自宅の売却を検討しているけれど、何から始めたらよいのか分からないと悩んでいる方に、不動産会社の選び方や、売却前に準備すべきことだけではなく、不動産売却にかかる費用や実際の流れ、スケジュール感も合わせて解説します。
一戸建て売却のコツや注意点を事前に把握することにより、売却をよりスムーズに進めることができます。また売却価格アップにつながる方法も伝授します。
一戸建ての売却について、一連の流れを知っておくことはとても重要です。 あとで後悔しないためにも、事前に情報収集と準備をしておきましょう。
後半では売却を失敗しないための5つの注意点を紹介しますので、よくある質問と合わせてぜひ参考にしてください。
- 1 1.一戸建て売却の全体像
- 2 2.STEP1.一戸建て売却の事前準備
- 3 3.STEP2.一戸建て売却にかかる費用確認
- 4 4.STEP3.一戸建て売却の一括査定依頼
- 5 5.STEP4.一戸建て売却の媒介契約の締結
- 6 6.STEP5.一戸建ての販売活動
- 7 7.STEP6.一戸建ての売買契約の締結
- 8 8.STEP7.引渡しと残代金の受領
- 9 9.STEP8.確定申告
- 10 10.一戸建て売却成功の3つのコツ
- 11 11.一戸建て売却に失敗しないための5つの注意点
- 12 12.一戸建て売却に関するよくある質問
- 13 一戸建て売却の流れを把握して後悔なく売却しよう
- 14 この記事の監修者
1.一戸建て売却の全体像
「一戸建てを売却する」と一口にいっても、事前準備から始めて不動産会社の選定から不動産売買契約、引き渡しまでにやるべきことはたくさんあります。
全体の流れとその都度すべきことが把握できていれば、その時になって慌てずにすみます。売却に関して後悔しないためにも全体像を掴んでおきましょう。
1-1.全体の流れ
全体の流れは大きく8つのステップに分かれます。
【STEP1.一戸建て売却の事前準備】
売却価格相場を知るとともに自宅の状態や権利関係、ローン残債を把握しておく
【STEP2.一戸建て売却にかかる費用確認】
売却にかかる費用にどのようなものがあり、実際いくらぐらいかかるか算出する
【STEP3.一戸建て売却の一括査定依頼】
査定額は不動産会社によって多少異なるため、一括査定依頼で複数社に依頼する
【STEP4.一戸建て売却の媒介契約の締結】
依頼する不動産が決まったら、媒介契約を結ぶ
【STEP5.一戸建ての販売活動】
実際の販売活動は不動産会社が行うが内覧に応じる必要がある
【STEP6.一戸建ての売買契約の締結】
売却価格や引き渡し条件などが折り合ったら不動産売買契約を締結する
【STEP7.引渡しと残代金の受領】
決済日までに引越し準備を進め、残代金支払いと共に所有権を移転する
【STEP8.確定申告】
通常不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日に確定申告を行う
1-2.各ステップの必要期間目安
STEP | 内容 | 必要期間目安 |
STEP1 | 一戸建て売却の事前準備 | 2日程度 |
STEP2 | 一戸建て売却にかかる費用確認 | 2日程度 |
STEP3 | 一戸建て売却の一括査定依頼 | 1週間程度 |
STEP4 | .一戸建て売却の媒介契約の締結 | 1週間程度 |
STEP5 | 一戸建ての販売活動 | 3~6ヶ月 |
STEP6 | 一戸建ての売買契約の締結 | 購入申込書受領後 |
STEP7 | 引渡しと残代金の受領 | 1ヶ月後程度 |
STEP8 | 確定申告 | 売買の翌年 |
全体としては、事前準備から引き渡しまでスムーズに進めることができた場合5ヵ月~8ヵ月程度です。不動産の売却は相似物件の供給状況やそのエリアの需要に影響されます。
また物件の条件等によって、売出しから不動産売買契約までの期間は異なります。早ければ数ヵ月で引き渡しまで完了する場合もある一方で、1年以上かかるケースもあります。
2.STEP1.一戸建て売却の事前準備
まずは一戸建てについて復習するところから始めます。購入した時の金額は覚えていても、現在の相場とは異なります。その他不動産会社に売却を依頼する前に改めて、ご自身で建物の状態や権利関係などを確認しておくことが重要です。
2-1.おおよその売却価格相場を把握する
実際に不動産会社へ査定を依頼する前に、おおよその売却価格相場を確認します。売却理由が住み替えであれば、そもそもの目的を達成できるのか事前に判断する必要があります。
正確な査定金額までは必要ありませんので、近隣で類似している一戸建てがいくらぐらいで売りに出ているのか、広告チラシやスーモなどネット上の不動産情報などからおおよその価格を想定します。
またのちに不動産会社へ査定依頼する時にも役立ちますので、なるべく多くの情報を収集しておくとよいでしょう。
2-2.必要書類を収集する
まず登記済証(もしくは登記識別情報通知書)を確認しましょう。万が一紛失していても売却は可能ですが、司法書士に本人確認をしてもらうなど手続きが必要になります。事前に確認の上準備しておくとスムーズです。
一般的に一戸建てを売却する時にあるとよい書類は以下の通りです。もちろん無い場合もあるかと思いますが、存在の有無を確認することも大切なことです。
- 登記済証(権利証)・登記識別情報通知書
- 不動産売買契約書
- 重要事項説明書
- 建設工事請負契約書、領収書
- 建築確認済証や検査済証
- 建物図面や仕様書
- 境界確認書
- 土地の測量図
- 設備の修理記録やリフォームの契約書、領収書
- 固定資産税納税通知書
- 住宅ローンの残債を確認できる書類
土地が所有権、あるいは借地権なのかで査定額はかなり違います。思い込みで返答することがないよう、とくに権利関係は事前に確認しておくことをおすすめします。その他にもリフォームの履歴なども虚偽の内容を伝えると、損害賠償の対象ともなりかねませんので、時期についても確認し、正確な内容を伝えましょう。
不動産売買契約書や建設工事請負契約書は確定申告の際にも必要になる書類です。また不動産会社が不動産紹介図面作成時に建物図面や仕様書を元に作成しますので、事前に用意しておきましょう。
2-3.住宅ローン残債を確認する
住宅ローン残高の確認方法はいくつかあります。一番簡単なのは、金融機関から自動的に送られてくる「年末残高証明書」で確認する方法です。金融機関や借入の時期によって届く時期は多少異なりますが、10月~11月ごろに届くケースが多いようです。
他にも借入した際や金利が変更になった時などに償還予定表(返済予定表)などでも確認できます。このような書面が見当たらない場合は、金融機関に依頼すれば確認できますので、連絡してみましょう。なかにはアプリで確認できる金融機関もあります。
住宅ローンの残債が一戸建ての売却価格を上回る場合は、自己資金を充当するか住み替えローンを利用するなどの手だてが必要です。売却の話がまとまってから残債が抹消できず白紙にするような事態を招かぬよう、あらかじめ住宅ローンの残債については確認しておきましょう。
2-4.土地の権利関係を確認する
事前に土地の権利関係は確認しておきましょう。土地について自己の所有権であれば問題ありませんが、例えば親族が所有している土地に自己所有の建物を建てている場合や、借地権の土地に建物を建てている場合は、売却にあたって土地所有者の承諾が必要です。また査定額も異なります。
土地や建物が共有名義の場合は、売却について全員の同意が必要なため、事前に全員の同意を得ておきましょう。
借地権などの場合、承諾が得られれば問題ありませんが、土地の所有者が複数いる場合は全員の承諾が必要であり、承諾料が必要になるケースがあります。
また土地の境界について隣地所有者と揉めている場合は、スムーズに売却することは難しいので、境界が確定してから売却する必要があります。
2-5.建物の状態を確認する
建物について登記されているか確認しましょう。通常「固定資産税納税通知書」で確認することができます。「未登記」となっている場合や、家屋番号がない場合は未登記である可能性が高いです。
買主が住宅ローンを組む場合、未登記の建物には抵当権を設定することができないため、基本的には住宅ローンを組むことができません。現金で購入する人、もしくは一戸建てとしてではなく、土地として購入する人に限られてしまいます。
ほかにも建築基準法上、違反建築物や既存不適格の場合などは売却の際不利になるケースがあります。しかし不動産売買契約書や重要事項を確認しても分からない場合もあります。その場合は不動産会社に相談しましょう。
3.STEP2.一戸建て売却にかかる費用確認
一戸建てを売却する際には、色々な費用がかかります。ここでは代表的な7つの費用について紹介します。たとえば住宅ローンをすでに完済している場合は、住宅ローンの一括返済費用はかかりません。また抵当権の抹消が済んでいれば、抵当権抹消費用もかかりません。
実際にかかる費用なのかについても確認しながら、それぞれ算出してみてください。
- 仲介手数料
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 抵当権抹消費用
- 住宅ローンの一括返済費用
- 測量費用
- 解体費用
3-1.①仲介手数料
一戸建てに限りませんが、仲介手数料とは不動産の売却を不動産会社へ依頼し成約になった場合にかかる費用です。ちなみに不動産を購入する場合も同じくかかります。
たとえば売却について複数の不動産会社に依頼した場合、仲介手数料は成功報酬なので支払うのは1社のみです。
宅建業法で仲介手数料の上限が定められており、成約価格が400万円超の場合は「成約価格×3%+6万円」で、別途消費税がかかります。金額は売却・購入どちらの場合も同じ計算式になります。ちなみに上記計算式は400万円超の場合であり、200万円超400万円以下は「成約価格×4%+ 2万円」です。
3-2.②譲渡所得税
不動産を譲渡した際に発生したその利益に対して課される税金で、所有期間や居住用財産であるかによって税率が異なります。まず以下の通り課税譲渡所得金額を算出し、所有期間に応じた譲渡所得税をかけます。
収入金額 – ( 取得費+譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
課税譲渡所得金額×所有期間に応じた税率=譲渡所得税
売却価格と購入時の価格の差額ではなく、購入や売却にかかった経費は差し引くことができます。また居住用財産である場合はさらに、特別控除額として3,000万円をマイナスすることができます。
所有期間 | 譲渡所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合 | 15% | 5% | 基準所得税額の2.1% | 所得税15.315%+住民税5% =20.315% |
短期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の場合 | 30% | 9% | 基準所得税額の2.1% | 所得税30.63%+住民税9%=39.63% |
3-3.③印紙税
不動産売買契約書や領収書などに対して課される税金です。不動産売買契約書の額面が1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円、5,000万円超1億円以下の場合は6万円分の印紙を不動産売買契約書に貼り、消印して納めます。
万が一印紙を貼らず、印紙税を納めない場合は定められた印紙税の3倍に相当する過怠税を徴収されますのでご注意下さい。
ちなみに令和6年3月31日までに締結される不動産売買契約書などは、軽減措置により1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超え1億円以下は3万円となります。
3-4.④抵当権抹消費用
住宅ローンを借りている場合、担保として一戸建てに抵当権が設定されています。完済しても自動的に抵当権が消えるわけではないため、一戸建ての引渡し前に抵当権を抹消する必要があります
抵当権を抹消する場合にかかる税金は、登録免許税と呼ばれている税金です。不動産の数×1,000円で計算します。土地が3筆で建物が1戸の場合は4,000円となり、4,000円分の収入印紙により納めます。
自分で抵当権を抹消することもできますが、不動産の決済時に受け取った残代金で抹消する場合は、所有権移転をする際に司法書士へ依頼することになります。その場合は登録免許税のほかに司法書士への報酬が必要です。
3-5.⑤住宅ローンの一括返済費用
住宅ローンを一括返済する場合、金融機関によって多少異なりますが手数料がかかります。ここでは三井住友銀行で一括(一部)返済する場合の手数料を参考までに紹介します。
売買代金決済日に、受領した代金で住宅ローンを一括返済します。売買代金よりも住宅ローンの残債の方が多い場合は、自己資金を充当し完済します。
インターネットバンキング | 三井住友銀行の専用パソコン | 窓口 | |
全額一括返済 | 5,500円/回 | 11,000円/回 | 22,000円/回 |
一部繰り上げ返済 | 無料/回 | 5,500円/回 | 16,500円/回 |
3-6.⑥測量費用
比較的新しい測量図がある場合は必要ありませんが、前回の測量から年月が経っている時や隣地との境界が分からない場合は、土地所有者の費用負担で測量をしてから買主に引き渡す必要があります。
一般的な住宅であれば、現況測量の場合は約10万円から20万円です。測量のタイプにも種類があり、境界が不明な場合は境界測量になり、隣地所有の署名・押印までもらう場合は確定測量になります。境界を特定しても隣地所有者の同意がなければ心配です。トラブルを防ぐためにも通常は確定測量まで行います。
買主が一番安心するのも確定測量ですが、かならずしも確定測量が必要になるわけではありません。土地の状況などに応じて異なります。
境界測量は隣地所有者の同意をもらう必要があるため、作業や労力がかかるために費用が高額になります。隣地所有者が民間の場合は約40~50万円が相場ですが、隣地所有者が市区町村の場合は手続きに時間と労力がかかるため約50万円~、国道などの場合は約60万円~といわれています。
測量タイプ | 測量費相場 | 測量内容 |
現況測量 | 約10~20万円 | 現況の境界をもとに測量して面積を算出 |
境界測量 | 現況測量+追加約4万円~ | 境界の位置を調査し特定する。その上で測量士面積を算出 |
確定測量 | 約40~50万円 | 隣地の所有者に境界について同意をもらい境界を確定し その上で測量をして面積を算出する。隣接する所有者の署名押印があるタイプ |
3-7.⑦解体費用
一戸建てを建物付きで売却する場合は、解体費用はかかりません。しかし売地として売出し、売買契約のなかで「更地渡し」を条件とした場合には、売主の費用負担で解体する必要があります。
解体費用は建物の構造や大きさ、立地などで異なりますが、各構造別の相場は以下の通りです。接道する前道路が狭い場合は大きなトラックが横付けできず、運搬作業の回数を増やさなければならないなど、立地条件によって費用が高くなります。
事前に見積もりを数社に依頼し、比較することをおすすめします。
建物の構造 | 解体費用相場(坪当り) |
木造 | 約4~5万円 |
鉄骨造 | 約6~7万円 |
鉄筋コンクリート | 約6~8万円 |
4.STEP3.一戸建て売却の一括査定依頼
一戸建てについて事前に情報収集し、準備ができたら実際に一括査定を依頼します。ここからは一括査定について解説していきます。
4-1.査定を依頼する際は一括査定で
さて実際に不動産会社へ査定を依頼します。実際に不動産会社へ必要書類を持参し訪問する方法や、電話で相談することもできますが、1社ごとに査定依頼するのはかなり大変な作業になります。
不動産査定は一括査定で依頼するのが便利です。一度の申込みで複数の不動会社から査定額を受け取ることができます。また査定額は不動産会社によって多少ばらつきがありますので、必ず複数の会社に相談するようにしましょう。
4-2.仲介を依頼する会社の選定ポイント
査定を依頼した不動産会社の中から、実際に仲介を依頼する会社を選定します。不動産会社はそれぞれ特色や強みが異なります。一戸建てを売却する場合は、一戸建ての仲介を得意とする仲介業者に依頼することをおすすめします。得意かどうかは販売実績から判断することができます。
つい査定額で比較しがちですが、販売計画がきちんと練られていることや、誠実な対応をしてくれる会社であることが重要です。提案内容の丁寧さで判断できます。その他口コミ評価やコメントも参考になりますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
5.STEP4.一戸建て売却の媒介契約の締結
一戸建ての売却について依頼する不動産会社が決まったら、実際に媒介契約を結びます。媒介の種類と必要書類について解説していきます。
5-1.媒介契約の種類
不動産の 売却を依頼する場合、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には3種類ありますが、どれを選んでも不動産会社へ支払う仲介手数料は同じです。
ここでは一般媒介契約と専任媒介契約のメリットとデメリットについて紹介します。
一般媒介契約
複数の不動産会社に仲介を依頼することができるのが一番のメリットです。しかし仲介手数料は成功報酬のため、支払うのは1社のみです。
デメリットは不動産会社内での優先順位が下がることです。一般媒介の物件は他社も仲介しているので後回しになりかねません。
専任媒介契約
仲介を依頼できるのは1社のみです。不動産会社は成約できれば必ず仲介手数料を手にできるので、社内でも優先して広告活動を行います。
1社だけだと広く一般に情報が知られないような気がしますが、不動産会社間で情報共有する「不動産流通機構」に物件情報を登録する義務があるため、他社であっても売りに出ている情報は知ることになります。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
契約できる不動産会社 | 1社のみ | 1社のみ | 複数の不動産会社と契約可能 |
買主を自己発見した場合 | 契約する場合、不動産会社が必ず仲介する | 不動産会社を介する必要なく、買主と直接契約できる | 不動産会社を介する必要なく、買主と直接契約できる |
販売状況の報告義務 | 7日に1回以上の報告義務あり | 14日に1回以上の報告義務あり | 定めなし |
不動産流通機構への登録 | 5日以内に登録の義務あり | 7日以内に登録の義務あり | 登録の義務は無し(依頼は可能) |
5-2.媒介契約時に必要な書類
媒介契約を結ぶ不動産会社が決まったら、実際に媒介契約を結びます。契約時に必要な書類は以下の通りです。
- 印鑑(実印である必要ななし)
- 本人確認書類(運転免許証やパスポート)
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 住宅ローンの残債を確認できる種類
- 建物の平面図や間取図
- 購入時の不動産売買契約書・重要事項説明書
すべて揃えることができればスムーズに媒介契約書を作成することができますが、もちろん無くても媒介契約を結ぶことはできます。少なくとも印鑑と本人確認書類、登記済証があれば媒介契約は可能です。
6.STEP5.一戸建ての販売活動
すでに査定済みですが、査定額よりも高く売れる可能性や価格交渉される可能性も考慮し、売り出し価格を設定します。また媒介契約書には媒介価格や一戸建ての住所、面積などが記載されます。そして媒介契約書に署名・捺印したら販売活動が始まります。
6-1.内覧準備
販売活動は主に不動産会社が進めます。売却を依頼した後に大切なのは室内や庭先を綺麗な状態に保つことです。とくに室内が雑然としているとイメージがよくありません。なるべく整理整頓することを心がけましょう。
週末には急な内見希望が入ることがあります。週末の2日間ずっと在宅する必要はありませんが、午前と午後のどちらかは内見に応じられるとよいでしょう。実際内見にいらっしゃった方から質問があった場合には明るく返答できるとよいですが、アピールのし過ぎは禁物です。
6-2.媒介報告(販売活動状況報告)の確認
販売活動は不動産会社に任せるものですが、無関心なのはよくありません。専任媒介契約の場合は不動産会社から販売活動について報告義務があります。
内容としては、広告に対しての反響や問い合わせ件数、内見件数などです。問い合わせ件数が減っている場合などは、近隣の成約事例や類似物件の有無などを聞いてみるとよいでしょう。値下げを検討するタイミングかもしれません。
なるべく担当者とは連絡を取りながら、コミュニケーションを取ることをおすすめします。
6-3.申込み対応
購入希望者は不動産会社を介して、購入申込書を提出します。名称は不動産会社によって多少異なりますが、不動産購入申込書などと記載されていることが多いでしょう。
書面には購入希望額や住宅ローンの借入の有無、借入予定額、引き渡し希望日などが記載されており、購入希望者の署名・捺印があります。(署名のみの場合もあります)
売りに出している金額よりも低い金額を提示されることもありますが、そのまま受け入れるか、ここまでなら値下げに応じるというラインを提示するなどすり合わせをします。
7.STEP6.一戸建ての売買契約の締結
売買価格や引渡し条件に折り合いがついたら、次は一戸建ての売買契約締結です。契約までの流れや必要書類、契約後の手続きについて紹介します。
7-1.売買契約に必要な書類・費用
不動産購入申込書を受領した後、契約までは1週間程度しか時間がないことが多いので、事前に準備しておくとよいでしょう。
契約に必要な書類と費用は以下の通りです。
- 実印
- 印鑑証明書(発行後3ヵ月以内のもの)
- 住民票
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 登記済証・もしくは登記識別情報通知書
- 固定資産税納税通知書
- 仲介手数料の半金(不動産会社から提示された金額)
- 契約書に貼付する印紙(売買契約の金額により異なります)
代理人が契約する場合は合わせて以下の書類が必要です。
- 委任状(売主の署名と実印による捺印)
- 代理人の印鑑
- 代理人の本人確認書類
7-2.売買契約の流れ
不動産売買契約は売主と買主、それぞれの不動産会社の担当者が揃って行います。場所は売主・買主含めて相談し、どちらかの不動産会社で行います。
大きな流れは以下の通りで、1~2時間程度かかります。重要事項説明や不動産売買契約書の読み合わせは宅建士が行いますが、付帯設備票や物件状況報告書、設備票については必要に応じて説明できると間違いがないでしょう。
- 登記済証や本人確認書類などの確認
- 重要事項説明書読み合わせ
- 売買契約書・付帯設備表・物件状況報告書・設備表読み合わせ
- 売買契約締結(署名・押印)
- 手付金授受
- 仲介手数料(半金)支払い
7-3.売買契約後の手続き
売買契約締結後、測量をする必要がある場合は測量を実施します。確定測量の場合は隣地所有者が署名・捺印する必要があるため、手続きに時間がかかります。なるべく早く着手しましょう。
住宅ローンの残債がある場合は、金融機関に決済予定日を伝え事前手続きを進めておきます。また決済日に受領する残代金で足りない場合は自己資金を用意しておきます。
その他決済日までにすべきことは以下の通りです。
- 荷造り・引越会社へ引越し作業依頼
- 粗大ごみ回収の申込み
- 郵送物の転送依頼
- 役所へ転出届
- 電気・ガス・水道などの解約
8.STEP7.引渡しと残代金の受領
いよいよ引渡しと残代金の受領です。実際の流れと必要書類を紹介します。事前に準備をして慌てないようにしたいものです。
8-1.引渡し時に必要な書類
決済日に残代金を受領し、住宅ローンが残っている場合は完済した上で一戸建てを引渡します。書類などに不備があると、所有権移転登記を行えない可能性もあるので、事前に不備がないよう確認しておきましょう。
残代金授受の他に固定資産税の精算も行います。1月1日から決済日前日までが売主、決済日から12月31日までが買主の負担として算出します。
- 実印
- 通帳(住宅ローン返済口座)・銀行印
- 印鑑証明書(発行後3ヵ月以内のもの)
- 住民票
- 登記済証・または登記識別情報通知
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 固定資産評価証明書
- 司法書士への委任状
- 鍵一式
- 建築確認通知書・検査済証
- 設備などの取扱説明書や保証書
- 境界確認書や測量図
- 仲介手数料半金
- 登記費用・司法書士への報酬
8-2.引渡しの流れ
決済日は売主・買主・双方の不動産会社の担当者、司法書士が揃って行います。場所は買主が住宅ローンを利用する場合はその金融機関、もしくはどちらかの不動産会社になります。決済日の金融機関の混み具合にもよりますが、全体で1時間半程度かかります。
引き渡しの流れは以下の通りです。
- 司法書士による登記済証や本人確認書類の確認
- 残代金の授受
- 残代金(自己資金)により住宅ローンの完済
- 固定資産税等の精算
- 鍵の引き渡し
- 設備などの取扱説明書や保証書、建築確認通知書・検査済証などの引渡し
- 司法書士へ登記費用・報酬の支払い
- 銀行へ抵当権抹消等の手数料支払い
- 不動産会社へ仲介手数料半金支払い
解散後、司法書士が所有権移転登記のために必要書類を持参し法務局へ出向きます。ここまでが決済日の流れです。
9.STEP8.確定申告
確定申告は不動産を売却することによって譲渡益が発生した時だけでなく、売却で損失が発生した場合も特例を受けるためには必要な手続きになります。
譲渡益が出た場合は居住用財産であれば「3,000万円の特別控除」により節税をすることができ、長期間所有していた財産であれば軽減税率になる特例があります。
譲渡による損失が出た場合、居住用財産であれば損益通算や繰越控除を受けることができます。不動産を売却した場合はその翌年に確定申告することによりメリットがありますので、忘れずに申告しましょう。
なお譲渡益が発生しているのに確定申告をしないと、延滞税重加算税が課されることになりますので、ご注意下さい。
10.一戸建て売却成功の3つのコツ
ここからは一戸建ての売却を成功させる3つのコツを紹介します。ちょっとしたポイントをおさえることにより、売却額がアップするかもしれません。ぜひ実践してみてください。
10-1.①最新の売却相場を把握する
前半でも紹介していますが、最新の相場を把握してから不動産会社に査定依頼するようにしましょう。近年不動産の相場が上昇傾向にあり、エリアによっては不動産会社も想定しない価格で売却できる可能性があります。
不動産会社の査定額を鵜呑みにせず、近隣の相場を参考にしながら売買価格を設定しましょう。査定額よりも高い金額で売却できる可能性があります。また査定額よりも近隣の相場が安いと感じた時には、価格交渉に応じる心の準備もできます。
10-2.②高く売れるセールスポイントを整理する
不動産会社の担当者はプロですが、住んでいるからこそ分かるセールスポイントもあります。セールスポイントになりそうなことは、ぜひ担当者に伝えておきましょう。物件紹介時にお客様に伝えることができれば、内見につながりやすくなります。また売買価格にも納得できるポイントであれば、購入希望価格も高くなる可能性があります。
例えば「建築時にグレードが高い材料を選択している」や「予算をかけてリフォームをしている」など価格に直結しそうなポイント以外にも、「深夜まで営業しているスーパーがあり便利だ」など生活に直結するメリットも有効です。
10-3.③内覧では購入者に具体的にイメージさせる
生活するイメージが湧かないと、購入にはつながりません。内見の際に過度なアピールは禁物ですが、ちょっとした会話から印象がよくなることがあります。
例えば「近くの公園の桜が綺麗で、春にはお花見が楽しめる」とか、「オシャレな飲食店やケーキ屋さんが多い」など生活が楽しくなるような情報がよいでしょう。他にも通勤・通学時間のイメージや学区についてなど、具体的な情報を提供できるとプラスに働きます。
11.一戸建て売却に失敗しないための5つの注意点
次は一戸建ての売却を失敗しないために、おさえておきたい5つの注意点を紹介します。こんなはずではなかったと後悔しないためにも大切なポイントですので、ぜひ参考にしてください。
11-1.①余裕のある売却スケジュールを立てる
売却したい時期が明確に決まっている場合は、早めにスケジュールを立てて無理のない計画を立てましょう。なかなか買い手がつかず焦ってしまうと、どうしても売却価格を安くしなければならなくなります。
一戸建ての条件や類似物件の供給などによって売却までの期間は異なりますが、売却までに3ヵ月から6ヵ月程度かかることが多く、場合によっては1年以上かかることも考えられます。売却は余裕をもって計画することをおすすめします。
11-2.②希望売却価格よりも売り出し価格を高く設定する
売り出し価格に対し、ほぼ価格交渉が入ると思った方がよいでしょう。最低でもこの金額で売りたいという金額があれば、ある程度上乗せした金額で売りに出す必要があります。住宅ローンの残債額や諸経費を計算した上で、不動産会社の担当者とも相談し、売り出し価格を設定しましょう。
11-3.③契約不適合責任にならないよう事前準備する
契約不適合責任とは、引渡した物件が種類・品質・数量などの契約内容と適合していない場合に、売主が買主に対し負うべき責任のことを指します。例えば雨漏りやシロアリの害などがそれにあたります。
個人が中古住宅を売却する場合、いつまでもこの責任を負うのは重すぎるため、契約不適合責任の責任期間を「2カ月または3カ月」とする特約を設けるのが一般的です。また買主との合意があれば、「契約不適合責任を一切負わない」という特約をつけることも可能です。
11-4.④シロアリや雨漏りなどの見えづらい劣化被害を確認しておく
前述の通りシロアリや雨漏りについて、責任を負わないという特約をつけることも可能です。しかしその特約をつけることにより、買い手が付きにくい可能性があります。事前に劣化がないことが確認できれば、建物の価値を価格に反映することができます。また費用はかかりますが建物に劣化や不具合がないか調査できると安心です。
国土交通省の定める講習を終了した建築士が、第三者の立場で住宅の状況を調査する「建物状況調査(インスペクション)」を利用するのも一つの方法でしょう。
11-5.⑤査定額の高さだけで不動産会社を選定しない
一戸建てを一括査定依頼をした際に、査定額が一番高い不動産会社に依頼すれば高く売却できる訳ではありません。一戸建ての販売実績が少ないために、査定額が正確に出せていない可能性もありますし、物件を受けたいという気持ちから高めに提案している可能性もあります。
査定額だけで不動産会社を決めるのは危険です。査定額を出した根拠や、販売計画などしっかり説明できる不動産会社を選ぶことが、結果高く売却できることにつながるでしょう。
12.一戸建て売却に関するよくある質問
最後に一戸建ての売却に関する、よくある質問に対してお答えしていきます。
12-1.一戸建てを売却して損をしないために重要なことは?
一戸建てを売却して損をしたと感じる人は、売却にかかる経費を事前に計算していないため、資金計画が上手くいかないケースが多いようです。
売却には色々な経費が掛かることを把握し、住宅ローンの残債額を事前に確認することによって、売却希望価格を設定することができます。とくに買い替えをする場合は、綿密な資金計画を立てる必要があります。
12-2.売却前に物件をリフォームするべき?しないほうがいい?
売却する際に見栄えをよくしたいと考えがちですが、費用をかけてリフォームすることはおすすめしません。内装の好みは人それぞれです。せっかく綺麗にしても、好みが異なれば逆効果の可能性もあります。また費用を上乗せするぐらいであれば、少しでも安い価格で売り出したほうが、早く売却できるかもしれません。
見栄えが気になる場合は、いつでも内見に応じられるように清潔な状態を保ち、換気を心がけることをおすすめします。
12-3.相続前後どちらに売却すべき?
相続前に売却するメリットは、遺産分割がスムーズに行えることです。現金であれば相続人が多くても、遺産分割するのは簡単です。一方不動産で相続すると、売却を希望する人と希望しない人で意見が分かれた場合、売却を進めることができません。相続人が多い場合は、相続前に売却する方がスムーズでしょう。
相続後に売却する一番のメリットは、現金よりも不動産で相続した方が相続税が安いことでしょう。不動産は固定資産税評価額で評価されるため、通常「時価」よりも安いため、相続税も安くなります。相続人が単独である場合や、売却することで意見がまとまっている場合は、相続後に売却することをおすすめします。
一戸建て売却の流れを把握して後悔なく売却しよう
一戸建ての売却を成功させるには、事前の準備が重要です。いつのまにか安い金額で売却することになってしまったと後悔しないためにも、不動産会社に査定を依頼する前に、類似物件の相場と売却にかかる経費を確認しておきましょう。また余裕をもって売却をすることも重要です。
査定額は不動産会社によって、かなり違うこともあります。複数の不動産会社の査定額を確認した上で、売却価格を設定することをおすすめします。しかし一社ごとに査定依頼するのは大変な作業です。ぜひ簡単・便利な一括査定ができる「おうちクラベル」をご利用ください。