土地売買を個人で成功させる3つのポイント!流れやメリット・デメリットについても解説

土地売買は一般的には不動産会社に仲介を依頼するケースが多いですが、個人間で行われる可能性もあります。個人で土地の売買を行うときには、基本的な流れを押さえたうえで成功のポイントも把握しておきましょう。

目次

そもそも土地売買って個人でできるの?

土地の売買は個人で行うことが可能であり、法律上も特に問題はありません。売主と買主の双方で、売買条件や金額がまとまれば自由に取引を行えます。不動産会社に仲介を依頼すると、売買契約が成立したときに仲介手数料が必要ですが、個人間の場合では仲介手数料がかからないというメリットがあります。

一方で、売買に関するすべての手続きを自分で行わなければならないため、ミスやトラブルが発生してしまう恐れもあるでしょう。個人間で土地の売買を行うときは、不動産についての正しい知識を身につけるか、家族や親族など親しい間柄で行うほうが無難です。

また、取引を行う相手がすでに決まっており、長期にわたって信頼関係が維持されているのであれば個人間取引を検討するケースもあるでしょう。たとえば、貸している土地を借主に売却したり、所有している土地を近隣の住民に売却したりする場合です。

いずれにしても、円滑にコミュニケーションが取れる相手でなければ、土地の売買でリスクを抱えてしまうこともあるため注意が必要だといえます。

土地売却を個人で行うときの6つの流れ

土地の売却を個人で行うときは、基本的な流れを押さえておくことが肝心です。ここでは、土地を個人で売却するときの流れを詳しく解説します。

流れ①土地の売却価格の事前調査

所有する土地の売却を考えるときは、どれくらいの金額で売ることができるのかを把握するために、相場を調べておくことが重要です。相場を把握しておかなければ、いくらで売るべきか曖昧になってしまい、相手にとって有利な方向に話し合いが進む恐れがあります。

土地の価格について手軽に調べる方法としては、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」を利用してみると良いでしょう。過去に実際の取引が行われた金額を把握できるため、類似した取引の事例をチェックすることで大まかな価格を調べられます。

不動産取引については、不動産流通機構が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション」でも調べることはできますが、こちらは戸建てやマンションの相場を把握するのに向いています。土地価格については土地総合情報システムのほうが優れているため、積極的に活用してみましょう。

流れ②売却するために必要になる書類を準備

土地の売却をスムーズに進めるには、必要となる書類をあらかじめ準備しておく必要があります。多くの書類が必要になるため、手元にある書類の確認や不足する書類をどこから取り寄せれば良いかを把握しておくことが大事です。

不動産会社に仲介を依頼するときは担当者が必要書類を教えてくれますが、個人間取引においてはすべて自分でそろえなければなりません。土地の売却で必要な書類としては、次のものが挙げられます。

必要書類 ポイント 取得場所
登記簿謄本 不動産の権利関係を示す書類で、建物がある場合は土地と建物の両方が必要 法務局
登記済証
(登記識別情報通知書)
一般的に権利証と呼ばれるものであり、土地を取得した際に取得済み 登記を行った際に取得済み
公図 土地の境界や建物の位置関係などを示す書類 法務局
確定測量図 土地の境界を確定した測量図 確定測量図がない場合は、土地家屋調査士に依頼して確定測量を行う必要がある
固定資産評価証明書 土地や建物といった固定資産の評価額を示す書類 自治体の窓口
不動産を取得したときの書類 売買契約書や重要事項説明書など 手元になければ、購入時の不動産会社に問い合わせる
そのほかの書類 地盤調査や耐震診断に関する書類など 必要に応じて用意する

書類が手元にない場合は、取り寄せるまでに時間がかかるものもあるため、早めに準備を進める必要があります。また、手元にある書類についても内容に誤りがないかなどを1つひとつチェックしておきましょう。

流れ➂売却価格を決定する

個人間で土地の取引を行うときは、自分で売却価格を設定する必要があります。買主が値下げ交渉を行ってくる前提で、相場よりも少し高めの金額を設定しておくと良いでしょう。

どの程度までなら値下げに応じるかを決めておけば、実際に取引を行うときにスムーズに話し合いを進めることができるはずです。納得できる価格で売却するためにも、相場についてはきちんと把握しておきましょう。

流れ④買主を検討する

個人で土地の売却を行うときには、買主を自分で見つける必要があります。やみくもに売却する相手を探そうとしても、なかなか買主を見つけることはできないばかりか、思いがけないトラブルに巻き込まれる恐れもあるため注意が必要です。

基本的には、親族や親しい友人などすでに相手のことをよく知っている関係から探していくほうが良いでしょう。広く買主を見つけたい場合は、個人売買の専用アプリを利用してみるのも1つの方法です。

また、いつまでに売却したいかを決めておくことで、焦らずに買主を探せます。安心して取引を行える相手がどのような人であるかを一度整理しておきましょう。

流れ⑤買主決定後は価格交渉

土地を売却する買主が見つかったら、次は売却価格の交渉を行うための準備を整える必要があります。取引を行う前に重要事項説明書を作成しておき、契約条件や金額などを買主とすり合わせます。

相場をもとに売却価格を交渉し、納得がいくまで十分に話し合いを行うようにしましょう。土地に何らかの不具合があるときは事前に説明を行ったうえで、売買契約書に盛り込んでおく必要があります。

売買契約書の作成も自ら行わなければならないため、じっくりと時間をかけて内容に誤りがないかをチェックしておきましょう。

流れ⑥土地の引き渡しと決済

売買契約書で定めた引き渡し日に代金の決済を行い、土地を買主に引き渡します。引き渡しを行う前に想定されることは、あらかじめ買主に対して説明をしておきましょう。

たとえば、近隣住民とのトラブルがあったり、土地の状態に不具合があったりするときにはどのようなアフターフォローを行うのかを買主に示しておく必要があります。代金の振り込みを確認し、買主に引き継ぐ書類を渡したら土地の売却手続きは完了です。

土地買取を個人で行うときの5つの流れ

土地を個人で買い取る場合についても見ていきましょう。ここでは、5つのステップに分けて解説します。

流れ①自分が欲しい土地のリサーチ

土地を購入するときは、まず欲しい土地を見つける必要があります。知り合いに尋ねたり、インターネットを通じて探したりしてみましょう。

気になる土地が見つかっても、すぐに購入しようとするのではなく、どうして売れ残っているのかをチェックすることが重要です。売れない理由としては、過疎地に位置していたり周辺環境が良くなかったりするケースが挙げられます。

また、土地の形状があまり良くなく、なかなか買主が見つからないといった可能性もあるでしょう。どのような目的で土地を利用したいかによって、一見使い勝手が悪く見える土地であっても活用の仕方はあります。

さまざまな可能性を考えながらリサーチを行い、自分に合った土地を見つけていくことが大切です。

流れ②土地に合った価格であるか調べる

土地の購入を検討するときは、土地の利用価値に見合った価格であるかをチェックしましょう。国土交通省の土地総合情報システムなどを利用して、類似した土地の取引価格をあらかじめ確認しておくと安心です。

相場を的確に把握していれば、どの程度の値引きが行えるかも判断しやすくなります。値引きの幅としては、10~20%程度が無難だといえます。

相場から大きく外れた価格を相手に提示しても、現実的には交渉をスムーズに進められないため、柔軟な姿勢で対応していくことが大切です。何か不明点があれば売主に尋ねるなどして、適正な価格を探ってみましょう。

流れ➂購入意思を示す

土地の価格交渉を行う際は、購入の意思があることを売主にしっかりと伝えていくことが大切です。購入の意思がないと判断されてしまえば、売主に不安を抱かせることにもなり、思うように交渉が進まなくなるでしょう。

購入する意思があると伝えたうえで、いくらまでなら値引きに応じてもらえるのかを話し合ってみることが大切です。あくまで誠実な姿勢で接することを心がけて、双方にとってメリットを感じられる取引を心がけることが重要だといえます。

流れ④価格交渉を行って契約へ

土地の相場を把握したうえで売主と価格交渉を行い、条件面や金額で合意を得られたならば、売買契約を締結する段階へと進みます。契約を行うにあたっては売買契約書が必要であり、法律面で問題がないかを入念にチェックしておく必要があります。

購入する土地に不具合が見つかった場合に、どのような補償が受けられるのかを売主に尋ねておくことも大切です。民法では契約不適合責任というルールが定められており、契約した内容と異なる欠陥が見つかった場合は、売主に対して返金などの補償を求めることができます。

ただし、法律的な内容を読み解くには専門的な知識も必要になるため、不安な場合は専門家にチェックしてもらうほうが良いでしょう。

流れ⑤土地の引き渡しと決済

売買契約書を締結したら、引き渡し日に代金の決済を行います。代金の決済方法などを事前に確認して、手続きにミスがないように注意しましょう。

また、取引が完了した後にどのようなアフターフォローを受けられるのかを確認しておくことも必要です。引き渡しの際に必要書類を受け取ったら、すみやかに所有権移転の登記を行い、土地の購入手続きが完了します。

個人で行う土地売買の3つのメリット

土地の売買を個人で行うのは手間や時間がかかる一方で、以下のようなメリットもあります。

  • 不動産会社に支払う費用を節約できる
  • 取引できる範囲が広がる
  • 取引のスケジュールをすべて自分で決められる

各メリットについて、さらに詳しく解説します。

メリット①不動産会社に支払う費用を節約できる

不動産会社に仲介業務を依頼した場合、売買契約が成立すると仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は宅建業法で上限額が決められており、取引額ごとにまとめると次のとおりです。

売却価格 仲介手数料の上限
200万円以下 売却価格×5%(税別)
200万円超400万円以下 売却価格×4%+2万円(税別)
400万円超 売却価格×3%+6万円(税別)

上記のように売却価格によって仲介手数料の金額は異なり、土地の売買を行うときの費用としては大きな割合を占めます。しかし、個人間の取引であれば不動産会社を介さないため、仲介手数料を支払う必要がなく費用面で大きな節約ができるといえるでしょう。

メリット②取引できる範囲が広がる

個人間取引であれば、土地を売るときも買うときも自由な取引が行えます。不動産会社に仲介業務を依頼したときは、土地の売買については不動産会社が主体となって取り組みます。

売買活動に伴う時間や手間がかからない分、思うような取引が行えない場合もあるでしょう。また、不動産会社選びに失敗してしまうと損をしてしまう恐れもあります。

個人間取引の場合は特に制約があるわけではないため、希望する取引を進められるはずです。個人で土地の売買を行うメリットを理解したうえで、前向きに取引を進めてみましょう。

メリット➂取引のスケジュールをすべて自分で決められる

個人間の取引であれば、スケジュールを自由に設定できる点もメリットです。不動産会社に仲介業務を依頼するときは、自分の都合だけを優先させて取引を行うのは難しいでしょう。

土地を売却する場合も、購入する場合もスケジュールの調整に悩んでしまうこともあります。個人間取引であれば、どのような日程で取引を進めていくかを自由に決められるため、気持ちの面でラクになるでしょう。

個人で行う土地売買の4つのデメリット

個人で土地の売買を行うときは、少なからずデメリットもあります。具体的なものとして、以下のような点が挙げられるでしょう。

  • 買い手を自分で見つけなくてはいけない
  • 責任はすべて自分にかかる
  • 手間と時間がかかる
  • 金融機関の信頼を得づらい

それぞれのデメリットについて、さらに詳しく解説します。

デメリット①買い手を自分で見つけなくてはいけない

個人間取引においては自分で買主を見つけなければならないため、不動産会社に仲介業務を依頼する場合と比べて、取引完了までに時間がかかる部分があります。すでに取引相手を見つけている状態で売買を行うのであればスムーズですが、いちから取引相手を探すときには多くの時間を必要とするでしょう。

不動産取引は一般的には4~6ヶ月程度で取引が完了しますが、個人間取引の場合はそれ以上の時間がかかることも考慮しておく必要性もあります。できるだけ早く取引相手を見つけるには、インターネットを活用するなど効率的に行動していくことが大切です。

デメリット②責任はすべて自分にかかる

個人間取引の場合は、思いがけないトラブルに発展する恐れがあります。特に売買契約書など書類作成時のミスが、後からトラブルを招いてしまうこともあるでしょう。

できるだけリスクを抑えて取引を行うには、不動産に関する専門的な知識を得るとともに、分からないことを専門家に尋ねられる体制を整えておくほうが良いといえます。また、取引相手との無用なトラブルを回避するには、売買契約書の内容をしっかりとすり合わせておく必要があります。

個人で土地の売買を行うときには、取引に関するすべての責任が自分にかかってくることを忘れないようにしましょう。

デメリット➂手間と時間がかかる

個人間の取引においては、売買契約書の作成や取引相手との日程調整、さまざまな事項の確認などを自分で行わなければなりません。不動産会社に仲介業務を依頼した場合はすべての手続きを任せることができますが、個人間取引では自分で取り組まなければならないため、自ずと手間や時間がかかります。

不動産に関する知識を身につけるにも、専門的な内容が多くあるため、それなりに時間をかける必要があるでしょう。困ったときにはすぐに相談できる専門家のサポートを受けるなどして、できるだけ効率的に取引が行える環境を整えることが大切です。

デメリット④金融機関の信頼を得づらい

個人での取引を行う場合は、金融機関に対する信頼を得づらい部分があるため、住宅ローンの審査などで不利になることもあるでしょう。また、住宅ローンの審査では重要事項説明書の提出が必要になりますが、書類の作成は宅地建物取引士でなければ行えません。

さらに、融資を受けられたとしても希望する金額を借りられない場合もあるため、資金面でどのように対応すべきかを考えておく必要があるでしょう。物件にもよりますが、土地の売買においては多くの資金が必要になることもあるため、資金計画を入念に練っておくことが大切です。

土地売買を個人で成功させる3つのポイント

土地の売買を個人で取り組むときは、スムーズに取引が行えるように準備を整えておく必要があります。以下に掲げる3つのポイントを特に重視しておくことが大切です。

  • 専門家へ相談する
  • 契約不適合責任について理解しておく
  • 不動産一括査定サイトを活用する

それぞれのポイントについて、さらに詳しく解説します。

ポイント①専門家へ相談する

売買契約書や重要事項説明書などの書類作成は、専門家に任せることで負担を軽減できます。売買契約の成立に至るまでには、多くの書類が必要になるため、多くの手間や時間がかかる点をあらかじめ把握しておきましょう。

自分で作成することが可能な場合であっても、第三者からアドバイスを受けることで未然に間違いが起こるのを防げるはずです。個人間取引であるからこそ、何でも自分だけで行おうとするのではなく、必要に応じて専門家の意見を聞くように心がけてみましょう。

ポイント②契約不適合責任について理解しておく

契約不適合責任とは民法で定められているルールであり、売買契約書に記載されていない不具合が見つかったときに、取引相手が補償や契約解除を求めることができる決まりです。たとえば、引き渡した土地の地下から取引時に把握していなかったガレキが見つかったという事例などもあります。

あらかじめ土地の状況を細かく把握したうえで、売買契約書にも不具合を記載し、双方の合意があれば契約不適合責任を問われることはありません。取引を行う際は契約不適合責任の内容を十分に理解したうえで、取引が終わった後もトラブルが起こらないかをチェックしておきましょう。

ポイント➂不動産一括査定サイトを活用する

不動産の一括査定サイトを上手に活用すれば、土地の売買価格を適正な水準に設定することに役立てられます。相場をきちんと理解したうえで、取引を行う価格を設定すれば、円滑に土地の売買を進められるでしょう。

不動産の一括査定サイトは複数ありますが、誰でも無料で利用できるため、実際に使ってみて自分に合ったものを選んでみてください。物件情報などを入力フォームに沿って打ち込めば、一度に複数の不動産会社に査定を依頼することができます。

単に査定額を知るだけでなく、査定結果には売り出し価格の目安や類似した取引事例などが記載されているため、個人で土地の売買を行うときにも目安となるでしょう。また、個人間取引が思うように進められないと感じたときは、査定を依頼した不動産会社に相談をしてみるのも1つの方法です。

個人間取引のメリットを活かしつつ、必要に応じてほかの方法も検討してみることで、スムーズに土地の売買を進められるでしょう。

不動産に関する知識を身につけて円滑に土地の売却を行おう

土地売買は個人でも行うことが可能であり、法律上は特に問題はありません。ただし、不動産会社に仲介を依頼する場合と異なり、すべての手続きを自分で行う必要があるため時間や手間がかかる点を押さえておきましょう。

売却をするときの基本的な流れや必要書類、誰に売却をするかなどを1つひとつ確認しておくことが大切です。インターネットを通じて類似する取引事例などを把握し、相場感覚を養っておくことも重要だといえます。

Q.土地売買って個人で本当にできるの?
A.結論、土地売買は個人で行うこともできます。売買契約書を作成せず口約束で引き渡したとしても法律的に問題はありません。しかし、トラブルになる可能性が高いため、書類は作成するようにしましょう!

Q.土地売買の流れって買主と売主で異なるのですか?
A.買主と売主の場合で流れが異なります。また、個人で行う場合は不動産知識があることが前提になるため、あらかじめ勉強しておくことが大切です。

まずはお気軽にご相談ください!