空き家を放置すると固定資産税が6倍に!空き家を再利用して節税対策を

少子高齢化などを背景に空き家は増加しています。放置して特定空家になると、固定資産税などが高くなる可能性があるため注意が必要です。空き家を所有する方や将来相続する方に向けて、税金や再利用事例、節税対策を解説します。

空き家の放置は「固定資産税が6倍」になる!?特別措置や注意点も紹介

固定資産税と都市計画税(以下、固定資産税等という)には住宅用地特例という減税措置があり、住宅の建つ土地に関しては税額計算の基となる課税標準額が減額されます。

しかし空家等対策特別措置法上の特定空家と判断された場合、必要な措置を取らないと固定資産税等の住宅用地特例を受けることはできません。そのため大幅に税額が跳ね上がってしまう恐れがあります。ここからは、空家対策特別措置法や特定空家の注意点についてみていきましょう。

放置空き家に適用される空家等対策特別措置法

固定資産税等の住宅用地特例は次のような内容です。特定空家に指定されると、この特例を受けられなくなります。

固定資産税

小規模住宅用地の特例(200平方メートル以下の部分)

課税標準額×1/6

一般住宅用地の特例(200平方メートル超の部分)

課税標準額×1/3

都市計画税

小規模住宅用地の特例(200平方メートル以下の部分)

課税標準額×1/3

一般住宅用地の特例(200平方メートル超の部分)

課税標準額×2/3

空家等対策特別措置法の第2条2項によると、特定空家とは次のような状態です。

  • 倒壊など著しく保安上危険となる恐れのある状態
  • 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • そのほか周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空家に指定されると、自治体から除却や修繕、立木竹の伐採などを行うよう、助言または指導を受けます。それでも必要な措置が取られなかった場合は、固定資産税等の住宅用地特例の適用対象から除外される仕組みです。

空き家にかかる税金をケースごとに解説

空き家の所有者になると、さまざまな税金を支払わなければなりません。税金の種類は、相続や所有、売却などシチュエーションによって変わります。空き家にかかる税金は、主に次のようなものがあります。

  • 相続した場合にかかる税金…相続税・登録免許税
  • 所有し続けた場合にかかる税金…固定資産税・都市計画税
  • 売却した場合にかかる税金…所得税・住民税

それぞれの税金について、詳しくみていきましょう。

相続した場合にかかる税金

空き家を相続したときは、相続税と登録免許税がかかります。それぞれの税金の概要や計算方法をみていきましょう。

相続税とは、亡くなった方から財産を取得した個人に課税されるものです。亡くなった方が所有する財産から、非課税財産や債務、葬式費用などを差し引いた額が課税対象になります。さらに相続税は基礎控除があり、基礎控除額以下の場合は相続税がかかりません。

基礎控除額…3,000万円+600万円×法定相続人数

登録免許税とは、不動産の所有権や抵当権を登記する際に納付する税金です。原則として現金で納付することになりますが、オンライン申請では電子納付、税額3万円以下の場合は収入印紙での納付もできます。

相続による所有権移転登記の場合、登録免許税は次のように計算します。

課税標準額 × 1000分の4

課税標準額は毎年自治体から通知される固定資産課税明細書に「価格」または「評価額」と記載されている金額です。

所有し続けた場合にかかる税金

固定資産税と都市計画税は、空き家を所有していると毎年課税されます。

固定資産税は毎年1月1日現在の不動産所有者に課税される税金で、計算式は次の通りです。

課税標準額×標準税率1.4%

都市計画税とは、毎年1月1日現在の不動産所有者に課税される税金です。市街化区域内にある不動産が課税対象という点が特徴で、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てられます。都市計画税の計算式は次の通りです。

課税標準額×制限税率0.3%

先に解説した通り、一定の条件を満たす場合、固定資産税等には軽減特例があります。

売却した場合にかかる税金

不動産の売却によって得た利益のことを譲渡所得といい、譲渡所得に応じて所得税と住民税が課税されます。譲渡所得の金額は、収入金額から取得費や譲渡費用などを差し引いた金額です。

譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡費用

さらに一定の要件を満たしていると、譲渡所得の特別控除を受けられます。たとえばマイホームの売却では、譲渡所得から最大3,000万円の控除ができます。特別控除を利用する場合はその金額を譲渡所得から差し引いて、課税譲渡所得を算出する仕組みです。

課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除

最後に課税譲渡所得に税率をかけて、所得税と住民税の金額を出します。マイホームの場合の税率を所有期間別にまとめました。

 

所有期間5年以下

(短期譲渡所得)

所有期間5年超

(長期譲渡所得)

所有期間10年超

(軽減税率の特例)

所得税率

30

15

6,000万円までの部分10

6,000万円超の部分15

住民税率

9

5

6,000万円までの部分4

6,000万円超の部分5

空き家の放置による5つのリスク

「空き家を相続したものの、活用方法がわからず何もしていない」という方も多いのではないでしょうか?しかし、空き家を放置するのは危険です。特に懸念されるのは、次の5つのリスクです。

  • 老朽化による倒壊
  • 維持費の増加
  • 周辺への環境汚染
  • 資産価値の低下
  • 犯罪

自分自身の出費や手間が増えるだけではなく、倒壊や環境汚染などによって周辺の住民にも迷惑をかけることになります。5つのリスクについて、さらに詳しく掘り下げていきましょう。

リスク①老朽化による倒壊

国土交通省の平成25年住生活総合調査結果によると、建築時期が1980年(昭和55年)以前の空き家は全体の約2/3を占めています。1981年5月31日までの建築確認を受けた建物は旧耐震基準とされ、必ずしも十分な耐震性が備わっているとはいえません。

適切な耐震診断や耐震改修等を行わないで放置していると、倒壊の危険性が高まり隣地家屋や通行人など周囲にも危害が及ぶ恐れがあります。その場合の損害賠償責任は空き家の所有者が負うことになるのです。

リスク②維持費の増加

空き家を適切に管理していくためには、年間を通してさまざまな維持費がかかります。主な費用項目としては、固定資産税・都市計画税のほかに、火災保険や水光熱費、修繕費などです。

国土交通省の「令和元年空き家所有者実態調査」によると、年間の維持管理に要する費用が5万円以上かかっている割合は、47.4%を占めています。特に古い空き家は経年劣化による不具合が増えるため、修繕費が高くつきやすいです。施工内容にもよりますが、数百万円程度の工事費用がかかることもあります。

リスク③周辺への環境汚染

空き家を放置することは、周辺への環境汚染にもつながります。ゴミの放置や不法投棄があると、異臭発生や害虫・ネズミ・野良猫の繁殖などにつながり、周辺の環境が汚染されてしまう可能性が高くなるでしょう。また建物や設備の破損が引き金となり、アスベスト飛散や臭気発生などのリスクも考えられます。このように不衛生な空き家があると、周辺の住民は快適に暮らすことができません。

リスク④資産価値の低下

空き家を放置すると、資産価値が低下してしまうリスクもあります。人が住まなくなって適切な修繕が施されていない状態が続くと、建物の資産価値を保つことはできません。雨漏りを放置しているとカビや腐食などが発生する恐れがあります。またシロアリ被害も、資産価値を低下させる原因です。

放置した期間が長いほど資産価値は低下し、修繕しようとしても莫大な費用がかかります。このような悪循環に陥ってしまうと、買い手がみつかりにくい物件になってしまうでしょう。

リスク⑤犯罪

空き家の放置は、犯罪による治安悪化につながる点にも注意しましょう。誰も住んでいない状態の空き家は、犯罪の標的になりやすいです。適切に管理をしていないと、放火や薬物栽培など犯罪の温床と化す恐れがあります。

狙われやすいのは、照明がなかったり草木で見通しが悪かったりという人の目が届きにくい空き家です。定期的な除草作業や管理会社の巡回など、誰かが管理しているということがわかる空き家では、犯罪のリスクを軽減することができます。

空き家の活用事例

税負担やリスクを軽減するためには、空き家を放置せず活用していくことが必要です。所有しながらの活用事例としては、次のような選択肢があります。

  • 空き家などを借り上げ改修しサブリース
  • 田舎でセカンドハウスとして利用

そのほかに考えられるのは、空き家を売却するという選択肢です。国土交通省は中古住宅の流通を促すために、安心R住宅制度を創設しました。中古住宅の売却でネックになりやすい、不安・汚い・わからないというマイナスイメージを払拭するためにも効果的な制度です。

活用事例1:空き家などを借り上げ改修しサブリース

空き家のサブリースとは、事業者が空き家を借り上げて第三者に転貸するサービスです。事業者は入居者から賃料を受け取り、空き家の所有者は事業者からリース料を受け取ります。基本的に入居者募集や賃貸管理などは事業者が行うため、空き家の管理手間を省きたい所有者にとっては魅力的なサービスです。

事業者側で改修工事を行うスキームであれば、サブリースによる所有者側の工事負担はありません。また昨今のDIY人気を受けて、あえて現状のまま転貸し入居者が自由に改修できるスキームも注目を集めています。

活用事例2:田舎でセカンドハウスとして利用

空き家をセカンドハウスとして利用する方法も注目されています。セカンドハウスとは、自宅とは別に生活拠点として利用している住まいのことです。月1回以上居住している実態など、セカンドハウスとして認められるためには条件があります。

セカンドハウスは、マイホームと同様に税制上の優遇措置を受けられるのがメリットです。200平方メートル以下の小規模住宅用地の場合、固定資産税の課税標準額は1/6、都市計画税の課税標準額は1/3になります。

空き家は売るべき?貸すべき?

空き家を売却するか賃貸するかで迷っている方も多いのではないでしょうか?将来利用する予定がある場合は、それまでの間賃貸する方法があります。一方で維持費の負担からすぐにでも抜け出したい場合は、売却するのも一つの手です。

おうちクラベルでは、経験豊富な不動産会社にWEBサイト上から一括で査定を依頼できます。所有する空き家がどのくらいで売れるのか確認してから、売却か賃貸か判断してみてはいかがでしょうか。

空き家を売るメリット・デメリット

空き家を売る場合は、次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 固定資産税などの維持費がかからない
  • 空き家を現金化できる

デメリット

  • 譲渡所得税などがかかる可能性がある
  • 解体費用や測量費がかかる可能性がある

毎年支払わなければならない固定資産税などのコスト負担がなくなり、売却で得た収入を生活に必要な経費に回すことができます。ただし、売主側にも売却時に費用負担が発生することがあります。

空き家を貸すメリット・デメリット

空き家を貸す場合は、次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 手放さずに将来活用できる
  • 賃料収入が見込める

デメリット

  • 修繕費用が高くつく可能性がある
  • 固定資産税などの維持費がかかり続ける

将来自分が住んだり子どもに譲ったりしたい方は、それまでの間誰かに貸し出すことで賃料収入を得ることができます。ただし借り手が付くようにするためには、ある程度修繕することも必要です。

空き家は税金がかかる!適切な方法で節税対策を

空き家を放置していると、税負担やさまざまなリスクが重くのしかかってきます。とはいえ、空き家をどのように活用するかは悩ましい問題です。空き家の活用事例としてサブリースやセカンドハウス利用が注目されていますが、シンプルに賃貸や売却といった選択肢もあります。

それぞれの選択肢を比較するうえで、「どれぐらいの価格で売れるのか」という点が気になりますよね。おうちクラベルを活用すれば、得意分野の異なる複数の不動産会社に査定を依頼できるため、所有している空き家の価値を客観視できます。

Q.空き家を売ったり、賃貸に出したりする際にどうやって不動産業者を選べばいいですか?
A.不動産業者によって、売却に強い会社や、賃貸に強い会社と、得意なジャンルが違う可能性があります。おうちクラベルを利用し、複数不動産会社に一括で査定の依頼ができるため大した手間もかかりません。ぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか?

Q.なぜ適切な対応を取ると節税対策になるのですか?
A.空き家は全国で問題となっており、行政もその対応に頭を悩ませています。解消法としては活用事例のような対策を取ることで節税につながるのです!たとえば、セカンドハウスは税制上の優遇措置が受けられ、固定資産税と都市計画税が軽減されます。

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