任意売却物件って何?仲介との違いやメリット・任意売却までの流れも詳しく解説

「任意売却物件」とは、一般的な不動産売却である仲介とは異なり、所有者の金銭的な事情によって売りに出された物件のことを指します。
具体的には、住宅ローンの支払いが滞納した場合に、金融機関の承諾を得て売り出された物件などです。
このような売却方法を「任意売却」といい、売却の流れについては、最も一般的な売却方法である「仲介」と重なる部分が多いのも特徴です。
今回は、任意売却物件の詳細・仲介との違い・メリット・任意売却できないケースなどを解説していきます。

目次

1.任意売却物件って何?

任意売却物件とは、何らかの理由により住宅ローンの支払いを滞納した人が金融機関の承諾を得て売却した物件のことです。

何らかの理由とは、例えば以下のようなことが挙げられます。

  • 病気やケガで働けなくなった
  • 返済計画に誤りがあった
  • 離婚により家計の状況が変化した

このように、何らかの理由で住宅ローン返済に行き詰ってしまった場合、どのようなことが引き起こされるのでしょうか。

1-1.住宅ローンの支払いを滞納した時の流れ

まずは、住宅ローンの支払いを滞納してしまった場合の一般的な流れを知っておく必要があるでしょう。

住宅ローンの支払いを数か月滞納した場合、強制的に競売にかけられます。

競売にかけられてしまうまでの僅かな期間に行える「競売を回避する売却方法」が、任意売却です。

住宅ローンの支払いを2ヶ月ほど滞納すると、金融機関から支払いを促す督促状が届きます。

その督促状が届いた後も滞納した状態が続くと、次に届くのが催告書です。

催告書は滞納者への支払いを促す最終通告であり、この通知後にも決められた期日までに支払いがない場合はローンの分割払いができる「期限の利益喪失」を伝える文書が届きます。

これにより金融機関から一括返済を求められてしまうのです。

ローンを組む際に保証会社を利用していれば、この権利が喪失した段階で保証会社から金融機関へ一括返済が行われ、債権者も保証会社へと変わります。

この時点でも返済ができない場合に、残債や家を売却した場合のおおよその価格を調べ、債権者へ任意売却を相談しましょう。

現状では返済が難しくとも、任意売却によって得られる利益で返済ができると債権者に判断されれば任意売却が認められます。

債権者から合意を得た上で任意売却を行い、無事に売却できれば売却で得た利益をローンの返済に充てることができるのです。

ただし、任意売却は売却活動ができる期間は債権者が決定します。

決められた期間内に売却ができなければ競売へとかけられるため、任意売却はスピード勝負になります。

任意売却物件と競売物件を同じようなものと考えている人もいるかもしれませんが、全く異なることは押さえておきましょう。

  1. 住宅ローンの支払いを滞納する
  2. 金融機関から督促状が送られる
  3. 金融機関から催告書が送られる(債権が保証会社へ移行する)
  4. 債務者が債権者へ任意売却の相談→任意売却→売却費用を残債の返済に充てる
  5. 任意売却できなかった場合に競売となる

この点については、仲介との違いを知る前段階として、しっかり押さえておきたいポイントです。

2.任意売却と仲介との違い

ここまでは任意売却と競売の違いについて解説しましたが、ここからは任意売却と仲介を比較して、自分に合った売却方法を選ぶために、以下の4つのポイントを押さえましょう。

  • 任意売却とは
  • 仲介とは
  • 任意売却と仲介の流れ
  • 任意売却と仲介との違い

2-1.任意売却とは

任意売却は、何らかの理由で住宅ローンを滞納してしまった場合、競売にかけられる前に行う救済的な売却方法です。

住宅ローンを累計で約6ヶ月分滞納してしまった場合、金融機関から催告書が届きます。この段階で債権が保証会社へと移行し、滞納者は一括返済を求められます。

ですが、一括返済されるケースはほとんどなく、不動産の所有権を失う人がほとんどです。

同時に、競売の開札日までは2〜3ヶ月の期間が存在するため、その間に債権者の承諾を得て、任意売却を行うのです。

2-2.仲介とは

仲介では、売主と不動産会社が媒介契約を結び、不動産会社が不動産売却のための広告活動・案内・手続きなどを行います。

物件を売るための宣伝・案内・手続きなどは、たとえ1件のみだとしても、個人で行うのはかなりの負担となるでしょう。

そこで、それらの煩雑な手続きなどを引き受けてくれるのが不動産会社です。

2-3.任意売却と仲介の流れ

任意売却と仲介の流れは下に示す通りです。

任意売却の流れ

  1. 債権者から一括返済請求金融機関からの督促
  2. 不動産会社の査定
  3. 債権者金融機関へ任意売却の相談・承諾
  4. 媒介契約・任意売却開始
  5. 売買契約の締結
  6. 決済・引き渡し
  7. 残債の返済

仲介の流れ

  1. 不動産会社の査定
  2. 媒介契約・売却開始
  3. 売買契約の締結
  4. 決済・引き渡し

2-4.任意売却と仲介との違い

任意売却と仲介の大きな違いは、債権者からの督促の有無・債権者への相談や承諾・残債の返済です。

任意売却の場合、譲渡にかかる費用や引っ越しの費用が債権者から支払われることがあります

一方、仲介による売買の場合、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消手続きの費用など、様々な費用がかかります。これらの譲渡費用は、基本的に売主が負担しなければなりません。

その点は大きな違いといえるでしょう。

任意売却の場合も仲介同様に不動産会社を選んだり、媒介契約の内容を検討したりする必要があるでしょう。

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住宅ローンの返済が残った状態で家を売却するのは、疑問や不安が大きいでしょう。

是非、信頼できる不動産会社を見つけ、安心かつスムーズな任意売却を目指してみてはいかがでしょうか。

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3.任意売却のメリット

ここまで仲介と任意売却の違いについて説明しました。

住宅ローンの返済に行き詰ってしまった場合の救済措置として、任意売却という選択肢があることはお分かりいただけたのではないでしょうか。

では、任意売却にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

具体的には、以下の4つのメリットが挙げられます。

  • 所有者の情報は非公開にできる
  • 引き渡し日の相談ができる
  • 引っ越し費用の負担を軽減できる
  • そのまま住むこともできる

3-1.所有者の情報は非公開にできる

任意売却では、仲介による不動産売却と同様に所有者の情報は非公開にできるという物件の販売活動が行われます。

つまり、住宅ローンの返済が難しくなってしまったことに関しては、近隣の人に知られることなく売却が可能です。

3-1-1.競売の場合

競売の場合、「競売物件」としてネット上や新聞に掲載されてしまいます。

それゆえ、物件の写真や所在地情報などから、住宅ローンの返済ができずに家を手放すことになったという事実が公開されてしまうでしょう。

先に不動産仲介との流れの項目で説明しましたが、売却中の所有者情報の取り扱いについては任意売却と仲介に大きな違いはありません。

3-1-2.任意売却は非公開?

「任意売却物件」という情報を公開されて売りに出されることはありませんので、ご安心ください。

任意売却物件は、一般的な仲介による売却と同様に個人のプライバシーが守られています。知人や近所の人などに住宅ローンを滞納してしまったという事情を知られることなく、仲介と同様に物件売却ができるのがメリットといえるでしょう。

3-2.引き渡し日の相談ができる

任意売却の場合、一般的な仲介による売却と同じように売主と買主は対等の立場での交渉のため、引き渡し日の相談ができます。

契約条件や決済・引き渡し日などは、売主と買主の話し合いによって決められるので、ご安心ください。

スムーズに売却が決まった場合でも、家を引き渡すまでの引っ越し作業や手続き等、ある程度の時間がかかります。

例えば、学校に通っているお子様がいるのであれば、転校などの手続きをしなければならないかもしれません。

生活が突然変わることは何かと負担が大きいものです。仲介同様に引き渡し日を相談して決められるのはメリットといえるでしょう。

3-2-1.競売だとどうなる?

仮に任意売却が承諾されずに競売になってしまった場合、このような時間的猶予はありません。

裁判所によって強制的に競売が進められてしまい、売主の都合や意思は関係なく家を差押えられてしまいます。

裁判所の執行により入札も開始されるので、物件が落札されれば家からの強制退去を命じられるのです。

その点から考えても、仲介同様に売却手続きを進められることは任意売却の利点といえるでしょう。

3-3.引っ越し費用の負担を軽減できる

任意売却では、債権者から引っ越し費用を負担してもらえるケースがあります。

一般的に任意売却を行うケースでは、金銭的に厳しい状況に置かれていることが多いため、ありがたい措置です。

3-3-1.債権者の判断で引越し費用の支払いが認められる

債権の移行先である保証会社も、競売は望んでいません。なぜなら、競売の落札価格は任意売却の7割前後とされており、債権の回収率が悪くなるからです。

仮に、任意売却が可能な期間に債務者が何も行動を起こさなかった場合、競売にかけられます。

そうならないためにも、債権者は引っ越し費用の負担という形で、債務者の任意売却への意欲を高めます。

このことから、債権者から引っ越しの費用を負担してもらえることがあるのです。

3-4.そのまま住むこともできる

任意売却で家を売却した場合、売主は買主に家を明け渡すことが一般的です

住宅ローンの支払いに行き詰まって家を売却するのですから、引っ越しはやむを得ないと考える人は多いのではないでしょうか。

しかし、任意売却によって家を売却した後も、引っ越すことなく今まで通り家に住み続けられる方法があります。そのような方法のことをリースバックといいます。

3-4-1.リースバックとは?

リースバックとは、新たな所有者へ賃料を支払って、その物件に住み続けることを指します。

売主は不動産会社・リースバック会社・不動産投資家などへ家を売却し、毎月賃料を払って、元々所有していた家を借りることが可能です。

そのため、任意売却とリースバックを併用すれば、引っ越しすることなく今まで通りの家に住み続けられます。

3-4-2.リースバックの条件

リースバック契約を行うためには、いくつかの条件をクリアしなくてはなりません。

買主が賃貸契約を結んでくれること

まずは、任意売却をするにあたって「買主が賃貸契約を結んでくれること」が大前提となります。

つまり、自分で住むための家を探している購入希望者とは契約ができません。

また、リースバックでは賃貸契約を結ぶ必要があるため、毎月賃料を支払う必要があります。

同時に賃料にも注意が必要です。新たな所有者がリースバックを行う目的は投資です。そのため、毎月の賃料には利回りが含まれます。

結果的にこれまで返済していた住宅ローンの月額を上回る可能性があり、返って月々の負担が増える場合があります。

結果的にリースバックは難しいと言わざるを得ません。

リースバックに対応していないケースもある

さらに注意しておきたいのは、すべての不動産会社やリースバック会社が任意売却物件でのリースバックに対応しているわけではないことです。

リースバックを希望する場合には、任意売却物件のリースバックに対応可能な会社を見つける必要があります。

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任意売却とリースバックの併用をお考えの人は、おうちクラベルの不動産一括査定を是非ご利用ください。

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4.任意売却できないケース

任意売却は住宅ローンの支払いに行き詰ってしまった人への救済措置ですが、希望する全ての人に適用できるわけではありません。

任意売却を行うためには、あくまでも住宅ローン借り入れ金融機関の承諾を得る必要があります。

任意売却を希望しても条件をクリアできなければ、任意売却で家を売却できないこともあるため注意が必要です。

具体的には、任意売却ができない要因には主に以下の2つが挙げられます。

  • 金融機関の同意が得られない
  • 共有名義人の同意が得られない

任意売却を検討している人は、まず不動産会社や任意売却支援を専門で行う会社へ相談してみてはいかがでしょうか。

4-1.金融機関の同意が得られない

先述の通り、任意売却は売主の自己判断で行うことはできません。

任意売却を行うためには、住宅ローンを借り入れた金融機関の同意を得る必要があります。この同意を得てはじめて、任意売却の手続きが開始できるようになるのです。

しかし、金融機関にとって任意売却という手段はリスクを伴う方法でもあります。そのため、できるだけ回避したいと考える金融機関も多いです。

例えば、金融機関の同意が得られないケースには、以下の3つが挙げられます。

  • 住宅ローンを借り入れた金融機関の方針によるもの
  • 住宅ローンの残債額が査定額よりも多い
  • 競売の停止期限が迫っている

4-1-1.住宅ローンを借り入れた金融機関の方針によるもの

まず、「任意売却を認めない」という基本方針の金融機関が存在することも事実です。

こうした任意売却を認めない方針の金融機関から住宅ローンを借り入れた場合、任意売却による家の売却は、極めて難しい選択肢となるでしょう。

4-1-2.住宅ローンの残債額が査定額よりも多い

また、住宅ローンの残債額が査定額よりも多い場合、残債を一度に回収できる見込みがないと判断され、任意売却を断られる可能性もあります。

このときの残債が大きければ大きいほど、後の回収にも時間がかかるため、金融機関側にメリットが見込めなくなってしまうのです。

4-1-3.競売の停止期限が迫っている

最後に、競売停止の期限が迫っている場合も、任意売却に移行することが不可能となることが多いです。

通常、競売がはじまると購入希望者が入札を行います。その後、開札されるのですが、競売を停止できる期限は開札日の2日前までと決まっているのです。

そのため、競売の停止期限が迫っている状況で任意売却を申し込んでも、金融機関の同意を得ることは現実的に厳しいでしょう。

もちろん時間に余裕を持って動き出すことが重要なのはいうまでもありませんが、遅くても2日前までには金融機関の同意を得る必要があるでしょう。

4-2.名義人の同意が得られない

所有している物件が共有名義の物件だった場合、共有名義人の同意が得られなければ物件の売却はできません。これは仲介でも同様です。

夫婦・兄弟・親子など複数人で物件を購入した場合、その人たちは共有名義人となります。

任意売却を行うには、住宅ローンを借り入れた金融機関の同意を得ることに加え、共有名義人の全員の同意を得ることも必要です。

4-2-1.共有名義人の同意を得られない場合

もし共有名義人の同意を得られない場合、任意売却を行うことはできません。

実際のところ、共有名義人から同意を得ることは容易だと考える人もいるでしょう。

しかし、共有名義人が遠方に住んでいたり病気で入院していたりすれば、話がまとまらない可能性も考えられます。

さらに、共有名義人が元配偶者だった場合、離婚の経緯によっては相手が同意してくれないこともあるでしょう。

そのようなトラブルを防ぐためにも、共有名義人とは住宅ローンの返済について事前に話し合っておくことが重要です。

なお、任意売却を行うためには住宅ローンの連帯保証人からの同意を得る必要があります。任意売却成立後の残債については、売主が返済できない場合、原則として連帯保証人が支払わなければいけません。

この点についても、連帯保証人に経緯を説明し、同意を得る必要があるでしょう。

5.任意売却までの流れ

任意売却の流れについては冒頭でも説明しましたが、ここからはさらに詳しく確認していきましょう。

本来であれば住宅ローンを完済し、仲介による売却を行うほうが売主の手続きや負担が軽減できます。

しかし、どうしても住宅ローンを一括返済できない場合には、「任意売却」を選択することも方法の1つです。以下の流れを確認してください。

  1. 金融機関からの督促
  2. 不動産会社の査定
  3. 任意売却開始
  4. 売買契約締結
  5. 決済・引き渡し
  6. 残債の返済

5-1.金融機関からの督促

任意売却は、住宅ローンを滞納し、督促を受けることからはじまります。督促の流れは以下の通りです。

  1. 滞納通知
  2. 催告書
  3. 期限利益の喪失
  4. 代位弁済
  5. 競売決定通知

5-1-1.滞納通知

住宅ローンの支払いができなくなり、滞納が1〜2ヶ月ほど続くと、金融機関から住宅ローンの滞納を知らせる通知が電話やハガキで届きます。

累計で3〜4ヶ月滞納すると、督促状が届きます。返済を滞納すると、遅延損害金が発生するため、督促状にはそれらが詳しく記載するのです。

5-1-2.催告書

累計で約6ヶ月滞納すると催告書が届き、いよいよ金融機関とのお別れです。

金融機関は債権を保証会社へ移行する準備に入ります。

5-1-3.期限利益の損失の通

次の段階に届くのは「期限の利益損失の通知」です。

この通知は、住宅ローンの一括返済を求める通告で、この通知が届いた時点で任意売却の申請ができるようになります。

この段階での一括返済は現実的に厳しい状況ですが、一括返済に応じられない場合には競売に向けた手続きが進められてしまいます。

また、この通知が発行されると、保証会社が債務者に代わって住宅ローンを一括返済することが一般的です。

5-1-4.代位弁済

保証会社が債務者に代わって金融機関へ住宅ローンを一括で支払います。これを代位弁済といい、債権が保証会社へ移行します。

5-1-5.競売決定通知

競売決定通知が届くと、任意売却が非常に難しくなるため注意してください。

競売決定通知が届く前に金融機関へ任意売却の申請を行いましょう。

また、任意売却を考えるのであれば、できるだけ早い段階で行動を起こすことが重要です。

必要なタイミングでスムーズに動きだせるように、事前に物件の査定額も調べておくようにしましょう。

5-2.不動産会社の査定

金融機関からのお知らせが届いた段階で、住宅ローン返済が厳しいと感じている場合には、できるだけ早めに金融機関と不動産会社へ相談することが重要です。

不動産会社ではまず査定を行い、住宅ローンの一括返済が可能かどうか判断します。このとき、手元に住宅ローン残高の明細を用意しておくとスムーズです。

住宅ローンの残高を確認できるものとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 残高証明書
  • 返済予定表
  • ウェブサイトの残高明細※インターネットバンキングに対応している場合

これらは全て住宅ローンを借り入れた金融機関が発行しているものです。インターネットバンキングに対応している場合などは、ウェブ上で残債額を確認できることもあります。

不動産会社がこれらの書類を確認し、残債額があまりにも多く返済が困難だと判断された場合、任意売却を提案されるでしょう。

その後は金融機関へ任意売却の承諾を得るための手続きに移りますが、不動産会社がサポートを行うので、ご安心ください。

スムーズに金融機関の承諾を得るためにも、不動産会社とのコミュニケーションは重要です。

5-2-1.実績のある不動産会社を選ぶ

また、任意売却では金融機関の承諾を得る必要があるため、通常の不動産売却とは手続きが少し異なります。それゆえ、任意売却に実績のある不動産会社を選ぶことが大切です。

5-2-2.複数の不動産会社へ相談する

さらに、不動産会社への相談は1社だけに絞るのではなく、複数の不動産会社へ相談することも心がけましょう。

複数の不動産会社へ査定を依頼し、より適正な査定額を提示している不動産会社に依頼すると、より納得できる金額で不動産を売却できるかもしれません。

例えば、1社にのみ査定を依頼した場合、その金額が相場より低い可能性があります。

相場よりも低い価格で売却してしまえば、本来得られるはずだった金額が得られず、その分後の返済の負担が増えてしまうでしょう。

そのため、できるだけ複数の不動産会社に物件の査定や相談を依頼することがおすすめです。

相談時の対応や査定額などを比較・検討し、信頼できる不動産会社を選定するようにしましょう。

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5-3.任意売却開始

先述の通り、複数の不動産会社に査定や相談を行い、信頼できる会社を見つけることが大切です。媒介契約の種類を選択する必要もあるため、まずは媒介契約の種類についておさえておきましょう。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

5-3-1.一般媒介契約

複数社との契約:○

契約期間:一般的に3ヶ月

自己発見取引:○

レインズへの報告義務:なし

販売活動の報告義務:なし

5-3-2.専任媒介契約

複数社との契約:×

契約期間:最長で3ヶ月以内

自己発見取引:○

レインズへの報告義務:あり 契約後7日以内

販売活動の報告義務:あり 2週間に1回以上

5-3-3.専属専任媒介契約

複数社との契約:×

契約期間:最長で3ヶ月以内

自己発見取引:×

レインズへの報告義務:あり 契約後5日以内

販売活動の報告義務:あり 1週間に1回以上

まず、媒介契約には上記のように3種類があります。この3種類の中から自分に合った契約方法を選択し、不動産会社と契約します。

  • 複数不動産会社との契約
  • レインズ(REINS:Real Estate Information Network System)
  • 自己発見取引

5-3-4.複数不動産会社との契約

一般媒介契約は複数社との契約ができますが、専任媒介契約と専属専任媒介契約では複数社との契約はできません。

複数の不動産会社と契約したほうが、より多くの人に物件を知ってもらえると考える人もいるでしょう。

しかし、多くの不動産会社と契約したからといって、買主がすぐに見つかるとは限りません。

なぜなら、媒介契約では売買契約を成立させた不動産会社しか仲介手数料を受け取れないからです。

つまり一般媒介契約では不動産会社が積極的に買主を探したとしても、他の不動産会社が売買契約を成立させれば、意味がないわけです。

それゆえに、一般媒介契約では積極的に販売活動を行ってもらえない可能性もあります。

販売活動の報告義務もないため、販売活動の進捗状況も分かりにくくなってしまうでしょう。

一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約では、売買契約を成立させれば確実に成功報酬を得られることは明確です。

そのため、積極的に販売活動が行われ、定期的に報告も得られるので安心です。

ここで、レインズについて知っておく必要もあるでしょう。

5-3-5.レインズ(REINS:Real Estate Information Network System)

国内の不動産を取り扱う不動産流通ネットワークシステム

レインズとは、国内で取り扱う不動産情報が掲載されているサイトのことです。原則として、利用できるのは不動産会社のみとなります。

専任媒介契約と専任媒介契約では、レインズへの登録が義務づけられているため、より早く買主を見つけられる可能性が期待できるでしょう。

5-3-6.自己発見取引

また、一般媒介契約と専任媒介契約では、自分で買主を見つける「自己発見取引」が可能です。

友人や親戚の中で購入希望者がいる場合には、自己発見取引ができる媒介契約を選ぶのがおすすめです。

基本的に媒介契約の方法については、仲介による方法と違いはありません。任意売却だからといっても、ご自身で媒介契約の方法を検討する必要があります。

しかし、不動産会社によっては一般媒介契約での任意売却を受けないこともあるため注意が必要です。

任意売却では仲介に比べ、不動産会社が行う書類準備や手続きなどが多くあります。

その負担を請け負ったのちに成功報酬が得られないとなれば、不動産会社にメリットがないのです。

さらに、金融機関によっては媒介契約の方法を指定する場合もあります。そのため、一般的には専任媒介契約を選択するケースが多いです。

媒介契約が完了すれば、いよいよ任意売却が開始されます。

5-4.売買契約締結

売却活動を通して家の購入を希望する買主が見つかったら、買付証明書に記入してもらいます。

買付証明書とは、分かりやすくいうと購入希望者が「この物件をこの価格で購入希望です」という意思を示すための書類のことです。

仲介においても売主が買付証明書を受け取りますが、任意売却ではここから先が仲介とは少し異なります。

任意売却の場合、売主が買付証明書を確認して買主と売却条件で合意に至ったら、住宅ローンを借り入れた金融機関へ買付価格を報告します。

このとき、購入申込書売買代金配分表を金融機関に提出しなければなりません。売買代金配分表とは、物件の売却価格や売却にかかる費用などの明細を記入する書類のことです。

少々難しく聞こえるかもしれませんが、これら必要な書類については不動産会社が用意するためご安心ください。

5-4-1.売買にかかる費用

なお、売買にかかる費用には、具体的に以下の5つが含まれます。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 登記手続き費用
  • 固定資産税
  • 引っ越し費用

固定資産税については、売却した年の1月1日時点の所有者が支払う義務があります。そのため、この費用についても売買代金配分表に記載が可能です。

これに売主の希望によって引っ越し代を含む場合もあるでしょう。

金融機関による承諾が得られることで、はじめて任意売却での売買契約が成立します。

売買契約をスムーズに進めるためにも、売却活動中から金融機関への報告を丁寧に行うことが重要です。

金融機関の承諾を確認できた場合、ここからは仲介同様に売買契約書重要事項説明書をもとに、買主と売買契約を結びます。

また決済・引き渡しの日取りについても話し合い、契約書に記載し、署名・捺印します。

5-5.決済・引き渡し

売買契約が成立した後は、契約書に記載の決済日に決済を確認し、引き渡しとなります。

おおよそですが、売買契約成立から1ヶ月以内に決済・引き渡しとなることが一般的です。

決済当日は決済の確認・諸費用の支払い・鍵の受け渡しなどを行います。

5-5-1.決済日より前に引越しをすませる

前提として、決済が可能になる前に売主側は引っ越しを済ませておかなければなりません。

引き渡し日までに引っ越しを完了させないと、物件の引き渡しができず、契約違反となります。

引っ越しの準備は何かと時間がかかるものです。売却の目途が立ったあたりから少しずつ始めておくことによってスムーズに進められるでしょう。

売却の手続きと並行して新居の準備をする場合には、不動産会社と相談しながら行うと安心です。先を見据えながら、最適なプランを検討していきましょう。

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任意売却では、今後の生活資金などについても不安に思うことが多いでしょう。どのようなことでも相談できる頼れる不動産会社を探してみてはいかがでしょうか。

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5-6.残債の返済

任意売却によって家を売却し、決済と引き渡しが終わっても、住宅ローンが完済するまで残債の支払いは続きます。ここが仲介との違いでもあるでしょう。

例えば、家を売却して得た金額では住宅ローンの完済ができなかった場合、残債を返済していく必要があります。

5-6-1.任意売却で住宅ローンを完済できなかった場合は?

この返済方法については、金融機関と相談の上で決めるのが一般的です。

任意売却で残債の大部分は返済できたとはいえ、家を手放さなければならないような経済状況だったわけです。

そのため、これまでの住宅ローン返済額と同等の金額を毎月支払うことは不可能でしょう。

多くの場合、売主と金融機関との間で毎月の返済額を相談し、無理のない範囲で返済していくことになります。

任意売却後の新しい生活では、生活費や必要経費などの出費と収入のバランスを考慮し、金融機関とともに無理のない返済計画を立てていきましょう。

6.任意売却の注意点

ここまでは、任意売却について住宅ローンの滞納から任意売却の承諾・売却成立を経て新生活に至るまでの流れに沿って確認してきました。

では、任意売却を行う際には、どのような点に注意したら良いのでしょうか。

ここでは、任意売却の注意点を解説します。

  • 売却のための活動は早く始める
  • 信用情報に登録される
  • 取り扱いが多い不動産会社を選ぶ

6-1.売却のための活動は早く始める

ここまで任意売却について解説してきましたが、一般的な仲介による売却とは異なり、任意売却は売却開始までの時間に限りがある売却方法です。

先述の通り、住宅ローンの滞納が続けば、予告なく競売にかけられてしまいます。

任意売却を希望していても、競売の停止期限を過ぎてしまえば、競売を止めることはできません。

競売にかけられてしまうと、希望する額での売買はおろか入札の日時・落札額・退去日など、あらゆることが強制的に進んでしまいます。

家からの強制退去を命じられたり、住宅ローンの残債額の一括返済を迫られたりすることになるでしょう。

6-1-1.競売にかけられる前に任意売却の手続きを進めよう

このように競売にかけられてしまう前に、できるだけ早めに任意売却の手続きを進めることが大切です。

住宅ローンの支払いを滞納し、その後の支払いも困難なようであれば、任意売却を見据えて金融機関に相談するなど迅速な手続きをしましょう。

不動産会社の選択・査定・打ち合わせなどには、ある程度の時間もかかります。悩み疑問は早めに解決し、積極的に行動することが大切です。

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電話やメールなどの時間がなかなか捻出できない人でもすぐに査定額が知れるので、是非お役立てください。

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6-2.信用情報に登録される

一般的な仲介による売却にはありませんが、任意売却によって家を売却すると信用情報に登録されることにも注意が必要です。

6-2-1.信用情報機関

住宅ローン・クレジットカード・借金などの割賦取引を利用すると、信用情報機関に信用情報が登録されます。信用情報機関とは、以下の3機関です。

  • CIC
  • JICC(日本信用情報機構)
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター)

6-2-2.信用情報

信用情報機関に登録されている個人の借入状況が登録された情報です。

6-2-3.住宅ローンを滞納すると

住宅ローンの借入を行った段階で、信用情報に登録されます。そして毎月の返済状況が記載されるのですが、支払いが遅れると、その段階から情報が更新されます。

ですから、任意売却を行ったことが信用情報に登録されるのではありません。

任意売却を行っている段階で既に滞納の情報が信用情報に登録されています。

6-2-4.信用情報の履歴は削除される?

信用情報が削除されることはありませんが、情報は完済から5年経過すると更新されるため、結果的に滞納情報は削除されます。

履歴がある5年ほどは融資を受けられなくなるため注意が必要です。住宅以外にも車の購入や学費など、ローンを組む機会は様々です。

意外なところでは、本体を割賦取引で購入する携帯電話・スマートフォンの支払いが遅れた場合、情報が記載される点です。

知らない人も多く、盲点といえます。住宅ローンの審査に通らないこともあるため、注意が必要です。

6-2-5.信用情報に関わらず現状を打開したい

それでもやはりご自身ですべてを判断するのは難しいかもしれません。そのようなときには、不動産のプロへ相談してみてはいかがでしょうか。

おうちクラベルの不動産会社一括査定サイトでは、信頼できる不動産選びが可能です。任意売却の検討に是非ご活用ください。

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6-3.取り扱いが多い不動産会社を選ぶ

任意売却は仲介売却に比べ、限られた時間で手続きを済ませ契約を締結させる必要があります。そのため、任意売却に強い任意売却の取り扱いが多い不動産会社を選ぶことが大切です。

任意売却の専門的な知識・豊富な実績・経験を持つ不動産会社を選べば、効率的に手続き等を進められるでしょう。

もし期限内に手続きが進められなければ、競売にかけられてしまうため注意が必要です。

競売による売買では物件が安く落札され、家からの強制退去や残債の一括返済などが強制的に執行されてしまいます。

そのような状況を避けるためにも、不動産会社の選択は慎重かつ迅速に行うことが望ましいでしょう。

6-3-1.不動産一括査定サイトを活用する

そこでご活用いただきたいのが、不動産一括査定サイトです。

おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは、複数の不動産会社の査定額が比較でき、自分に合った不動産会社を見つけられます。

任意売却について相談できる不動産会社を探せるので、不安疑問がある人は利用してみてはいかがでしょうか。

すぐに査定額を知りたい人は、査定申込み完了後、AIによる査定額もご確認ください。

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7.任意売却なら不動産一括査定サイトの活用を

任意売却は時間的な制限があること・金融機関の承諾を得る必要があることから考えても、仲介による売却と比べ、難しい選択肢であることは否定できません。

しかし、住宅ローンの返済を滞納し、競売をどうにか避けたい人にとっては有効な手段となるでしょう。

また、住宅ローンの返済を目的とする任意売却では、より高い金額で売却できるに越したことはありません。

後の返済負担を減らすためにも、不動産の相場を把握し、より適正な価格設定を行うことも重要です。

そのためには、まず複数の不動産会社の査定額を比較する必要があるでしょう。より多くの不動産会社に査定を依頼することで、標準的な金額を知ることが可能です。

さらに、任意売却は仲介とは異なり、金融機関とのやり取りや書類の準備などが必要です。頼れる不動産会社を見つけ、協力しながら売却を進めるようにしましょう。

しかし、任意売却を検討しているのであれば、不動産会社を選ぶ時間さえも惜しいかもしれません。

そのような場合には、不動産一括査定をご活用ください。

おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは、確かな実績を持つ不動産会社を比較できます。ご自身に合った不動産会社をパートナーとし、より良い任意売却を目指してみてはいかがでしょうか。

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8.住宅ローンが払えなくなる前に任意売却を検討しよう

任意売却は、住宅ローンの滞納を契機に家を売却し、新しい生活へ踏み出す人が選択する売却方法の1つです。

自己破産を回避したい人や物件の差し押さえを近所の人に知られたくない人には、心強い売却方法といえます。

しかし、任意売却は仲介とは異なり、住宅ローンを借り入れた金融機関の承諾を得ることが大前提です。

あれこれ悩んでいるうちに競売にかけられてしまうことも考えられますので、早めに準備を進めることをおすすめします。

住宅ローンの返済が滞る前に任意売却を検討しておくことで、いざという時にスピード感を持って対処できるでしょう。

仲介での売却ができるに越したことはありませんが、人生設計の調整として任意売却を検討するのも賢い選択といえるのではないでしょうか。

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