不動産の売却は日用品の買い物のように頻繁に行うものではないため、相場がどのくらいなのか分かりにくいかもしれません。そこで所有する不動産がいくらで売れそうなのか知るために活用できるのが価格査定です。
ただし、不動産会社が行う価格査定には複数の方法があるため、それぞれのメリット・デメリットを把握しておくことが大切です。この記事では価格査定の方法や不動産の価格を決める要因、不動産の売却を成功させるために気をつけておくべきポイントなどを詳しく解説します。
1. 不動産の相場価格を知る方法とは?
不動産の相場価格を知るためには、査定を受けるのが第一歩です。不動産査定には大きく分けて「訪問査定」と「机上査定(簡易査定)」の2種類があります。それぞれどのようなシチュエーションや目的で用いられるのかなど、まずは特徴を把握しておいてください。
1-1.訪問査定とは?
訪問査定は現地査定とも呼ばれ、不動産会社の担当者が実際に現地に赴いたうえで査定する方法です。所有者からも話を聞きながら現地で不動産の実物を確認するため、データだけでは見えない部分も把握できます。例えば、土地の地形や隣接する道路、ライフラインの状況、建物の劣化具合や設備の使用状況などが挙げられ、状況によって査定がプラスになることもマイナスになることもあります。
日当たりや眺望などの周囲環境も、実際に現地を訪れてみないと分かりません。雨漏りやシロアリ被害がないか、リフォームの状況はどうかなど、物件の状態を隅々までチェックします。実際に不動産そのものを目で見て確認しながら査定を行うため、後述する机上査定よりも精度が高く、正確な結果が得られる方法です。
1-1-1.訪問査定の必要書類
訪問査定ではより詳しい不動産の情報を提供できるように、以下のような書類を用意しておく必要があります。まず、不動産の所有者であることを示す権利証や登記識別情報は必須です。所有者や権利関係の情報が記載されている登記簿謄本、一戸建ての場合は土地や隣地との状況が確認できる公図や地積測量図、境界確認書なども用意しておきましょう。
建物に関しては、図面や過去に実施したリフォームの履歴が分かる書類などが求められます。マンションの場合は管理規約や管理費・修繕積立金などの情報が分かる書類も必要です。不動産の購入時に交わした不動産売買契約書や建築時の検査済証、固定資産税納税通知書なども査定の参考になるため、準備しておきましょう。
1-1-2.訪問査定を受ける前に必要な準備
訪問査定を受ける前に、できれば机上査定を受けて自分でも相場を調べておくようにしてください。訪問査定は現地調査を行う分、机上査定よりも精度の高い査定価格を期待できます。しかし、査定を出す不動産会社によって査定価格には多少の幅があるため、適正価格を知るためにも大まかな相場を把握しておくことが大切です。
また、査定の前には、一通りの掃除はしておきましょう。査定に影響するとはかぎりませんが、少なくとも訪問査定に訪れた担当者の印象はよくなります。
1-2.机上査定とは?
机上査定は、訪問査定のように現地を訪れて確認することはしません。基本的に対象の不動産に関するデータをもとにして、査定価格を算出します。例えば所在地や面積、築年数や構造など物件の基本情報、最寄り駅からの距離、公示地価や路線価など公的に発表されているデータなどを基にしています。ほかにも近隣で売り出し中の物件の販売価格や、過去の成約事例なども参考にされます。
現地で実物をチェックするわけではないため、訪問査定ほどの精度はないものの、相場価格はつかめるでしょう。まずは相場を知ってから売却するかどうかを判断したい、概算でいいから売れそうな価格を知りたいという人におすすめの査定方法です。机上査定で概算を把握してから、本格的な訪問査定を受けることもできます。
2.訪問査定のメリット・デメリット
訪問査定にも机上査定にもメリットがあれば、デメリットもあります。適切な場面で活用できるよう、それぞれの特徴を把握しておきましょう。まずは訪問査定についてメリットとデメリットを掘り下げて詳しく解説します。
2-1.訪問査定のメリットとは?
訪問査定では不動産そのものの現況を直接確認し、周辺環境も把握したうえで査定価格を算出します。書類上のデータだけで判断するわけではない分、査定価格の精度は高めです。実際、不動産会社の出す査定価格は3ヶ月程度で売却できそうな価格を想定しているため、本格的に売却を検討している人には売り出し価格を決める目安になります。
訪問査定では、不動産会社の担当者と直接会えるのもメリットです。所有している不動産の売却は、信頼できる不動産会社にサポートしてもらいたい方が多いのではないでしょうか。訪問査定では、担当者がどのような対応をしてくれるのか見極めることが可能です。売り出す時期や有利に売却するコツなど、気になることがあればアドバイスも受けられます。
2-2.訪問査定のデメリットとは?
訪問査定は個別に対応します。担当者が現地に出向く手間や時間がかかるため、査定を依頼してから結果が出るまでに時間がかかるのはデメリットです。少なくとも1週間はかかると考えておくといいでしょう。査定に来てもらう日程の調整を行い、当日は在宅していなければなりません。
査定を受けるために用意しておかなければならない書類も多く、手元になければ不動産会社や役所に問い合わせて入手しておく必要があります。一通りの掃除もしておくなど、事前準備が大変なのも訪問査定のデメリットです。机上査定に比べると査定価格の精度が高いものの、契約を取りたいという不動産会社の意図が働くと相場よりも高い評価を提示されることがあります。後に値下げを強いられることもあるため、高額過ぎる査定には注意しましょう。
3.机上査定のメリット・デメリット
机上査定にも訪問査定にはないメリットがあり、不動産を売却する際には活用されています。ただし、デメリットも存在するため、理解したうえで賢く活用したいものです。ここからは机上査定のメリット・デメリットについて解説します。
3-1.机上査定のメリットとは?
机上査定のメリットは、なによりも結果が早く出ることです。個別に不動産会社へ依頼する机上査定でも担当者による現地調査はなく、必要な不動産の情報を提供するだけで当日に結果が分かることが一般的です。インターネット上のフォームに入力するだけで依頼できるシステムになっていることが多く、わざわざ不動産会社に出向く手間がかかりません。
複数の不動産会社が参加している不動産一括査定サイトでは、不動産のデータを入力するだけで、一度にすべての不動産会社が出す査定価格を把握できるのもメリットです。結果も早ければ数分や数時間で出ます。複数の査定価格を比較し、売却を依頼する不動産会社を選ぶのにも役立つでしょう。不動産会社の担当者と直接会うことがないため、強引な営業に対応する必要がなく、やり取りもメールや電話で行えます。
3-2.机上査定のデメリットとは?
机上査定はデータだけをもとに査定をしているため、訪問査定ほど正確な査定価格は得られません。本来ならメリットになる要素やマイナスになる要素があっても査定価格に反映されず、大まかな査定価格しか把握できないのはデメリットです。特に一戸建ての場合は同じものがないため、机上査定では大きな幅が出る可能性があります。
とりあえず売却できそうな価格を知っておきたいだけという場合はそれでも問題ありませんが、あくまでも机上査定の金額は目安としておきましょう。机上査定でも不動産会社からの営業電話など、アプローチがあることも考えられます。連絡手段をメールに限定しておくなど、対策を施しておくことである程度は営業を抑えることが可能です。
4.不動産の査定価格はどのように算出されるのか?
不動産の査定価格を算出する方法は、大きく分けて3種類あります。それぞれどのような手法で査定価格が求められるのか、どのようなケースで使われることが多いのか、メリット・デメリットや注意点なども含めて詳しく解説します。
4-1.原価法
原価法は対象の不動産をもう一度同じように造成したり建てたりするときにかかる「再調達原価」をもとに評価する方法です。土地と建物の価格をそれぞれ計算して合計するため、積算価格と呼ばれます。まずは再調達原価を割り出したうえで、経年劣化による資産価値の低下分を減価修正し、現在の査定価格を算出します。再調達原価を把握しやすく、減価修正を適切に行える場合は土地の査定にも使われることがありますが、一般的には一戸建ての建物部分の査定で採用されることが多い方法です。
従来は建物構造によって定められた耐用年数で減価修正が計算されていました。しかし、中古住宅の流通市場の活性化に向け、リフォームや適切な維持管理が行われている建物が適切に評価されるよう国土交通省から提言が出されています。
4-2.収益還元法
収益は不動産の経済価値の本質を形成するものとの考えから、収益還元法は特に賃貸用不動産や事業用不動産で適用されることが多い方法です。3種類ある査定価格の算出方法のうち、収益還元法ではさらに「直接還元法」と「DCF法」の2種類があります。同じ収益還元法でも査定価格の割り出し方がどう違うのか以下で詳しく解説します。
4-2-1.直接還元法とは?
収益還元法は査定対象の不動産が、将来どのくらい収益を上げるかという予測をもとに評価する方法です。直接還元法は1年間など一定期間の純利益を還元利回り(表面利回り)で割って、対象不動産の収益価格を求めます。
純利益は収益から費用を差し引いて残った実質的な利益です。還元利回りは不動産から得られる利回りで、キャットプレートとも呼ばれています。一般的な住宅で4~7%、事業用の場合は6~10%だとされていますが、築年数や構造、地域などによって大きな差があります。
具体的に年間の収益が110万円、経費が10万、還元利回りが5%だったとして、計算してみましょう。計算式は「(110万円-10万円)÷5%」となり、査定価格は2,000万円です。
4-2-2.DCF法とは?
DCF法のDCFは「Discounted Cash Flow」の略です。DCF法は、現在から売却するn年後までに得られるであろう利益を現在価値に換算して不動産価格を計算する方法です。年間の純利益が200万円の物件における5年分の想定利益は単純計算すると200万円×5年=1,000万円となりますが、経年劣化にともなう家賃の下落や空室率の上昇などを加味するため「純利益÷(1+割引率)のn乗」で、1年分の純利益を求め、n年分の合計を出します。
例えば1年間の純利益を200万円、割引率を3%とし、5年後に3,000万円で売却できると考えた場合を見てみましょう。純利益は1年目が194万円、2年目は189万円、3年目は183万円、4年目は178万円、5年目が173万円で、合計は917万円です。5年後の売却想定価格3,000万円を(1+0.03)の5乗で割り、現在の価格に割り引いた金額は2,588万円となり、すべてを合計すると現在価値は3,505万円になります。
4-3.取引事例比較法
取引事例比較法は、査定する不動産に類似した近隣の取引事例と比較して査定する方法です。多少離れた場所にある不動産でも似たような特性であれば採用されることがありますが、基本的には近隣の取引事例と比較します。また、土地の条件などの個別的要因の比較ができることも、事例の選択をするうえで大事な条件です。投機的取引が行われた事例は適正価格ではない可能性があり、比較の対象としては適していません。
類似した物件といっても詳細には違いがあるため、事情補正や時点補正を加味して算出します。例えば転勤や相続税の支払い期日が迫っているなどの理由で売り急いだ場合や、特殊な使用方法を前提として取引された場合などは、プラスまたはマイナスの事情補正を加えます。時点補正は取引時点からの価格変動を加味して修正する方法です。
実務では築年数や土地の形状、日当たりなど、さまざまな条件を確認して評価点をつけ、査定価格に反映させます。マンションでは駅からの距離や階数、間取りなどが重視されるポイントです。不動産売買の実例が少ない地域では採用が困難なこともありますが、一般的な不動産取引ではよく使われています。ただし、評価の内容が担当者の感覚によるところがあるほか、取り上げる事例に違いもあるため、不動産会社によって査定価格には差が出る可能性があります。
5.不動産の査定価格に影響を与える14の要因とは?
不動産の査定価格に影響をおよぼす要因は複数あり、査定時にはかならずといっていいほどチェックされます。不動産そのものの要因もあれば、そうでないものもあります。ここでは14点ピックアップして解説しますので、把握しておきましょう。
5-1.不動産の種類
不動産の価格査定は、不動産の種類によって査定に適した手法が違ってきます。例えば公益財団法人不動産流通推進センターが提供している価格査定マニュアルでは、一戸建ての建物には原価法、マンションや住宅地には取引事例比較法が用いられています。
査定の際に重視されるポイントも不動産の種類によって異なり、土地の状況は一戸建ての査定では大きな影響を与える要素になりますが、マンションの査定では一戸建てほど重要視されない傾向にあります。マンションでは、むしろ立地のほうが重視されます。また、マイホームか投資用物件かでも重要視されるポイントは異なり、投資用物件では入居率が大事です。入居率は家賃収入や利回りに影響するため、査定価格にも反映します。
5-2.過去の成約事例
査定価格の算出では、近隣の似た不動産の成約事例も参考にされます。売主の心情としては、なるべく高く売りたいと思うでしょう。売り出し価格は売主の希望で決定できますが、あまりにも相場とかけ離れていると、いつまで経っても売れない可能性があります。物件自体は買主のニーズに合っていても、価格が高すぎると選択肢から外れてしまうことが考えられるからです。査定価格は一般的に3ヶ月で売れる可能性が高い価格とされているため、査定対象の不動産がある地域の成約事例を参照して査定価格を算出するのが一般的です。
5-3.土地の権利関係や形状
売主に土地の所有権があるのか、借地権が設定されているのかでも査定価格が違ってくるケースがあります。一戸建てでは、特に土地の現状が大きく査定に影響するポイントです。例えば三角地や旗竿地などの特殊な形状は評価が低く、逆に使いやすい正方形や長方形などの整った形状のほうが高く評価されます。ほかにも接している道路の状況や、道路に面している間口、奥行きなども評価のポイントです。再建築不可の場合は建て替えなどができないため敬遠されることが多く、一般的に評価は低くなります。
5-4.交通・立地条件
生活するうえで立地条件は大事な要素です。特にマンションでは、最寄り駅からの距離が近いほど査定価格が高くなります。複数路線が利用できるなど、交通の利便性は重要視されるポイントです。また、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、病院など、生活に密着する施設へのアクセスも査定価格に影響をおよぼします。ファミリー層が多い地域の一戸建てでは人気の学区や閑静な環境などが高評価につながることもあります。
5-5.構造・築年数
建物の構造も査定価格で重視されます。構造によって耐用年数は異なり、木造よりもRC造(鉄筋コンクリート造)、RC造よりもSRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)のほうが評価も高いのが一般的です。耐震性能もポイントのひとつで、1981年の法改正以前に建てられた新耐震基準を満たしていない不動産は評価が低くなる可能性があります。築年数は条件やニーズによって違ってきますが、一般的に古ければ評価は低く、築浅なほど価値が高くなる傾向です。
5-6.間取り・広さ
マンションの査定価格では1平方メートルなどの単価に専有面積をかけて価格を算出するため、広さが直接査定に影響します。ただし、広ければ広いほどいいというわけではなく、需要がある間取りかどうかも重要なポイントです。例えば、単身者や夫婦二人暮らしが多い地域では、ファミリー向けの部屋数が多い物件よりも、広すぎないほうが好まれます。逆にファミリー層のニーズがある地域には、広くて部屋数も十分な間取りの需要が高く、査定価格が高めになる傾向です。
5-7.修繕履歴・人気設備の有無
一戸建てかマンションかにかかわらず、適切な修繕やリフォームが行われていなければ、建物を良好な状態で維持できません。不動産の価格査定では、適切にメンテナンスが行われていることを示す修繕履歴が把握できなければ評価が下がってしまいます。また、ディスポーザーや浴室乾燥機をはじめとした人気設備があれば、評価がプラスになる可能性があります。オートロックがあるなどセキュリティ面での充実度や、共用部分のグレードが高そうな物件も査定ではプラス評価に結びつきます。
5-8.駐車場
駐車場の有無や仕様も査定に影響を与える可能性があります。公共交通機関が充実している都市部の場合、そもそも自家用車を所有していないこともあり、必ずしも駐車場が必要なわけではありません。しかし、移動手段として自家用車が必須の地方では、駐車場がないと査定では不利になる可能性があります。アパートやマンションでは、戸数に対して充足率が高いほうが高評価です。また、平置き駐車場や自走式立体駐車場、機械式立体駐車場など、使いやすい仕様かどうかも評価のポイントになります。
5-9.施工会社・販売会社
一戸建てでもアパートやマンションでも、建築した施工会社や販売会社によって査定価格に幅が出る場合があります。例えば、誰もが知る大手が手がけるブランドシリーズでは、査定価格がプラスされることも少なくありません。築年数が経過していても、ネームバリューがある会社による物件は、価格が上乗せされることがあります。逆に施工不良や不祥事があった会社の物件はマイナスになる可能性があるなど、どの会社が建てて売ったのかなども査定価格を左右します。
5-10.各種証明書の有無
耐震診断を受けたことがあるのなら、耐震診断報告書を提出することで耐震基準を満たしていることが証明できます。中古住宅の売買を行うとき、インスペクションを実施することも増えてきました。義務ではありませんが、検査を受けることによって瑕疵や修繕が必要な箇所をあらかじめ把握できれば、トラブルの予防につながります。インスペクションを受けたことを証明する書類があることで安心や信頼にもつながるため、各種証明書の取得は積極的に検討したいポイントです。
5-11.売主の事情
不動産を売却する理由は、売主によってさまざまです。不動産会社が査定を行う際はなぜ売る必要があるのか、理由も確認します。買い換えを検討している、相続税の支払いに間に合わせたいなど、早めに売却したい事情を抱えていることもあるでしょう。ある程度ゆっくり時間をかけて販売活動しても大丈夫なのか、急いで売却する必要があるのかなどによって、売り出し価格の設定や販売戦略も変わってきます。なぜ売りに出ているのか気になる買主も多く、早く売りたい理由によって査定に影響が出るケースもあります。
5-12.不動産相場・社会情勢
同じ不動産でも売買する時期によって、査定価格が変わってくることも珍しくありません。不動産相場が勢いづいているときのように、需要が供給を上回っている時期は高く売りやすくなるため、査定価格も上がります。一方で社会情勢が不安定な時期や景気が悪い時期は、購買意欲が減ったり、収入の減少で不動産の購入に予算をかけられない人が増えたりするでしょう。その分、査定価格が下がり気味になります。時期的な要因で査定価格が左右されることがあるため、相場の動きや社会情勢も把握しておくことも大切です。
5-13.部屋の位置
アパートやマンションなどの集合住宅の場合は、階数やバルコニーのある方角など、部屋の位置も査定に大きく影響します。階数が高くなるほど眺望や日当たりがよくなるため、査定価格も高くなるのが一般的です。方角は南向きが最も評価が高く、東向き、西向きと続き、北向きは最も評価が低くなる傾向にあります。ただし、同じ方角でも周囲の建物との位置関係で採光の具合が異なったり、方角が悪くても眺望が評価されたりする場合など、個別の条件も影響します。また、戸数が限られている角部屋もプラス評価に結びつきます。
5-14.維持管理状況
建物や設備などがいかに良好な状態で保たれているのかも、価格査定では評価のポイントになります。建物の外壁や屋根、設備などは時間が経つと劣化してくるのは避けられません。日頃から清掃やメンテナンスがしっかり行われているか、壊れた箇所を放置していないかなどがチェックされます。アパートやマンションなどの集合住宅では、共用部分の維持管理状況も評価の対象です。大規模修繕が計画的に実施されているのか、管理費や修繕積立金の金額や貯まり具合なども査定に影響します。
6.不動産売却を成功に導く不動産価格査定の秘訣とは?
不動産売却を成功に導くためには、まず不動産の価格査定を適切に活用することが大切です。不動産をより高く売るために査定時に気をつけておくべきことはあるのか、どのように査定を受ければいいのかについて、以下の2点を解説します。
6-1.複数社に価格査定を依頼しよう
複数社に価格査定を依頼するメリットのひとつは、価格の比較ができることです。不動産会社がそれぞれ算出する査定価格には多少の幅があり、全く同じということはありません。複数社に査定価格を出してもらうことで、最も高い価格とおおよその相場を把握できます。売主にとって高く売却できるのは嬉しいことですが、相場が分からなくては最高値の査定価格が相場の範囲内なのかどうかも判断しかねるでしょう。
複数の査定依頼をすることで、売却を依頼する不動産会社選びがしやすくなるのもメリットです。不動産会社のタイプや強みを知る機会を得られるとともに、顧客への対応や不動産売却に対する熱意、能力など不動産会社や担当者の能力を比較するのにも役立ちます。
6-2.複数の方法で査定を依頼しよう
不動産の査定には訪問査定と机上査定があることは先述しましたが、両者の違いやメリットなどを踏まえ、上手に活用しましょう。机上査定は物件の情報のみで査定が行われるため、現況が細かく反映されているとはかぎりませんが、おおよその相場は見極められます。
また、最初から訪問査定を複数の不動産会社に依頼する場合、その都度、訪問時の対応をしなければなりません。しかし、机上査定の様子をみて、売却を依頼する不動産会社をある程度絞り込むことができれば、訪問査定の数を減らせます。もし、悪質な対応をする不動産会社がいたとしても、出会わずにすむ可能性があります。本格的に不動産の売却を検討しているのなら、机上査定を受けたうえで不動産会社を絞り、訪問査定を受けるのがおすすめです。
7.信頼できる不動産会社を見つけるコツとは?
不動産売却を成功させるためには、不動産会社の協力が欠かせません。望むような条件で売却できるかどうか、依頼する不動産会社にかかっているといってもいいでしょう。次に信頼できる不動産会社の見分け方を紹介します。
7-1.大手や地元の不動産会社など複数社を比較検討しよう
不動産会社の中には、大手の不動産会社もあれば、地域に密着した営業を展開している中小の不動産会社もあります。必ずしも大手だからといって高く売れるわけではなく、小規模だからといって売却で不利になるとはかぎりません。大手には大手にしかない強みがある一方で、地元の老舗にはその地域ならではのネットワークがメリットになることもあります。複数社に査定を依頼する際は、大手だけではなく地元の不動産会社なども含めて比較検討してみてください。
7-2.査定額の根拠と実績を確認しよう
複数の不動産会社に査定額を出してもらったら、最も高い金額のところに依頼したくなるものです。しかし、相場から大きく外れていてはスムーズに売却できない可能性もあるため、査定額の根拠を必ず確かめるようにしましょう。不動産会社の実績を確認しておくことも大事です。不動産会社によって得意不得意も異なるため、自分の所有する不動産の売却が得意な不動産会社を選ぶほうが成功する確率は上がります。不動産のある地域で売却の実績があるかどうかも事前に確認しておきましょう。
7-3.相性のいい担当者のいる会社を選ぼう
不動産の売却は不動産会社の実績だけで成功に導けるわけではなく、担当者との相性も大切です。担当者には専門的な知識や営業スキルを持っていて欲しいのはもちろんですが、コミュニケーションが十分取れないようでは大切な不動産の売却を任せるのは不安になるかもしれません。要望を正しく受け取ってくれるか、質問に素早く返答してくれるかなど、担当者の対応次第で売却できるスピードや売却価格も違ってくる可能性があります。査定後に売却をサポートしてもらうことを想定し、担当者の人柄も含めて長く付き合えそうな不動産会社を選びましょう。
8.不動産の価格査定に関するよくある質問
不動産の価格査定について、ほかにも疑問に思うことがあるでしょう。最後によくある質問のうち、なぜ無料の価格査定サービスが多いのか、有料の価格査定サービスはあるのか、どのくらいの時間がかかるのかの3点について答えていきます。
8-1.なぜ無料の価格査定サービスが多いのか?
多くの不動産査定は無料で受けられます。しかし、なぜ無料で提供されているのか、疑問に思うことはないでしょうか。売主から不動産売却の依頼を受けた不動産会社は、買主を探すために広告を出すなど、さまざまな販売活動を行います。しかし、不動産会社が不動産の売買で手にできる報酬は契約が成立したときに売主・買主から受け取る仲介手数料だけで、途中の販売活動で売主に支払いが生じることはありません。
価格査定は売主にとって、不動産の売却に向けた第一歩です。一方、不動産会社にとっては顧客を獲得できるチャンスになります。査定を行った結果、売主に不動産の売却を依頼してもらえれば収益につなげられるため、多くは営業のひとつとして無料で不動産価格査定を実施しています。
8-2.有料の価格査定サービスとは?
不動産会社の査定は無料サービスとして行われているのがほとんどですが、有料で不動産の価値を調べる選択肢として不動産鑑定士に依頼する方法もあります。不動産鑑定士は国家資格の試験に合格した専門家です。民間の不動産売買や資産評価などを行うだけでなく、地価公示などの公的評価にもかかわります。
不動産鑑定士が行うものは不動産鑑定と呼ばれ、不動産の鑑定評価に関する法律および、鑑定評価基準に基づいて厳格に実施されます。鑑定にはある程度の時間を要し、コストは数十万円程度かかることも珍しくありません。その分、不動産会社が行う不動産査定よりも精度の高い鑑定結果が得られるため、不動産売買はもちろん、相続や財産分与など客観的で正確な価格を知りたいときに依頼されます。
8-3.不動産の価格査定にはどのくらいの時間がかかるのか?
不動産の価格査定にかかる時間はネット診断のように数分で終わるものから、訪問査定のように時間がかかるものまでさまざまです。所定のフォームに必要事項を入力するだけで結果が得られる机上査定の所要時間は、長くても数分から数十分です。訪問査定は実際に現地を訪れて細かくチェックするため、少なくとも査定に1~3時間程度はかかります。訪問査定では不動産のデータや現地の確認をはじめとした一連の調査を行うため、最終的な結果が出るまでさらに1週間ほど時間を要するでしょう。
9.不動産一括査定サイトを利用して複数社に不動産の価格査定を依頼しよう
不動産会社が行う不動産査定には大きく分けて机上査定と訪問査定の2種類があり、査定価格を算出する手法も複数あります。それぞれ特徴が異なり、メリット・デメリットもあるため、適切に使い分けましょう。不動産の査定価格に影響を与える要因も多岐にわたり、どのくらいで売却できそうなのか、査定してもらわなければはっきりしたことは分かりません。
所有している不動産の売却を視野に入れはじめたら、まずは不動産一括査定サイトを利用して複数社に価格査定を依頼し、自分でも相場を把握しておくことが大事です。「おうちクラベル」では複数の不動産会社への査定依頼はもちろん、AIによる高精度な価格査定も無料で受けられます。不動産の売却を見据えているのなら、60秒入力で無料の不動産一括査定が受けられるおうちクラベルを検討してみてください。