多額のお金が動く不動産の売却には、売却前はもちろんのこと、売却中・売却後とそれぞれに注意したいポイントがあります。
事前にしっかり押さえておかないと、知らない内に損をしてしまったり、大きなリスクにつながってしまったりすることも。
不動産の売却における各シーンでの注意点をしっかり押さえて、最適な判断をすることで失敗を避けることができます。そこで今回は、不動産売却において注意するべき点を詳しく解説します。できるだけ高く売却したい場合や損をしたくない人は、ぜひ参考にしてみてください。
1.不動産売却前に知っておくべき5つの注意点
不動産売却前には、理由や期限を明らかにしたうえで、現況や登記簿の確認、売却方法の検討などをしておく必要があります。
費用も必要になるので、事前知識として押さえておきましょう。査定前に不動産の相場を調べておくことも大事です。ここでは、5つの注意点を詳しく紹介します。
1-1.不動産を売却する理由や期限を明確にする
不動産を売却する前には、売却の理由や期限を明確にしておきましょう。選択肢が絞られる他、意思決定を行う際の指針になります。
例えば、住み替えが理由なのであれば、並行して新居を決めなくてはならないので、それに合わせて期限が決まってきます。また、転勤や進学が理由なら、期限が決められているのでなるべく早めに売却する必要があるでしょう。
他にも、相続や離婚など様々な理由があり、理由に応じて売却を終えたい期限が変わります。理由と期限を明確にしたうえで手続きを進めていくことで、当初の目的がブレずに済むでしょう。
1-2.売却する不動産の現況・登記簿を確認しておく
売却にあたっては、その不動産の現況や登記簿を確認しておくことが重要です。建物の材質や構造、抵当権などの権利関係、土地の境界、地盤など不動産の多岐に渡る現況を把握しておきましょう。
これらの情報の多くは、登記簿を見ることで確認できます。登記簿の内容が古い場合には、現況と登記内容が異なるケースも珍しくありません。
その場合には、売却までに訂正しておかなくてはならない可能性があるため、早めにチェックしておくことが大切です。また、土地の地図は法務局で取得し、土地の境界・形状を現況と照らし合わせて確認しておきましょう。
1-3.不動産の売却方法を検討しておく
不動産の売却方法には、「仲介」「即時買取」「買取保証」の3パターンがあります。仲介は、不動産会社と媒介契約を結び、買主を探してもらう方法です。
即時買取は不動産会社に購入してもらう方法、買取保証は一定期間に売れなければ不動産会社に買取してもらう方法で、それぞれ以下のような違いがあります。売却したい期間や希望額に適した方法を検討しておきましょう。
売却方法 | 仲介 | 即時買取 | 買取保証 |
売却価格 | 普通 | 安い | 仲介の期限が過ぎれば即時買取と同等 |
仲介手数料 | 必要 | 不要 | 一般の買主なら必要、不動産会社が購入なら不要 |
期間 | 遅いときもある | 早い | 期限内には売却できる |
1-4.不動産売却に必要な費用を把握しておく
不動産売却に必要な費用には、印紙税や譲渡所得税などの税金のほか、不動産会社に支払う仲介手数料、ハウスクリーニングなど様々あります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-4-1.税金
不動産売却には、印紙税や譲渡所得税・住民税がかかります。「印紙税」とは、契約書や領収書などに課税される税金のことで、不動産売買契約書などに発生します。
不動産の契約代金1万円以上から印紙税がかかり、軽減税率適用後の場合、500万円超1千万円以下の物件なら5千円、5千万円超1億円以下の物件なら3万円です。
「譲渡所得税・住民税」は、「譲渡価額ー取得費ー譲渡費用」で算出される譲渡所得が発生した場合にかかる税金です。不動産を買ったときの取得費と売却時のコストよりも、高く売れた場合に譲渡所得が発生します。
所有期間に応じて税率が異なり、5年を超える長期譲渡所得の方が税率は低く、5年以下の短期譲渡所得の方が税率は高めです。
種類 | 所有期間 | 税率 |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
1-4-2.その他費用
税金以外で不動産売却に必要な費用は、物件や地域によっても異なりますが、物件価格の5~7%程度が相場と言われています。
仲介手数料、登記に伴う費用、住宅ローン返済の費用、ハウスクリーニング代、引っ越し費用など様々な費用がかかるので、それぞれ資金計画に入れておきましょう。
費用 | 内容 | |
仲介手数料 | 不動産会社に支払う報酬で、 400万円超の物件の場合で「売却価格×3%+6万円+消費税」 | |
登記に伴う費用 | 抵当権の抹消と所有権移転にかかる登録免許税と 司法書士の報酬が数万円程度 | |
住宅ローン返済の費用 | 繰り上げ返済を行う場合に金融機関に支払う | |
ハウスクリーニング代 | 間取りにより異なるが、 数万円~数十万円程度 | |
引っ越し費用 | 物量や規模により異なるが、 数万円~数十万円程度 |
1-5.査定前に不動産の相場を調べておく
不動産売却にあたって不動産会社に査定を依頼する前に、同エリア・同種別における相場を把握しておくと、適正価格を判断することができます。
国土交通省のWebサイト「土地総合情報システム」を使えば、不動産取引価格情報を検索可能です。エリア内でどんな物件が売られているかを確認できるほか、固定資産税評価額の基準ともなる地価公示の確認もできます。
また、不動産流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」も相場確認にはおすすめです。国土交通大臣から指定を受けた機構が運営するシステムなので信頼でき、土地総合情報システムよりも詳しい情報を確認できます。
こうした方法で事前に適正価格を把握しておくことで、査定や売却する際の判断材料になるでしょう。
2.不動産売却中に重要な5つの注意点
不動産売却中に注意したいポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- 査定は複数社に依頼すること
- 査定額の売却ができるわけではないこと
- 物件の瑕疵は隠さず伝えること
- 物件に合った媒介契約を選ぶこと
- 不動産会社の囲い込みに注意すること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.査定は複数社に依頼したほうがよい
査定価格は、依頼する不動産会社によって数百万円以上異なることもあるので、必ず複数社に査定を依頼しましょう。この価格差は、不動産会社の得意な種別、担当者の判断などによって生まれます。
1つの不動産会社にしか依頼しないと、本来よりも安い査定価格が出てしまう可能性があるので、最低でも2社以上は依頼するのがおすすめです。とはいえ、多くの不動産会社を直接訪ねて査定を依頼するのは結構な労力なので、ネットで完結する一括査定サイトの利用を検討しましょう。
無料の不動産一括査定サイトの「おうちクラベル」は、複数社への一括査定依頼に加え、すぐに査定結果が分かる高精度のAI査定を備えています。まとめて複数社への依頼を検討しているのであれば、利用するのがおすすめです。
2-2.査定額の売却ができるとは限らない
不動産会社が出す査定額は、あくまでも予想額です。実際の取引においては、家屋の欠陥や内装の状態などによって値引き交渉されることが多く、思ったよりも安くなってしまう可能性があります。
査定額にこだわり過ぎると売却のチャンスを逃がすことも珍しくありません。複数社の査定を参考に、相場と照らし合わせたうえでおおよその資金計画をするのが理想です。どの価格なら売却しても良いか、自分が納得できる価格には幅を持たせておくと良いでしょう。
2-3.物件の「瑕疵(欠陥)」は隠さず伝える
不動産会社と購入希望者に対しては、物件の正確な情報を伝えなければならない義務があります。物件の破損や欠陥などのことを「瑕疵」と呼び、この瑕疵を隠ぺいすると契約不適合責任(瑕疵担保責任)に問われる可能性があるので注意しましょう。
欠陥部分の補修はもちろん、契約解除及び損害賠償を請求される恐れもあります。物件の瑕疵は、隠さずに伝えることが重要です。不動産会社に相談すると、売主が責任を負わない「免責」として売り出すこともできるので、まずは正直に伝えてみると良いでしょう。
2-4.物件に合った媒介契約を選ぶ
不動産会社と結ぶ媒介契約は、大きく分けて「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数社との媒介契約 | できる | できない | できない |
自分で買主を探す | できる | できる | できない |
契約期限 | なし | 最大3ヶ月 | 最大3ヶ月 |
売主へ報告する頻度 | 義務なし | 2週間に1度 | 1週間に1度 |
レインズへの登録 | 義務なし | 7日以内 | 5日以内 |
不動産会社が得られる手数料が多いため、一般には専任媒介契約を勧められるケースが多いでしょう。
販売状況が把握しやすく、販売活動にも力を入れてもらいやすいというメリットがありますが、物件情報が広がりにくいため、不動産会社の力量によっては売却に時間がかかる可能性もあります。
そもそも需要が多い優良物件であれば、一般媒介契約の方が良いケースもあるので、状況に合わせて選択するのがおすすめです。
2-5.不動産会社の「囲い込み」に注意する
囲い込みとは、不動産会社がいわゆる「両手仲介」によって利益を上げるために、他の不動産会社の仲介を妨げることです。
一般的に片手仲介と呼ばれる方法では、売主と買主はそれぞれ別々の不動産会社に依頼しているため、契約が成立するとそれぞれの不動産会社に報酬が入ります。
しかし、両手仲介では売主と買主双方の仲介を1つの不動産会社が行うため、報酬はまるまるその不動産会社のものになり、片手仲介の二倍の報酬が手に入るというわけです。
両手仲介をするための手法として、例えば、レインズへの「登録証明書」を売主に提示した後に抹消したり、他の不動産会社からの問い合わせに契約予定など理由をつけて断ったり、知らず知らずのうちに売却の機会を失っているかもしれません。
定期的にレインズへ掲載されている物件のステータスを確認して、いつの間にか「購入申し込みあり」や「一時紹介停止中」となっていないか確認しましょう。
3.不動産売却の契約トラブル回避に役立つ注意点
不動産売却における契約トラブルを回避するためには、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 売却に関する要望を明確に伝える
- キャンセルには手付金の支払いが必要であることを知っておく
- 契約内容の確認をする
- 違約金を設定する
- 契約締結後の責任を覚悟する
- ローン審査が通らない可能性もある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.売却に関する要望を明確に伝える
不動産の売却は人生でもそう多いイベントではないため、慣れていない人がほとんどです。そのため、要望を伝えるのは気が引ける、と遠慮してしまいがちですが、売却の条件などは明確に伝えておかないと後々不利になる可能性もあります。
不動産売買の契約書は、多くの取引で似通った内容にはなりますが、フォーマットやルールが存在しているわけではありません。
売買契約書は仲介会社が作成してくれますが、基本は売主と買主の意思が尊重されるため、費用に関する項目や物件特有の項目などは細かく協議し、記載してもらうようにした方が良いでしょう。
3-2.売買契約のキャンセルは手付金の支払いが発生する
売買契約を結ぶ際には、買主から売主に対して、売買価格の1割程度の「手付金」が支払われます。この手付金は、どちらかの希望で契約解除となった場合に用いるものです。
申し出 | 契約解除の手続き |
買主 | 手付金を売主に預けたまま放棄 |
売主 | 手付金を2倍にして買主へ支払う |
双方 | 協議により解除するため手付金は返却が一般的 |
なお、手付金の額や解除の期日は売買者間で設定できます。手付金の相場は5~10%程度で、相手が履行に着手した後の解除には違約金を定めることも可能です。
3-3.契約内容の確認を怠らない
不動産売却の契約書確認を怠ると、トラブルの原因になりかねないため、入念にチェックするようにしましょう。多くの項目があり全て目を通すのは一苦労ですが、後々のトラブルを回避するためにも、よく確認することが大切です。
希望条件の記載があるかどうか、資金計画やスケージュール面での問題はないか、理解できない内容はないか、などは最低限確認しておきましょう。
よく分からない用語や文章については、恥ずかしがらずに逐一質問するようにし、疑問や不安な点を解消しておくことが大切です。
3-4.契約の強制解除に備え違約金を設定しておく
売主、買主いずれかの申し出によるキャンセル以外にも、手付解除期日以降のキャンセルや、書類の捏造などの悪質な契約違反による解約等に備えて、違約金を設定しておくことが大切です。
違約金は、売買者間の話し合いで決定することができ、契約書に記載します。予め決めておくことで、トラブルを回避できるだけでなく、揉めるリスクも減らすことができるでしょう。なお、違約金は手付金の2倍程度が相場となっています。
3-5.契約締結後は自分の責任になる
契約関連は、仲介会社のアドバイスをもらいながら進めるのが普通なので、つい担当者に頼りがちになります。しかし、契約を締結して物件を引き渡した後の責任は、契約者本人に課せられることを忘れてはいけません。
特に、売却側はトラブル時に責任を追及されやすいので注意が必要です。売却中はアドバイスをもらいながらも、担当者に頼り過ぎず、あくまでも主体的な意識で契約を進めるようにしましょう。
3-6.ローン審査が通らない可能性もある
通常の契約解除は、前述の通り、手付金の支払いで成立します。しかし、買主がローン特約を利用している場合には、無条件で契約解除となるので注意が必要です。
ローン特約とは、万が一ローンが通らなかった場合に、手付金を放棄せずに契約を解除できる仕組みで、売主側にはメリットがありません。
むしろ、その間に他の買主に売れていたかもしれない、という機会損失のデメリットがあるため、ローン特約を利用する買主は避けるのが無難と言えるでしょう。複数の購入希望者がいる場合には、よりローンが通りそうな人と契約を結ぶのが安全です。
4.不動産売却後の注意点
不動産売却後にも、引き渡し日には「家の鍵を全て集める」「時間に余裕を持たせる」、翌年には「確定申告を行う」などの注意点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.引き渡し時は家の鍵をすべて集めておく
引き渡し時は、買主に対して家の鍵を全て揃えて渡さなければなりません。もし無くした場合には、錠ごと交換する必要があり、引き渡しが延期してしまう可能性もあります。
買主に紛失したことを伝えて、了承が得られた場合にはそのまま引き渡しも可能なので、正直に伝えることが大切です。スペアキーを作ってごまかすなどすると後々のトラブルにつながるため、引渡し前にきちんと家の鍵を全て集めておくようにしましょう。
4-2.引き渡し・決済当日は時間に余裕を持たせておく
代金の支払いと引き渡しは同時履行の関係にあり、同じ日に行われます。引き渡し当日は、融資実行手続きに1~2時間近くかかることも珍しくありません。
実印や銀行員、権利証など必要なものが多く、忘れ物があると当日の引き渡しができなくなる可能性もあるので、事前にきちんと準備しておくことが大切です。
また、イレギュラーな事態にも対応できるように、引き渡し時間は午前中にしておくと余裕を持って手続きを進められるでしょう。
4-3.不動産を売却した翌年は確定申告を行う
不動産を売却し、譲渡益が発生した場合には、売却した翌年の2月中旬~3月中旬の間に確定申告を行わなければなりません。給与所得であれば、通常は年末調整によって会社側が面倒な手続きをやってくれますが、譲渡所得は自分自身での確定申告が必要になります。
期限に遅れると「無申告加算税」や「延滞税」が課せられるので、計画的に資料を集めて申告書を作成するようにしましょう。なお、「居住用財産の3,000万円特別控除」や「特定の居住用財産の買換え特例」などの優遇措置を適用するためにも確定申告が必要になります。
5.物件種別ごとの不動産売却における注意点
不動産を売却する際には、マンション、戸建て、土地など物件種別ごとに注意したいポイントがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1.マンション売却時の注意点
公益財団法人東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」によると、中古マンションは築25年を超えると、成約率が20%以下と大幅に低くなることが分かります。
築6~10年の物件に比べると、半分以下の成約率に留まっており、築古の物件を売却するためには工夫が必要です。例えば、瑕疵担保保険を付けることで、買主も安心して購入できるでしょう。
また、同じ建物内での売出し状況もチェックして分析することも大切になります。高層階や角部屋、価格の安さなどが成約の条件になりやすいので、不動産会社に競合物件の状況を聞いて、販売戦略を立てていくのがおすすめです。
5-2.戸建て売却時の注意点
戸建ての売却は、基本的にリフォームをせずに売り出すのが良いでしょう。リフォーム費用の回収ができるとは限りませんし、リフォームによって買主のニーズを満たせなくなる可能性があるためです。
せっかく費用を掛けても、買主にとってマイナスポイントになってしまっては売却機会を逃してしまうため、リフォームは慎重に検討しましょう。室内の損傷がひどい場合などでリフォームが効果的なケースであっても、最低限に留めることが大切です。
コストパフォーマンスを重視しつつ、費用が掛かりそうな場合には仲介する不動産会社にも相談すると良いでしょう。
5-3.土地売却時の注意点
土地を売却する際は、まず測量が必要かを確認しておく必要があります。隣地との境界線が定まっていないと、正確な査定額を算出できません。法務局や郵送、インターネットで確定測量図を入手できるので、予め確認しておきましょう。
確定測量図や境界確認書がない場合や土地の境界が定まっていない場合、登記簿上の面積と実際の面積に差異がある場合などは測量が必要になります。測量には費用が掛かるので、売却前に必ず確認するようにし、資金計画にきちんと組み込むようにしましょう。
6.ローン残債や相続は?不動産売却その他の注意点やよくある悩み
不動産売却にあたり、相続の場合やローン残債がある場合、離婚や住み替えの場合などケース別に不安を抱えている人も多いでしょう。それぞれの注意点を紹介します。
6-1.相続した不動産を売却する際の注意点
相続した不動産をすぐに売却する場合には、通常の売却手続きに加えて、相続登記を行う必要があります。相続によって所有者が変わった場合は、登記名義を変更しなければ売却できません。
相続登記自体に期限や罰則はありませんが、他の相続人が持分を無断で売却する可能性や、相続人の死亡によって死亡した人の相続人に同意や協力を依頼する必要があるなど、トラブルにつながる可能性があるため、相続登記はきちんと行っておきましょう。
面倒だからと放置しておくと、不動産価値の下落や空き家問題への発展など、様々なリスクがあるため、相続した不動産は早めに対応することをおすすめします。
6-2.ローンが残る家を売る時の注意点
ローン残債のある物件には、抵当権が付いています。抵当権とは、万が一ローンの返済が出来なくなった場合に金融機関がその物件を競売にかけることができる権利です。
不動産の売却によってローンを一括返済できない場合は、抵当権が残ってしまうため、売却しにくくなるリスクがあります。こういったオーバーローンの場合には、以下の方法で返済する工夫が必要です。
オーバーローンの対策 | 内容 |
自己資金で完済 | 不動産の売却をしてもローン残債がある場合に自己資金を切り崩して返済する方法 |
住み替えローンの利用 | 住み替えで新たなローンを組む場合に、残っている返済額を含める方法。審査が厳しく、返済額が増えるので、資金計画に注意が必要 |
任意売却を利用 | ローンの支払いが厳しいなどの事情がある場合に、ローン残債に関わらず抵当権を抹消できる方法 |
6-3.離婚をして不動産を売却する時の注意点
離婚が原因で不動産を売却する場合、財産分与の対象であれば、売却金を折半することで特に問題はありません。しかし、売却金で住宅ローンが完済できない場合は、残債の支払いや住宅の名義などをめぐって解決すべき問題が出てきます。
誰が住むのかによって、保証人をどうするかなどの問題が生じますし、誰が払うのかによって、今後の資金計画も変わってくるでしょう。ローンの借り換えは行うのかなど含めて、離婚後の生活をきちんと話し合っておくことが大切です。
6-4.住み替えが目的の不動産売却における注意点
住み替えの場合に重要となるのが、「先に家を売却するのか」「先に新居を購入するのか」というポイントです。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分のパターンに合った方法を取るのが良いでしょう。
資金や住み替えまでの期間に余裕がある場合は先に新居を購入しても良いですが、売却金を購入資金に充てる場合や、自己資金に余裕がない場合には、先に家を売却した方が安全です。
住み替えの手順 | メリット | デメリット |
先に家を売却 |
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先に新居を購入 |
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7.不動産売却の手順と所要期間
不動産を売却する際の手順は以下の通りです。
- 不動産の相場を調べる
- 不動産の査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動をスタートする
- 売買契約を締結する
- 代金の決済と物件の引渡しを行う
- 確定申告を行う
2015年に行われたアットホームの調査によると、不動産を売却するまでの平均期間は「マンションで6ヶ月」「戸建てで11ヶ月」で、余裕を持っておく必要があります。
特に査定依頼の前に相場を調べることが大切ですが、売却を検討し始めた段階で調べておくというのも1つの手です。査定から売却活動のスタートまで1ヶ月程度、売買契約の締結まで3~6ヶ月程度、引き渡しまで1~2ヶ月程度の期間を見込んでおきましょう。
売却によって譲渡所得が生じた場合には、確定申告も忘れずに行う必要があります。
8.失敗しない不動産会社の選び方
不動産会社の選び方としては、「行政処分情報や免許番号を調べる」「販売実績を確認する」「複数の不動産会社をチェックする」などが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
8-1.行政処分情報や免許番号を調べる
不動産会社が行政処分を受けていないかは、不動産会社が免許を更新した行政庁で、宅地建物取引業者の名簿に記載されています。名簿は、都道府県の不動産業を担当する部署や国土交通省の地方整備局で確認できるので、事前に調べるようにしましょう。
また、免許番号をチェックすることで5年に一度実施される更新の回数を確認できます。一概には言えませんが、更新回数が多いほうが経験やノウハウが豊富な可能性があるため、不動産会社選びの参考にすると良いでしょう。
8-2.売却する物件種別の販売実績を確認する
不動産会社によって、得意分野があります。戸建てが得意だったり、マンションが得意だったり、強みが異なるのでよく見極めるようにしましょう。売却する不動産に強みを持つ不動産会社に依頼すれば、売却価格も変わってくる可能性があります。
地域密着型でエリアならではのデータを保有している会社や、豊富な顧客データを基に販売活動を行う大手会社など、物件によって依頼に適した会社を見つけることが重要です。
ホームページや店頭で、売却したい物件種別の実績が多い会社を探してみるのも1つの手といえます。
8-3.複数の不動産会社をチェックする
不動産会社を複数チェックすると、それぞれの特徴や見るべきポイントが分かってきます。査定を依頼した時の対応や担当者の販売実績、サービス内容など、複数の項目を比較検討することが大切です。
一社にとらわれることなく、複数の不動産会社をチェックすることで、理想の売却につながります。多くの不動産会社を比較したい場合には、一度の申し込みで複数の不動産会社に査定依頼ができる「おうちクラベル」がおすすめです。
サービスを運営するのはソニーグループのSREホールディングス株式会社なので安心してご依頼いただけます。また、簡単な入力ですぐに査定額を確認できる精密なAI査定が可能です。多くの不動産会社の中から、売却予定の不動産に適した会社が見つかるので、売却を検討している場合にはまずは利用してみましょう。
9.不動産売却の注意点を把握した上で信頼できる不動産会社を探そう
不動産売却の際には、税金などの費用について知っておかないと資金計画に影響する他、正しい手順を踏まないと契約トラブルにつながる可能性もあります。
物件によって押さえておきたいポイントが異なるので、自分の状況に合わせて理解しておくことが大切です。今回紹介した注意点を踏まえたうえで、スムーズな売却を行いましょう。
売却価格に直結する不動産会社選びも大切です。売却を検討している場合は、まずおうちクラベルで不動産の一括査定を行いましょう。