住宅ローンの契約は30年超になることも珍しくありません。この間に子どもの進学や就職、そして結婚、自分や配偶者の定年退職などといったライフイベントが発生する予定という人もいるでしょう。また、病気で入院、家族の介護といった出来事が起こる可能性もあります。しかし、何が起こっても、家を売却しないかぎり住宅ローンの支払いは続きます。
では、離婚をした場合、住宅ローンはどうなるのでしょうか。例えば「売却して残債を返済する」「住宅ローン名義人が住み続ける」「住宅ローン名義人が家を離れ、元家族だけが住み続ける」といった選択肢がありますが、何を選ぶかによって対応も異なるので、注意が必要です。
今回は、離婚時に住宅ローンが残っていた場合、家は売却したほうがいいのか、住宅ローンの名義人が家を出ても問題ないのか、連帯債務の場合はどう対応すればいいのか、について解説します。
売却を選択した場合、もしくは家の価値を知りたいときに役立つ不動産一括査定サイト「おうちクラベル」についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.住宅ローンを払えず売却はできる?
住宅ローンの支払いが続けられなくなった場合、残債が残った状態でその家を売却することは可能です。ちなみに、売却の方法には以下の3つがあります。
- 一般売却
- 任意売却
- 競売
それぞれ詳しく見てみましょう。
1-1.売却金でローンを完済できる場合は「一般売却」
家の売却金で住宅ローンの残債を完済できるという場合は「一般売却」になります。もちろん、売却金+自分の預貯金で完済するのも問題ありません。ご紹介する3つの売却方法の中では、この一般売却が最も高く売れる方法となります。
もし、返済できない状態を続けブラックリストに載ってしまうと一般売却ができなくなりますので要注意です。なお、ブラックリストに載るまでの期間は、住宅ローン滞納から3ヶ月程度とされています。また、滞納の履歴は住宅ローン契約期間中、そして契約終了から5年以内は残されます。ブラックリストに載り信用情報に傷が付いた場合、カーローンなどのほかの借入ができない、クレジットカードが作れないなど、日常生活にかなりの悪影響を及ぼしますので気を付けてください。
そのほか、気を付けないといけないのが、家の売却には時間がかかるということです。一般的には4ヶ月~5ヶ月程度はかかります。その間に滞納を続けてしまうと確実にブラックリストに載ってしまいます。住宅ローンを滞納しそう、ということが判明した時点で不動産会社と相談し、売却の準備に入ったほうがよいでしょう。
1-1-1.売却をするならはじめに不動産一括査定サイト「おうちクラベル」で査定しよう
家の売却をする際は「売れそうな売却金額を設定する」「買手を探す」「売買契約を結ぶ」などの手続きが必要です。しかしこれらは専門知識がないとできないことです。そこで不動産会社の力を借りることになりますが、どの会社がいいのか分からない、という人も多いのではないでしょうか。不動産会社探しをしたいときは、不動産一括査定サイト「おうちクラベル」をぜひ利用してください。おうちクラベルはソニーグループ関連企業であり、かつ東証プライム上場のSREホールディングスが運営するサイトですので安心して利用ができます。
また、簡単に査定依頼ができるという点からもおうちクラベルはおすすめです。名前、連絡先などの自分の情報、そして所在地、築年数、面積、間取りなど、売りたい家の情報を入力するだけで複数の不動産会社に査定依頼ができます。「不動産会社を探すのが大変」「一度に複数の不動産会社に査定依頼できたらいいのに」と考える人はぜひ利用してはいかがでしょうか。
ちなみに、おうちクラベルでは不動産会社の査定に加えて「AI査定」も利用可能で、今までの売買実績から算出した売却見込み額を知ることもできます。不動産会社の査定とAI査定の組み合わせは他社にはないものです。判断基準を1つでも多く求めるのであれば、ぜひ利用しましょう。
1-2.ローン残高を完済できない場合は「任意売却」
住宅ローンの残債が家の価値を上回る場合があります。この状態を「オーバーローン」状態と呼びます。オーバーローン状態で売却した場合、当然ローン残高よりも売却金が少なくなりますが、親族からの借入金で完済できれば問題ありません。
しかし、オーバーローン状態で一般売却できず、返済も続けられないという延滞状態が3ヶ月以上続くとブラックリスト入りの恐れがあります。そうなってから売却を希望した場合、一般売却ではなく「任意売却」になりますので注意してください。
任意売却になると、家の持ち主の意志だけでは売却できません。売却しても完済できない場合、抵当権の抹消ができないため、抵当権を持っている金融機関の承諾が必要になるからです。
また、任意売却の際は、売却金が全て返済にあてられます。そのため、金融機関、不動産会社と連携しながら売却を進めていくことになります。ちなみに、売却金を返済にあてても残債が残る場合、その残債分の返済は続けなければなりません。もし、どうしても返済できないということになれば自己破産や個人再生で解決することになります。
1-3.任意売却ができない場合は「競売」にかけられる
住宅ローンを契約する金融機関の承諾が得られない場合、任意売却はできません。そのときは債権者(金融機関)の申し立てで地方裁判所が「競売」を行い、家が売却されます。そのほか、督促状を無視し続けた場合も競売の対象です。
競売では家の持ち主が売却価格を確認することができません。物件情報を公開し、入札方式で購入希望者を集め、最も高い金額を付けた希望者に売却します。競売で付けられる売却価格は一般売却の6割~7割程度になります。
競売で家を手放すと、不動産会社への仲介手数料が不要になる反面、売却代金が一般売却のときよりも低くなる可能性が高いため、ローン残債が多く残ります。返済負担が増すため注意が必要です。また、執行官が調査のために家の調査に訪れることや、競売情報がインターネットなどで公開されることで、近隣に競売の事実が知られてしまうというデメリットもあります。
競売の場合は転居時期の相談ができず、法律に基づき自動的に退居を求められます。引っ越し代や新しい家を準備していなくても、競売済みの家からは退去を求められますので気を付けておきたいところです。
2.住宅ローンを減らす4つの方法
任意売却や競売に至らないようにするためには、住宅ローンの返済が厳しくなった時点で何かしらの対処をするのが重要です。住宅ローンの負担を減らすためには以下の4つの方法があります。
- 銀行に相談する
- 病気であれば、団体信用生命保険が使えるか確認
- 住宅ローンの借り換えをする
- リースバックの利用
2-1.銀行に相談する
住宅ローンの返済が厳しくなってきたら、まずは住宅ローンを契約した銀行に相談しましょう。相談の結果、次のような措置が取られる場合があります。
- 借入期間延長
借入期間を延長して毎月の返済額を減額するという方法です。借入期間が延びる分、利息負担が増える可能性が大きくなります。
- 一時的な返済金額の減額
一時的に返済金額を減額するという方法です。定められた期間が終了すると返済金額は元に戻ります。また、減額された分を返済するために、借入期間が延長される場合もあります。
- ボーナス返済の見直し
ボーナスの減額などで、ボーナス返済が厳しくなったという場合はボーナス返済をやめるという方法があります。ただし、ボーナス返済予定だった金額は毎月の返済額に上乗せ、もしくは借入期間を延長して返済することになります。
- 元金の返済据え置き
一定期間、利息部分だけを返済し、元金部分を据え置くという方法です。ただし、期間が過ぎると返済額が元に戻りますので、今だけ返済が厳しいという人向けの方法といえます。
相談したからといって、必ずこれらの方法を利用できるわけではありません。しかし、印象を悪くしないためにも、いきなり返済を滞らせる前に銀行に相談はするようにしましょう。
2-2.病気のときは団体信用生命保険が使えるか確認
団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者が死亡、もしくは高度障害状態になった場合、保険金で残債を返済するというものです。契約者に万が一のことが起こった際に、残された家族がお金の心配をすることなく、現在の家に住み続けられるための保険です。ほとんどの住宅ローンではこの保険への加入が必須になっています。
基本的には、死亡や高度障害状態の際に使う保険ですが、「がん」や「三大疾病」「八大疾病」など、特定の病気に罹患した場合に残債の支払いが免除される特約を付加できる場合もあります。病気で住宅ローンの返済が厳しくなった人は、自分の団体信用生命保険にこれらの特約が付いていないか、特約を付けている人は自分の病気は保険金支払いの対象にならないか、を確認してください。
2-3.住宅ローンの借り換え
住宅ローンの金利が高すぎて返済が厳しいという場合は住宅ローンの借り換えを検討するのもいいでしょう。金利が下がれば毎月の返済額も下がります。一般的には「金利の差が1%以上」「住宅ローンの残年数10年以上」「残債が1,000万円以上」あればお得になるといわれています。ちなみに、同じ銀行内でほかの金利タイプの住宅ローンに借り換えることはできませんので注意しましょう。
また、借り換えの際は「事務手数料」「印紙代」「保証料」などの諸費用がかかります。諸費用は物件価格の5%~10%かかりますので、その金額を負担しても借り換えたほうがお得になるか、よく確認してから手続きしてください。ちなみに、銀行のホームページには「借り換えシミュレーション」があります。毎月の返済額だけでなく、諸費用がどの程度かかるかも確認できますので、今の住宅ローンよりお得になるのか試算してみましょう。
2-4.リースバック
リースバックとは、家をリースバック会社に売却し売却金を受け取り、売却した家に家賃を支払って住み続けるというものです。家を売却するため、住宅ローンの返済義務はなくなります。また、所有権もなくなるため、固定資産税の支払い義務もなくなります。リースバックは同じ家に住み続けることができ、金銭面の負担を減らせるというメリットがある方法です。しかも、リースバック会社が買い取ってくれるため、一般売却のように買主を探す手間も不要です。売却金としてまとまった金額を受け取ることもできます。
住宅ローンの返済が厳しい人、急いでまとまった資金を準備しないといけない人は検討してみてはいかがでしょうか。
2-4-1.リースバックの注意点
現在の家に住みながら売却金を受け取ることができるリースバックですが、注意点もありますので確認しておきましょう。
まずは、残債の返済+家賃の支払いが必要になる場合があるという点です。リースバックで売却、売却金で残債を支払い、それでも残った場合、残債の返済は必要です。また、現在の家に住み続けるためには家賃を支払い続けなければなりません。しかも、リースバックの売却価格を高くするためには、家賃や買い戻し価格を高く設定する必要がある場合もあります。
現在の家にこだわらなければ、安い家賃で別の家が借りられるかもしれません。本当に今の家に住み続ける必要があるのか、そして残債の支払いができるかをよく考えてからリースバックを利用してください。
3.売却を検討すべき3つのタイミング
住宅金融支援機構の2019年度のデータによると、住宅ローンを払えない状態になっている人の割合は3.20%です。住宅ローン契約中の人が100人いれば3人以上が払えていないということになります。この数字から、住宅ローン延滞問題は多くの人に起こる可能性がある、ということが分かります。今のところは関係なくても、万が一住宅ローンを延滞してしまった場合の対処法を早めに考えておくべきだといえるでしょう。
なお、住宅ローンを払えない状態のままにしておくと、最終的にはブラックリスト入りするなどの弊害がありますので、どこかのタイミングで売却も考えないといけません。そこで、売却を検討すべき以下の3つのタイミングについて解説します。
- 住宅ローンの支払いが滞っている
- 病気やリストラで住宅ローンが払える見通しが立たない
- 離婚時に住宅ローンが残ってしまう
3-1.住宅ローンの支払いが滞っている
今月だけ支払いができない、というのであれば、銀行に相談することで解決するかもしれません。しかし、住宅ローンの支払いが数ヶ月以上滞っているという場合は売却を検討するタイミングといえます。
一般的には住宅ローンの支払いが滞ると「督促状」が届き、それでも返済を行わないと「期限の利益の喪失予告」という通知が届きます。これは「分割して返済する権利がなくなる」という通知です。期限の利益を喪失してしまうと、住宅ローンの残債を一括返済しなければなりません。
期限の利益の喪失予告が届いた時点で、返済ができれば解決しますが、支払わずにそのままにしておくと、自宅は任意売却や競売の対象となってしまいます。
もし、督促が何度も来る状態になっても住宅ローンの返済が難しいというのであれば、早めに売却を検討しましょう。
3-2.病気やリストラで住宅ローンが払える見通しが立たない
「コロナ禍でリストラされた」「会社の業績が下がり給与が不安定になった」というケース、もしくは「病気になり仕事ができないので給与が入らない」といった場合も家の売却を検討するタイミングです。延滞状態になる前に売却を検討しましょう。
ただし、病気の種類によっては、団体信用生命保険の特約で残債の支払いが免除される場合もあります。念のために自分の団体信用生命保険の契約を確認してみましょう。
3-3.離婚時に住宅ローンが残ってしまう
住宅ローンの残債が残った状態で離婚するというケースも売却のタイミングといえます。売却したお金で残債を払ってしまうということです。
しかし、中には夫が所有する家を売却せず、離婚した妻と子どもが住み続ける、というパターンもあるかもしれません。その際は、住宅ローンの支払いが滞ると家は競売の対象となるため、妻や子どもが家を出ていかないといけなくなる、という事態が発生する可能性があるため注意してください。離婚時に支払いを続けてくれるかをしっかりと確認することが重要です。
4.住宅ローンが払えず任意売却するときの流れ
毎月の住宅ローン返済が続けられないと、金融機関に承諾を受けて売却する「任意売却」に進みます。以下の任意売却の際の流れについても確認しておきましょう。
- 任意売却可能な専門家や不動産会社に相談
- 価格査定
- 債権者の合意
- 売却活動の開始
- 購入者の決定と売買契約締結
- 決済・引渡し
4-1.1.任意売却可能な専門家や不動産会社に相談
住宅ローンの支払いができなくなると任意売却が頭に浮かぶかもしれませんが、それが本当に最善な手段なのかは、専門家ではない住宅ローン契約者には分かりません。まずは任意売却に詳しい弁護士や税理士、司法書士といった専門家、もしくは不動産会社に相談してください。その際は、任意売却という選択肢が本当に正しいのか、もっと違う解決手段がないのかについて相談しましょう。
その結果、任意売却ということになれば、どのような手続きをすればよいのかを確認してください。
4-2.2.価格査定
任意売却をすることが決定したら、家がどの程度で売れるかの査定が必要です。不動産会社に査定の依頼をしましょう。同時に、住宅ローンの残債を調べ、売却金で返済できるかどうか確認しましょう。自分で準備しないといけない金額がある場合は、早めに準備する必要があります。
なお、家の売却査定は正しい相場を知るためにも複数の不動産会社に依頼するのが一般的ですが、任意売却の場合はその分野を得意とする不動産会社に任せたほうが無難です。不動産会社に連絡を取る際は、任意売却である旨も伝えてください。
4-3.3.債権者の合意
任意売却する場合は債権者(住宅ローン契約を結ぶ金融機関)の合意が必要です。合意をもらうまでに1ヶ月程度はかかると見ておきましょう。その間も住宅ローンの支払いは続きますので気を付けてください。
また、合意を得るためには「いくらで売れそうか」「売却金をすべて返済に使った後、どの程度の残債が残りそうか」そして、「生活の立て直し計画」が記載された書類の提出を求められる場合もありますので、専門家や不動産会社に協力してもらいながらこれらの書類を作成してください。
なお、必要書類を提出したからといって、債権者に任意売却が必ず認められるとはかぎりません。どう考えても返済は難しそう、生活の立て直し計画が甘すぎると判断されたら任意売却に合意されない場合もあります。そのようなことにならないよう、専門家や不動産会社と連携しながら進めていきましょう。
4-4.4.売却活動の開始
金融機関から任意売却の合意を得られたら売却活動を開始します。売却の際は不動産会社と媒介契約を結びますが、契約方法は次の3とおりとなります。特徴を表で確認しましょう。
契約期間 | 他社とも媒介契約を結べるか | 依頼者への活動状況の報告義務 | |
---|---|---|---|
一般媒介契約 | 特になし | 可 | なし |
専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | 不可 | 2週間に1回以上 |
専属専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | 不可 | 1週間に1回以上 |
できるだけ早く売却してしまいたい任意売却の場合は、活動報告があり、契約期間も決まっている「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」にし、1社に絞って売却活動するのが無難でしょう。
4-5.5.購入者の決定と売買契約締結
家の購入者が決定したら売買契約を結びます。通常の売却とは異なり、任意売却の際は契約について債権者の合意も必要です。債権者の合意がない場合は売買契約が結べませんので、売買活動は専門家や不動産会社に相談しながら進めましょう。
4-6.6.決済・引渡し
売買契約を締結したら、売却金を受け取れます。売却金から不動産会社の仲介手数料や諸費用を支払い、その残額を住宅ローン残債の返済にあてます。
また、退去が必要なため、引っ越し代、新しい家の家賃(場合によっては敷金、礼金なども)もかかります。それらの費用をどこから捻出するかも事前に考えておいてください。もし、引っ越し代が準備できないという場合は、売却金から出してもらえる場合もあります。早めに相談するようにしましょう。
5.住宅ローンが払えずに売却する際に注意すべきこと
住宅ローンの支払いが続けられず、売却する際は以下の点に注意しましょう。
- 放置せず早めに相談
- 住宅ローンを滞納している場合は隠さず伝える
- 競売になると売却価格が6〜7割程度に下がってしまう
では、1つずつ確認していきます。
5-1.放置せず早めに相談
住宅ローンの返済が遅れると、ほかのことに預金を使われないようにと、銀行口座の凍結が行われる可能性があります。また、返済の督促状や任意売却の督促状を無視し続けると、自分の知らないうちに競売にかけられる恐れもあります。現在住む家を離れたくないのであれば、住宅ローンが払えないと分かった時点で銀行に相談するようにしましょう。
また、どうしても返済できないという場合は、早めに不動産会社に連絡し、売却手続きを進めてください。不動産会社を選ぶ際は、どのくらいの金額で売れるかを知るために、査定を依頼してください。査定結果を受け取ったら「査定額の根拠がはっきりしているか」「自分の家の分野に強いか(マンション売買に強い、この地域での売買実績が多い、など)」「担当者との相性がいいか、何でも相談しやすいか」などの点から比較しましょう。
依頼できそうな不動産会社を探せないという場合は、「不動産一括査定サイト」を使うのもおすすめです。不動産一括査定サイトであれば、自分や家の情報を入力するだけで複数の不動産会社に査定依頼ができます。各社の査定結果や対応を見ながら依頼する会社を選びましょう。
ちなみに、銀行と相談した結果、任意売却をすすめられたという場合は、任意売却に詳しい不動産会社に対応を依頼することになります。不動産会社だけでなく、弁護士、司法書士などの専門家とも連携を取りながら手続きを進めましょう。
5-2.住宅ローンを滞納している場合は隠さず伝える
住宅ローンを滞納した状態で家を売却する場合は、その旨を不動産会社に伝えてください。滞納を隠した状態で売却手続きに入ることだけは絶対に避けるようにしましょう。
また、任意売却になった場合は不動産会社を通じて債権者(住宅ローンを契約している金融機関)へ合意を得る必要があります。合意を得ずに売却手続きを進めるのはトラブルの原因になりますので、不動産会社に現状を詳しく伝えることを忘れないでください。
5-3.競売になると売却価格が6〜7割程度に下がってしまう
滞納を続け、任意売却手続きも行わないまま放置していると、最終段階の競売に進みます。競売になると、家の持ち主が売却価格を確認できないまま売られることになります。しかも、売却価格は通常の売却時の6割~7割程度となるのが一般的です。競売では不動産会社の仲介はないため、仲介手数料は不要ですが、残債の支払い義務は残ります。売却価格が低いと、それだけ今後の残債の支払い負担が増えるため気を付けてください。また、競売の際は引っ越しのタイミングも自分で決められないため、資金がなくても退去を命じられることがあります。住宅ローンの返済負担はなくなっても、残債の返済や引っ越し代など、金銭面の負担はある程度残るという点にも注意しましょう。
返し続けないといけない住宅ローン残債や今後の生活のことを考えると、売却価格が非常に低くなる競売より、一般売却や任意売却で対応するほうがよいといえます。
6.任意売却をしても負債が残った場合はどうなる?
任意売却を行うと毎月の住宅ローンの返済義務はなくなります。しかし、売却金で返済しきれなかった残債の返済義務は残りますので気を付けてください。このとき、親族からの借入金などで残債を完済できるのであれば問題ないのですが、もし誰にも頼れない、という状況であれば、債権者と今後の対応を話し合う必要があります。
残債の処理として一般的な方法は以下のとおりです。
【支払い猶予をもらい、毎月一定額を返済する】
任意売却の売却金で返済しても残債が残った場合、基本的には一括返済するのが決まりです。しかし、一括返済ができない場合は債権者と話し合い、支払い猶予をもらう必要があります。その際も一切返済しなくても構わないというわけではなく、できる範囲で毎月一定額を返済しなければなりません。
【自己破産する】
支払い猶予をもらったにもかかわらず、返済ができないという場合は自己破産で債務整理をする段階に進みます。自己破産手続きは弁護士に相談しながら行ってください。自己破産を選択すると残債の返済義務はなくなります。ただし、自己破産すると以下のデメリットがありますので注意が必要です。
- カーローン、学資ローン、フリーローンなど、様々なローン審査に通らなくなる
- クレジットカードの作成、更新ができない
- 自己破産手続きが終わるまで就けない職業がある(警備員、宅地建物取引士、税理士など)
これらのように、日常生活に支障が出ることも考えられますので、自己破産の選択は慎重に行ってください。
住宅ローンが払えず売却を考えているときは早めに相談しよう
住宅ローンが支払えない状態が続くと、ブラックリストに入り、任意売却や競売の対象となります。ローン返済の滞納でブラックリストに入ると、5年以内はそのままとなりますので注意が必要です。また、任意売却や競売で家を手放すと、売却金で残債を支払うこともできますが、残債がまだあるという場合、返済義務はそのまま残ります。しかも、任意売却・競売後の残債は一括返済を求められる可能性が高いため、毎月の住宅ローン返済よりも負担が重くなる可能性もあります。
以上のような状況に陥らないためにも、住宅ローンの支払いを続けるのが難しいと判断したら、早めに不動産会社に相談し売却の手続きを進めることをおすすめします。通常の売却であれば、査定結果を自分で確認でき、希望金額で売り出すこともできます。
なお、不動産会社は数多くあるため、どの会社がいいのか分からないという人も多いでしょう。もし、不動産会社選びに迷ったら不動産一括査定サイトを利用してはいかがでしょうか。不動産一括査定サイトでは、自分の情報と家の情報(所在地、面積、間取り、築年数など)を1回入力するだけで、複数の不動産会社に査定依頼ができます。
また、不動産一括査定サイトの中でも「おうちクラベル」は、査定依頼と同時にAI査定である程度の売却額も知ることができる便利なサイトです。AI査定では今までの売買実績から算出した売却額が分かるため、不動産会社が出す査定額が信頼できるかの判断にも役立ちます。これから不動産一括査定サイトを選ぶのであれば、ぜひおうちクラベルを検討してみましょう。