家を売却するにあたっては「その家がいくらで売却できるのか」を知るために、まず不動産会社に家の査定を依頼する必要があります。これは、戸建てであってもマンションであっても同様です。
この記事では、家の売却活動における重要なスタートである査定について、必要な準備や確認事項、おすすめの査定方法などを詳しく解説していきます。
1.家査定の開始・完了までの流れ
最初に、家査定を開始してから完了するまでの簡単な流れを見ていきます。査定は次の3ステップで進んでいきます。
- 訪問・机上査定
- 書類と現地の調査
- 査定結果の到着
それぞれのステップについて詳細を紹介しましょう。
1-1.訪問・机上査定
家の売却価格を知るうえでベースとなる査定には、大きく「机上査定(簡易査定)」「訪問査定(詳細査定)」という2つの査定方法があります。
1-1-1.机上査定(簡易査定)
不動産会社が現地を確認することなく、面積や築年数など家の概要データから、想定売却額を算出する査定方法のこと。
ネットで簡単に査定を依頼できるため、スピーディーに査定結果を確認できるのがメリットです。その分、査定内容の精度は低いと言えます。
1-1-2.訪問査定(詳細査定)
不動産会社が現地を実際に訪れ、土地や建物の状況・周辺環境などの詳細を確認したうえで、より精緻な想定売却額を算出する査定方法のこと。
机上査定に比べて正確な査定額を確認できますが、結果が出るまでに時間がかかる点は要注意です。
1-2.書類と現地の調査
訪問査定にあたっては、書類調査と現地調査の両方が行われます。
書類調査で求められるのは、登記関連書類や建築確認通知書、測量図、間取り図といった売買に必要な情報がわかる書類です。具体的に必要な書類については、この後の章で詳しく紹介します。
なお、机上査定を依頼した場合であっても、より詳細を確認する段階では、訪問での査定が必要となります。
1-3.査定結果の到着
訪問査定を実施した後、詳細な査定結果が出るまでには、1週間〜10日程度かかるのが一般的です。査定結果が到着したら、次に挙げる3点をしっかりと確認しておくようにしましょう。
- 査定結果に記載されている各項目についての説明
- 周辺地域の類似物件における売却価格相場との価格差
- 査定額の根拠、算出にあたっての考え方
査定結果に記されている金額は、あくまでも依頼した不動産会社の見立てによる目安でしかありません。そのまま鵜呑みにするのではなく、根拠や考え方を自分でも確認し、相場とかけ離れたものでないかチェックする必要があります。
2.家査定の前に準備・確認すべき事項
家査定の流れについて簡単に見てきたところで、続いては査定前に準備・確認しておくべき事項を6つ紹介していきます。
- 住宅ローン残債
住宅ローンを完済していない家でも売却できる方法はあるため、先行して残債の有無を確認しておきましょう。 - 税金・控除
家の売却により利益が出た場合には税金がかかります。ただし、特例や特別控除が設けられているので、事前に確認しておくのがおすすめです。 - 修繕・リフォーム歴
過去に修繕やリフォームを行っている場合、建物評価に影響する可能性があるため、詳細を確認しておくといいでしょう。 - 必要な書類
査定に必要となる書類の種類、各書類の入手方法を確認しておきましょう。 - 土地の有無と境界線
土地の有無や面積によって査定額が大きく異なるほか、境界線も明らかにしておく必要があります。 - 物件の掃除
掃除によって査定額が変動するわけではありませんが、査定担当者の心象やその後の売却活動へプラスに働く可能性はあります。
2-1.①住宅ローン残債
住宅ローンの残債がある家であっても売却活動を行うことは可能です。ただし、買主に物件を引き渡すときにはローンを完済している必要があります。
残債のある状態で家を売却する場合、まずは残債がいくらなのか確認しておきましょう。ローン契約時に金融機関から発行される返済予定表、年末調整・確定申告のために毎年送られてくる残高証明書、金融機関のアプリやWebサイトなどで確認できます。
既存の家を売却した資金でローンを完済できるのであれば問題ありませんが、家を売却してもローンが完済できない場合(オーバーローン)、新たな家の取得費用と合わせて「住み替えローン」を借りるという方法があります。
いずれにしても、今後の資金計画に大きく影響を与えるため、住宅ローン残債状況の事前確認は大切です。
2-2.②税金・控除
家の売却を検討する際、売却時に税金がかかることを忘れてはなりません。
かかる税金としては、譲渡所得税(所得税および住民税)・登録免許税・印紙税が挙げられます。このうち、印紙税は家の売買契約締結時、登録免許税は買主への引き渡し時、所得税は売却した日の属する年の翌年、確定申告の際に納める必要があります。
中でも、家を売却した際に利益が発生すると支払わなければならない譲渡所得税は、売却益によって納税額が大きくなる可能性もあるため、注意が必要です。
ただし、マイホームの売却にあたっては以下の5つの控除・特例が設けられているので、あらかじめ自身が対象となるか確認しておきましょう。
- マイホームを売却したときの3,000万円特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換え特例
- マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
2-3.③修繕・リフォーム歴
修繕・リフォームを過去に行っているのであれば、修繕履歴が残っているかどうかというのは、査定する不動産会社や購入を希望する人にとって大きな判断材料になります。修繕・リフォーム歴がある場合には、査定前に発注書類など履歴のわかるものを用意しておくといいでしょう。
住宅履歴が残っているか否かという点は、建物評価そのものにも影響を及ぼします。
2-4.④必要な書類
査定にあたっては、物件そのものの情報や権利関係がわかる書類を一通り揃えておきたいところ。訪問査定まで依頼する場合に必要となる、主な資料は次のとおりです。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
家の登記情報が記載されており、地元の法務局で発行できます。 - 公図、測量図
土地の形状や境界線など、家の売却に必須の情報が記載された図面です。公図は法務局で確認できます。 - 建物図面
間取りや配管などの情報が記された図面で、家を取得した際に発行されます。 - 登記済権利証、登記識別情報
登記手続きを行った際に法務局から発行されている書類です。 - 固定資産税納税通知書、固定資産税評価証明書
家の固定資産税額が記載された書類。居住する自治体から毎年送られてきますが、最新のものを用意しましょう。
不動産会社や物件の特性によって、他にも書類が必要となる場合がありますので、何が必要か不動産会社に確認しておくのがおすすめです。
2-5.⑤土地の有無と境界線
戸建て住宅を売却するケースでは、土地がついてくるのか否か、ついてくるのであればどれくらいの面積かという点が査定額に大きく影響します。当然、土地も含めた売却かつ面積は大きいほうが査定額は高くなるでしょう。
土地面積の根拠として、隣接する土地との境界線の位置が重要になります。境界線の位置は、最も信用度の高い公図や地積測量図を参考に調べるのが基本です。
境界線が曖昧だったり不明確だったりする場合には、土地家屋調査士に依頼して測量を行わなければならないケースも考えられます。それだけ、土地の面積は査定にとって大切な要素であるということです。
2-6.⑥物件の掃除
査定前に家の掃除も行っておきたいところです。これは査定額に直接影響するわけではありませんが、掃除が行き届いた家のほうが査定員にとっての心象が良くなり、今後の売却活動へ向けてプラスに働く可能性があります。
また、極端に汚い状態だと査定額にマイナスの影響を及ぼすかもしれません。
実際に売却活動がスタートすると、購入希望者の内覧時、家を綺麗にしておく必要が出てきます。今後のことを見据えるという観点からも、査定時にある程度家を掃除しておくのがおすすめです。
3.家査定の依頼時に注意するポイント
実際に家査定を不動産会社に依頼するとき、注意すべきポイントが5つあります。
- 複数の不動産会社に査定依頼する
- 査定価格を信じ込まない
- 営業マンの人柄や誠実さを見る
- 売却タイミングに合う方法を選ぶ
- 物件の瑕疵をあらかじめ伝える
5つのポイントそれぞれについて、内容を詳しく見ていきましょう。
3-1.複数の不動産会社に査定依頼する
家査定を依頼する際に最も大切なポイントが、必ず複数の不動産会社に査定依頼をするということです。
実は、同じ物件の査定でも、不動産会社によって価格が異なるというケースはよく見られます。1社にだけ査定依頼する場合、その不動産会社が提示する価格しか参考情報がないため、価格が妥当なのかどうかの判断がつきません。
査定価格はあくまでも参考値でしかないものの、最終的な売却価格のベースになっていきます。査定の段階で複数の不動産会社に依頼し、査定価格の相場を知っておくのが大切なのです。
複数の不動産会社に査定依頼するには、無料の不動産一括査定サイト「おうちクラベル」がおすすめです。「おうちクラベル」なら不動産会社への一括査定だけでなく高精度なAI査定も確認できるので、相場を客観的に知ることができます。
3-2.査定価格を信じ込まない
不動産会社から査定価格を提示されると、その価格で家が売却できるものと思ってしまいがちです。
しかし、査定価格は不動産会社が判断した価格に過ぎません。最終的に「いくらで売るか」を決めるのは売主です。また、仲介手数料などの諸費用を差し引いた金額が手元に残るので、査定価格がそのまま手取りになるわけではありません。
そもそも、査定価格は査定する不動産会社や査定のタイミングによっても変動します。特に机上査定においては、現物の状態によって価格が大きく変わる可能性もあるため、査定価格が絶対であるかのように信じ込まないようにしましょう。
3-3.営業マンの人柄や誠実さを見る
査定価格を提示してもらった不動産会社の中から、信頼できる会社を選んで、実際に売却活動を依頼していくことになります。不動産会社選びは、売却の成否を大きく左右する重要な要素です。
信頼できる不動産会社の探し方として、査定依頼時から営業マンの人柄や誠実さを見るというのも有効です。不動産会社そのものの実績や信頼性も大切ですが、何より担当する営業マンの能力次第で、最終的な売却価格に影響が出る可能性があります。
3-4.売却タイミングに合う方法を選ぶ
家査定を検討するにあたっては、売却を希望するタイミングによって査定方法を上手に選ぶようにしましょう。
それほど売却を急いでいないのであれば、多くの不動産会社に机上査定を依頼し、納得いくまで比較するというのも有効です。一方、比較的売却を急いでいる場合には、精度の高い査定価格をいち早く知るため、訪問査定を重視するほうが向いています。
先ほども触れたとおり、売却のタイミングによって価格は変動します。タイミングによっては、優良物件であっても売却価格に影響が出る可能性もあるため注意が必要です。
3-5.物件の瑕疵をあらかじめ伝える
建物や土地に何らかの不具合があって、物件が果たすべき役割を果たせていない状態にあることを「瑕疵」と呼びます。売却予定の家に瑕疵があるなら、査定前に必ず伝えるようにしましょう。
もし、売却後に瑕疵が発覚して買主の生活に影響が出るような事態になると、売主に「契約不適合責任」が生じます。査定価格にマイナスの影響を及ぼさないよう瑕疵を隠していると、売却時に大きなトラブルに発展し、結果的に甚大な損害を被ってしまうリスクがあるのです。
4.家査定の評価に影響する項目
家査定を依頼するにあたっては、どのような要素が評価に影響を及ぼすのか把握しておくことも大切です。この章では、家査定の評価に影響する6つの項目について詳しく解説していきます。
- 市況・相場
- 立地条件
- 築年数・修繕歴
- 面積
- 間取り
- 日当たり・通気性
4-1.市況・相場
戸建てにしてもマンションにしても不動産は実物資産です。消費財ほどの急激な価格変動は見られないものの、時代の流れやニーズの変化によって価格は変動します。つまり、家もモノである以上、市況や周辺相場次第で売却価格が上下するということです。
中古住宅の流通市場が活況なタイミングや、周辺相場が上がっている状況での売却なら価格は高くなりますし、反対の状況になれば低い価格でしか売れないかもしれません。
実際、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務の増加などにより、マイホームへのニーズが高まっています。新築よりも安価な中古住宅への需要が拡大した結果、都市部を中心として、中古住宅の成約価格は値上がりが続いています。
4-2.立地条件
立地条件は、家査定の評価に大きな影響を及ぼす項目の1つです。なぜなら、建物の状態が悪かったとしても修繕やリノベーションによって改善できますが、立地条件については後から改善するのが難しいからです。
評価に影響する立地条件としては、次のような項目が挙げられます。
- 用途地域
第一種低層住居専用地域、商業地域など - 周辺環境
駅からの距離、線路や幹線道路といった騒音源からの距離など - 施設へのアクセス
スーパー、大型商業施設、病院、郵便局、学校、保育園といった生活利便施設へのアクセス性 - 自然環境
公園、緑地など自然を感じられる環境が近くにあるかどうか - 防災面
地震、水害、土砂崩れといった自然災害によるリスク想定 - 治安面
周辺エリアにおける犯罪の発生状況
4-3.築年数・修繕歴
築年数は誰が見ても明確にわかる指標であり、査定評価にも影響を及ぼします。当然のことながら、同じような条件の物件であれば、築年数が古い物件より築浅の物件のほうが査定額は高くなります。
築年数による価格変動の傾向は戸建てとマンションで異なり、一般的に戸建てよりもマンションのほうが下落のペースは緩やかです。これは、木造や軽量鉄骨造が中心の戸建てに比べ、鉄筋コンクリート造のマンションのほうが耐用年数が長いと考えられるためです。
なお、築年数の経過している中古戸建てであっても、過去の修繕やリフォームの履歴をしっかりと書面で残しておけば、プラスの評価につながる可能性があります。
4-4.面積
物件の専有面積や床面積の広さによっても査定評価は変わってきます。一般的に、専有面積・床面積が広いほど利用価値が高いと見なされるため、査定額が高くなる傾向にあります。
面積は、この後の章で紹介する査定価格の算出方法にも用いられることからも、査定評価のベースとなる最も基本的な要素の一つと言えるでしょう。
4-5.間取り
同じ面積であっても、間取りによって査定価格が変わってくることがあります。使い勝手が良く、人気の高い間取りの物件は査定価格が高くなります。
マンションであれば、ファミリーにとって使い勝手のいい3LDKの間取りが人気です。戸建ての場合には平面の間取りだけでなく、2階や3階といった階層ごとの間取りによっても評価が変わってきます。
購入後に間取り変更したいというニーズも考えられるでしょう。ただし、水回りは配管によって制限を受けるため、位置変更に大きなコストがかかります。そのため水回りの位置は特に重要です。
4-6.日当たり・通気性
日当たりや通気性といった住環境は、訪問査定でないとわからない評価項目です。日当たりや通気性に優れている家であれば、訪問査定によって評価が高まる可能性があります。
中でも、リビングや寝室といったメインの居住空間における窓やバルコニーの位置など、採光性は重視されます。窓の数や配置によっては、通気性が評価される可能性もあるでしょう。
また、建物自体の方角としては日当たりのいい南向きが評価されます。それ以外の方角は評価が下がる傾向にあり、具体的には東向き・西向き・北向きの順に評価が下がっていくというのが一般的です。
5.家の査定額の計算方法は3つ
ここまで、家査定におけるポイントや評価項目について紹介してきましたが、査定額はどのように計算されるのでしょうか。家の査定額を算出するにあたっては、主に3つの計算方法が用いられます。
- 取引事例比較法
過去に取引された類似物件の事例をもとに算出する方法 - 収益還元法
物件の収益予測から算出する方法 - 原価法
再調達価格から劣化分の価値を差し引いて算出する方法
この章では、3つの計算方法がどのようなものか見ていきましょう。
5-1.①取引事例比較法
取引事例比較法はその名のとおり、査定対象物件と類似する物件の過去取引事例をベースとして、査定額を算出する方法です。不動産取引はデータベース化されていて、比較的簡単に査定額を求められます。
土地価格を取引事例比較法で算出する場合であれば、類似取引事例から平均坪単価を計算し、査定対象物件の土地面積にかけることで査定額を求めます。
この方法は類似物件と横並びで比較するものであるため、物件ごとに特徴が大きく異なる、戸建ての建物を査定するには不向きです。比較的間取りや立地条件の似ている物件が多い、都心のマンションなどに向いている方法と言えるでしょう。
5-2.②収益還元法
物件が将来生み出すと考えられる収益に注目して、査定額を算出するのが収益還元法です。
収益還元法には、主に「直接還元法」と「DCF法」という2つの計算方法があります。直接還元法では、年間家賃収入を還元利回り(キャップレート)で割り戻して査定額を求めます。
たとえば、年間家賃収入200万円で還元利回り5%の物件であれば、以下の計算により査定額は4,000万円となるのです。
年間家賃収入200万円 ÷ 還元利回り5% = 4,000万円
収益還元法は家賃収入をベースにしていることから、投資用物件の査定に用いられる計算方法です。
5-3.③原価法
現状の物件を取り壊して同じ建物を再建築する場合の費用(再建築価格)から、劣化分の価値を差し引いて査定額を求める方法が原価法です。具体的には、次のような計算式によって査定額を算出します。
査定額 = 再調達価格 × 延床面積 ×((耐用年数 − 築年数)÷ 耐用年数)
物件の建物構造によって再調達価格や耐用年数が設定されており、木造住宅なら再調達価格は1平方メートルあたり15万円程度とするのが一般的。耐用年数は法定値の22年を用います。
延床面積100平方メートル・築20年の木造戸建て住宅であれば、以下の計算により、建物の査定額は約136万円となります。
再調達価格15万円 × 100平方メートル × ((22年 − 20年)÷ 22年)≒ 136万円
戸建て住宅の査定においては、建物分を原価法で計算し、土地分を取引事例比較法で計算するケースが多くなっています。
6.家の査定後の媒介契約と種類
この章では、次のとおり、3種類それぞれの特徴や注意点について解説していきます。
- 一般媒介
複数の不動産会社と媒介契約を締結する形態 - 専任媒介
不動産会社1社のみと契約を締結するが、売主自身で買主を見つけることも可能な形態 - 専属専任媒介
不動産会社1社のみと契約を締結し、売主自身で買主を見つける行為も禁止される形態 - 囲い込みに注意
6-1.一般媒介
複数の不動産会社と媒介契約を締結できる契約形態が一般媒介契約です。売主自ら買主を見つけた場合には売買契約を直接結ぶこと(自己発見取引)も可能で、3つの契約形態の中で最も自由度が高いと言えるでしょう。
その他、不動産流通機構が運営する「レインズ」への物件登録義務がない点、契約期間の定めがない点(ただし、国土交通省の標準媒介契約にならって3ヶ月以内にするケースが大半)、不動産会社に活動報告義務がない点も特徴として挙げられます。
一方、他の不動産会社が契約を取ってしまうと報酬が受け取れないため、積極的に動いてもらいづらいというのがデメリット。活動報告義務もないので、各社がどのような動きをしているのかわかりづらい点も要注意です。
こうしたことから、次のような特徴に当てはまる人が一般媒介に向いていると考えられます。
- 人気の高い物件を売却する人
- 情報をあまり開示せずに売却したい人
- 複数の不動産会社と密にコミュニケーションできる人
6-1-1.明示型と非明示型
一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」の2種類があります。媒介契約を結ぶ不動産会社に対し、他の不動産会社とも媒介契約を結んでいる旨を知らせるのが「明示型」、知らせないのが「非明示型」です。
明示型のほうが不動産会社の信頼を得やすいため、何か特別な事情がない限りは、基本的に明示型を選んだほうがいいでしょう。
6-2.専任媒介
1社の不動産会社のみと媒介契約を締結するのが専任媒介契約です。一般媒介契約と同じく自己発見取引は認められています。
専任媒介契約を締結すると、7日以内にレインズへ登録することが義務付けられているほか、不動産会社は売主に対して2週間に1回以上、活動報告を行わなければなりません。
専任媒介は、不動産会社が積極的に営業活動をしてくれる場合が多く、早期売却できる可能性が高いのは大きなメリット。一方で、契約する不動産会社の営業力に依存せざるを得ない点はデメリットと言えます。
以上より、次のような人は専任媒介契約を検討するといいでしょう。
- なるべく早期に家を売却したい人
- 知り合いなどに家を直接売却する可能性のある人
- 複数の不動産会社とやり取りするのが面倒な人
6-3.専属専任媒介
1社とのみ媒介契約を締結し、かつ自己発見取引が認められないのが専属専任媒介契約です。仮に売主自身が買主を見つけた場合、不動産会社に仲介してもらい、仲介手数料を支払わなければなりません。
5日以内のレインズへの物件情報登録、1週間に1回以上の活動報告義務などが定められており、専任媒介契約以上に縛りの強い契約形態と言えます。
それだけに、不動産会社は専任媒介契約以上に手厚く営業活動をかけてくれることが期待でき、比較的スピーディーかつ相場よりも高く売却できる可能性があります。しかし、不動産会社の営業力に依存する点や、この後紹介する「囲い込み」のリスクがある点は要注意です。
専属専任媒介契約が向いているのは次のような人です。
- 条件の良くない家を売りたい人
- 相場よりも高く売却したい人
6-4.囲い込みに注意
媒介契約においては、不動産会社による「囲い込み」に注意しなければなりません。
囲い込みとは、不動産会社が買主・売主両方から仲介手数料を受け取るため、他の不動産会社に物件情報を出さないようにする行為のこと。囲い込みされてしまうと、相場よりも低い価格で売却せざるを得なかったり、売却までの期間が長引いたりする危険性があります。
専属専任媒介契約や専任媒介契約で囲い込みが起こりやすいため、レインズの登録証明書を受け取るなど対策を講じるようにしましょう。
7.家の査定・売却時の失敗原因5選
大切な家を売却するのですから、査定や売却活動において失敗はしたくないものです。失敗を回避するためには、よくある失敗原因を把握して、事前に対策しておくことが大切。この章では、家の査定・売却時に気をつけたい失敗原因を5つ紹介していきます。
- 不動産会社選定のミス
- 費用・税金計算を行っていない
- 不動産会社にすべてを任せている
- 物件の瑕疵を伝えない
- 内覧の準備不足
7-1.①不動産会社選定のミス
不動産会社選びが、家の売却の成否を決めると言っても過言ではありません。それだけに不動産会社選びに失敗してしまうと、売却そのものが失敗する危険性も高まります。
この失敗を避けるには、査定の時点から複数の不動産会社に依頼して、比較検討することが大切です。不動産会社ごとの特徴や得意・不得意、保証・検査サービスの有無や違いを確認したうえで、自身のスタンスに適した不動産会社を選ぶようにしましょう。
複数の不動産会社を比較検討するにあたっては、無料の不動産一括査定サイト「おうちクラベル」を活用するのがおすすめです。
7-2.②費用・税金計算を行っていない
家を売却する際、売却価格がそのまま手取りとなるわけではありません。実際には、売却活動に伴う経費や税金などを支払った残り分が手元に入ってきます。このことを想定せずに資金計画を立ててしまうと、資金不足に陥る危険性もあるのです。
売却にあたって発生する費用・税金には次のようなものがあります。
- 不動産会社への仲介手数料
- 契約書にかかる印紙税
- 登記にかかる費用
- 譲渡所得税
- 不用品処分費用
- 内覧前のハウスクリーニング費用
- 土地測量費用
他にも細かな費用や税金がかかってくるため、必ず事前に計算して、余裕のある資金計画を立てるようにしましょう。
7-3.③不動産会社にすべてを任せている
家の売却は専門知識が必要になるため、プロである不動産会社と媒介契約を締結して動いてもらうというのは通常のことです。しかし、プロだからといって、不動産会社にすべてを委ねてしまうと失敗の原因になりかねません。
不動産会社へ依頼するにあたっては、売却希望価格など譲れない条件面はしっかりと伝えるのが大切。そのためにも、あらかじめ周辺相場や売却の流れなどリサーチを行い、売却に対するイメージを描いておきたいところです。
7-4.④物件の瑕疵を伝えない
物件の瑕疵を伝えないというのも、売却の失敗につながる行為です。
瑕疵が見つかった場合には「契約不適合責任」という売主側の責任が生じます。契約不適合責任は任意規定であるため、契約上は特約で免責可能です。
しかし、売主が事前に知っていながら隠していた瑕疵については、たとえ特約で免責されていたとしても売主の責任を追及される可能性があります。些細な瑕疵で隠すつもりがないようなことでも、不動産会社や買主に伝えるのが大切です。
7-5.⑤内覧の準備不足
購入希望者が現れると、実際に家の内覧をしてもらいます。内覧時の印象は購入するか否かの判断に大きく影響するので、しっかりと準備した状態で内覧に臨まなければなりません。
内覧の準備におけるポイントは、自分が買主であると想定して、気になる箇所をすべてチェックしておくことです。特に、家の顔とも言える玄関や水回りは重点的に掃除しておき、購入希望者の印象を良くするよう心がけましょう。
8.家の査定はおうちクラベルの一括査定サービスがおすすめ
家の査定によって提示される査定価格はあくまでも目安の価格ではありますが、最終的な売り出し価格や売却価格のベースになるため重要です。精度の高い査定価格を出してもらうには訪問査定が必要となります。
これまで紹介してきたとおり、複数の不動産会社に査定を依頼するのが売却成功のポイントであるものの、個別に不動産会社と連絡を取り合うのは手間も時間もかかってしまうでしょう。
そこでおすすめなのが一括査定です。一括査定で複数の不動産会社と連絡を取り合い、各社からの査定結果を比較することにより、大まかな費用相場やサービス内容の違いを確認できます。また、不動産会社の間で競争原理が働くため、査定価格・売却価格にもいい影響を与える可能性があるでしょう。
一括査定を行う際には、査定価格の基準を知っておくことも大切です。基準を把握しておけば、各社から提示された価格の妥当性を判断できます。
不動産一括査定サイト「おうちクラベル」なら、高精度なAIによる査定価格も確認可能。AIによる確かな基準を持って、各社からの査定価格を比較できます。
まとめ
家の売却活動の入口にあたる家査定は、その後の売却活動の成否を占う重要なフェーズです。1社のみに依頼するのではなく、複数の不動産会社に依頼し比較検討することで、価格相場やサービスの基準を把握することができます。
プロの不動産会社に任せきりにするのではなく、自分でもあらかじめリサーチを行い、売却活動を進めるにあたって希望条件をしっかりと伝えておくという姿勢が大切です。
信頼できる不動産会社を見つけて売却活動を成功させるためにも、まずは、無料の不動産一括査定サイト「おうちクラベル」で一括査定を依頼するのがいいでしょう。