人生の中でも土地売買をおこなう機会はなかなかありません。とくに初めての土地売買だと「何から始めれば良いのか分からない」「売買の流れや必要な費用や書類が知りたい」と思う方も多いでしょう。土地売買では、引き渡しまでに多くの手順を踏むうえに、費用や税金がかかります。
今回は、土地売買を検討している方向けに、土地売買の流れや必要書類、税金などに加えて、注意点や留意点についても詳しくご説明します。土地の売却・購入の活動を始める前に、ぜひこの記事を参考にして土地売買をスムーズに進めてください。
1.土地売買の流れ
土地の査定依頼から引き渡しまでには約3〜6ヶ月の期間が必要です。まずは土地の査定後に、不動産会社と媒介契約を結び、売りに出します。買い手が決まると売買契約書を交わし、最後に引き渡しをおこないます。
一方で、土地の購入には約6〜12ヶ月の期間が必要です。まずは不動産会社に土地の買い付け依頼をおこない、候補地の見学をしたり契約金などの交渉をおこなったりします。仮ローン審査の通過後に売買契約を結び、最後に引き渡しをおこないます。
ここでは土地売買の流れを、売主・買主のそれぞれの立場から詳しくご紹介します。
1-1.売主
売主側における土地売買は以下のような流れです。
- 査定依頼
- 不動産会社と契約
- 土地の売り出し
- 売却交渉と契約
- 仲介手数料の支払い・代金の入金確認
- 所有権の変更手続き
一般的に、売主は不動産会社に仲介を依頼して土地の売却活動を進めます。
土地の売り出し前から売買契約後まで、さまざまな手続きなどが必要です。
ここでは土地売買における売主側の流れを詳しくご紹介します。
1-1-1.査定依頼
まずは査定依頼をしましょう。査定依頼には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
「机上査定」では、メールや電話などの問い合わせで土地の査定が可能です。売却したい土地の所在地や面積などの情報からおおよその査定額を算出します。不動産一括査定サイトだと、複数の不動産会社による査定結果が比べられます。
実際に土地を売却をすると決まった場合、「訪問査定」が必要です。訪問査定では、土地の情報に加えて現地を調査してから査定額を算出します。実際に現地を訪れるため、机上査定よりも正確な査定額が算出可能です。
1-1-2.不動産会社と契約
査定後は、仲介を依頼したい不動産会社と「媒介契約」を交わします。媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類あります。
「専属専任媒介契約」では、1社の不動産会社とのみ契約が可能です。契約後は5日以内に不動産会社同士で物件を共有している専門のサイト「レインズ」への登録と、売主へ7日に1回以上の進捗情報の報告が義務付けられています。不動産会社からの手厚いサポートを受けられるのが大きな特徴です。
「専任媒介契約」では、1社の不動産会社とのみ契約が可能です。契約後は7日以内にレインズへの登録と、14日に1回以上の進捗情報の報告が義務付けられています。手厚いサポートが受けられますが、自分が見つけてきた買主との売買契約が可能な点が特徴です。
「一般媒介契約」では、複数の不動産会社との契約が可能です。しかし、レインズという不動産会社への登録と進捗情報の報告が義務付けられていません。手厚いサポートは受けられませんが、人気の立地にある土地の売却には向いている契約といえるでしょう。
1-1-3.土地の売り出し
不動産会社との媒介契約後は、土地の売り出しをおこないます。
土地の売り出し価格は、査定額を基準にして決めましょう。しかし、土地の売買においては買主から値引き交渉がされる可能性も考えられます。そのため、値引き交渉を考慮したうえで、売り出し価格を決めると良いでしょう。あらかじめ、値引きの上限価格を決めておくのもポイントです。
また、訪問査定で算出された査定額が契約金になるとは限りません。実際の成約価格とは差がでてしまう点に注意してください。
1-1-4.売却交渉と契約
売り出している土地の購入希望者が現れると、「買付申込書」が提出されて売却交渉がおこなわれます。買付申込書とは、購入希望者によって購入希望価格や手付設定額、年収などが記載された書類のことです。
買付申込書の内容を確認して売却するかどうかを検討しましょう。売却を決定した購入希望者へ、売却価格や条件などを記載した「売渡承諾書」を送付します。
売却交渉の末に、双方の合意のうえで売買契約を交わします。土地売買の契約時には、買主側の購入条件や手付金額などを再度しっかりと確認しましょう。
1-1-5.仲介手数料の支払い・代金の入金確認
土地売買の契約時には、不動産会社に「仲介手数料」を支払う必要があります。仲介手数料には上限が定められており、媒介契約書に手数料額と支払い時期が記載されます。
支払い方法としては、契約時に仲介手数料の半分を支払い、決済日に残りの半分を支払います。一般的に仲介手数料は現金一括払いになるため、あらかじめ準備しておきましょう。
また、決済日には土地売買の契約金の入金を、インターネットバンクや記帳などを利用して確認します。
1-1-6.所有権の変更手続き
決済日におこなうのが所有権の変更手続きです。土地売買によって土地の所有権が売主から買主へと移る際には変更手続きが必要であり、これを所有権移転登記といいます。契約金の受け渡し後に、司法書士同席のうえで双方の本人確認や意志確認をおこない、所有権の変更手続きをおこないます。同日に司法書士が法務局にて申請し、登録免許税を納めると手続きが完了です。
また、契約金の受け渡し後のタイミングで、先述したように契約時に支払った仲介手数料の残りの半分の支払いが必要です。さらに所有権の変更手続きを依頼した司法書士への報酬も支払います。所有権の変更手続きは自分でもおこなうことが可能ですが複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
1-2.買主
買主側における土地売買は以下のような流れです。
- 土地探しの依頼
- 候補地の見学
- 購入の申し込みと交渉
- 仮住宅ローン審査と契約
- 手付金と仲介手数料の支払い
- 住宅ローン本審査・決済と引き渡し
1-2-1.土地探しの依頼
まずは、不動産会社へ訪問して土地探しの依頼をおこないましょう。売主が仲介を依頼する際の不動産会社との媒介契約は不要なため、複数の不動産会社への依頼が可能です。
自分で土地探しをおこなう際には、購入を希望する地域の折り込みチラシや、不動産ポータルサイトなどを利用して探しましょう。さらに購入を希望する地域周辺の多くの土地情報を収集して、売り出し中の物件や価格などの情報を深めるのがおすすめです。
1-2-2.候補地の見学
候補の土地が見つかった場合、現地に出向いて見学をしましょう。候補地の見学の際には、資料だけでは知ることができない点を確認することが大切です。事前にチェックリストを作成すると良いでしょう。
現地周辺エリアを実際に歩いて、最寄り駅や商業施設などの周辺環境を確認しましょう。住むことを考えながら騒音や匂いなどの周辺環境を確認するのもおすすめです。また事前に、役所やインターネット上で用途地域を確認したり隣地の現況や境界線を確認したりすることも大切です。
1-2-3.購入の申し込みと交渉
土地を購入する手順として、まずは買付申込書を不動産会社を通じて売主へ提出しましょう。
買付申込書には購入希望額や手付金額、契約希望日や引き渡し希望日などを記入します。また、融資特約の有無や申し込みの期限、その他取引条件なども記載します。
買付申込書に購入希望額を記載することで値下げの交渉も可能です。交渉が合意に至ると売主から売り渡し承諾書が提示され、契約へ至ります。
1-2-4.仮住宅ローン審査と契約
住宅ローンを借りる計画であれば、契約前に事前審査をしましょう。事前審査では希望借入額が借りれるかを審査します。前述の融資特約とは、融資が借りられない場合に契約が解除できる特約です。したがって、買主と売主の双方が安心して契約するためにも事前審査が必要となります。
土地を購入して住宅を建築する場合、土地の引き渡し時に売買代金を支払います。その際に融資を先行実行するか、つなぎ融資を実行する必要があります。どちらにしても融資先・融資金額を決める必要があるため、申し込み時には建築の計画書を提出します。そのため、早めに建築会社に図面や見積の作成を依頼しましょう。
土地の購入時には「重要事項説明」を受けます。土地条件や法令に関して詳細を説明するものが「重要事項説明」です。購入する不動産がどのようなものかを把握できます。専門用語も多いため、疑問点や不明点がある場合には質問をしましょう。
1-2-5.手付金と仲介手数料の支払い
土地売買の契約時には、手付金を支払います。手付金は通常売買金額の5%から10%です。たとえば2千万円の物件の場合、約100〜200万円の手付金が必要です。土地売買では買主が手付金を放棄することで契約を解除できるため、売主は手付金の金額が気になる方もいます。手付金の設定には注意しましょう。
また、不動産会社には仲介手数料を支払います。仲介手数料は「土地売買価格×3%+ 6万円+消費税」で算出します。たとえば、土地の契約金額が2千万円の場合の仲介手数料は約73万円です。
1-2-6.住宅ローン本審査・決済と引き渡し
土地売買の契約締結後は、不動産の引き渡しに向けて手続きを進めていきます。
住宅ローン利用者であれば借入先を決めて本審査をおこないましょう。本審査では借入金額や条件、実行日などを決定します。本審査が承認されると、住宅ローンの契約の締結が可能です。
ローンが実行されて、残代金を支払うと土地の引き渡しと決済がおこなわれます。土地の引き渡しの際に、固定資産税の日割分・仲介手数料・所有権移転登記の費用を支払い終えると、取引が完了です。
2.土地売買の費用と税金
土地売買においては、売主と買主の双方ともにさまざまな費用と税金がかかります。「土地売買をする際に予想外に費用がかかってしまった」ということにならないためにも、事前に土地売買にかかる費用と税金について理解しておきましょう。
2-1.売主
土地売買において売主側にかかる費用や税金は以下のとおりです。
- 不動産仲介手数料・司法書士報酬
- 譲渡所得税・印紙税・登録免許税
- 売却地の整備に関する費用
売主側にかかる費用には、仲介を依頼した不動産に支払う仲介手数料と司法書士に所有権移転登記の手続きを依頼する際に支払う報酬が挙げられます。
また、売却益が発生した際に納める譲渡所得税、売買契約書を作成する際の印紙税、所有権移転登記の際に納める登録免許税を納める必要があります。
さらに、売却地を測量したり古家を解体する際には費用が必要です。
ここでは、土地売買において売主側にかかるおおよその費用や税金などをそれぞれご紹介します。
2-1-1.不動産仲介手数料・司法書士報酬
不動産仲介手数料とは、不動産会社に仲介を依頼し、土地売買が成立したら支払う報酬のことです。不動産仲介手数料には相場がなく、宅地建物取引業によって以下の表のように上限が定められています。
土地売買価格 | 不動産仲介手数料 |
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200万円を超えて400万円以下 | 売買価格×4%+消費税 |
400万円を超える売買価格 | 売買価格×3%+消費税 |
司法書士報酬は、土地売買における所有権の変更手続きの際に司法書士へ支払う報酬です。司法書士報酬は自由化されているため依頼先によって異なりますが、数万〜十数万円ほど必要です。
2-1-2.譲渡所得税・印紙税・登録免許税
譲渡所得税は、土地売買にて売却益が発生した際に、確定申告をおこなって納めます。土地の所有期間が5年以内の短期譲渡所得の場合の税率は約40%、土地の所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合の税率は約20%です。
印紙税は、土地売買における売買契約書の作成時に課される税金であり、契約金によって税額が異なります。契約書に収入印紙を貼り付けることで印紙税を納めます。令和6年3月31日までに作成された契約書には軽減措置が適用されます。たとえば、1千万円を超え5千万円以下の土地売買契約金の場合の印紙税は1万円です。
登録免許税とは所有権移転登記の際に納める税金のことです。しかし売主側は支払う必要はありません。売主側は抵当権抹消手続きと住所変更・氏名変更登記手続きを負担する必要があり、それぞれ不動産1つにつき1,000円が課されます。
2-1-3.売却地の整備に関する費用
土地売買をおこなうために、土地を整備したり調査したりする際には、費用がかかります。
土地に建っている古家を解体してから売りに出す場合、解体費が必要です。解体費用は構造や面積によって大きく異なります。たとえば一般的に多い木造住宅の30坪の解体費用は約90〜150万円です。
測量図がなかったり境界線が曖昧な土地には確定測量が必要です。土地売買における測量は義務化されていませんが、正確な土地の価格を算出したり隣地所有者とのトラブルを避けるためにも確定測量をおこないましょう。行政立ち会いが不要な場合の測量費用は約35〜45万円です。
土地売買後に瑕疵が発見された場合、契約不適合責任に問われる恐れがあります。そのため、土地売買前に地盤調査をおこなう売主が増えています。一般的にSWS試験による地盤調査が多く採用されており、費用は約5万円です。
土壌汚染調査が義務付けられた土地以外でも不安要素がある場合、土壌汚染調査をおこなうと買主への安心材料となるでしょう。土壌汚染調査にかかる費用は、汚染の恐れがない土地だと900㎡あたり20〜30万の費用ですが、汚染の恐れがある土地だと900㎡あたり50万円以上費用がかかる場合もあります。
2-2.買主
土地売買において買主側にかかる費用や税金は以下のとおりです。
- 不動産仲介手数料・司法書士報酬
- 不動産取得税、印紙税、登録免許税
- 固定資産税・その他費用
紹介された土地の購入に至った不動産会社には仲介手数料を、登記を依頼した司法書士には報酬を支払います。
また、買主側が支払う税金は、不動産を取得した際にかかる不動産取得税、売買契約書を作成する際に課される印紙税、所有権の変更手続きの際にかかる登録免許税です。
そのほかにも、引き渡し後からかかる固定資産税や都市計画税を売主へ支払わなければなりません。
ここでは、土地売買において買主側にかかるおおよその費用や税金などをご紹介します。
2-2-1.不動産仲介手数料・司法書士報酬
不動産会社に紹介された土地の購入に至った場合に支払うのが、不動産仲介手数料です。購入に至らなかった不動産会社に対しては仲介手数料を支払う必要はありません。仲介手数料は、土地売買契約時と決済日にそれぞれ半分ずつ支払うのが一般的です。仲介手数料の算出方法は、先述した売主側と同様の算出方法です。
土地売買における所有権の変更手続きの際に、司法書士に依頼した場合には報酬を支払います。司法書士報酬にかかる費用は売主と同様に数万〜十数万円ほど必要です。
2-2-2.不動産取得税・印紙税・登録免許税
土地売買における買主は、不動産取得税を納める必要があります。不動産取得税は、購入した土地の固定資産税評価額に税率を掛け合わせることで算出が可能です。不動産取得税の税率は原則4%ですが、要件を満たした場合には軽減措置が適用されて3%に下がります。
印紙税は、土地売買の契約書の作成時に課される税金です。契約書に収入印紙を貼り付けることで納めます。先述した売主と同様に、契約金によって税額が変わります。
土地売買における所有権の変更手続きの際に、登録免許税を納める必要があります。登録免許税は買主が納めるのが一般的です。購入した土地の固定資産税評価額に掛け合わせることで算出します。登録免許税の税率は原則20%ですが、令和5年3月31日までに登記をおこなった場合、軽減税率が適用されて15%に下がります。
2-2-3.固定資産税・その他費用
土地売買における買主は、土地の引き渡し日以降にかかる固定資産税と都市計画税を納めなければなりません。固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点での所有者である売主が1年分を納めています。したがって、買主は土地売買の引き渡し日以降にかかる固定資産税と都市計画税を、売主へと支払わなければならないのです。支払いのタイミングは、土地売買の決済日です。
3.土地売買の必要書類
土地売買では、買主と売主それぞれに必要書類があります。必要書類には、役所や法務局で手に入れなければならない書類があるため、事前に準備しておくことが大切です。とくに土地売買契約時に必要とする書類に漏れがあると、契約の進行を滞らせてしまいます。
買主と売主に共通する必要書類は、本人確認書類・住民票・印鑑証明書です。そのほかの必要書類についても、売主と買主別にそれぞれ以下にご紹介します。漏れなく必要書類を準備してスムーズに土地売買を進めましょう。
3-1.売主
土地売買時に売主が必要な書類は、以下の表のとおりです。
書類名 | 取得先 | 取得費用 | 必要時期 |
本人確認書類 | 保有 | なし | 媒介契約時・土地売買契約時・決済日 |
住民票 | 市区町村役場・コンビニ | 10〜300円 | |
印鑑証明書 | 市区町村役場・コンビニ | 10〜300円 | |
実測図 | 保有 | なし | |
筆界確認書 | 保有 | なし | |
境界の覚書 | 保有 | なし | |
権利証・登記識別情報通知書 | 保有 | なし | |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役場・コンビニ | 10〜400円 | 決済日 |
抵当権抹消手続きの書類 | 金融機関先が用意 | なし | |
資格証明書(法人) | 法務局 | 600円 | |
謄本 | 法務局 | 600円 | 確定申告時 |
売却時の契約書 | 保有 | 保有 | |
購入時の契約書 | 保有 | 保有 | |
諸経費の領収書 | 保有 | 保有 |
実測図などの保有している必要書類は、すぐに提出できるように揃えておきましょう。
各種証明書は、マイナンバーカードを利用すると、コンビニでの取得が可能な市区町村区があります。コンビニでの取得の際は、ご自身の市町村区のホームページから確認をしてください。謄本や資格証明書は法務局の窓口で取得する方法のほかにも、郵送やオンラインでの取得が可能です。
各種証明書は取得に時間や手間を要するため、時間に余裕を持って揃えておきましょう。
3-2.買主
土地売買時に売主が必要な書類は、以下の表のとおりです。
書類名 | 取得先 | 取得費用 | 必要時期 |
買付申込書 | 不動産会社 | なし | 土地購入申込時 |
本人確認書類 | 保有 | なし | 土地購入申込時・土地売買契約時・住宅ローン仮審査から契約時 |
印鑑証明書 | 市区町村役場・コンビニ | 10〜300円 | |
住民票 | 市区町村役場・コンビニ | 10〜300円 | |
土地融資事前審査申込書 | 金融機関先 | なし | 住宅ローン仮審査時 |
源泉徴収票・納税証明書 | 勤務先・税務署 | なし・400円 | |
借入状況の書類 | 保有 | なし | |
購入予定地の資料 | 不動産会社 | なし | |
土地融資申込書 | 金融機関先 | なし | 住宅ローン本審査時 |
団体信用保険申込書 | 金融機関先 | なし | |
健康保険証 | 保有 | なし | 住宅ローン契約時 |
土地売買契約書・重要事項説明書 | 不動産会社 | なし | |
金融機関先届出印 | 保有 | なし | |
通帳 | 保有 | なし |
土地を購入して住宅ローンを組む際には、いくつもの書類や資料が必要です。納税証明書は、オンラインや郵送での取得も可能です。取得に時間や手間を要するものは、あらかじめ準備しておきましょう。
4.土地売買における特有の事情
土地売買の際に、注意しておきたい特有の事情は以下の通りです。
- 共有名義(持分)の土地
- 貸付中の土地
- 建物(古家)がある土地
- 相続された土地
- 遠隔地にある土地
ここでは特有の事情がある土地についてそれぞれご説明します。スムーズに土地売買がおこなえるように、事前に理解しておきましょう。
4-1.共有名義(持分)の土地
共有名義の土地は、共有者全員の同意を得て売却する・分筆して売却する・自分の持分のみ売却する3つの方法があります。
しかし分筆して土地を売却する方法には、分筆の形に配慮が必要だったり測量や登記の手間がかかったりします。また、自分の持分のみを売却する方法では、土地の自由度が低く、買い手がつきにくいと予想されます。
したがって、共有者全員の同意を得て売却する方法がおすすめです。
4-2.貸付中の土地
貸付中の土地である場合は、賃借人から立ち退きの同意を得る必要があります。
駐車場や資材置き場としての貸付中の土地だと、契約満了となったタイミングや違約金の支払いを条件に立ち退きが可能です。しかし土地の上にある自分名義の建物を貸していた場合は、引越しや移転先への補償や立ち退き料を支払う必要があります。さらに、他人名義の建物が建っている場合は、建物の買取が必要です。
貸付中の土地は、立ち退きの同意を得たり、立退料などの費用がかかるため、手間と時間を要する点に注意しましょう。
4-3.建物(古家)がある土地
建物(古家)がある土地だと、解体するかどうかで迷われる方も多いでしょう。
建物(古家)を解体する場合、解体費用がかかったり固定資産税が上がってしまうのがデメリットです。しかし解体によって更地になるため、利用用途が広がり買い手がつきやすくなるのがメリットに挙げられます。
建物(古家)を解体しない場合は、建物を利用したい人のみにターゲットが絞られるため、買い手がつきにくくなるのがデメリットです。しかし、解体費用や解体の手間が省かれるうえに、固定資産税の軽減措置が適用されるのがメリットに挙げられます。
4-4.相続された土地
相続された土地を売却したい場合、相続人への登記を完了させておく必要があります。新しい所有者へと登記がされていないと、売却の進行が滞ってしまうからです。
また、相続人が複数人いる土地は、共有名義となります。そのため、先述したとおり共有名義人の全員の同意を得てから売却する必要があります。
さらに相続税を納付するために売却したい場合は、納税期限が定められているため、早めに売却活動を始めると良いでしょう。
4-5.遠隔地にある土地
遠隔地にある土地売買の鍵となるのは不動産会社選びです。
遠隔地にある土地を売却する場合、売却したい土地がある地域に精通している不動産会社に仲介を依頼しましょう。顧客リストから買い手を紹介してくれたり、買い手に土地の周辺環境などを含めてアピールしたりして売却活動を進めてくれます。
遠隔地にある土地を購入する場合、資料や写真だけでは詳細を把握するのは難しいため、必ず現地を訪れて確認をすることが大切です。できる限り購入したい地域にある不動産会社を選びましょう。
5.土地売買の契約書で見るべき項目
土地売買では、売主と買主の双方にて売買契約書の確認をおこないます。土地売買の契約書には普段聞きなれない用語が多いですが、しっかりと確認して双方合意のうえで契約を交わしましょう。ここでは土地売買の契約書の内容でとくにおさえておきたい項目についてご紹介します。
5-1.契約不適合責任
契約不適合責任とは、土地売買の契約書に記載されていない内容について瑕疵が見つかった場合、買主から売主は追完請求や賠償責任を問われたり、契約の解除をされたりする恐れがあることです。
2020年4月より瑕疵担保責任から契約不適合責任へと改正され、売主に対する責任が重くなりました。土地売買の契約書では既存の欠陥については漏れなく記載し、売主と買主の双方でしっかりと確認をしましょう。
5-2.登記・印紙費用の負担
土地売買の契約書には、登記の費用の負担に関する記載があります。登記にかかる費用を負担する人は、手続きによって異なるのが一般的です。所有権の移転登記においては、買主が負担します。一方で抵当権の抹消登記は売主が負担します。
また、土地売買の契約書には印紙費用の負担に関する記載もされます。土地売買の契約書は、収入印紙を貼り付けることで税金を納める課税文書です。収入印紙は、買主と売主ともに負担するのが一般的です。契約金額によって税額が異なります。
5-3.ローン特約に基づく売買契約解除
ローン特約に基づく売買契約解除とは、買主が住宅ローン審査に通過できなかった場合に、土地売買の契約を解除できることです。
土地売買の契約書では、ローン特約に基づく売買契約解除に期限を設定します。売主は、土地売買の契約後もローン特約に基づく売買契約解除までに解約を通達される可能性があるため、期限を設定するのです。期限は2週間程度に設定されるのが一般的です。
5-4.確定測量図の引き渡し
土地売買の契約書では、買主へ確定測量図の引き渡しをおこなう旨が記載されるのが一般的です。
確定測量図とは、有資格者と隣地所有者の立ち会いのもとで境界線を確定して作成された図面です。土地売買をおこなう際には、隣地とのトラブルを避けるためにも確定測量図が求められます。
確定測量図がない場合、作成には時間を要するため、事前に時間に余裕を持って準備しましょう。
6.土地売買のよくある質問|消費税はかかる?
土地売買では、消費税の課税対象と非課税対象となるものがあります。土地売買自体には消費税がかかりません。また、各種税金にも消費税はかかりません。一方で仲介手数料などの諸経費には消費税がかかります。ここでは、土地売買において消費税の課税対象と非課税対象となるものをそれぞれご紹介します。
6-1.課税対象
土地売買において消費税の課税対象となるのは以下のとおりです。それぞれの費用の税込価格から総額を確認するのがポイントです。
- 仲介手数料
- ローン事務手数料
- 司法書士手数料
- 土地家屋調査士手数料
仲介手数料は、不動産会社に仲介を依頼した際に支払う成功報酬のことです。仲介手数料は「土地売買価格×3%+ 6万円+消費税」で算出します。
ローン事務手数料は、住宅ローンの契約の際に金融機関に支払う事務手数料のことです。事務手数料は「借入金額×2.2%(税込)」で算出されるのが一般的です。
司法書士手数料は、所有権の変更手続きの際に司法書士へ支払う報酬のことです。依頼先によって異なりますが、数万〜十数万円ほどかかります。
土地家屋調査士手数料とは、確定測量図の作成を土地家屋調査士へ依頼した際にかかる費用です。土地の広さや、行政による立ち会いが必要かどうかなどによって費用は異なります。土地売買においてかかる費用は40〜100万円ほどです。
6-2.非課税
土地売買自体には消費税はかかりませんが、土地に建物が建てられている場合、建物には消費税がかかります。また、土地売買においてそのほかの消費税の非課税対象となるのは以下のとおりです。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
印紙税は、課税文書である土地売買の契約書に収入印紙を貼り付けることで納める税金です。土地売買の契約金額によって異なります。また、契約金額が1万円未満の場合は非課税対象です。
登録免許税は、土地売買において所有者の変更手続きの際にかかる税金のことです。所有権の移転登記の場合は、固定資産税評価額に税率を掛け合わせて算出します。一定の要件を満たした場合、軽減措置の適用が可能です。抵当権の移転登記の場合は、住宅ローンの借入額に税率を掛け合わせます。
不動産取得税は、土地を購入した際にかかる税金です。30日以内に納める必要があります。課税標準額が10万円未満の場合は、非課税対象です。
まとめ
不動産売買において売主は、土地の査定依頼と仲介を不動産会社に依頼し、売却活動にて買い手を探します。見つかった買主と売買契約を交わして決算と同時に土地の引き渡しで完了です。土地の査定依頼から引き渡しまでに多くの書類や税金、諸費用が必要なため、あらかじめ準備しておきましょう。
不動産売買において買主は、不動産会社に土地探しの依頼をおこないます。土地探しからローン審査、売買契約とローン契約の締結後に決算と引き渡しで完了です。買主にも売主と同様に、多くの書類や税金、諸費用が必要です。
このように、土地売買には多くの手順を踏む必要があります。ぜひこの記事を参考にスムーズな土地売買を成功させてください。
土地の売却をする際は、まずは無料の不動産一括査定サイト「おうちクラベル」で一括査定を依頼してみましょう。複数の不動産会社から査定してもらえるうえに、AI査定結果も知れるので、相場から大きく外れた売却をしてしまうリスクを小さくすることができます。