離婚時に住宅ローンが残っている際の対処法は?連帯債務の場合も解説

住宅ローンの契約は30年超になることも珍しくありません。この間に子どもの進学や就職、そして結婚、自分や配偶者の定年退職などといったライフイベントが発生する予定という人もいるでしょう。また、病気で入院、家族の介護といった出来事が起こる可能性もあります。しかし、何が起こっても、家を売却しないかぎり住宅ローンの支払いは続きます。

では、離婚をした場合、住宅ローンはどうなるのでしょうか。例えば「売却して残債を返済する」「住宅ローン名義人が住み続ける」「住宅ローン名義人が家を離れ、元家族だけが住み続ける」といった選択肢がありますが、何を選ぶかによって対応も異なるので、注意が必要です。

今回は、離婚時に住宅ローンが残っていた場合、家は売却したほうがいいのか、住宅ローンの名義人が家を出ても問題ないのか、連帯債務の場合はどう対応すればいいのか、について解説します。

売却を選択した場合、もしくは家の価値を知りたいときに役立つ不動産一括査定サイト「おうちクラベル」についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

おうちクラベルで無料一括査定
目次

1.離婚で住宅ローンが残っている場合の対処法(1)家を売却する

離婚に至った場合、元夫・元妻、双方が家を出るという選択をするというケースは珍しくありません。その際は家の売却金で住宅ローン残債を完済することになります。ただし、売却金だけでは完済できない場合は対応に気を付けなければなりません。ここでは以下のケースについてご紹介します。

  • アンダーローンで家を売却する場合
  • オーバーローンで家を売却する場合

1-1.アンダーローンで家を売却する場合

アンダーローンとは、家の売却金額が住宅ローンの残債を上回ることです。この場合は、売却金を残債の返済にあて、完済させてしまえば問題ありません。完済後、売却金が残った場合は夫婦で分割するのが一般的です。

なお、アンダーローン状態であるかを確認するためには、住宅ローンの残債額と家の売却額を正しく知る必要があります。これらの確認方法については後ほど詳しくご紹介します。

1-2.オーバーローンで家を売却する場合

家の売却金を住宅ローン残債が上回るのがオーバーローンです。この状態で売却したいのであれば、返済しきれなかった残債を自分の預貯金から、もしくは親族などから借りて支払うことになります。

もし、残債を返済できない状態でも売却したい、というのであれば「任意売却」を選択することになるでしょう。任意売却になると、住宅ローンを契約する金融機関の合意を得て、任意売却に詳しい専門家(弁護士・司法書士など)や不動産会社と連携しながら手続きを行う必要があります。自分の判断だけで不動産会社を通じて売却することはできませんので注意しましょう。

任意売却は金融機関の合意を得るまでに1ヶ月程度かかる場合もありますので、現時点で住宅ローンの返済が厳しいという人は滞納を起こさないよう特に気を付けてください。

ちなみに、任意売却が終わった後は支払い猶予をもらい、残債を分割して返済しなければなりません。分割でも返済ができないという場合は「自己破産」を選択することになります。しかし、自己破産は信用情報に傷が付きます。一定期間(5年以内程度)は「今後のローン審査が通らなくなる」「クレジットカードが作れない」などのデメリットもありますので、慎重に判断しましょう。

2.離婚で住宅ローンが残っている場合の対処法(2)どちらかが住み続ける

離婚しても家を売却せずに、以下のようにどちらかがそのまま住み続けるという選択肢もあります。

  • 住宅ローンの名義人が家に住む(元夫が住む)場合
  • 住宅ローンの名義人でない人が家に住む(元妻が住む)場合

今回は住宅ローンの名義人が元夫である場合を仮定してご紹介します。

2-1.住宅ローンの名義人が家に住む(元夫が住む)場合

何の手続きもせず、住宅ローン契約を続けたいのであれば、名義人である元夫が家に住むパターンが簡単でしょう。住宅ローンも名義人が返済し続ければ問題はありません。

ただし、この選択をした場合は、家を出る元妻が新たに住む家と引っ越し代を準備しなければなりません。その分の費用負担が生じる点は留意しておいてください。

2-2.住宅ローンの名義人でない人が家に住む(元妻が住む)場合

住宅ローン名義人の元夫が家を出て、元妻がそのまま住み続けるという選択肢もあります。しかし、住宅ローンとは名義人が自宅として住むことを前提に審査を行い、低い金利で融資をするというものです。そのため、元妻が住み続けるためには名義人の変更が必要です。

ただし、金融機関は住宅ローンの名義変更を基本的に認めていません。よって、できる選択は、元妻が元夫の残債を引き取り、現在住宅ローンを借りている金融機関以外のところで、元妻名義で借り換えるという方法があります。

元妻が住宅ローンを借り換えたい場合、元妻の収入などを基に審査が行われます。返済能力がないとみなされた場合は審査にとおりませんので気を付けてください。また、住宅ローンの契約では「事務手数料」「保証料」「印紙代」「火災保険料」などの諸費用が30万円~100万円程度かかります。こちらについても支払えるかを確認してから申し込みましょう。

ところで、住宅ローン名義人を元夫にしたまま、元妻が住むという選択肢を検討したいという人もいるでしょう。子どもがいる場合は、養育費と相殺し、元夫に住宅ローン残債を支払い続けてもらうという方法も考えるかもしれません。

しかし、ご紹介したとおり、住宅ローンは名義人が住むことを前提に審査し、融資するものです。名義人が住んでいないことが判明すると、契約違反と判断され、残債の一括返済を求められる場合もあります。住宅ローン名義人が家を出て、元配偶者が住みたい、という場合は事前に金融機関と相談しておくことをおすすめします。

住宅ローン名義人の元夫が家を出て、元妻が住むという例ではもう1つ注意点があります。離婚後、長い期間住宅ローンを支払い続けて完済し、家の名義を元夫から元妻に変更する場合、「住宅の贈与」とみなされ、元妻側に贈与税が課税されるケースがあることです。

贈与税の課税を防ぐためには、離婚時に「公正証書」で、「家の名義変更は離婚時の財産分与の一環」である旨を残しておく必要があります。

3.離婚で住宅ローンが残っているとき確認すべきこと

離婚時に住宅ローンが残っている場合、諸々の手続きをスムーズに終わらせるためにも、以下の4点について確認しておいてください。

  • 住宅ローンの名義人や連帯保証人を確認
  • 不動産の名義人を確認
  • 住宅ローンの残額を確認
  • 家の売却価格を査定する

それぞれ詳しくご紹介します。

3-1.住宅ローンの名義人や連帯保証人を確認

離婚を検討し始めた時点で、住宅ローンの名義人や連帯保証人を確認しておいてください。住宅ローンの名義人については契約書に記載されています。また、単独名義ではなく、以下のパターンもありますのでしっかり確認しましょう。

  • ペアローン:夫婦がそれぞれ名義人として契約した住宅ローン
  • 連帯債務:夫婦のどちらかが主債務者として住宅ローン名義人となり、もう一方が連帯債務者となる契約方法。主債務者と連帯債務者は同等の返済義務を負う契約
  • 連帯保証:夫婦のどちらかが債務者として住宅ローン名義人になり、もう一方が連帯保証人となる契約方法。債務者が返済できなくなった場合は連帯保証人が返済義務を負う契約

単独名義の場合は名義人が住宅ローン返済義務を1人で負うため、特に問題はないでしょう。しかし、連帯債務・連帯保証の場合は夫婦どちらにも責任があります。離婚で片方が家を出る場合でも責任は残ったままです。家を売却せずに保有し続けるのであれば、住宅ローン支払いについての取り決めが必須といえます。

3-2.不動産の名義人を確認

住宅ローンの名義人はもちろんですが、土地や建物といった不動産の名義人の確認も必要です。特に売却したいという場合は、不動産の名義人が手続きする必要があるため、必ず確認してください。

なお、名義人の確認は登記簿謄本(登記事項証明書)でできます。取り寄せ方法は次のとおりです。

請求方法 手数料 時間
法務局の窓口 600円 平日8:30~17:15
オンライン 郵送受け取り:500円
最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取り:480円
平日8:30~21:00

3-3.住宅ローンの残額を確認

家を売却する、そのまま保有し続ける、どちらを選択するとしても、住宅ローンの残債を確認することは重要です。住宅ローンの残債の確認方法は次のとおりです。

確認方法 詳細
住宅ローンを契約した銀行の窓口で確認する 住宅ローン名義人本人が窓口に行く必要があります。その場ではなく、後日文書などでの回答になる場合もあります。
返済予定表を確認 返済予定表とは毎月の返済額と残債が一覧になっているものです。
住宅ローン契約時に渡されます。
銀行ホームページで確認 銀行によっては、ホームページ内の会員ページで現時点の残債が確認できる場合もあります。

※上記は一般的な例です。確認方法は金融機関ごとに異なります。

いちばん簡単なのは銀行ホームページでの確認ですが、同時に預金や住宅ローン以外の借入状況などが表示される場合もあるため、「離婚予定の配偶者に見せたくない」と考える人もいるかもしれません。その際は「返済予定表」で確認してください。ちなみに返済予定表を紛失した場合は、再発行もできます。名義人本人から金融機関に依頼してください。再発行までに時間がかかる場合もありますので、早めに依頼しましょう。

3-4.家の売却価格を査定する

家の売却価格と残高が同額になることはおそらくないでしょう。多くの場合は以下の状態になるはずです。

アンダーローン 家の売却金がローン残債を上回っている状態
オーバーローン 家の売却金がローン残債を下回っている状態

アンダーローンになった場合は、残った売却金をどのように分割するかを話し合う必要があります。反対にオーバーローンになるのであれば、残った残債をどうやって返済するか考えなければなりません。

特に離婚が原因で家を売ることになる場合、残った売却金、もしくは残債をどう処理するかは時間をかけて話し合うことになるでしょう。きちんと話し合うためには、売却前にある程度の売却価格を確認する必要があります。

ある程度の売却価格を知りたいときは不動産会社に家の価値を査定してもらいましょう。

不動産会社に直接連絡すると査定は依頼できます。ただ、「いくつもの会社に連絡するのが面倒」「自分に合った不動産会社が分からない」「仕事が忙しく不動産会社に連絡する時間がない」という場合もあるのではないでしょうか。その際は不動産一括査定サイトで査定依頼をするのがおすすめです。

3-4-1.売却額を査定するなら不動産一括査定サイト「おうちクラベル」がおすすめ

不動産一括査定サイトでは、次のような情報を入力すると複数の不動産会社に査定依頼ができます。

自分の情報
  • 名前
  • 連絡先(電話番号・メールアドレス)
  • 連絡時間帯の希望
  • 訪問査定希望の有無
物件の情報
  • 所在地
  • 種類(戸建て・マンション)
  • 間取り
  • 面積
  • 査定物件と査定申し込み者の関係(名義人・名義人の親族など)
  • 売却理由(住み替え・離婚のため・金銭的理由のためなど)
  • そのほかの希望(早く売却したい、近所に知られたくないなど)

いくつもの不動産会社に直接連絡し、上記の内容を何度も伝えるのは大変です。しかし不動産一括査定サイトでは1回の情報入力で複数の会社に査定依頼ができます。効率よく売却活動を進めたい人はぜひ利用しましょう。

また、不動産一括査定サイトはいくつもありますが、これから査定依頼をしたいというのであれば、「おうちクラベル」の利用をおすすめします。おうちクラベルはソニーグループ関連企業であり東証プライム上場のSREホールディングスが運営する、安心して利用できるサイトです。

さらに、おうちクラベルでは不動産一括査定に加えて「AI査定」が使えるのも大きなポイントといえるでしょう。AI査定とは、今までの売買実績からその物件が売却できると思われる金額を算出するというものです。すぐに査定ができるため、不動産会社の査定が完了するまでに、ある程度の価格を知っておきたいという場合にも役に立ちます。

このAI査定と無料の不動産一括査定を組み合わせて使えるのは他社にはないサービスです。おうちクラベルはすぐに査定結果を知りたい、複数の不動産会社にじっくりと査定してもらいたい、どちらのニーズにも合ったサイトです。これから不動産会社に査定を依頼したいのであれば、利用してみてはいかがでしょうか。

おうちクラベルで無料一括査定

4.離婚時に連帯保証人や連帯債務・ペアローンの場合、抜ける方法は?

離婚時、住宅ローンの名義人が元夫のみのように単独名義であればいいのですが、中には元妻も「連帯保証人」「連帯債務」「ペアローン」という形で責任を負っている場合もあります。離婚に伴い、それらの責任を外したいという場合、どうすればいいのでしょうか。以下の観点から責任を外す方法を考えてみましょう。

※単独名義、連帯保証人、連帯債務のケースでは「夫=住宅ローン名義人」として説明しています。

  • 単独名義変更は基本的に難しい
  • 親族に名義を差し替える
  • ペアローンの場合、一括返済で一本化
  • 住宅ローンを借り換えて名義人を変更する

4-1.単独名義変更は基本的に難しい

まず、元夫が単独で住宅ローンの名義人である場合、元夫から元妻への名義変更はできないと考えておきましょう。現在契約中の住宅ローンは夫の収入や属性、今までの借入履歴などを基に審査をして、融資が決定しているためです。元妻が元夫の持つ条件とまったく同じであることはほぼないはずです。

また、ペアローンのように、元夫・元妻の両方が住宅ローンの契約者になっていた場合、どちらか1人の名義にまとめたいと思うかもしれませんが、こちらも難しいといえるでしょう。ペアローンでは、元夫・元妻、それぞれの収入などを見て審査をしています。おそらく、単独で住宅ローンを契約したときよりも融資額が大きいはずです。完済直前であるならばともかく、融資から数年しか経過していない場合、その金額の大きさから片方だけでは返済能力がないと判断される可能性が非常に高いといえます。

4-2.親族に名義を差し替える

連帯保証・連帯債務・ペアローンのように夫婦双方で責任を負っている場合、元妻が負っていた責任や名義を外して、その部分を元夫の父母などの親族に変更したいと考えている人もいるかもしれません。もし、そのような希望がある場合は金融機関に相談してください。金融機関が同意してくれるのであれば、責任(もしくは名義)変更ができる可能性があります。

ただし、次に責任を負う人が元妻と同程度、もしくはそれ以上の返済能力がある人でないと変更は認められません。元妻の収入や属性によっては、年齢が高く、収入が年金のみという父母に変更したいという希望は認められない恐れもありますので注意してください。

4-3.ペアローンの場合、一括返済で一本化

ペアローンは夫・妻の双方が名義人となり契約する住宅ローンです。離婚に伴い、元妻の部分の住宅ローンを一括返済し、元夫の住宅ローン契約のみを継続することは可能です。元妻の名義分は一括返済で終了しますので、元夫に名義を一本化できます。

4-4.住宅ローンを借り換えて名義人を変更する

住宅ローンの借り換えとは、新しい融資で以前の住宅ローンを完済することです。具体的には夫婦で契約していたペアローンを借り換えで完済し、新しい住宅ローンは元夫だけで契約するということです。この方法ならば住宅ローンの一本化が可能です。

ただし、夫婦で責任を負う「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」では、元妻の収入なども見て融資額を決めているため、1人分の収入で審査に通らない場合も多くあります。

そして、借り換えの場合、「事務手数料」「保証料」「印紙代」「火災保険料」など、30万円~100万円程度の諸費用が必要です。これらの費用がどの程度かかるかも確認する必要があります。

ちなみに、同じ金融機関内での住宅ローン借り換えはできません。必ず別の金融機関に借り換えなければいけませんので、いい条件のローンを探す手間がかかることも考慮しておきましょう。

4-4-1.借り換えする際には月の返済額をシミュレーションしておこう

借り換えを検討する際は、借入可能額や毎月の返済額についても確認してください。金融機関のホームページでは住宅ローンの借り換えシミュレーションが公開されています。年収や借入希望額などを入力すると、借入可能額や毎月の返済額、総返済額が試算できます。住宅ローン契約時に必要な諸費用も計算できますので、申し込み前にぜひ利用しましょう。

5.離婚時に住宅ローンの名義人と違う人が住み続けるリスク

「子どもに転校させたくない」「今の家は妻の勤務先から近い」などの理由で、元夫が自分名義の家から出て、元妻や子どもがそのまま住み続けるというパターンを考えている人もいるのではないでしょうか。

一見、良さそうな案に見えますが、このパターンには以下のリスクや注意点がありますので考慮しておく必要があります。

  • 金融機関に隠すと契約違反になってしまう場合もある
  • 返済の滞納や売却のリスクがある
  • 共有名義の場合、連絡が取れなくなった場合にリスクがある
  • リスクを回避したい場合は公正証書を作成する

では、1つずつ詳しくご紹介します。

5-1.金融機関に隠すと契約違反になってしまう場合も

住宅ローンは「住宅ローン名義人が自宅として住むこと」を条件に低い金利で融資しています。名義人が住んでいない場合は契約を違反しているとされて、ローン残債を一括で返済しなければならなくなる可能性もあります。もし、名義人が家を出るというのであれば、決定した時点で金融機関に今後の対応について相談してください。

また、住宅ローン契約時には融資対象の不動産に抵当権が設定されます。不動産の名義人は住宅ローン名義人と同じであることが前提です。「離婚に伴っての財産分与」という理由で、不動産の名義を元夫から元妻に変更したいと考える人もいるかもしれませんが、こちらも契約違反となりますので注意してください。

5-2.返済の滞納や売却のリスク

名義を変更しないまま元妻が住み続けることには、住宅ローン契約違反以外にも問題があります。例えば、名義人である元夫が返済を滞納するかもしれないというリスクです。滞納状態が続くと、家は任意売却や競売の対象となります。競売にまで至ると、住んでいる人は定められた日までに退居しなくてはなりませんので、生活していた元妻はいきなり家を失うこともあります。さらに、元妻が連帯債務・連帯保証を負っていた場合、元夫が滞納することで、元妻に返済義務が生じます。返済が続けられないと元妻が自己破産せざるを得ない事態に陥るかもしれません。

このリスクを回避するためには、元妻が負っていた責任をほかの親族に代わってもらうしかありません。離婚時に住宅ローン契約をどうするかについてもよく話し合いましょう。

そのほか、売却のリスクもあります。売却は不動産・住宅ローン名義人でないと手続きできないため、名義人である元夫が元妻に黙って売却手続きを進める可能性もあるかもしれません。

ご紹介したように、名義人以外の人が住み続けるリスクは多くあります。離婚が決定した時点で金融機関に早めに相談し、住宅ローン名義をどうするか、誰が住むかを十分に話し合いましょう。

5-3.共有名義の場合、連絡が取れなくなった場合のリスク

家の名義人を夫婦共有にしているという人も少なくないでしょう。共有名義も離婚時にリスクが高いため気を付けてください。例えば、売却したいときですが、自分の意志だけでは売却ができません。必ずもう片方の同意も必要です。この際、すぐに相手に連絡が取れ、同意が得られれば問題ないのですが、同意どころか連絡が取れなくなった時は売却手続きが進められません。

住宅ローンは返済期間が数十年にわたることも少なくありません。その間に給与が減る、病気で働けなくなるなどの理由で返済が難しくなる可能性もあります。住宅ローンの返済滞納は信用にも関わる問題です。返済に困り売却したいと考えたときに、同意なしで何もできないのは非常に困るのではないでしょうか。

5-4.リスクを回避したい場合は公正証書を作成しておこう

離婚に伴って生じる住宅ローンのリスクは数多くあります。リスクのすべてを回避するのは難しいかもしれませんが、なるべく回避したいと考えるのであれば、離婚時に公正証書を夫婦で作成しておくのがおすすめです。公正証書とは、私人の依頼で公務員である公証人が作成する公文書のことです。

公正証書を作成する際は、以下の内容について取り決めておくとよいでしょう。

  • 今後の住宅ローンの返済について
  • 家の所有権について
  • 財産分与について

また、ペアローン、連帯債務の場合は、トラブルにならないよう「妻(夫)が現在の家に住み続けるが、夫(妻)は自分の分の住宅ローン返済を完済まで続ける」という内容も盛り込んでおくとよいでしょう。

そして、住宅ローン完済後についても考えておいてください。例えば、「ペアローン完済後、家の名義人を妻に変更する」などです。

公正証書にはきわめて強力な証拠力があります。住宅ローンに関する事柄をしっかり取り決めておくことで、余計なトラブルを回避することができるはずです。

6.住宅ローンが残ったまま離婚する場合の財産分与の方法は?

住宅ローンが残ったまま離婚する場合、まずはアンダーローン状態か、オーバーローン状態かを確認する必要があります。そのうえで、財産分与についても考えなければなりません。財産分与とは何か、そして、アンダーローン、オーバーローン、それぞれで財産分与をどうすればいいのかを見てみましょう。

6-1.財産分与とは

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を分配することです。住宅ローンに関する財産分与の場合、夫婦の住宅ローンに対する貢献度が同等とすれば、2分の1ずつ分けることになります。

なお、財産分与の期限は離婚成立後2年間です。別居期間はカウントされません。書類上で離婚が成立してからカウントスタートとなります。この期間を過ぎると財産分与の請求権は失われますので、離婚時にしっかりと取り決めるようにしましょう。

6-2.アンダーローンのときの財産分与の折半方法

アンダーローンは家の売却金が住宅ローンの残債を上回る状態です。この場合は、評価額から住宅ローンの残債を差し引いた金額が不動産の価値とみなされ、財産分与の対象となります。

例えば、評価額が3,000万円、住宅ローン残債が2,500万円だった場合、500万円が不動産の価値です。500万円を夫婦で分けると1人当たり250万円となりますので、売却する場合は金銭で250万円ずつ分けます。

また、売却せずどちらか片方が所有する場合は、所有者がもう片方の人に金銭で渡します。

6-3.オーバーローンのときは財産分与対象外

オーバーローンは家の売却金が住宅ローンの残債を下回る状態です。この場合は、不動産が負債扱いになりますので、離婚時の財産分与の対象外とされます。

ちなみに、住宅ローン残債の返済は名義人が行う必要があります。「単独名義」「片方が名義人でもう片方が連帯保証人」「連帯債務」「ペアローン」などのケースがありますので、住宅ローンの名義人についてはしっかり確認しておきましょう。

離婚時に住宅ローンを完済したい場合は売却するのがおすすめ

住宅ローンの残債が残った状態で離婚する場合、売却して完済するほうがすっきりするといえます。それには、まずは残債がいくらあるのかの確認が必要です。それと同時に現在の家の価値も確認する必要があります。家の価値が残債を上回るアンダーローン状態なのか、家の価値が残債を下回るオーバーローン状態なのか、どちらかを知るためです。アンダーローン・オーバーローンそれぞれで、売却や財産分与の対応が変わりますので、この確認は必須といえます。

なお、家の価値を正しく知る方法には不動産会社の査定があります。査定は不動産会社に連絡し依頼すれば実施してもらえますが、より正確な価格を知るために、複数の不動産会社に査定を頼みたいという場合は、自分や家の情報を入力するだけで簡単に依頼ができる「不動産一括査定サイト」を使うとよいでしょう。売却して住宅ローンを完済したいという場合も不動産会社に依頼することになりますので、いくつかの会社と話してみて自分に合ったところを選びましょう。

ちなみに、数多くある不動産一括査定サイトの中でも「おうちクラベル」は不動産会社への査定依頼とAI査定が同時に利用できるという特徴があります。情報を入力するとすぐにAI査定の結果が確認できるため、後ほど行われる不動産会社の査定の結果と見比べることができます。不動産会社の査定の前にある程度の価格を知りたいのであれば、おうちクラベルのAI査定をぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

おうちクラベルで無料一括査定

この記事の監修者

まずはお気軽にご相談ください!