離婚する際、持ち家を手放すことを考える場合もあるでしょう。まだ住宅ローンが残っている場合には、どのような手順で売却したらいいのかや、特別な手続きが必要なのではないかと心配になることも多いです。
離婚での不動産の売却では、通常の売却活動以外に注意する点が複数あります。きちんと理解していないと、思わぬトラブルに発展する恐れもあるのです。
本記事では離婚でローン中の自宅を売却したいと考えている方に、売却の手順と注意点を解説します。離婚後、新しい生活へスムーズに移行するための重要な内容になりますので、ぜひ参考にしてください。
- 1 1.離婚時にローン中の家を売却・完済するにはアンダーローンの必要がある
- 2 2.売却してもローンを完済できないオーバーローンの対処法
- 3 3.離婚時にローン中の家を売却する際の準備
- 4 4.離婚でローン中の家を売却する際の手順
- 5 5.ローン中の家を離婚で売却する際は「仲介」「買取」どちらがいい?
- 6 6.離婚時にローン中の家を売却する際に知っておくべき「財産分与の仕組み」
- 7 7.離婚でローン中の家を売却する際によくあるトラブル
- 8 8.離婚でローン中の家を売却する際の注意点
- 9 9.ローン中の家を離婚で売却するとき借り換えたほうがよいケース
- 10 10.ローン中の家を離婚で売却する際に高く売るコツ
- 11 11.ローン中の家を離婚で売却する際はよく話し合いトラブルを避けよう
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1.離婚時にローン中の家を売却・完済するにはアンダーローンの必要がある
住宅ローンが残っていても売却は可能ですが、抵当権を外す必要があります。抵当権とは、住宅ローンを組んだ際に金融機関の担保として設定される権利のことを指し、抵当権を外すには、住宅ローンを完済しなければなりません。
売却がスムーズに進められるのは、アンダーローンの状態です。アンダーローンとは、ローン残高が家の資産価値を下回っている状態を表します。
家を売却するとローンが完済できるだけでなく、売却して利益が出れば新しい生活に必要な費用にあてることも可能です。
アンダーローンの状態であるかどうかを調べるには、現在の資産価値を把握する必要があります。家の資産価値は不動産会社で調べられるので、無料の不動産一括査定サイトのおうちクラベルで査定を依頼してみてください。
2.売却してもローンを完済できないオーバーローンの対処法
売却するとローンが完済できる状態がアンダーローンですが、反対に売却してもローンが残ってしまう状態をオーバーローンと言います。
家を売るためには抵当権を抹消しなければなりません。
けれども売却してもローンを完済できない場合は、抵当権が外せず家を売却できなくなります。
自分の契約しているローンの残高が資産価値を超えそうな場合は、残債をほかの方法で支払うなどの対処が必要です。
2-1.自己資金で完済する
オーバーローンの最もシンプルな解決方法は、足りない返済分を自己資金でまかなう方法です。
所有している預貯金や有価証券などの自己資金をローンの返済にあてたり、親や兄弟などの親族から返済分を借りて返済したりする方法が考えられます。
自己資金での完済は、資金が充分にあるケースや残債が少ないケースに適した方法です。
多くの資金を返済に充てなくてはならない場合には、売却後の住み替え費用や老後の資金などが不足する恐れがあります。離婚後の生活も考慮して慎重に検討してください。
2-2.住み替えローンを活用する
オーバーローンになってしまう場合、住み替えローンを利用するのも解決方法の1つです。
住み替えローンは、家を売却しても返済しきれなかった金額と新しく住む家の購入資金をまとめて借りられる住宅ローンです。返済の負担が大きくなるため、金融機関の審査が厳しくなる傾向があります。
住み替えローンの利用は以下の2つの用途に限られています。
- 現在の家の売却価格で返済しきれなかったローンの差額の返済
- 本人が住み替えるための住宅の購入資金
住み替えローンを利用するときには、新規物件の購入決済日と現在の家の売却決済日を同じ日にする必要があります。手続きを円滑に進めるために、売却と購入のスケジュールを管理して進めましょう。
2-3.任意売却する
オーバーローンの残債を自己資金や住み替えローンで返済できそうにない場合には、任意売却する方法があります。任意売却は、金融機関の許可を得て一時的に家の抵当権を解除してもらい家を売却する方法です。
売却しても支払えなかった残債は、売却後に分割して支払うことが可能です。また、通常は諸経費を支払って売却しますが、任意売却では売却した資金から諸経費の支払いが認められています。
任意売却は債権者である金融機関に許可を得る必要があるなど通常の売却方法と異なる点が多いため、任意売却の実績が豊富な不動産会社へ依頼すると安心です。
2-4.片方が住み続ける
任意売却はオーバーローンでも売却出来る便利な方法ですが、分割で残債を返済しながら新しい住宅の家賃や生活費を捻出するのは簡単ではないでしょう。
金銭的に余裕がない場合には急いで売却しようとせず、今住んでいる家のローン残高が減るまではどちらか1人が住み続けるというのも1つの対処方法です。
基本的に、住宅ローンの名義人が住み続けるのがシンプルで問題が起きにくくなります。
住宅ローンの契約では名義人が家に住む必要があるので、家を出た名義人がローンを払い続けたとしても非名義人のほうが住み続けるのは契約違反になる可能性があります。
また名義人がローンを滞納した場合には、家が差し押さえられて競売にかけられるなどのリスクがあることを覚えておきましょう。
3.離婚時にローン中の家を売却する際の準備
離婚で持ち家を売却したいと思っても、すぐに手続きが出来るわけではありません。
不動産会社と契約して家を売るためには、不動産の名義や住宅ローン残高などの確認が必要です。
ほかにも夫婦で財産分与について話し合う必要もあるなど、売却するために準備しなくてはならないことは複数あります。ここでは、ローン中の家を売却するときに必要な準備についてお伝えします。
3-1.家の名義を確認する
家の売却は名義人のみが行えます。自分で買った家ならば名義人が別の方であることは少ないですが、相続された家や亡くなった親族のかわりに住むようになった家などは名義変更の手続きをしていない可能性もあるため、名義の確認が必要です。
名義が誰になっているのかはっきりしないときには、登記簿謄本(登記事項証明書)で確認が可能です。登記簿謄本が手元にないときは法務局で取得できます。
売却するかどちらかが住み続けるかまだ決まっていない場合でも、名義の確認をしておくようにしましょう。
3-2.財産分与について確認する
財産分与について夫婦で確認することも重要な準備です。財産分与は夫婦が築いた財産を公平に分配することを主とした制度です。離婚後の生活保障や、離婚の原因に対する損害賠償の性質も持っています。
一般的に、財産分与では持ち家のほかに預貯金や保険なども財産とみなされます。財産分与は離婚後に請求することも可能ですが、後になれば財産を明確にしづらくなり財産隠しをされる可能性もあるのです。
財産分与の話し合いはスムーズに終わらないことも多くつい後回しにしがちですが、もらい損ねないためにも早めに確認しておきましょう。
3-3.住宅ローンの残債を確認する
住宅ローンが残っている場合には、事前に残債の確認をしておく必要があります。ローンの状態がアンダーローンになるかオーバーローンになるかによって必要な手続きが変わるからです。
またオーバーローンになりそうな場合には、家が財産分与の対象にならないこともあるため、売却や財産分与の前に住宅ローンの残債を確認しておくことをおすすめします。
住宅ローンの残額は次の方法で確認してください。
- 契約した金融機関のWebサイト
- 金融機関の窓口
- 年に一度金融機関から発行される残高証明書
- 契約後などに金融機関から発行される返済予定表
3-4.住宅ローンの契約内容を確認する
離婚時に住宅ローンの返済中である場合、家の住宅ローンの契約を確認することも大切です。
例えば夫が名義人で妻が連帯保証人になっている場合には、離婚後に滞納によるトラブルを避けるためにも連帯保証人を解除しておく必要があります。また、住むほうが名義人でなくなる場合には名義人の変更が必要です。
金融機関と交わした契約に変更があった場合には、そのまま放置すれば契約違反とみなされる可能性があります。ペナルティとして残額の一括返済を要求される場合もあるので、早めに相談が必要です。
また、ローン契約時には「金銭消費貸借契約書」や「抵当権設定契約書」など複数の契約書の控えを受け取っていることでしょう。
書類の内容を確認して、変更すべき点が発生するようなら金融機関に相談することをおすすめします。
3-5.不動産の相場を調べる
離婚で財産分与の話し合いをするときや離婚後の資金計画を立てるためにも、あらかじめ家の価値を調べておきましょう。とくにローン中の場合は、財産分与の対象になるかを調べるために家の資産価値を調べる必要があります。
また、オーバーローンの状態は売却が難しくなるため、家の相場を調べてオーバーローンになりそうかを確認することも大切です。
不動産の相場を調べる方法はいくつかありますが、財産売却で不動産の評価額が知りたいときには実勢価格(時価)を調べてください。
実勢価格は不動産に査定を依頼すると調べられます。また、国土交通省が毎年発表している公示価格も相場の参考に利用できます。
4.離婚でローン中の家を売却する際の手順
夫婦間でローン残高や財産分与について確認して売却の意思が固まったら、次は不動産会社と契約して売却活動を開始します。ここでは売却するときの手順を詳しく紹介します。
4-1.不動産会社に査定を依頼する
不動産の売却は不動産の査定からスタートします。査定は不動産会社が家の状態や周囲の過去の売却実績をもとにして行い、この金額で売れると予想した金額が査定価格になります。
そのため、必ずその金額で売れることを確約した金額ではありません。信頼できる会社を見つけるためには、複数の会社に見積りを取って比較することが重要になります。
おうちクラベルは無料の不動産一括査定サイトです。実績豊富な不動産売却のプロに査定を依頼できるので、ぜひ不動産会社選びにお役立てください。
4-2.媒介契約を締結し売り出し価格を決める
査定結果が届いた後は、売却活動を依頼する会社を決めます。査定で提示された金額どおりに売却できない場合も多いため、査定価格だけで会社を決めるのは避けたほうがいいでしょう。
対応の良さやレスポンスの良さなども不動産会社選びのポイントにしながら、依頼する1社を選び媒介契約を結びます。
売り出し価格の設定は、売却価格や売却期間を左右する重要な要素なので不動産会社に相談して決めるようにしましょう。
ローンを完済するために売却価格を高くしすぎると売れづらくなり、安くしすぎると値引き交渉に応じづらくなります。どのように売りたいのかを不動産会社にきちんと伝えて、売り出し価格を設定しましょう。
4-3.売買契約を買主と締結する
家の購入を希望する方が現れたら、不動産会社経由で「購入申し込み書(買付証明書)」を受け取り、買主と売主で条件が合致すれば売買契約の手続きに進みます。
売買契約は、基本的に売主と売主側の不動産会社の担当者、買主と買主側の不動産会社の担当者が集まって、「重要事項説明」の読み合わせや「売買契約書」の締結などが行われます。
注意が必要なのは、売買契約締結後のキャンセルです。売買契約後にやむを得ずキャンセルする場合は、手付金を倍返しするペナルティが課されます。売買契約を結ぶときには、慎重に内容を確認することが重要です。
4-4.決済・引き渡しを行う
売買契約を結んだら、書類を準備して決済と引き渡しを行います。
決済とは買主が売買代金の支払いを完了することで、決済が完了すると不動産の所有権移転登記の手続きをして不動産の引き渡しを行います。
売主にローン残高がある場合は、決済時に残金を完済して抵当権を抹消する手続きも必要です。
決済と引き渡しは基本的に同じ日に行われ、買主と売主のほかに不動産会社・金融機関担当者・司法書士など複数人が立ち会います。
当日までに用意する書類の中には発行に時間のかかるものもあり、不備なく揃えられるように計画的に用意しておく必要があります。
5.ローン中の家を離婚で売却する際は「仲介」「買取」どちらがいい?
不動産は「仲介」と「買取」の2つの方法で売却できます。仲介と買取では、それぞれ売却の早さや売却価格に違いが出ることも多いため、売却の目的に合わせて選びましょう。ここでは、仲介がいいケースと買取がいいケースについて紹介します。
5-1.仲介がいいケース
「仲介」は、最も一般的な不動産売却方法です。不動産会社が売主に代わって広告や宣伝を行い、売主と買主を仲介します。
物件を売り出してから買主が見つかるまで3~6ヶ月ほどかかり、価格を高く設定していると1年以上売却できないケースもあるなど、売却まで時間がかかるのがデメリットです。
すでにローンを完済している物件や急いで現金化することを考えていない物件など、高く売ることを優先したいときに向いている方法になります。
5-2.買取がいいケース
「買取」は、不動産会社に家を買い取ってもらう方法で、買主が現れるのを待つ必要がないため短期間で売却できるのがメリットです。
不動産会社と直接売買するため仲介手数料が不要で、多くの場合数週間から1ヶ月ほどの短期間で現金化できます。
ただし、不動産会社は買い取った不動産の売買で利益を出す必要があるため、実勢価格の60~70%ほどで買い取られることが一般的です。
売却代金を残債にあてたい方にはおすすめできませんが、早く現金化して新生活の資金にしたいと考える方などには向いている方法です。
6.離婚時にローン中の家を売却する際に知っておくべき「財産分与の仕組み」
夫婦が結婚生活で築いた財産は、離婚するときに財産分与として公平に分配します。
家や土地などの不動産のほかに、有価証券や自家用車、家具や家電なども財産として分与が可能です。この財産分与はどのようなしくみで夫婦に分配されるのかを紹介します。
6-1.特有財産の場合は財産分与の対象ではない
財産には夫婦が共に所有する共有財産と夫婦どちらかに帰属する特有財産があります。
民法では、特有財産について「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。」と定めています。
例えば結婚前から保有していた預貯金や不動産、結婚後に相続などで受け取った財産などは、個人に帰属するものとして夫婦共有の財産にはなりません。
夫婦が持っている財産は、それぞれ共有財産か特有財産のどちらにあたるかの共通認識をもっておくと、財産分与を決めるときにトラブルが少なくなるでしょう。
6-2.協議離婚の場合必ずしも資産を折半しなくてよい
離婚には夫婦で話し合い決定する「協議離婚」や協議離婚で決まらず家庭裁判所に間に入ってもらう「調停離婚」、調停離婚で解決しない場合に家庭裁判所に訴えを起こす「裁判離婚」といったものがあります。
財産分与では財産を公平に分配する性質以外に、損害賠償や生活保障の性質も持っています。
財産分与は一般的に2分の1で分けられる場合が多いです。けれども「協議離婚」では、貢献度の違いや収入の少なさなどを理由にして折半以外の割合で分配されるケースもあります。
6-3.住宅ローンの残債は折半しなくてよい
財産分与とは婚姻中に築いた財産を公平に分配することが目的なので、原則として負債となる住宅ローンは折半する必要がありません。
ただし、アンダーローンの場合は売却して得た金額を折半するので、実質的には残債を折半していることと同じです。オーバーローンの場合は売却をしても財産が残らないため、財産分与の対象になりません。
つまり、財産分与の性質上では住宅ローンの残債を折半する必要はありませんが、アンダーローンで売却した場合は折半したことと同義になるということです。
例えば2,000万円の評価額の家に対してローンが1,000万円残っている場合には、ローンを折半するのではなく、家の価格から差し引いて残りを折半し500万ずつの分与することになります。
また、どちらかが家に住み続ける場合は金融機関との契約が継続されローンを返済し続けなければなりません。
その際も残債を折半するのではなく当人同士で協議したうえで返済方法、返済額を決めることになります。
6-4.不動産を財産分与する際の方法
結婚生活中に購入した不動産を財産として分与の対象とする方法は、おもに次の3つの方法があります。
6-4-1.家をどちらかが取得して、相手に代償金を払う
どちらか一方が家を所有する方法です。もう片方は不動産を手放すかわりに不動産の価値の半分に相当する代償金を受け取って不公平をなくします。
6-4-2.共有名義にする
土地や建物を物理的に半分に分けることは難しいため、夫婦両方が所有権を持つ方法もあります。
この方法は名義を変更するだけなので、金銭の異動がないことがメリットです。けれども、売却したいと思ったときに相手の合意がとれないと売却できないなどのデメリットもあるので注意が必要です。
6-4-3.売却して現金で分ける
不動産の財産分与で最も選ばれる方法は現金で分ける方法です。売却金額から売却にかかった費用を引き、残りの金額を分配します。
この方法は、売却まで時間がかかる可能性もありますが、代償金のような多額な支払いをする必要がなく、売却できれば離婚後に問題が残ることもないシンプルな分与の方法です。
7.離婚でローン中の家を売却する際によくあるトラブル
離婚時に住宅ローンが残っていると、離婚後に思わぬトラブルが起こる場合があります。ここでは、名義人が夫で非名義人の妻が家に住み続けている場合を例によくあるトラブルを紹介します。
離婚後の生活がスムーズに送れるように、あらかじめ想定されるトラブルを把握して問題を回避しておきましょう。
7-1.支払いが滞り退去を迫られる
離婚して家を出た夫が家のローンを支払う約束をしていたにも関わらず、支払いが滞るというトラブルが多くあります。
返済を滞納すると抵当権のある家は競売にかけられて売却されてしまいます。住んでいる妻は返済が滞っていたことを知らないケースも多く、突然住むところを失ってしまうのです。
名義人が突然支払いを放棄することがないように、離婚時に弁護士立会いのもと離婚協議書を作成し責任の所在を明らかにしておきましょう。
また、公証役場で公正証書として作成しておけば、滞納したときに裁判をしなくても夫の財産を差し押さえることができるようになります。
7-2.連帯保証人として支払いを迫られる
財産分与で夫が家を取得していたとしても、妻が連帯保証人になったままではトラブルにつながりかねません。
連帯保証人には、滞納が続いたときに債務者に代わって返済をする義務があります。離婚時の話し合いではスムーズに財産分与が出来ていたとしても、後から家のローンの支払いを迫られることになる可能性があるのです。
連帯保証人の解除は簡単ではありませんが、別の保証人を立てるなどの方法で連帯保証人から外してもらうように金融機関へ相談しましょう。
7-3.期限内に退去してくれない
妻の収入が少ない場合や子どもが小さい場合など、一時的に家に住む場合もあるでしょう。
妻の収入が確保できるまでや、引越し先が決まるまでなど口約束で住む期間を決めている場合には、「いっこうに退去してもらえない」といったトラブルが起きることもあるので注意が必要です。
名義人は退去してもらえないと売却活動ができず、売却の機会を逃すことになってしまいます。
後でトラブルにならないように住む期限を明確にして、離婚協議書や公正証書に明記しておくなどの対策をしておきましょう。
7-4.無断で売却される
住宅ローンを夫が支払い妻が住み続ける場合に、ローンの返済が苦しくなり家を売却して完済するケースもあります。
家は名義人であれば売却できるため、妻が知らないうちに売却が進んでしまうこともあるのです。売却が完了すれば所有権は家を購入した第三者に移ってしまい、妻は退去を余儀なくされます。
離婚時に非名義人が住み続ける場合は、名義人が勝手に家を売却しないことを離婚協議書に明記しておく必要があります。
非名義人が住み続ける場合には、可能であれば名義を変更しておくと安心して住み続けることができるでしょう。
8.離婚でローン中の家を売却する際の注意点
離婚する際は手続きや新居の準備などで忙しく、持ち家の整理を後回しにしてしまいがちです。住宅ローン中の場合は、支払いや売却について離婚前にきちんと話し合いをしていないと離婚後にトラブルになる可能性があります。
新しい生活を問題なく進めるために、事前にローン中の家を売却する際の注意点を把握しておきましょう。
8-1.住宅ローンの支払いと慰謝料は別に考える
離婚する際の慰謝料や養育費は、住宅ローンの支払いとは性質が異なるため別に考えなければなりません。
慰謝料は浮気や暴力などの被害を受けた側にその苦痛を謝罪する意味合いを持ち、養育費は子どもを育てるための費用です。
慰謝料と養育費は性質が住宅ローンとは異なるため、多くの場合減額の理由にはなりません。
けれども、住宅ローンと養育費を払い続けるのは負担が大きく、支払いが滞る可能性もあります。
そのため妻と子が家に住み続けることになった場合には、生活に必要な費用を負担しているとみなし、夫婦間で同意が得られれば養育費を減額出来る場合もあります。
8-2.ペアローン(共有名義)の場合は売却時に承諾が必要となる
ペアローンとは1つの物件に対して夫婦など複数人でローンの債務者となることで、共有名義で家を購入する方法です。
ペアローンでは互いが連帯保証人になっているため、相手の支払が滞ったときにその分を返済する義務も発生します。
また共有名義の家は自分が住み続けていても双方の合意がなければ売却できません。売却時に連絡がつかなくなっていることもあるので、離婚時に契約を一本化しておくか単独名義に変更しておけば問題を回避できるでしょう。
8-3.離婚協議書・公正証書を作成しておく
離婚の話し合いで決めたことは「離婚協議書」や「公正証書」に記載しておくと、トラブルが起きたときに役立ちます。
離婚協議書は離婚時に夫婦で取り決めた内容を記載しておく契約書です。離婚協議書は必ず作成しなくてはならないものではなく、必要であれば作成します。
法的に有効な契約書には公的証書もあります。離婚協議書と内容にあまり違いはありませんが、公正証書を作成しておくと約束が守られなかったときには「強制執行」ができるメリットがあります。
例えば、養育費の支払いについて公正証書を作成しておけば、離婚後に養育費が払われなかった場合に裁判所を通さずに財産の差し押さえが可能です。
8-4.家の問題を後回しにしない
離婚を決意すると、早く婚姻関係を終わらせることを優先させて家の問題を後回しにしがちです。しかし、家の売却やローンの支払いなどの問題は、金額も大きいため後からトラブルが起きやすくなります。
離婚後にお互い安定した生活を送るためにも、家の保有や売却・ローンの支払いなどについてじっくりと話し合っておきましょう。
紹介したローン中の家を売却する方法を参考に、早い段階で最適な答えを見つけることが大切です。
9.ローン中の家を離婚で売却するとき借り換えたほうがよいケース
ローン中の家を売却したい場合、ローン残高や名義人などが問題となり売却がしづらいことがあります。その場合の解決方法として挙げられるのがローンの借り換えです。
ローンの借り換えとは、新たな金融機関でローンを組み直して現在のローンを一括返済する方法です。
一般的に金利の高いローンから低いローンへ借り換えて返済の負担を軽くするために利用されますが、離婚で家を売るときには次のようなケースで利用されています。
9-1.住宅ローンの名義変更をする場合
離婚で返済者が変更になる場合や、名義人が家を出ることになった場合には、金融機関に名義変更の相談が必要です。
しかし、新しい名義人の支払い能力次第では、変更が認められない場合もあるので簡単ではありません。
住宅ローンの契約では、名義人が家に住むことが条件になっています。
そのため名義人が住んでいない事実が発覚すると、契約違反でペナルティが課される可能性もあります。名義変更は難易度の高い方法なので、ローンの借り換えも検討するのがいいでしょう。
9-2.ペアローンを組んでいる場合
ペアローンでは、夫婦それぞれが家のローンを契約し、互いの連帯保証人になっています。離婚により夫婦のどちらかが家を出ることになった場合、ローンはそのまま払い続ければいいのではないかと思いがちです。
けれども、どちらかが返済できなくなった場合、連帯保証人になっているほうは自分のローンと相手のローンを背負うことになってしまうのです。
親や親族にお金を借りて残額を一括返済する方法が最もシンプルに解決できますが、中々難しいでしょう。
そのため、ローンを1本化して家に住み続けるほうが支払い続けられるように借り換える方法がおすすめです。
ただし、借り換えには銀行の審査に通る必要があり、支払能力によっては利用できない可能性もあるので注意しましょう。
9-3.連帯保証人・連帯債務者がいる場合
夫や妻の連帯保証人になっていたり、連帯債務者としてローン契約していたりする場合は、契約内容を変更する必要があります。
連帯保証人や連帯債務者のまま離婚してしまうと、契約者が支払えなくなったときにはかわりに負債を背負うことになるため注意が必要です。
トラブルを回避するためにも、離婚時に連帯保証人や連帯債務者を解除しておくのがいいですが、2人の収入を前提で貸し出したローンのため、簡単に変更が認められるわけではありません。
かわりの連帯保証人や連帯債務者を見つける方法もありますが現実的には難しいため、借り換えを検討したほうがいいでしょう。
10.ローン中の家を離婚で売却する際に高く売るコツ
家を売却するときには、ローン残高の支払いや財産分与のためにできるだけ高く売りたいと考えるのではないでしょうか。
不動産を高く売るためには、売却活動を依頼する不動産会社選びなどいくつかのコツがあります。ここで挙げる3つのコツを参考にして、納得のいく価格で売却することを目指しましょう。
10-1.早く売却活動を行う
家の価格には築年数が影響し、年数が増えれば売却価格が安くなります。国土交通省の発表によれば、築10年の一戸建てを売却する場合新築の50%まで売却価格が下がってしまうそうです。
財産分与の話し合いはお互い損をしたくないためまとまりづらいものです。
話がまとまらず築年数が増えると、家の価値はどんどん下がってしまいます。売却を先延ばしにすれば、財産分与で受け取れるはずの金額が減ってしまう可能性もあるため、できるだけ早く売却活動を行うほうがいいでしょう。
10-2.売却期間に余裕を持たせる
家を高く売りたい場合には時間をかけてじっくり取り組む必要があります。家の査定から売却完了までには3~6ヶ月ほどかかるのが一般的です。
上述の売却期間を離婚せずに待てるのであれば問題ありませんが、早急に離婚したい場合は急ぐあまり安く売却してしまう可能性があります。このようなケースでは、離婚後に余裕を持って売却活動を行うほうが高く売れるかもしれません。
10-3.複数の不動産会社を比較する
家の売却価格は不動産会社によって大きく変わります。高く買ってもらうためには、複数の不動産会社を比較して売却力のある不動産会社を見つける必要があります。
不動産会社によって販売活動への戦略も違い、地域の売却経験や情報の量も違います。
会社によって得意分野があるため、複数の会社に見積りを依頼する必要がありますが、自分で1社ずつ問い合わせるのは手間がかかり非効率です。
効率よくできるだけ高く売却できる不動産会社を見つけるには、1度に複数社へ査定依頼ができる不動産一括査定サイトがおすすめです。
おうちクラベルはソニーグループのSREホールディングスが運営する信頼できる不動産一括査定サイトです。
大手不動産会社から地域密着の会社までさまざまな企業に査定を依頼できます。また、AI査定にも対応しているので、AIが査定した相場価格と不動産会社が査定した価格の比較も可能です。
11.ローン中の家を離婚で売却する際はよく話し合いトラブルを避けよう
離婚で持ち家を手放すことを検討している場合には、財産分与やローン残高の支払いなど離婚後に影響する問題について夫婦でしっかり話し合う必要があります。
家の問題を後回しにしてしまうと、住宅ローンの支払いなど後からトラブルが起こることも少なくないからです。
また、大切な家を手放すとき、できるだけ高い金額で売却するには不動産会社を慎重に選ばなければなりません。
不動産会社の売却経験や情報量の違いは、売却金額にも影響します。後悔しないためには、必ず複数社に査定を依頼することが大切です。
おうちクラベルは、無料の不動産一括査定サイトです。
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- 60秒の入力で、簡単に複数社に査定が依頼できる
- 実績豊富な優良企業からぴったりの企業がみつかる
- 物件によってはAI査定も利用できる
このような特徴があるおうちクラベルなら、離婚の手続きなどで忙しくなるときでも手間なく査定ができるので、ぜひお役立てください。