住み替えとは?手順や費用、特例、住み替えローンについても解説

住み替えとは現在の家を売却し、それと同時に新しい家を購入することです。ただ、タイミングよく住み替えをしないと、金銭面の負担が大きくなる可能性があります。また、一般的には現在の家の売却金を住み替え先の購入費にあてることが多いですが、中には売却代金と自己資金だけでは足りないという場合もあるかもしれません。

本稿では、住み替えの手順やそれにともなう費用の詳細についてご紹介します。これから住み替えを検討している人、さらには「現在の家を先に売却して新しい家を探すほうがいいか」もしくは「現在の家に住みながら新しい家を探し、決まった後に売却したほうがいいか」を迷っている人にとってもお役に立てる記事になっています。

また、住み替えの際に使える「住み替えローン」についても解説しますので、どうしても住み替えのための資金が足りないという人はこちらも参考にしてください。

目次

1.住み替えとは売却・購入して住居を変えること

住み替えとは現在のマイホームを売却し、新たに購入した家に移り住むことです。住み替えにかかる期間はおおよそ3ヶ月~1年ほどとなりますので、希望する際はスケジュールに余裕を持って検討する必要があります。また、一旦空き家にして新たな家を購入するか、もしくは今の家に住みながら新たな家を探し、見つかった時点で移り住む、のいずれかも決めなければなりません。

そして、売却金額がある程度分からないと、どのくらいの金額の家を購入していいのかの見当もつかないと思われます。そのため、売却査定もなるべく早めに進めるとよいでしょう。

2.住み替えの手順は「売り先行」と「買い先行」の2種類

先ほど、住み替えの際は「一旦空き家にして新たな家を購入」「現在の家に住みながら新たな家を探し、見つかったところで移り住む」のいずれかになることをご紹介しました。これらのうち、一旦空き家にして新しい家を探すことを「売り先行」、現在の家にすみながら新たな家を探すことを「買い先行」と呼んでいます。売り先行と買い先行の違い、そしてメリット・デメリットについて一覧で確認してみましょう。

  売り先行 買い先行
特徴 空き家にした後、新しい家を探す 住みながら新しい家を探し、見つかったら売却する
メリット
  • 売却代金を新しい家の頭金にあてることができる
  • 時間をかけて売却先を決めることができる
  • 新居選びに時間をかけられる
  • 住みながら家の内見に立ち会える
デメリット
  • 新しい家を探す時間が限られる
  • 仮住まいを準備する必要がある
  • 現在の家と新しい家の二重ローンになる可能性がある
  • 新しい家の頭金を準備する必要がある
  • 資金計画が立てにくい

2-1.資金計画の立てやすさを重視するなら「売り先行」

住み替えにあたり、現在の家を売ったときの売却金で新しい家を購入したいという人も多いでしょう。もし、資金計画の立てやすさを重視したいというならば売り先行を検討してください。

2-1-1.売り先行のメリット

売り先行のメリットを詳しく確認してみましょう。

  • 売却代金を新しい家の頭金にあてられる

売り先行では先に家を売却し、売却金を受け取ることができます。住宅ローンの残債が残っている状態で住み替えを検討するのであれば、売却金で完済することも可能です。この点も売り先行の見逃せない部分です。

  • 時間をかけて売却先を決めることができる

売り先行の場合、新しい家を探し始める前に売却に入ります。時間をかけて売却先を決めることができます。売却金額について妥協したくないという人には売り先行が向いているといえます。

2-1-2.売り先行の注意点

売り先行の注意点も確認しておきましょう。

  • 新居を探す時間が少ない

先に売却手続きを進める売り先行の場合、新居を探す時間があまり取れません。

  • 仮住まいを準備しなければならない

家の売却と新居の購入のタイミングが合わない場合、仮住まいの準備が必要です。新居に関する費用以外に仮住まいへの引っ越し代や家賃がかかりますので、費用が余計にかかる可能性があるというデメリットがあります。

2-1-3.売り先行の住み替えの流れ

売り先行の場合の住み替えの流れを確認してみましょう。

  1. 売却査定を依頼する
    どの程度の金額で売却できるかを知るために不動産会社に査定を依頼します。不動産会社によって金額が異なる場合がありますので、必ず複数の会社に依頼しましょう。
  2. 新居探し
    不動産会社が決定したら、売却先を探しつつ新居探しも行います。スムーズに住み替えができるよう、物件の売却が決まる前に新しい家の住宅ローン事前審査をするのが理想的です。
  3. 契約・売却
    売却先が決定したら、契約手続きを行い、売却金を受け取ります。
  4. 仮住まい
    新しい家が決まる前に売却手続きが完了するのであれば、一旦仮住まいへ移ります。仮住まいへの引っ越し代、家賃も必要ですので、これらの金額についても考えておきましょう。
  5. 物件購入
    新しい家が決定したら、物件購入です。以前の家の売却代金を受け取っている場合、その資金も頭金に使えます。

以上が売り先行で住み替えをする場合の流れです。

売却と購入を別の不動産会社に依頼すると、住み替えのタイミングが合わなくなる可能性があります。できれば同じ会社に依頼するようにしましょう。不動産会社を探す際は、住み替え希望であることを伝えてください。

2-2.資金に余裕があるなら「買い先行」

新しい家を先に購入し、後から現在の家を売却するのが買い先行です。住みながら売却するため、仮住まいの準備は不要です。ただ、住宅ローンの残債がある場合、売却できるまでは現在の家、新しい家、2つの住宅ローンを返済することになります。そのため、買い先行は資金に余裕がある場合に向いている方法といえるでしょう。

2-2-1.買い先行のメリット

買い先行のメリットは「時間をかけて新しい家を選ぶことができる」という点です。売り先行の場合、早めに新しい家を探さないと仮住まいになる可能性がありましたが、買い先行の場合は新しい家が決定するまで売却手続きをしないという選択もできます。

2-2-2.買い先行の注意点

買い先行の注意点も確認しましょう。

  • 二重ローンになる可能性がある

買い先行の場合、先に新しい家を購入することになりますので、現在の家と新しい家、2つの住宅ローンを抱える可能性があります。資金に余裕がない場合は支払いが厳しくなる恐れがありますので、十分に資金計画について考えるようにしましょう。

  • 売却代金を新しい家の購入費用にあてられない

売り先行の場合は新しい家の購入前に売却代金を受け取ることができました。しかし、買い先行になると、先に売却代金を受け取ることができません。売却代金を新しい家の頭金などにあてることができませんので、手元の資金が厳しくなる可能性もあります。

  • 売却が後になるため、資金計画が立てにくい

買い先行では、現在の家の売却価格を知った上で新しい家を決める、ということができません。資金計画が立てにくいという点もデメリットといえるでしょう。

2-2-3.売れない不安がある場合は買取保証も検討しよう

住み替えの場合、現在の家が長い期間売却できないと資金の準備が難しいという場合もあるでしょう。その状態を解消するために「買取保証」があります。買取保証とは、一定期間家が売れなかった場合、売却を仲介する不動産会社が買い取ってくれるというものです。確実に売却したいと考えるのであれば、買取保証制度を設けている不動産会社を選びましょう。ただし、買取制度を利用する場合、相場よりも価格が低くなる点には注意してください。

2-2-4.買い先行の住み替えの流れ

買い先行の場合の住み替えの流れについて押さえておきましょう。

  1. 新居探し
    現在の家に住みながら、新居探しをスタートします。
  2. 契約・物件購入
    新しい家が見つかったら購入契約を結びます。現在の家を売却していない場合は、頭金や諸費用を自分で準備する必要があります。
  3. 売却査定
    不動産会社に現在の家の売却査定を依頼します。
  4. 売却
    売却先が決定したら契約を結びます。手続き完了後、売却金が受け取れます。

以上が買い先行時の流れですが、基本的に売却は購入の後ですので、購入時点では売却金は手元にありません。新しい家に関する費用は貯蓄などから準備しなければならないと考えておきましょう。

2-2-5.売却査定には不動産一括査定サイト「おうちクラベル」がおすすめ

住み替えの際は売却先の不動産会社を探す必要があります。不動産会社を探す際、各社のホームページなどから特徴を確認するのもいいのですが、時間がかかるというデメリットがあります。そこでおすすめしたいのが不動産一括査定サイトの利用です。

不動産一括査定サイトでは、自分の情報、売りたい家の情報を1回入力するだけで複数の不動産会社に査定を依頼できます。そのような不動産一括査定サイトの中でも「おうちクラベル」は不動産会社への査定依頼だけでなく、今までの売却実績などから自動的に査定金額を算出する「AI査定」が利用できます。より詳しく売却の適正価格を知りたいのであれば利用を検討してみましょう。

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3.住み替えにおすすめのタイミングは?

住み替えはいつ行ってもいいというわけではありません。ベストなタイミングがあります。できれば、以下のタイミングで考えましょう。

  • 家が値下がりしてしまう前
  • 住宅ローン控除の期間が終わったとき
  • 子どもの就学前
  • 老後に入る前

3-1.家が値下がりしてしまう前

家が値下がりしてしまう前になるべく高い価格で売却し、住み替えするのもおすすめです。公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」によると、「中古戸建住宅の対新規登録成約率」「中古マンションの対新規登録成約率」は築6年~10年の物件が最も高く、40%を超えています。売却を検討する場合はこの時期を狙うとよいでしょう。反対に購入の場合は将来売ることも想定して、値下がり幅の小さい築年数が長い物件を探すことをおすすめします。

3-2.住宅ローン控除の期間が終わったとき

住宅ローン控除とは契約から10年間(契約時期によっては13年間)、年末の住宅ローン残高から一定額が控除されるというものです。現在、住宅ローン控除の期間中という人は控除期間が終わったタイミングで住み替えを検討してもよいでしょう。なお、住宅ローン控除は、住み替えで再度住宅ローンを利用する場合でも対象となります。

3-3.子どもの通学のための住み替えは就学前に

子どもに通わせたい学校がある、子どものために今より広い家に移りたい、というならば、就学前に住み替えを済ませておくのが理想的といえます。就学後の転校となると、子どもに負担をかける可能性があるためです。

3-4.老後の住み替えは50代から準備しよう

シニア世代が住み替えする場合、今の家よりも狭いところを選ぶ傾向があります。特徴やメリット、そして注意点を確認しておきましょう。

老後の住み替えの特徴
  • 子どもが独立し夫婦2人になるため、今より狭い家に移る
  • 庭の管理などがあり維持が難しい戸建てからマンションに移る
  • 子どもへの相続を考えて、価値が下がりにくい都会のマンションを選ぶ
メリット
  • オートロックマンションを選べば、防犯面でも安心できる
  • 利便性が高い地域の家に住み替えれば、自動車が不要になる
  • マンションを選べば、庭の管理なども不要になる
注意点
  • 戸建てからマンションに住み替えた場合、ほかの部屋の音が気になる場合もある。
  • マンションの場合、購入費用以外に管理費や駐車場代などの支払いも必要
  • 今まで住んでいた地域から離れる場合、生活にも大きな変化が生じてしまう

また、老後の住み替えの場合、収入が低くなることが多いため、住宅ローン審査や、仮住まいの賃貸住宅の審査にとおりにくくなる可能性が高くなるというデメリットもあります。このデメリットを防ぐためには、収入がある50代のうちから老後の住み替えについて考えておく必要があるといえます。

4.住み替えにかかる費用や税金

住み替え時には以下のような費用や税金がかかります。物件費用以外にも様々な費用がかかりますので押さえておきましょう。

売却時 購入時
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権抹消費用
  • ローン一括返済手数料
  • 譲渡所得税
  • 物件価格+建設費用
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 住宅ローン関連費用
  • 火災保険料
  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 引っ越し代

4-1.売却するときにかかる費用

売却時は売却代金を受け取るだけでなく、以下のように支払わなければいけない費用も生じます。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権抹消費用
  • ローン一括返済手数料
  • 譲渡所得税

費用の目安は売却代金の4%程度です。例えば、2,000万円で家が売却できた場合、必要な費用は合わせて80万円ほどということになります。

4-1-1.仲介手数料

家の売却を不動産会社に依頼した場合、仲介手数料を支払う必要があります。400万円以上での売却の場合、仲介手数料は以下の計算式で算出します。

(売却価格×3%+6万円)×1.1

例えば、1,500万円で売却の場合の仲介手数料は

(1,500万円×3%+6万円)×1.1=56万1,000円になるということです。

なお、上記でご紹介したのは宅地建物取引業法で定められた仲介手数料の上限額です。どの不動産会社でもこれ以上の金額を請求されることはありません。

4-1-2.印紙税

家の売却が成立して売主と買主が売買契約書を交わす際、契約書に収入印紙を貼付し、割印を押す必要があります。印紙代は契約金額により以下のように定められています。

契約金額 印紙税(印紙代) ※本則税率 印紙税(印紙代) ※軽減税率
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円

※2024年3月31日までは軽減税率が適用されます。2024年4月1日以降は本則税率となる予定です。

4-1-3.抵当権抹消費用

売却した家の住宅ローンを借りていた場合、売却代金で完済することになります。住宅ローンの完済をした場合は家に設定されていた抵当権を抹消しなければなりません。抵当権抹消費用は以下のとおりです。

抵当権抹消の登記費用 不動産1つにつき1,000円
(土地・建物の場合は2,000円必要)
※上限2万円
司法書士への報酬 1万円~2万円程度
※自分で手続きする場合は不要

4-1-4.ローン一括返済手数料

金融機関によっては住宅ローンを一括返済する際に、返済手数料が必要な場合があります。相場は5,000円~2万円程度です。

インターネット・窓口など、手続きの方法によって手数料額が変わる金融機関もありますので、よく確認しましょう。

4-1-5.譲渡所得税など

不動産を譲渡して利益が出た場合、譲渡所得税や住民税がかかります。利益、つまり「譲渡所得」は以下の計算式で計算します。

長期譲渡所得税(不動産の所有年数5年超):譲渡所得×20.315%
短期譲渡所得税(不動産の所得年数5年以下):譲渡所得×39.63%
※2037年までは復興所得税2.1%も加わります。

4-2.購入するときにかかる費用・税金

住み替えで新しい家を購入する際は以下の費用や税金がかかります。

  • 物件価格+建設費用
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 住宅ローン関連費用
  • 火災保険料
  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 引っ越し代

購入する際にかかる諸費用の目安ですが、購入代金の5~6%程度です。3,000万円の物件を購入した場合の諸費用は合わせて150万円~180万円ほどということになります。

4-2-1.物件費用+建設費用

新しい家の物件費用と建設費用は必要です。ただし、一般的には住宅ローンを使うため、購入時に必要なのは頭金のみとなります。頭金の目安は物件費用の20%程度です。例えば、3,000万円の物件の場合、600万円程度の頭金ということになります。

4-2-2.仲介手数料

中古物件を購入する場合は不動産会社の仲介が必要なため、仲介手数料がかかります。手数料率は売却のときと同様です。

4-2-3.印紙税

家の購入が決まり、契約書を作成する際に必要です。印紙税率は売却のときと同様です。

4-2-4.住宅ローン関連費用

住宅ローンの契約をする際に必要な費用には以下のようなものがあります。

事務手数料 金融機関に支払います。
目安は5万円程度です。
※金融機関によっては借入金額×2.2%程度の場合もあります。
保証料 返済を続けられなくなった場合、残債を保証会社が代理返済します。保証料は保証会社に支払う費用です。
借入金額によって決定しますが、50万円超になることが多いようです。
※金利に上乗せされる場合もあります。また、保証料不要の金融機関もあります。

4-2-5.火災保険料

住宅ローンの契約の条件として火災保険への加入が求められます。マンションで年間3,000円前後、戸建てで年間1万5,000円前後の保険料がかかります。

4-2-6.不動産取得税

不動産を取得した人に課せられる税金です。相続の場合は非課税となります。税率は以下のとおりです。

土地および住宅の課税標準額×3%
(2024年3月31日までの軽減税率)

以下の特例もあります。

  • 新築住宅:「(固定資産税評価額 -1,200万円)×3%」で計算
  • 宅地:宅地の課税標準額を「固定資産税評価額×2分の1」にして計算(2024年3月31日までの措置)

4-2-7.登記費用

物件購入後の登記のために必要な費用です。登記費用は以下のとおりです。

所有権移転登記
  • 土地:土地価格×1.5%
  • 建物:建物価格×2%
抵当権設定登記
  • 借入額×0.4%

手続きの際は司法書士への報酬も必要です。

4-2-8.引っ越し代

現在の家から新しい家に移る引っ越し代も必要なお金に含めておきましょう。なお、売り先行で住み替えする場合、新居が見つからない時点で家を空けることになると、仮住まいに移ることになります。その際は現在の家から仮住まい、仮住まいから新居、と2回分の引っ越し代がかかります。節約したいのであれば、売却と購入のタイミングをよく考えましょう。

5.住み替え時に利用できる税制の特例

住み替え時には以下のような税制の特例が使えます。

  • 3,000万円特別控除
  • 譲渡所得がマイナスになった場合の特例
  • 特定の居住用財産の買替え特例
  • 住宅ローン控除

自分が使えるものを探してお得に住み替えましょう。

5-1.3,000万円特別控除

マイホームを売却したとき、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができます。この控除を使うためには以下の条件を満たす必要があります。また、控除を使う際は確定申告をしてください。

  • 自分が住むマイホームの売却であること
  • 親子間、夫婦間の売買でないこと
  • 売却をした年の前年と前々年にこの控除や繰越控除の特例の適用を受けていないこと

5-2.譲渡所得がマイナスになった場合の特例

自宅の買い替え目的で家を売却し、その売却金額が売った物件の購入代金や諸経費を下回った場合、一定の要件を満たせば、損失をその年の給与所得や事業所得などから控除することができます。また、控除しきれなかった損失については、譲渡の年の翌年以降3年以内に繰越し控除することが可能です。

ちなみに「一定の要件」には次のようなものがあります。

  • 自分の住んでいた家の譲渡であること
  • 売却した年の1月1日における所有期間が5年超であること
  • 売却した年の前年1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に家屋の床面積が50㎡以上の新居を取得すること

なお、この特例は住宅ローン控除との併用ができません。

5-3.特定の居住用財産の買い換え特例

マイホームを2023年12月31日までに売却し、売却したマイホームよりも高い家に買い替えた場合、売却したマイホームの譲渡所得税の課税を先送りすることができるという「特定の居住用財産の買い替え特例」があります。ちなみに、課税は免除されるわけではありません。課税のタイミングは「買い替えた家を売却するとき」までの先送りとなります。また、この特例を適用する場合、3,000万円特別控除は使えませんので気を付けてください。

売却する売却するマイホームと買い替え先の家についても条件があるため押さえておきましょう。

【売却するマイホームの条件】

  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売った家であること
  • 譲渡価額1億円以下
  • 売った年の1月1日現在で所有年数10年超
  • 居住年数10年以上
  • 住宅と敷地、両方の売却であること
  • 親子や夫婦など、特別の関係の人への売却でないこと

【買い替え先の家の条件】

  • 床面積50㎡以上、土地面積500㎡以下
  • 前の家を売った年の前年から翌年までの3年の間に買い替えた家
  • 取得日の翌年12月31日までに住むこと
  • 取得の日以前の25年以内に建築された家。25年以内でない場合は新耐震基準に適合していること
  • 2024年以降に建築確認を受ける家の場合は一定の省エネ基準を満たしていること

5-4.住み替え先で2回目の住宅ローン控除を再適用できる

住み替えた場合、2回目の住宅ローン控除が使えます。住宅ローン控除の条件を確認しておきましょう。

控除期間 新築住宅:最大13年
中古住宅:最大10年
借入限度額 新築住宅:3,000万円
中古住宅:2,000万円
控除率 0.7%
所得要件 合計所得金額2,000万円以下

※一般住宅の場合

住宅ローン控除の適用を希望する場合は購入した年の翌年に確定申告が必要です。ただし、会社員の場合、初年度に確定申告をすれば、翌年以降は勤務先の年末調整で手続きができます。2年目以降の確定申告は不要です。

6.住宅ローンの残債がある場合に便利な住み替えローンとは?

住宅ローンが残った状態で住み替えを希望する人もいるでしょう。売却金をローン返済にあてることもできますが、中には、「売却金でローン残債を返しきれない」という人もいるかもしれません。その際、返しきれなかったローン残債と合わせて新しい家のローンを借りられる「住み替えローン」を検討してはいかがでしょうか。

住み替えローンのメリット・デメリットを確認してみましょう。

【メリット】

  • 自己資金が足りない状態で住み替えが実現できる
  • 返しきれていない住宅ローンの残債分の金額も借りることができる

【デメリット】

  • 一般の住宅ローンより金利が高い場合がある
  • 一般の住宅ローンより審査が厳しい

住み替えローンは「自己資金はたまっていないが、今どうしても住み替えたい」という場合におすすめです。ただし、一般の住宅ローンより審査が厳しく、金利が高いという注意点もあります。

6-1.住み替えローンの審査は厳しい

住み替えローンの審査は一般的な住宅ローン審査よりも厳しくなります。その理由は「現在の家の住宅ローン残債分+新居購入費用の借入となるため」です。どうしても1軒分の住宅ローンよりも借入額が多くなります。審査が厳しくなるのは当然といってもよいでしょう。

そして、年収についても、三井住友銀行の「WEB申込専用住み替えローン」を例に挙げると、「前年度税込年収が500万円以上」という条件が付いているように、ある程度の収入がある人でないと借入ができません。

もし、夫婦ともに収入があり、借入の条件を満たしているという場合は、2人で住み替えローンを借りて返済負担を軽減するという方法もあります。

6-2.住み替えローンを利用するまでの流れ

住み替えローンを利用するまでの流れは次のとおりです。

1.査定依頼と住宅ローン残債の把握

現在の家がいくらで売れるかを知るために不動産会社に査定依頼をしましょう。同時に家住宅ローン残債の確認をしてください。売却金で返済しきれないという場合に住み替えローンを検討します。

2.住み替えローンを契約する金融機関探し

住み替えローンは一般の住宅ローンとは異なり、扱う金融機関が少なめです。選択肢が少ない点は留意しておきましょう。また、年収などの申込条件がありますので、こちらもチェックしてください。ご参考までに住み替えローンを扱う金融機関をいくつかご紹介します。

金融機関名 商品名
三井住友銀行 WEB申込専用住み替えローン
みずほ銀行 みずほ買い替えローン
りそな銀行 りそな住みかえローン
ARUHI住宅ローン ARUHI 住み替え実現ローン
福岡銀行 住み替えローン

3.ローンの申し込み

住み替えローンを申し込み、審査を通過後に契約、借入ができたら住宅ローン残債の支払いと新居の購入費用にあてます。

6-3.住み替えローンの返済シミュレーションをしておこう

住み替えの金利は一般の住宅ローンよりも高めに設定されている場合もあります。本当に返済できるのか確認するためにも、利息込みの返済金額がどの程度になるかの返済シミュレーションは必ず行いましょう。

住み替えローンの金利はホームページで公開されていないこともありますので、不明点があれば、金融機関に直接問い合わせてください。

7.住み替えは自己資金なしでも可能?

金融機関の中には「頭金0円でも住宅ローンの借入可能」としているところもありますので、結論から申し上げると、自己資金がなくても住み替えをすることはできないわけではありません。

しかし、自己資金がない状態で住み替えをしても、その後の住宅ローン返済が非常に厳しくなることが予想されます。まずは、現在の家の売却予想額、住宅ローン残債、売買に関する諸費用を確認してから判断するようにしましょう。

また、売却の前に新しい家の住宅ローン事前審査に申し込み、審査にとおりそうか確認することも重要です。

なお、住み替えで注文住宅にしたいという人もいるでしょう。注文住宅では着工金や上棟金など、数回にわたって支払いが必要になることもあります。その際は「つなぎ融資」を使うという手段もありますので覚えておきましょう。

住み替えの売却の前には不動産一括査定サイトで相場を把握しよう

住み替えで現在の家を売却したら、売却代金は住宅ローン残債や新しい家の購入費用に回されます。そのため、どの程度の金額で売れるのかが非常に重要だといえます。売却金額を知るためには不動産会社に査定してもらわなければなりません。しかし、一から不動産会社を探すのは非常に大変ではないでしょうか。

そこで、「おうちクラベル」などの不動産一括査定サイトの利用をおすすめします。不動産一括査定サイトを使えば、一度に複数の不動産会社への査定依頼が可能です。また、おうちクラベルでは不動産一括査定に加えてAI査定も利用できるため、プラスワンの判断材料としてAI査定額を確認することも可能です。不動産会社の査定とAI査定、どちらも利用してより正確な売却価格を知りましょう。

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