を確認しよう
売却価格を最終的に決めるのは売主ですので、不動産会社に任せきりにせず、売主もおおよその価格を把握しておくことが重要です。近年では自分で相場を調べることも簡単にできるため、どのくらいの価格になるのかを事前に把握しておきましょう。
調べ方としては、おもに以下のような3つの方法があげられます。それぞれの方法について1つずつ解説していきましょう。
- 似たような物件情報と比較
- 公的機関が調査した地価から調べる
- 相場がわかるサイトを利用する
似ている物件を探して調べる
初めに相場を知る方法の1つとしてあげられるのは、民間の会社などが運営する不動産取引価格の情報検索サイトなどを用いて、ご自身の不動産と似ている物件の売り出し価格を調べてみることです。
検索の際には以下のような5つのポイントに注目して似た物件を選び出し、相場を把握してみましょう。
- 最寄り駅
- 駅からの距離
- 築年数
- 間取り
- 広さ
すべてのポイントで似ている物件をみつけるのは難しいため、特に注目したいのは「最寄り駅」「駅からの距離」「築年数」となります。
間取りはリノベーションすることもあるでしょうから、大まかに似ている物件でも十分に参考になるでしょう。
広さの異なる物件は「平米単価」や「坪単価」を算出し、ご自身の不動産の面積とかけることで相場の価格を割り出し、相場価格を算出してみましょう。
公共機関が調査した地価から調べる
国土交通省の土地総合情報システムや路線価図など、公共機関が調査した価格を調べることでおおよその相場を知ることができます。国や自治体が調べた価格であることから、信頼性が高いといえるでしょう。
不動産価格を調べられる公共機関のサイトをまとめた表がこちらです。1平米あたりの価格が表示されるサイトでは、調べたい土地の面積を掛け合わせることでその土地の評価額が求められます。
サイト名 | 評価額名 | 価格の算出方法 | 対象不動産 |
土地総合情報システム (国土交通省) | - | 不動産を購入した人へのアンケート結果から得られた実際の取引価格。 | 土地・戸建て・マンション |
路線価図・評価倍率表 (国税庁) | 路線価 | 路線(道路)に面する標準的な宅地の1平米あたりの価額を千円単位で表示される。 | 土地 |
国土交通省地価公示・都道府県地価調査 (国土交通省) | 公示価格 | 1地点につき不動産鑑定士2名以上による鑑定評価をもとに決める。 1平米あたりの価格が表示される。 | 土地 |
国土交通省地価公示・都道府県地価調査(国土交通省) または各都道府県のサイト (都道府県)
| 基準地価 | 1地点につき不動産鑑定士1名以上による鑑定評価をもとに決める。 1平米あたりの価格が表示される。 | 土地 |
土地情報システムでは、過去に実際に不動産売買をした際の取引価格をアンケートで集計したデータです。
公示価格や基準地価は算出して得られた価格そのものが、路線価については得られた価格を0.8で割った額が、その不動産のおおよその実勢価格(時価)になるといわれています。あくまでおおよその額であるとして考慮しましょう。
相場がわかるサイトを利用する
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が提供しており、過去1年間に取引されたマンションと戸建てのデータを誰でもみられます。実際に取引されたデータのため、現実味がある価格です。
ご自身の不動産の相場を把握するには、不動産一括査定サービスを利用して、複数の不動産会社の査定を受ける方法もあります。
不動産一括査定サービスの「おうちクラベル」は、1度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼し、さらにAIによる高精度な査定結果を知ることができるサービスです。両方の査定結果を照らし合わせることで、ご自身の不動産の客観的な相場を把握できます。ぜひ「おうちクラベル」を活用してみましょう。
不動産の価格相場を把握すべき理由
なぜ、事前に不動産の価格相場を把握しておく必要があるのでしょうか?それには以下のような2つの理由があげられます。
- 適切な価格を知ることで売却後に後悔しない
- 資金の計画が立てられる
それぞれの理由について解説をしていきましょう。
適正な価格を知ることで売却後に後悔しない
適正価格を事前に確認しておくことで、次のような行動が売買取引のなかでできるようになります。
- 売却時に交渉ができる
- 想定内の金額で売却ができる
適正な価格を知っておかないと、不動産会社が査定した金額をそのまま鵜呑みにしてしまうことになりかねません。特に売り急いでいるときは、足元をみられて安く買いたたかれてしまうケースもあるでしょう。
しかし、事前に適正価格を知っておけば、売却時にたとえば「もう少し高値で売れないか」などと交渉することができます。
想定していた価格と査定価格にそれほど差がないときには、売却する決断を早めにできるため、売り時を逃す心配もありません。
不動産の売却価格は不動産会社が査定した価格をもとにして、売主が最終的に決めるものです。したがって、売主自身の判断によって、売主が得られる利益が決まります。売却した後に後悔しないためにも、売る前の時点で適切な価格を知っておくようにしましょう。
資金の計画が立てられる
売却価格がだいたい想定できれば、今後その資金をどのように使用していくかを具体的に考えられるようになり、資金の計画が立てやすくなるでしょう。
たとえば、自宅を買い替えるときは、購入資金の一部に売却した代金を充当するのが一般的です。充当できる金額がおおよそわかっていると、住宅ローンの資金計画が立てやすくなります。売却価格の見当をつけられるため、「自己資金をどのくらい用意すればいいのか」、「住宅ローンの借入金額はいくらくらいになるか」など、早めに資金計画を検討できるでしょう。
売却までのスケジュールにゆとりを持って、新しく購入する物件や借入する金融機関をじっくり選ぶことができます。
買い替え以外のときでも、売却価格の目途がつくことで、その後の資金計画を事前に描くことができ、余裕を持った資金の運用が可能になるでしょう。
不動産の相場価格に影響する要因
不動産の相場を調べる際には、周辺の環境や開発状況、景気、季節、金利の変化なども意識することが重要です。これらの要因は不動産の相場価格に、少なからず影響を及ぼすとされています。
不動産の相場価格の変動に影響するおもなものとして、以下の4つのポイントについてそれぞれ詳しく解説します。
- 都市開発
- 景気の影響
- シーズン
- 金利
都市開発による影響
不動産の相場価格は、都市開発など街の状況により影響を受けます。
商業施設や交通機関などの開発により利便性があがると、人口も増加して住宅へのニーズが高まるため、価格が上昇するからです。
たとえば2025年には大阪万博が開催予定ですが、都市インフラの整備や街の再開発が進められ、不動産価格が上昇するとみられています。
景気の影響
不動産の相場価格は景気の状況により、上昇することもあれば下落することもあります。影響を与えるのは国内だけではありません。国外の景気も不動産価格の変動に影響を及ぼします。
かつてリーマンショックが2008年に米国で発生した際には、日本の不動産価格が下落しました。
また、それから間もない2011年に東日本大震災が発生した後も、同様に不動産価格が下落しています。しかし、2014年から徐々に回復し始め、以後は上昇傾向です。
このように、景気の変動と不動産価格は密接な関係にあるといえます。
シーズンによる影響
不動産の相場価格はシーズンにより影響されやすいといえます。
たとえば、進学、転勤、転職などによる引っ越しが多くなる2月から3月までのシーズンは、不動産が最も活発に動くシーズンです。したがって、自宅を売却するには狙い目であるといえるでしょう。
たとえば、3月に売却を目指している場合は、仲介で一般的に売却にかかる期間4~6ヶ月を考慮してさかのぼり、9月くらいから売却に向けて活動をスタートします。
一方、不動産が動きにくいのは8月、12月、1月です。8月は暑く外出が億劫になりがちな点や、一般的に異動や転勤などの時期からも外れているのが理由となります。12月や1月も寒さや年末年始で何かと忙しいことが多いため、動きにくいといわれています。
金利による影響
不動産価格は金利による影響を受けやすいものです。
金利があがるとローンの総返済額もあがってしまうため、ローンを組んで不動産を購入する人は減少する傾向があります。住宅の購入者が減ってしまうと、不動産価格を低く設定しなければ売れなくなってしまいます。
反対に金利が下がると住宅ローンを組みやすくなるため、住宅を購入する人が増える傾向となるものです。
このように、金利と不動産価格は密接した関係にあるといえるでしょう。
不動産売却の相場価格は事前に調べておこう
不動産の相場価格を事前に調べておくと売却時の適正価格が把握できるため、売主はさまざまなメリットを得られます。
ご自身の不動産の正確な価値を知っていないと、足元をみられて安く買いたたかれることもあるでしょう。売却した後に本来の資産価値を知っても、後の祭りです。
近年ではインターネットで、自宅の条件と似ている物件の売却価格を簡単に調べられるためリサーチしてみてください。
Q.基準地価や地価公示価格は毎年いつ頃発表されますか?
A.基準地価は毎年9月頃、地価公示価格は毎年3月頃に発表されます。時期が異なりますが、それぞれをうまく活用し価格を確認してください。
Q.同じような広さの物件がないのですが何か調べる方法はありますか?
A.同じ広さの物件がない場合、土地平米や坪数の単価を計算してみましょう。面積が広ければ広いほど総額が大きくなり平米の単価は低くなるため、あくまでも目安として計算してみましょう。