{"id":398,"date":"2023-03-16T17:28:37","date_gmt":"2023-03-16T08:28:37","guid":{"rendered":"http:\/\/column.ouchi-kurabel.com\/article279\/"},"modified":"2023-11-07T11:41:36","modified_gmt":"2023-11-07T02:41:36","slug":"post_207","status":"publish","type":"post","link":"https:\/\/column.ouchi-kurabel.com\/land\/column\/article398\/","title":{"rendered":"農地の売買は難しい?売却するための条件や手続きについて解説します"},"content":{"rendered":"\n
使用していない農地を放置し続けることは、農地の所有者だけでなく近隣住民・農家にとっても多くのデメリットがあります。しかしいざ売却しようと思っても、農地には法的な制限がいくつもあり、手続きが煩雑だと感じる人も多いでしょう。\n\n\n\n
本記事では農地を売却する際に満たすべき条件と、スムーズかつ確実に売却するために押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。一般的な土地の売却とは異なる手続きを踏む必要があるため、農地売却の全体像をしっかり把握しておきましょう。\n\n\n\n
農業をやめたり、農地を相続したものの農業をする予定はなかったりといった理由から、使用していない農地を手つかずの状態で放置しているケースは少なくありません。しかし使用しない農地はそのまま放置しておくと、所有者にとって多くのリスクや損失が発生する可能性もあるため、早期に売却することをおすすめします。\n\n\n\n 不動産を所有しているだけでも毎年発生する固定資産税ですが、農地を使用せず放置していると、通常よりも多くの固定資産税が課せられます。\n\n\n\n 以前は農地として使用していたものの、過去1年以上にわたり作物を栽培しておらず、かつむこう数年間は作物を栽培する意思のない土地のことを「耕作放棄地」と呼びます。2016年の税制改正以降、耕作放棄地には通常の農地の約1.8倍の固定資産税がかかるとされており、農地を放置しているだけで税金の負担が増えることに繋がるのです。\n\n\n\n 農地の手入れを行わず放置し続けると、草が生い茂って荒廃することにより害虫や害獣が住み着く原因になります。害虫や害獣は周辺の農家の作物に被害を与えるだけでなく、死骸や糞尿による衛生上の問題を引き起こす可能性もあり、場合によっては近隣住民から損害賠償を請求されるケースもあります。\n\n\n\n 草むしりや農薬の散布などが行われず放置された農地は、雑草が生い茂ったりゴミや廃棄物が不法投棄されたりと、放置期間が長くなるほど再度活用・転用することが難しい状態になってしまいます。\n\n\n\n そのためいざ買い手や借り手を探し始めても、なかなか契約が決まらない可能性が高くなるのです。\n\n\n\n 農地を売却する方法には、土地の地目が「農地」の状態で売却する方法と、「宅地」や「雑種地」へ変更して売却する方法の2とおりがあります。それぞれの特徴について詳しく解説します。\n\n\n\n 農地を売却する方法で最も簡単なのは、土地の種目を変更せずに「農地」のまま売却する方法です。\n\n\n\n 近隣に規模を大きくしたいと考えている農家がある場合であれば、少ない手間と労力で売却を進められます。\n\n\n\n その一方で種目が「農地」になっている土地は、原則として農業従事者でなければ購入できません。農業を営む人の人口は年々減少傾向にあり、さらに農地は利用用途が限定されるため、売却価格が低くなるという点がデメリットとして挙げられます。\n\n\n\n 農地のまま購入してくれる人が見つからない場合、農地転用して売却することを検討する必要があります。\n\n\n\n 「農地転用」とはその名のとおり、農地として使用していた土地を農地以外の用途で活用することを指します。詳しくは後述しますが、日本において農地は保護の対象であり、地目が農地(田・畑・果樹園)のままではほかの用途で使うことができません。そのため農地を農地以外の用途で使える状態で売却するためには、まずは「農地転用許可」を受け、そのあとに地目変更手続きを行う必要があります。\n\n\n\n 多くの手続きが必要になるため手間がかかりますが、使用用途の幅が広がるため売却したり貸し出したりしやすくなるのです。\n\n\n\n 日本では食料自給率の維持向上を目的として、現在ある農地を保護するために「農地法」と呼ばれる非常に厳しい法律が制定されており、使用用途の変更や売買・譲渡を自由に行えないという制限があります。農地を売却するためには、まずは農地に対する制限についての知識を身につけましょう。\n\n\n\n 「農地法」は現在日本にある農地を保護することを目的として制定された法律で、一般的な不動産売買で取引される宅地などとは異なり、個人の判断で勝手に賃貸・売却してはならないとしています。\n\n\n\n 同法の条文によると、農地を農地のまま賃貸・売却する場合には、農地がある市区町村の農業委員会による許可を得る必要があり(農地法第3条)、農地転用を前提とした賃貸・売却の場合には、取引の当事者が都道府県知事の許可を得なければなりません(農地法第5条)。\n\n\n\n 上記は農地を第三者に貸し出したり売却したりする場合ですが、農地を転用して駐車場を作ったり自宅を建てたりする場合であっても、農地法による規制を受けることになります。\n\n\n\n 農地は後に解説する5つの立地基準に分類され、農地以外の目的で使用できるのはそのうちの2つのみです。さらに農地転用が認められるのは、優良な農地や高い農業生産性を確保しながら、転用した土地を有効活用できると認められた場合とされています。\n\n\n\n つまり農地転用の審査は非常に厳しく、一般の土地所有者が農地転用の許可を得たり、農地転用を行って売却までこぎつけたりすることは困難と言えます。\n\n\n\n それでは実際に、使用していない農地を売却する方法を順番に見ていきましょう。まず地目を変更せずに農地のまま売却する方法について解説します。\n\n\n\n 前提として知っておかなければならないのは、農地は「農地法」という法律によりさまざまな制限を受けるという点です。\n\n\n\n 農地は日本の食料自給率の維持向上を目的とした保護の対象となっており、売買だけでなく売買や貸し借りをする場合であっても、農業委員会による許可を受ける必要があると定められています(農地法第3条)。\n\n\n\n 万が一許可を受けずに行った取引は法律上無効となり、農地以外の用途での使用が開始されていたとしても、原状回復をして元の農地の状態に戻すことを求められるケースもあります。\n\n\n\n 誰でも欲しい土地を自由に購入できる一般的な不動産売買とは異なり、農地の場合は購入できる人も限られています。\n\n\n\n まず前提として、購入する個人または法人が農業を営んでいる必要があり、さらに「下限面積要件」と呼ばれる条件も加わります。「下限面積要件」とは、農地を購入したのちに経営する面積のトータルが一定以上でなくてはならないとするもので、北海道で2ヘクタール以上、そのほかの都府県は50アール以上である必要があります。\n\n\n\n 農地法の目的が生産性が高く安定した農業経営を目指すことであり、あまりにも小さい面積の農地を売買したとしても、有効活用できる可能性が低いとされているためです。\n\n\n\n 農地の売却を検討しているのであれば、農地は一般的な不動産売買で取引される宅地よりも、売買価格の相場が安いということは頭に入れておく必要があります。\n\n\n\n 農地が低い価格で取引される理由は、農業従事者の減少や後継者不足により、そもそも農地への需要が高くないということも挙げられますが、それ以上に収益性の低さも原因になっています。農地を購入したとしても、農業を営んで得られる農業収益が比例しないため、結果的に農地の買い控えが起きているのです。\n\n\n\n 上述のとおり、農地を売却するためにはさまざまな条件をクリアし、必要に応じた手続きを行う必要があります。そのため売却活動を始める前に、一連の流れを把握しておくことが重要です。\n\n\n\n 農地の買い手を探す方法は大きく分けて2つあります。1つは不動産会社に仲介を依頼する方法、もう1つは自分で買い手を見つける方法です。\n\n\n\n 近隣や知人の中に農業従事者がおらず、自分で買い手を見つけることが難しい場合は不動産会社の手を借りることになりますが、農地は一般的な土地よりも取引価格が安いため、不動産会社によっては仲介を断られるケースもある点に注意が必要です。\n\n\n\n 買い手が見つかったら、売主と買主との間で売買契約を締結します。\n\n\n\n この場合の売買契約書には、契約が有効となるのは「農地法第3条の許可が下りた場合を条件とする」特約を入れます。この特約により、万が一農地法第3条の許可が下りなかった場合には、売買契約を解除すると取り決めることが可能です。\n\n\n\n 売買契約締結後に、農業委員会に許可申請を行います。\n\n\n\n 申請のためには、下記の書類を準備しましょう。\n\n\n\n なお、必要書類は許可申請提出先の自治体によって異なる場合もあります。\n\n\n\n 一般的な土地の売買の場合は、売買契約締結後の引き渡しと合わせて所有権登記を行いますが、農地売買の場合は、農業委員会から売却の許可が下りる前の「仮登記」を行うケースもあります。\n\n\n\n 仮登記は必須ではないうえに費用が発生する手続きではありますが、買い手にとっては許可がおりるまでの間、自分の権利を保持しておけるという安心感に繋がります。\n\n\n\n 農業委員会から売却の許可が降りたら、合わせて発行される許可証を持って所有権移転の本登記を行い、買主と売買代金の授受を行えば取引完了です。\n\n\n\n 農地を転用し宅地や雑種地といったほかの地目で売却する際には、農地法第5条の制限を受けます。\n\n\n\n 農地のまま売却する場合との違いと、売却する流れについて見ていきましょう。\n\n\n\n 農地を転用して売却する場合に適用されるのが農地法第5条です。\n\n\n\n 農地法第5条は、元々は農地の減少を防ぐことによる農業生産性の確保を目的とした法律ですが、現在では宅地や工業用地といったほかの用途の土地とのバランスを取りながら、計画的・効率的に活用できる農地を増やすことを目指すものとされています。\n\n\n\n 農地をほかの用途で使用することを前提として売却する場合、農地法第5条の許可を得る必要があり、許可なく農地の売却と転用を行った場合は法律上無効になります。\n\n\n\n 農地を農地のまま売却する場合は、買主も農業従事者である必要があるだけでなく、売却後の用途も農地に限定されます。\n\n\n\n その点農地転用を行って売却すれば、農業従事者以外の買主であっても土地を売却でき、さらに農地以外の用途で使用できます。\n\n\n\n 買主や使用用途が限定されないことにより、売買の仲介をする不動産会社も売主からの依頼を受けやすくなるというメリットは大きなメリットです。\n\n\n\n 農地転用を前提として売却することで、農地のままの場合と比較して高く売ることが可能になります。\n\n\n\n 農地の売却価格が安くなる原因の1つに、農地の価格に対して農業収益が見込めないという「農業収益性」の低さがあります。農地転用して賃貸物件を建築したり工場を建てたりすることで、農業よりも高い収益が期待できるようになるのです。\n\n\n\n 農地転用のためには複雑な手続きを踏む必要がありますが、宅地や雑種地のほうが売買市場での需要は高いため、高く・早く売却したい場合は転用したほうがいいと言えます。\n\n\n\n 農地転用をともなう売買では、先に農地転用のための許可申請を出してから売買契約を締結するため、農地のまま売却する場合と異なる手続きが必要になります。一般的な土地の売買と比較して手順が複雑なため、事前に流れを確認しておきましょう。\n\n\n\n 農地転用をともなう売買の場合は、農地売買の実績が豊富な会社を選ぶことが重要です。\n\n\n\n 農地を売却するためには農業委員会から確実に農地転用の許可を得る必要があるのに加え、通常の土地の売買では行わない手続きも発生します。農地売買の経験が豊富な不動産会社を選ぶことで、売却完了までスムーズに進めることが可能になるのです。\n\n\n\n 買い手が見つかったら、農地法第5条の許可が下りることを前提に売買契約を締結します。\n\n\n\n この際売買契約書上で「農地法第5条の許可が下りることを条件に契約を有効とする」という旨の特約を設定しておくことで、万が一許可が下りなかった場合には契約が解除されると定めることができます。\n\n\n\n 売買契約を締結後、農業委員に転用許可申請を行います。\n\n\n\n 転用許可申請のために必要な書類は下記のとおりです。\n\n\n\n 必要書類は申請先の自治体ごとに異なる場合があるため、必ず事前に確認しておきましょう。\n\n\n\n また農地転用の申請においては、売主と買主の連著が必要になる点には注意が必要です。\n\n\n\n 転用の許可が下りる前の仮登記は、農地のまま売却する場合と同様必須ではありませんが、買主の権利を確保しトラブルを防ぐために仮登記を行うケースもあります。\n\n\n\n 農業委員会から農地転用と売却の許可が下りると許可証が交付されます。許可証が発行されたら売主と買主の間で売買代金の受け渡しを行い、速やかに所有権移転の本登記を行いましょう。\n\n\n\n 農地転用はどのような土地でも許可が下りるわけではなく、「立地基準」と「一般基準」という2つの基準をクリアしなくてはなりません。それぞれがどのようなものなのか解説します。\n\n\n\n 「立地基準」とは、自治体が定めた農地転用許可の基準のことを指し、農地の営農条件(農業に適した土地であるかどうか)などによって分類された農地ごとに異なる基準が設定されています。\n\n\n\n 立地基準の農地区分は、下記の5つに分類されます。\n\n\n\n1-1 .固定資産税を払い続けることになる\n\n\n\n
1-2 .周辺の農家に迷惑がかかる\n\n\n\n
1-3 .放置が長引くと売却が困難になる\n\n\n\n
2.農地を売却する方法\n\n\n
2-1 .農地として売却する\n\n\n\n
2-2 .農地転用して売却する\n\n\n\n
3.農地の売買は国の保護政策により制限されている\n\n\n
3-1 .農地法により農地の売買は制限されている\n\n\n\n
3-2 .転用には農業委員会の許可が必要\n\n\n\n
4.地目を変更せず農地のまま売却するには\n\n\n\n
4-1 .農地法3条による制限を受ける\n\n\n\n
4-2 .購入者は農業従事者に限られる\n\n\n\n
4-3 .農地の売買価格は宅地よりも安い\n\n\n\n
4-4 .農地のまま売却する手続きの流れ\n\n\n\n
4-4-1 .買い手を探す\n\n\n\n
4-4-2 .農地法3条の許可が下りることを前提に売買契約の締結\n\n\n\n
4-4-3 .農業委員会に許可を申請する\n\n\n\n
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4-4-4 .所有者移転登記の仮登記を行う\n\n\n\n
4-4-5 .所有者移転登記の本登記を行う\n\n\n\n
5.転用して宅地や雑種地として売却するには\n\n\n
5-1 .農地法5条による制限を受ける\n\n\n\n
5-2 .転用できれば購入者を見つけやすい\n\n\n\n
5-3 .農地のまま売却するよりも価格が高くなる\n\n\n\n
5-4 .転用して売却する手続きの流れ\n\n\n\n
5-4-1 .農地売買に強い不動産会社に相談\n\n\n\n
5-4-2 .5条の許可が下りることを前提に売買契約の締結\n\n\n\n
5-4-3 .農地転用許可の申請\n\n\n\n
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5-4-4 .仮登記を行う\n\n\n\n
5-4-5 .本登記を行う\n\n\n\n
6.転用するためにクリアしなければならない立地基準と一般基準\n\n\n
6-1 .立地基準とは\n\n\n\n
6-2 .農地は立地によって5種類に分類される\n\n\n\n
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