3-2.机上査定のデメリットとは?\n\n\n\n机上査定はデータだけをもとに査定をしているため、訪問査定ほど正確な査定価格は得られません。本来ならメリットになる要素やマイナスになる要素があっても査定価格に反映されず、大まかな査定価格しか把握できないのはデメリットです。特に一戸建ての場合は同じものがないため、机上査定では大きな幅が出る可能性があります。\n\n\n\nとりあえず売却できそうな価格を知っておきたいだけという場合はそれでも問題ありませんが、あくまでも机上査定の金額は目安としておきましょう。机上査定でも不動産会社からの営業電話など、アプローチがあることも考えられます。連絡手段をメールに限定しておくなど、対策を施しておくことである程度は営業を抑えることが可能です。\n\n\n\n4.不動産の査定価格はどのように算出されるのか?\n\n\n\n
\n\n\n不動産の査定価格を算出する方法は、大きく分けて3種類あります。それぞれどのような手法で査定価格が求められるのか、どのようなケースで使われることが多いのか、メリット・デメリットや注意点なども含めて詳しく解説します。\n\n\n\n4-1.原価法\n\n\n\n原価法は対象の不動産をもう一度同じように造成したり建てたりするときにかかる「再調達原価」をもとに評価する方法です。土地と建物の価格をそれぞれ計算して合計するため、積算価格と呼ばれます。まずは再調達原価を割り出したうえで、経年劣化による資産価値の低下分を減価修正し、現在の査定価格を算出します。再調達原価を把握しやすく、減価修正を適切に行える場合は土地の査定にも使われることがありますが、一般的には一戸建ての建物部分の査定で採用されることが多い方法です。\n\n\n\n従来は建物構造によって定められた耐用年数で減価修正が計算されていました。しかし、中古住宅の流通市場の活性化に向け、リフォームや適切な維持管理が行われている建物が適切に評価されるよう国土交通省から提言が出されています。\n\n\n\n4-2.収益還元法\n\n\n\n収益は不動産の経済価値の本質を形成するものとの考えから、収益還元法は特に賃貸用不動産や事業用不動産で適用されることが多い方法です。3種類ある査定価格の算出方法のうち、収益還元法ではさらに「直接還元法」と「DCF法」の2種類があります。同じ収益還元法でも査定価格の割り出し方がどう違うのか以下で詳しく解説します。\n\n\n\n4-2-1.直接還元法とは?\n\n\n\n収益還元法は査定対象の不動産が、将来どのくらい収益を上げるかという予測をもとに評価する方法です。直接還元法は1年間など一定期間の純利益を還元利回り(表面利回り)で割って、対象不動産の収益価格を求めます。\n\n\n\n純利益は収益から費用を差し引いて残った実質的な利益です。還元利回りは不動産から得られる利回りで、キャットプレートとも呼ばれています。一般的な住宅で4~7%、事業用の場合は6~10%だとされていますが、築年数や構造、地域などによって大きな差があります。\n\n\n\n具体的に年間の収益が110万円、経費が10万、還元利回りが5%だったとして、計算してみましょう。計算式は「(110万円-10万円)÷5%」となり、査定価格は2,000万円です。\n\n\n\n4-2-2.DCF法とは?\n\n\n\nDCF法のDCFは「Discounted Cash Flow」の略です。DCF法は、現在から売却するn年後までに得られるであろう利益を現在価値に換算して不動産価格を計算する方法です。年間の純利益が200万円の物件における5年分の想定利益は単純計算すると200万円×5年=1,000万円となりますが、経年劣化にともなう家賃の下落や空室率の上昇などを加味するため「純利益÷(1+割引率)のn乗」で、1年分の純利益を求め、n年分の合計を出します。\n\n\n\n例えば1年間の純利益を200万円、割引率を3%とし、5年後に3,000万円で売却できると考えた場合を見てみましょう。純利益は1年目が194万円、2年目は189万円、3年目は183万円、4年目は178万円、5年目が173万円で、合計は917万円です。5年後の売却想定価格3,000万円を(1+0.03)の5乗で割り、現在の価格に割り引いた金額は2,588万円となり、すべてを合計すると現在価値は3,505万円になります。\n\n\n\n4-3.取引事例比較法\n\n\n\n取引事例比較法は、査定する不動産に類似した近隣の取引事例と比較して査定する方法です。多少離れた場所にある不動産でも似たような特性であれば採用されることがありますが、基本的には近隣の取引事例と比較します。また、土地の条件などの個別的要因の比較ができることも、事例の選択をするうえで大事な条件です。投機的取引が行われた事例は適正価格ではない可能性があり、比較の対象としては適していません。\n\n\n\n類似した物件といっても詳細には違いがあるため、事情補正や時点補正を加味して算出します。例えば転勤や相続税の支払い期日が迫っているなどの理由で売り急いだ場合や、特殊な使用方法を前提として取引された場合などは、プラスまたはマイナスの事情補正を加えます。時点補正は取引時点からの価格変動を加味して修正する方法です。\n\n\n\n実務では築年数や土地の形状、日当たりなど、さまざまな条件を確認して評価点をつけ、査定価格に反映させます。マンションでは駅からの距離や階数、間取りなどが重視されるポイントです。不動産売買の実例が少ない地域では採用が困難なこともありますが、一般的な不動産取引ではよく使われています。ただし、評価の内容が担当者の感覚によるところがあるほか、取り上げる事例に違いもあるため、不動産会社によって査定価格には差が出る可能性があります。\n\n\n\n5.不動産の査定価格に影響を与える14の要因とは?\n\n\n\n
\n\n\n不動産の査定価格に影響をおよぼす要因は複数あり、査定時にはかならずといっていいほどチェックされます。不動産そのものの要因もあれば、そうでないものもあります。ここでは14点ピックアップして解説しますので、把握しておきましょう。\n\n\n\n5-1.不動産の種類\n\n\n\n不動産の価格査定は、不動産の種類によって査定に適した手法が違ってきます。例えば公益財団法人不動産流通推進センターが提供している価格査定マニュアルでは、一戸建ての建物には原価法、マンションや住宅地には取引事例比較法が用いられています。\n\n\n\n査定の際に重視されるポイントも不動産の種類によって異なり、土地の状況は一戸建ての査定では大きな影響を与える要素になりますが、マンションの査定では一戸建てほど重要視されない傾向にあります。マンションでは、むしろ立地のほうが重視されます。また、マイホームか投資用物件かでも重要視されるポイントは異なり、投資用物件では入居率が大事です。入居率は家賃収入や利回りに影響するため、査定価格にも反映します。\n\n\n\n5-2.過去の成約事例\n\n\n\n査定価格の算出では、近隣の似た不動産の成約事例も参考にされます。売主の心情としては、なるべく高く売りたいと思うでしょう。売り出し価格は売主の希望で決定できますが、あまりにも相場とかけ離れていると、いつまで経っても売れない可能性があります。物件自体は買主のニーズに合っていても、価格が高すぎると選択肢から外れてしまうことが考えられるからです。査定価格は一般的に3ヶ月で売れる可能性が高い価格とされているため、査定対象の不動産がある地域の成約事例を参照して査定価格を算出するのが一般的です。\n\n\n\n5-3.土地の権利関係や形状\n\n\n\n売主に土地の所有権があるのか、借地権が設定されているのかでも査定価格が違ってくるケースがあります。一戸建てでは、特に土地の現状が大きく査定に影響するポイントです。例えば三角地や旗竿地などの特殊な形状は評価が低く、逆に使いやすい正方形や長方形などの整った形状のほうが高く評価されます。ほかにも接している道路の状況や、道路に面している間口、奥行きなども評価のポイントです。再建築不可の場合は建て替えなどができないため敬遠されることが多く、一般的に評価は低くなります。\n\n\n\n5-4.交通・立地条件\n\n\n\n生活するうえで立地条件は大事な要素です。特にマンションでは、最寄り駅からの距離が近いほど査定価格が高くなります。複数路線が利用できるなど、交通の利便性は重要視されるポイントです。また、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、病院など、生活に密着する施設へのアクセスも査定価格に影響をおよぼします。ファミリー層が多い地域の一戸建てでは人気の学区や閑静な環境などが高評価につながることもあります。\n\n\n\n5-5.構造・築年数\n\n\n\n建物の構造も査定価格で重視されます。構造によって耐用年数は異なり、木造よりもRC造(鉄筋コンクリート造)、RC造よりもSRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)のほうが評価も高いのが一般的です。耐震性能もポイントのひとつで、1981年の法改正以前に建てられた新耐震基準を満たしていない不動産は評価が低くなる可能性があります。築年数は条件やニーズによって違ってきますが、一般的に古ければ評価は低く、築浅なほど価値が高くなる傾向です。\n\n\n\n5-6.間取り・広さ\n\n\n\nマンションの査定価格では1平方メートルなどの単価に専有面積をかけて価格を算出するため、広さが直接査定に影響します。ただし、広ければ広いほどいいというわけではなく、需要がある間取りかどうかも重要なポイントです。例えば、単身者や夫婦二人暮らしが多い地域では、ファミリー向けの部屋数が多い物件よりも、広すぎないほうが好まれます。逆にファミリー層のニーズがある地域には、広くて部屋数も十分な間取りの需要が高く、査定価格が高めになる傾向です。\n\n\n\n5-7.修繕履歴・人気設備の有無\n\n\n\n一戸建てかマンションかにかかわらず、適切な修繕やリフォームが行われていなければ、建物を良好な状態で維持できません。不動産の価格査定では、適切にメンテナンスが行われていることを示す修繕履歴が把握できなければ評価が下がってしまいます。また、ディスポーザーや浴室乾燥機をはじめとした人気設備があれば、評価がプラスになる可能性があります。オートロックがあるなどセキュリティ面での充実度や、共用部分のグレードが高そうな物件も査定ではプラス評価に結びつきます。\n\n\n\n5-8.駐車場\n\n\n\n駐車場の有無や仕様も査定に影響を与える可能性があります。公共交通機関が充実している都市部の場合、そもそも自家用車を所有していないこともあり、必ずしも駐車場が必要なわけではありません。しかし、移動手段として自家用車が必須の地方では、駐車場がないと査定では不利になる可能性があります。アパートやマンションでは、戸数に対して充足率が高いほうが高評価です。また、平置き駐車場や自走式立体駐車場、機械式立体駐車場など、使いやすい仕様かどうかも評価のポイントになります。\n\n\n\n5-9.施工会社・販売会社\n\n\n\n一戸建てでもアパートやマンションでも、建築した施工会社や販売会社によって査定価格に幅が出る場合があります。例えば、誰もが知る大手が手がけるブランドシリーズでは、査定価格がプラスされることも少なくありません。築年数が経過していても、ネームバリューがある会社による物件は、価格が上乗せされることがあります。逆に施工不良や不祥事があった会社の物件はマイナスになる可能性があるなど、どの会社が建てて売ったのかなども査定価格を左右します。\n\n\n\n5-10.各種証明書の有無\n\n\n\n耐震診断を受けたことがあるのなら、耐震診断報告書を提出することで耐震基準を満たしていることが証明できます。中古住宅の売買を行うとき、インスペクションを実施することも増えてきました。義務ではありませんが、検査を受けることによって瑕疵や修繕が必要な箇所をあらかじめ把握できれば、トラブルの予防につながります。インスペクションを受けたことを証明する書類があることで安心や信頼にもつながるため、各種証明書の取得は積極的に検討したいポイントです。\n\n\n\n5-11.売主の事情\n\n\n\n不動産を売却する理由は、売主によってさまざまです。不動産会社が査定を行う際はなぜ売る必要があるのか、理由も確認します。買い換えを検討している、相続税の支払いに間に合わせたいなど、早めに売却したい事情を抱えていることもあるでしょう。ある程度ゆっくり時間をかけて販売活動しても大丈夫なのか、急いで売却する必要があるのかなどによって、売り出し価格の設定や販売戦略も変わってきます。なぜ売りに出ているのか気になる買主も多く、早く売りたい理由によって査定に影響が出るケースもあります。\n\n\n\n5-12.不動産相場・社会情勢\n\n\n\n同じ不動産でも売買する時期によって、査定価格が変わってくることも珍しくありません。不動産相場が勢いづいているときのように、需要が供給を上回っている時期は高く売りやすくなるため、査定価格も上がります。一方で社会情勢が不安定な時期や景気が悪い時期は、購買意欲が減ったり、収入の減少で不動産の購入に予算をかけられない人が増えたりするでしょう。その分、査定価格が下がり気味になります。時期的な要因で査定価格が左右されることがあるため、相場の動きや社会情勢も把握しておくことも大切です。\n\n\n\n5-13.部屋の位置\n\n\n\nアパートやマンションなどの集合住宅の場合は、階数やバルコニーのある方角など、部屋の位置も査定に大きく影響します。階数が高くなるほど眺望や日当たりがよくなるため、査定価格も高くなるのが一般的です。方角は南向きが最も評価が高く、東向き、西向きと続き、北向きは最も評価が低くなる傾向にあります。ただし、同じ方角でも周囲の建物との位置関係で採光の具合が異なったり、方角が悪くても眺望が評価されたりする場合など、個別の条件も影響します。また、戸数が限られている角部屋もプラス評価に結びつきます。\n\n\n\n5-14.維持管理状況\n\n\n\n建物や設備などがいかに良好な状態で保たれているのかも、価格査定では評価のポイントになります。建物の外壁や屋根、設備などは時間が経つと劣化してくるのは避けられません。日頃から清掃やメンテナンスがしっかり行われているか、壊れた箇所を放置していないかなどがチェックされます。アパートやマンションなどの集合住宅では、共用部分の維持管理状況も評価の対象です。大規模修繕が計画的に実施されているのか、管理費や修繕積立金の金額や貯まり具合なども査定に影響します。\n\n\n\n