鉄骨造とは建物の骨組みに鉄をもちいた構造のことで、建物にはその構造によって耐用年数が定められています。
本記事では鉄骨造における耐用年数について詳しく解説するとともに、耐用年数を延ばす方法や耐用年数を超えた不動産を購入する際の注意点についても紹介しますので、鉄骨造の物件を保有している人やこれから鉄骨造の物件を購入しようと考えている人はぜひ参考にしてださい。
1.鉄骨造の耐用年数は3つに分けられる
鉄骨造の耐用年数は、そのままの意味を持つ「耐用年数」と減価償却の計算に用いる「法定耐用年数」そして「経済的耐用年数」の3つに分けられます。そして、これらの耐用年数の意味を理解しておくことは非常に大切です。
この章では、3つの耐用年数の意味と鉄骨造以外の法定耐用年数がどうなっているのかも合わせて紹介します。
1-1.建物の実際の寿命を表す耐用年数
耐用年数には、建物の実際の寿命を指す意味もあります。建物の寿命という意見での耐用年数は、その建物の使い方や環境による影響を受けることから、適切に維持管理ができている建物ほど耐用年数が長くなり、逆に維持管理ができていない建物は耐用年数が短くなる傾向にあります。
たとえば鉄骨造だと、適切な維持管理が行われていれば60年以上の耐用年数を誇るものもありますし、中には100年以上維持できるものもあります。
一般的に耐用年数というと、次項で紹介する法定耐用年数を思い浮かべる人が多いと思いますが、必ずしもそうではなく建物自体の寿命を表す意味で使われることを理解しておきましょう。
1-2.法定耐用年数
法定耐用年数は減価償却の計算で利用されるため、知っている人も多いのではないでしょうか。実際、法定耐用年数は減価償却費を算出する際に用いられるもので、税務上の指標ともいえます。
減価償却とは、建物などの固定資産を購入した際に購入した年にその取得額を一括費用として計上するのではなく、法定耐用年数に応じた減価償却率を乗じた額を毎年減価償却分として費用計上することです。
固定資産は年月が経つことでその価値が減少していくため、毎年減価償却分として計算した額を減価償却費として計上します。
例えば、法定耐用年数20年の鉄骨造の建物を6,000万円で購入した場合、購入額である6,000万円を20年かけて減価償却費として計上するわけです。
この減価償却の仕組みは所得金額の減少という節税効果を生むため、事業を行ううえで非常に大切な考え方ですので、必ず理解しておかなければなりません。実際に費用として支出していない額を費用計上できるため、その分所得金額を抑えることになり、最終的な節税効果につながるのです。
法定耐用年数はあくまでも減価償却の計算において必要となるものであり、実際の建物の寿命ではないことを理解しておきましょう。
1-2-1.鉄骨造の法定耐用年数
鉄骨造の法定耐用年数は、鉄骨の厚さとその建物の用途(居住用か事業用か)で異なります。それぞれの法定耐用年数は以下のとおりです。
鉄骨の厚み | 居住用 | 事業用 |
3㎜以下 | 19年 | 22年 |
3㎜~4㎜以下 | 27年 | 30年 |
4㎜以上 | 34年 | 38年 |
(出典:AM_03taiyonensu.pdf (axf.co.jp))
ちなみに、用途は居住用と事業用だけなくほかの用途にも分けられており、それぞれの法定耐用年数は以下のようになっています。
鉄骨の厚み | 飲食店・車庫 | 工場・倉庫 | 旅館・ホテル・病院 | 公衆浴場 |
3㎜以下 | 19年 | 17年 | 17年 | 15年 |
3㎜~4㎜以下 | 25年 | 24年 | 24年 | 19年 |
4㎜以上 | 31年 | 31年 | 29年 | 27年 |
1-2-2.鉄骨造以外の法定耐用年数
また、鉄骨造以外の構造には木造や木造モルタル造、鉄筋コンクリート造などがあり、これらも住居用もしくは事業用で法定耐用年数が異なります。
鉄骨造以外では鉄筋コンクリートが最長50年となっており、その分償却期間も長くなることがわかります。
構造 | 居住用 | 事業用 |
木造 | 22年 | 24年 |
モルタル造 | 20年 | 22年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 | 50年 |
(出典:AM_03taiyonensu.pdf (axf.co.jp))
1-3.経済価値がなくなるまでの期間を表す耐用年数
耐用年数には「経済的耐用年数」と言われるものがあり、建物としての経済的な価値がなくなるまでの期間を表しています。
一般的に建物は経年劣化していきますが、経済的耐用年数を求める際には将来的に発生することが予想される修理費用や劣化具合を考慮して計算します。
また、建物の寿命である耐用年数と同様に建物の環境や維持管理状態による影響を受けることから、維持管理が適切に行われていれば経済的耐用年数は長く、維持管理を怠っている建物については経済的耐用年数が短くなる傾向がみられます。
国土交通省の不動産鑑定評価基準では、建物の減価額を求める耐用年数の適用について、経済的耐用年数が最も重視されるべきであるとの記載があることからも、建物の価値を築年数だけで判断するのではなく、建物の環境や維持管理状態を考慮して判断すべきだといえます。
(参考:001043585.pdf (mlit.go.jp))
2.法定耐用年数を元にした減価償却の計算方法
減価償却の計算では、建物法定耐用年数とその建物の取得額を用いて費用計上する減価償却費を求めます。上で紹介したとおり、建物の法定耐用年数は構造などによって異なります。
この章では、法定耐用年数の一部が経過している建物と法定耐用年数を超えた建物の減価償却の計算方法について解説します。
2-1.法定耐用年数の一部が経過した場合の計算方法
中古の鉄骨造建物(事業用)を購入した場合、法定年数の算出は以下の計算方法で行います。
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数✕20%
借りに、4㎜を超える鉄骨造で築20年の建物を取得した場合、用いる法定耐用年数は
(38年-20年)+20年✕20%=22年
です。
さらに、減価償却の計算では減価償却率を使用するため、その法定耐用年数に該当する減価償却率を調べます。
減価償却率は国税庁のホームページに掲載されています。2007年年4月1日以降に取得した建物については定額法を用いるため、法定耐用年数22年の減価償却率は0.046です。
この建物を3,000万円で取得したとすると、毎年減価償却費として計上する額は
3,000万円✕0.046=138万円です。
毎年実際の支出はないにもかかわらず、138万円が費用として計上できることからも、減価償却費が節税効果に重要なポイントになることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
2-2.法定耐用年数がすべて経過した場合の計算方法
法定耐用年数を超えた建物の場合、法定耐用年数は新築で取得した場合の20%で計算します。
(法定耐用年数)✕20%
厚さ3㎜以下の鉄骨造で築30年の建物を購入した場合、新築で取得した際の法定耐用年数は22年ですので、法定耐用年数を超えています。
そのため、法定耐用年数である22年の20%
22年✕20%=4.4年
となりますが、端数は切り捨てるため、4年が減価償却の計算に用いる法定耐用年数です。
法定耐用年数4年の減価償却率は0.2ですので、仮にこの建物を1,500万円で購入した場合の減価償却費は
1,500万円✕0.2=300万円
です。
法定耐用年数を超えた建物を取得した場合法定耐用年数は少なくなりますが、適用される減価償却率が高くなるため、最終的に計上できる減価償却費も高額になる傾向があります。
3.軽量鉄骨造についても確認しておこう
鉄骨造とは別に軽量鉄骨造もあります。せっかくですので軽量鉄骨造のメリットそしてデメリットについても理解を深めておきましょう。
軽量鉄骨造は鉄骨の厚さが6㎜未満の建物をさし、耐震性が高いことから店舗やアパートのほか戸建てなどでも利用されています。
3-1.軽量鉄骨造のメリットとは
まず、軽量鉄骨造のメリットである耐震性の高さや価格の安さ、ランニングコストの安さについて解説します。
3-1-1.木造よりも耐震性が高い
軽量鉄骨造は耐震性が優れているという特徴があり、木造よりも耐震性が高いというメリットがあります。法定耐用年数では、鉄骨の厚み次第で木造よりも法定耐用年数が短く設定されている軽量鉄骨造もあるものの、実際の安全性を考えると軽量鉄骨造のほうが安全性は高いといえます。
さらに軽量鉄骨造住宅は建築の際にプレハブ工法を採用することから、部材が規格化されており、建築が簡単に行えることや品質が安定しているというメリットもあります。鉄骨造であることから、木造住宅独特のシロアリの被害に悩まされることがない点も安心です。
3-1-2.重量鉄骨造などよりも価格が安い
部材が規格化されている軽量鉄骨造は、大量生産が可能です。事前に工場で大量生産しておき、必要な部材を利用する方法を採用することで材料費を低減できます。
さらに、プレハブ工法を採用するため作業工程を短くでき、工期が短縮できることから人件費が削減でき、最終的な建築費用の削減につなげられます。
3-1-3.比較的ランニングコストが安い
ここでいうランニングコストとは固定資産税です。建物の構造が固定資産税に影響することを知らなかった人も多いのではないでしょうか。
毎年1月1日時点の不動産の所有者に課せられる固定資産税は建物の構造によっても異なり、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造などは高く軽量鉄骨造はそれよりも安くなります。
ただし、木造よりは高くなる傾向にあります。
3-1-4.修繕・解体のコストを抑えやすい
軽量鉄骨造はシンプルな構造になっているため、修繕も比較的簡短に行える点もメリットです。
また、簡単に建築できるということは解体時も簡単に行えることになりますので、解体費用を抑えることができる点もメリットといえるでしょう。
3-2.軽量鉄骨造のデメリットとは
軽量鉄骨造には、遮音性が低いといったデメリットや遮断性および通気性が低いといったデメリットがあります。メリットばかりに目が行きがちですが、デメリットもしっかりと理解しておかなければなりません。
ここでは軽量鉄骨造のデメリットについて解説します。
3-2-1.遮音性が低い
軽量鉄骨造には厚みが少ないという特徴があるため、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べると遮音性が低い点がデメリットです。遮音性は木造と同じ程度になりますので、何らかの対策を行わないと外からの騒音に悩まされることが想定されます。遮音性が低いということは逆に家の中の音が外にもれやすいということでもありますので、防音に対する対策をしっかりと行わなければなりません。具体的には床に防音効果のあるカーペットを敷くことや、壁への防音シート張りのほかカーテンを遮音性の高いものに変えるなどの対策方法があります、
防音対策を行うにあたり、多少のコストがかかるものの隣の部屋や下の階に住んでいる人に迷惑をかけないよう最低限の気配りは必要です。
3-2-2.断熱性・通気性が低い
一般的に鉄骨造は断熱性および通気性が低いという特性があります。軽量鉄骨造も鉄骨造の1つですので、断熱性や通気性が低い点がデメリットとして挙げられます。
通気性が低いために室内に熱がこもりやすく、冷えやすいと冬場は部屋がなかなか暖まりません。「夏は暑く、冬は寒い」といった過ごしにくい環境を生みがちです。
断熱性を高める対策としては、壁や天井に断熱材を入れる方法が効果的です。
3-2-3.間取り変更の自由度が低く、リフォームしにくい
軽量鉄骨造といえども、鉄骨造の1つであることから骨組みは鉄骨でできていますので、大規模リフォームに向いていません。軽量鉄骨造では壁の中に補強部材を入れているケースが多く、構造を変更することによって建物自体の強度が下がってしまう恐れがあるため、間取りを変えにくい点がデメリットです。
利用している部材もハウスメーカーが開発したものを利用し、独自の工法で建てていますがその工法が複雑になっているケースも多く、リフォームが制限されることもあります。
将来リフォームを考えているなら、軽量鉄骨造の家はリフォームが難しい点を理解しておく必要があります。
3-2-4.火災による倒壊リスクが高い
耐震性には優れていますが、火災によって建物が崩壊するリスクは実は木造よりも軽量鉄骨造のほうが大きいです。木造建築物は燃えやすいとはいうものの、表面が炭化することで建物が覆われることから簡単に崩壊しない特性があるのですが、軽量鉄骨造で使用している材質は熱に弱く、火災が起きた際には建物が崩壊してしまうリスクが高いといわれています。
このリスクを回避するために、最近では耐火を意識した材質を利用するところも増えていますので、利用している材質について1度調べてみることをおすすめします。
4.法定耐用年数が過ぎた不動産を購入する際に知っておきたい注意点
法定耐用年数を超えた物件は減価償却の計算においては有利に働きますが、ローンの審査にとおりにくく、維持費が高額になりやすいといった点に注意が必要です。
ここでは法定耐用年数を過ぎた不動産を購入する際に注意すべき点について解説します。
4-1.ローンの審査にとおりにくい
ローンの審査においては申込者本人の属性はもちろんのこと、担保となる物件の価値もチェックされます。その際に法定耐用年数が過ぎた不動産だと物件の価値が低いとみなされ、最終的に住宅ローンの審査にとおりにくくなります。
金融機関は融資を行う際、万が一返済不能の状態に陥ったときには担保として設定している物件を競売にかけて現金化し、融資金額の回収にあてます。そのために担保となる物件に抵当権を設定するのです。しかし法定耐用年数が過ぎた不動産だと競売にかけてもかなり低い値段での売却となり、融資金額が回収できない状況も想定されます。
金融機関としては融資した金額が回収できなくなるリスクを非常に恐れますので、法定耐用年数を超えた物件について審査が厳しくなることは否めない事実です。
実際にローンの返済期間を決める際には、残りの法定耐用年数を返済期間と考えるケースが多く、築年数が古く残りの法定耐用年数が少ないほど審査に不利に働きます。
また、不動産投資物件としてアパートを購入する際でも、残りの法定耐用年数が家賃収入期間であると考えることから、法定耐用年数を超えた物件は家賃収入が入らない物件として見なされるため、融資を受けるのは難しいでしょう。
とはいえ、全ての法定耐用年数を過ぎた不動産の価値が低く評価されるわけではなく、立地条件や建物自体の管理状態などにも左右されますので、そのような価値がある物件なら法定耐用年数が過ぎていても審査にとおる可能性はあります。
4-2.維持費が高額になりやすい
法定耐用年数を超えている建物は経年劣化による傷みが酷くなっている傾向がみられます。それらの修繕を行うための修繕費やメンテナンス費用などが必要となり、最終的に維持費が高額になってしまいます。
また、大規模修繕には高額な費用がかかるため、事前に計画して資金を積み立てておく必要があります。大規模修繕は簡単に行えるものではないことを理解しておかなければなりません。
また、法定耐用年数を過ぎた不動産は売却しにくくなる点も注意したいところです。築年数の古い物件であることから需要が少なく、売却しようと思ってもいつまでたっても購入希望者が見つからないケースも考えられます。また、購入希望者が見つかったとしても、想定していた価格よりも低い値段を掲示される可能性があり、最終的に売却価格が予定よりも下がる結果も予想されます。
5.鉄骨造の寿命(耐用年数)を延ばす方法を解説
法定耐用年数は構造や用途によって決まっているため延ばすことはできませんが、実際の建物の耐用年数つまり寿命を延ばすことはできます。
ではどのようにして延ばすのでしょうか。ここでは鉄骨造の建物の寿命を延ばす方法について解説します。
5-1.メンテナンスを定期的に行う
鉄骨造の建物の寿命を延ばす方法として一番効果があるのは「定期的なメンテナンス」です。壊れたからといって直すのではなく、壊れる前に直すという考え方が大切で、定期的にメンテナンスを行っていれば、経年劣化による痛みの進行を抑えると当時に建物や設備の痛みの度合いを少なくできます。
特に鉄骨造の建物は錆びやすいことから、見えない部分から劣化が進みます。そしてそれを放置しておくことで最終的に建物が利用できなくなる恐れもあるのです。そのような状態を防ぐためにも外から見えない部分についても定期的なメンテナンスを行い、劣化の進行を遅くする対策を考える必要があるといえます。
メンテナンスの目安として、水回りや外壁および屋根は10年に一度を考えておくとよいでしょう。給排水管などはいざ故障が発生すると修理に高額な費用がかかるため、もっと短い感覚で定期的にメンテナンスを行うことをおすすめします。
5-2.大規模な修繕を行う
大規模修繕を行うことも建物の寿命を延ばすためには効果的です。定期的なメンテナンスも大切ですが、メンテナンスを行っているからといって経年劣化が完全に避けられるわけではないからです。
マンションの場合、10年~15年を目安に大規模修繕を行って共有部分の改修や外壁の補修などを行います。ただ、大規模修繕を行うには高額な費用がかかるため、定期的な修繕を行いつつ大規模修繕の時期を計画し、それに合わせた資金の準備を行う必要があります。
大規模修繕を行うことで、物件の価値が高まることにつながることも考えながら、計画的に行うようにしましょう。
修繕の目安としては、10年後に外壁や屋根の塗り替えと合わせて給湯器などの交換を考えるとよいでしょう。15年後も外壁や屋根の塗り替えが必要ですが、ほかにもユニットバスなどの設備交換などを想定しておきましょう。20年後には外壁や屋根の塗り替えに加えて葺き替えや張替えなども必要になります。
6.耐用年数を超えた不動産はどうすべき?
耐用年数を超えた不動産を所有している場合、このまま保有しておくべきなのかそれとも売却するべきなのか悩むこともあるでしょう。かりに保有しておくことを選択したとしても、修繕やリフォームの必要は避けられません。
実際に耐用年数を超えた不動産はどうするべきなのでしょうか。
6-1.建て替えを考える
耐用年数を超えた不動産が存在する立地が良ければ、建て替えがおすすめです。建て替えることで、建物の設備も最新のものになりますし、建築技術も昔と比べると異なっていることからも、今の時代にあった住みやすい物件に変わるでしょう。もちろん性能自体も高くなります。
耐用年数を超えた物件を保有しておりそれを収益物件として賃貸に出しているなら、建て替えることにより物件の価値が高まりますので、需要も比例して高くなることが予想されます。結果として家賃を上げることも考えられますので、家賃収入による利益も増えるのではないでしょうか。また、建て替えによって設備を新しくすることにより、耐用年数を超えた物件を保有している期間と比べると修繕などの費用がかからなくなる分、維持費を抑えることにもつなげられます。
建て替えるまででもないと考えるなら、大規模修繕も1つの方法です。大規模修繕やリフォームを行うことによって外観がきれいになるばかりでなく、建物自体の性能を高められます。なんといっても大規模修繕やリフォームを行うことにより、それまでよりも住み心地が良くなることが期待できますので、建て替えそして大規模修繕にかかる費用を見積もり、比較してみましょう。
また、建て替えやリフォームを行うにあたり、内容によっては税制の優遇を受けられる可能性もあります。ただし、優遇を受けるには要件を満たす必要がありますので、事前に要件をきちんと確認しておきましょう。
6-2.売却する
売却して現金化する方法も考えられます。なぜならそのまま保有しておくにしても経年劣化が進み、その修繕費用がかかるため、維持費用としての支出が減ることはないからです。さらに減価償却もできない状況なら、維持するための負担は重くなるばかりです。そして、維持費用が今後多くなることは予想できますが、今後少なくなることは考えにくいでしょう。
仮に住み替えもしくは買い替えを検討しているなら、売却してその売却金額で新しい不動産を購入することを考えてもいいかもしれません。
ただ、耐用年数を超えている物件はなかなか買い手がつきにくく、売れにくいといった実情があります。土地も一緒に所有しているなら建物を取り壊して更地で売りに出すことを考えてみましょう。不動産を探している人の中には土地だけを探している人もいます。そのような需要があれば、早く売却できる可能性も高くなります。
7.耐用年数を超えた不動産を売却する際の方法・ポイントとは
耐用年数を超えた不動産を、建て替えたりリフォームしたりして保有し続けるのではなく売却することを考えた場合、売却する方法としては建物をそのままにした状態で売るのか、それとも建物を解体して売るのかを考える必要があります。
耐用年数を超えた不動産を売却する方法について、売却する際のポイントも合わせて解説します。
7-1.売却の方法1:建物をそのままにした状態で売る
購入する側からすると、耐用年数を超えた建物は担保価値が低いためローンを利用できない可能性があります。そのため、耐用年数を超えた不動産はなかなか買い手がつかないことも予想されます。
そのような事態を避けるためにも、できれば耐用年数を超える前に売却することを考えるようにしましょう。耐用年数が残っていれば担保としての価値が残るためローンを利用できる可能性も高くなりますし、事業用の物件であれば法定耐用年数が残っていることで減価償却費の計上が可能になります。
7-2..売却の方法2:建物を解体して売る
建物が古いために売れないなら、建物を解体して更地にして売ることも1つの選択肢になり得ます。不動産を購入する人の中には土地の上に建物があるために購入を躊躇する人もいます。なぜなら家を建てるためには今経っている古い建物を取り壊す必要があり費用や手間がかかるからです。中には更地にして売って欲しいと条件をつける買い主が出てくる可能性もあります。
更地の状態のほうが逆に需要があるケースも多いため、建物があることがなかなか売れないことの原因になっているなら、思い切って建物を解体することも考えてみましょう。
7-3.売却のポイント:売却が得意な不動産を探す
不動産を売却する際には不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。その際には、どの不動産会社に依頼するかが最終的に売却できるかの決め手になります。
不動産会社にはそれぞれ得意分野がありますので、耐用年数を超えた築古の物件の売却を得意としている不動産会社を探し、仲介を依頼するようにしましょう。
もちろん信頼できる不動産会社である必要がありますが、売り主の気持ちを組んで売却活動を行ってくれる不動産会社に依頼することで想像していたよりも早く売れるケースがあるほか、売却価格についても不動産会社によって大きく変わることもあります。
信頼できる不動産会社を探すことが売却の際の重要なポイントであることをしっかりと覚えておきましょう。
8.まとめ
建物の耐用年数には建物の寿命である本来の耐用年数と減価償却で用いる法定耐用年数、そして経済的価値を表す経済的耐用年数の3つがあります。
耐用年数は建物の寿命を表しますが、建物の価値を築年数だけで判断するのではなく、その建物がどのように利用されてきたのか、また適切な維持管理が行われているかなどで判断することが大切です。
ただ、耐用年数を超えた建物をそのまま保有するのは、維持費もかかるため大変です。また売却するにも物件としての価値がないためローンが組めないという問題もあります。そのため、できるだけ耐用年数が残っている段階で売却することを考えるほか、耐用年数を超えた物件については建て替えやリフォームを行うことで新たな価値を付けることも検討してみましょう。
また、耐用年数を超えた建物を売却する際には、築古の物件の売却に強い不動産会社を選び、仲介を依頼することが重要なポイントです。
不動産を売却する際には複数の不動産会社に対して査定を依頼します。そのうえで最終的に仲介を依頼する不動産会社を選ぶことが大切ですが、自分に合った不動産会社を選ぶにあたっては、査定額の根拠をしっかりと掲示してくれる不動産会社を選ぶのもコツの1つです。
そして、その際に役に立つのが不動産一括査定サイトです。
おうちクラベルでは物件の情報を60秒入力でき、複数の不動産会社に一括して査定を依頼できるサイトをご用意しています。査定依頼できる企業は実績豊富な優良企業ばかりですので、耐用年数を超えた築古の物件でもスムーズに売却に導いてくれるいい不動産会社がきっと見つかります。
耐用年数を超えた不動産の売却を考えており、仲介を依頼する不動産会社選びに悩んでいるなら、査定はおうちクラベルの不動産一括査定をご利用ください。