不動産を売却する際には、税金や仲介手数料などさまざまな費用がかかります。
かかる費用を考えずに不動産を売却してしまうと、想定した金額が手元に残らない可能性があります。また、住宅ローンの支払いが残っている物件の場合は、売却時にローンを一括返済できるかどうかも考慮しなければなりません。
そこで今回は、不動産の売却に必要な費用や計算方法、費用を抑えるためのポイントなどについて解説します。
1.不動産売却にかかる費用を紹介!
不動産を売却する際には、様々な費用がかかります。ここでは、不動産を売却する際にかかる主な6つの費用について解説します。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 譲渡所得税・住民税
- 登録免許税
- 抵当権抹消費用
- 住宅ローン返済手数料
1-1.仲介手数料
まず、不動産を売却する際の方法には、「仲介」と「買取」という2種類があることをおさえておく必要があるでしょう。
仲介とは、売主が不動産会社に広告掲載などの販売活動を依頼し、買主を見つける方法のことです。一方、買取とは、不動産会社が売主から直接不動産の買い取る方法です。
もちろん、個人で不動産を売却できないわけではありません。
しかし、不動産売却では大きなお金が動くことになりますので、トラブルを避けるためにも不動産会社に依頼するほうが安心でしょう。
買取は不動産を素早く売却できる方法ではありますが、仲介に比べて売却価格が2〜3割程度低くなってしまいます。
そのため、より高い価格で売却を望む方の場合、仲介を選択するのが一般的です。
そして、仲介により不動産の売却が成立した際に、不動産会社へ支払う成功報酬が「仲介手数料」です。
1-1-1.仲介手数料の上限
仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法という法律で以下のように定められています。一般的には、上限額を請求する不動産が多いです。詳しい算出方法は後ほど解説します。
- 売却価格200万円以下→仲介手数料の上限額の売却価格×5%(+消費税)
- 売却価格200万円超、400万円以下→仲介手数料の上限額の売却価格×4%+2万円(+消費税)
- 売却価格400万円超→仲介手数料の上限額の売却価格×3%+6万円(+消費税)
1-2.印紙税
印紙税とは、不動産の売買契約の際に収める税金のことです。実際には、売買契約書に収入印紙を貼り付けることで税金を納めたことになります。
この印紙税は、売主と買主が平等に支払う義務があります。しかし、不動産会社によっては売主に全額負担を求めることも多いです。
全額負担を求められた際には、半額ずつの負担を求められることも知っておくと良いでしょう。
どちらにしても、法律に則った安全な不動産取引を行うために必要不可欠な費用であることは理解しておくべきです。
1-2-1.印紙税一覧
印紙税の金額は、契約金額により以下のように定められています。
- 契約金額10万円超え 50万円以下のもの→本則税率は400円、軽減税率は200円
- 契約金額50万円を超え 100万円以下のもの→本則税率は1,000円、軽減税率は500円
- 契約金額100万円を超え 500万円以下のもの→本則税率は2,000円、軽減税率は1,000円
- 契約金額500万円を超え 1万円以下のもの→本則税率は1万円、軽減税率は5,000円
- 契約金額1,000万円を超え 5,000万円以下のもの→本則税率は2万円、軽減税率は1万円
- 契約金額5,000万円を超え 1億円以下のもの→本則税率は6万円、軽減税率は3万円
- 契約金額1億円を超え 5億円以下のもの→本則税率は10万円、軽減税率は6万円
- 契約金額5億円を超え 10億円以下のもの→本則税率は20万円、軽減税率は16万円
- 契約金額10億円を超え 50億円以下のもの→本則税率は40万円、軽減税率は32万円
- 契約金額50億円を超えるもの→本則税率は60万円、軽減税率は48万円
引用:国税庁
例えば、売却価格が2,000万円だとすると、印紙税は2万円です。また、平成26年4月から令和6年3月31日までに作成される売買契約書については、軽減措置の対象となっています。
軽減措置の対象となる場合、売却価格2,000万円に対して、印紙税は1万円です。
印紙税の金額自体は、そこまで大きな額ではありません。
しかし、不動産売買契約を交わす際に必要な費用ですので、査定額を目安に印紙税がどれくらいかかるかを見通しておくと良いでしょう。
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必要な費用の算出に、是非お役立てください。
1-3.譲渡所得税・住民税
まず、不動産売却で得られる利益のことを「譲渡所得」といいます。譲渡所得とは、売却金額から取得費用や諸費用を差し引いた金額のことです。
取得費用や譲渡費用の内訳は、主に以下の通りです。
- 不動産取得費用:物件の購入費用、仲介手数料、印紙税
- 不動産譲渡費用:仲介手数料、印紙税
そして、不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税・住民税が課せられます。
つまり、不動産を売却して得た金額から上記の費用を差し引いた額がプラスになった場合には、譲渡所得とみなされます。
一方、マイナスになった場合には譲渡所得は無しなので、譲渡所得税や住民税を支払う必要はありません。
1-3-1.税率の区分
譲渡所得税・住民税については法律により税率が定められており、所得が大きくなればなるほど課せられる税金も増えます。また、不動産の所有期間によっても税率が異なります。
- 所有期間5年以下の場合→区分は短期譲渡所得、税率39.63%(譲渡所得税30.63%・住民税9%)
- 所有期間5年超えの場合→区分は長期譲渡所得、税率20.315%(譲渡所得税15.315%・住民税5%)
所有期間が5年以下と5年以上の場合で税率が変わるため、売却のタイミングにも注意しておきましょう。
どちらにしても、譲渡所得の有無や支払う税金の目安を知るためには、査定額を把握することが必要です。
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1-4.登録免許税
登録免許税とは、不動産を売却した際の「登記」にかかる費用のことです。分かりやすくいうと、不動産所有者の名義を変更する際に支払う税金のことです。
この名義変更のことを「所有者移転登記」といいます。所有者移転登記費用については、買主が負担するパターンが多いです。
しかし、詳しい取り決めがあるわけではありません。売主負担となる可能性もあるため、事前に不動産会社へ確認しておきましょう。
1-4-1.登記手続きを依頼するのは?
登録免許税は、登記手続きを依頼する司法書士へ支払うことが一般的です。
また、登録免許税は、譲渡所得税のように金額に応じて税率が変わるのではなく、課せられる税率が一律です。売買の場合には、以下の計算式で求められます。
登録免許税=固定資産税評価額×2%(本則税率)
登録免許税の算出に必要な「固定資産税評価額」は、固定資産税の納税通知書の明細で確認できます。
例えば、評価額が2,000万円の不動産の場合、登録免許税は40万円です。
登録免許税も不動産の売却価格によって大きさが変わるため、事前におおよその売却価格を把握しておくことがポイントになります。
不動産の売却価格の目安は査定を行うことで把握が可能です。おうちクラベルの不動産一括査定を是非ご活用ください。
1-5.抵当権抹消費用
住宅ローンを借りて不動産を取得した場合、万が一ローンを支払えなくなったときのことを考えて土地・建物を担保にします。この権利が「抵当権」です。
不動産売却時に売却金額で住宅ローンを完済する予定の方は、抵当権を抹消するための手続きを行うことになります。この時、抵当権抹消費用がかかることも覚えておきましょう。
抵当権抹消登記費用は、不動産1個につき1,000円と定められています。
戸建ての場合もマンションの場合も、土地と建物という2個の不動産から成り立っているため、2,000円となります。
また、このような登記手続きは司法書士に依頼することが一般的です。手数料として別途1〜2万円程度の費用がかかることも知っておくと安心です。
1-6.住宅ローン返済手数料
不動産売却を考えている方の中には、住宅ローンの返済が残っている方もいるかもしれません。
もしも住宅ローンの返済が残っている場合には、売却収入で住宅ローンを一括返済する必要があります。
1-6-1.住宅ローンを完済しきれない場合
また、売却金額だけで住宅ローンを返済できない場合、貯蓄などで補填して支払うことが必要です。
どちらにしても、住宅ローンを一括返済する場合には、繰り上げ返済の手数料がかかることを覚えておきましょう。
繰り上げ返済の手数料は、住宅ローンを借り入れた金融機関によって異なりますが、3万円程度のことが多いです。
また、窓口・電話・インターネットなど、手続きの方法により手数料が異なる場合もあります。
すべての金融機関がインターネットに対応しているとは限りませんが、インターネットでの手続きであれば、手数料を5,000円程度に抑えることも可能です。
住宅ローンを借り入れた金融機関がどのようなサービスに対応しているか、確認しておくと良いでしょう。
2.それぞれの費用の相場
これまでは税金や手数料についてお伝えしてきましたが、先ほど紹介した以外にも不動産の売却には費用がかかります。
例えば、修繕費・ハウスクリーニング費用・引っ越し費用・鍵の交換費用などです。
その他にも、戸建てや土地を売却するための確定測量にかかる測量費、古い家屋を解体して更地で売却するための解体費用などがかかることもあるでしょう。
すべての費用が必ず発生するわけではありませんが、不動産を売却する前にどのような費用があるのか確認しておくと安心です。
ここでは、それぞれの費用の相場について詳しく解説します。
- 修繕費・ハウスクリーニング費用
- 測量費・解体費用
- 引っ越し費用・鍵の交換費用
2-1.修繕費・ハウスクリーニング費用
これまでは税金や手数料についてお伝えしてきましたが、先ほど紹介した以外にも不動産の売却には費用がかかります。
例えば、修繕費・ハウスクリーニング費用・引っ越し費用・鍵の交換費用などです。
その他にも、戸建てや土地を売却するための確定測量にかかる測量費、古い家屋を解体して更地で売却するための解体費用などがかかることもあるでしょう。
すべての費用が必ず発生するわけではありませんが、不動産を売却する前にどのような費用があるのか確認しておくと安心です。
ここでは、それぞれの費用の相場について詳しく解説します。
- 修繕費・ハウスクリーニング費用
- 測量費・解体費用
- 引っ越し費用・鍵の交換費用
2-1-1.修繕費
戸建てやマンションを売却する際、リフォームをするか悩む方は少なくないでしょう。しかし、基本的には大規模なリフォームをする必要はありません。
なぜなら、リフォーム代金を売却金額に全額上乗せできるとは限らないからです。ただし、買主が生活に困らない程度に修繕を行う必要はあるでしょう。
例えば、トイレの水漏れ・キッチン蛇口の不具合・外壁のひび割れなどです。基本的には、買主の生活に支障が出るような不具合がある場合には、売主は申告する義務があります。
これらを隠して売却した場合、法律で罰せられる可能性がありますので、必要最低限の修繕はしておくことがおすすめです。
修繕にかかる主な費用の相場は、以下の通りです。
- トイレ:水漏れ補修は5,000円程度、バルブの交換は8,000円程度
- 浴室:壁や床の補修は2万~5万円程度
- 浴槽の補修:5万円程度
- キッチン:水漏れは5,000円程度
- 蛇口の交換:1万~2万円程度
- 外壁:部分的な補修は1万~10万円程度/1箇所あたり
- 全面的な張り替え:8,000円程度/1㎡あたり
- 洗浄:300円/1㎡あたり
- 屋根:雨漏り補修は20万円程度
- 白アリ駆除:1,000円~3,000円程度/1㎡あたり
しかし、近年では中古住宅をリノベーションしたいと考える方も多いです。不具合を申告した上で売却することも方法の1つといえるでしょう。
2-1-2.ハウスクリーニング費用
不動産売却に向けた広告掲載が始まると、内覧の申し込みが入るようになります。内覧時の印象を良くするためにも、ハウスクリーニングは有効です。
特に、内覧時の印象を左右する水回りは、ご自身で徹底的に掃除するのが難しい場所でもあります。多少費用はかかりますが、ハウスクリーニングを依頼するのがおすすめです。
トイレ・浴室・キッチンの水回りをまとめてパック料金で設定している場合もあります。
- トイレ:6,000円~1万円程度
- 浴槽:1万~2万円程度
- 洗面所:8,000円~1万5,000円程度
- キッチン:1万~2万円程度
- レンジフード・換気扇:1万円~2万円程度
不動産会社に相談をする
どちらにしても、ご自身で判断するのがむずかしい場合には、不動産会社へ相談するのがおすすめです。
おうちクラベルでは複数の不動産会社の中から、ご自身に合った不動産会社を見つけられます。頼れる不動産会社選びに、是非ご活用ください。
2-2.測量費・解体費用
測量や家屋の解体を行う必要がある場合、それらの費用も負担しなければなりません。測量費・解体費用について、それぞれ詳しくみていきましょう。
2-2-1.測量費
隣地との境が不明確な場合には確定測量を行わなければ、戸建てや土地を売却することはできません。
このような場合、隣地の所有者と土地家屋調査士が立会いのもと、売却したい土地・不動産の地積の測定や境界の正確な測量を行う必要があります。確定測量にかかる費用の内訳は以下の通りです。
- 相談料:3,000円~4,000円程度 ※無料の場合もあり
- 事前調査:6万円~10万円程度
- 測量業務:12万円~14万円程度
- 書類作成:2万円~5万円程度
- 民有地境界画定:2万円程度
- 官民有地境界画定:6万円~10万円程度
- 登記費用:2万円~3万円程度
これらの内訳はあくまでも目安であり、土地の広さや状況などにより費用を上乗せされることが多いです。
相場としては、隣地が民有地の場合が約35万円〜45万円程度です。一方、隣地が国や行政の所有地だった場合には、60万〜80万円程度の費用がかかることもあります。
2-2-2.解体費用
古い家屋を取り壊し、更地にして売却する際には、解体費用がかかります。また、今ある建物を取り壊してから新しい建物を建てて売却する場合も同様です。
解体費用は、建物の構造により異なります。
- 木造、38坪の場合→解体費用76万~190万円、坪単価2万~5万円
- 鉄骨造、38坪の場合→解体費用114万~266万円、坪単価3万~7万円
- 鉄筋コンクリート造、38坪の場合→解体費用152万~304万円、坪単価4万~8万円
戸建ての平均坪数は、38坪程度といわれています。構造により数百万円程度の差はあるものの、100万〜200万円程度が相場と考えておくと良いでしょう。
売却する前に解体を考えているのであれば、おおよその解体費用を調べておくと役立ちます。
2-3.引っ越し費用・鍵の交換費用
引っ越し費用や鍵の交換費用も忘れてはいけない費用です。特に家族で引っ越す場合には、引っ越し費用が10万円以上かかることもあります。
不動産の査定に加え、引っ越し査定を受ける必要もあるでしょう。
2-3-1.引っ越し費用
住んでいる家を売却する場合、引き渡し日までに引っ越しを済ませる必要があります。
引越し業者に依頼することなく自分の手だけで荷物・家具を移動できれば、引っ越し費用をおさえることも可能です。
しかし、荷物が多かったり大きい家具があったりする場合には、引っ越し業者に頼んだ方がスムーズに引っ越し作業が進むでしょう。
引っ越し費用に関しては引っ越し業者によって金額が異なりますが、2人暮らしの場合は、約5万〜8万円程度です。4人家族の場合、10万〜20万円程度かかることが多いです。
また、荷物の量・引っ越しの時期・移動距離などによっても価格が変わります。
複数の引っ越し業者へ査定を依頼し、比較・検討するのがおすすめです。
2-3-2.鍵の交換費用
戸建てやマンションを売却する際には、鍵を交換することになります。売主が負担することが一般的ですが、引き渡し後に買主が交換するケースもあります。
鍵の交換費用は種類によって異なりますが、1万〜3万円程度で交換が可能です。
3.主な費用の計算方法
不動産売却にかかる費用は、査定額を把握し、ご自身で計算できます。
不動産売却にかかる費用の中でも、おおよその費用を求められるのは、仲介手数料・譲渡所得税です。印紙税は、査定額と照らし合わせるだけで確認できます。
これらの費用は、不動産の売却価格によって変動するため、査定額をもとに把握することが必要です。
- 仲介手数料
- 譲渡所得税
- 印紙税
3-1.仲介手数料
仲介手数料の上限額が宅地建物取引業法という法律で定められていることは、冒頭でご紹介しました。ここでは、詳しい算出方法を確認しましょう。
- 売却価格200万円以下→仲介手数料の上限額は売却価格×5%(+消費税)
- 売却価格200万円超え、400万円以下→仲介手数料の上限額は売却価格×4%+2万円(+消費税)
- 売却価格400万円超え→仲介手数料の上限額は売却価格×3%+6万円(+消費税)
例えば、3,000万円で不動産を売却したとします。その場合、400万円超えなので「売却価格×3%+6万円(+消費税)」で求められます。
つまり、96万円(+消費税)です。不動産売却では、取引する費用が高額になるため、仲介手数料も高額になります。
大きな出費となるため、事前に目安を把握しておくことが大切です。
3-2.譲渡所得税
譲渡所得税・住民税については、所有年数により税率が異なることを説明しました。ここでは、その税率をもとに、具体的な金額を算出してみましょう。
- 所有期間5年以下→区分は短期譲渡所得、税率は39.63%(譲渡所得税30.63%・住民税9%)
- 所有期間5年超え→区分は長期譲渡所得、税率は20.315%(譲渡所得税15.315%・住民税5%)
まず、譲渡所得を求めるためには、不動産の取得費用を整理することが必要です。取得費用は、(土地・建物の購入費用+取得にかかった諸費用)-減価償却費で求めます。
ここで、「減価償却費」について説明します。減価償却費とは、不動産などの固定資産の取得にかかった費用を耐用年数で配分して算出した金額のことです。
例えば、3,000万円で取得したマイホームが、5年後も10年後も同じ価値であることはあり得ません。年々価値が下がっていくことはイメージができるのではないでしょうか。
不動産取得時の価格から減価償却費を差し引くことで、現在のマイホームの価値を算出できるという考え方です。
3-2-1.減価償却
減価償却は、経年により価値が下がっていく建物のみに適用され、土地には適用されません。減価償却費は、以下の式で求められます。
減価償却費=建物の購入費用×0.9×償却率×経過年数
不動産の耐用年数は構造によって異なるため、償却率も構造により異なります。
- 木造の場合→耐用年数33年、償却率0.031
- 鉄骨造の場合→耐用年数40年、償却率0.025
- 鉄筋コンクリート造の場合→耐用年数70年、償却率0.015
例えば、2,000万円で購入した鉄筋コンクリート造(経過年数3年)の建物で計算してみましょう。
(建物の購入費用2,000万円+建物購入時の諸費用30万円)×0.9×0.015×3=82万2,150円
では、この物件を3,500万円で売却できたと仮定し、計算を続けていきます。土地の購入費用は1,000万円・土地購入の諸費用は30万円・譲渡費用は100万円とします。
3-2-2.譲渡所得
譲渡所得は、売却価格から取得費用や譲渡費用を差し引いた額ですので、式は以下の通りです。
譲渡所得=売却価格3,500万円-取得費(建物2,000万円+土地1,000万円+諸費用合計50万円-減価償却費82万2,150円)-譲渡費用100万円
ここで、532万2,050円という金額が算出できました。
さらに、譲渡所得税・住民税を算出していきましょう。所有年数が5年以下の場合、税率は39.63%です。
譲渡所得税の計算では100円未満は切り捨てとなるので、532万2,050円×39.63%=210万9,100円となります。
一見難しそうにも思えますが、式に当てはめるだけで計算できます。是非参考にしてみてください。
3-3.印紙税
先にも述べましたが、印紙税は以下のように定められています。
- 契約金額10万円超え 50万円以下のもの→本則税率は400円、軽減税率は200円
- 契約金額50万円を超え 100万円以下のもの→本則税率は1,000円、軽減税率は500円
- 契約金額100万円を超え 500万円以下のもの→本則税率は2,000円、軽減税率は1,000円
- 契約金額500万円を超え 1,000万円以下のもの→本則税率は1万円、軽減税率は5,000円
- 契約金額1,000万円を超え 5,000万円以下のもの→本則税率は2万円、軽減税率は1万円
- 契約金額5,000万円を超え 1億円以下のもの→本則税率は6万円、軽減税率は3万円
- 契約金額1億円を超え 5億円以下のもの→本則税率は10万円、軽減税率は6万円
- 契約金額5億円を超え 10億円以下のもの→本則税率は20万円、軽減税率は16万円
- 契約金額10億円を超え 50億円以下のもの→本則税率は40万円、軽減税率は32万円
- 契約金額50億円を超えるもの→本則税率は60万円、軽減税率は48万円
引用:国税庁
また、平成26年4月から令和6年3月31日までに作成される売買契約書については、軽減措置の対象です。令和6年3月31日までに売却をお考えの方は、「軽減税率」の欄をご確認ください。
おおよその売却価格を把握するためには、不動産一括査定が便利です。おうちクラベルの不動産一括なら60秒入力で査定の依頼が可能です。是非、諸費用の把握にお役立てください。
4.不動産売却に必要な費用を理解しておこう
不動産の売却に必要な費用は手数料・税金の他にも、建物の修繕費・ハウスクリーニング費など様々な費用がかかります。
特に、ローンの返済が済んでいない状態で不動産を売却する場合、慎重に資金計画を立てる必要があるでしょう。
また、修繕・ハウスクリーニングは多少コストがかかるものの、買主に好印象を与える可能性があります。前向きに検討することがおすすめです。
どちらにしても、資金計画を立てる際には、査定額を知る必要があります。おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは、60秒入力で査定の依頼ができます。
忙しい方も是非ご活用ください。
5.仲介手数料を抑えるためのポイント
ここまで売却にかかる費用について解説しましたが、費用を抑える方法が気になる方もいるでしょう。ここでは、仲介手数料を抑えるための方法をご紹介します。
5-1.個人売買または買取を利用する
仲介手数料は不動産会社に仲介を依頼し、売却が成立することで発生する手数料です。つまり、個人で売買する場合、仲介手数料は発生しません。
例えば、親戚や知人の中に購入希望者がいる場合には有効かもしれません。しかし、専門家のサポートがなく、全て自分で手続きを行う必要があります。
万が一契約不履行に発展した場合には、仲介手数料以上の出費になる可能性があることは知っておくべきでしょう。
また、冒頭でも触れましたが、不動産会社に直接買い取りを依頼する「買取」という売却方法もあります。
この場合、仲介手数料はかかりません。しかし、仲介による売却に比べ、売却価格は2〜3割程度下がることが一般的です。
どちらを選ぶのが良いかは売却価格により異なりますので、査定額をもとに検討してみてはいかがでしょうか。
5-2.複数の不動産会社の仲介手数料を比較する
不動産会社の仲介手数料を比較することで仲介手数料を抑えられる可能性もあります。
仲介手数料は不動産会社によって異なり、上限額で設定している不動産会社や上限額よりも低く設定している不動産会社があります。
そのため、様々な不動産会社の仲介手数料を比較し、中でも仲介手数料が低く設定されている不動産会社に依頼するのも1つの手です。
この他にも、直接不動産会社に値引き交渉をするという方法もあります。
しかしながら、不動産売却に必要な費用は仲介手数料だけではありません。他の費用についても考慮した上で、慎重に資金計画を立てる必要があるでしょう。
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6.税金を抑えるためのポイント
3,000万円の特別控除、10年超所有軽減税率の特例、譲渡損失の繰越控除という非課税もしくは税金を抑えるための制度について確認しておくこともポイントです。
適用には条件がありますが、条件に当てはまれば大きな節税となります。それでは詳しく確認していきましょう。
- 3,000万円特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
- 譲渡損失の繰越控除
6-1.3,000万円特別控除
譲渡所得税・住民税については先に解説しましたが、予想以上に税金がかかると感じた方も多いのではないでしょうか。
しかし、「3,000万円特別控除」という制度を利用すれば、所得税や住民税が非課税になります。
この制度は、不動産売却による譲渡所得が3,000万円以下の場合に適用となります。譲渡所得とは、売却価額から取得費用や譲渡費用を差し引いた額です。
多くの場合、マイホームを売却して3,000万円以上の利益が出ることは非常に稀なケースですので、多くの方が利用できる制度といえるでしょう。
しかし、この制度が適用となるのは、自宅や相続した空き家を売却した場合のみです。別荘などの場合には適用できません。
また、3,000万円特別控除を受けるためには確定申告を行う必要があります。適用には様々な条件もありますので、対象となるかどうか不動産会社へ相談することがおすすめです。
6-2.10年超所有軽減税率の特例
10年超所有軽減税率は、不動産を所有した期間が10年を超えた場合に譲渡所得税の税率が軽減されるという特例です。この制度は、3,000万円特別控除と合わせて利用できます。
税率は、以下の通りです。
- 譲渡所得6,000万円以下:税率14.21%(譲渡所得税10.21%+住民税4%)
- 譲渡所得6,000万円超え:税率20.315%(譲渡所得税15.315%+住民税5%)
例えば、不動産の所有期間が11年の場合の税率は、通常20.315%(譲渡所得税15.315%・住民税5%)です。
例えば、1,000万円の譲渡所得を得たとすると、税額は203万1,500円となります。
一方、特例を利用した場合は14.21%(譲渡所得税10.21%+住民税4%)ですので、税額は142万1,000円です。約60万円の節税となることが分かります。
こちらの特例も、細かい条件があり、確定申告を行う必要もあります。所有年数が10年を超え、譲渡所得が見込める場合には、是非不動産会社へ相談してみてはいかがでしょうか。
6-3.譲渡損失の繰越控除
譲渡損失とは、その名の通り、不動産を売却したときに発生する損失のことです。
例えば、住宅ローン返済が済んでいない戸建てを売却し、住宅ローンを一括返済したことで損失が生まれてしまった場合などが挙げられます。
このような場合、譲渡損失の繰越控除により、税金の軽減措置を受けることが可能です。
こちらの控除を受ける際にも確定申告が必要となります。これらの控除の詳細については、不動産会社や税理士に相談しましょう。
7.不動産売却時には資金計画を立てることが大切
不動産を売却する場合には、利益だけが生じるわけではありません。税金や必要手数料など、様々な費用が必要です。
場合によっては、税金や手数料を支払った後は何も手元に残らなかったり、損失が生まれてしまったりする可能性も考えられます。
支払う必要がある税金や手数料の詳細を把握し、事前にしっかりと計画を立てるようにしましょう。
特に大きな出費となる税金や手数料の目安を把握するには、不動産の査定額を把握する必要があります。
おうちクラベルの不動産一括査定であれば、一度に複数の不動産会社に査定の依頼ができます。是非ご利用ください。
8.不動産売却では収支をしっかり確認しよう
不動産売却では大きなお金が動くため、出費も多くなります。税金や手数料などの費用を把握していない場合、大きな損失を招く恐れがあるため注意が必要です。
特に、住宅ローンの返済が済んでいない方の場合、売却金額で住宅ローンを一括返済しなければいけません。住宅ローンの残債額も合わせて確認しておくようにしましょう。
おうちクラベルの不動産一括査定サイトでは、24時間査定の申し込みが可能です。是非不動産売却の資金計画にお役立てください。