固定資産税評価額とは?調べ方や計算方法、節税について解説!

「固定資産税評価額とはなんだろう?」「固定資産税を知っておく意味はあるの?」このような疑問を感じている方が多いのではないでしょうか。
あらかじめ固定資産税に関する知識を持っていれば、「今年はどれくらい納税しなくてはいけないのだろう」という毎年抱く不安を軽減できます。
固定資産税のことをよくわからない方もいると思います。本記事では固定資産税評価額の概要や標準課税との違い、同じ面積でも固定資産税評価額が異なるわけ、固定資産税を節税する方法などを詳しくご紹介します。
本記事を読むことで、土地や住宅に関する税金の知識が深まり、節税対策にも役立つのでぜひ参考にしてください。

1.固定資産税評価額とは?

固定資産税評価額とは、固定資産税など税額を計算する際に用いられる基準価格です。 固定資産税評価額は固定資産税路線価とも言われ土地や住宅を取得した際に課税される「不動産取得税」や市街化区域に土地や住宅を所有している方に課税される「都市計画税」、登記等にかかわる「登録免許税」を計算する際に用いられる不動産の価額のことです。

先述した税金の種類と計算方法は以下の通りです。

税金の種類 計算方法
不動産取得税 固定資産税評価額×4%
都市計画税 固定資産税評価額×0.3%
登録免許税 固定資産税評価額×1.5%

たとえば、自分が所有している土地や住宅の固定資産税評価額が1,000万円だった場合、1,000万円×4%で不動産取得税は40万円になります。

固定資産税評価額は3年に1度見直されており、1月1日に土地や住宅を所有している方が納税の対象になります。

対象者に該当する方は、固定資産税評価額を毎年確認し、ざっくりとした納税額を把握しておきましょう。

1-1.固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額を調べるには、以下の3つの方法があります。

  • 固定資産税評価明細書を確認する
  • 固定資産税評価証明書を取得する
  • 固定資産税台帳を閲覧する

固定資産税課税明細書とは、不動産の1月1日時点の所有者に対して市町村から送付されるものです。これを確認することで、固定資産税評価額がわかります。

また、紛失などの理由で再取得するためには不動産を管轄する市役所に行く必要があります。マイナンバーカードや運転免許証などの身分証明書を持参の上、窓口で申請しましょう。本人以外が行く場合は、委任状が必要です。

所有する土地や建物について記載された固定資産課税台帳を閲覧することでも、固定資産評価額を確認することが可能です。各市町村で毎年4月頃の縦覧制度を利用すると良いでしょう。

固定資産税評価額を把握することで、売却相場を知ることもできます。

1-2.固定資産税の計算方法

固定資産税の計算方法は、「固定資産税=固定資産税評価額×税率」です。

固定資産税の税率は1.4%ですが、自治体によって1.5%や1.6%の場合もあります。

たとえば、固定資産税評価額が1,000万円だった場合、固定資産税=1,000万円×1.4%になり、1年間で支払う納税額は14万円になります。

都市計画税、不動産取得税、登録免許税にも固定資産税評価額は使用されます。

また、固定資産税は特例を活用することで、税額を抑えることが可能です。

固定資産税の特例は以下の通りです。

税金 特例適用割合 計算方法
固定資産税 1/6 固定資産税評価額×1/6×1.4%
固定資産税 1/3 固定資産税評価額×1/3×1.4%

この特例は、住宅用地のみに適用されており、200平米までは評価額を1/6減額し、200平米を超える部分であれば1/3の減額が行われます。

特例を理解していれば住宅の使い方も変わり、納税額も大幅に異なってくるので、ぜひ参考にしてください。

1-3.固定資産税評価額でわかること

固定資産税評価額でわかることは以下の通りです。

税金の種類 計算方法
不動産取得税 固定資産税評価額×4%
都市計画税 固定資産税評価額×0.3%
登録免許税 土地 固定資産税評価額×1.5%
建物 固定資産税評価額×0.3%
固定資産税 固定資産税評価額×1.4%
住宅用地200平米まで 固定資産税評価額×1/6×1.4%
住宅用地200平米超え 固定資産税評価額×1/3×1.4%

それぞれの税額がどの計算方法を用いるのかを知っておけば、資金運用がしやすくなります。

先述した通り、固定資産税評価額は3年に1度評価替えが行われるため、確実な固定資産税評価額は固定資産税評価明細書でしか確認できません。

そのため、あらかじめ余裕を持って貯金をしておき、毎年2月16日~3月15日の間にくる確定申告に向けて準備をしておきましょう。

1-4.固定資産税評価額以外にある4つの地価

固定資産税評価額以外に、公示価格・相続税評価額・実勢価格・基準価格の4つの地価があります。
それぞれの特徴について表にまとめてみました。

地価名 公示価格 相続税評価額 実勢価格 基準価格
評価額 それぞれの地域によって異なる 公示価格の80% それぞれの取引内容によって異なる 公示価格とほぼ同じ
調査本拠地 国土交通省 国税庁 なし 都道府県
調査結果発表 3月 7月 なし 9月
目的 担保評価の指標 相続税・贈与税の算定基準 なし 都市計画区域外も対象とした公示地価を補完する

それぞれの地価は、土地価格の参考として使われることが多いです。
たとえば、固定資産税評価額であれば公示地価の約70%が評価額になります。1,000万円の土地であれば、700万円の評価額が基本となります。
地価は、土地所有していなければそれほど使用することはありません。とはいえ、今後土地の所有者になる方は知識として身に付けておきましょう。

1-5.課税明細書にある課税標準額との違い

課税明細書にある課税標準額との違いは、以下の通りです。

  • 固定資産税評価額は、土地の地価をもとに決められた価格
  • 課税標準額は、税額計算の基礎となる課税対象を指すもの

固定資産税評価額は、土地の地価をもとに決められた価格ですが、税額計算の基礎となる金額のことを指します。
農地や土地の場合、課税標準額は固定資産税評価額と同額となります。
しかし、住宅用地の場合は特例や負担調整措置等で固定資産税評価額よりも課税標準額が低くなります。そのため、住宅用地の場合は固定資産税評価額と課税標準額は異なります。

固定資産税評価額や課税標準額の違いについて曖昧な理解をしていると、わからなくなってくるので、それぞれ混同しないように注意しましょう。

2.同じ面積でも固定資産税評価額が異なるワケ

ここまで、固定資産税評価額の概要や課税標準額との違いについて解説してきました。実は、同じ面積や材質、構造体によって建物の固定資産税評価額は異なります。

ここからは、同じ面積でも固定資産税評価額が異なるワケについて以下の2点を用いて解説します。

  • 木造とコンクリートの場合
  • 構造や建材が異なる場合

それぞれ順番に見ていきましょう。

2-1.木造と鉄筋コンクリート構造の場合

建物の固定資産税評価額は、同じ面積でも木造と鉄筋コンクリート構造の場合で異なります。

同床面積かつ物件購入価格に差がない場合で建物の固定資産税評価額を比較してみると、「木造一階建て<鉄筋コンクリート構造<マンション」といった順で建物の固定資産税評価額が高くなっていく傾向にあります。

建物の固定資産税評価額が関係する固定資産税の部分で見てみると、マンションが最も高い傾向にあります。

マンションは、一戸建てと異なり区分された専有部を所有することになるため、一戸建ての所有者数が1に対して、マンションの所有者数は通常住戸数によって変化します。

先述した通り、建物の固定資産税は建物部分の方に多くかかるため、マンションが最も高くなりやすいのです。

とはいえ、立地や物件の大きさによって違ってくるため、一概にマンションの固定資産税評価額や固定資産税が最も高いとはいい切れません。

2-2.構造や建材が異なる場合

固定資産税評価額は、同じ面積であっても構造や建材によって異なる場合があります。

従来、固定資産税評価額は購入した物件の価格である時価や建築価格を参考に決定されます。

ということは、建設するためにかかった費用が高ければ高い物件ほど、固定資産税評価額は高くなるのです。

また、物件に使用している構造や建材、設備機器によっても固定資産税評価額は大幅に異なります。

たとえば、90坪の土地に木造3階建てアパートを建設すると約9,000万円になります。しかし、同じ土地で構造や建材を変更して建設すると+1,000~2,000万円の差が生まれるのです。

初めて土地や住宅を所有している方は、目先の支払額に目が行きがちです。目先の支払額に目が行き過ぎてしまうと、後々支払わなくてはいけない固定資産税や不動産所得税の納税額に困ります。

購入してから焦らないためにも、構造や建材によって固定資産税評価額が異なることを理解しておき、数十年後の未来設計まで行いましょう。

3.固定資産税を節税する方法

同じ面積でも固定資産税が異なる理由について解説してきました。ここまで読んでくれた方の中には「固定資産税を節税する方法はないのだろうか…」と疑問に感じる方が多くいるでしょう。

結論、固定資産税を節税する方法はあります。全3種類の節税方法があるので、特徴やポイントについて1つずつ紹介していきます。

  • 土地に関する特例を利用する
  • 新築に関する特例を利用する
  • 分筆して固定資産税評価額を落とす

3-1.方法①土地に関する特例を利用する

固定資産税を節税する方法の1つ目は、土地に関する特例を利用することです。先述した通り、所有している物件が住宅用地だった場合、200平米までの部分には1/6減額されて、200平米を超えると1/3減額されます。

また、所有している物件が店舗住宅の場合、居住用部分が1/2以上であればすべて住宅用地としてみなされる特例もあります。

さらに、固定資産税は住宅用の土地にすることで軽減を受けられます。そのため、空いている土地や駐車場等として使っていれば土地に関する特例を受けられるのです。また、土地に関する特例は上手く利用すれば、固定資産税を大幅に減額できます。

固定資産税の納税額の部分で少しでも得するために、土地に関する特例の概要を理解し、活用しましょう。

3-2.方法②新築に関する特例を利用する

固定資産税を節税する方法の2つ目は、新築に関する特例を利用することです。

それぞれの住宅に関する特例は以下の通りです。

新築の種類 減額される期間
一般的な住宅 3年間
3階建て以上の耐火構造・準耐火構造 5年間
認定長期優良住宅 5年間
マンション 7年間

新築を行った場合、120平米の面積まで固定資産税を一定期間半分にできます。一般的な新築住宅であれば3年間、3階建て以上の耐火構造や準耐火構造は5年間、認定長期優良住宅とみなされると5年間、マンションは7年間、固定資産税の特例を受けられるのです。

店舗と併用して住宅を利用している場合は、特例を受けるために以下の制限が設けられています。

  • 生活部分が全床面積の1/2以上
  • 生活部分の全床面積が50平米以上280平米以下

表にして解説した新築の種類と店舗と併用した住宅の適用内容が混同しないよう、正確な知識を身に付けましょう。

3-3.方法③分筆して固定資産税評価額を落とす

固定資産税を節税する方法の3つ目は、土地を分筆して固定資産税評価額を落とすことです。

膨大な面積の土地を購入した際に、分筆がされていない一筆の土地だと、どの部分の土地も同じ固定資産税評価額になります。

しかし、土地を分筆してみると内部にある土地の固定資産税評価額を落とすことができるため、固定資産税も安くなるのです。また、先述した住宅用地の特例も分筆することで利用しやすくなるでしょう。

分筆の手順は以下の通りです。

  • 事前に登記謄本や測量図等を使用して土地調査を行う
  • 資料の確認を終えたら境界確定測量を開始
  • どのように分筆していくのかを検討
  • 隣地の所有者に同意を得る
  • 分筆登記を行う

分筆するためにかかる総額は約40~50万円です。複雑な土地だと費用はさらにかかる傾向にあります。土地の境界線が明確な場合、費用は20万円程度となります。
費用がかかるとはいえ、将来的なことを考えると、分筆費用は安いと感じられるはずです。

大きな土地を持っていて、納税額に困っている方は分筆して固定資産税評価額を落としましょう。

4.固定資産は毎年のチェックを!

本記事では、固定資産税評価額の概要と標準課税との違い、同じ面積でも固定資産税評価額が異なるわけ、固定資産税を節税する方法についてご紹介しました。

固定資産税評価額とは、土地や住宅にかかる税金を計算するための基準のことです。固定資産税評価額に関する知識を本記事で深めることで、今まで払っていた税金を安く済ませられますので、ぜひ参考にしてください。

Q.固定資産税評価額ってなんですか?教えてください!
A.固定資産税評価額とは、不動産取得税・都市計画税・登録免許税を計算する際に用いられる税額の基準のことです。ちなみに、固定資産税評価額は3年に1度見直されています。なお、1月1日に土地や住宅を所有している方が納税の対象になります。

Q.固定資産税を節約する方法はありますか?気になります!
A.土地・新築・分筆で3つ節約できるポイントがあります。条件によりますが、土地には1/6・1/3・1/2減額が適用されます。新築でも、条件次第では固定資産税の特例を受けられます。土地分筆も節約につながりますので、詳細を知りたい方は記事を再確認してみてください!

この記事の監修者

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