土地が売れない5つの理由と対策方法11選

土地は所有しているだけでも税金がかかってしまうもの。売りたいのになかなか売れないときには、その原因をきちんと探ることが大切です。
この記事では、なかなか売れない土地を所有する方に向けて、土地が売れない理由と具体的な対策方法を解説します。ここで取り上げた内容から原因を検討し、適切な対策を試みてください。

土地が売れない5つの理由

土地を売り出していてもなかなか売却にまで至らないときには、その原因を明確にすることが大切です。そもそもなぜ土地が売れないのにはどのような理由が考えられるのでしょうか。

土地が売れない理由としては、主に以下の5つが考えられます。

  • 相場よりも高く売り出しているから
  • 不動産会社が積極的ではないから
  • 土地自体に問題があるから
  • 土地が需要の少ない立地にあるから
  • 境界が確定していないから

ここでは、それぞれについて詳しく解説していきます。

理由①相場よりも高く売り出しているから

土地の買い手がみつからないときには、「適切な価格設定ができていない」というケースが考えられます。本来、土地には定価がなく、売り出し価格自体は売主が自由に決められます。

そのため、利益を出すためには、相場より高い価格設定を行うことも不可能ではありません。しかし、あまりにも高い売り出し価格を設定してしまい、なかなか購入希望者が現れずに時間が経過してしまうケースも多いものです。

なぜなら、土地の購入者は、事前にきちんと相場を調べたうえで物件を探すケースがほとんどだからです。相場から逸脱した値付けをすれば、購入希望者には条件に見合わない価格設定であることがわかってしまうため、売れ残る原因となりえます。

理由②不動産会社が原因の場合も

価格設定が適切であるにもかかわらず、それでも売れないというときには、土地の売却を依頼している不動産会社に原因があることもあります。

よくあるケースとしては、「そのエリアの案件が得意でない会社に依頼してしまった」というパターンがあげられます。土地の所在エリアによっては、適した売り出し方やターゲットなどに違いがあるため、その地域に詳しくない不動産会社では適切な戦略を立てることができません。

また、「媒介契約の選択が適切でない」というケースも考えられます。不動産売却の媒介契約には、後ほど詳しく解説する3つの種類があり、それぞれ向いている条件は異なります。同じ不動産会社でも、契約方法によって成果に違いが生まれることもあることから、注意が必要です。

それ以外の原因としては、「担当者との相性が悪く、コミュニケーション不足に陥っている」といったケースもあります。いつまでにどのような形で売りたいのか、いくらまでなら価格を妥協できるかなどについて、細かな打ち合わせが行えていないために売却のチャンスを逃してしまうことも多いです。

理由③土地自体に問題があるから

売りたい土地自体の条件や状態によって、売却が難しくなってしまうこともあります。具体的に考えられるのは、以下のようなケースです。

  • 地盤が軟弱になっているおそれがある土地
  • 土壌汚染のおそれがある土地
  • 再建築不可の土地
  • 土地の形が細長いなどいびつな不整形地
  • 周辺よりも低い土地

地盤が軟弱であったり、汚染の可能性があったりするときには、そのままでは土地の活用が難しくなってしまいます。こうしたケースでは、すぐに売却を検討するよりも、地盤調査や改良などで問題を解消することが先決です。

「再建築不可の土地」とは、今ある建物を取り壊した後に、新たに建物の建て直しができない土地のことです。例えば、建築基準法の接道義務を果たしていない土地などが挙げられます。接道義務を果たすまでは建物を建てられないため、土地としての価値は通常よりも著しく低くなってしまいます。

また、特殊な形状をした不整形地や周辺よりも低い位置にある土地は、宅地などでの活用が難しいため、相場通りの価格設定で買い手をみつけるのも困難なケースが多いです。

理由④土地が需要の少ない立地にあるから

土地自体の条件とともに重要となるのが、立地や周辺環境に関するポイントです。需要のない立地に土地がある場合は、広さなどの条件に恵まれていても、売却が難航してしまうことがあります。

需要が集まりやすい立地条件としてあげられるのは、以下のような項目です。

需要のある立地条件

  • 交通アクセスの利便性が良い
  • 治安が良い
  • スーパーや病院などの周辺施設が充実している
  • 街並みがきれい

交通や生活の利便性が高いなど、住環境が整っている土地は宅地としての需要が高く、広く購入希望者を募りやすい面があります。

一方、需要が低いとされる立地条件には以下のような項目があげられます。

需要が低い立地条件

  • 通勤や通学に不便な場所
  • 都市部から離れた生活に不便な土地
  • 階段でしか上がれない高台の土地
  • 敬遠されやすい施設が周辺にある

「駅までの距離が遠い」「最寄り駅が不便」など、交通利便性や生活利便性が低い土地は、宅地としての需要が低く、売却の難易度があがりがちです。また、階段で上がらなければならない高台の土地や、周辺にゴミ処理場や火葬場など敬遠されがちな施設があるといった周辺状況でも、通常より売却が難しくなるケースがあります。

理由⑤境界が確定していないから

境界とは、所有している土地と隣地を分ける境目のことであり、端的にいえば「どこからどこまでが買主のものになるのか」を明確に示す区切りです。境界が不明確な状態だと、購入後に隣地の所有者とトラブルに発展する可能性があるため、買主にとっては大きなリスクになります。

また、そもそも土地の売主には境界明示義務があるため、売買契約前には原則として境界を明らかにしておかなければなりません。そのため、多少の費用がかかっても、境界を確定させてトラブルの可能性を消してから売却活動をするほうが良いでしょう。

売れない土地を所有する3つのリスク

特に活用の予定がないのであれば、売れない土地を所有し続けることでさまざまなリスクが発生するため、注意が必要となります。ここでは、以下の3つのリスクについて、具体的な内容をみていきましょう。

  • 税金の発生リスク
  • 管理負担のリスク
  • 価値が低下してしまうリスク

税金を払い続けることになる

土地を所有し続けるリスクのなかでも、もっともわかりやすいのが税金の発生リスクです。土地の所有者には、毎年「固定資産税」や「都市計画税」が課されるため、ただ保有しているだけでもコストが発生してしまいます。

具体的な金額は土地の固定資産税評価額に基づいて計算され、固定資産税は「固定資産税評価×1.4%」都市計画税は「固定資産税評価額×0.3%」が目安です。なお、土地の上に建物が建っている、あるいは農地の場合は税負担の軽減措置がありますが、更地では適用されないため、負担額が高額になりやすい点にも注意が必要です。

たとえば、固定資産評価額4,000万円の土地(更地)を所有しているケースでは、具体的な税額は以下のようになります。

・固定資産税
4,000万円×1.4%=56万円

・都市計画税
4,000万円×0.3%=12万円

合計68万円

これらの税金は地方税のため、自治体によっては計算方法が異なる場合もありますが、金額に大きな差が出ることは基本的にはありません。土地を所有しているだけで毎年大きな負担が発生してしまうため、特に活用予定がないときには、売却が先延ばしにならないように気をつける必要があります。

管理の手間と費用がかかる

不動産の管理は原則として所有者自身で行う必要があります。固定資産税や都市計画税の軽減措置を受けるために古家を解体せず、そのままにしている場合は、建物の倒壊などによって近隣に迷惑をかけたり、通行人にケガを負わせてしまったりする可能性もあるので注意が必要です。

また、更地であったとしても、雑草や木々が隣地に越境したり、虫が発生したりすることで周囲に迷惑をかけてしまうリスクがあります。さらに、空き地はゴミの不法投棄を引き起こしてしまう原因にもなります。

これらの問題を放置してしまうと、最悪の場合には近隣に対して損害賠償責任が発生してしまう可能性もあるため、所有している間は適切な管理を行わなければなりません。このように、管理負担の手間や費用がかかってしまうのも、売れない土地を所有し続ける重大なデメリットの1つです。

土地の価値が下がるリスクがある

土地の価格は周辺の相場や景気に左右されるものであり、いつまでも一定であるとは限りません。建物のように経年劣化していく性質はないものの、周辺環境の変化や人口の移り変わりなどで、大きく価値が下落してしまうリスクは存在するものです。

特に、地方では人口減少が進んでおり、土地の価値が減少してしまう可能性も高いといえます。今の段階から相場が下がれば、当然ながら売り出し価格も下げなければならないため、価格変動リスクには十分に気を配る必要があります。

売れない土地の対処法11選

先ほど解説したように、活用予定のない土地を所有し続けることにはさまざまなリスクがあります。そのため、土地が売れないときには、その原因を踏まえて具体的な解決策を早急に検討することが大切です。

ここでは、土地が売れないときの対処法として、11個のポイントを紹介します。ケースによって有効な対処法は異なり、複数を組み合わせることで効果が生まれる可能性もあるため、参考にしてみてください。

対処法①売り出し価格を見直す

売り出し開始から一定の時間が経過しているにもかかわらず、購入希望者からの問い合わせ自体が少ないときには、売り出し価格の設定を見直すのが近道です。まずは、現在売り出している土地の相場を明確にして、大きなズレが生じていないかをチェックすることが大切です。

土地の売却相場は、国土交通省が公表している「土地総合情報システム」を使って、簡単に調べることができます。土地総合情報システムは、過去の土地取引に関する情報がデータベース化されているため、売りたい土地に類似した条件を持つ事例をいくつか調べれば、おおまかな相場が把握できる便利なサイトです。

対処法②空き家バンク制度を利用する

空き家バンクとは、全国の自治体が独自に行っている不動産情報サイトです。空き家バンクの特徴は、費用を抑えて地方移住を考えている層など、通常のポータルサイトではなかなかアプローチできないようなユーザーにも情報を届けられる点にあります。

また、名称は「空き家」バンクとなっているものの、自治体によっては土地のみでも登録ができます。ただし、空き家バンクの認知度自体はそれほど高くないため、まだ使用者は少ないのが現状です。

そのため、空き家バンク制度を活用する際には、売却する間口を広げて買い手を探す手段として検討してみると良いでしょう。

対処法③不動産会社との媒介契約を見直す

スムーズな売却が行えないときには、現在結んでいる媒介契約を見直すのも対処法の1つです。媒介契約には3つの種類があり、それぞれに異なるメリット・デメリットがあることから、媒介契約を見直すことで活路が開ける可能性もあります。

「一般媒介契約」とは、同時に複数の会社と契約を結べるのが特徴であり、売主自身で買い手をみつけて売却すること(自己発見取引)もできるため、売主にとってはもっとも自由度の高い契約方法です。

反面、不動産会社側にも売却活動を報告する義務やレインズへの登録義務が生じないため、場合によっては、あまり積極的な売却活動をしてもらえない可能性もあります。不動産会社からすれば、どれだけ売却活動に力を入れても、ほかの会社に案件が移ってしまうリスクがあるため、費用や人員を割くのが難しいという事情があります。

一方、「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」では、契約期間中の売却活動を1社のみに任せることとなります。また、どちらも売却活動の報告義務やレインズへの登録義務が生じるため、より積極的なサポートを期待できるのがメリットです。

そのため、一般媒介契約で買い手がみつからなければ、専任媒介や専属専任媒介を検討するのも良いでしょう。

対処法④不動産会社を変更する

売却がうまくいっていないときには、契約方法だけでなく、依頼する不動産会社そのものを見直すことも大切です。なぜなら、不動産会社はそれぞれ得意とする分野や物件タイプが異なるためです。

たとえば、「土地の売却」以外にも、「賃貸管理」「戸建ての売買」「マンションの売買」「収益不動産の売買」「賃貸客付け」など、会社ごとにさまざまな得意分野があります。そのため、まずは「土地の売却実績が豊富な会社」を中心に依頼先を検討することが重要です。

また、会社によって得意エリアにも違いがあります。たとえば、地方の土地ではそのエリアに明るい不動産会社のほうが、独自の人脈を持っていたり、最適な売り出し方を知っていたりするケースが多いものです。

ただし、すでに専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいるときには、契約期間に注意が必要です。一般的には、締結してから3ヶ月間を契約期間としており、契約期間内に売主の一方的な契約解除は違約金が発生する可能性があります。

トラブルを防ぐためにも期間が満了するのを待つか、それまでに解除する際には、契約書の内容や注意事項をきちんと確認しましょう。

対処法⑤境界を確定する

隣地との境界が曖昧なケースでは、売却時に不利になってしまうため、事前に問題点を解消しておくことが大切です。

境界が未確定あるいは不明瞭であるときは、土地家屋調査士に調査を依頼し、現地での立ち会いのもとで隣地所有者とともに境界を確認することが必要です。そのうえで、問題がなければ境界確定書に記入・押印して境界は確定します。境界を確定するには一定の時間がかかり、長ければ半年近くを要するケースもあります。

調査には費用もかかるため、土地の売却をするときには早めに済ませておけると安心です。

対処法⑥土地の問題を解決する

売却をスムーズに行うためには、土地が抱える問題をクリアにしておくことも大切です。地盤の状態や土壌汚染、埋設物の有無といった不安材料は、一般の買い手にはなかなか判断できないため、専門家に調査を依頼したうえで情報を明示できると有効です。

特に古い建物が建てられていた土地では、時間の経過によって地盤が劣化していることもあり、そのままでは新たに建物を建てられない可能性もあります。土地の買主としては、すぐに家を建てるなどの活用を考えているケースがほとんどであることから、事前に不安材料を取り除く重要性はとても高いといえます。

対処法⑦建物を解体して更地にする

先ほども解説したように、固定資産税は更地の状態よりも建物が建てられている状態のほうが軽減されるという性質があります。そのため、たとえ活用予定がなくても、税金対策から建物を残したまま売却を進める方も少なくはありません。

しかし、特別な事情がない限り、土地は古い建物が残っているよりも、解体の費用や手間がかからない更地のほうが価値は高いと判断されます。そのため、古家が残った状態で売却がうまくいっていないのであれば、解体してから再び売却をスタートするのも1つの方法です。

対処法⑧隣地所有者に打診する

一般の買い手をみつけるのが難しいときには、隣地の所有者に購入を打診してみるのも有効です。古くから「隣の土地は借金してでも買え」といった言葉もあり、隣接した土地には「建物の増改築の選択肢が広がる」、「駐車場や庭を設けられる」といった特別なメリットがあるものです。

たとえば、隣地所有者の土地が不整形地であるときには、隣接地を購入して整形地にすることで、土地単価の上昇も期待できます。それ以外にも、隣地の購入によって「再建築不可の問題が解消される」、「旗竿地が解消される」といった効果が生まれることもあります。

このように、隣地には通常の土地にはない特別な性質があり、条件によっては一般の買い手以上に良い条件で購入を検討してもらえるケースもあるため、売る側にとっても有効な手段です。

対処法⑨登録免許税を売主が負担する

土地や建物などの不動産を取得すると、権利を確保するために所有権の保存登記や移転登記を行う必要があります。「登録免許税」とは、登記を行うタイミングで発生する税金のことです。

一般的に、不動産の売買における所有権移転登記の登録免許税は、買主が全額負担することが商習慣になっています。しかし、必ずしも負担者を買主にしなければならないというルールはないため、売主自身が負担することもできます。

買主にとってはメリットの1つになるため、売買契約の交渉をまとめる際の材料として使うのが良いでしょう。

対処法⑩不動産会社に買取をしてもらう

不動産の売却には仲介と買取の2種類があります。仲介とは不動産会社と媒介契約を結んで、主に個人の買主を探してもらう方法であり、一般的に不動産売却といえばこちらを指します。

一方、買取は不動産会社に直接土地を買い取ってもらう方法です。仲介と比べて売却金額は市場価格の7割くらいの金額にはなってしまうものの、不動産会社との交渉さえまとまればそのまま現金化できるのがメリットです。

また、一般の買い手をみつけるのが難しい不利な条件を持つ土地でも、専門家である不動産会社なら、買取後の活用方法について独自のアイデアを持っているケースがあります。そのため、仲介で売れなかった物件でも、スムーズに手放せる可能性が出てきます。

買取をしてくれる不動産会社をみつけるためには、インターネットで調べたり不動産一括査定サイトを活用して、効率よく複数の不動産会社にアプローチするのがコツです。査定依頼を行えば、目安の買取価格を提示してもらえるので、いくつかの不動産会社の結果を比較しながら取引先を見極めましょう。

対処法⑪自治体に寄付する

どうしても売却が難しい土地の対処の最終手段として、自治体への寄付があります。

前述のように、土地は所有しているだけで諸費用が発生してしまうため、売却できないまま保有すれば結果的に大きな損失へとつながるリスクがあります。売れない状態が長く続けば、仮に売却できたとしても、保有期間に払ったコストが売却代金を上回ってしまうケースは少なくありません。

そのため、売却が難航しそうなときや、売れてもあまり高い売却価格が期待できない状況では、早い段階で自治体への寄付を考えてみることも大切です。

どうしても売れない場合は買取も検討しよう!

売れない土地を保有している間は、ただ所有しているだけでも税金や管理の負担が発生してしまいます。そのため、特に活用予定がないのであれば、できるだけ早く売却を済ませることが大切です。

どうしても売れない場合は、その原因を明らかにしたうえで、適切な対処法を考える必要があります。不動産の一括査定サービス「おうちクラベル」なら、物件情報などを入力するだけで手軽に複数の不動産会社を見つけられます。

また、AI査定によって大まかな査定額の把握も可能です。土地の買取にも対応している会社もあることから、まずは土地の査定を通じて安心して相談に乗ってもらえる会社をみつけてみましょう。

Q.境界を確定しないと絶対に売却できないのか?教えてください!
A.買主が了承さえすれば境界画定していなくても売却できます。しかし、境界未確定の土地はトラブルになりやすいため、不動産会社も積極的にはなってくれません。不動産会社に買取を依頼したり、隣地所有者に相談したりしてみるといった方法であれば、境界未確定でも売れる可能性はあるでしょう。

Q.どの不動産会社も土地の買取をしている?
A.すべての不動産会社が買取を行っているわけではありません。気になる不動産会社のホームページをみたり、直接聞いてみたりして、買取を行っているかどうか確認する必要があります。

まずはお気軽にご相談ください!