不動産売買に諸費用・税金はどれくらいかかる? 仲介会社の選び方も解説

土地や建物といった不動産の売買は、人生の中で何度も経験する方は多くいません。取引金額が大きいだけでなく、法律上複雑な部分もあり、進める中で戸惑いや不安を感じる場面が多くあります。

また、不動産売買では、不動産自体の取引価格以外にも、様々な手数料や税金・費用も発生するため、具体的に売買活動をスタートさせるために、全体像を知っておく必要があります。

本記事では不動産売買において必要になる費用を踏まえながら、納得のいく取引を実現するために味方につけたい、不動産仲介会社の見極め方についても解説します。

不動産売買に関する基礎知識を身に着けて、賢く取引を進めましょう。

1.不動産売却の取引パターン

まずは不動産の売却について述べていきます。不動産を売却する方法には、大きく分けて2つの取引パターンがあります。1つは「仲介」、もう1つが「買取」です。

1-1.仲介

仲介とは、不動産売買の当事者である売主と買主の間に、不動産仲介会社が入って第三者の立場からサポートを行う取引方法のことを指します。不動産の売却においては、この仲介の形がとられるのが一般的です。

仲介の方法で不動産を売却するメリットは、効率よく取引を進められる点、そして売主と買主の間に生じる可能性のあるトラブルを未然に防げるという点にあります。

不動産の売却先を売主個人で見つけることは難しく、いざ購入希望者が見つかっても、価格交渉や契約書類の作成など、多くの手間や労力がかかります。さらに、不動産は取引価格が大きいという性質上、双方に法律に基づいた責任が課せられることになるため、場合によっては法的トラブルに発展する可能性も否定できません。

不動産仲介会社には、不動産取引を行う資格を持った宅地建物取引士が在籍しています。売主と買主の間で法的トラブルが発生しないよう、契約書類の作成や、取引の対象となる不動産についての説明などを行うのが、宅地建物取引士の役割です。

不動産仲介会社に売却を依頼することで、売却活動をスムーズかつ安心して進められ、売主と買主双方にとって、納得のいく取引を実現できるのです。

ただし、不動産仲介会社に依頼して不動産を売却する場合、不動産仲介会社に成果報酬として支払う仲介手数料が発生します。仲介手数料の金額の計算方法は、後に詳しく解説します。

1-2.買取

不動産会社が買主となり、不動産の売却を希望する人から直接買い取る取引方法を「買取」と呼びます。買取は不動産の売却完了までに、時間がかからないことが最大のメリットです。

仲介の場合は、売主が不動産仲介会社に売却を依頼した後に、買主を探し、契約条件の交渉を行い、契約締結・引渡しまでを行うため、すべての取引が完了するまでに数ヶ月以上かかることも珍しくありません。その点買取の場合は、不動産会社による査定額に納得すれば、すぐに売却の手続きに移行できるため、不動産を素早く現金化できるという利点があります。

その一方で、買取によって不動産を売却する場合、仲介によって不動産市場で売買される価格よりも20〜40%安くなるのが一般的です。買取を行う不動産会社は、買い取った不動産をリフォーム・メンテナンスし、新たな商品として再販することを目的としているため、再販のためにかかる費用や再販時の利益を考慮した下取り価格で買い取られます。

また、どんな条件の不動産でも買い取ってもらえるというわけではなく、リフォームやメンテナンスを行っても利益が見込めないエリアの不動産の場合は、買取を断られるケースもあるという点は押さえておきましょう。

2.不動産購入の取引パターン

つづいて、不動産の購入についてです。不動産を購入する場合も、売却時と同様、不動産会社と直接取引を行う方法と、不動産会社による仲介によって取引を行う方法があります。

2-1.新築物件の購入

新築物件の購入においては、住宅が完成しているか否かにより、取引態様が異なるという点を押さえておきましょう。

完成済みの新築分譲マンション・新築分譲戸建て住宅(建売住宅)を購入する場合は、物件を取り扱う不動産販売会社から直接購入します。この購入方法では不動産仲介会社を間に挟まず、売主である不動産販売会社と直接売買契約を締結するため、仲介手数料の負担がありません。

新築の注文住宅を建てる場合は、土地部分と建物部分で契約形態が異なります。注文住宅を建てるために土地を購入する際、不動産販売会社から直接購入するか、不動産仲介会社を利用します。この場合に締結するのは、「不動産売買契約」です。

一方建物部分は、建築する住宅の構造や間取り・設備などを決定し、契約を締結した後に工事着工という流れで建てられます。この時に取引の主体となるのは注文住宅の設計・建築を依頼するハウスメーカーや工務店で、「建築請負契約」という契約形態をとります。

2-2.不動産販売会社から中古住宅を購入

リノベーションされた戸建て住宅や中古マンションを購入する際に多く見られるのが、不動産販売会社からの直接購入です。

前章で解説したとおり、不動産会社の中には中古の不動産を買い取り、リノベーションや修繕を行って再販を行う会社もあります。この取引方法では、不動産販売会社自らが売主となり販売活動を行っているため、不動産仲介会社に依頼せずに物件を購入できます。売主と直接取引ができることで、不動産の状態を詳細に把握できるだけでなく、仲介手数料の負担をせずに住宅を取得できます。

ただし、不動産仲介業者のサポートなしに住宅を購入するということは、契約に関する判断をすべて自分で行う必要があります。さらに購入する物件によっては、低品質のリフォームや修繕が行われている可能性も否定できません。不動産販売会社から直接物件を購入する場合は、引渡し後に不具合が発生した際の相談先や、アフターサービスについても確認しておくのを忘れないようにしましょう。

2-3.仲介

不動産を売却する場合と同様に、購入の際でも不動産仲介会社に依頼して物件を取得できます。

上記で解説したとおり、不動産販売会社から直接物件を購入する場合は、契約条件の交渉や、物件に関して疑問や不安点が見つかった際の相談などを、すべて自分で行わなくてはなりません。その点、取引のプロである不動産仲介会社に依頼することで、安心して取引を進められるだけでなく、あらゆる手続きを円滑に行えるというメリットがあります。

そのぶん、不動産仲介会社へ手数料の支払いが必要になりますが、納得のいく取引を行えるという点では利点が大きいと言えるでしょう。

3.不動産売却にかかる費用・税金

不動産売買においては、買主側だけでなく売主側にも費用が発生するということを知っておく必要があります。

不動産売却時にかかる費用には、以下のようなものがあります。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 住宅ローン返済手数料
  • 登記費用

さらに、不動産を売却したことにより利益を得た場合は、売却した翌年に確定申告を行い、利益に応じた税金を納める義務が発生する点は抑えておく必要があります。

不動産売却時にかかる費用や税金の全体像をあらかじめ掴んでおきましょう。

3-1.仲介手数料

仲介手数料は、不動産の売却が決定して成約した場合に、仲介した不動産会社に対して支払う成果報酬です。一般的には、売主と買主が売買契約を締結したタイミングで半額を支払い、もう半分は物件を引渡すタイミングで支払います。

仲介手数料の上限金額は宅地建物取引業法により定められており、下記の計算式で求められます。

成約価格

計算式

400万円超

成約価格(税抜)×3%+6万円+消費税

200~400万円以下

成約価格(税抜)×4%+2万円+消費税

200万円以下

成約価格(税抜)×5%+消費税

 上記の計算式で求められるのは、不動産仲介会社が売主から受け取れる報酬の上限額です。あくまでも上限であるため、不動産仲介会社によっては仲介手数料半額としていたり、売買契約締結までの交渉の段階で減額に応じてもらえたりする場合もあります。

ただし、仲介手数料が安い不動産仲介会社であれば必ずお得に取引を終えられる、というわけではありません。どんなに仲介手数料が安くても、サービスの質が悪かったり、買主との交渉を十分に行ってもらえなかったりしては本末転倒、ということを念頭に置いておきましょう。

3-2.印紙税

不動産売買の際に発行される売買契約書には、取引金額に応じた金額の収入印紙を貼り付ける必要があります。この収入印紙を貼り付け、消印を押すことで納める税金のことを印紙税と呼びます。

不動産売買における印紙税は、租税特別措置法という法律による、税率が引き下げられる軽減措置の対象です(2022年12月現在)

軽減税率の対象となるのは、2014年4月1日から2024年3月31日に作成される、不動産の譲渡(売買)に関する契約書で、取引金額が10万円を超えるものとされています。

軽減措置適用後の印紙税率は下記のとおりです。 

契約金額

本則税率

軽減税率

10万円を超え

50万円以下のもの

400円

200円

50万円を超え

100万円以下のもの

1千円

500円

100万円を超え

500万円以下のもの

2千円

1千円

500万円を超え

1千万円以下のもの

1万円

5千円

1千万円を超え

5千万円以下のもの

2万円

1万円

5千万円を超え

1億円以下のもの

6万円

3万円

1億円を超え

5億円以下のもの

10万円

6万円

5億円を超え

10億円以下のもの

20万円

16万円

10億円を超え

50億円以下のもの

40万円

32万円

50億円を超えるもの

60万円

48万円

なお、不動産仲介会社に依頼して不動産の売却を行う場合は、業者が契約書類と合わせて収入印紙を用意するのが一般的です。その際は、売主は不動産会社への仲介手数料と合わせて、収入印紙代を支払うことになります。

なお印紙税は、売主と買主で折半するのが一般的です。

3-3.住宅ローン返済手数料

売却する不動産に住宅ローンが残っている場合、住宅ローンを借り入れている金融機関からの承諾を得る必要があり、その条件としてローン残債の一括返済を求められることがほとんどです。そして住宅ローンを一括返済する際に、金融機関によっては一括返済の手数料が発生する場合があります。

手数料の金額は、住宅ローンを借り入れてた金融機関によっても異なりますが、10,000円〜30,000円程度が相場で、一部繰上返済時にかかる手数料よりも高く設定されていることがほとんどです。

不動産を売却する際に住宅ローンの一括返済を求められる理由は、住宅ローンが残っている不動産には抵当権が設定されており、住宅ローン完済が抵当権抹消の条件であるためです。抵当権については次で詳しく解説します。

3-4.登記費用(登録免許税、司法書士報酬)

住宅ローンの一括返済が完了したら、不動産に設定されている抵当権を抹消する手続きをします。この手続きに必要なのが登録免許税と呼ばれる費用です。

抵当権とは、金融機関が住宅ローンの融資を行う際に、対象の不動産に対して設定する権利のことで、万が一ローン契約者が返済不能に陥った場合に、抵当権のついた不動産を競売にかけることで、売却金額を融資金額の回収に充てるというものです。

住宅ローンが残っている物件を売却する場合、売却金額で住宅ローン残債を返済することになるため、法務局で登録免許税を支払い、抵当権を抹消する必要があります。

登録免許税の金額は、不動産1個あたり1,000円、土地と建物の場合は登記方法によっても異なりますが、土地1個・建物1個で2,000円が一般的です。

抵当権抹消登記の申請は、不動産の所有者自身でも行えますが、手続きが煩雑になる場合は司法書士に依頼することも可能です。その場合の司法書士報酬は10,000円程度が相場です。

3-5.譲渡所得税

所有する不動産を売却した際に得られた利益を譲渡所得と呼び、譲渡所得にかかる税金を総称して譲渡所得税と呼びます。譲渡所得税は所得税・住民税・復興特別所得税に分けられます。

譲渡所得税の金額を求めるには、下記の計算式を用います。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)

譲渡所得税=譲渡所得×税率

上記のうち、「取得費」は不動産を購入する際にかかった費用のことです。土地や建物の購入代金のほか、仲介手数料、測量費、登記費用、不動産取得税などがこれに該当します。

「譲渡費用」は、対象の不動産を売却する際にかかった費用のことです。本章で解説している仲介手数料、印紙税、建物解体費などが含まれます。なお譲渡費用には、不動産を売却するために直接かかった費用のみが該当し、建物の修繕費や固定資産税などは対象になりません。

譲渡所得税額を計算するために用いる税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間をもとに決定します。

所得種類

所有期間

所得税

住民税

復興特別所得税

合計

短期譲渡所得

5年以下

30%

9%

0.63%

39.63%

長期譲渡所得

5年超

15%

5%

0.315%

20.315%

売却する不動産が自宅として使用していた家屋であった場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」をはじめとした控除を受けられる場合があります。

譲渡所得が発生した場合や、特別控除を受ける場合には、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日の間に、確定申告を行う必要があります。なお、売却損が発生してしまった場合でも、特別控除による損益通算により還付を受けられることもあるという点は押さえておきましょう。

3-6.その他の費用

上記で解説した費用のほかにも、不動産の状態や売却時の条件によって、追加の費用がかかる場合があります。

土地の測量を行う場合に必要になるのが測量費です。測量を行うのは、土地の境界線や面積を明確にするためです。かかる金額は、市や国の立会い有無によっても異なり、30万〜100万円程度と幅があります。

土地の売買においては、登記簿に記載されている面積と実際の面積に相違があるケースだけでなく、引き渡し後に「どこまでが自分の土地か」という境界線をめぐるトラブルも多く発生します。売りに出す前に境界線を確定しておくことで、買主も安心して購入を検討できると言えます。

そのほかにも、家屋が古く売却が見込めない場合は、建物の解体費用も考慮しておきましょう。不動産を引渡す際には、家の中には何も残さず空の状態にしておくのが原則とされているため、家財や不用品を処分するための廃棄物処分費もかかります。

自宅として使用していた不動産を売却する場合は、新しい物件への引越し費用がかかるという点も忘れてはいけません。

4.不動産購入にかかる費用・税金

続いては、不動産を購入する際にかかる費用や、発生する税金についてです。

不動産を購入する際には、物件価格の他にも多くのお金が必要になるため、どのような費用がどれくらいかかりそうかをあらかじめ知っておくことが大切です。

4-1.仲介手数料

不動産の売却時と同様、不動産仲介会社に依頼して不動産を購入する場合にも、仲介手数料の支払が発生します。

金額の計算方法や上限金額も、売却時と変わりません。

4-2.住宅ローン手数料

売買代金を一括で支払わず、住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、住宅ローンを契約する金融機関がそれぞれ定める手数料が発生します。 

費用の種類

内容

融資事務手数料

住宅ローンの融資開始から完済までにかかる事務費用として、金融機関に対して支払う。

保証会社事務手数料

保証会社を利用する際に発生する手数料。

保証会社は、契約者がローンの支払いを滞納した際に、一時的に返済を立て替え、金融機関に替わって契約者に対して支払の督促を行う。

ローン保証料

保証会社を利用する際に、保証会社に対して支払う費用。

金額は金融機関や借入金額・借入期間によっても異なる。保証料が不要なケースもあるが、金融機関の貸し倒れのリスクが増えるため、与信審査が厳しくなる傾向にある。

団体信用保険料

団体信用保険に加入するために支払う保険料。

団体信用保険は住宅ローンに特化した生命保険で、ローン契約者が返済期間中に万が一死亡、または重度障害になった場合に、生命保険会社が住宅ローン残債に相当する保険金を金融機関に支払うことで、債務の返済に充てる。

上記で紹介した費用は、利用する金融機関や住宅ローン商品、借入金額や返済期間により、金額が異なります。場合によっては100万円近く費用が変わってくるケースもあるため、慎重に比較するようにしましょう。

4-3.手付金

手付金とは、売買契約を締結する際に、買主から売主に対して支払うお金のことを指します。

契約締結から引渡しまでの間に、万が一買主の事情により契約をキャンセルする場合は、手付金はキャンセル代扱いとなり返金されません。逆に手付金を受け取った売主側が、自己都合により契約のキャンセルを申し出る場合は、手付金の倍額を買主に対して支払います。こうした性質を持つことから、手付金は「解約手付」と呼ばれることもあります。

無事に契約が成立し、土地や建物の引渡しまで完了した際には、売主に支払った手付金はそのまま売買代金に充当されるか、もしくは売買代金の支払いとは別に返金されます。

手付金の金額は、売買代金の5~10%が相場です

4-4.印紙税

不動産を購入する場合でも、売買契約書に貼り付ける収入印紙代を負担する必要があります。印紙代の金額は、売却の場合と同様です。

4-5.登記費用(登録免許税、司法書士報酬)

不動産を購入すると、購入した不動産の種類に応じた登記費用が発生します。

4-5-1.新築分譲戸建て住宅(建売住宅)の場合

新築分譲戸建て住宅(建売住宅)を購入する場合には、土地と建物でそれぞれ別の手続きが必要になります。

不動産の種類

登記の種類

税率(本則)

軽減税率の適用期限

(2022年12月時点)

建物

建物表題登記

無税

所有権保存登記

固定資産税評価額の0.4%

(軽減税率0.15%)※

2024年3月31日

土地

所有権移転登記

固定資産税評価額の2.0%

(軽減税率1.5%)

2023年3月31日

【共通】住宅ローンを利用する場合

抵当権設定登記

借入額の0.4%(軽減税率0.1%)

2024年3月31日

※長期優良住宅・認定低炭素住宅は0.1%(2024年3月31日迄)

建物に必要な登記は、建物表題登記と所有権保存登記の2つです。建物表題登記は義務とされており、登録免許税はかかりません。

所有権保存登記にかかる登録免許税は、固定資産税評価額をもとに算出されますが、新築分譲戸建て住宅を購入する場合、固定資産税評価額がまだ決まっていないため、各地方公共団体が設定している「新築建物標準価格認定基準表」を参照し、固定資産税評価額の代わりとして計算に用います。

土地の場合は、固定資産評価額をもとに算出する所有権移転登記が必要です。

また、住宅ローンを利用して土地や建物を購入する場合には、抵当権設定登記を行う必要があります。抵当権設定登記にかかる登録免許税の税額は、住宅ローンの借入額をもとに算出します。

上記の登記申請は不動産を取得した本人が行うこともできますが、司法書士に依頼して申請してもらう場合は、司法書士への報酬も必要です。

建物表題登記を専門家に依頼する場合は、司法書士ではなく土地家屋調査士への依頼が必要です。この場合、登録免許税はかかりませんが、土地家屋調査士への報酬が発生するという点は押さえておきましょう。

新築分譲戸建て住宅を購入した際に、一定の要件を満たしている場合には、登録免許税の軽減措置を受けられます。軽減措置の主な要件は下記のとおりです。

  • マイホームのための不動産購入・抵当権設定であること(登記簿上の建物の種類が「居宅」であること
  • 登記簿上の専有部分の床面積が50平方メートル以上であること
  • 所有権保存登記が、新築または取得後1年以内になされること

4-5-2.新築分譲マンションの場合

新築分譲マンションを購入した場合には、新築分譲戸建て住宅を購入した場合よりも、申請する登記の種類が少なくなります。

不動産の種類

登記の種類

税率

軽減税率の適用期限

(2022年12月時点)

建物

所有権保存登記

固定資産税評価額の0.4%

(軽減税率0.15%)※

2024年3月31日

土地

所有権移転登記

固定資産税評価額の2.0%

(軽減税率1.5%)

2023年3月31日

【共通】住宅ローンを利用する場合

抵当権設定登記

借入額の0.4%

(軽減税率0.1%)

2024年3月31日

※長期優良住宅・認定低炭素住宅は建物部分が0.1%(2024年3月31日迄)

新築分譲マンションの場合は、専有部分(建物)の所有権保存登記と、敷地持分(土地)の所有権移転登記を行う必要があります。しかし、分譲マンションにおいては、これら2つの権利は一体化されているため、専有部分(建物)についての登記手続きを行えば、敷地持分(土地)の権利移転も完了するようになっています。

住宅ローンを利用して新築マンションを購入する際の抵当権設定登記費用、登記手続きを司法書士に依頼する場合の報酬、適用される軽減税率については、新築分譲戸建てを購入する場合と同様です。

なお、区分所有建物であるマンションの建物表題登記は、マンションを建てた人(不動産開発会社など)が行うため、購入者が登記申請をする必要はありません。

4-5-3.中古戸建て住宅の場合

中古戸建て住宅を購入した場合に必要な登記とかかる費用は、下記の表のとおりです。

不動産の種類

登記の種類

税率

軽減税率の適用期限

(2022年12月時点)

建物

所有権移転登記

固定資産税評価額の2.0%(軽減税率0.3%)※

2024年3月31日

土地

所有権移転登記

固定資産税評価額の2.0%

(軽減税率1.5%)

2023年3月31日

【共通】住宅ローンを利用する場合

抵当権設定登記

借入額の0.4%(軽減税率0.1%)

2024年3月31日

※長期優良住宅・認定低炭素住宅は0.1%(2024年3月31日まで)

中古戸建て購入の場合は、建物と土地の両方に対して所有権移転登記をする必要があります。

新築分譲戸建て住宅と異なる点は、建物の所有権移転登記の際に必要な、登録免許税の計算に用いる税率です。新築分譲戸建ての場合は、固定資産評価額に対して0.4%(軽減税率0.15)%ですが、中古戸建住宅の場合は2.0%(軽減税率0.3%)です。

土地の所有権移転登記と、住宅ローン利用時の抵当権設定登記に関しては、適用される税率は新築の場合と変わりません。

なお、中古戸建住宅に関する登記においては、国土交通省が定める一定の耐震基準に適合している、または1982年1月1日以後に建築された住宅が軽減税率適用の対象です。

4-5-4.中古マンションの場合

中古マンションを購入した場合の登記内容と、登記にかかる費用は下記のとおりです。 

不動産の種類

登記の種類

税率

軽減税率の適用期限

(2022年12月現在)

建物

所有権移転登記

固定資産税評価額の2.0%(軽減税率0.3%)※

2024年3月31日

土地

所有権移転登記

固定資産税評価額の2.0%(軽減税率1.5%)

2023年3月31日

【共通】住宅ローンを利用する場合

抵当権設定登記

借入額の0.4%(軽減税率0.1%)

2024年3月31日

※長期優良住宅・認定低炭素住宅は建物部分が0.1%(2024年3月31日迄)

中古マンションを購入すると、所有権が売主から買主に移るため、建物と土地の両方に関して所有権移転登記をする必要があります。住宅ローン利用時の抵当権設定登記にかかる登録免許税、司法書士に依頼する場合の報酬は、新築分譲マンションを購入する場合と同様です。

軽減税率が適用されるためには、中古戸建て住宅を購入する際と同様で、一定の耐震基準を満たしているマンション、または1982年1月1日以後に建築されたマンションであることが条件です。

4-6.不動産取得税

不動産を取得した際に課される税金のことを不動産取得税と呼び、対象となる不動産の所在地の自治体から送られてくる「納税通知書」に記載された金額を納税します。

不動産取得税の税額は、下記の計算式により算出されます。

税額=取得した不動産の価格(課税標準額)×税率

税額の算出に用いる「課税標準額」とは、固定資産台帳に登録されている価格です。対象の不動産がある地域の市区町村(東京23区の場合は都税事務所)で閲覧できます。

税率は原則4%ですが、2024年3月31日までに取得した住宅(居住用の建物)および土地に関しては、税率3%が適用されます(2022年12月現在)。

なお、不動産取得税の納税通知書は、保存登記・移転登記を行ってからおおむね6ヶ月以内に送付されます。

4-7.火災保険料・地震保険料

多くの自然災害が起こる日本において、火災や地震に備えるための保険の加入は欠かせません。

火災保険は火事以外にも、洪水・雷・大雪などの自然災害に備えられるほか、盗難をはじめとした人災も補償対象になります。火災保険では地震による被害まで補償されないため、追加で地震保険にも加入する必要があります。なお、地震保険は火災保険に付随するため、単体での加入はできません。

住宅ローンを組んで購入した自宅が、火事や地震により居住できない状態になってしまっては、住む家を失うばかりか、多額のローン返済のみが残ることになりかねません。

火災保険や地震保険は原則として掛け捨てではありますが、万が一に備えて必ず加入しておきましょう。

4-8.水道加入負担金

新築戸建て住宅や、中古戸建て住宅を購入する場合に必要になるのが、「水道加入負担金」です。

水道加入負担金は、水道利用申し込みの際に水道局に支払うもので、街の水道設備の整備・拡張を行うことで、安定した水の供給を維持するために役立てられます。多くの場合、物件の価格に水道加入負担金も含まれていますが、まれに物件の価格とは別に徴収されるケースもあります。

負担金額は自治体により異なります。3万円程度のものから、20万円を超えるものもあり、エリアによっては水道加入負担金の制度自体がないエリアもあります。場合によっては大きな負担となる可能性もあるため、物件を購入する際に事前に確認しておくことをおすすめします。

4-9.その他の費用

新居を購入する際には、引越し費用や新生活を始めるための生活用品購入代も考慮しておく必要があります。

引越し費用は、利用する時期や移動距離、荷物の多さによっても大きく変動するため、引越し会社を決める際には、必ず相見積もりをとるようにしましょう。相見積もりをとることで、その時期の相場観がわかるだけでなく、どこに依頼すれば費用を抑えられるのか、どこの引越し会社であれば親切に対応してもらえそうかを判断できます。

ただし、いくら見積もりが安いからといって、相場からかけ離れた料金を提示してくる引越し会社は、担当者の対応が悪かったり、あとで別途追加費用が発生し、結果的に高くついてしまったりする可能性もあるため注意が必要です。

また、生活用品に関しても、家電を買い替えたり、カーテンや寝具にこだわったりすると、想像以上に費用がかかることも少なくないため、物件の購入費用を計算する際に合わせて検討しておくと安心です。

5.不動産売買を有利に進める仲介会社の選び方

ここまで、不動産売買の際の取引の種類やかかる費用について解説してきましたが、どの不動産仲介会社に依頼するかによって、不動産の売却や購入が円滑に進むかどうかが、大きく変わってくると言っても過言ではありません。

本章では、不動産売買を有利に進めるための、不動産仲介会社の選び方について解説します。

5-1.【売却・購入共通】片手仲介を行う会社に依頼する

まず優先的に選びたいのは、「片手仲介」を行う不動産会社です。

不動産仲介会社が行う業務には、「片手仲介」と「両手仲介」の2種類があります。「片手仲介」では、売主側に1社・買主側に1社の不動産仲介会社がつき、2社の不動産仲介会社の間で契約条件の交渉や書類の取りまとめが行われます。

それに対して、1社の不動産仲介会社が、売主側と買主側の両方を担当するのが「両手仲介」です。

どちらも売主・買主が不動産売買という目的を達成できるという点では共通していますが、「片手仲介」を行う不動産仲介会社を選んだほうが、公平な取引が期待できます。

その理由は、売主探し・買主探しを依頼した際に、片手仲介を行う不動産仲介会社の方が、広い情報網での営業活動を行ってもらえるためです。

不動産売買において、不動産仲介会社は宅建業法で定められた金額を上限として、仲介手数料を受け取れるというのは解説したとおりですが、両手仲介の場合、不動産仲介会社は売主と買主の双方から仲介手数料を受け取れます。そのため、不動産仲介会社の中には、自社で抱えている顧客の中で売買契約を成立させようと、売主・買主の情報を公開しない会社もいるのです。

このような不動産仲介会社を選んでしまうと、なかなか物件が売れない・見つからないだけでなく、条件交渉も十分にしてもらえない可能性も否定できません。

依頼する不動産仲介会社を選ぶ際は、「片手仲介」を行う不動産会社かどうかに注意を払いましょう。

5-2.【売却・購入共通】不動産会社の得意分野を知る

ひとくちに不動産会社といっても、得意とする分野は会社ごとに異なります。再開発事業を専門とするデベロッパーや、新築分譲戸建て住宅を専門に販売する不動産会社、土地や建物の買取と再販をメインに取り扱う不動産会社以外にも、不動産の管理を得意としている会社、マンション売買を得意としている会社など、さまざまな不動産会社があります。

宅地建物取引業者であれば、専門分野以外の不動産取引であっても依頼を断ることはほとんどないでしょう。しかし、不動産売買を希望している場合、不動産売買の仲介を専門とする会社に依頼したほうが、過去の取引経験や豊富な情報量により、取引がスムーズかつ有利に進む可能性が高いと言えます。

居住用の土地・建物の売却や購入を検討している場合は、売買を専門に行っている不動産仲介会社に依頼するのがおすすめです。さらに同じ売買専門の不動産会社でも、売却と購入のどちらかを特に得意としている場合もあるため、会社ホームページの取引実績などを見ておくといいでしょう。

5-3.【売却・購入共通】担当者が信頼できるかを見極める

一見しっかりとした不動産仲介会社であっても、信頼できる担当者についてもらわなくては、希望通りの不動産売買はかなわないと言っても過言ではありません。

不動産仲介会社の担当者を見極める際には、下記のポイントを押さえておくといいでしょう。

  • 素早いレスポンスができるか
  • ヒアリング力や提案力はあるか
  • 宅地建物取引士の資格を有している

担当者を見極める際に必ずチェックしたいのは、レスポンスの早さとヒアリング力・提案力の高さです。

不動産市場は常に動いているため、担当者もスピード感のある対応が求められます。最初に問い合わせや査定依頼をした際にすぐに連絡をしてくれたり、アポイントの日時調整をテンポよく行ってくれたりする担当者は、流動的な不動産取引を任せるにあたっても信用できると言えます。

また、売主・買主の希望を的確に吸い取り、満足のいく不動産取引に導くためには、担当者のヒアリング能力と提案力も必要です。売買に関して不明点や不安点があれば積極的に質問し、親身に答えてくれるかどうかをチェックしましょう。

なお、宅地建物取引士の資格有無に関しては、売買契約締結時以外は必須ではありません。しかし、不動産売買は取引価格が非常に大きく、豊富な法律的知識も必要になるため、宅建士の資格を保有した担当者であれば安心感を得られるでしょう。

5-4.【売却編】高すぎる査定額を出す会社に注意

不動産の売却を行う際、いくらくらいで売れそうかを算出する査定を不動産仲介会社に依頼します。このとき、相場からかけ離れて高い査定額を提示する不動産仲介会社があった場合は注意が必要です。

すでに解説したとおり、不動産仲介会社が仲介手数料を受け取れるのは、不動産売買契約が成立し、引渡しが完了した場合のみです。つまり、いかに多くの売主に売却依頼をしてもらい、売却につなげるかで、会社の売り上げが変わってくるということになります。

不動産仲介会社の中には、「当社に依頼してくれれば高く売れますよ!」ということをアピールし、売主と専任媒介契約や専属専任媒介契約(仲介を依頼できる不動産会社が1社のみの契約)を締結しようとする会社もあります。それに気づかず依頼してしまうと、不動産仲介会社が得をする条件でしか契約できない可能性があるばかりか、いつまでたっても物件が売れないというリスクもあります。

ただし、不動産売買を専門にしている不動産仲介会社の中には、しっかりとした営業力やネットワークにより、実際に他社よりも高く売れる会社も存在します。査定額を見て高いと感じたら、その理由や根拠を聞き、納得できる理由であれば依頼してみてもいいでしょう。

5-5.【売却編】査定は必ず複数社に依頼する

不動産仲介会社にさまざまな種類があるということは、最初から理想の不動産仲介会社に巡り合うのは難しいということです。

そのため、実際に売却活動をスタートさせるための媒介契約を締結するまでは、複数の不動産仲介会社とやりとりすることをおすすめします。

複数の不動産仲介会社をピックアップし、同時に査定依頼を出しましょう。査定額が提示されたら、売却予想額だけでなく、各不動産仲介会社で売買を行った場合のサービスや保証、オプションなども見比べます。不明点や不安点があれば必ず質問し、営業担当者の人柄や対応能力も比較したうえで、最終的に売却活動を依頼する不動産仲介会社を決定します。

複数社に査定依頼を出す際には、1社ずつ問い合わせるのではなく、一括査定というサービスを利用するのがおすすめです。1つの申込フォームに必要事項を入力しておくるだけで、検討中の複数の不動産仲介会社に一斉に依頼でき、手間や時間を大幅に短縮できるのです。

6.まとめ 

不動産の査定額は、依頼する不動産仲介会社によって数百万円違うことも珍しくありません。そのため、納得のいく取引を実現するためには、一度に複数の不動産仲介会社を比較し、実力があり信頼できる不動産仲介会社を選ぶことが重要です。

不動産一括査定サイト「おうちクラベル」は、不動産売却が初めての方でも、簡単に査定依頼を出せ、一度に多くの不動産仲介会社を比較できるサービスです。

案内に沿って物件に関する情報を入力するだけで、たった60秒でお申込みいただけるため、不動産仲介会社の見極めが難しいという方にも多くご指示いただいています。

まだ売却をご検討中の段階でもお気軽にご利用いただけます。「自分の不動産はどれくらいの価値があるんだろう?」と思われたら、ぜひ一度「おうちクラベル」の一括査定をお試しください。

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