不動産と聞くと、「自分には関係ない」あるいは「難しい」というイメージを抱いている人が、一定数いらっしゃると思います。ですが、不動産は「衣食住」の「住」の部分であり、我々の生活と密接に関わっています。
不動産には再建築不可物件という物件が存在することをご存じでしょうか?文字通り「再建築ができない物件」なのですが、一体どの様な物件なのでしょうか?
そこで、不動産をより身近に感じて頂くためのきっかけになればと思い、当記事では「再建築不可物件」について紹介したいと思います。ぜひ、最後までご覧ください。
1.再建築不可物件とは?
建物を再建築することが極めて難しい土地や建物を、再建築不可物件といいます。再建築不可物件と呼ばれる理由は様々です。主に以下の4つが当てはまります。
- 現在の建築基準法に必要な要件を満たしていない
- 建物が耐震性に欠けている
- 文化的に重要な建物である
- 自然環境や地形上の制約がある
これらの物件は、再建築・改修が非常に困難です。そのため、所有者には維持管理することが求められます。
しかし、デメリットだけではありません。再建築不可のため買い手がつきにくいです。買い手がつきにくいため当然価格が安くなります。
だからといって安易に飛びつくことはおすすめしません。なぜなら、再建築不可物件の購入はローンを組むことが難しいからです。
住宅等の販売価格は「土地+建物」です。ですが、再建築不可物件の場合は再建築不可能な土地の上に建物がたてられているため、土地には価値がないと判断されます。
結果的に担保となる物件に価値がないといえるため、審査が厳しくなるのです。そうなると買い手は現金で支払う必要があります。購入できる人も限られるため、ますます価格が下がります。
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2.再建築不可物件の売却方法は?
再建築不可物件の集客方法、具体的な売却方法を解説します。
2-1.再建築不可物件の売却方法は?
集客方法は以下の3つです。
- 広告による宣伝
- オークション
- REINS(Real Estate Information Network Systemの略)
2-1-1.広告による宣伝
広告による宣伝はチラシを作成してのポスティング・不動産会社の店頭に掲載・インターネットへの掲載が挙げられます。多くの費用と時間を費やす恐れがありますが、売却できる可能性が高い方法です。
2-1-2.オークション
オークションは物件の購入希望者が一斉に入札を行い、一番高い価格を提示した希望者が落札するシステムです。少ないコスト、かつ短時間で売却できる見込みがあります。しかし、希望した価格で落札されなかった・そもそも入札が一件も入らなかったなどのリスクを加味しなくてはなりません。
2-1-3.REINS
REINSとは、国土交通大臣に指定された不動産流通機構が運営している不動産情報システムで不動産会社のみがアクセスできます。日本国内すべての不動産会社がアクセスできるため、非常に短時間で売却できますが、不動産会社へ依頼しなくてはなりません。
余談ですが、不動産会社によってはREINSに登録することをわずらわしく思う会社が、少なからず存在します。REINSに登録した場合、売り手と買い手の両方から仲介手数料を受け取れなくなるからです。
不動産会社でなければ、REINSを確認することはできませんが、REINSに登録すると「登録証明書」が発行されます。その証明書には登録IDとパスワードが表示されており、依頼した物件の登録内容が確認できます。
登録証明書がもらえない・登録されているが間取り図面が無いなど、情報が不十分な場合は媒介契約を見直しましょう。専属専任媒介契約であっても、解除は可能です。必ず文書で通知しましょう。
個人売買であれば費用を削減できる
(REINSを除く)これらを売主自身が直接売却する個人売買を行うことで、不動産会社や代理店に支払う手数料を節約できます。しかし、集客にかかる時間と費用を負担しなくてはなりません。来るかどうかも解らない顧客に手間ひまをかける行為は相当な覚悟が必要です。
不動産会社に依頼すると事務作業の手間が省ける
一方、不動産会社や代理店に依頼した場合は手数料がかかりますが、集客はもちろんのこと売却に必要な書類や契約書の作成業務を任せることが可能です。
そもそも不動産の売買自体が特殊な取引です。中でも再建築不可物件は一般的な物件と異なります。売却に際して役所などに届けを出さなければならないこともあるため再建築不可物件の売却に際しては、不動産会社や専門家に相談することを強くお勧めします。
2-2.再建築不可物件の売却方法
次に売却方法です。主に以下の6つの方法があります。
- 再建築不可のまま売却する
- 隣地を購入して再建築可能にして売却する
- セットバックを行って再建築可能にして売却する
- ただし書きの規定許可を得てから売却する
- 位置指定道路の申請をしてから売却する
- 隣地の所有者に売却する
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2-2-1.再建築不可のまま売却する
再建築不可物件を再建築不可と割り切る一番オーソドックスな方法です。買主にとってはリスクが高くなるため、注意が必要になります。
最大の難関は買主に再建築不可の状態を明示し承諾してもらうことになり、再建築不可の物件を売却する場合は、役所に届けを出さなければなりません。
買主に再建築不可の理由を含めて物件の現状を詳細に説明することで、リスクを理解してもらうことがポイントとなります。そのリスクが高いことから、一般的な物件よりも価格が安くなることは避けられません。
また、もう1つ加味しなくてならないことがあります。再建築不可物件は土地の価値が著しく低いことから銀行のローンを組めません。買主は現金を用意しなければならないため、購入できる人も限られてきます。
再建築不可の物件の売却は専門的な知識だけでは不十分です。市町村によっては注意事項が異なるため、専門家に相談しましょう。
2-2-2.隣地を購入して再建築可能にして売却する
2つ目に紹介する再建築不可物件の売却方法は、隣地を購入して再建築可能物件として売却する方法です。
再建築不可物件の中には接道義務が果たせていない物件があります。接道義務とはその土地が道路に2m以上接していなければなりません。
しかし、隣地を購入することで土地と道路の接する幅が2m以上になることで、建築基準法第43条の基準を満たせ再建築可能物件として高値で売却が可能です。
隣地を購入する
隣地の所有者と契約して、隣地を購入してください。契約が成立したら、土地の広さ・価格・契約期間が記載された契約書を受け取ります。
隣地を購入したら、自分の物件を再建築可能な物件にするために、役所に再建築許可申請をしましょう。申請が受理されると、審議が行われたのちに、承認の流れになります。
建設計画を立てる
承認されると建設計画を立てられますが、建物の大きさ・形状・配置を決めてから工事を行いましょう。
新築の場合は建設期間が長くなりがちです。建設途中でも買い手がつくことは珍しくありませんから、募集を開始しても良いかもしれません。
これらの方法は費用が非常に高くなる他、膨大な時間がかかるため経済的に余裕がなければ難易度の高い方法です。
投資目的での購入はおすすめしない
また、後から隣地を購入することを前提に投資目的で購入することは、お勧めできません。例えばあなたが隣地の地主だったとします。投資家と名乗る見ず知らずの人が隣の再建築不可物件を二束三文で購入して、さらにあなたの土地を相場で購入したいと言ってきました。
あなたはどうしますか?仮にあなたが相手に相場の価格で土地を売却したとします。すると相手は二束三文で購入した再建築不可物件とあなたの土地を合わせて再建築可能な物件として売却を検討するでしょう。
付加価値が高くなっているため、かなりの好条件での売却が想像できます。そのような相手に気持ちよく相場の価格で土地を売却できますか?
価格が吊り上がることは必然かもしれませんが、隣地の所有者との契約がうまくいかないことも考えられます。どうしても隣地を購入して再建築可能にして売却したい場合、不動産の専門家に相談しましょう。
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2-2-3.セットバックを行って再建築可能にして売却する
セットバックとは建物を一定の距離後退させることでこの方法を取れば再建築不可物件が可能物件になります。建築基準法第43条で敷地と道路が2m以上接していることが定められているのです。
この時4m以上の道幅が必要なのですが、セットバックを行う狙いは4mの道幅を確保するためです。セットバックは以下の手順で行います。
セットバック計画を立ててください。具体的には建物を取り壊して後退した位置に新たに建設しその内容を計画書にまとめて、セットバックの許可申請を役所などで行ってください。
セットバックの許可が下りたら、工事を行います。工事が終わってから売却してもいいですし、工事段階から募集をかけてもかまいません。
ただし、前途で紹介した『隣地を購入して再建築可能物件にする』と同様に、高い費用と膨大な時間がかかりこの方法も経済的に難しくなるため、注意が必要です。
また、セットバック許可が下りないことも考えられます。当然、再建築ができなくなりますから、再建築可能な物件として売却することはできません。この方法については、役所や不動産の専門家に相談しましょう。
2-2-4.ただし書きの規定許可を得てから売却する
ただし書きの規定許可とは、無接道敷地に関する救済措置です。建築基準法第43条では、『建築物の敷地は道路に2m以上接していなければならない。』と定められています。この条文には続きがあり、無接道敷地に関する救済措置について記載されているのです。
この法律は有事の際、緊急車両を通行できるようにすることが根拠の1つです。条文の『ただし』以降の条件をすべてクリアすることで、ただし書きの規定許可を得られます。
具体的には
具体的には、広い空き地を有している・特定行政庁が支障がないと認めている・建築審査会の承認を得ていることです。解りやすくいうと、「道路に面していなくても、緊急車両が通行でき、かつ救助活動が行えること」などです。
これらの条件をクリアすることで無接道敷地であっても、消火活動・救助活動が可能と判断されるため、再建築が可能となります。
条件をクリアしていたとしても注意が必要で、許可の判断はそれぞれの地方自治体に任されています。ですが、明確な基準があるわけではありません。
結果として条件をクリアしているのに許可が認定されないこともあります。その場合は、再建築不可能物件として売却するしかありません。
投資目的であえて再建築不可物件として購入して、後からただし書きの規定許可を得ることは考えない方がよいでしょう。どうしても手続きをしなければならない場合は、役所や不動産の専門家に相談してください。
2-2-5.位置指定道路の申請をしてから売却する
位置指定道路とは、建築基準法42条1項5号で定められている『民間で整備された道路』のことです。例外はありますが、私道の大半はこれに相当します。
前途の『ただし書きの規定許可を得てから売却する』でも触れましたが、建物は幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。位置指定道路の申請は私道には接しているが、公道には接していない場合に有効です。
ですが、既に所有している物件がこれに当てはまることは、ほぼありません。なぜなら、この申請は不動産の販売前に売却元が役所などの地方公共団体に対して行っていることが多いからです。
仮に申請を行う場合、不動産の所有者・名前・住所・不動産の位置・面積・用途などを記載した申請書を提出します。申請が承認されると位置指定道路として承認されるため、売却が可能です。
道路が位置指定道路として認められることで、不動産が道路に接していると判断されます。そして物件の売却時には道路の利用権と併せて売買しなければなりません。
注意点ですが、位置指定道路には所有者が存在します。多くの場合、位置指定道路と物件の所有者は同じです。分譲地の場合は、位置指定道路を複数人で所有しています。
この手続きでは位置指定道路の所有者を明確にする必要があります。不明な場合は、必ず確認しましょう。
2-2-6.隣地の所有者に売却する
再建築不可物件を隣接する土地の所有者に売却することもできます。再建築不可物件・売却方法の2つ目に紹介した『隣地を購入して再建築可能にして売却』の逆パターンです。
隣接する土地の所有者は、新たに入手した再建築不可物件と所有していた土地を統合して、再建築可能物件として販売できます。土地の利用価値を高める点では、前途と同じです。
基本的な取引は通常の売却と同じですが、双方が売買価格に納得できれば不動産の売買契約書を作成して契約を交わします。ただし、再建築不可物件の所有者が位置指定道路を所有している場合、位置指定道路の申請を売却前に行うことが必要な場合があります。
この場合、前途と同様に不動産の所有者・名前・住所・不動産の位置・面積・用途などを記載した申請書の提出が必要です。位置指定道路として承認されると、位置指定道路も合わせて売却します。
新たに再建築不可物件と位置指定道路を購入した隣地の所有者は、自身の土地を合わせることで価値を高めることができ再建築可能物件として売却が可能です。
トラブルを避けるためにも、不動産の専門家に相談した方が、近道といえるでしょう。
3.建物が再建築不可になる原因は?
建物が再建築不可になる原因を改めて確認してみましょう。原因は様々ですが、以下の7つの理由が考えられます。
- 建物が耐震性に欠けている
- 文化的に重要な建物である
- 自然環境や地形上の制約がある
- 法律上の規制や制約がある
- 経済的な理由
- 建築基準法の要件を満たしていない
- 緊急車両が入れない
3-1.建物が耐震性に欠けている
古い建物は現在の建築基準に達していないことが多く、耐震性が低い建物です。耐震性が低いという物理的な理由で、再建築が困難になります。
3-2.文化的に重要な建物である
歴史的建造物・文化遺産として重要な建物は、文化的な価値が高い建物です。保存の観点から、再建築が難しいと判断されます。文化的に価値の高い物件の場合は、維持にあたって地方自治体の補助が受けられることがあるのです。
一例ですが、岐阜県高山市の上三之町(かみさんのまち)では、古い町並みの維持に即して助成金を受け取れます。建物の正面を維持していれば、中をリフォームしても問題ありません。場合によっては住む方がメリットがあるため、売却には慎重な判断を要します。
3-3.自然環境や地形上の制約がある
自然環境や地形上の制約が理由で建物の再建築が困難な場合もあり、特に山岳地帯・河川沿いなどが該当します。山岳地帯であれば建設重機すら入れないなど物理的な要因が多く、河川沿いであれば環境保全が理由の1つです。
3-4.法律上の規制や制約がある
法律や規制上の制約があり、再建築不可物件となることもあります。所有権・土地使用権・法律上の問題・地方自治体の規制など、様々な理由で建物を再建築することが困難になることも少なくありません。
3-5.経済的な理由
再建築不可物件から再建築可能物件へ変更できる場合でも、費用や労力が大きすぎると所有者の負担が大きくなります。結果的に経済的な理由であきらめる場合も、少なくありません。
物件ごとに、原因は異なります。また建築不可の理由が同じでも、物件の特性に応じて対応が異なるため結論を急がずに不動産の専門家に相談してください。
3-6.建築基準法の要件を満たしていない
建物が再建築不可物件になる原因の多くは、建築基準法の要件を満たしていないことです。建築基準法では、建築物の建設・改修・増改築などに関する規定を定めています。もちろん建築物の耐震性・火災防止・避難安全・風荷重設計なども詳細に定められています。
建物が古く、建設されたのが建築基準法が改正される前であれば、現在の建築基準に適していないことが多いです。そのため、耐震性や火災防止などの基準を満たしていません。
これらの条件をクリアするために、大規模な改修や再建築が必要になります。当然、費用や労力が大きすぎるため、再建築が困難になってしまいがちです。
文化的に重要な建物は、再建築すると文化的な価値が損なわれます。そのため再建築の許可自体、非常に難しくなります。
これらの建物は、地方自治体からの指示で維持管理に努めていることが多いため、物件の所有者は自治体から補助金を受け取ることが可能です。
3-7.緊急車両が入れない
緊急車両が入れないことも、再建築不可物件となってしまう原因の1つです。理由は明白で建物の周囲の道路が狭い、あるいは駐車場がない場合は緊急車両が停車できません。そうなると緊急時の消火活動・救助活動が困難になるからです。
そのために、建築基準法では『建築物の敷地は幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない。』と定められています。この様な建物が緊急時に対応できる様にするためには道路を拡幅したり、駐車場を増設したりする必要があります。
対策のために工事をしようとしても周辺住民が反対している、あるいは土地の所有権に問題があればできません。その土地に長く住んでいる人にとっては、道路の拡幅や駐車場の増設を行うことが、建物の周辺環境を大きく変えている様に感じるからです。
他にも建物が古い場合には、現在の建築基準に適し ていないことが多く道路の幅も当時の慣行にそって狭い仕様です。残念ですが、この場合も再建築不可物件として扱わなければなりません。
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4.再建築不可物件の売却が難しい理由は?
再建築不可物件の売却が難しい一番の理由は、再建築ができないからです。一般的に木造住宅の寿命は30年・リフォームして50年といわれています。築年数が経過すると当然建て替えることが必要になります。
ですが、再建築不可物件ではそれができないのです。再建築不可物件を再建築可能物件にする方法をいくつか紹介しましたが、建築基準法・文化財保護法などの法律の制約があるといっきにハードルが上がります。
4-1.維持管理費用が高い
また、買い手が再建築不可物件と割り切って購入していたとしても、維持管理費用が高いとメリットが少なくなります。投資用物件であれば利回りを圧迫するため、なおさらです。
これは不動産に限ったことではありませんが、市場価格は需要と供給のバランスによって変化します。再建築不可物件が買い手にとって魅力的でない場合は、欲しいと感じる人が少なくなりがちです。そうなると価格は下がるか、悪いと売却ができなくなります。
4-2.不確実性が高い
他にも再建築不可物件の評価には不確実性が高い側面があります。地方自治体が判断しており、各自治体ごとに判断が別れるからです。これは買い手にとって非常に大きなリスクです。売却をより難しくしているといえるでしょう。
4-3.再建築の費用が高額
再建築不可物件の改修や再建築の費用は、高額になりがちです。それだけでなく、改修や再建築をするための届け出も必要となり、手間もかかります。金銭面以外にも買い手の負担となるため、売却が非常に難しくなるのです。
ということで、再建築不可物件の売却を難しくしている要因は、法律の制約・維持管理費用が高い・買い手が少ないことです。
4-4.買主が住宅ローンを組めない可能性がある
再建築不可物件は住宅ローンを組めない可能性があり、このことが売却をより一層難しくしています。
不動産の価格は『土地+建物』の合計金額で表示され、再建築不可物件の場合において再建築不可な土地にある建物を指します。そうなると土地の価値は、ほぼありません。
建物だけに価値がつくため、金融機関の評価が低くなります。結果的に担保としての価値がなく、ローンを組むことが非常に困難です。
4-4-1.投資用案件向けのローンであれば可能性がある
例外として、投資用案件向けのローンであれば、審査が通過する可能性があります。その反面、金利が高く借入期間も短くなることが多いです。
金融機関によっては都市部に限定されています。物件価格が安価になりがちな地方部で、わざわざリスクを冒して再建築不可物件を購入するメリットがないと判断されるからです。
これらの観点から、買主は物件の購入に際して現金を用意しなければなりません。現金で数百万円、あるいは数千万円を用意することは並大抵ではなく、購入可能者が限定されることはいうまでもありません。
4-5.買主が建て替えを行うことができない
建て替えの定義は、既存の建物を取り壊して新たな建物を立てることです。当然ですが、買主が再建築不可物件を購入しても、何もアクションを起こさなければ、永遠に再建築不可物件として扱われます。買主は建て替えを行うことができません。
4-5-1.建築基準法の制約がある
再建築不可物件は、建築基準法の制約があるため、建て替えを行うことができません。また、文化的に重要な建物の場合には、建て替えすることで文化的な価値が損なわれる恐れがあり、文化財保護法により建て替えを行うことが難しくなります。
結果的に買主は既存の建物を使用することになり、新しい建物を建てられなくなるため、売却が難しくなります。
4-5-2.維持管理費用が高額
また、再建築不可物件は維持管理費用も高額になりがちです。買主が所有するメリットが少なくなってしまいます。特に投資用として購入した場合、利回りを圧迫されるので、購入意欲が薄くなってしまうのです。
売主・買主を問わず、建て替えができないという点が、売却をより一層難しくしています。
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5.再建築不可物件の価格相場は?
地域・物件の状態・利用目的に左右されますが、再建築不可物件の価格相場は、相場よりも安価になります。特に新築物件と比較すると非常に安くなります。
これは、再建築不可物件の維持管理費用が新築物件に比べて高いからです。また、利用目的も制限されていることも、理由の1つです。
5-1.例外的な場合も
ただし、文化的に重要な建物や歴史的に価値のある再建築不可物件の場合は、これに該当しないことがあります。これらの再建築不可物件には、文化的な価値や歴史的な価値に対してプレミア価格が付くことがあるからです。
また、再建築不可物件の価格相場は、新築住宅と同様に地域差が生じます。都市部の高級住宅地に位置する場合は高価格で取引される一方で、地方の場合には、安価な価格で取引されます。欲しいと思う人が多いか、少ないかで価格相場が変動するためです。
再建築不可物件の価格相場は、地域・物件の状態・利用目的で変動します。新築物件と比較すると安価ですが、文化的・歴史的に価値のある建物の場合は、高額になることがあります。
6.再建築不可物件を売却するポイントは?
再建築不可物件を売却するにはいくつかポイントがあります。主に以下の7つです。
- 道路の位置指定の申請
- 土地利用効率の観点からの取引
- 相場の調査
- 市場のニーズに合わせる
- 建物をリフォームする
- 不動産会社に仲介を依頼する
- 専門業者に買取を依頼する
6-1.道路の位置指定の申請
再建築不可物件が建築基準法42条1項5号で定められている『民間で整備された道路』に接している場合、位置指定道路の申請をすることで再建築可能となります。
6-2.土地利用効率の観点からの取引
再建築不可物件には建設できませんが、買主にとって土地利用効率が上がる場合は取引が可能です。例えば、 買主が公道に接した隣接の土地を所有していた場合、建築不可物件と合わせることで建築可能です。
当然、敷地が広くなるため有効活用できるほか、売却時の価格も上がります。
6-3.相場の調査
再建築不可物件単体の相場は通常の土地よりも低くなります。欲しいと思う人が少なくなるからです。売却価格については適切な相場調査をしましょう。足元を見られがちですが、仕方ありません。
6-4.市場のニーズに合わせる
また、再建築不可物件の売却の際、買主の希望に合った取引をすることが重要です。住宅ローンは組めないことが多く、現金取引が中心となります。農業用地・遊歩道・駐車場・資材置き場など、相手の利用目的を考慮して取引を進めましょう。
再建築不可物件の売却は、多くの法的な手続きが必要です。法律上の問題にも注意しながら取引をすすめましょう。場合によっては地方自治体の窓口や弁護士に相談するとよいでしょう。時には買手側の手数料・保証金なども考慮する必要があるかもしれません。
6-5.建物をリフォームする
再建築不可物件は再建築は不可ですが、建物のリフォームは可能です。売却にあたり、リフォームすることが重要といえます。リフォームによって、外観・インテリアが新しくなります。
所有者自身が住む場合でも、第三者に貸す場合でも魅力的な提案です。 構造上に問題を抱えている場合は、問題を解決したうえで、居住性を向上させることが可能です。
リフォームは、様々な可能性を秘めています。居住空間の拡大・内装(クロスなど)や建具(窓・ドア・フローリング・階段など)が新しくなる・屋根の交換などがあります。
再建築不可物件は売却を難しくしているだけで、住むことは問題ありません。リフォームで再建築不可物件を買主にとって魅力的な物件にすることで売却の可能性が一層広がります。
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6-6.不動産会社に仲介を依頼する
不動産会社に仲介を依頼することが再建築不可物件を売却するためのポイントとして、一番お勧めします。不動産会社は、販売の準備から契約・取引完了までの一連のプロセスをサポートし、売却をスムーズに進めるノウハウがあります。
これらはプロの領域で長年の実績でもあるため、素人が真似ることはできません。また、不動産契約における重要事項の説明には宅建の免許が必要です。これらの観点からも、不動産会社に仲介を依頼しましょう。
6-6-1.依頼をされた不動産会社の動き
依頼を受けた不動産会社は、物件を評価して正確な価格を決定します。ここからは物件の販売のタイミング・市場の動向を見計らい、販売戦略を立てるのです。
次に、不動産会社は、物件の宣伝広告を行って集客を試みます。具体的には自社のHP・SNS・不動産情報誌・住宅情報サイトで物件をPRします。他にも不動産会社だけが閲覧できるREINSという不動産情報システムを用いた集客も可能です。
REINSに登録すると登録証明書が発行されるため、必ず不動産会社から受け取るようにしましょう。悪意を持ってREINSに登録しない・登録証明書を依頼主に渡さない不動産会社も存在するため注意してください。
集客を得て申し込みに至ると、不動産会社は契約書の作成や公正証書の発行など、契約手続きをサポートを行います。不動産会社は、契約書に記載される条件・手数料・重要事項の説明などを行う義務があります。
再建築不可物件の売却に限りません。
6-7.専門業者に買取を依頼する
不動産会社にも得手不得手があります。そのため再建築不可物件の売買を生業・専門としている会社(以下:専門業者)も存在します。売却するためのポイントとして、専門業者に買取を依頼することも方法の1つです。専門業者に限らず、不動産会社は不動産業界に精通しています。専門業者であれば、再建築不可物件の買取に特化しているため、多くのノウハウと実績を持っています。
大まかな流れは不動産会社に依頼した場合と同じです。物件の査定・集客・契約・引渡をサポートします。唯一のデメリットは業者買取となるため、価格は安くなります。
ですが、専門業者も仕入れを行っているわけです。現金化がスムーズにできない場合は在庫となるため、それ相応のリスクが生じます。ある程度、価格が下がることはやむを得えません。しかし、売却を急ぐ人にとっては大きなメリットといえます。
7.再建築不可物件の情報について知りたいなら
再建築不可物件の情報を知りたいのであれば、不動産会社に問い合わせることをお勧めします。住宅情報サイトなどで確認できることもあるかもしれませんが、やはり専門家におまかせすることが一番です。
少し話はそれますが、再建築不可物件には物件に文化的な価値がある場合と、美しい自然環境を維持するために再建築不可に指定されている場合があります。素晴らしい文化や美しい自然を、我々は次の世代に引き継がなければなりません。
情報を得ることは悪いことではありませんが、必要以上に干渉することには感心できません。特に投資目的の場合は、周囲と温度差が生じる場合があります。周りの環境に配慮するように心掛けましょう。
おうちクラベルでは不動産一括査定が可能です。複数の不動産会社への査定依頼ができるため、是非ご利用ください。
8.再建築不可物件の売却を検討しているなら査定を受けてみよう
再建築不可物件の売却を検討している方は、専門家に査定を依頼してください。査定は、建物・土地の歴史的背景・文化的な価値・自然環境を評価して、価格を算出します。
査定を受けることで、今後の集客の方法・方針・売却のタイミングが決まるのです。また、査定をきっかけに再建築不可物件を所有する上での制限や義務を明確にできます。
歴史的・文化的に価値のある再建築不可物件の売却には、文化庁や地方公共団体などの手続きが必要になります。売りたいと思ったタイミングが吉日であるため、直ぐに専門家に依頼しましょう。